説明

内燃機関の点火及び圧力測定装置

本発明は、スパークプラグ(2)を有する点火及び圧力測定装置に関し、スパークプラグ(2)が、外側ボディ(14)と、該外側ボディ(14)に取り付けられかつ信号出力端子(38)を有する圧力センサ(34)と、外側ボディの上端部と不変に連結された、前記信号を処理するための電子的手段(44)を支持する支持管(4)と、一方では、圧力センサの出力端子(38)に、他方では、電子プロセッサ手段(44)の入力端子に取り付けられた、導電エレメント(46)と、下端部、電子プロセッサ手段及び圧力センサを包囲する金属シェル(6)とが設けられており、該シェルが、装置をシリンダヘッドに取り付けるための操作手段(60)を有しており、かつ下端部においてスパークプラグの外側ボディに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のための点火及び圧力測定装置に関する。
【0002】
内燃機関において、シリンダ内の圧力を知ることが有効である。特に、これは、エンジンにおける燃焼のより優れた制御を行うことを可能にする。これにより、燃料消費及び排出される汚染物を減じることができる。いわゆるガソリンエンジンにおいて、シリンダ内の圧力を測定する圧力センサは、エンジンノックセンサを設ける必要性も排除する。
【0003】
すなわち、スパークプラグに圧力センサを取り付けることが公知である。一般的に使用される圧力センサは圧電効果に基づく。公知のように、スパークプラグは、慣用的に、中央電極と、接地電極と、絶縁体コアと、スパークプラグシェルとしても知られる外側ボディとを有する。さらに、圧力センサは、スパークプラグの外側ボディの外側に取り付けられている。スパークプラグが、作動するエンジンのシリンダヘッドに取り付けられている場合、対応するシリンダ内の圧力は、このシリンダにおいて生じる燃焼により、圧電センサの予負荷とは反対方向で絶縁体コアに応力を加える。シリンダ内に発生する燃焼に関連するこの力は、外側ボディが弾性的に変形するように絶縁体コアを前記シリンダから離れる方向へ移動させることによって絶縁体コアを長手方向に移動させる傾向があり、これにより、予負荷された圧電センサに加えられる力を減少させる。センサに加えられる力のこのような変化は、シリンダ内の圧力の関数である電気信号を発生する。この信号は、機械的及び電磁的な外乱に対して極めて敏感である。したがって、センサの感応素子から、信号を処理する電子装置への信号伝達は、注意深く行われなければならない。
【0004】
仏国特許第2926933号明細書には、力センサ及び接続装置に関連したスパークプラグが記載されている。力センサは、スパークプラグの外側ボディの一方の端部の周囲に慣用の形式で配置されている。接続装置は、スパークプラグのこの端部を収容するためのフレキシブルなキャップを有する。このフレキシブルなキャップは、力センサによって伝達される信号のための電子プロセッサ手段と、前記プロセッサ手段と接続された弾性の電気接点とを支持している。力センサは、フレキシブルなキャップによって支持された弾性の電気接点に嵌合するように設計されたコネクタピン電極を有する。弾性の電気接点内のピンの位置決めを容易にするために、接続装置には誤操作防止手段が設けられている。さらに、フレキシブルなキャップは中央穴を有しており、この中央穴に、コイルの高電圧端子と、スパークプラグ中心電極の電源ロッドとの間の接続のために、ばねが収容されている。接続装置は、さらに、金属シェルを有しており、この金属シェル内にフレキシブルなキャップが配置されている。金属シェルは、スパークプラグに面する側における自由端部において、スパークプラグの外側ボディとの電気的接触を可能にするための弾性タブを有しており、これにより、金属シェルを接地する。
【0005】
本発明者は、この装置の場合、プロセッサ手段によって受け取られる信号が、時には、十分に信頼できかつ正確な圧力情報を導き出すためには不十分な品質のものであることを発見した。
【0006】
本発明の目的は、スパークプラグと、エンジンシリンダ内の圧力についてのより信頼できる情報を提供するように適応された圧力センサとを有する装置を提供することによって、前記欠点を解決することである。好適には、この装置は、より正確な圧力情報を提供するようにも適応されている。
【0007】
この目的のために、本発明は、点火及び圧力測定装置であって、外側ボディを有するスパークプラグと、スパークプラグの外側ボディに取り付けられた圧力センサとが設けられており、この圧力センサが、信号出力端子と、前記信号を処理するための電子手段を支持する支持管と、支持管、電子プロセッサ手段及び圧力センサを包囲する金属シェルとを有している、点火及び圧力測定装置を提供する。本発明による装置は、
支持管が、圧力センサを収容する、上端部と呼ばれる、外側ボディの一方の端部と不変に連結されており、
導電性エレメントが、一方では圧力センサの出力端子に、他方では電子プロセッサ手段の入力端子に取り付けられており、
下端部と呼ばれる、金属シェルの一方の端部が、前記スパークプラグの外側ボディに取り付けられており、
金属シェルが、内燃機関のシリンダヘッドに装置を取り付けるための操作手段を有する、ことを特徴とする。
【0008】
別の観点では、本発明による点火及び圧力測定装置は、点火、シリンダ内圧力測定、測定データの処理、慣性の増大による振動減衰(以下のセクションにおいて説明される)を一体化した一体的なアセンブリを形成するように、工場で組み立てられる。圧力センサと、電子プロセッサ手段との間には、取外し可能な接続は設けられておらず、これらの両エレメントは、導電エレメントによって直接に接続されている。その結果、圧力センサと電子プロセッサ手段との間の信号伝達は、どのような機械的応力及び振動を本発明による装置が受けようとも、高品質で保証される。さらに、シリンダヘッドへのこの装置の取り付けは、金属シェルに設けられた操作手段のおかげで、一回の操作で行われる(これに対して、従来公知の装置では、少なくとも二回の操作が要求されていた)。
【0009】
また、本発明にしたがって金属シェルがスパークプラグの外側ボディに取り付けられていることが、以下の基本的な本質的な利点を有する。金属シェルは、スパークプラグの外側ボディ及び金属シェルによって形成された剛性のアセンブリの慣性及び剛性を高める。その結果、このように金属シェルが設けられた外側ボディの固有振動数が、外側ボディだけの固有振動数よりも低くなる。つまり、スパークプラグの外側ボディに金属シェルを取り付けることは、前記外側ボディの固有振動数を圧力センサの帯域から外れるようにシフトさせる。さらに、金属シェルによって提供される慣性及び剛性は、座部において前記外側ボディに伝達されるシリンダヘッドのゆがみの下で生じやすい外側ボディのゆがみを制限する。したがって、圧力センサは、スパークプラグが受ける振動及び応力に対してかなり鈍感である。その結果、得られた信号/ノイズ比は極めて良好であり、従来公知の装置によって得られる比と比べて著しく高められる。
【0010】
最後に、操作装置が、全ての従来公知の装置においてはスパークプラグの外側ボディに形成されているのに対し、金属シェルにおける操作手段の存在は、シリンダヘッドへの本発明の装置の取付けを容易にする。なぜならば、操作手段は今やシリンダヘッドの外部に移動させられているからである。さらに、この配列は、よりコンパクトな装置を提供することができる。つまり、金属シェルを超えて突出したスパークプラグの部分の軸方向寸法が減じられ(もはや操作手段を有さないからである)、操作手段が、軸方向寸法を増大させることなく金属シェルに一体化されている。
【0011】
好適には、これらの操作手段は、六角形の断面を有する。
【0012】
有利には、操作手段は、下端部とは反対側の、上端部と呼ばれる、シェルの一方の端部に形成されている。したがって、本発明の装置がどの程度の深さに配置されるかにかかわらず、これらの操作手段は容易にアクセス可能である。要するに、これは、支持管及びプロセッサ電子手段の領域におけるシェルの直径が操作手段のレンチ開口(六角形の場合の辺の間の直径)よりも大きく、さらには前記操作手段の最大外径(六角形の頂点の間の直径)よりも大きいシェルを使用することを可能にする。
【0013】
有利には、金属シェルの下端部はスパークプラグの座部に隣接して延びており、これにより、装置がシリンダヘッドに取り付けられた場合のストッパを形成する。
【0014】
有利には、金属シェルは、スパークプラグの外側ボディに、その全周にわたって設けられた溶接部によって取り付けられている。これにより、スパークプラグと金属シェルとの間に封止が保証され、これは、圧力センサ及び電子プロセッサ手段を、シリンダの攻撃的な環境及び湿気から保護する。
【0015】
好適には、上端部の近くにおいて支持管と金属シェルとの間にさらに少なくとも1つのOリングが配置されている。
【0016】
択一的に又は好適には組み合わせて、電子プロセッサ手段は、絶縁材料内に埋設又は封入されている。このような埋設又は封入は電子プロセッサ手段を、金属シェルに侵入する恐れがある潜在的な汚染物から保護する。さらに、金属シェルを型として使用しかつ絶縁体材料が支持管と金属シェルとの間の空のスペースを満たすような封入の場合、支持管と金属シェルとの間に生じて電子プロセッサ手段に影響する恐れがある振動が回避される。
【0017】
有利には、点火及び圧力測定装置は、さらに、少なくとも電子プロセッサ手段を超えてスパークプラグの外側ボディまで延びた支持管の部分に沿って、スパークプラグの絶縁体コアと支持管との間に配置された遮蔽スリーブを有している。この遮蔽スリーブは、圧力センサによって伝達される信号(まだ処理されていない)及び電子プロセッサ手段を、以下で説明される高電圧ラインによって生ぜしめられる電磁的干渉から保護する。
【0018】
本発明は、一方では本発明による点火及び圧力測定装置、他方では接続装置を有する、アセンブリにも関し、この接続装置には、
スパークプラグの中心電極に電力を供給するための高電圧ラインが設けられており、前記高電圧ラインは、一方では、支持管を通過しかつスパークプラグの絶縁体コアに係合させられる導電性ロッド、他方では、高電圧ラインをコイル変換器の高電圧出力端子に接続するためのコネクタ、を有しており、
一方では、電子プロセッサ手段の出力端子に接続されかつ金属シェルの上端部の近くに配置された点火及び圧力測定装置のコネクタ、他方では、コイル変圧器の信号入力端子、に接続されるカップリングエレメントが設けられている。
【0019】
このような装置の単純さの結果として、より低いコストで、様々な長さを有する接続装置を提供することが可能である(ここで言う「長さ」とは、両装置が組み立てられたときの点火及び圧力測定装置の軸方向に沿った接続装置の寸法を言う)。つまり、接続装置の長さは、点火及び圧力測定装置が取り付けられるシリンダヘッド凹部の深さに関して選択されてよい。したがって、もはや、市場の全てのニーズを満たすために様々な寸法の点火及び圧力測定装置を開発する必要はない。なぜならば、コンパクトな設計を有する一つの装置が、様々なタイプのシリンダヘッドに適しているからである。
【0020】
本発明のさらに他の詳細及び利点は、添付された概略的な図面を参照しかつ例示としてのみ提供された好適な実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による点火及び圧力測定装置の概略図である。
【図2】接続装置と組み合わされた、図1の装置の概略図であり、金属シェルの一部及び支持管の一部が断面で示されている。
【図3】図2に示された装置の分解斜視図である。
【0022】
図1から図3は、本発明による点火及び圧力測定装置を示しており、この装置は、特に、一体のアセンブリを形成する、スパークプラグ2と、支持管4と、金属シェル6とを有している。
【0023】
慣用的に、スパークプラグ2は、中心電極8と、接地電極10と、絶縁体コア12と、スパークプラグシェルとしても知られる外側ボディ14とを有している。
【0024】
スパークプラグ2は、内燃機関の燃焼室に火花を発生するようになっている。この火花は、2つの電極、つまり中心電極8と接地電極10との間に発生される。中心電極8は、絶縁体コア12の一方の端部において、この絶縁体コアの内部に取り付けられている。中心電極には、以下に説明される高電圧ラインを通じて高電圧電流が供給される。
【0025】
概してセラミックから形成された絶縁体コア12は、外側ボディ14内に取り付けられている。外側ボディ14は、円形の横断面の、概して管状の形状を有している。この外側ボディ14の下端部は、接地電極10を支持している。接地電極10は中心電極8に対面している。絶縁体コア12は外側ボディ14内に位置決めされており、圧着によって外側ボディ14内に保持されている。外側ボディ14の上端部16(図3参照)は、絶縁体12を圧着するために、絶縁体コア12の肩部に被さるように折り曲げられている。
【0026】
スパークプラグ外側ボディ14の外周面は、電極の側において、本発明による装置をシリンダヘッド(図示せず)にねじ込むためのねじ部18を有している。ねじ部18の上方において、外側ボディ14はフランジ20を有しており、座部と呼ばれる、このフランジの下面22は、装置がシリンダヘッドにねじ込まれる際にストッパとして働く。このフランジ20の上方において、外側ボディ14は、実質的に円筒形の上側部分32を有しており、この上側部分32には力センサ34が取り付けられている。
【0027】
ここに示された力センサ34は、圧電タイプのものであり、2つの電極24及び28の間に取り付けられた、センサの感応エレメントを構成する圧電素子を有する。外側ボディ14のフランジ20の上側は、電極24のための支持部として働く。この電極24は、シリンダヘッドにねじ込まれた外側ボディ14と接触しているので、接地されている。その結果、この電極24は、接地電極24とも呼ばれる。電極28は、応力変化を受けた圧電素子によって送信された電気信号を受信する。この電極は、ここでは、力センサの出力電極28と呼ばれる。圧電素子26及び電極24及び28に加えて、力センサ34は、さらに、絶縁体ワッシャ30を有する。
【0028】
力センサ34は、予負荷リングと呼ばれるリング40によって機械的に予負荷されている。リング40の形状は、外側ボディ14の上側部分32の形状に適合している。リング40は、力センサ30からほぼ圧着領域まで延びており、外側ボディ14に溶接されている。
【0029】
力センサの出力電極28は、軸方向に延びた、力センサの出力端子38を形成したタブ38を有しており、圧電素子26からの電気信号は、タブ38を通じて送信される。絶縁体ワッシャ30自体は、出力端子38を予負荷リング40から電気的に絶縁するために、出力端子38内に軸方向(半径方向)に延びた絶縁タブ36を有する。予負荷リング40は、外側ボディ14に取り付けられているので、接地されている。
【0030】
上述のように、本発明による装置は、さらに、支持管4を有する。この支持管4は、合成ポリマ材料のような電気的に絶縁性の材料から形成されている。支持管4は、下端部において、拡大した領域26を有しており、この拡大した領域により支持管は、スパークプラグの外側ボディ14の上端部、及び力センサ34と連結される。支持管の軸方向下面72は、予負荷リング40の肩部に当接させられている。
【0031】
支持管4は、その外周面において、少なくとも1つの凹所42を有しており(図示の例においては複数の凹所を有している)、これらの凹所は、電子プロセッサ手段(電子演算処理手段)44を収容するためのハウジングを形成している。電子プロセッサ手段44は、例えば、ASICとしても知られる、用途特定集積回路を備えた電子ボードを含む。これらのプリント基板は、例えば、力センサ34によって送信された信号の増幅及びフィルタリング、並びにこのアナログ信号のデジタル信号への変換(A/Dコンバータ)を行うようになっている。しかしながら、択一的に、電子プロセッサ手段44に1つの増幅器ステージのみを提供することが可能である。
【0032】
本発明によれば、電子プロセッサ手段44は、導電エレメント46を介して力センサ34に直接に接続されている。この導電エレメント46は支持管4によって支持されている。図示の例において、導電エレメント46は、S字形プロフィルを有する剛性の平坦なプレートである。択一的に、導電エレメント46は、フレキシブルなワイヤであることができる。この導電エレメント46は、例えば溶接によって、一方では力センサの出力端子38に、他方では電子プロセッサ手段44の入力端子に、不変に取り付けられている。したがって、力センサ34と電子プロセッサ手段44との間にコネクタは介在させられていない。
【0033】
出力部において、電子プロセッサ手段44は、支持管4によって支持されたフラットケーブル又はその他の導電エレメントを介して、3つの同軸のリング状の接点を有する雌型リング状コネクタ50に接続されている(前記接点は、リング状コネクタ50の内側に形成されているので、図面には示されていない)。支持管4は、上側部分において、拡径領域64を有しており、この拡径領域64内にリング状コネクタ50が完全に収容されている。電子プロセッサ手段44自体は支持管4の外側に配置されているので、拡径領域64を形成した前記管の肩部を貫いて、フラットケーブルを通過させるための穴が形成されている。さらに、支持管の軸方向上側70に隣接して、リング状コネクタ50と支持管4との間にOリング66が配置されている。
【0034】
本発明による点火及び圧力測定装置は、コイル変圧器への接続のための、図2及び図3に示された接続装置に接続されるようになっている。前記接続装置は、カップリングエレメント52と、高電圧ライン54とを有する。
【0035】
カップリングエレメント52は、一方の側において、点火及び圧力測定装置のリング状コネクタ50に挿入される、同軸のリング状接点を備えたリング状雄型コネクタを有する。他方の側では、カップリングエレメント52は、コイル変圧器の信号入力端子への接続を可能にする少なくとも1つのプラグ53を有している。変圧器へ送られる処理された信号は、オンボードコンピュータへの送信のためにケーブル又はその他の伝導手段によって変圧器を通過する。
【0036】
接続装置の高電圧ライン54は、変圧器の高電圧コイルによって提供される電力をスパークプラグに供給することを可能にする。この高電圧ライン54は、導電ロッド58を有する。組み立てられた状態において、ロッド58は、管形状を有するカップリングエレメント52を支持している。ロッド58は、支持管4を通過するようになっている。ロッド58の下端部はこれにより、中心電極8と接触するようにスパークプラグの絶縁体コア12内に挿入される。ロッド58と中心電極8との間の電気的な連続性を保証するために、絶縁体コアに、導電ばね又はあらゆるその他の公知の適切な手段が設けられていてよい。ロッド58の上端部には、高電圧ライン54をコイル変圧器の高電圧出力端子(図示せず)に接続するためのコネクタ56が設けられている。
【0037】
上述のように、本発明による点火及び圧力測定装置は、金属シェル6も有する。この金属シェル6は、支持管4及び支持管4が支持するエレメント、並びに力センサ34を全体的に包囲している。金属シェル6は、円形の内側及び外側断面を有する実質的に円筒形の管状主要部と、六角形の横断面の操作手段60を形成した、より小さな長さを有する上側部分とを有する。
【0038】
本発明によれば、金属シェルの下端部61の形状は、スパークプラグの外側ボディ14のフランジ20の形状に適応させられている。特に、軸方向下側におけるこのシェルの内径は、フランジ20の外径と実質的に同じ(取付け間隙の範囲内)である。金属シェル6のこの下端部61は、スパークプラグの外側ボディ14に溶接されている。図示の例において、金属シェルの軸方向下側と外側ボディ14のフランジ20との間には、金属シェルの全周にわたって溶接ビード62が形成されている。好適には、このような溶接は、レーザによって行われる。このように形成された溶接ビード62は、以下の少なくとも3つの機能を満たす。
【0039】
溶接ビード62は、金属シェル6を外側ボディ14と一体化し、これにより、アセンブリを強化する。シェルによってもたらされる慣性は、スパークプラグの外側ボディの固有振動数を、力センサ34の帯域よりも十分に低く低下させ、かつシリンダヘッドの振動及びゆがみの下で生じる場合があるスパークプラグ座部22のゆがみを減少させる。これにより、信号/ノイズ比が改善される。得られた点火及び圧力測定装置は、極めて信頼できる正確な測定を提供する。
【0040】
溶接ビード62は、金属シェル6の接地を保証する(なぜならば、シェル6は外側ボディ14と接触しており、この外側ボディ14自体はシリンダヘッドと接触しているからである)。これにより、金属シェル6は、エレクトロニクス全体(力センサ及び電子プロセッサ手段等)を周囲の電磁的な外乱から保護する。増幅されると、信号は電磁的な外乱を受けにくくなり、したがって、点火及び圧力測定装置の外側においては、増幅及び/又はフィルタリング及び/又は変換された信号の引き渡しのための特定の遮蔽を提供することは必要とされない。
【0041】
溶接ビード62は、金属シェル6と外側ボディ14との間の液密性及び気密性を提供する。これにより、金属シェル6は、エレクトロニクス全体を、環境によるあらゆる化学的攻撃から保護する。
【0042】
留意されるべきは、金属シェルの軸方向下側は前記ボディの座部22に隣接して金属ボディ14に溶接されていることである。この構成は、装置を操作するための操作領域60が金属シェル6に形成されていることにより可能になる。その結果、本発明による点火及び圧力測定装置は極めてコンパクトである。操作手段を備えないスパークプラグ2は、減じられた軸方向寸法を有する。電子プロセッサ手段は、絶縁体コア12の突出した部分に面して、できるだけ力センサの近くに配置されている。
【0043】
図示の例において、操作領域60は、金属シェル6の上端部に形成されており、支持管4から軸方向に突出している。この操作領域60は、周壁を形成しており、この周壁は、接続装置が本発明による点火及び圧力測定装置と組み立てられたときにカップリングエレメント52の1つ又は複数のプラグ53を包囲している。コイル変圧器を前記接続装置に接続する場合、この周壁は、対応するプラグ53へ向けての変圧器信号入力端子の案内に関与する。
【0044】
拡径領域64、特に軸方向上側70における支持管4の外径は、実質的に、金属シェル6の主要部分の内径と実質的に同じ(取付け間隙の範囲内)である。他方で、シェルの操作領域60は、支持管の軸方向上側70の外径よりも小さな最小内径を有する。シェルの主要な円筒形部分と操作領域60との間の移行部はこれにより、支持管4のためのストッパとして働く内側肩部を形成している(支持管は、さらに、予負荷リング40に当接している)。支持管4と金属シェル6との間にはOリング68が配置されている。このリングは、支持管の拡径領域64に形成された溝に配置されている。
【0045】
例示された点火及び圧力測定装置は、第1の遮蔽スリーブ76をも有しており、この第1の遮蔽スリーブ76は、絶縁体コア12の突出した部分(外側ボディ14から突出した絶縁体コアの部分)を全体的に包囲している。この遮蔽スリーブは、導電エレメント56及び電子プロセッサ手段44によって搬送される未処理の信号を、スパークプラグに電極を供給する高電圧ラインによって発生される電磁的な外乱から保護する。この遮蔽スリーブは、中実であるか穴あきであるかにかかわらず金属から形成されているか、又は絶縁体コア12の外周面の金属化によって形成されてよい。
【0046】
図示の例において、高電圧ライン、特にロッド58と、接続装置のカップリングエレメント52との間に、第2の遮蔽スリーブが設けられている。この遮蔽スリーブは、前記カップリングエレメント52の内側の金属化によって、又は金属の被覆管によって形成されていてよい。
【0047】
本発明は、例示された実施形態に対してなされる様々な変化態様を含んでおり、これらの変化態様は、添付の請求項の範囲に含まれている。
【0048】
特に、本発明は、圧電式力センサタイプの圧力センサに限定されない。圧力センサは、スパークプラグの外側ボディに配置された1つ又は2つ以上のひずみゲージのような、あらゆるその他の公知の手段によって実現されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火及び圧力測定装置であって、スパークプラグ(2)が設けられており、該スパークプラグ(2)が、外側ボディ(14)と、スパークプラグの外側ボディ(14)に取り付けられかつ信号出力端子(38)を有する圧力センサ(34)と、前記信号を処理するための電子的手段(44)を支持する支持管(4)と、該支持管、電子プロセッサ手段及び圧力センサを包囲する金属管(6)とを有する形式のものにおいて、
支持管(4)が、圧力センサ(34)を収容する、上端部と呼ばれる、外側ボディ(14)の一方の端部と不変に連結されており、
一方では、圧力センサの出力端子(38)に、他方では、電子プロセッサ手段(44)の入力端子に、導電エレメント(46)が取り付けられており、
下端部と呼ばれる、金属シェルの一方の端部(61)が、前記スパークプラグの外側ボディ(14)に取り付けられており、
金属シェル(6)が、装置を内燃機関のシリンダヘッドに取り付けるための操作手段(60)を有することを特徴とする、点火及び圧力測定装置。
【請求項2】
操作手段(60)が、六角形の横断面を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
操作手段(60)が、下端部(61)とは反対側の、上端部と呼ばれるシェルの一方の端部に形成されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
金属シェルの下端部(61)が、スパークプラグの座部(22)に隣接して延びており、装置がシリンダヘッドに取り付けられるときのストッパを形成している、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
金属シェル(6)が、スパークプラグの外側ボディ(14)に、該外側ボディ(14)の全周にわたって溶接(62)によって取り付けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
支持管(4)と金属シェル(6)との間において、該金属シェル(6)の上端部の近くに、少なくとも1つのOリング(66)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
電子プロセッサ手段(44)が、絶縁体材料内に埋設又は封入されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
スパークプラグの絶縁体コア(12)と支持管(4)との間に、少なくとも、電子プロセッサ手段(44)を超えてスパークプラグの外側ボディ(14)まで延びた支持管の部分に沿って、遮蔽スリーブ(76)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
一方では、請求項1から8までのいずれか1項記載の点火及び圧力測定装置、他方では、接続装置、を有するアセンブリにおいて、
前記接続装置に、
スパークプラグの中心電極(8)に電力を供給するための高電圧ライン(54)が設けられており、該高電圧ラインが、一方では、支持管(4)を通過しかつスパークプラグの絶縁体コア(12)に係合させられる導電ロッド(58)、他方では、コイル変圧器の高電圧出力端子への接続のためのコネクタ(56)、を有しており、
カップリングエレメント(52)が設けられており、該カップリングエレメント(52)が、一方では、電子プロセッサ手段(44)の出力端子に接続されかつ金属シェル(6)の上端部の近くに配置された点火及び圧力測定装置のコネクタ(50)、他方では、コイル変圧器の信号入力端子、に接続されるようになっていることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項10】
接続装置が、高電圧ライン(54)のロッド(58)とカップリングエレメント(52)との間に遮蔽スリーブ(74)を有する、請求項9記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−516042(P2013−516042A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546480(P2012−546480)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000878
【国際公開番号】WO2011/080424
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(398050939)コンティネンタル オートモーティヴ フランス (60)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive France
【住所又は居所原語表記】1, Avenue Paul Ourliac, F−31100 Toulouse, France
【出願人】(508097870)コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (205)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D−30165 Hannover, Germany
【出願人】(506146389)フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー (38)
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL IGNITION COMPANY
【Fターム(参考)】