説明

内腔と外周が異なるテーパー構造を有するカテーテル

【課題】高いデリバリ性能を持ち、且つ、バルーンの拡張・収縮などのように流体の注入、吸引操作を速やかに行うことができるバルーンカテーテルなどのカテーテルを提供すること。
【解決手段】遠位部から近位部に亘り連通する内腔部を備えたシャフトを有し、該シャフトの外周部および前記内腔部を形成する内周部のシャフト全長の一部又は全部には、それぞれ近位部から遠位部に向かって減径するテーパー部が形成されてなり、前記内周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部が、前記外周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部とはシャフト全長において異なる位置に配されたことを特徴とするカテーテル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内治療などに用いられるバルーンカテーテルなどのカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、動脈瘤など血管内病変に対する侵襲の少ない治療法としてカテーテルなどを使用する血管内治療法が知られている。例えば、バルーンカテーテルは、この血管内治療法において、血管内で使用され血管の拡張や他の血管内治療デバイスによる治療の補助、血管の閉塞などに使用される。そこで、バルーンカテーテルには、バルーンの拡張・収縮が速やかに行えるという特性が要求されると同時に、血管や動脈瘤などの適用部位に対して過大な負荷を与えることによって、血管や動脈瘤の壁を傷つける、などの問題を生じさせることなく留置操作を行うために必要となる柔軟性や配置能力も要求される。
また、バルーンカテーテル以外のカテーテル、例えば、薬剤などを注入するためのカテーテルや、血栓などの体内物質を吸引するためのカテーテルにおいても、薬剤の注入や体内物質の吸引を速やかに行えるとともに、血管などを過大な負荷を与えるなどの問題を生じさせることなく留置操作を行うために必要となる柔軟性や配置能力も要求される。
【0003】
体内物質などの吸引を速やかに行える特性を実現するための工夫としては、特許文献1に記載のように先端部にガイドワイヤールーメンを備えたシャフトの内腔部にテーパー構造を付与することが提案されている。また、バルーンの拡張・収縮が速やかに行えるという特性を実現するための工夫としては、例えば吸引専用ルーメンを備えることや、特許文献1で開示されているシャフトのテーパー構造により高い吸引機能を付与することが考えられる。
【0004】
しかし、上記の構造により、シャフトが太くなったりシャフトの太さバランスが崩れたりすることで、スムーズな留置操作を行うために必要となる柔軟性や配置能力が十分実現できなくなり、バルーンの拡張・収縮が速やかに行えるという特性と同時に、スムーズな留置操作を行うために必要となる柔軟性や配置能力を実現することはある程度可能であるが、よりズムーズな留置操作に対する要請があるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−57831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高いデリバリ性能を持ち、且つ、バルーンの拡張・収縮などのように流体の注入、吸引操作を速やかに行うことができるバルーンカテーテルなどのカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、カテーテルのシャフトを構成する筒状体の外周部とシャフトの内腔部を形成する内周部のテーパー構造に着目することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0008】
(1) 遠位部から近位部に亘り連通する内腔部を備えたシャフトを有し、
該シャフトの外周部および前記内腔部を形成する内周部のシャフト全長の一部又は全部には、それぞれ近位部から遠位部に向かって減径するテーパー部が形成されてなり、
前記内周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部が、前記外周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部とはシャフト全長において異なる位置に配されたことを特徴とするカテーテル。
(2) 前記シャフトの遠位部側端部近傍の外周部にバルーンを備えた前記(1)に記載のカテーテル。
(3) 前記シャフトが、前記バルーンの内部と前記シャフトの前記内腔部とを連通する小孔部と、該小孔部よりも遠位部側で前記内腔部に挿入されたガイドワイヤを気密または液密状態で摺動可能に保持するシール部と、を備えた前記(2)に記載のカテーテル。
(4) 前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の近位部側端部よりも遠位部側に配された前記(1)〜(3)のいずれかに記載のカテーテル。
(5) 前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の遠位部側端部より近位部側に配された前記(4)記載のカテーテル。
(6) 前記シャフトが、外管と、該外管の内側に配された内管とを備え、
前記シャフトの外周部が前記外管の外周部により形成され、かつ、前記シャフトの内腔部が前記内管の内周部により形成され、
前記外管と前記内管とがそれぞれ遠位部側端部近傍で接合されて、前記外管の内周部と前記内管の外周部とにより前記バルーンの内部と連通するバルーン用ルーメンが形成された前記(2)記載のカテーテル。
(7) 前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の近位部側端部よりも近位部側に配された前記(6)記載のカテーテル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高いデリバリ性能を持ち、且つ、流体の注入、吸引操作を速やかに行うことができるカテーテルを提供することができる。また、本発明によれば、特に、高いデリバリ性能を持ち、且つ、バルーンの拡張・収縮を速やかに行うことができるバルーンカテーテルを提供することができる。特に、シングルルーメンでガイドワイヤにより先端を封止するタイプのバルーンカテーテルにおいては、カテーテルシャフトの最外径を非常に細くした場合においても、バルーンの拡張・収縮を十分な速度で行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のカテーテルの第1実施形態の一例の構造の概略を示す軸方向断面図である。
【図2】本発明のカテーテルの第1実施形態の他の例の使用状態の概略を示す軸方向断面図である。
【図3】本発明のカテールの第2実施形態の一例の概略を示す軸方向断面図である。
【図4】実施例および比較例のすべり性評価に用いた評価装置の概略を示す説明図である。
【図5】(a)実施例1のシャフトの先端部の構造を模式的に示す軸方向部分断面図である。(b)比較例1のシャフトの先端部の構造を模式的に示す軸方向部分断面図である。(c)比較例2のシャフトの先端部の構造を模式的に示す軸方向部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のカテーテルは、遠位部から近位部に亘り連通する内腔部を備えたシャフトを有し、該シャフトの外周部および前記内腔部を形成する内周部のシャフト全長の一部又は全部には、それぞれ近位部から遠位部に向かって減径するテーパー部が形成されてなり、前記内周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部が、前記外周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部とはシャフト全長において異なる位置に配されたことを特徴とする。
【0012】
このように、本発明のカテーテルでは、テーパー部が、外周部と、内腔部を形成する内周部に配されるため、内周部にテーパー部がないカテーテルに比較して広い内腔を確保することができ、内腔部を通過する流体の注入、吸引操作を速やかに行うことができる。また、カテーテルがバルーンカテーテルの場合、後述するように、バルーンの拡張・収縮に用いる液体を速やかに吸引・注入することが可能となり、バルーンの拡張・収縮を速やかに行うことができる。
【0013】
また、シャフトの外周部および内周部の一部又は全部をテーパー構造とすることで、テーパー部のない直管状のカテーテルと比較して、シャフトの遠位部と近位部の太さ・硬さのバランスを変化させることが可能となる。そのため、生体の循環器や消化器などの管腔のより奥の部位(生体の外部のカテーテルの挿入部からより遠い部位)にもカテーテルを容易に挿入することができる。尚、本発明では、このように生体の管腔の所定の部位にカテーテルを到達させる性能のことを、デリバリ性能またはデリバリ性と称する。
【0014】
シャフトの所定の部分にテーパー部を形成する場合、一般的に、予め成形された直管状のチューブを延伸し、直管状のチューブに漸次減径したテーパー部を設ける方法が採用される。
【0015】
そのため、例えば単一の内腔部を有する直管状のチューブの場合、チューブを延伸して得られたテーパー部を有するシャフトの内周部に形成されたテーパー部とシャフトの外周部に形成されたテーパー部はシャフト全長において同じ位置に配置されることとなる。その結果、単一の内腔部を有するシャフトの肉厚やシャフトの内腔部の容積を制御することができず、高いデリバリ性能を有しつつ、内腔部を通過する流体の注入、吸引操作を速やかに行うことは困難であった。
【0016】
また、例えば、内管と外管とを有するシャフトを有するバルーンカテーテルにおいては、内腔部として、内管の内腔部と、内管の外周面と外管の内周面とにより構成される他の内腔部とを有する場合は、一般に、内管は直管状のチューブを用い、外管のみに上記のテーパー部が形成される。そのため、上記の単一の内腔部を有するチューブの場合と同様に、外管の外周部と内周部に形成されるテーパー部は、シャフト全長において同じ位置に配置される。その結果、内管の内腔部容積に変化はないものの、外管の肉厚や外管の内腔部の容積を制御することができず、前記の1つまたは2つの内腔部を通過する流体の注入、吸引操作を速やかに行いつつ、高いデリバリ性能を確保することは困難であった。
【0017】
一方、本発明では、シャフト内周部のテーパー部の近位部側端部とシャフト外周部のテーパー部の近位部側端部をそれぞれシャフト全長の異なる位置に配置することで、シャフトの肉厚や構造の制御に基づく柔軟性を確保するとともに、シャフトの所望の内腔部の容積を制御することが可能となり、シャフトの内周部と外周部のテーパー部を同じ位置に配置した場合には達成できないカテーテルのデリバリ性能を有するとともに、所望の内腔部を通過する流体の注入、吸引操作を速やかに行うことを可能とした。また、バルーンカテーテルの場合は、上記のデリバリ性能を有するとともに、バルーンの拡張・収縮を速やかに行うことが可能となる。
【0018】
以下に、本発明の実施形態を、図面をもとに説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態の一例の概略を示す軸方向切り欠き断面図である。
本例のカテーテル1は、シャフト10、バルーン20およびハブ30から構成されるバルーンカテーテルである。シャフト10は、その遠位部11から近位部12に亘り連通する単一の内腔部50を有する。また、シャフト10の遠位部11の最先端部は開口して、最先端開口部13が形成されるとともに、近位部12の最後端部も開口して、最後端開口部14が形成されている。
【0020】
また、本例では、シャフト10の遠位部側において、その外周部40に近位部側から遠位部側に向かって減径するテーパー部42が形成されるとともに、内腔部50を形成する内周部51に近位部側から遠位部側に向かって減径するテーパー部52が形成される。また、外周部40に形成されたテーパー部42の近位部側端部43と内周部51に形成されたテーパー部52の近位部側端部53とは、シャフト10全長において異なる位置に配されている。本例では、内周部51のテーパー部52の近位部側端部53が、外周部40のテーパー部42の近位部側端部43よりも遠位部側に配されている。内周部51のテーパー部52の近位部側端部53をこのような位置に配することで、本例では、シャフト10の内周部と外周部にテーパー部を設けた場合において、外周部と内周部のテーパー部が同じ位置に配置される場合に比べて、内腔部50の容積をより大きく確保することが可能となる。また、本例では、内周部51のテーパー部52の近位部側端部54が、外周部40のテーパー部42の遠位部側端部44よりも近位部側に配されている。これにより、本例では、内腔部50の容積をより大きく確保するとともに、外周部40のテーパー部42と内周部テーパー部52とにより形成されるシャフト10の壁部16の肉厚を調整して、当該テーパー部を形成した部分をより小径で、より柔軟性のある構造にすることが可能となる。
また、内周部と外周部のテーパー角度(カテーテルの軸方向断面において、軸方向に対して、テーパー部のなす角度(鋭角側))は、特に限定はなく、本発明の効果が得られる範囲で、適宜選択することができる。
【0021】
シャフト10に使用可能な材質としては特に限定はないが、所望のテーパー部を容易に形成する観点からは、樹脂が好ましく、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PFAなど)、これらの樹脂の2種類以上を混合したブレンド材料などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、各種の材料から選択した単層構造としてもよいし、複数種の材料を多層構造としてもよい。
【0022】
また、本発明では、シャフトを補強するために、図示しない補強層を設けてもよい。補強層は、シャフトを多層構造とした場合に、最も内側になるように配してもよいし、最内層と最外層の間に配してもよい。このような補強層としては、例えば、素線を用いて密巻きコイルやピッチ巻きコイルとしたものや、同じく素線を編組したものや、シャフトの軸方向に平行に配したものなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
前記素線としては、金属もしくは樹脂製の単線、またはこれらの単線を複数用いて得られる撚り線などが挙げられる。
前記素線に使用可能な金属としては、例えば、ステンレス、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の各種金属が挙げられる。また、前記素線に使用可能な樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミドなど、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバーなどが挙げられる。
【0023】
さらに、本発明では、デリバリ性をより向上させる観点から、シャフトの軸方向の柔軟性を変化させてもよい。このような構成としては、シャフトの軸方向に硬さの異なる樹脂を配したり、シャフトの軸方向の肉厚を変化させたり、補強層をシャフトの軸方向に異なる構成(例えば、ピッチ巻きコイルの場合であれば、ピッチ間隔を軸方向で変化させるなど)にしたりするものなどが挙げられる。また、シャフトの軸方向の肉厚を変化させる場合は、その変化のさせ方としては、特に限定はないが、シャフト先端部の柔軟性と、カテーテルの押し込み力を確保できる剛性とを両立するため、先端部を薄肉とし、カテーテルの近位側部分(手元側)を厚肉とすることが好ましい。
【0024】
このようなシャフト10は、例えば、次のようにして製造することができる。
第1の例としては、先ず押出成形により単一の内腔部を有する直管状のチューブを成形する。また、このチューブの内腔部に挿入して、内周部に所望のテーパー部の形状を付与するため、対応するテーパー部の形状を外部形状として有する芯材を予め用意する。そして、直管状のチューブの内腔部に芯材を配した後、必要によりチューブの外側に熱収縮チューブを配した後、加熱しながらチューブを延伸または収縮することにより、チューブの内周部と外周部の所望の位置に所望の形状を有するテーパー部を形成したシャフト10を得ることができる。
この場合、必要により使用する熱収縮チューブに代えて、チューブの外周部に形成されるテーパー部の構造に対応した形状の内壁面の構造を有する金型を用いて、成形してもよい。
【0025】
第2の例としては、所望の構造を有する金型を用いて射出成形により成形する方法である。射出成形の場合は、全長を射出成形してもよいし、テーパー部を有する部分のみや、テーパー部を有する部分と所定長さの直管状の部分とを備えるチューブを射出成形し、直管状のチューブと接着、溶着などにより接合固定して、シャフトを作製してもよい。
【0026】
第3の例としては、補強層を有する場合の例である。
本例では、先ず、軟銅線などの外径が略一定の芯材(テーパー形状なし)の表面に、樹脂を連続的に被覆する。被覆する方法としては、特に限定はなく、芯材を予め成形したチューブに挿通させる方法、樹脂分散溶液や樹脂溶液などを塗布してから乾燥させて被覆する方法などが挙げられる。このようにして内層チューブが形成される。
次に、内層チューブの表面に補強層を形成する。例えば、公知の編機を用いて上記の金属製の編組(ブレード)を形成する。必要により裁断した後、芯材を抜く。
その後、所望のテーパー形状を有する別の芯材(テーパー芯材)を挿入し、一方の端部を加熱しながら延伸し、内層チューブの内腔部を所望のテーパー形状に賦形する。
さらに、補強層が被覆されるように、外層チューブを配し、その上からさらに熱収縮チューブを配し、加熱することで、内層チューブ、補強層、外層チューブを密着させる。この時、外層チューブは、シャフトの軸方向に異なる種類(例えば、材質や肉厚などが異なる)のチューブを配してもよい。
そしてテーパー芯材を除去して、所望のテーパー形状を有するシャフトが得られる。
【0027】
第4の例としては、第3の例と同様に補強層を有する場合の例である。
本例では、先ず、所定長さのテーパー状の芯材に樹脂を被覆して、所望のテーパー形状を有する内層チューブを形成する。被覆する方法は、特に限定はなく、樹脂分散溶液や樹脂溶液などを塗布してから乾燥させて被覆する方法などが挙げられる。尚、芯材を予め成形したチューブに挿通させる方法を用いてもよいが、この場合は、所望のテーパー形状を有するように、加熱延伸するなどして賦形するとよい。
次に、内層チューブの表面に、第3の例の場合と同様にして、補強層を形成する。さらに、補強層が被覆されるように、外層チューブを配し、その上からさらに熱収縮チューブを配し、加熱することで、内層チューブ、補強層、外層チューブを密着させる。外層チューブは、第3の例の場合と同様に、シャフトの軸方向に異なる種類(例えば、材質や肉厚などが異なる)のチューブを配してもよい。
そしてテーパー芯材を除去して、所望のテーパー形状を有するシャフトが得られる。
【0028】
バルーン20はシャフト10の遠位側の外周部に配される。本例では、バルーン20の膨張・収縮する部分の全体が、シャフト10の外周部40に形成されたテーパー部42に配されている。もっとも、バルーン20の配置は、本例の位置に限定されるものではなく、シャフト内周部および外周部に形成されるテーパー部の位置を考慮して、本発明の効果を発揮可能な範囲で適宜決定することができる。また、シャフト10の壁部16には、シャフト10の内腔部50とバルーン20の内部21とを連通する小孔部15が少なくとも1つ設けられる。
また、シャフト10の内周部50のテーパー部52の近位部側端部53と、シャフト10の外周部40に取り付けられたバルーン20との位置関係は特に限定はないが、近位部側端部53が小孔部15より遠位部側になるように、バルーン20をシャフト10の外周部40に配してもよい。これにより、シャフト10近位部側からバルーン20までのシャフト10の内腔部50をさらにより大きく確保することが可能となり、内腔部50を通過する流体、本例では、例えばバルーン20の拡張・収縮に必要な液体を素早くバルーン20の内部21に送達し、かつ内部21から除去することが可能となる。
【0029】
バルーン20の形状、構造、および使用材料は、特に限定はなく、生体内管腔の狭窄部の拡張用、生体内管腔部の塞栓用などの用途に応じて適宜選択することができる。その形状、構造としては、例えば、長円形、円形などの拡張状態に予め賦形された形状、直管状で収縮状態にある形状などが挙げられる。前者の賦形された形状のバルーンは、例えば、押出成形などにより成形された直管状のパリソンをブロー成形により成形することができる。また、後者の直管状で収縮状態にある形状のバルーンは、例えば、押出成形などにより直管状のチューブとして成形することができる。尚、これらの形状、構造および成形方法は、例示であり、これらに限定されるものでない。また、バルーンの使用材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン及びポリウレタンエラストマーなどが使用可能であり、これらの樹脂の2種類以上を混合したブレンド材料などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
本例では、ハブ30はシャフト10の近位部12に連結されている。ハブ30には、シャフト10の内腔部50と連通するように中空部31が形成され、最後端部には開口部32が形成される。本例では、ハブ30の中空部31には、シリンジやコネクタが接続可能なように、テーパー部を形成するとともに、その外周部分にはシリンジやコネクタとルアーロックが可能なように突起部33を備えている。もっとも、ハブ30の構造は、本例のものに限定されず、他の公知の構造を有するものを採用することができる。また、ハブ30に使用することができる材質は特に限定はなく、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリアリレート、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリオレフィン等本分野において一般的に使用可能な材質を適宜選択することができる。また、シャフト10との接合方法は、シャフト10とハブ30との材質を考慮して、接着剤、溶着などの方法により接続することができる。
【0031】
尚、本例では、バルーンカテーテルを例として説明したが、バルーン20および小孔部15のないカテーテルを吸引用や注入用のカテーテルとしても使用することができ、同様の機能を有することは明らかである。
【0032】
図2は、本発明の第1実施形態の他の例の使用状態の概略を示す軸方向断面図である。
本例のカテーテル2は、シャフト100、バルーン120およびハブ130から構成されるバルーンカテーテルである。また、図2は、カテーテル2にガイドワイヤ60が挿通された使用状態を示したものである。シャフト100は、その遠位部111から近位部112に亘り連通する単一の内腔部150を有する。また、シャフト100の遠位部111の最先端部は開口して、最先端開口部113が形成されるとともに、近位部112の最後端部も開口して、最後端開口部114が形成されている。
図2に示すカテーテル2と、図1に示すカテーテル1との主要な相違点は、カテーテル2のシャフト100の最先端開口部113近傍で、その内周部151に、ガイドワイヤ60を気密または液密状態で摺動可能に保持するシール部160を形成している点、ハブ130がいわゆるYコネクタである点である。
【0033】
従って、図2におけるシャフト110の外周部140のテーパー部142、シャフト110の内腔部150を構成する内周部151のテーパー部152の構造は、図1に示した例におけるシャフト10の外周部40のテーパー部42、シャフト10の内腔部50を構成する内周部51のテーパー部52の構造と同一であり、図2におけるシャフト110に関連する部位に付された符号(111〜116、140〜154)の下二桁と図1の符号が共通する部分は、同じ構造を有するため、詳細な説明を省略する。
【0034】
本例のカテーテル2では、上記のように、シャフト110の所定位置にシール部160が配されている。シール部160の配置位置は、バルーン120の内部121とシャフト100の内腔部150とを連通する小孔部115よりも遠位部側であればよい。また、シール部160は、図2に示すように、内腔部150に挿入されたガイドワイヤ60が最先端開口部113から突出させることが可能、即ち、ガイドワイヤ60が摺動可能であり、かつ、ガイドワイヤ60が挿通された状態で、気密または液密状態を維持することが可能なように構成されている。これにより、ガイドワイヤ60を保持しつつ、ハブ130からシリンジ(図示せず)などにより注入、排出されるバルーン120を膨張、収縮するための流体をより確実かつ容易に内腔部150を通過してバルーン120の内部121へ注入し、かつ、内部121から排出することが可能となる。
【0035】
また、シール部160の構成は、ガイドワイヤ60を気密または液密状態で摺動可能に保持することができれば、その形状、構造、材質には、特に限定はない。ガイドワイヤ60の外周面と少なくとも1つの線で接するように内周面151に一周連続した突起部が形成されてもよいし、ガイドワイヤ60の外周面と面で接するように内周面151に一周連続した突起部が形成されてもよいし、その他の形状、構造を採用してもよい。また、材質としても特に限定はなく、シャフトの材質において例示した樹脂などを使用することができる。また、シール部は、シャフトの成形時に一体に形成してもよいし、予め成形した部材を接着剤、溶着などによりシャフト100の内周部151に接合してもよい。
【0036】
本例におけるバルーン120も、図1に示した例の場合と同様に構成することができるため、本例においては詳細な説明は省略する。尚、図2におけるバルーン120に関連する部位に付された符号(120、121)の下二桁と図1の符号が共通する部分は、同じ構造を有するため、詳細な説明を省略する。
【0037】
本例におけるハブ130は、シャフト100の近位部112に連結されている。ハブ130は、シャフト100の内腔部150と連通するように中空部131および132を有し、それぞれの最後端部には開口部133および134を有するYコネクタである。本例では、図2に示すように、開口部133から中空部131を通ってシャフト100の内腔部150にガイドワイヤ60が挿通されている。また、開口部133付近でハブ130の外周部にはコネクタ(ガイドワイヤ60を気密もしくは液密に保持するための構造を有するコネクタなど)などとルアーロックが可能なように突起部133を備えている。また、中空部132には、シリンジやコネクタ(いずれも図示せず)が接続可能なように、テーパー部を形成するとともに、外周部分にはシリンジやコネクタとルアーロックが可能なように突起部136を備えている。尚、ハブ130の構造は、本例のものに限定されず、他の公知の構造を有するものを採用することができる。また、ハブ130に使用可能な材質、シャフト100との接合方法は、図1の例の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
図3は、本発明の第2実施形態の一例の概略を示す軸方向切り欠き断面図である。
本例のカテーテル3は、シャフト200、バルーン220およびハブ230から構成されるバルーンカテーテルである。
シャフト200は、外管240と内管250とを備え、外管240の内側に内管250が同軸状に配されている点で、第1実施形態と異なる。本例のシャフト200の外周部は、外管240の外周部241により形成され、シャフト200の内腔部は、内管250の内周部251により形成される。また、外管240の遠位部側の端部近傍と内管250の遠位部側の端部近傍で、外管240と内管250が接合されており、外管240の内周部245と内管250の外周部255とにより、小孔部215を経由してバルーン220の内部221と連通するバルーン用ルーメン270が形成されている。
【0039】
本例では、外管240の外周部241に形成されたテーパー部242と内管250の内周部251に形成されたテーパー部252の位置関係に着目している。
本例の構成の場合、バルーン220を膨張、収縮するための流体は、バルーン用ルーメン270を通過し、必要により注入される薬剤や、生体内から吸引される内容物は、内管250の内腔部260を通過するが、基本的に、バルーン220を膨張、収縮させる操作が優先される。そのため、バルーン用ルーメン270をより大きく確保することが求められる。このような観点から、内管250の内周部251のテーパー部252の近位部側端部253が、外管240の外周部241のテーパー部242の近位部側端部243よりも近位部側に配されるのが好ましい。これにより、外管240に減径するようにテーパー部を設けた場合には、その内周部245も減径されて、バルーン用ルーメン270の容積が小さくなるところ、内管250の内周部245のテーパー部252の近位部側端部253の位置を調整することで、内管250の内腔部260の内容積の減少を極力抑制しつつ、内管250の外周部255のテーパー部242の位置が調整され、バルーン用ルーメン270の容積が小さくなることを防止するとともに、外管240の外周部241のテーパー部242と、内管250の内周部251のテーパー部252の配置関係を調整することにより、外管と内管のそれぞれの肉厚、内外径変化が異なることで、シャフト200においてテーパーが付与された部分を小径としつつ、柔軟性を付与することが可能となる。その結果、バルーン220の膨張、収縮を迅速に行うことが可能となるとともに、薬剤などの注入、生体内の内容物の吸引をも迅速に行うことも可能であり、しかも、高いデリバリ性能を実現することも可能となる。
【0040】
本例では、外管240と内管250は、それぞれの外周部と内周部のテーパー部の位置は同じとしている。そのため、これらの外管と内管は、いずれも、直管状に成形されたチューブを用いて、一般的な延伸処理を施して得ることができる。もっとも、射出成形などのその他の公知の方法により成形することも可能である。
また、本例では、外管と内管の両方またはいずれか一方として、図1や図2に示したシャフト10、100、あるいは他の構成のように、単一の内腔部を有するチューブの外周部と内周部のテーパー部の位置が異なるものを用いてもよい。このようなテーパー部の構造を有する外管および内管は、すでに述べたようにして、作製することができる。
また、本例では、外管240の遠位部側の端部近傍と内管250の遠位部側の端部近傍で、外管240と内管250とを接合して封止部280を形成している。封止部280は、接着剤などにより形成してもよいし、外管240と内管250を直接溶着などにより接合して形成してもよいし、その他の方法を採用してもよい。
【0041】
本例におけるバルーン220は、図1に示した例の場合と同様に構成することができるため、本例においては詳細な説明は省略する。尚、図3におけるバルーン220に関連する部位に付された符号(220、221)の下二桁と図1の符号が共通する部分は、同じ構造を有するため、詳細な説明を省略する。
【0042】
本例におけるハブ230は、シャフト200の近位部212に連結されている。ハブ230は、シャフト200を構成する内管250の内腔部260と連通する中空部231を有するとともに、バルーン用ルーメン270のみと連通する中空部232を有するYコネクタである。また、中空部231、232の最後端部には、それぞれ開口部233、234を有するとともに、中空部231、232には、それぞれ、シリンジやコネクタ(いずれも図示せず)が接続可能なように、テーパー部を形成するとともに、外周部分にはシリンジやコネクタとルアーロックが可能なように突起部235、236を備えている。尚、ハブ230の構造は、本例のものに限定されず、他の公知の構造を有するものを採用することができる。また、ハブ230に使用可能な材質、シャフト200との接合方法は、図1の例の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明のカテーテルのうち、バルーンカテーテルを例として、実施例をもとにより詳細に説明する。
(実施例1)
ポリアミド系エラストマーを用いて、以下の構造を有する単一の内腔部を有するシャフト(500)を得た。
押出成形により、外径0.7mm、内径0.5mmの単一の内腔部を有するチューブを成形した。次に、上述した方法に従って、テーパー部を賦形した。
シャフト(500)は、遠位部側の先端部(501)の外径を0.7mm、内径を0.5mm、近位部側の後端部(502)の外径を0.9mm、内径を0.6mm、全長を1500mmとした。また、外周部のテーパー部の遠位部側端部(503)は先端部(501)から50mmの位置に配し、その近位部側端部(504)は先端部(501)から300mmの位置に配して、近位側端部(504)から遠位側端部(503)にかけて漸次減径する構造とした。また、内周部のテーパー部の遠位部側端部(505)は、先端部(501)から0mmの位置に配し、その近位部側端部(506)は先端部(501)から150mmの位置に配して、近位部側端部(506)から遠位部側端部(505)にかけて漸次減径する構造とした。
シャフト500の先端部(501)から約3〜43mmの位置に、ルーメン(507)と外部とを連通するφ140μmの小孔部(508)を複数個形成した。さらにシャフトの近位部側端部にシリンジを嵌合可能なハブを接合した。尚、シャフト(500)のテーパー部の断面構造の概略を図5(a)に示す。
また、スチレン系エラストマーを用い、定法に従って、押出成形により作製したパリソンをブロー成形してバルーンを作製した。バルーンの形状は、バルーンの軸方向の遠位側から順に遠位側勾配部、直管部、近位側勾配部を有する長円形とした。
上記のようにして成形したシャフトの遠位部側端部より5mm〜35mmの外周に、上記の小孔部(508)が内部に位置するようにバルーンを熱溶着により接合した。
以上のようにして、最先端部に開口部を有し、この開口部と全長に亘り連通する単一の内腔部を有するバルーンカテーテルを作製した。
【0044】
(比較例1)
シャフト(600)は、遠位部側の先端部(601)の外径を0.7mm、内径を0.5mm、近位部側の後端部(602)の外径を0.9mm、内径を0.6mm、全長を1500mmとした。また、外周部のテーパー部の遠位部側端部(603)は先端部(601)から50mmの位置に配し、その近位部側端部(604)は先端部(501)から300mmの位置に配して、近位側端部(604)から遠位側端部(603)にかけて漸次減径する構造とした。また、内周部のテーパー部の遠位部側端部(605)も、先端部(601)から50mmの位置に配し、その近位部側端部(606)も先端部(601)から300mmの位置に配して、近位部側端部(606)から遠位部側端部(605)にかけて漸次減径する構造とした。
以上のシャフトの構造を有するようにした以外は、実施例1と同様にしてバルーンカテーテルを作製した。尚、シャフト(600)のテーパー部の断面構造の概略を図5(b)に示す。
【0045】
(比較例2)
シャフト(700)は、遠位部側の先端部(701)の外径を0.7mm、内径を0.5mm、近位部側の後端部(702)の外径を0.9mm、内径を0.6mm、全長を1500mmとした。また、外周部のテーパー部の遠位部側端部(703)は先端部(701)から0mmの位置に配し、その近位部側端部(704)は先端部(701)から150mmの位置に配して、近位側端部(704)から遠位側端部(703)にかけて漸次減径する構造とした。また、内周部のテーパー部の遠位部側端部(705)も、先端部(701)から0mmの位置に配し、その近位部側端部(706)も先端部(701)から150mmの位置に配して、近位部側端部(706)から遠位部側端部(705)にかけて漸次減径する構造とした。
以上のシャフトの構造を有するようにした以外は、実施例1と同様にしてバルーンカテーテルを作製した。尚、シャフト(700)のテーパー部の断面構造の概略を図5(c)に示す。
【0046】
以上の実施例1と比較例1、2で作製したバルーンカテーテルを用い、シャフトの遠位側端部の最先端開口部をガイドワイヤにより閉じ、バルーンの内部およびシャフトの内腔部にバルーン拡張用液を満たした。次に各バルーンカテーテルのハブにシリンジ(容量1mL)を取付け、このシリンジのプランジャを引いて減圧した際に1mLのバルーン拡張用液をバルーンカテーテルのバルーン内から吸い上げるのに必要な時間(バルーン収縮時間)を確認した。バルーン収縮時間が短いほど拡張・収縮性能は良いといえる。
また、実施例と比較例で作製したバルーンカテーテルを用いて、図4に示したすべり性を評価するための評価装置を用い、この評価装置に備え付けのカテーテル内で往復させたときにバルーンカテーテルの近位側端部付近にかかる力をフォースゲージによって測定し、すべり性評価値とした。すべり性評価値が低いほどデリバリ性は良いといえる。それぞれの測定結果を表1に示す。
【0047】
尚、バルーンカテーテルのすべり性を評価するために用いた上記の評価装置および当該装置に対するバルーンカテーテルの配置について、図面をもとに簡単に説明する。図4に示すように、評価装置400は、デリバリ評価回路401とデジタルフォースゲージ402とから構成される。デリバリ評価回路401は、平板403上に、約8つの凹凸を有する第1略波形形状部404と約2つの凹凸を有する第2略波形形状部405と有するように形成された溝に評価用カテーテル406が配された構造を有する。第1略波形形状は、デジタルフォースゲージ402から最も離れた方から順に半径がR1〜R8を有するように、かつ、各半径形成の中心が直線上になるように構成されている。この評価系では、R1を4mmとし、順次増加させ、R8を12mmとした。また、デジタルフォースゲージ402は図示しない把持部によりバルーンカテーテル407を把持することが可能であり、同じく図示しないリニアアクチュエータにより、移動速度を制御するようになっている。本評価系では、図4の左右方向(矢印408)に直線的に進退するようにして、バルーンカテーテル407を評価用カテーテル406内で往復させるように移動させた。この時の移動速度は10mm/秒とした。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示した結果より、実施例1では、速やかにバルーンを拡張・収縮できることが確認された。また、すべり性評価値の悪化を防止できることが確認された。一方、比較例1、2では、シャフト内腔のテーパー構造のシャフト近位部側端部とシャフト外周のテーパー構造のシャフト近位部側端部をシャフト全長の同じ位置に配した場合、バルーンの拡張・収縮性能を優先するとデリバリ性能が悪化し(比較例2)、デリバリ性能を優先するとバルーンの拡張・収縮性能が悪化する(比較例1)ことが確認された。
尚、上記の実施例および比較例では、バルーンカテーテルを例として説明したが、上記の評価結果から、バルーンカテーテル以外、例えば、吸引用のカテーテルや注入用のカテーテルでも同様の結果が得られることが期待できる。
【符号の説明】
【0050】
1 カテーテル1
2 カテーテル2
3 カテーテル3
10、100、200 シャフト
11、111、211 遠位部
12、112、212 近位部
13、113、213 最先端開口部
14、114、214 最後端開口部
15、115、215 小孔部
16、116 壁部
20、120、220 バルーン
21、121、221 バルーン内部
30、130、230 ハブ
40、140 内周部
42、142 テーパー部
43、143 近位部側端部
44、144 遠位部側端部
50、150 内腔部
51、151 内周部
52、152 テーパー部
53、153 近位部側端部
54、154 遠位部側端部
60 ガイドワイヤ
240 外管
250 内管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位部から近位部に亘り連通する内腔部を備えたシャフトを有し、
該シャフトの外周部および前記内腔部を形成する内周部のシャフト全長の一部又は全部には、それぞれ近位部から遠位部に向かって減径するテーパー部が形成されてなり、
前記内周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部が、前記外周部に形成された前記テーパー部の近位部側端部とはシャフト全長において異なる位置に配されたことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記シャフトの遠位部側端部近傍の外周部にバルーンを備えた請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記シャフトが、前記バルーンの内部と前記シャフトの前記内腔部とを連通する小孔部と、該小孔部よりも遠位部側で前記内腔部に挿入されたガイドワイヤを気密または液密状態で摺動可能に保持するシール部と、を備えた請求項2記載のカテーテル。
【請求項4】
前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の近位部側端部よりも遠位部側に配された請求項1〜3のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項5】
前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の遠位部側端部より近位部側に配された請求項4記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シャフトが、外管と、該外管の内側に配された内管とを備え、
前記シャフトの外周部が前記外管の外周部により形成され、かつ、前記シャフトの内腔部が前記内管の内周部により形成され、
前記外管と前記内管とがそれぞれ遠位部側端部近傍で接合されて、前記外管の内周部と前記内管の外周部とにより前記バルーンの内部と連通するバルーン用ルーメンが形成された請求項2記載のカテーテル。
【請求項7】
前記内周部のテーパー部の近位部側端部が、前記外周部のテーパー部の近位部側端部よりも近位部側に配された請求項6記載のカテーテル。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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