内視装置の防染用被覆体、およびその製造方法
【課題】防染用被覆体に要求される屈曲性、強度、光学的に高い精度などを十分に満足でき、したがって高度の信頼性を備え、しかも全体の製造コストを削減して使い捨てが可能な、内視装置の防染用被覆体を提供する。
【解決手段】直径が1mm前後の挿入部2の外面を覆う本体部11と、導光部12とを備えている。本体部11は屈曲可能なポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成する。導光部12は、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成されて透光性を備えている。導光部12と本体部11とは、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして一体化する。成形時における導光部12の外面形状を成形用金型22で規定し、内面形状は、本体部11、および本体部11の端部内に予め装填した水溶性中子20で規定する。離型後に水溶性中子20を温水で溶融除去する。
【解決手段】直径が1mm前後の挿入部2の外面を覆う本体部11と、導光部12とを備えている。本体部11は屈曲可能なポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成する。導光部12は、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成されて透光性を備えている。導光部12と本体部11とは、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして一体化する。成形時における導光部12の外面形状を成形用金型22で規定し、内面形状は、本体部11、および本体部11の端部内に予め装填した水溶性中子20で規定する。離型後に水溶性中子20を温水で溶融除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に代表される内視装置の主として挿入部を覆うための内視装置の防染用被覆体と、その製造方法に関する。本発明に係る防染用被覆体は、外直径が1mm前後の挿入部の外面を覆っており、カバー要素として極細のチューブを使用する。
【背景技術】
【0002】
食品製造や医療の分野において使用される器具類には、使用後に洗浄し、乾燥し、殺菌したのち繰り返し使用するものがある。この種の器具類は、使用時間がごく短い時間であっても、所定の手順に従って洗浄し、乾燥し、殺菌しなければならず、使用後のメンテナンスに多くの手間が掛かってしまう。このような洗浄や殺菌の手間を軽減するために、器具類の外面を殺菌された使い捨ての防染カバーや防染シースなどで覆い、使用後に防染カバーや防染シースを取り外すことにより、器具類のメンテナンスの手間を省くことが行なわれている。たとえば、特許文献1の内視装置においては、口腔内に挿入される撮像ヘッドおよび可撓性接続部材の外面を防染カバーで覆って、その開口端をクリップで可撓性接続部材に固定している。
【0003】
この種の使い捨て式の防染カバーは、例えば特許文献2にも見ることができる。そこでは、内視鏡の挿入部の外面をシースで覆い、さらにシースの外面をシースカバーで覆っている。シースはシリコンゴムなどの弾性材で形成してあり、先端の端壁は透明になっている。シースカバーは、シースが加圧空気で過剰に膨らむのを規制するために設けてあり、内視鏡を使用したのちは、シースとシースカバーの両者を挿入部から取り外して廃棄する。
【0004】
本発明においては、水溶性中子で極細チューブの端部を閉塞して導光部を成形するが、このように水溶性中子を使用して中空体を形成する成形法はたとえば特許文献3に見ることができる。そこでは、水溶性樹脂を素材にして形成した中子を金型内にインサートし、中子の周囲に溶融樹脂を射出して固化したのち、離型した成形品の中子に水を噴射して溶かし出す。水溶性樹脂としては、たとえばポリビニルアルコールにでん粉、食塩、コーンスターチなどの増量剤を添加したものが使用されている。特許文献3の成形方法は、主として中空部を有する成形体、たとえばL字状やU字状の医療用細管、あるいは三方切換弁の中空ケースなどを成形するのに適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−118538号公報(段落番号0020、図3)
【特許文献2】特開2003−126012号公報(段落番号0012、図2)
【特許文献3】特開2000−218630号公報(段落番号0021、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1・2における防染カバーや防染シースは、被覆対象である内視鏡の挿入部の直径が大きい(5〜9mm)ので、防染カバーや防染シースを比較的簡単に形成することができ、その製造に要するコストも少なくて済み、防染カバー等を問題なく使い捨て式にできる。
【0007】
しかし、外直径が1mm前後の挿入部を被覆対象とする場合には、防染用被覆体をいかにして構成するかが問題となり、防染用被覆体に要求される仕様を満足するために、いくつもの困難を克服する必要がある。まず、防染用被覆体は、少なくとも挿入部の外面を覆う屈曲自在な本体部と、挿入部の先端の光学ヘッド部を覆う導光部を備えている必要がある。また、本体部および導光部の部品コストや組み立てコストを削減して、防染用被覆体の全体コストを使い捨てできるコストにまで削減する必要がある。本体部は外力を受けて破損し、あるいは破断しないだけの十分な強度を備えている必要があり、挿入部を覆う状態で屈曲自在でなければならない。細く小さな導光部は、光学ヘッド部の光学的な性能を損なうことがないように、高い精度で形成しなければならない。
【0008】
この点、たとえば導光部を射出成形機で成形すると、光学的な要求仕様を満足できる比較的高い精度の導光部を形成できる。しかし、あまりにも小さな導光部は、ノックアウトピンで突き出すことができないので、成形時の生産性が著しく低下する。また、導光部を屈曲自在な本体部に対して正確に組み付けるのが難しい。具体的には、導光部の内外の端面(入出光面)を本体部の中心軸線に対して直交する状態で組み付けるのが困難となる。導光部は本体部に対して分離不能に、しかも水密性を備えた状態で固定する必要があるが、そのためには接着剤を使用する以外にない。しかし、導光部を本体部に組み付ける工程で、接着剤によって導光部の透光性が損なわれるおそれがある。本発明は、上記のようないくつもの技術的課題を克服して提案されたものであって、その目的とするところは以下の通りである。
【0009】
本発明の目的は、防染用被覆体に要求される屈曲性、強度、光学的に高い精度などを十分に満足でき、したがって高度の信頼性を備え、しかも全体の製造コストを削減して使い捨てが可能な内視装置の防染用被覆体と、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内視装置の防染用被覆体は、内視装置の挿入部2の外面を覆う本体部11と、本体部11の先端に設けられる導光部12とを備えている。本体部11は屈曲可能な極細チューブで形成する。導光部12は透明なプラスチック材で形成されて透光性を備えている。図6に示すように、導光部12と本体部11とは、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして一体化する。なお、成形時における導光部12の外面形状は成形用金型22で規定され、成形時における導光部12の内面形状は、本体部11、および本体部11の端部内に予め装填した水溶性中子20で規定することとなる。
【0011】
本体部11は、ポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成する。導光部12は、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成する。
【0012】
導光部12は、本体部11の端部周面を覆う筒壁15と、本体部11の端部開口を塞ぐ閉塞壁16とを一体に備えている。閉塞壁16の内端面17、および外端面18のそれぞれを鏡面化する。
【0013】
本体部11の周面に露出する筒壁15および閉塞壁16の隅部の全てを丸める(図7の符号19を参照)。
【0014】
本体部11で覆われる内視装置の挿入部2の外径寸法は0.4ないし1.0mmである。本体部11の内径寸法は0.65ないし1.25mmである。
【0015】
導光部12で覆われる本体部11の端部周面に、係合部35を形成する。係合部35と係合するアンカー部36を、導光部12と一体に形成する。
【0016】
本体部11の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を形成する。複数の係合部35に対して、導光部12をアンカー部36を介して係合させる。
【0017】
本発明に係る内視装置の防染用被覆体の製造方法は、屈曲可能な極細チューブで形成される本体部11と、本体部11の先端に設けられる導光部12とを備えている防染用被覆体を対象とする。本発明の製造方法においては、予め成形した水溶性中子20を、本体部11の端部内に装填する第1工程(図4参照)と、水溶性中子20が装填された本体部11の端部を成形用金型22にインサートする第2工程(図1参照)と、本体部11の端部の周囲のキャビティ27に透明な溶融樹脂を射出して、導光部12を本体部11と一体に成形する第3工程(図6参照)と、成形用金型22から取り出した本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
具体的には、第2工程において、ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部11を成形用金型22にインサートする(図1参照)。また、第3工程において、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを本体部11の端部の周囲のキャビティ27に射出し、熱硬化して導光部12を本体部11と一体に成形する(図6参照)。
【0019】
成形用金型22は、本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで構成する(図5参照)。この成形用金型22を用いて導光部12を本体部11と一体に成形する。
【0020】
水溶性中子20の外端面21と、水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28のそれぞれは鏡面仕上げしてある。
【0021】
第1工程より前に、導光部12で覆われる本体部11の端部周面に、係合部35を形成しておく。第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、アンカー部36を導光部12と一体に形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、屈曲可能な極細チューブからなる本体部11と、その先端に設けられる導光部12などで内視装置の防染用被覆体を構成し、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして、導光部12と本体部11を一体化した。このように、導光部12の成形時に本体部11をインサート固定すると、導光部12を正確に成形しながら、導光部12を本体部11に対して正確に位置決めした状態で一体化できる。導光部12を本体部11に固定する手間を省くこともできる。したがって、屈曲性、強度、光学的に高い精度などを十分に満足できる高度の信頼性を備えた防染用被覆体を提供できる。また、導光部12の成形と同時に導光部12と本体部11を一体化するので、防染用被覆体を低コストで製造でき、したがって使い捨て用途に好適な内視装置の防染用被覆体を提供できる。
【0023】
本体部11をポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成し、導光部12を透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成すると、防染用被覆体の大部分を占める本体部11を、市販品である極細チューブを利用して安価に形成できる。また、硬化温度が低い熱硬化性のシリコーンゴムで導光部12を形成するので、導光部12の成形時に水溶性中子20がシリコーンゴムの硬化熱で溶融するのを避けながら、適正に導光部12を成形できる。
【0024】
筒壁15と閉塞壁16とで導光部12を構成し、閉塞壁16の内端面17および外端面18のそれぞれを鏡面化すると、内外端面17・18における光の散乱や、閉塞壁16を通過する光の歪を解消でき、同時に閉塞壁16の透光度を向上できる。したがって、使用状態において、光学ヘッド部3の光学的性能を損なうことのない防染用被覆体が得られる。また、筒壁15と閉塞壁16とで導光部12を構成し、筒壁15の内面を本体部11の周面に結着させるので、導光部12を本体部11に対して強固に密着する状態で固定できる。
【0025】
筒壁15および閉塞壁16の隅部の全てが丸めてあると、挿入部2を体内へ挿入し、あるいは体内から抜き出す際に、導光部12が器官内壁に引っ掛かり、あるいは器官内壁を擦って刺激するのを解消して、内視装置を使用するときの患者の負担を軽減できる。
【0026】
内視装置の挿入部2の外径寸法を0.4ないし1.0mmとするとき、本体部11の内径寸法は0.65ないし1.25mmとすると、挿入部2と本体部11との間に適度の隙間を確保することができるので、挿入部2に対する防染用被覆体の着脱を円滑に行なえる。
【0027】
本体部11の端部周面に係合部35を形成し、この係合部35と係合するアンカー部36を導光部12と一体に形成すると、本体部11を導光部12に対して単にインサート固定する場合に比べて、導光部12を本体部11に対して、さらに強固に固定できる。また、係合部35とアンカー部36とが互いに係合することによって、導光部12が本体部11から抜け外れるのを確実に防止できる。さらに、導光部12と本体部11を、係合部35とアンカー部36を介して機械的に係合するので、接着剤を併用して導光部12を本体部11に強固に固定する場合に問題となる、接着剤による体細胞や体内の器官等に及ぼす悪影響を一掃でき、人体に対して安心かつ安全に防染用被覆体を適用できる。
【0028】
本体部11の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を形成し、複数の係合部35に対して導光部12をアンカー部36を介して係合すると、導光部12を本体部11に対してさらに強固に一体化して、防染用被覆体の信頼性をさらに向上できる。したがって、挿入部2とともに体内に挿入した本体部11を体外へ抜き出す場合に、導光部12が器官内壁に引っ掛かったとしても、導光部12が本体部11から分離して体内に残るなどの事故を確実に防止できる。
【0029】
本発明に係る製造方法では、水溶性中子20を本体部11に装填したのち、本体部11の端部を成形用金型22にインサートして型締めし、キャビティ27に液状の樹脂を射出して導光部12を本体部11と一体に成形するようにした。さらに、成形用金型22から取り出した本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去して、本体部11の開口端が導光部12で閉塞された防染用被覆体を形成するようにした。このように、導光部12の成形時に本体部11をインサート固定すると、導光部12を正確に成形できるのはもちろん、導光部12と本体部11とを正確に位置決めした状態で一体化できる。また、導光部12の成形と同時に本体部11を一体化するので、導光部12を本体部11に組み付ける手間を省くことができ、全体として防染用被覆体の製造コストを削減して、使い捨て用途に好適な内視装置の防染用被覆体を提供できる。
【0030】
ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部11を成形用金型22にインサートするのは、防染用被覆体の大部分を占める本体部11を、市販品である極細チューブを利用して安価に形成して、防染用被覆体の全体コストを削減できるからである。また、他のプラスチック材に比べて、硬化温度が低い熱硬化性のシリコーンゴムで導光部12を射出し、熱硬化して導光部12を本体部11と一体に成形すると、導光部12の成形時に水溶性中子20がシリコーンゴムの硬化熱で溶融するのを避けて、導光部12を適正に成形できる。
【0031】
本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで成形用金型22を構成するのは、本体部11の端部の周囲を取り囲む状態でキャビティ27を形成するためである。この成形用金型22を用いて導光部12を本体部11と一体に成形することにより、導光部12の成形を的確に行ないながら、導光部12と本体部11とを正確に位置決めした状態で一体化できる。なお、一対の割り型23・24の分割面に沿って、多数個のキャビティ27を形成しておけば、多数個の導光部12を同時に成形しながら、導光部12と本体部11との一体化処理を同時に行なって、防染用被覆体を効率よく生産することができる。
【0032】
水溶性中子20の外端面21と、水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28のそれぞれを鏡面仕上げするのは、導光部12の閉塞壁16の内端面17および外端面18を鏡面状に形成するためである。鏡面化された内外端面17・18を備えた導光部12によれば、内外端面17・18における光の散乱や、閉塞壁16を通過する光の歪を解消でき、同時に閉塞壁16の透光度を向上できる。したがって、使用状態において、光学ヘッド部3の光学的性能を損なうことがない防染用被覆体が得られる。
【0033】
第1工程より前に、導光部12で覆われる本体部11の端部周面に係合部35を形成するのは、第1工程以降に係合部35を形成すると、水溶性中子20に凹部や穴が形成されて、アンカー部36が先の凹部や穴に入り込むからである。また、第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、アンカー部36を導光部12と一体に形成すると、係合部35に充満したアンカー部36の内端が水溶性中子20の表面で受け止められるので、挿入部2を防染用被覆体に挿入するとき、アンカー部36が挿入部2の邪魔になるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る内視装置の防染用被覆体の製造方法を説明するための図であり、成形用金型に本体部をインサートした状態を示す断面図である。
【図2】防染用被覆体が適用される内視装置の一例を示す正面図である。
【図3】防染用被覆体の装着状態を示す一部破断正面図である。
【図4】水溶性中子と本体部の分解斜視図である。
【図5】成形用金型の構造を示す分解断面図である。
【図6】導光部の成形状態を示す断面図である。
【図7】完成した防染用被覆体の要部を示す断面図である。
【図8】導光部の変形例を示す断面図である。
【図9】導光部の別の変形例を示す断面図である。
【図10】導光部のさらに別の変形例を示す分解斜視図である。
【図11】図10の本体部に導光部を固定した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施例) 図1ないし図7に、本発明に係る内視装置の防染用被覆体、およびその製造方法の実施例を示す。図2において内視装置は、操作ユニット1と、操作ユニット1から導出される挿入部2と、挿入部2の先端の光学ヘッド部3などで構成してある。光学ヘッド部3の端面には、照明光を放射する照明レンズ4と、対物レンズ5などが設けてある。屈曲自在な挿入部2の内部には、光源から照射された照明光を照明レンズ4まで伝送する第1ファイバースコープ6と、対物レンズ5を介して取り込んだ映像を操作ユニット1へ伝送する第2ファイバースコープ7が埋設してある。この実施例における挿入部2の直径寸法は0.85mmである。
【0036】
内視装置を使用する際に、挿入部2が体液や細菌等で汚染されるのを避けて、使用後の挿入部2のメンテナンスの手間を省くために防染用被覆体を設けている。防染用被覆体は、挿入部2の外面を覆う本体部11と、本体部11の先端に設けられて光学ヘッド部3の外面を覆う導光部12と、本体部11の開口端に固定される装着部13などで構成する。本体部11は、ポリアミド系のエラストマーを素材とする屈曲可能な極細チューブで形成されており、本体部11の内直径は1.05mm、外直径は1.20mm、チューブの壁厚は0.075mmである。
【0037】
導光部12は、本体部11の端部周面を覆う筒壁15と、本体部11の端部開口を塞ぐ閉塞壁16とを一体に備えたキャップ状のプラスチック成形品からなり、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを素材にして形成してある。先の照明レンズ4と、対物レンズ5の外面を覆う閉塞壁16は透光性を備えており、同壁16の内端面17および外端面18のそれぞれは鏡面化してある。筒壁15および閉塞壁16の隅部の全ては丸められており、これにより挿入部2を体内へ挿入し、あるいは体内から抜き出す際に、導光部12が器官内壁に引っ掛かり、あるいは擦って刺激するのを避けることができる。丸められた部分を符号19で示す。
【0038】
導光部12は、以下に説明する製造方法に従って形成することにより、確実にしかも低コストで製造することができる。防染用被覆体は、第1工程から第4工程を経て製造する。図4に示すように第1工程では、予め成形しておいた水溶性中子20を、本体部11の端部内に装填し、その外端面21を本体部11の開口面と面一にする。水溶性中子20は、アモルファスビニルアルコール系樹脂を素材にして形成してあり、外端面21は鏡面に仕上げてある。アモルファスビニルアルコール系樹脂としては、日本合成化学工業株式会社のニチゴーGポリマー(登録商標)を適用できる。本体部11の端部内に装填した水溶性中子20は、本体部11の弾性力によって遊動不能に保持されている。
【0039】
第2工程では、水溶性中子20が装填された本体部11の端部を成形用金型22にインサートして位置決めする。図5に示すように、成形用金型22は、本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、両割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで構成してある。図1に向かって右側の割り型24の端型25との接合面にはゲート溝26が形成してある。図1に示すように、左右の割り型23・24で本体部11の端部を挟んで位置決めし、両割り型23・24の端部を端型25で塞ぐことにより、本体部11の端部の周囲と各型23・24・25の間にキャビティ27が形成される。水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28は鏡面仕上げしてある。
【0040】
第3工程では、本体部11の端部の周囲のキャビティ27に、溶融した透明な熱硬化性のシリコーンゴムを射出し、熱硬化することにより導光部12を本体部11と一体に成形する。このとき、導光部12の外面形状は成形用金型22で規定され、導光部12の内面形状は本体部11、および本体部11に装填した水溶性中子20で規定されることとなる。なお、水溶性中子20の形成素材であるアモルファスビニルアルコール系樹脂の融点は、140℃〜190℃であるので、これより低温で液状態の熱硬化性のシリコーンゴムをキャビティ27内へ射出しても、水溶性中子20が溶融することはない。また、シリコーンゴムの熱硬化温度は90℃〜130℃であるので、硬化時に水溶性中子20が溶融することもない。なお、実際の成形時には、左右の割り型23・24に多数個のキャビティ27を形成しておいて、各割り型23・24の間に多数個の本体部11をインサートした状態で導光部12を成形する。
【0041】
導光部12を成形する工程では、その筒壁15の内面が本体部11の表面に密着する状態で一体化する。したがって、接着剤を使用する必要もなく、導光部12を本体部11と強固に一体化できる。所定の固化時間が経過したのち、成形用金型22を分解して本体部11を金型から取り外すことにより、導光部12も容易に離型できる。得られた導光部12の全体は透光性を備えており、閉塞壁16の内端面17および外端面18のそれぞれは鏡面化されている。また、閉塞壁16の内端面17および外端面18は、それぞれ本体部11の中心軸線に対して直交している。ゲート部分は切除して取り除いておく。
【0042】
第4工程では、本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去する。詳しくは、温水を本体部11の内部に噴出して充満させ、さらに本体部11および導光部12の全体を温水中に浸漬して、水溶性中子20を溶融除去する(図7参照)。温水の温度は60〜90℃とする。こののち、本体部11および導光部12を乾燥し、本体部11の開口端に装着部13を固定して防染用被覆体を完成する。得られた防染用被覆体は、殺菌したのち個包装して密封することにより製品化する。
【0043】
防染用被覆体を使用する場合には、内視装置の挿入部2を装着部13の側から本体部11の内部に差し込んで、挿入部2の全体を防染用被覆体の本体部11で覆い、さらに光学ヘッド部3の外面を導光部12で覆って、閉塞壁16を光学ヘッド部3の端面に密着させる。この状態で装着部13を操作ユニット1の口金に外嵌固定して、装着状態を保持する。先に説明したように、閉塞壁16の内端面17および外端面18は、それぞれ本体部11の中心軸線に対して直交しており、さらに鏡面化されている。したがって、光学ヘッド部3の端面を閉塞壁16で覆った状態では、照明レンズ4から照射された照明光を、導光部12の外へ向かって適正に照射でき、さらに、対物レンズ5に入射する光が閉塞壁16を通過する間に歪むのを解消できる。また、鏡面化してある内端面17および外端面18では光が散乱することもなく、したがって、導光部12を設けることに伴なう放射光や入射光の損失を小さくできる。
【0044】
図8および図9は、それぞれ導光部12の変形例を示す。図8(a)では、水溶性中子20を本体部11の開口面より外部に突出させて、導光部12を成形するようにした。また、図8(b)では、水溶性中子20の外端面21を斜めに傾斜させて、導光部12の入出光面を傾斜させた。さらに、図8(c)では、水溶性中子20の外端面21を球面状に形成して、導光部12の入出光面をドーム状に形成した。図9に示す導光部12は、先の実施例における筒壁15を省略し、本体部11に内嵌する軸部31と、本体部11の端面を覆うフランジ壁32とで導光部12を形成した。
【0045】
図10および図11は、導光部12のさらに別の変形例を示す。そこでは、導光部12で覆われる筒壁15の端部の対向周面の複数個所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を予め形成しておき、この係合部35と係合するアンカー部36を、導光部12と一体に形成するようにした。係合部35は、光束が小さく絞られたレーザー光を筒壁15に対して直交状に照射して形成することができ、この実施例では、直径が0.6mmの係合部35を、筒壁15の対向周面の4個所に形成した。なお、係合部35を第1工程より前に形成するのは、第1工程の後で係合部35を形成すると、水溶性中子20に穴や凹部が形成されるからである。このように、係合部35が形成してある本体部11を成形用金型22の内部にインサートした状態で導光部12を成形すると、第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、導光部12と一体のアンカー部36を形成することができる。
【0046】
上記のように、本体部11の端部周面に係合部35を形成しておき、導光部12を成形する過程で係合部35と係合するアンカー部36を形成すると、導光部12を本体部11に対してさらに強固に一体化できる。また、係合部35とアンカー部36とが互いに係合することによって、導光部12が本体部11から抜け外れるのを防止できるので、挿入部2とともに体内に挿入した本体部11を体外へ抜き出す場合に、導光部12が本体部11から分離して体内に残るなどの事故をさらに確実に防止できる。
【0047】
なお、本体部11の端部周面に接着剤(プライマー)を塗布した状態で導光部12を成形すると、導光部12を本体部11に対して強固に固定できる。しかし、その場合には、接着剤が体細胞や体内の器官等に及ぼす悪影響を考慮する必要があり、とくに人体に適用される内視装置において使用がためらわれる。その点、導光部12を本体部11に対して、係合部35とアンカー部36を介して機械的に一体化する上記の防染用被覆体によれば、安心かつ安全に防染用被覆体を適用できる。
【0048】
係合部35は少なくとも1個あれば足りるが、本体部11の端部周面の複数個所に形成しておくことが好ましい。また、複数個の係合部35を形成する場合の、係合部35の配置パターンは実施例で説明した配置パターンである必要はなく、任意の複数位置に任意の配置パターンで形成することができる。さらに、係合部35はチューブ壁を内外に貫通する状態で形成するのが好ましいが、凹部状に形成してあってもよい。本体部11の端部周面に、螺旋ピッチが不揃いの螺旋溝状の凹部や、交差する溝などを形成して、これを係合部35とすることができる。要は、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部が入り込んで、導光部12が軸心方向や周方向へ移動しようとするのを阻止できる構造であれば、溝、凹部、貫通穴などのいずれであってもよい。本体部11の内面に臨むアンカー部36の端部に、係合部35の内径より直径が大きな、薄いフランジ壁を形成することができる。その場合には、本体部11の内面に突出する薄いフランジ壁と筒壁15とでチューブ壁を内外に挟持して、導光部12を本体部11に対してさらに強固に固定できる。
【0049】
上記の実施例では、本体部11をポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成したがその必要はなく、熱硬化性のシリコーンゴムに対して相溶性を備えたプラスチック材を素材とする極細チューブで本体部11を構成することができる。水溶性中子20は、実施例で説明したアモルファスビニルアルコール系樹脂以外に、ポリビニルアルコールで形成することができる。
【0050】
本発明に係る防染用被覆体は、配管の内部の腐食状態や、エンジンの内部の状態などを確認するための工業用の内視装置にも適用できる。その場合には、本体部11を金属チューブやガラスチューブで形成することができ、実施例で説明したように、本体部11の端部を成形用金型22にインサートして導光部12を成形するとよい。そのとき、成形用金型22にインサートされる本体部11の端部にプライマーを塗布しておけば、成形された導光部12を本体部11に強固に固定することができる。導光部12の閉塞壁16は、必要に応じてレンズとして形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 操作ユニット
2 挿入部
3 光学ヘッド部
11 本体部
12 導光部
15 筒壁
16 閉塞壁
17 内端面
18 外端面
20 水溶性中子
22 成形用金型
23 割り型
24 割り型
25 端型
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に代表される内視装置の主として挿入部を覆うための内視装置の防染用被覆体と、その製造方法に関する。本発明に係る防染用被覆体は、外直径が1mm前後の挿入部の外面を覆っており、カバー要素として極細のチューブを使用する。
【背景技術】
【0002】
食品製造や医療の分野において使用される器具類には、使用後に洗浄し、乾燥し、殺菌したのち繰り返し使用するものがある。この種の器具類は、使用時間がごく短い時間であっても、所定の手順に従って洗浄し、乾燥し、殺菌しなければならず、使用後のメンテナンスに多くの手間が掛かってしまう。このような洗浄や殺菌の手間を軽減するために、器具類の外面を殺菌された使い捨ての防染カバーや防染シースなどで覆い、使用後に防染カバーや防染シースを取り外すことにより、器具類のメンテナンスの手間を省くことが行なわれている。たとえば、特許文献1の内視装置においては、口腔内に挿入される撮像ヘッドおよび可撓性接続部材の外面を防染カバーで覆って、その開口端をクリップで可撓性接続部材に固定している。
【0003】
この種の使い捨て式の防染カバーは、例えば特許文献2にも見ることができる。そこでは、内視鏡の挿入部の外面をシースで覆い、さらにシースの外面をシースカバーで覆っている。シースはシリコンゴムなどの弾性材で形成してあり、先端の端壁は透明になっている。シースカバーは、シースが加圧空気で過剰に膨らむのを規制するために設けてあり、内視鏡を使用したのちは、シースとシースカバーの両者を挿入部から取り外して廃棄する。
【0004】
本発明においては、水溶性中子で極細チューブの端部を閉塞して導光部を成形するが、このように水溶性中子を使用して中空体を形成する成形法はたとえば特許文献3に見ることができる。そこでは、水溶性樹脂を素材にして形成した中子を金型内にインサートし、中子の周囲に溶融樹脂を射出して固化したのち、離型した成形品の中子に水を噴射して溶かし出す。水溶性樹脂としては、たとえばポリビニルアルコールにでん粉、食塩、コーンスターチなどの増量剤を添加したものが使用されている。特許文献3の成形方法は、主として中空部を有する成形体、たとえばL字状やU字状の医療用細管、あるいは三方切換弁の中空ケースなどを成形するのに適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−118538号公報(段落番号0020、図3)
【特許文献2】特開2003−126012号公報(段落番号0012、図2)
【特許文献3】特開2000−218630号公報(段落番号0021、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1・2における防染カバーや防染シースは、被覆対象である内視鏡の挿入部の直径が大きい(5〜9mm)ので、防染カバーや防染シースを比較的簡単に形成することができ、その製造に要するコストも少なくて済み、防染カバー等を問題なく使い捨て式にできる。
【0007】
しかし、外直径が1mm前後の挿入部を被覆対象とする場合には、防染用被覆体をいかにして構成するかが問題となり、防染用被覆体に要求される仕様を満足するために、いくつもの困難を克服する必要がある。まず、防染用被覆体は、少なくとも挿入部の外面を覆う屈曲自在な本体部と、挿入部の先端の光学ヘッド部を覆う導光部を備えている必要がある。また、本体部および導光部の部品コストや組み立てコストを削減して、防染用被覆体の全体コストを使い捨てできるコストにまで削減する必要がある。本体部は外力を受けて破損し、あるいは破断しないだけの十分な強度を備えている必要があり、挿入部を覆う状態で屈曲自在でなければならない。細く小さな導光部は、光学ヘッド部の光学的な性能を損なうことがないように、高い精度で形成しなければならない。
【0008】
この点、たとえば導光部を射出成形機で成形すると、光学的な要求仕様を満足できる比較的高い精度の導光部を形成できる。しかし、あまりにも小さな導光部は、ノックアウトピンで突き出すことができないので、成形時の生産性が著しく低下する。また、導光部を屈曲自在な本体部に対して正確に組み付けるのが難しい。具体的には、導光部の内外の端面(入出光面)を本体部の中心軸線に対して直交する状態で組み付けるのが困難となる。導光部は本体部に対して分離不能に、しかも水密性を備えた状態で固定する必要があるが、そのためには接着剤を使用する以外にない。しかし、導光部を本体部に組み付ける工程で、接着剤によって導光部の透光性が損なわれるおそれがある。本発明は、上記のようないくつもの技術的課題を克服して提案されたものであって、その目的とするところは以下の通りである。
【0009】
本発明の目的は、防染用被覆体に要求される屈曲性、強度、光学的に高い精度などを十分に満足でき、したがって高度の信頼性を備え、しかも全体の製造コストを削減して使い捨てが可能な内視装置の防染用被覆体と、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内視装置の防染用被覆体は、内視装置の挿入部2の外面を覆う本体部11と、本体部11の先端に設けられる導光部12とを備えている。本体部11は屈曲可能な極細チューブで形成する。導光部12は透明なプラスチック材で形成されて透光性を備えている。図6に示すように、導光部12と本体部11とは、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして一体化する。なお、成形時における導光部12の外面形状は成形用金型22で規定され、成形時における導光部12の内面形状は、本体部11、および本体部11の端部内に予め装填した水溶性中子20で規定することとなる。
【0011】
本体部11は、ポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成する。導光部12は、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成する。
【0012】
導光部12は、本体部11の端部周面を覆う筒壁15と、本体部11の端部開口を塞ぐ閉塞壁16とを一体に備えている。閉塞壁16の内端面17、および外端面18のそれぞれを鏡面化する。
【0013】
本体部11の周面に露出する筒壁15および閉塞壁16の隅部の全てを丸める(図7の符号19を参照)。
【0014】
本体部11で覆われる内視装置の挿入部2の外径寸法は0.4ないし1.0mmである。本体部11の内径寸法は0.65ないし1.25mmである。
【0015】
導光部12で覆われる本体部11の端部周面に、係合部35を形成する。係合部35と係合するアンカー部36を、導光部12と一体に形成する。
【0016】
本体部11の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を形成する。複数の係合部35に対して、導光部12をアンカー部36を介して係合させる。
【0017】
本発明に係る内視装置の防染用被覆体の製造方法は、屈曲可能な極細チューブで形成される本体部11と、本体部11の先端に設けられる導光部12とを備えている防染用被覆体を対象とする。本発明の製造方法においては、予め成形した水溶性中子20を、本体部11の端部内に装填する第1工程(図4参照)と、水溶性中子20が装填された本体部11の端部を成形用金型22にインサートする第2工程(図1参照)と、本体部11の端部の周囲のキャビティ27に透明な溶融樹脂を射出して、導光部12を本体部11と一体に成形する第3工程(図6参照)と、成形用金型22から取り出した本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
具体的には、第2工程において、ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部11を成形用金型22にインサートする(図1参照)。また、第3工程において、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを本体部11の端部の周囲のキャビティ27に射出し、熱硬化して導光部12を本体部11と一体に成形する(図6参照)。
【0019】
成形用金型22は、本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで構成する(図5参照)。この成形用金型22を用いて導光部12を本体部11と一体に成形する。
【0020】
水溶性中子20の外端面21と、水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28のそれぞれは鏡面仕上げしてある。
【0021】
第1工程より前に、導光部12で覆われる本体部11の端部周面に、係合部35を形成しておく。第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、アンカー部36を導光部12と一体に形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、屈曲可能な極細チューブからなる本体部11と、その先端に設けられる導光部12などで内視装置の防染用被覆体を構成し、導光部12の成形時に、本体部11の端部を成形用金型22の内部にインサートして、導光部12と本体部11を一体化した。このように、導光部12の成形時に本体部11をインサート固定すると、導光部12を正確に成形しながら、導光部12を本体部11に対して正確に位置決めした状態で一体化できる。導光部12を本体部11に固定する手間を省くこともできる。したがって、屈曲性、強度、光学的に高い精度などを十分に満足できる高度の信頼性を備えた防染用被覆体を提供できる。また、導光部12の成形と同時に導光部12と本体部11を一体化するので、防染用被覆体を低コストで製造でき、したがって使い捨て用途に好適な内視装置の防染用被覆体を提供できる。
【0023】
本体部11をポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成し、導光部12を透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成すると、防染用被覆体の大部分を占める本体部11を、市販品である極細チューブを利用して安価に形成できる。また、硬化温度が低い熱硬化性のシリコーンゴムで導光部12を形成するので、導光部12の成形時に水溶性中子20がシリコーンゴムの硬化熱で溶融するのを避けながら、適正に導光部12を成形できる。
【0024】
筒壁15と閉塞壁16とで導光部12を構成し、閉塞壁16の内端面17および外端面18のそれぞれを鏡面化すると、内外端面17・18における光の散乱や、閉塞壁16を通過する光の歪を解消でき、同時に閉塞壁16の透光度を向上できる。したがって、使用状態において、光学ヘッド部3の光学的性能を損なうことのない防染用被覆体が得られる。また、筒壁15と閉塞壁16とで導光部12を構成し、筒壁15の内面を本体部11の周面に結着させるので、導光部12を本体部11に対して強固に密着する状態で固定できる。
【0025】
筒壁15および閉塞壁16の隅部の全てが丸めてあると、挿入部2を体内へ挿入し、あるいは体内から抜き出す際に、導光部12が器官内壁に引っ掛かり、あるいは器官内壁を擦って刺激するのを解消して、内視装置を使用するときの患者の負担を軽減できる。
【0026】
内視装置の挿入部2の外径寸法を0.4ないし1.0mmとするとき、本体部11の内径寸法は0.65ないし1.25mmとすると、挿入部2と本体部11との間に適度の隙間を確保することができるので、挿入部2に対する防染用被覆体の着脱を円滑に行なえる。
【0027】
本体部11の端部周面に係合部35を形成し、この係合部35と係合するアンカー部36を導光部12と一体に形成すると、本体部11を導光部12に対して単にインサート固定する場合に比べて、導光部12を本体部11に対して、さらに強固に固定できる。また、係合部35とアンカー部36とが互いに係合することによって、導光部12が本体部11から抜け外れるのを確実に防止できる。さらに、導光部12と本体部11を、係合部35とアンカー部36を介して機械的に係合するので、接着剤を併用して導光部12を本体部11に強固に固定する場合に問題となる、接着剤による体細胞や体内の器官等に及ぼす悪影響を一掃でき、人体に対して安心かつ安全に防染用被覆体を適用できる。
【0028】
本体部11の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を形成し、複数の係合部35に対して導光部12をアンカー部36を介して係合すると、導光部12を本体部11に対してさらに強固に一体化して、防染用被覆体の信頼性をさらに向上できる。したがって、挿入部2とともに体内に挿入した本体部11を体外へ抜き出す場合に、導光部12が器官内壁に引っ掛かったとしても、導光部12が本体部11から分離して体内に残るなどの事故を確実に防止できる。
【0029】
本発明に係る製造方法では、水溶性中子20を本体部11に装填したのち、本体部11の端部を成形用金型22にインサートして型締めし、キャビティ27に液状の樹脂を射出して導光部12を本体部11と一体に成形するようにした。さらに、成形用金型22から取り出した本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去して、本体部11の開口端が導光部12で閉塞された防染用被覆体を形成するようにした。このように、導光部12の成形時に本体部11をインサート固定すると、導光部12を正確に成形できるのはもちろん、導光部12と本体部11とを正確に位置決めした状態で一体化できる。また、導光部12の成形と同時に本体部11を一体化するので、導光部12を本体部11に組み付ける手間を省くことができ、全体として防染用被覆体の製造コストを削減して、使い捨て用途に好適な内視装置の防染用被覆体を提供できる。
【0030】
ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部11を成形用金型22にインサートするのは、防染用被覆体の大部分を占める本体部11を、市販品である極細チューブを利用して安価に形成して、防染用被覆体の全体コストを削減できるからである。また、他のプラスチック材に比べて、硬化温度が低い熱硬化性のシリコーンゴムで導光部12を射出し、熱硬化して導光部12を本体部11と一体に成形すると、導光部12の成形時に水溶性中子20がシリコーンゴムの硬化熱で溶融するのを避けて、導光部12を適正に成形できる。
【0031】
本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで成形用金型22を構成するのは、本体部11の端部の周囲を取り囲む状態でキャビティ27を形成するためである。この成形用金型22を用いて導光部12を本体部11と一体に成形することにより、導光部12の成形を的確に行ないながら、導光部12と本体部11とを正確に位置決めした状態で一体化できる。なお、一対の割り型23・24の分割面に沿って、多数個のキャビティ27を形成しておけば、多数個の導光部12を同時に成形しながら、導光部12と本体部11との一体化処理を同時に行なって、防染用被覆体を効率よく生産することができる。
【0032】
水溶性中子20の外端面21と、水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28のそれぞれを鏡面仕上げするのは、導光部12の閉塞壁16の内端面17および外端面18を鏡面状に形成するためである。鏡面化された内外端面17・18を備えた導光部12によれば、内外端面17・18における光の散乱や、閉塞壁16を通過する光の歪を解消でき、同時に閉塞壁16の透光度を向上できる。したがって、使用状態において、光学ヘッド部3の光学的性能を損なうことがない防染用被覆体が得られる。
【0033】
第1工程より前に、導光部12で覆われる本体部11の端部周面に係合部35を形成するのは、第1工程以降に係合部35を形成すると、水溶性中子20に凹部や穴が形成されて、アンカー部36が先の凹部や穴に入り込むからである。また、第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、アンカー部36を導光部12と一体に形成すると、係合部35に充満したアンカー部36の内端が水溶性中子20の表面で受け止められるので、挿入部2を防染用被覆体に挿入するとき、アンカー部36が挿入部2の邪魔になるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る内視装置の防染用被覆体の製造方法を説明するための図であり、成形用金型に本体部をインサートした状態を示す断面図である。
【図2】防染用被覆体が適用される内視装置の一例を示す正面図である。
【図3】防染用被覆体の装着状態を示す一部破断正面図である。
【図4】水溶性中子と本体部の分解斜視図である。
【図5】成形用金型の構造を示す分解断面図である。
【図6】導光部の成形状態を示す断面図である。
【図7】完成した防染用被覆体の要部を示す断面図である。
【図8】導光部の変形例を示す断面図である。
【図9】導光部の別の変形例を示す断面図である。
【図10】導光部のさらに別の変形例を示す分解斜視図である。
【図11】図10の本体部に導光部を固定した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施例) 図1ないし図7に、本発明に係る内視装置の防染用被覆体、およびその製造方法の実施例を示す。図2において内視装置は、操作ユニット1と、操作ユニット1から導出される挿入部2と、挿入部2の先端の光学ヘッド部3などで構成してある。光学ヘッド部3の端面には、照明光を放射する照明レンズ4と、対物レンズ5などが設けてある。屈曲自在な挿入部2の内部には、光源から照射された照明光を照明レンズ4まで伝送する第1ファイバースコープ6と、対物レンズ5を介して取り込んだ映像を操作ユニット1へ伝送する第2ファイバースコープ7が埋設してある。この実施例における挿入部2の直径寸法は0.85mmである。
【0036】
内視装置を使用する際に、挿入部2が体液や細菌等で汚染されるのを避けて、使用後の挿入部2のメンテナンスの手間を省くために防染用被覆体を設けている。防染用被覆体は、挿入部2の外面を覆う本体部11と、本体部11の先端に設けられて光学ヘッド部3の外面を覆う導光部12と、本体部11の開口端に固定される装着部13などで構成する。本体部11は、ポリアミド系のエラストマーを素材とする屈曲可能な極細チューブで形成されており、本体部11の内直径は1.05mm、外直径は1.20mm、チューブの壁厚は0.075mmである。
【0037】
導光部12は、本体部11の端部周面を覆う筒壁15と、本体部11の端部開口を塞ぐ閉塞壁16とを一体に備えたキャップ状のプラスチック成形品からなり、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを素材にして形成してある。先の照明レンズ4と、対物レンズ5の外面を覆う閉塞壁16は透光性を備えており、同壁16の内端面17および外端面18のそれぞれは鏡面化してある。筒壁15および閉塞壁16の隅部の全ては丸められており、これにより挿入部2を体内へ挿入し、あるいは体内から抜き出す際に、導光部12が器官内壁に引っ掛かり、あるいは擦って刺激するのを避けることができる。丸められた部分を符号19で示す。
【0038】
導光部12は、以下に説明する製造方法に従って形成することにより、確実にしかも低コストで製造することができる。防染用被覆体は、第1工程から第4工程を経て製造する。図4に示すように第1工程では、予め成形しておいた水溶性中子20を、本体部11の端部内に装填し、その外端面21を本体部11の開口面と面一にする。水溶性中子20は、アモルファスビニルアルコール系樹脂を素材にして形成してあり、外端面21は鏡面に仕上げてある。アモルファスビニルアルコール系樹脂としては、日本合成化学工業株式会社のニチゴーGポリマー(登録商標)を適用できる。本体部11の端部内に装填した水溶性中子20は、本体部11の弾性力によって遊動不能に保持されている。
【0039】
第2工程では、水溶性中子20が装填された本体部11の端部を成形用金型22にインサートして位置決めする。図5に示すように、成形用金型22は、本体部11の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型23・24と、両割り型23・24の端部を塞ぐ端型25とで構成してある。図1に向かって右側の割り型24の端型25との接合面にはゲート溝26が形成してある。図1に示すように、左右の割り型23・24で本体部11の端部を挟んで位置決めし、両割り型23・24の端部を端型25で塞ぐことにより、本体部11の端部の周囲と各型23・24・25の間にキャビティ27が形成される。水溶性中子20の外端面21と対向する端型25の壁面28は鏡面仕上げしてある。
【0040】
第3工程では、本体部11の端部の周囲のキャビティ27に、溶融した透明な熱硬化性のシリコーンゴムを射出し、熱硬化することにより導光部12を本体部11と一体に成形する。このとき、導光部12の外面形状は成形用金型22で規定され、導光部12の内面形状は本体部11、および本体部11に装填した水溶性中子20で規定されることとなる。なお、水溶性中子20の形成素材であるアモルファスビニルアルコール系樹脂の融点は、140℃〜190℃であるので、これより低温で液状態の熱硬化性のシリコーンゴムをキャビティ27内へ射出しても、水溶性中子20が溶融することはない。また、シリコーンゴムの熱硬化温度は90℃〜130℃であるので、硬化時に水溶性中子20が溶融することもない。なお、実際の成形時には、左右の割り型23・24に多数個のキャビティ27を形成しておいて、各割り型23・24の間に多数個の本体部11をインサートした状態で導光部12を成形する。
【0041】
導光部12を成形する工程では、その筒壁15の内面が本体部11の表面に密着する状態で一体化する。したがって、接着剤を使用する必要もなく、導光部12を本体部11と強固に一体化できる。所定の固化時間が経過したのち、成形用金型22を分解して本体部11を金型から取り外すことにより、導光部12も容易に離型できる。得られた導光部12の全体は透光性を備えており、閉塞壁16の内端面17および外端面18のそれぞれは鏡面化されている。また、閉塞壁16の内端面17および外端面18は、それぞれ本体部11の中心軸線に対して直交している。ゲート部分は切除して取り除いておく。
【0042】
第4工程では、本体部11の内部に温水を供給して水溶性中子20を溶融除去する。詳しくは、温水を本体部11の内部に噴出して充満させ、さらに本体部11および導光部12の全体を温水中に浸漬して、水溶性中子20を溶融除去する(図7参照)。温水の温度は60〜90℃とする。こののち、本体部11および導光部12を乾燥し、本体部11の開口端に装着部13を固定して防染用被覆体を完成する。得られた防染用被覆体は、殺菌したのち個包装して密封することにより製品化する。
【0043】
防染用被覆体を使用する場合には、内視装置の挿入部2を装着部13の側から本体部11の内部に差し込んで、挿入部2の全体を防染用被覆体の本体部11で覆い、さらに光学ヘッド部3の外面を導光部12で覆って、閉塞壁16を光学ヘッド部3の端面に密着させる。この状態で装着部13を操作ユニット1の口金に外嵌固定して、装着状態を保持する。先に説明したように、閉塞壁16の内端面17および外端面18は、それぞれ本体部11の中心軸線に対して直交しており、さらに鏡面化されている。したがって、光学ヘッド部3の端面を閉塞壁16で覆った状態では、照明レンズ4から照射された照明光を、導光部12の外へ向かって適正に照射でき、さらに、対物レンズ5に入射する光が閉塞壁16を通過する間に歪むのを解消できる。また、鏡面化してある内端面17および外端面18では光が散乱することもなく、したがって、導光部12を設けることに伴なう放射光や入射光の損失を小さくできる。
【0044】
図8および図9は、それぞれ導光部12の変形例を示す。図8(a)では、水溶性中子20を本体部11の開口面より外部に突出させて、導光部12を成形するようにした。また、図8(b)では、水溶性中子20の外端面21を斜めに傾斜させて、導光部12の入出光面を傾斜させた。さらに、図8(c)では、水溶性中子20の外端面21を球面状に形成して、導光部12の入出光面をドーム状に形成した。図9に示す導光部12は、先の実施例における筒壁15を省略し、本体部11に内嵌する軸部31と、本体部11の端面を覆うフランジ壁32とで導光部12を形成した。
【0045】
図10および図11は、導光部12のさらに別の変形例を示す。そこでは、導光部12で覆われる筒壁15の端部の対向周面の複数個所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部35を予め形成しておき、この係合部35と係合するアンカー部36を、導光部12と一体に形成するようにした。係合部35は、光束が小さく絞られたレーザー光を筒壁15に対して直交状に照射して形成することができ、この実施例では、直径が0.6mmの係合部35を、筒壁15の対向周面の4個所に形成した。なお、係合部35を第1工程より前に形成するのは、第1工程の後で係合部35を形成すると、水溶性中子20に穴や凹部が形成されるからである。このように、係合部35が形成してある本体部11を成形用金型22の内部にインサートした状態で導光部12を成形すると、第3工程において、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部を係合部35に充満させて、導光部12と一体のアンカー部36を形成することができる。
【0046】
上記のように、本体部11の端部周面に係合部35を形成しておき、導光部12を成形する過程で係合部35と係合するアンカー部36を形成すると、導光部12を本体部11に対してさらに強固に一体化できる。また、係合部35とアンカー部36とが互いに係合することによって、導光部12が本体部11から抜け外れるのを防止できるので、挿入部2とともに体内に挿入した本体部11を体外へ抜き出す場合に、導光部12が本体部11から分離して体内に残るなどの事故をさらに確実に防止できる。
【0047】
なお、本体部11の端部周面に接着剤(プライマー)を塗布した状態で導光部12を成形すると、導光部12を本体部11に対して強固に固定できる。しかし、その場合には、接着剤が体細胞や体内の器官等に及ぼす悪影響を考慮する必要があり、とくに人体に適用される内視装置において使用がためらわれる。その点、導光部12を本体部11に対して、係合部35とアンカー部36を介して機械的に一体化する上記の防染用被覆体によれば、安心かつ安全に防染用被覆体を適用できる。
【0048】
係合部35は少なくとも1個あれば足りるが、本体部11の端部周面の複数個所に形成しておくことが好ましい。また、複数個の係合部35を形成する場合の、係合部35の配置パターンは実施例で説明した配置パターンである必要はなく、任意の複数位置に任意の配置パターンで形成することができる。さらに、係合部35はチューブ壁を内外に貫通する状態で形成するのが好ましいが、凹部状に形成してあってもよい。本体部11の端部周面に、螺旋ピッチが不揃いの螺旋溝状の凹部や、交差する溝などを形成して、これを係合部35とすることができる。要は、キャビティ27内に射出された溶融樹脂の一部が入り込んで、導光部12が軸心方向や周方向へ移動しようとするのを阻止できる構造であれば、溝、凹部、貫通穴などのいずれであってもよい。本体部11の内面に臨むアンカー部36の端部に、係合部35の内径より直径が大きな、薄いフランジ壁を形成することができる。その場合には、本体部11の内面に突出する薄いフランジ壁と筒壁15とでチューブ壁を内外に挟持して、導光部12を本体部11に対してさらに強固に固定できる。
【0049】
上記の実施例では、本体部11をポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成したがその必要はなく、熱硬化性のシリコーンゴムに対して相溶性を備えたプラスチック材を素材とする極細チューブで本体部11を構成することができる。水溶性中子20は、実施例で説明したアモルファスビニルアルコール系樹脂以外に、ポリビニルアルコールで形成することができる。
【0050】
本発明に係る防染用被覆体は、配管の内部の腐食状態や、エンジンの内部の状態などを確認するための工業用の内視装置にも適用できる。その場合には、本体部11を金属チューブやガラスチューブで形成することができ、実施例で説明したように、本体部11の端部を成形用金型22にインサートして導光部12を成形するとよい。そのとき、成形用金型22にインサートされる本体部11の端部にプライマーを塗布しておけば、成形された導光部12を本体部11に強固に固定することができる。導光部12の閉塞壁16は、必要に応じてレンズとして形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 操作ユニット
2 挿入部
3 光学ヘッド部
11 本体部
12 導光部
15 筒壁
16 閉塞壁
17 内端面
18 外端面
20 水溶性中子
22 成形用金型
23 割り型
24 割り型
25 端型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視装置の挿入部(2)の外面を覆う本体部(11)と、本体部(11)の先端に設けられる導光部(12)とを備えている防染用被覆体であって、
本体部(11)は屈曲可能な極細チューブで形成されており、
導光部(12)は透明なプラスチック材で形成されて透光性を備えており、
導光部(12)と本体部(11)とは、導光部(12)の成形時に、本体部(11)の端部を成形用金型(22)の内部にインサートして一体化してあることを特徴とする内視装置の防染用被覆体。
【請求項2】
本体部(11)が、ポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成されており、
導光部(12)が、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成してある請求項1に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項3】
導光部(12)が、本体部(11)の端部周面を覆う筒壁(15)と、本体部(11)の端部開口を塞ぐ閉塞壁(16)とを一体に備えており、
閉塞壁(16)の内端面(17)、および外端面(18)のそれぞれが鏡面化してある請求項1または2に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項4】
本体部(11)の周面に露出する筒壁(15)および閉塞壁(16)の隅部の全てが丸めてある請求項3に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項5】
本体部(11)で覆われる内視装置の挿入部(2)の外径寸法が0.4ないし1.0mmであり、
本体部(11)の内径寸法が0.65ないし1.25mmである請求項1から4のいずれかに記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項6】
導光部(12)で覆われる本体部(11)の端部周面に、係合部(35)が形成されており、
前記係合部(35)と係合するアンカー部(36)が、導光部(12)と一体に形成してある請求項1から5のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項7】
本体部(11)の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部(35)が形成されており、
複数の係合部(35)に対して、導光部(12)がアンカー部(36)を介して係合している請求項6に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項8】
屈曲可能な極細チューブで形成される本体部(11)と、本体部(11)の先端に設けられる導光部(12)とを備えている防染用被覆体の製造方法であって、
予め成形した水溶性中子(20)を、本体部(11)の端部内に装填する第1工程と、
水溶性中子(20)が装填された本体部(11)の端部を成形用金型(22)にインサートする第2工程と、
本体部(11)の端部の周囲のキャビティ(27)に透明な溶融樹脂を射出して、導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する第3工程と、
成形用金型(22)から取り出した本体部(11)の内部に温水を供給して水溶性中子(20)を溶融除去する第4工程とを含むことを特徴とする内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項9】
第2工程において、ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部(11)を成形用金型(22)にインサートし、
第3工程において、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを本体部(11)の端部の周囲のキャビティ(27)に射出し、熱硬化して導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する請求項8に記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項10】
成形用金型(22)が、本体部(11)の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型(23・24)と、割り型(23・24)の端部を塞ぐ端型(25)とで構成されており、
前記成形用金型(22)を用いて、導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する請求項8または9に記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項11】
水溶性中子(20)の外端面(21)と、水溶性中子(20)の外端面(21)と対向する端型(25)の壁面(28)のそれぞれが鏡面仕上げしてある請求項8から10のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項12】
第1工程より前に、導光部(12)で覆われる本体部(11)の端部周面に、係合部(35)を形成しておき、
第3工程において、キャビティ(27)内に射出された溶融樹脂の一部を前記係合部(35)に充満させて、アンカー部(36)を導光部(12)と一体に形成する請求項8から11のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項1】
内視装置の挿入部(2)の外面を覆う本体部(11)と、本体部(11)の先端に設けられる導光部(12)とを備えている防染用被覆体であって、
本体部(11)は屈曲可能な極細チューブで形成されており、
導光部(12)は透明なプラスチック材で形成されて透光性を備えており、
導光部(12)と本体部(11)とは、導光部(12)の成形時に、本体部(11)の端部を成形用金型(22)の内部にインサートして一体化してあることを特徴とする内視装置の防染用被覆体。
【請求項2】
本体部(11)が、ポリアミド系のエラストマーを素材とする極細チューブで形成されており、
導光部(12)が、透明な熱硬化性のシリコーンゴムで形成してある請求項1に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項3】
導光部(12)が、本体部(11)の端部周面を覆う筒壁(15)と、本体部(11)の端部開口を塞ぐ閉塞壁(16)とを一体に備えており、
閉塞壁(16)の内端面(17)、および外端面(18)のそれぞれが鏡面化してある請求項1または2に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項4】
本体部(11)の周面に露出する筒壁(15)および閉塞壁(16)の隅部の全てが丸めてある請求項3に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項5】
本体部(11)で覆われる内視装置の挿入部(2)の外径寸法が0.4ないし1.0mmであり、
本体部(11)の内径寸法が0.65ないし1.25mmである請求項1から4のいずれかに記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項6】
導光部(12)で覆われる本体部(11)の端部周面に、係合部(35)が形成されており、
前記係合部(35)と係合するアンカー部(36)が、導光部(12)と一体に形成してある請求項1から5のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項7】
本体部(11)の端部周面の複数箇所に、チューブ壁を内外に貫通する係合部(35)が形成されており、
複数の係合部(35)に対して、導光部(12)がアンカー部(36)を介して係合している請求項6に記載の内視装置の防染用被覆体。
【請求項8】
屈曲可能な極細チューブで形成される本体部(11)と、本体部(11)の先端に設けられる導光部(12)とを備えている防染用被覆体の製造方法であって、
予め成形した水溶性中子(20)を、本体部(11)の端部内に装填する第1工程と、
水溶性中子(20)が装填された本体部(11)の端部を成形用金型(22)にインサートする第2工程と、
本体部(11)の端部の周囲のキャビティ(27)に透明な溶融樹脂を射出して、導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する第3工程と、
成形用金型(22)から取り出した本体部(11)の内部に温水を供給して水溶性中子(20)を溶融除去する第4工程とを含むことを特徴とする内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項9】
第2工程において、ポリイミド系のエラストマーを素材とする極細チューブからなる本体部(11)を成形用金型(22)にインサートし、
第3工程において、透明な熱硬化性のシリコーンゴムを本体部(11)の端部の周囲のキャビティ(27)に射出し、熱硬化して導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する請求項8に記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項10】
成形用金型(22)が、本体部(11)の中心軸を通る平面で分割された一対の割り型(23・24)と、割り型(23・24)の端部を塞ぐ端型(25)とで構成されており、
前記成形用金型(22)を用いて、導光部(12)を本体部(11)と一体に成形する請求項8または9に記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項11】
水溶性中子(20)の外端面(21)と、水溶性中子(20)の外端面(21)と対向する端型(25)の壁面(28)のそれぞれが鏡面仕上げしてある請求項8から10のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【請求項12】
第1工程より前に、導光部(12)で覆われる本体部(11)の端部周面に、係合部(35)を形成しておき、
第3工程において、キャビティ(27)内に射出された溶融樹脂の一部を前記係合部(35)に充満させて、アンカー部(36)を導光部(12)と一体に形成する請求項8から11のいずれかひとつに記載の内視装置の防染用被覆体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−24545(P2012−24545A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214136(P2010−214136)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(591009093)マクセル精器株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(591009093)マクセル精器株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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