説明

内装材の製造方法

【課題】本発明は、孔部または凹部を有する基板表面に表皮材を接着する工程を合理化することを課題とする。
【解決手段】基板1の孔部2,3または凹部の周縁に被着するマスキングシート9(9A)の表面を離型性とし、表皮材7の孔部2,3または凹部被覆部分7Aを切除した時、該マスキングシート9(9A)が該部分7Aのホットメルト樹脂接着剤層12に接着することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、該基板表面に接着される表皮材とからなる内装材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のメーターパネルやインストゥルメントパネル等の内装材は、基板と、該基板表面に接着される表皮材とから構成されているが、一般的には複数個の通気孔を基板に設け、表皮材の裏面にホットメルト樹脂接着剤層を設け、該表皮材のホットメルト樹脂接着剤層を加熱軟化状態において該基板上に載置し、真空引きして該表皮材を該基板表面に吸着して接着する方法が採用されている。
上記メーターパネルやインストゥルメントパネルの基板には、メーターやゲージを取付ける孔部が設けられているので、表皮材を基材に接着した後、該孔部を被覆している表皮材部分を切除する。この際該孔部周縁に該表皮材のホットメルト接着剤層から接着剤が転移して汚染されるのを防止するために、従来は該孔部周縁にマスキングシートを貼着していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記マスキングシートは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシート、紙、繊維シート等の裏面に粘着剤層を形成したものであるが、表面が接着性を有するため、該孔部を被覆する表皮材部分を切除する際、表皮材の加熱軟化状態のホットメルト樹脂接着剤層に接着され、該表皮材の切除部分に転移してしまう。その結果、該表皮材の切除部分を廃棄処分にする場合、該切除部分から更に該マスキングシートを剥離しなければならず、手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決するための手段として、孔部2,3または凹部を有する基板1の表面にホットメルト樹脂接着剤層12を設けた表皮材7の該接着剤層を加熱軟化状態において真空および/または圧空接着し、該孔部2,3または凹部を被覆する表皮材部分7Aを切除する内装材の製造方法において、予め該基板1の孔部2,3または凹部の周縁に裏面に粘着剤層11を有し表面が離型性を有するマスキングシート9(9A)を貼着し、該孔部2,3または凹部を被覆する表皮材部分7Aを切除した後該マスキングシート9(9A)を剥離除去する内装材の製造方法を提供するものである。
上記マスキングシート9(9A)においては、プラスチックシートまたは紙または繊維シートの裏面に粘着剤層11を設け、表面に離型層を設けるか、離型性プラスチックシートの裏面にプライマーを介して粘着剤層11を設けることが望ましい。上記マスキングシート9(9A)は、マスキング対象の孔部2,3または凹部の周縁の形状に適合する形状に成形されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0005】
〔作用〕
該基板1の孔部2,3または凹部の周縁に貼着した本発明のマスキングシート9(9A)は、表面が離型性を有するので、表皮材7の加熱軟化状態のホットメルト樹脂接着剤層12に接着されず、該表皮材7の切除部分7Aに転着しない。
【0006】
〔効果〕
したがって本発明では、該表皮材の切除部分を廃棄処分にする場合、該表皮材の切除部分からマスキングシートを剥離して分別する手間が省略される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明を図1〜図9に示す一実施例によって説明する。図1に示す基板1は、メーターパネルの基板であって、メーターあるいはゲージの取付孔2,3が設けられており,該取付孔2,3の周縁にはフランジ4,5が形成され、更に該基板1の全面にわたって多数の通気孔6が設けられている。
【0008】
基板1の表面には表皮材7が接着されるが、前もって該基板1の取付孔2,3の周縁フランジ4,5にはマスキングシート9(9A)が被着される。
【0009】
該マスキングシート9は、図3に示すように、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートあるいは繊維編織物、不織布等の繊維シートを基材10とし、該基材10の裏面には粘着剤を塗布乾燥させることによって粘着剤層11が設けられ、該基材10の表面にはシリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ジルコニウム系離型剤等の離型剤を塗布することによって離型層11Bが設けられている。
【0010】
更に図4に示すように、該マスキングシート9Aの基材10Aとして、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂等の離型性のある樹脂を使用した場合には、該基材10Aの裏面にプライマーを介して粘着剤を塗布乾燥して粘着剤層11Aのみ形成される。
なお、該基材10(10A)の裏面に粘着剤を塗布乾燥することに代え、該基材10(10A)の裏面に両面テープを貼着して粘着剤層11(11A)を形成してもよい。
【0011】
上記プライマーとしては、アクリル樹脂、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム等の軟質の合成樹脂や合成ゴムが使用される。
【0012】
本発明に使用される表皮材7は例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等のプラスチックのシート、不織布、繊維編織物等、あるいは上記プラスチックシート、不織布、繊維編織物の裏面にポリエチレン、ポリウレタン等のプラスチックの発泡体層を接着した積層シート等からなり、裏面にはポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル等のホットメルト樹脂接着剤層12が設けられている。
【0013】
上記表皮材7は裏面から電熱方式や遠赤外線方式等の加熱手段で加熱され、ホットメルト樹脂接着剤層12を軟化せしめられ、この状態で図6に示すようにフランジ4,5にマスキングシート9(9A)を被着した取付孔2,3を有する基板1の上に載置し、該基板1の裏面から矢印に示すように真空引きし、図7に示すように該基板1に該表皮材7を密着させ、該表皮材7を該ホットメルト樹脂接着剤層12によって該基板1表面に接着する。
該基板1は成形時、例えば射出成形時やあるいは成形後に必要箇所に真空穴を設けておく。
【0014】
該表皮材7を該基板1表面に接着した後、該表皮材7の取付孔2,3を被覆している部分7Aをフランジ4,5の外側(点線位置)から切断し、図8に示すように該部分7Aを取除く。該マスキングシート9(9A)の表面は離型性を有するので、該マスキングシート9(9A)が該部分7Aのホットメルト樹脂接着剤層12に接着して該部分7Aに同伴してしまうようなことはなく、該マスキングシート9(9A)はそのまま取付孔2,3のフランジ4,5に被着している。
【0015】
上記表皮材部分7Aを切除した後は、図9に示すように該基板1の取付孔2,3のフランジ4,5から該マスキングシート9(9A)を剥離除去する。該取付孔2,3のフランジ4,5は該マスキングシート9(9A)によって保護されているので、該表皮材7のホットメルト樹脂接着剤層12が該フランジ4,5やその周りに転着することはない。
【0016】
このようにして基板1表面に表皮材7が接着されて内装材13が製造される。
上記実施例以外、基板には孔部の代りに凹部が形成されていてもよく、また表皮材は真空接着以外に、上から空気圧を及ぼす圧空接着、あるいは真空圧空接着が適用されてもよい。更にマスキングシート9(9A)は図10に示すようにフランジのような孔部または凹部周縁形状に適合する形状に成形されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明では基板の孔部または凹部周縁に被着されるマスキングシートが表皮材切除部分に接着して同伴することが防止出来、該表皮材切除部分から該マスキングシートを剥離し分別する手間が省略出来るから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】基板平面図
【図2】イ 図1のA−A断面図 ロ 図1のB−B断面図
【図3】マスキングシートの側断面図
【図4】他のマスキングシートの側断面図
【図5】表皮材の側断面図
【図6】表皮材を基板表面に載置した状態の図1のA−AおよびB−B断面図
【図7】表皮材を基板表面に真空接着した状態の図1のA−AおよびB−B断面図
【図8】表皮材取付孔被覆部分を切除した状態の図1のA−AおよびB−B断面図
【図9】マスキング材を剥離した状態の図1のA−AおよびB−B断面図
【図10】マスキングシートの他の実施例を示す縦断面図
【符号の説明】
【0019】
1 基板
2、3 孔部
7 表皮材
7A 被覆部分
9(9A) マスキングシート
12 接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部または凹部を有する基板の表面に、ホットメルト樹脂接着剤層を設けた表皮材の該接着剤層を加熱軟化状態において真空および/または圧空接着し、該孔部または凹部を被覆する表皮材部分を切除する内装材の製造方法において、予め該基板の孔部または凹部の周縁に、裏面に粘着剤層を有し表面が離型性を有するマスキングシートを貼着し、該孔部または凹部を被覆する表皮材部分を切除した後、該マスキングシートを剥離除去することを特徴とする内装材の製造方法。
【請求項2】
上記マスキングシートは、プラスチックシートまたは紙または繊維シートの裏面に粘着剤層を設け、表面に離型層を設けたものである請求項1に記載の内装材の製造方法。
【請求項3】
上記マスキングシートは、離型性プラスチックシートの裏面にプライマーを介して粘着剤層を設けたものである請求項1に記載の内装材の製造方法。
【請求項4】
上記マスキングシートは、マスキング対象の孔部または凹部の周縁の形状に適合する形状に成形されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内装材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−137295(P2008−137295A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326224(P2006−326224)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】