説明

内装用一液湿気硬化型接着剤

【課題】 床下地材と床材の接着施工に用いる接着剤であって、床下地材に塗布しやすく、しかも接着後、高剪断接着強度で、低割裂接着強度及び低剥離接着強度が実現できる内装用一液湿気硬化型接着剤を提供する。
【解決手段】 この接着剤は、粉体成分(X)と液体成分(Y)とが均一に混合され、粘度が10〜150Pa・sのものである。粉体成分(X)は、充填材として機能する中空粉体(a)と中実粉体(b)との組み合わせからなっている。液体成分(Y)は、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)と、ポリプロピレングリコール等の高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)との組み合わせからなっている。この接着剤は、床と床下地材、根太と床下地材、束と土台の間を接着施工するのに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装材を接着施工する際に用いる一液湿気硬化型接着剤に関し、特に、床材と床下地材、床下地材と根太、土台と束とを接着施工するのに適した一液湿気硬化型接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅や戸建て住宅等では、床材と床下地材との間、床下地材と根太との間、土台と束との間に接着剤を適用し、これらを接着施工することがしばしば行われている。そして、住宅リフォームの際には、床材と床下地材等を剥離して、新しい床材等を再度接着施工することも、行われている。
【0003】
このような接着施工に用いられる接着剤は、床材と床下地材等を接着した後において、以下のような特性を持っていることが要求されている。
(1)床材等が温度や湿度の影響で、平面方向に伸縮しようとしても、それを拘束しうる程度に、下地材等に接着固定されているという特性(拘束接着性)が要求されている。すなわち、床材と床下地材との間、根太と床下地材との間、土台と束との間での剪断接着強度が高いという特性が要求されているのである。
(2)床材等を床下地材等から剥離する際に、下地材等を破壊せずに、容易に剥離しうることという特性(易剥離性)が要求されている。すなわち、床材と床下地材、根太と床下地材、土台と束の各間で割裂接着強度や剥離接着強度が低いという特性が要求されているのである。
【0004】
拘束接着性と易剥離性を満足する接着剤として、湿気によって反応硬化するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、中空粉体を20重量%以上含有する充填材300〜1000重量部添加配合したポリウレタン系接着剤が提案されている(特許文献1)。また、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー100重量部に対して、充填材144重量部以上添加配合した変成シリコーン系接着剤も提案されている(特許文献2)。
【0005】
特許文献1及び2記載の技術は、いずれも、反応硬化型ポリマー100重量部に対して、充填材300重量部以上又は144重量部以上添加配合し、拘束接着性及び易剥離性を満足させようというものである。しかし、充填材を一定量以上添加配合するだけでは、拘束接着性及び易剥離性を満足できても、接着剤の重量が重くなったり、接着剤がぱさついたりして、塗布しにくくなるという憾みがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−307788公報(特許請求の範囲の項)
【特許文献2】特表2007−508402公報(特許請求の範囲の項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、接着剤中の充填材量だけではなく、充填材として中空粉体と中実粉体とを組み合わせ、かつ、液体成分として反応硬化ポリマーに非反応性の高分子重合体を添加配合することにより、拘束接着性及び易剥離性を満足させうると共に、接着剤が塗布しにくくなるのを防止しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、粉体成分(X)が充填材として機能する中空粉体(a)と中実粉体(b)とからなり、液体成分(Y)が、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)と、高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)とからなり、前記粉体成分(X)と前記液体成分(Y)とが混合されて、粘度が10〜150Pa・s(BH型粘度計、23℃、スピンドルNo.7、20rpm)であることを特徴とする内装用一液湿気硬化型接着剤に関するものである。
【0009】
本発明に係る接着剤は、粉体成分(X)と液体成分(Y)とが混合されてなり、好ましくは均一に混合されているものである。粉体成分(X)の主体は充填材である。液体成分(Y)は、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)と、高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)とからなる。
【0010】
粉体成分(X)は、基本的に充填材として機能するものであるが、中空粉体(a)と中実粉体(b)の組み合わせが採用される。この理由は、以下のとおりである。すなわち、特許文献1及び2に記載されているように、接着剤中に一定重量の粉体成分(X)を添加配合しておかないと、接着後に易剥離性を与えることができない。中空粉体(a)だけで一定重量を添加配合しようとすると、中空粉体は低比重であるため、接着剤中に占める中空粉体(a)の体積が過大となり、接着剤がぱさつき塗布しにくくなる。また、中実粉体(b)だけで一定重量を添加配合しようとすると、中実粉体は高比重であるため、接着剤が重くなって、塗布作業性が悪くなる。したがって、接着後に易剥離性を与えながら、接着剤の塗布性を良好にするには、中空粉体(a)と中実粉体(b)を組み合わせる必要がある。
【0011】
液体成分(Y)は、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)と、高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)とからなる。液体成分(Y)が、(c)成分と(d)成分からなる理由は、以下のとおりである。すなわち、(c)成分は反応硬化するポリマーであり、接着剤の主成分であって接着強度(拘束接着性)に最も寄与するものである。接着後において易剥離性とするためには、この(c)成分を粉体成分(X)に対して少なくしなければならない。しかしながら、(c)成分は液体成分(Y)を構成するものであるから、これを少なくすると、接着剤がぱさついて塗布しにくくなる。このぱさつきを防止するために、非反応性の液状成分(d)を加えたのである。また、接着剤のぱさつきを防止するためだけならば、非反応性の液状成分(d)として、低分子量の可塑剤を用いることも可能であるが、低分子量の可塑剤だけでは接着剤の流動性が大となり、所定の箇所に所定の厚さで接着剤を塗布しにくくなり、床材と床下地材や根太と床下地材等の間に十分な剪断接着強度を与えにくくなり、拘束接着性が低下するので、好ましくない。
【0012】
本発明において、加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)(以下、「変成シリコーンポリマー(c)」という。)を用いる理由は、これが接着剤皮膜を形成した場合、エポキシ樹脂やポリウレタンプレポリマーの場合に比べて、凝集力が低く、剥離する際に凝集破壊が生じやすく易剥離性となるからである。変成シリコーンポリマー(c)の数平均分子量は、3000〜20000であることが好ましい。数平均分子量が3000未満であると、割裂接着強度及び剥離接着強度が高くなり、易剥離性が不十分となる傾向が生じる。また、数平均分子量が20000を超えると、液体成分(Y)の粘度が上がり、接着剤を塗布しにくくなる傾向が生じる。
【0013】
液体成分(Y)に含有されている液状成分(d)は、非反応性のものである。ここで、非反応性とは、変成シリコーンポリマー(c)が湿気によって反応硬化するのに対して、液状成分(d)はこのような反応硬化が生じないという意味である。液状成分(d)の主体は、液状の高分子重合体であり、一般的には液状成分(d)中に50重量%以上含有されている。高分子重合体の数平均分子量は、400〜5000であることが好ましい。数平均分子量が400未満であると、低粘度すぎて、得られる接着剤の流動性が大となり、所定の箇所に所定の厚さで接着剤を塗布しにくくなり、床材と床下地材や根太と床下地材等の間に十分な剪断接着強度を与えにくくなり、拘束接着性が低下する傾向が生じる。また、数平均分子量が5000を超えると、高粘度すぎて、得られた接着剤のぱさつきを防止しにくくなる。
【0014】
上記した粉体成分(X)と液体成分(Y)を混合して、粘度が10〜150Pa・sである内装用一液湿気硬化型接着剤とする。粉体成分(X)として中空粉体(a)及び中実粉体(b)を用い、液体成分(Y)として変成シリコーンポリマー(c)と液状成分(d)を用いるため、この範囲の粘度に容易に調整しうる。ここで、粘度は、BH型粘度計で、23℃の条件下、スピンドルNo.7を用い、20rpmの回転数で測定して得られる値である。粘度が10Pa・s未満であると、接着剤の流動性が大となり、所定の箇所に所定の厚さで接着剤を塗布しにくくなり、床材と床下地材や根太と床下地材等の間に十分な剪断接着強度を与えにくくなり、拘束接着性が低下する傾向が生じる。粘度が150Pa・sを超えると、接着剤がぱさついて塗布しにくくなる。
【0015】
本発明に係る内装用一液湿気硬化型接着剤は、内装材である床材と床下地材、床下地材と根太、土台と束とを接着施工するのに用いられる。その他、壁材と壁下地材や天井材と天井下地材等を接着施工するのにも用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る内装用一液湿気硬化型接着剤は、粉体成分(X)が低比重の中空粉体(a)と高比重の中実粉体(b)との組み合わせからなっているので、粉体成分(X)全体の比重を自在に調整することができる。したがって、粉体成分(X)の配合量を多くして、易剥離性を実現しようとする場合であっても、接着剤が重くなりすぎて、塗布しにくくなるのを防止しうるという効果を奏する。また、液体成分(Y)の配合量を多くして、接着剤のぱさつきを防止しようとする場合も、液体成分(Y)が変成シリコーン樹脂(c)と高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)との組み合わせからなっているので、反応硬化する変成シリコーン樹脂(c)の割合を調整でき、拘束接着性と易剥離性とを適宜調整することができるという効果を奏する。したがって、本発明に係る内装用一液湿気硬化型接着剤を使用すれば、塗布作業性に優れ、かつ接着施工された内装材に適切な拘束接着性と易剥離性を与えることができ、快適な住環境を与える一方、住宅リフォームの際には、内装材の貼り替え作業を合理的に且つ容易に行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するに当たり、具体的には、以下のような原料が用いられる。すなわち、充填材として機能する中空粉体(a)及び中実粉体(b)としては、従来より接着剤に用いられている公知のものであれば、どのようなものでも用いうる。中空粉体(a)は空洞を持つ粉体のことであり、中実粉体(b)はこのような中空粉体(a)以外の粉体のことである。具体的には、中空粉体(a)としては、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラスバルーン、ゼオライト、プラスチックバルーン、火山灰土、メサライト及び/又はアサノライト等が用いられる。また、中実粉体(b)としては、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、セメント、珪砂、二酸化チタン、ガラスビーズ及び/又はポリマービーズ等が用いられる。中空粉体(a)及び中実粉体(b)共に、その粒径は、1〜500μm程度のものが用いられる。
【0018】
変成シリコーンポリマー(c)としては、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性シリル基を1分子あたり少なくとも1個、好ましくは2個以上有するポリマーであれば、どのようなもので使用しうる。すなわち、従来公知のいわゆる変成シリコーンポリマーと呼称されるものや、分子内にウレタン結合や尿素結合と加水分解性シリル基とを有するポリマー(特許第3317353号、特許第3030020号及び特許第3471667号)を、単独で又は混合して用いることができる。加水分解性シリル基は、ポリマー分子内の末端に存在していても、側鎖に存在していてもよく、また、両方に存在していてもよい。変成シリコーンポリマー(c)の主鎖は、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上が重合してなるものである。好ましくは、入手が容易であることから、主鎖がプロピレンオキサイド(−CH2CH(CH3)O−)の繰り返し単位からなる変成シリコーンポリマー(c)を用いるのがよい。
【0019】
加水分解性シリル基は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。たとえば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。特に、取り扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好適に用いられる。アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、たとえば、水素原子又は炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基若しくはアリールアルキル基等が用いられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が好ましい。
【0020】
なお、変成シリコーンポリマー(c)の市販品としては、たとえば、カネカ社製のMSポリマー S203、S303、S810、SILYL EST250、EST280、SAT200又はSAT400、旭硝子社製のEXCESTAR ES−S2410、ES−S2420又はES−S3430等が用いられる。
【0021】
液状の高分子重合体としては、ポリオキシアルキレンポリマー、キシレン樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、アクリルポリマー等が用いられる。特に、ポリオキシアルキレンポリマーは、変成シリコーンポリマー(c)との相溶性に優れているため、本発明において好適に用いられる。ポリオキシアルキレンポリマーは、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上が重合してなるものである。ポリオキシアルキレンポリマーの中でも、プロピレンオキサイドを重合してなるポリプロピレングリコール[(−CH2CH(CH3)O−)n]が、入手が容易であることと、変成シリコーンポリマー(c)との相溶性に優れていることから、好適である。なお、ポリオキシアルキレンポリマーの末端は、一般的には水酸基であるが、これを変性して、末端をアルキル基やアリル基としてもよい。
【0022】
なお、液状の高分子重合体の市販品としては、たとえば、旭硝子社製 EXCENOL 2020、PREMINOL 3050、アデカ社製 P−700、P−1500、LX−749、LX1164、東亞合成社製 ARUFON UP- 1000、UP−1110、フドー社製 ニカノールL、ニカノールLL、出光サートマー社製 Poly bd R −45HT、Poly ip、KRASOL LBH 2000、LBH−P 3000等を用いることができる。
【0023】
液状成分(d)の主体は、液状の高分子重合体であるが、これ以外に非反応性の液状の低分子化合物が含有されていてもよい。高分子重合体のみでは、得られる接着剤の粘度の微調整を行いにくいため、低分子化合物が用いられるのである。低分子化合物としては、従来から接着剤に添加配合されていた可塑剤と呼称されるものであれば、どのようなものでも用いることができる。具体的には、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ペンタエリスリトール等のグリコールエステル類、オレイン酸メチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のエーテル類、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、塩化パラフィン類、スルホン酸エステル類、ナフテン系又はパラフィン系炭化水素、イソパラフィン、鉱油、α−オレフィンオリゴマー、アルキルベンゼン類等が単独で又は混合して用いられる。
【0024】
粉体成分(X)と液体成分(Y)の混合割合、粉体成分(X)中の中空粉体(a)と中実粉体(b)の混合割合、液体成分(Y)中の変成シリコーンポリマー(c)と非反応性の液状成分(d)の混合割合は、以下のとおりであるのが好ましい。まず、粉体成分(X)と液体成分(Y)の混合割合は、重量比で、X:Y=1.5〜2.7:1であるのが好ましい。X:Y=1.5未満:1であると、反応硬化する変成シリコーンポリマー(c)が相対的に多量となり、接着後の割裂接着強度が高くなって、易剥離性を実現しにくくなる傾向が生じる。逆に、X:Y=2.7超:1であると、粉体成分(X)が多すぎて、得られる接着剤がぱさついて、床材等に塗布しにくくなる傾向が生じる。
【0025】
中空粉体(a)と中実粉体(b)の混合割合は、容積比で、a:b=0.3〜2.0:1であるのが好ましい。ここで、この割合を容積比としたのは、両者の比重が大きく相違するため、粉体成分(X)中に占める割合を表すには、容積比の方が的確だからである。また、容積比は、各々の重量を密度で除して容積を算出し、その比を求めたものである。a:b=0.3未満:1であると、中実粉体(b)が相対的に多くなり、接着剤中に占める粉体成分(X)の体積が少なくなる。この結果、接着剤中における変成シリコーンポリマー(c)の体積が大きくなるため、接着後の割裂接着強度が高くなって、易剥離性を実現しにくくなる傾向が生じる。逆に、a:b=2.0超:1であると、低比重の中空粉体(a)が相対的に多くなり、接着剤中に占める中空粉体(a)の体積が多くなりすぎて、接着剤がぱさついて、床材等に塗布しにくくなる傾向が生じる。
【0026】
変成シリコーンポリマー(c)と非反応性の液状成分(d)の混合割合は、重量比で、c:d=0.2〜0.5:1であるのが好ましい。c:d=0.2未満:1であると、反応硬化する変成シリコーンポリマー(c)が少なすぎて、剪断接着強度が低下し拘束接着性が不十分となる傾向が生じる。逆に、c:d=0.5超:1であると、変成シリコーンポリマー(c)が多くなりすぎて、接着後の剥離接着強度及び割裂接着強度が高くなり、易剥離性が不十分となる傾向が生じる。
【0027】
本発明を実施するに当たり、上記した(a)、(b)、(c)及び(d)成分以外に、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、硬化触媒、シランカップリング剤、各種添加剤等を内装用一液湿気硬化型接着剤中に含有させることができる。
【0028】
硬化触媒としては、変成シリコーンポリマー(c)の硬化を促進させるため、従来より用いられていたものであれば、どのようなものでも使用することができる。具体的には、有機スズ化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物等の有機金属化合物、アミン化合物等の塩基性化合物、リン酸系化合物等の酸性化合物、三フッ化ホウ素及び/又はその誘導体等が用いられる。シランカップリング剤としても、従来公知のものであれば、どのようなものでも使用しうる。具体的には、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物、(メタ)アクリルシラン化合物、イソシアネートシラン化合物、ビニルシラン化合物等が単独で又は混合して用いられる。また、各種添加剤としても、従来より用いられていたものであれば、どのようなものでも使用することができる。具体的には、粘着付与剤、揺変剤、脱水剤、難燃剤、オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、桐油等の乾性油等が単独で又は混合して用いられる。なお、揺変剤等の添加剤としては、ポリエチレン繊維、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、クレー及び/又はカーボンブラック等が用いられる。
【0029】
本発明に係る内装用一液湿気硬化型接着剤は、床材と床下地材、床下地材と根太、土台と束、壁材と壁下地材、天井材と天井下地材等の間に適用され、両者を接着して、床材等を接着施工することができる。具体的には、木製やセメント製等の床下地材表面に、接着剤を塗布した後、木製床材を積層し、圧締することによって、床材を接着施工することができる。このような接着施工によって、床下地材、接着剤皮膜、床材の順に積層一体化された接着構造体が得られる。
【0030】
接着構造体が得られた後、住宅リフォームのために、床材を貼り替えるには、まず、接着構造体から旧床材を剥離する。旧床材を剥離するには、たとえば、バールの先端を旧床材と旧床下地材の間に差し入れて、押し広げ、その後人手によって完全に旧床材を剥離して除去する。旧床下地材には、接着剤皮膜が残存している場合があるが、このときには、スクレイパー、カッター又は金属ヘラ等を用いて、接着剤皮膜を除去する。そして、旧床下地材表面に内装用一液湿気硬化型接着剤を塗布した後、新床材を積層し、圧締することによって、新床材を接着施工することができる。以上のようにして、住宅リフォームにおける床材の更新接着施工が完了する。
【実施例】
【0031】
以下、実施例に基づいて、更に本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、拘束接着性、易剥離性及び塗布作業性の三つの要求特性を実現させうるためには、粉体成分(X)として中空粉体(a)と中実粉体(b)の組み合わせ、液体成分(Y)として変成シリコーンポリマー(c)と高分子化合物を主体とする非反応性の液状成分(d)の組み合わせを採用すればよいとの技術的思想に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0032】
実施例1
以下の各成分を混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 100重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (222容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 300重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (300容積部)
変成シリコーンポリマー(c) 100重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 300重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
ビニルシラン 5重量部
(信越化学工業社製「KBM1003」)
アミノシラン 4重量部
(信越化学工業社製「KBM603」)
スズ系触媒 2重量部
(日東化成社製「U−700」)
なお、液状成分(d)は、上記の高分子重合体と低分子化合物とからなる。
【0033】
実施例2
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 133重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (295容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 400重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (400容積部)
【0034】
実施例3
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 160重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (355容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 480重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (480容積部)
【0035】
実施例4
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 200重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (444容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 600重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (600容積部)
【0036】
実施例5
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 240重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (533容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 720重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (720容積部)
【0037】
実施例6
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 270重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (599容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 810重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (810容積部)
【0038】
比較例1
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 292重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (648容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 876重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (876容積部)
【0039】
比較例2
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 300重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (666容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 900重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (900容積部)
【0040】
実施例1〜6及び比較例1、2で得られた内装用一液湿気硬化型接着剤における、X:YをX/Yで、a:bをa/bで、c:dをc/dで表すと、表1のとおりである。また、各接着剤の粘度(Pa・s)を、BH型粘度計を用い、23℃の条件下、スピンドルNo.7で20rpmの回転数で測定すると、表1に示したとおりであった。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実 施 例 比較例
─────────────────────── ──────
1 2 3 4 5 6 1 2
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
X/Y 1.0 1.3 1.6 2.0 2.3 2.6 2.9 2.9
a/b 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
c/d 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
粘度 7.4 11.0 18.0 34.0 70.0 122.2 − −
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表1中、比較例1及び2において粘度の値が「−」となっているのは、接着剤がぱさついて、粘度が150Pa・sを超えるものである。
【0041】
実施例1〜6で得られた内装用一液湿気硬化型接着剤について、以下の接着試験を行い、剥離接着強度、割裂接着強度及び剪断接着強度を測定した。この結果を表2に示した。なお、比較例1及び2に係る接着剤は、ぱさついて、良好な塗布が行えないため、接着試験を行わなかった。
【0042】
[剥離接着強度(N/25mm)]
JIS K 6854−4(1999年)に準じて、9号綿帆布(幅25mm、長さ200mm)及びフレキシブルボード(幅25mm、長さ100mm、厚さ8mm)を被着材として用い、剥離試験を行った。まず、接着剤試料を帆布にしごくように塗布して目止めを行った後、改めて接着層の厚さが0.3mmになるように、接着剤試料を塗布した。この後、フレキシブルボードを貼り合わせて、23℃で50%RHの条件下で1日養生した。その後、さらに50℃で95%RHの条件下で1日養生し、最後に80℃のオーブン中で2時間養生を行った。そして、23℃で2時間放置後、帆布を把持して、引張速度100mm/minにて、浮動ローラ法による剥離接着強度を測定した。得られた値を剥離接着強度とし、この値が22N/25mm程度以下であると、概ね良好な剥離性を示している。
【0043】
[割裂接着強度(N/25mm)]
硬質塩化ビニル板(幅25mm、長さ100mm、厚さ3mm。住友ベークライト社製)、カバ材( 幅25mm、長さ40mm、厚さ10mm) 、アサダ材(幅25mm、長さ100mm、厚さ5mm)及びスペーサ(幅25mm、長さ5mm、厚み0.3mm)を準備し、図1に示した試験体を作製した。なお、硬質塩化ビニル板はメタノール脱脂して用いた。また、アサダ材とカバ材はあらかじめ酢酸ビニルエマルション系接着剤を用いて接着した。スペーサを取り付けたカバ材に接着剤試料を塗布し、硬質塩化ビニル板を貼り合わせ、幅25mm、長さ30mm、厚さ0.3mmの接着層を得た。そして、23℃で50%RHの条件下で1日養生した。その後、さらに50℃で95%RHの条件下で1日養生し、最後に80℃のオーブン中で2時間養生を行った。そして、23℃で2時間放置後、アサダ材側を固定し、デジタルフォースゲージ(イマダ社製「DPRSX−50」)を用いて、硬質塩化ビニル板の端部Aを硬質塩化ビニル板の平面に対して垂直方向に引っ張った。表示された値の最大値を割裂接着強度とした。この値が35N/25mm程度以下であると、概ね良好な剥離性を示している。
【0044】
[剪断接着強度(kgf/(25mm)2)]
JIS K 6852(1994年)に準じて、カバ材を被着材として用い、圧縮剪断接着強さ試験を行った。接着剤試料は、その塗布厚が0.2mmとなるように塗布し、カバ材片同士を貼り合わせた。そして、23℃で50%RHの条件下で1日養生した。その後、さらに50℃で95%RHの条件下で1日養生し、最後に80℃のオーブン中で2時間養生を行った。そして、23℃で2時間放置後、ヘッドスピード5mm/minにて、圧縮剪断接着強さを測定した。得られた値を剪断接着強度とし、この値が30kgf/(25mm)2程度以上であると、被着体同士が概ね良好な拘束性を示している。
【0045】
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実 施 例
───────────────────────
1 2 3 4 5 6
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
剥離接着強度 22 22 17 16 13 13
割裂接着強度 38 41 24 29 20 25
剪断接着強度 35 38 43 55 65 76
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0046】
実施例11
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 315重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (699容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 350重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (350容積部)
【0047】
実施例12
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 270重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (599容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 450重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (450容積部)
【0048】
実施例13
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 160重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (355容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 700重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (700容積部)
【0049】
実施例14
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 110重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (244容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 800重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (800容積部)
【0050】
実施例15
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 90重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (200容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 850重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (850容積部)
【0051】
実施例16
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 45重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (100容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 950重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (950容積部)
【0052】
比較例11
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 430重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (954容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 100重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (100容積部)
【0053】
比較例12
実施例1において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例1と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
フライアッシュ(中空粉体(a)) 360重量部
(SphereTek Industry社製「セノスフィアSA」) (799容積部)
重質炭酸カルシウム(中実粉体(b)) 250重量部
(日東粉化工業社製「NS2300」) (250容積部)
【0054】
実施例11〜16及び比較例11、14で得られた内装用一液湿気硬化型接着剤における、X/Y、a/b、c/d及び粘度を、実施例1の場合と同様に示すと、以下の表3のとおりであった。
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
比較例 実 施 例
─────── ──────────────────────
11 12 11 12 13 14 15 16
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
X/Y 1.3 1.5 1.6 1.8 2.1 2.2 2.3 2.4
a/b 9.5 3.2 2.0 1.3 0.5 0.3 0.2 0.1
c/d 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
粘度 − − 31.0 32.0 47.0 64.0 62.0 68.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表3中、比較例11の粘度の値が「−」となっているのは、接着剤がぱさついて、粘度が150Pa・sを超えるものである。また、比較例12の粘度の値が「−」となっているのは、回転数を20rpmにすることができない程度に高粘度であり、粘度が150Pa・sを超えるものである。
【0055】
また、実施例11〜16で得られた易剥離性一液湿気硬化型接着剤について、実施例1と同様に、剥離接着強度、割裂接着強度及び剪断接着強度を測定した。この結果を表4に示した。なお、比較例11に係る接着剤は、ぱさついて、良好な塗布が行えないため、接着試験を行わなかった。また、比較例12に係る接着剤については、塗布が困難であるため、接着試験を行わなかった。
[表4]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実 施 例
──────────────────────
11 12 13 14 15 16
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
剥離接着強度 11 14 16 17 21 20
割裂接着強度 27 30 30 27 37 28
剪断接着強度 44 44 63 67 71 62
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0056】
実施例21
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 70重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 330重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0057】
実施例22
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 85重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 315重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0058】
実施例23
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 115重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 285重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0059】
実施例24
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 130重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 270重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0060】
実施例25
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 170重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 230重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0061】
実施例26
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 200重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 200重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0062】
比較例21
実施例4において、下記の成分の配合量を下記のとおりに変更した他は、実施例4と同様に混合して、内装用一液湿気硬化型接着剤を得た。
変成シリコーンポリマー(c) 40重量部
(カネカ社製「SILYL EST280」、数平均分子量約8000)
ポリプロピレングリコール(高分子重合体) 360重量部
(三井化学ポリウレタン社製「P−21」、数平均分子量2000)
ポリα−オレフィン(C20 )水添体(低分子重合体) 10重量部
(出光興産社製「PAO5002」)
【0063】
実施例21〜26及び比較例21で得られた内装用一液湿気硬化型接着剤における、X/Y、a/b、c/d及び粘度を、実施例1の場合と同様に示すと、以下の表5のとおりであった。
[表5]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
比較例 実 施 例
─────── ──────────────────────
21 21 22 23 24 25 26
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
X/Y 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
a/b 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
c/d 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.7 1.0
粘度 − 41.3 33.0 38.6 54.0 61.0 68.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表5中、比較例21の粘度の値が「−」となっているのは、この接着剤は湿気によって硬化しなかったため、粘度測定を中止した。つまり、比較例21に係る接着剤は、一液湿気硬化型接着剤といえるものではなかった。
【0064】
また、実施例21〜16で得られた内装用一液湿気硬化型接着剤について、実施例1と同様に、剥離接着強度、割裂接着強度及び剪断接着強度を測定した。この結果を表6に示した。なお、比較例21に係る接着剤は、一液湿気硬化型接着剤といえるものではなかったので、接着試験を行わなかった。
[表6]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実 施 例
──────────────────────
21 22 23 24 25 26
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
剥離接着強度 9 13 17 22 26 32
割裂接着強度 17 20 30 34 38 52
剪断接着強度 30 46 67 73 105 103
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】割裂接着強度を測定する際に作成する試験体の模式的側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体成分(X)は、充填材として機能する中空粉体(a)と中実粉体(b)とからなり、
液体成分(Y)は、湿気によって反応硬化する加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)と、高分子重合体を主体とする非反応性の液状成分(d)とからなり、
前記粉体成分(X)と前記液体成分(Y)とが混合されて、粘度が10〜150Pa・s(BH型粘度計、23℃、スピンドルNo.7、20rpm)であることを特徴とする内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項2】
床、根太又は束用である請求項1記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項3】
液状成分(d)中に、高分子重合体が50重量%以上含有されている請求項1又は2記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項4】
高分子重合体が、ポリオキシアルキレンポリマーである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項5】
ポリオキシアルキレンポリマーが、ポリプロピレングリコールである請求項4記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項6】
加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレンポリマー(c)の数平均分子量は3000〜20000であり、
液状成分(d)中の高分子重合体の数平均分子量は400〜5000である
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。
【請求項7】
中空粉体(a)は、フライアッシュバルーン及び/又はプラスチックバルーンであり、中実粉体(b)は、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、酸化カルシウム及びセメントよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の粉体である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の内装用一液湿気硬化型接着剤。

【図1】
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【公開番号】特開2009−24096(P2009−24096A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189360(P2007−189360)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】