説明

内燃焼エンジンからの排出ガスに含まれる粒子を濾過するブロック

本発明は、特に、内燃焼エンジンからの排出ガスに含まれる粒子を濾過するための濾過体(3)に関する。本発明によれば、この濾過体(3)は、接合部(17)を使用して濾過ブロック(11)を結合することによって形成される。本発明は、第2ブロック(11)の反対側に配設される、接合部(17)と接触する第1ブロック(11)の外側表面(16)が、突起部タイプおよび/または空洞タイプの非平坦部(30a、30b)を少なくとも1つ備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユニットを組み立てることによって形成される本体であって、特に内燃焼エンジンの排出ガスに含まれる粒子を濾過するのに使用される、特にディーゼル・タイプのもの関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排出ガスを、大気に排出される前に、図1や2に示す従来技術の濾過器などの粒子濾過器によって浄化していた。
【0003】
図1は、図2の線B〜Bによる横断面で粒子濾過器1を示し、図2は、図1の線A〜Aによる縦断面で粒子濾過器1を示す。
【0004】
粒子濾過器1は、従来には、金属の囲い5の中に挿入された濾過体3を少なくとも1つ含む。濾過体3は、セラミック系材料(コージライト、炭化ケイ素等)を押し出して、多孔性の蜂の巣構造を形成することによって作られた、ユニット11(参照符号11a〜11i)を組み立て、加工することによって作られる。
【0005】
組み立ておよび加工の前は、ユニット11(図3参照)は、実質的に正方形の上流面12と実質的に正方形の下流面13との間に中心軸D−に沿って延びる直6面体の形状を有し、それらの面間に、中心軸D〜Dと並行の、直線から成る正方形断面の複数の通路14が形成されている。
【0006】
「周辺通路」とここで呼ぶ、ユニット11の周囲に位置する通路13pの外部面15は、ユニット11の外側面16を形成する(図3参照)。ユニット11の実質的に正方形の断面によって、この外側面16は、4つの面16a〜16dを有し、それらの2対は相互に対して垂直である。
【0007】
押し出し後、ユニット11は、上流面(出口通路14s)または下流通路(入口通路14e)で交互に遮断される。このことは従来技術で知られている。
【0008】
次いでユニット11a〜11iが、一般にケイ素および/または炭化ケイ素および/または窒化アルミニウムから成るセラミック系セメント接合部17によって、それらを一緒に結合することによって組み立てられる。その結果できた組み立て物は、例えば円形の断面に加工することができる。これは、囲い5の中に挿入することのできる、中心軸C〜Cを備えた円柱状濾過体3を作り、ガスに対して不浸透性の周囲密閉部18が、外側濾過ユニット11a〜11hと囲い5との間に配設される。
【0009】
図2の矢印によって示すように、排出ガスの流れFは、入口通路14eを経て濾過体3に進入し、それらの通路の濾過壁20を通過し、出口通路14s内に至り、外部に排出される。
【0010】
ある期間使用すると、エンジンの性能は、濾過体3の入口通路14eに蓄積した粒子または「煤」によって低下する。この理由から、濾過体3は定期的に、例えば500キロメートル毎に再生しなければならない。再生、または「障害物の除去」は、煤をそれが点火することのできる温度に加熱することによってそれを酸化することである。
【0011】
再生段階中、排出ガスは、煤の燃焼によって放たれた熱エネルギーの全てを下流方向に運ぶ。さらに、煤は様々な通路で均一に堆積するわけではないので、燃焼域は、濾過体3で均一に分布されない。最後に、濾過体3の周囲域は、金属の囲い5を通して周囲空気によって冷却される。
【0012】
この結果、温度は濾過体3の様々な域で異なり、均一にならない。濾過体3の非均一な温度と、一方で濾過ユニット11a〜11i、他方で接合部17に使用される異なった種類の材料が、局部的な破損または亀裂を引き起こす可能性のある大きな局部応力を生成する。特に、ユニット11a〜11hと囲い5の間、ならびにユニット11a〜11iと接合部17の間の界面の局部応力によって、ユニットユニット11a〜11iが、はがれる場合があり、それによって粒子濾過器1の耐用年数を縮小する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、このはがれの危険性を縮小するように適合された新たな濾過体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、特に、内燃焼エンジンの排出ガスに含まれる粒子を濾過するための濾過体において、接合部によって濾過ユニットを結合させることによって形成される濾過体であって、前記ユニットの第2の面に面し、前記接合部と接触する前記ユニットの第1の面の外側面が、突起部タイプまたは/陥凹部タイプの非平坦部を少なくとも1つ有することが注目に値する濾過体によって達成される。
【0015】
この記述の残りの部分でより詳しく分かるように、ユニットの外側面の非平坦部の存在は、接合部17の接着を助け、したがって大きな熱機械応力の場合でも、はがれの危険性を制限する。
【0016】
本発明の好ましい他の特徴は以下の通りである。
前記非平坦部は、前記第1ユニットの長さ全体にわたって前記ユニットの縦軸に沿って延び、それが有利に、前記非平坦部が押し出し中に形成されることを可能にする。
前記非平坦部は、前記第1ユニットの周囲のガス出口通路の外部面によって担持される陥凹部である。
前記非平坦部は、前記第1ユニットの周囲の通路の外部壁の厚み内の陥凹部であり、それが有利に、ユニットを製作するのに必要な材料の量を縮小する。
前記非平坦部は、前記第1濾過ユニットの周囲のガス入口通路の外部面によって担持される突起部であり、それが有利に、入口通路の内部容積、したがってそれらの煤溜め容積を増大させる。
前記第1ユニットの横断平面で測定した前記非平坦部の幅は、前記通路の前記外部面の幅と実質的に等しい。
前記外側面は、相互に規則的に離隔された複数の前記非平坦部を含む。
前記第1ユニットの前記外側面の少なくとも1つの部分が、正弦曲線形状の断面を有する。
前記非平坦部は、前記第2ユニットの相補的形状の非平坦部内に収容することができるように適合される。
前記非平坦部は、前記第1ユニットの周囲の通路の外部壁の厚み内の陥凹部である。
【0017】
添付図面を参照してここに掲げる以下の記述は、本発明の利点を説明し、評定する。
【0018】
それらの制限しない図面では、様々な事項は、必ずしも同一縮尺で表していない。同一または類似の事項を指すのに、同じ参照符号を様々な図で使用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1、2は、序文で既に述べた。図3に関しても部分的に述べられた。
【0020】
本発明によれば、濾過ユニット11の外側面16の第1と第2面16a、16bは、それぞれ第1と第2非平坦部30a、30bを含み、それらはユニット11の縦軸D〜Dに沿って延びる。非平坦部30a、30bは、ユニット11の長さと等しい長さ「L」を有することが好ましく、上流面12から下流面13に、それぞれ周辺通路14a、14bの外部面32a、32b上を延びる。
【0021】
非平坦部30a、30bは、それぞれ図4、5に断面で表すが、それぞれ突起部と溝である。これらの非平坦部の幅「l」は、それぞれ実質的に、周辺通路14a、14bの外部面32a、32bの幅である。非平坦部30a、30bはそれぞれ、単通路14a、14bと一致する。
【0022】
非平坦部30a、30bは、任意の高さ「h」を有することができる。高さ「h」は、非平坦部30a、30bがそれぞれ延びる外部面32a、32bの周辺通路30a、30bの外部壁34a、34bの局部の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0023】
突起部30aおよび/または溝30bを形成する周辺通路の外部壁の厚み「e」は、実質的に一定であり、隣接する周辺通路の外部壁の厚み「e」と実質的に等しいことが好ましい。
【0024】
厚み「e」は、決してゼロではないことが好ましく、言い換えれば、非平坦部は、それが形成される(複数の)周辺通路内に側方開口部を作らない。
【0025】
突起部30aは、次いで通路14aの外部壁34aの外向きの変形の形態を取る(図4)。これは通路14aの有益な内部容積を増大させる。
【0026】
再生の度に、灰が入口通路に蓄積し、それが通路のその後の効率を制限し、次の再生までの濾過器の使用期間を制限する。濾過器の耐用年数を延長するために、通路14aが入口通路、すなわち濾過されるガスが濾過ユニット11内へと導入される通路であることが好ましい。
【0027】
溝30bは、出口通路14b(図5)の上を延びることが好ましい(図5)。これは、入口通路の容積の損失を回避するという利点を有する。
【0028】
さらに、周辺出口通路の容積の縮小は、それが受け取る濾過済みガスの縮小容積に通路を適合させる。実際、周辺出口通路は、接合部17と接触するその(複数)面から濾過済みガスを受け取らず、したがって、4面が濾過器作用を有する濾過ユニット内側の通路、または「内側通路」よりも小さな容積のガスしか受け取らない。図5で表す溝30bは、周辺出口通路14bの断面を縮小し、通路断面とそれが受け取るガスの容積との比率を、様々な出口通路同士の間で均一にする。これは、濾過ユニットを通るガスの流れをし易くし、水頭損失を縮小する。
【0029】
接合部17の、ユニット11の外側面16への接着をさらに高めるため、突起部30aおよび/または溝30bの外側の面には、それ自体がそれぞれ微小非平坦部36a、36bを有することができる。
【0030】
図6に表すように、溝30b’は、通路14b’の外部壁34b’の厚み「e」の局部縮小から生じるものである。これは、濾過ユニット11を製作するのに必要な材料の量を有利に縮小させる。さらに、この実施形態は、溝が、通路の内部容積を縮小せずに入口通路14a’に作られる。
【0031】
非平坦部30a、30bの数には制限はない。本発明の一実施形態では、突起部30aと溝30bは、ユニット11の外側面16の少なくとも1つの面16a〜16dの幅にわたって交互に続き、好ましくはそれぞれの連続した入口通路と出口通路を覆う。縦溝30bと突起部aは、相互から規則的に離隔されることが好ましい。
【0032】
突起部と溝の間の変わり目は、突出する角がない滑らかなものとすることができる。例えば、ユニットの外側面16は、図7で表すように、少なくとも局部的には、正弦曲線形状の断面を有することができる。周辺通路の外部壁34の厚み「e」は、実質的に一定であることが好ましい。
【0033】
突起部30aまたは溝30bは、2つの通路にまたがることもでき、それは、ユニット11の機械的一貫性を強化するので好ましい。
【0034】
非平坦部30a、30bの形状、寸法、数は、支持体、すなわちそれらを固定する接合部17に応じて決定されることが好ましい。非平坦部30a、30bの形状、寸法、数は、特に接合部17の性質および/または厚み、ユニット11の外側面16の非平坦部の位置、ならびに/あるいは濾過体3内のユニット11の位置によって決まる。したがって、同じ濾過ユニット11の全ての面16a〜16dに、必ずしも同じ非平坦部が設けられるわけではない。
【0035】
しかし、非平坦部の幅「l」は、それらが延びる通路の幅以下であることが好ましく、実質的にそれと等しいことが好ましい。
【0036】
非平坦部の幅「l」も、長さ「L」も、厚み「e」も、配向も本発明を制限しない。例えば本発明によると、濾過ユニット11の外側面16は、1つまたは複数の方向、穴、切り込み等に斜めの溝付けを有することができる。その幅、厚み、または配向は、同じ非平坦部に沿って変化することもできる。
【0037】
ここに表わさない本発明の変化形態では、2つのユニットであって、それぞれの2つの面の一方が他方に接触するように配置して組み立てるよう意図されたユニットが、前記面に非平坦部を有し、それらは相補形状を有し、一方を他方の内に収容することができるように配設さる。
【0038】
縦方向に延びる非平坦部は、ユニット11の押し出し成形中に、当業者に知られている技法を使用して、適切なダイスによって製作することができる。ユニット11の外側面16を「彫刻」することによって、かつ/あるいは接着、溶接、または当業で知られている他の任意の技法によって材料のビード30aを表面に固定することによって、ユニット11の表面の非平坦部を形成することも等しく可能である。取り付けるビード30aの材料は、ユニット11の材料と同じ、またはそれとは異なることができる。
【0039】
当然ながら、本発明は、説明するための限定しない例として以上に述べ、ここに表した実施形態に限定されない。
【0040】
相互に面する2つのユニットのそれぞれの外側面同士の間に配設される接合部17は、それらがユニットを一緒に固定するなら、連続的または非連続的であることができる。
【0041】
濾過ユニット11は、任意の形状を有することができる。
【0042】
通路14の断面は、正方形状に限定されない。等しく、入口通路の断面は、出口通路のそれとは異なることができる。通路の断面は、通路に沿って周期的にまたは他の形で連続的に変化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来技術の粒子濾過器を、図2の線B〜Bによる断面で表す図である。
【図2】同じ粒子濾過器を、図1の線A〜Aによる縦断面で表す図である。
【図3】本発明の濾過体を製作するのに使用することができるユニットの斜視図である図である。
【図4】図3で表すユニットの詳細を、図3の平面Pの断面で表す図である。
【図5】図3で表すユニットの詳細を、図3の平面Pの断面で表す図である。
【図6】本発明のユニットの異なった変化形態の詳細を断面で表す図である。
【図7】本発明のユニットの異なった変化形態の詳細を断面で表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、内燃焼エンジンの排出ガスに含まれる粒子を濾過するための濾過体において、接合部(17)によって濾過ユニットを結合させることによって形成される濾過体であって、前記ユニットの第2の面に面し、前記接合部(17)と接触する前記ユニットの第1の面である外側面(16)が、突起部タイプおよび/または陥凹部タイプの非平坦部(30a、30b)を少なくとも1つ含むことを特徴とする濾過体。
【請求項2】
前記非平坦部(30a、30b)が、前記第1ユニット(11)の長さ全体にわたって、前記第1ユニット(11)の縦軸(D〜D)に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載の濾過体。
【請求項3】
前記非平坦部(30a、30b)が、前記第1ユニット(11)の周囲のガス出口通路(14b)の外部面(32b)によって担持される陥凹部(30b)であることを特徴とする請求項1または2に記載の濾過体。
【請求項4】
前記非平坦部(30a、30b)が、前記第1ユニット(11)の周囲のガス入口通路(14a)の外部面(32a)によって担持される突起部(30a)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の濾過体。
【請求項5】
前記第1ユニット(11)の横断平面(P)で測定した前記非平坦部(30a、30b)の幅(l)が、前記通路(14a、14b)の前記外部面(32a、32b)の幅と実質的に等しいことを特徴とする請求項3または4に記載の濾過体。
【請求項6】
前記外側面(16)が、相互に規則的に離隔された複数の前記非平坦部(30a、30b)を含むことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の濾過体。
【請求項7】
前記第1ユニット(11)の前記外側面(16)の少なくとも1つの部分が、正弦曲線形状の断面を有することを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の濾過体。
【請求項8】
前記非平坦部(30a、30b)が、前記第2ユニットの相補的形状の非平坦部(30a、30b)内に収容することができるように適合されることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の濾過体。
【請求項9】
前記非平坦部(30a、30b)が、前記第1ユニット(11)の周囲の通路(14b’)の外部壁(34b’)の厚みに形成された陥凹部(30b’)であることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の濾過体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−527482(P2007−527482A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519953(P2006−519953)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001829
【国際公開番号】WO2005/008037
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503364179)
【Fターム(参考)】