説明

内装パネル

【課題】裏面の金具収容凹所に引掛け金具を固定したパネル本体を、壁面側の受け金具に係止させて壁面に設置する際に、受け金具がパネル本体の裏面に当たっても損傷、塑性変形しにくい内装パネルを提供する。
【解決手段】壁面2に取り付けされる受け金具30は、壁面2に固定される基部片31と、基部片31より壁面2前方かつ上方に延設され、パネル本体10に取り付けされた引掛け金具20を引掛け挿入させるための挿入口34を形成させる係止片32と、壁面2から壁面2に取り付けた受け金具30の係止片32の前方面32baまでの寸法を確保し、かつ、パネル本体10を壁面2に取り付けたときに、金具取付凹部12内に収容される突部33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁面に設置される内装パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内装パネルとしては、パネル本体の裏面に引掛け金具を固定し、一方、壁面には、引掛け金具を係止させる係止片を備えた受け金具を固定して、パネル本体に固定された引掛け金具を受け金具の係止片に引掛けて壁面に取り付けるようにしたものが一般的に知られている。また、パネル本体の保管、搬送の際、パネル本体を積み重ねたときにかさばらないように、パネル本体の裏面に引掛け金具を収容固定する金具収容凹部を設けたものも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このようにパネル本体の裏面に金具収容凹部を設けたものでは、パネル本体に固定した引掛け金具を受け金具に係止させたときには、受け金具も金具収容凹部内に収容させることができるので、それによってパネル本体と壁面との隙間間隔をほとんどなくすことができる。また、引掛け金具を金具収容凹部に固定しておけば、引掛け金具の保護も図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−129854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、受け金具については、壁面に固定した状態では壁面より水平方向に突出した状態にあるため、なんらの保護もなされていない。しかも、受け金具は、下部の基部片が壁面に固定されている一方、上部の係止片は壁面との間に引掛け金具の挿入口を開けて起立した状態にあるため、パネル本体を壁面に取り付ける際にパネル本体の裏面が係止片に当たれば、壁面側に変形するおそれがある。特に、パネル本体に金具収容凹部が形成されて引掛け金具が裏面より突出しないようにしたものでは、パネル本体の裏面には突出したものが存在しないため、受け金具の係止片はパネル本体の裏面に接触し、さらにパネル本体の裏面と壁面との間に挟み込まれて押圧されることもあり、そのため作業を繰り返すうちに塑性変形してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、裏面の金具収容凹所に引掛け金具を固定したパネル本体を、壁面に固定した受け金具に係止させて設置する際に、受け金具がパネル本体の裏面に当たっても損傷、塑性変形しにくい内装パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルは、金具収容凹部が裏面に形成されたパネル本体と、金具取付凹部内に収容固定された引掛け金具と、壁面に取り付けされ、引掛け金具を引掛けたときに金具取付凹部内に収容される受け金具とを備えた内装パネルであって、受け金具は、壁面に固定される基部片と、基部片より壁面前方かつ上方に延設され、パネル本体に取り付けされた引掛け金具を引掛け挿入させるための挿入口を形成させる係止片と、壁面から壁面に取り付けた受け金具の係止片の前方面までの寸法を確保し、かつ、パネル本体を上記壁面に取り付けたときに、金具取付凹部内に収容される突部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
内装パネルをこのような構成とすることで、パネル本体を壁面に設置する際に、突部がストッパとなって、パネル本体が受け金具の係止片を押圧することを規制できるため、係止片がパネル本体から強い力を受けることはなく、係止片の損傷、塑性変形を防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る内装パネルは、突部が基部片からパネル本体の裏面側に向けて突出形成されたものとしてもよい。
【0010】
このような構成によれば、突部は引掛け金具と受け金具との相互係止作業になんらのじゃまにはならず、作業をスムーズに行える。また、突部を基部片の一部を折り曲げて形成すれば、製造も容易であり、材料費もかからない。さらに、突部として、基部片に取り付ける壁面に対するビスで代用すれば、より簡便である。
【0011】
また、本発明に係る内装パネルは、突部が係止片から壁面側に向けて突出形成されたものとしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、受け金具の係止片の壁面側への撓みを直接的に阻止できる。
【0013】
さらに、本発明に係る内装パネルとしては、引掛け金具が板ばねで構成された引掛け片を備え、パネル本体を壁面に取り付けたときに、引掛け片の復帰弾性力が作用して、金具収容凹部の底面との間に受け金具の係止片を挟持する構成としたものでもよい。
【0014】
このような構成によれば、引掛け金具と受け金具とのより強力な係止関係を形成でき、そのため内装パネルがずれたり、壁面より外れたりすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る内装パネルは、上記のような構成とすることで、裏面の金具収容凹所に引掛け金具を固定したパネル本体を、壁面側の受け金具に係止させて取り付ける際に、受け金具がパネル本体の裏面に当たった場合でも、損傷、塑性変形することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る内装パネルの第1実施形態を示した、内装パネルの施工状態の斜視図および部分拡大斜視図であり、(b)は受け金具の他例を示す斜視図である。
【図2】(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【図3】(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【図4】本発明に係る内装パネルの別実施形態の説明図で、(a)は内装パネルに用いられる受け金具の斜視図、(b)は同受け金具の取付状態を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
以下に示す内装パネルは、室内壁に設置されるパネルであり、サウンドパネル、空気清浄パネル、輻射暖房パネル、光パネル等の薄型機能パネルが内装パネルとして適用できる。
【0019】
図1〜図3は、本発明に係る内装パネルの第1実施形態の説明図である。図1(a)は同内装パネルの施工状態の斜視図および部分拡大斜視図、図1(b)は受け金具の他例を示す斜視図である。また、図2(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図、図3(a)、(b)は同内装パネルの施工手順を示す部分縦断面図である。
【0020】
この内装パネル1は、壁面2に取り付けされる縦型の薄型機能パネルであって、パネル本体10と、そのパネル本体10を壁面2に取り付けるための複数組の係止金具とを含んで構成されている。パネル本体10の裏面11の複数個所(図例ではパネル本体10の左右端に3箇所ずつ計6箇所)には、後述する2種の係止金具を収容させるための上下左右に配列された複数の金具収容凹所12が形成されている。
【0021】
金具収容凹所12は、2種の係止金具を係止させた状態で、その全体をほぼ収容できる程度の深さ(奥行き)寸法と、取付作業が可能な程度の上下寸法を必要とする。なお、幅寸法については、係止金具を収容できるものであれば十分に幅広のものでもよいが、本実施形態では、パネル本体10に十分な強度を持たせるために、係止金具の幅寸法よりもやや幅広としている。
【0022】
係止金具は、パネル本体10に取り付けされる引掛け金具20と、壁面2に取り付けされる受け金具20とより構成されており、これらは現場での施工の際にパネル本体10および壁面2に取り付けて使用すればよいが、引掛け金具20は事前に金具収容凹所12内に収容固定しておくことが、現場作業を効率的に行うためには望ましい。
【0023】
引掛け金具20は、ビス等で金具収容凹所12の底面12aの上端部に固定される、取付孔を有した固定部21と、受け金具30と相互に係止される引掛け片22とを備えている。この引掛け片22は、上部に配された逆「く」字形の折曲押圧片22aと、下部に配されたガイド片22bとを備えて全体として板ばねを構成し、折曲押圧片22aの下端折曲部22aa(ガイド片22bの基端部)が底面12aとの間にわずかな隙間を開けた状態で、金具収容凹所12内に固定されている。この引掛け金具20を壁面2に固定された受け金具30に係止させたときには、引掛け片22が板ばねとして作用して、折曲押圧片22aの下端部22aaが復帰弾性力でもって金具収容凹所12の底面12aとの間に受け金具30を挟持するようになっている。
【0024】
一方、受け金具30は、取付孔31aを介してビス等で壁面2に固定される基部片31と、この基部片31より壁面2前方かつ上方に延設され、パネル本体10に取り付けされた引掛け金具20の引掛け片22を引掛け挿入させるための、壁面2との間に形成される挿入口34を形成させる係止片32とを備えている。本実施形態では、この係止片32は、基部片31の上端から上方に傾斜した傾斜部32aと、その傾斜部32aの上端から真上に延びた起立部32bとより構成されている。
【0025】
さらに受け金具30は、図1(a)に示すように、基部片31の下端近傍に、基部片31の幅方向の両端よりパネル本体10の裏面11側に向けて突出した一対の突片よりなる突部33を備えている。この突部33は、壁面2から壁面2に取り付けた受け金具30の係止片32の前方面32baまでの水平方向の距離D(図2(a)参照)とほぼ同寸法とし、かつ、パネル本体10を壁面2に取り付けたときに、全体が金具取付凹部12内に収容される。
【0026】
すなわち、受け金具30を壁面2に正しく取り付けた状態では、係止片32(起立部32b)の前方面32baと突部33の先端33aとを結ぶ仮想線は床面に対してほぼ垂直をなし、壁面2に取り付けされるパネル本体10の裏面11に対して、ほぼ平行になっている。
【0027】
なお、本図例では、突部33として受け金具30と一体形成された一対の突片を示したが、別体でもよいし、また1片だけでもよい。また、基部片31からパネル本体10の裏面11側に向けて突出形成された突部33としては、基部片31の表面から突出したものであってもよく、例えば受け金具30を固定するためのビスを代用してもよい。
【0028】
また、受け金具30の他の形状としては、図1(b)に示したように、突部33を基部片31の下端より床面にほぼ平行に折曲延設させたものでもよい。
【0029】
ついで、図2および図3を参照しながら、内装パネル1の壁面2への施工手順について説明する。
【0030】
まず、受け金具30をパネル本体10の裏面1の金具収容凹所12の位置に合致するように壁面2に固定しておき、金具収容凹所12に引掛け金具20を収容固定したパネル本体10を、引掛け金具20の位置と、受け金具30の位置とが概ね合うように壁面2の前方より近づけていく(図2(a)参照)。
【0031】
パネル本体10をさらに壁面2に近づけ、受け金具30の係止片32をパネル本体10の裏面11位置まで移動させると(図2(b)参照)、金具収容凹所12と受け金具30の位置が合っていれば、図3(b)に示すように、引掛け金具20と受け金具30とは金具収容凹所12内の適切な位置関係に配されるが、そうでない場合は、パネル本体10の裏面11が壁面2に固定した受け金具30の前方面32baにほぼ接した状態となり(図2(b)参照)、その位置でパネル本体10を上下左右に動かしながら、正しい位置を探すことになる。
【0032】
このとき、受け金具30の係止片32の前方面32baがパネル本体10の裏面11に接した状態となるが、受け金具30の基部片31に形成された一対の突片(突部33)の先端33aもパネル本体10の裏面11に接する。そして、この突片がパネル本体10の壁面2側への押圧を規制することになるため、それ以後は、パネル本体10を壁面2側へ押し付けたとしても、受け金具30の係止片32には、折れ曲がったり変形したりするほどの押圧力は付加されない。
【0033】
したがって、この内装パネル1によれば、パネル本体10を壁面2に設置する際に、突部33によってパネル本体10が受け金具30の係止片32を押圧することを規制できるため、係止片32がパネル本体10から壁面2側へ押しやられるほどの強い力を受けることはなく、係止片32の損傷、塑性変形を防止することができる。
【0034】
こうした位置合わせ作業をしながら、受け金具30が金具収容凹所12内の引掛け金具20よりも下方の空間に入り込むと、その後、パネル本体10を下方にずらすことで引掛け金具20の引掛け片22が受け金具30の挿入口34より係止片32と壁面2との間の空間に挿入される。このとき、引掛け金具20の下端には外側に開いたガイド片22bが形成されているため、図3(a)のように受け金具30が完全に金具収容凹所12内に収容されていない状態でも、パネル本体10の下方へのずらし操作によって、受け金具30の係止片32の上端が引掛け金具20のガイド片22bの裏側に接触しながら、係止片32は金具取付凹所12の底面12aと引掛け金具20の引掛け片22との間の空間に入り込み、それと同時に板ばねとして形成された引掛け片22は、壁面2側にやや弾性変形した状態で挿入口34から下方に向かって入り込んでいく。
【0035】
そうして、引掛け片22の基端部22cの裏側が受け金具30の係止片32の先端に当て止めされ、それとほぼ同時に、ガイド片22bが受け金具30の傾斜部32aに面接触すると、引掛け金具20と受け金具30の相互の係止が完了して、パネル本体10は壁面2に正しく設置される。
【0036】
この場合、上記面接触が、受け金具30の係止片32の先端による規制タイミングよりもやや早くなるように相互の金具の長さ寸法が調整されていれば、図3(b)に示すように、引掛け片22が係止片32の先端により当て止めされるまでの間、引掛け金具20のガイド片22bは、その先端が壁面2に到達するまで傾斜部32aの上面を滑ってゆき、その結果、引掛け片22は壁面2側へ弾性変形した状態となる。
【0037】
したがって、このような状態が保持されると、その状態では引掛け片22の復帰弾性力が作用して、引掛け片22はパネル本体10を裏面11側より押圧しようとし、その結果、金具収容凹部12の底面12aとの間で受け金具30の係止片32を強力に挟み込むので、パネル本体10は壁面2に安定的に固定される。
【0038】
また、本実施形態では、受け金具30の突部33は基部片31に形成されているので、引掛け金具20と受け金具30との相互係止作業になんらのじゃまにはならず、作業をスムーズに行えるし、突部33を基部片31の一部を折り曲げて一体的に形成しているので、製造も容易であり、材料費もかからない。
【0039】
つぎに、受け金具の形状が第1実施形態のものとは異なる第2実施形態について説明する。図4(a)は内装パネルに用いられる受け金具の斜視図、(b)は同受け金具の取付状態を示した縦断面図である。なお、本実施形態では、内装パネル1の構成部材のうち、パネル本体10、その裏面11に形成された金具収容凹所12、および引掛け金具20の形状は、第1実施形態のものと同様であるため、パネル本体10側の図示は省略している。また、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
この受け金具30は、第1実施形態と同様、基部片31と、係止片32と、突部33とを備え、基部片31の取付孔31aを介してビス止めして固定されるようになっているが、突部33が第1実施形態のものとは異なり、係止片32に形成されている。本図例では、係止片32の起立部32bの下端近傍に、係止片32の幅方向の両端から壁面2側に向けて一対の突片よりなる突部33が突出形成されている。
【0041】
このような構成によれば、突部33が係止片31に形成されているので、受け金具30の係止片32が変形することを直接的に阻止することができる。
【0042】
また、引掛け金具20の引掛け片22の挿入をしやすくするために、突片は係止片32の幅方向の一端のみに形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 内装パネル
2 壁面
10 パネル本体
11 裏面
12 金具収容凹所
12a 底面
20 引掛け金具
21 固定部
22 引掛け片
22a 折曲押圧片
22b ガイド片
22c 基端部
30 受け金具
31 基部片
32 係止片
32a 傾斜部
32b 起立部
33 突部
34 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金具収容凹部が裏面に形成されたパネル本体と、該金具取付凹部内に収容固定された引掛け金具と、壁面に取り付けされ、該引掛け金具を引掛けたときに上記金具取付凹部内に収容される受け金具とを備えた内装パネルであって、
上記受け金具は、壁面に固定される基部片と、該基部片より壁面前方かつ上方に延設され、上記パネル本体に取り付けされた引掛け金具を引掛け挿入させるための挿入口を形成させる係止片と、上記壁面から該壁面に取り付けた受け金具の係止片の前方面までの寸法を確保し、かつ、上記パネル本体を上記壁面に取り付けたときに、上記金具取付凹部内に収容される突部とを備えていることを特徴とする内装パネル。
【請求項2】
請求項1において、
上記突部は、上記基部片から上記パネル本体の裏面側に向けて突出形成されている内装パネル。
【請求項3】
請求項1において、
上記突部は、上記係止片から上記壁面側に向けて突出形成されている内装パネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記引掛け金具は板ばねで構成された引掛け片を備え、上記パネル本体を上記壁面に取り付けたときに、該引掛け片の復帰弾性力が作用して、上記金具収容凹部の底面との間に上記受け金具の係止片を挟持する構成としている内装パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−69144(P2011−69144A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222114(P2009−222114)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】