説明

内視鏡のすすぎ方法

【課題】洗浄剤に含まれる界面活性剤の作用を有効に、かつ効果的に利用することにより、汚れの再付着を抑制し、総合的な洗浄効率を高めることのできる内視鏡のすすぎ方法を提供する。
【解決手段】内視鏡洗浄機において内視鏡をすすぐすすぎ方法であって、槽内に、水の供給に加えて界面活性剤を投入し、界面活性剤を含む第1のすすぎ水で槽内に置かれた内視鏡をすすぎ、第1のすすぎ水によるすすぎの後に、水のみを供給し、前記界面活性剤を含まない第2のすすぎ水で内視鏡をすすぐことにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を洗浄した後のすすぎ方法に関し、特に、内視鏡の自動洗浄機におけるすすぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡は、人体等の生体内に挿入されて、臓器の診断や治療、標本の採取等に使用される。
内視鏡は、複数の患者に共用され、かつ、繰り返し使用される。そのため、使用後の内視鏡は、徹底した衛生管理を行う必要があり、内視鏡を媒体とする細菌の感染等を完全に防止するために、1回使用する毎に入念な洗浄および消毒を行う必要がある。
正確で作業者にも安全な洗浄消毒を自動で行う装置として、内視鏡洗浄機が実用化されている。
【0003】
内視鏡の使用頻度が高い場合には、複数の内視鏡が用いられ、順次その洗浄消毒が行われる。そのため、内視鏡の洗浄消毒は、高い洗浄性を維持しつつ、なるべく短時間で行えることが望ましい。内視鏡の洗浄消毒は、一般に、洗浄液を用いた洗浄工程、すすぎ工程、消毒工程、および、すすぎ工程を順に実行することにより行われる。このすすぎ工程を効率化できれば、内視鏡の洗浄消毒時間を短縮化できる。
【0004】
洗浄工程後のすすぎ工程では、洗浄工程で落とした汚れが洗浄槽内に残り、その汚れが被洗浄物である内視鏡に再付着するおそれがある。汚れが再付着すると、当然ながら、すすぎに時間を要してしまう。しかし、従来の内視鏡洗浄機では、すすぎ工程における汚れの再付着については特段の配慮はされていない。
【0005】
ところで、特許文献1には、金属部品や非金属部品などの物品表面に付着している油脂類、および、プリント配線基板などのハンダ処理に使用されるフラックス等の洗浄システムとして、洗浄槽、プレリンス槽および仕上げリンス槽の3つの槽を設けた洗浄システムが記載されている。この洗浄システムでは、プレリンス槽で生成するすすぎ廃水をイオン交換処理して、該すすぎ廃水中に含まれるイオン性物質を除去するとともに、該すすぎ廃水中に含まれる非ハロゲン系洗浄剤および水を、プレリンス槽のすすぎ水として循環使用している。そして、水のほかに洗浄剤成分を含むものをすすぎ水として使用することにより、単に水のみからなるすすぎ水では被洗浄物から十分に剥離しえなかった汚れ成分を効率よく剥離しうるとともに、洗浄剤成分が油脂類等の汚れ成分をミセルとして取り込み、被洗浄物への再付着を効率よく防止できる、と記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−204591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、被洗浄物に付着してプレリンス槽に運ばれた洗浄剤成分を除去せずに循環使用しているだけなので、プレリンス槽中の洗浄剤の濃度は定まらない。そのため、汚れ成分の被洗浄物への再付着防止が常に良好に行なわれるとは限らない。
また、従来の内視鏡洗浄機は、1つの槽で洗浄、すすぎ、および消毒を行って、1回の洗浄消毒の処理ごとに槽内の処理液を入れ替えるものがほとんどである。そのため、内視鏡洗浄機においては、洗浄工程後のすすぎ工程において洗浄剤成分が蓄積されることはなく、すすぎ水の洗浄剤成分の濃度は常に低いため、汚れ成分の再付着防止効果は期待できない。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、内視鏡のすすぎ処理において、洗浄剤に含まれる界面活性剤の作用を有効に、かつ効果的に利用することにより、汚れの再付着を抑制し、総合的な洗浄効率を高めることのできる内視鏡のすすぎ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、内視鏡洗浄機において内視鏡をすすぐすすぎ方法であって、
槽内に、水の供給に加えて界面活性剤を投入し、
前記界面活性剤を含む第1のすすぎ水で前記槽内に置かれた内視鏡をすすぎ、
前記第1のすすぎ水によるすすぎの後に、水のみを供給し、
前記界面活性剤を含まない第2のすすぎ水で前記内視鏡をすすぐことを特徴とする内視鏡のすすぎ方法を提供する。
【0010】
ここで、水に加えて投入する前記界面活性剤の量は、前記槽内の前記第1のすすぎ水における前記界面活性剤の濃度が、限界ミセル濃度付近の濃度となるように調整するのが好ましい。
【0011】
また、少なくとも前記第1のすすぎ水によるすすぎの全工程では、水道から供給された水を常温のままで用い、
前記第2のすすぎ水によるすすぎの一部または全部の工程では、水道から供給された水を加熱することにより昇温させて用いるのが好ましい。
【0012】
また、先に、前記槽内のすすぎ水の一部を排出しつつ排出した分を新規の供給水で補いながら前記内視鏡をすすぐ、オーバーフローすすぎを行い、
次に、前記槽内のすすぎ水を一旦全部を排出した上ですすぎ水を全て新規の供給水で補って前記内視鏡をすすぐ、ためすすぎを行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内視鏡のすすぎ処理において、初めは、水に界面活性剤を加え、界面活性剤を含む水ですすぎ、次に、水のみですすぐ構成としたことにより、界面活性剤の作用を有効活用して、汚れの再付着を効果的に抑制することができ、すすぎ効率を高めることができる。
また、本発明の一態様によれば、水に加える界面活性剤の濃度が限界ミセル濃度付近となる量の界面活性剤を加えることにより、すすぎ水中の界面活性剤の作用を十分に発揮させ、汚れの再付着を効果的に抑制することができ、すすぎ効率を高めることができる。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、界面活性剤を含むすすぎ水の水は、水道から供給されたままの温度、すなわち常温で用いるのに対し、水のみですすぐときに高温のすすぎ水を用いることにより、すすぎ工程前半での汚れの再付着抑制の効果と、すすぎ工程後半での内視鏡に付着した界面活性剤の除去促進の効果とをともに得ることができ、すすぎ効率を高めることができる。
また、本発明の一態様によれば、上記に加え、すすぎ工程前半ではオーバーフローすすぎ行い、すすぎ工程後半ではためすすぎを行うことにより、すすぎ効率をより一層高めることができる。
そして、本発明によれば、上記各態様によってすすぎ効率を高めることにより、総合的な洗浄効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る内視鏡のすすぎ方法を、添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の内視鏡のすすぎ方法を実施する内視鏡洗浄機の一例の概略構成を示すブロック図である。図1に示す内視鏡洗浄機10(以下、洗浄機10とする。)は、図2に示すような内視鏡12を2つ別個に洗浄および消毒可能な装置であり、第1洗浄槽14a、第2洗浄槽14b、制御部16、洗浄液タンク100、消毒液タンク102、および、アルコールタンク104を備える。なお、本実施形態の洗浄機10は、2つの洗浄槽を備えるが、洗浄機10は、洗浄槽を1つだけ備えてもよいし、3つ以上備えてもよい。
【0017】
内視鏡12は、従来公知のものであり、図2に示すように、光源と接続されるコネクター部18と、コネクター部18に接続するユニバーサルコード部20と、ユニバーサルコード部20に接続し、スコープの角度や吸引、送気送水の操作をする操作部22と、操作部22に接続し、患者の体内に挿入される挿入部24とから構成されている。
【0018】
内視鏡12の内部には、コネクター部18の端部から挿入部24の先端にわたってライトガイドが収容されており、コネクター部18の送気送水チャンネル口28から挿入部24の先端にわたって送気送水チャンネルを形成する送気送水チューブが収容されており、また、コネクター部18の吸引チャンネル口30から挿入部24の先端にわたって吸引チャンネルを形成する吸引チューブが収容されている。また、操作部22の鉗子チャンネル口26から挿入部24の先端にわたって、鉗子チャンネルが設けられている。操作部22の鉗子チャンネル口26から挿入部24の先端にわたって、鉗子起上チャンネルが設けられているものもある。さらに、コネクター部18には、漏水検知用の加圧口31が設けられている。
【0019】
内視鏡12の洗浄消毒においては、内視鏡12の外側と、鉗子チャンネル、送気送水チャンネル、吸引チャンネル、および鉗子起上チャンネルの各チャンネルの内部を十分に洗浄消毒する。このとき、撮像に関する電子部品は洗浄水や処理液から完全に保護する必要がある。
【0020】
図1の洗浄機10において、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bは、それぞれ1つの内視鏡12を洗浄および消毒するための槽であり、両者は、同様の構成を有している。制御部16は、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bにおける洗浄消毒の工程を制御する。
【0021】
洗浄液タンク100は、内視鏡を洗浄するための洗浄液を貯留する部分である。洗浄液は、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bにおいて、水で所定倍に希釈して用いられる。希釈され、内視鏡12の洗浄に用いられた洗浄液(処理液)は、1回の洗浄ごとに廃液とされる。
消毒液タンク102は、消毒液を貯留する部分である。洗浄機10で用いられる消毒液が、複数回の消毒に使用することができるものである場合には、消毒液タンク102から第1洗浄槽14aまたは第2洗浄槽14bへ供給された消毒液は、消毒後再び消毒液タンク102へ回収される。そして、所定回数の使用の後に、廃液とされる。
アルコールタンク104は、アルコールフラッシュ用のアルコールを貯留する部分である。
【0022】
洗浄機10は、2つの洗浄槽14a,14bに対して1つの消毒液タンク102を備えており、2つの洗浄槽14a,14bで1つの消毒液タンク102を共用する。また、洗浄機10は、洗浄液タンク100およびアルコールタンク104も、それぞれ1つのみを備えており、2つの洗浄槽14a,14bで共用する。図1において、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bと、洗浄液タンク100、消毒液タンク102およびアルコールタンク104とを結ぶ線は、これらが配管により接続されていることを示している。
【0023】
図3は、図1の洗浄機10における配管系統の概略を示すブロック図である。図3に示すように、洗浄機10は、洗浄液タンク100から洗浄槽14a,14bに洗浄液を供給する洗浄液ポンプ106、消毒液タンク102から洗浄槽14a,14bに消毒液を供給する消毒液ポンプ108、および、アルコールタンク104から洗浄槽14a,14bにアルコールを供給するアルコールポンプ110を、それぞれ1つだけ有しており、2つの洗浄槽14a,14bについてそれらを共用する。
これらのポンプは、公知の各種のポンプを利用すればよいが、定量ポンプを用いるのが好ましいのは、もちろんであり、また、各タンクが洗浄槽14a,14bよりも下方に位置する場合には、ダイアフラムポンプ等の自給式の定量ポンプを用いるのが好ましい。
【0024】
また、洗浄機10は、内視鏡12の各チャンネルの漏水検知を行うための第1エアポンプ114、内視鏡12の各チャンネル内に空気を供給するための第2エアポンプ116、および、洗浄槽14a,14b内の水または処理液を排水するための排水ポンプ118も、それぞれ1つのみを有し、2つの洗浄槽14a,14bでそれらを共用する。第1エアポンプ114および第2エアポンプ116の空気導入口には、エアフィルタ120が設けられる。
【0025】
図示例において、消毒液タンク102には、タンク内の消毒液の量を測定するためのレベルセンサ102Lと、消毒液を消毒液タンク102に供給する、消毒液が充填された消毒液ボトルBの取付部102Aが設けられている。図示例の洗浄機10においては、一例として、2つの取付部102A,102Aが設けられている。また、消毒液タンク102には、消毒液の匂いが外部に漏れるのを防止するための消臭フィルタ102Fが設けられる。さらに、消毒液タンク102は、消毒液タンク102への埃や雑菌等の異物の混入を防止するためのエアフィルタを有してもよい。
洗浄機10においては、次の消毒液の補充まで、消毒液ボトルBを取り付けた状態で維持できる構成とし、この消毒液ボトルBを取付部102Aの蓋体、すなわち、消毒液タンク102の蓋体として作用させてもよい。
【0026】
洗浄液タンク100には、洗浄液が洗浄液タンク100から排出されることを防止するため逆止弁100Vが設けられ、また、アルコールタンク104にも、アルコールがアルコールタンク104から排出されることを防止するための逆止弁104Vが設けられる。
【0027】
第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bは、基本的に同じ構成を有し、また、配管系も同じ構成を有する部分が多いので、以下では、両者を代表して第1洗浄槽14aについて説明し、第2洗浄槽14bに関しては、対応する構成要素の符号を括弧書きするとともに、構成の異なる部分についてのみ説明を加える。
【0028】
第1洗浄槽14a(第2洗浄槽14b)内には、内視鏡12の鉗子チャンネル口26に接続するための鉗子ポート126a(126b)、内視鏡12の送気送水チャンネル口28に接続するための送気送水ポート128a(128b)、および、内視鏡12の吸引チャンネル口30に接続するための吸引ポート130a(130b)が設けられている。また、鉗子起上チャンネルを有する内視鏡について、鉗子起上チャンネル口に接続するための鉗子起上ポート124a(124b)も設けられる。
また、第1洗浄槽14a(第2洗浄槽14b)内には、洗浄液を導入する洗浄液口132a(132b)、消毒液を導入する消毒液口134a(134b)、水道水を導入する給水口136a(136b)が形成され、さらに、漏水検知を行うための空気を導入する空気口138a(138b)、および、排水口144a(144b)が設けられる。
【0029】
また、第1洗浄槽14a(第2洗浄槽14b)には、槽内の液量を検出するためのレベルセンサ142a(142b)、槽内の液温を測定するための温度計TE、および、槽内の液体を加熱するためのヒータHが設けられる。ヒータHは、第1洗浄槽14a内の液体(処理液)に加温できればよく、第1洗浄槽14aの内部または外部に設置可能な公知のヒータを用いることができる。
レベルセンサ142aは、一例として、4段階で液量を検出できるものである。あるいは、4つのレベルセンサが設けられているものでもよい。
【0030】
鉗子起上ポート124a(124b)はバルブ150a(150b)を介して、鉗子ポート126a(126b)はバルブ152a(152b)を介して、送気送水ポート128aはバルブ154a(154b)を介して、さらに、吸引ポート130aはバルブ156a(156b)を介して、共に、バルブ158a、160a、および162a(158b、160b、および162b)に接続される。
なお、洗浄機10において、バルブには、特に限定はなく、電磁弁や電動弁等の公知の自動開閉可能なバルブを利用すればよい。但し、洗浄槽14a,14bからの廃液の排出や、消毒液を消毒液タンクに戻すライン(配管)に設けるバルブは、バルブ内のデッドスペースが小さい等の点で、電動弁を利用するのが好ましい。
【0031】
バルブ158a(158b)は、アルコールタンク104のアルコール供給ポンプ110に接続される。
バルブ160a(160b)は、前記内視鏡12の各チャンネル内に空気を導入するための第2エアポンプ116に接続される。
バルブ162a(162b)は、洗浄機10の各部位に水道水を供給するための水供給ライン164に接続される。
【0032】
水供給ライン164は、上水道の蛇口等に接続され、洗浄機10に水道水を供給するためのものであり、図3に示すように、上流より、異物の混入を防止するためのフィルタ166、装置内の配管系に過剰な圧力が係る事を防止するための減圧弁168、第1バルブ170、および第2バルブ172を有する。
前記バルブ162a(162b)からの配管は、水供給ライン164の第1バルブ170と第2バルブ172との間に接続される。以下、このバルブ162a(162b)から、第1バルブ170と第2バルブ172との間に至る配管を、便宜的に、水供給管163a(163b)とする。この水供給管163a(163b)は、途中で分岐して、後述する第1洗浄槽14a(第2洗浄槽14b)の循環ポンプ182a(182b)および給水口136a(136b)に設けられるバルブ180a(180b)に接続される。
さらに、第2バルブ172は、消毒液タンク102、および、第1洗浄槽の14a(第2洗浄槽14b)の排出口144a(144b)に接続されるバルブ190a(190b)に接続される。
【0033】
一方、洗浄液口132a(132b)は、バルブ176a(176b)を介して、洗浄液ポンプ106に接続される。消毒液口134a(134b)は、バルブ178a(178b)を介して、消毒液ポンプ108に接続される。さらに、給水口136a(136b)は、バルブ180a(180b)を介して、前記水供給管163a(163b)に接続される。言い換えれば、水供給管163a(163b)から分岐する分岐管が、バルブ180a(180b)すなわち給水口136a(136b)に接続される。
第1洗浄槽14a(第2洗浄槽14b)には、循環ポンプ182a(182b)が接続される。この循環ポンプ182aは、第1洗浄槽14a内の液体を、前記水供給管163aから分岐してバルブ180a、すなわち給水口136aに至る分岐管に供給する。
【0034】
漏水検知のための空気を導入する空気口138a(138b)は、バルブ184a(184b)を介して、第1エアポンプ114に接続された減圧弁186に接続される。
また、空気口138a(138b)からバルブ184a(184b)への配管には、圧力計188a(188b)が配置される。なお、圧力計188a(188b)は、圧力が所定圧となった時点で第1エアポンプ114に信号を出力する圧力トランスミッタ等であるのが好ましい。
【0035】
排出口144a(144b)は、バルブ190a(190b)を介して、排水ポンプ118に接続される。
排水ポンプ118は、バルブ192を有する排水ライン194に、洗浄槽14a,14b内の液体等を送る。また、水供給ライン164と排水ライン194とは、バイパスバルブ196を介して、水供給ライン164のフィルタ166の上流と、排水ライン194のバルブ192の上流とで、接続される。
また、排出口144a(144b)とバルブ190a(190b)との間の配管は、途中で分岐して、バルブ198a(198b)を介して、水供給ライン164の第2バルブ172および消毒液タンク102に接続される。この、洗浄槽14a(14b)の排出口144a(144b)から消毒液タンク102へ至る管路、およびバルブ198a(198b)は、本名発明の消毒液回収手段を構成する。
洗浄機10の配管系統は、概ね上記のように構成される。
【0036】
制御部16は、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bにおける洗浄消毒の工程を制御する。図4は、制御部16の概略構成を概念的に示すブロック図である。
図4に示すように、制御部16は、CPU32、RAM34、ROM36、I/O制御回路38、通信I/F回路40、パネルI/F回路42、クロック44、リセット回路46、負荷駆動回路48、センサI/F回路50、および、A/D変換回路52を有する。
【0037】
CPU32は、洗浄機10における洗浄消毒処理を制御するためのもので、第1洗浄槽14aおよび第2洗浄槽14bの2つの槽に対して1つのCPU32で制御する。
【0038】
ROM36は、洗浄消毒処理制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムを記憶する。記憶された洗浄プログラムを含む各種アプリケーションプログラムは、CPU32によってROM36から読み出され、RAM34にセットされる。RAM34は、洗浄機10における洗浄消毒の履歴データを記憶する。ROM36には、洗浄機10が備える洗浄槽の数に対応する洗浄消毒処理制御プログラムのみを記憶させておき、CPU32が常にそのプログラムを読み出すようにしてもよい。あるいは、ROM36に、1槽から任意の複数槽の各構成に対応する複数の洗浄消毒処理制御プログラムを記憶させておき、CPU32が実際の構成に対応するプログラムを選択してROM36から読み出すようにしてもよい。
また、洗浄消毒処理制御プログラムのバリエーションを用意してROM36に記憶させておき、オペレータからの指示により、または装置構成に対応するCPU32の選択により、CPU32が適切なプログラムを選択して読み出すようにしてもよい。
【0039】
負荷駆動回路48は、図3に示したポンプ類(106、108、110等)、電磁バルブ(150a、152a、154a、156a、198a等)、ヒータ(H)の駆動回路である。
センサI/F回路50は、タンクや洗浄槽の水位を検出するレベルセンサ(102L、142a、142b)、洗浄槽14a,14bの蓋の開閉を検出するセンサ、その他の洗浄機10に設けられるセンサのインターフェースである。
A/D変換回路52は、温度センサ(TE)や圧力センサ(PE)のアナログの出力値をA/D変換する。
【0040】
通信I/F回路40は、洗浄機10に備えられたLAN接続部54、RFID R/W部56、およびプリンタ58との通信インターフェース回路である。
洗浄機10は、LAN接続部54により、制御部16を病院内のネットワーク等に接続して、洗浄機10における洗浄消毒の履歴データを通信することができる。
RFID R/W部56では、RFID(Radio Frequency Identification System)を利用した洗浄消毒に関する情報の読み出し/書き込みが行われる。例えば、RFID R/W部56では、内視鏡12に取り付けられたICタグから、その内視鏡12の洗浄履歴のデータを読み出すことや、洗浄機10における洗浄消毒後に、その処理データを内視鏡12のICタグに書き込むことができる。さらに、内視鏡12の洗浄を担当するオペレータの識別情報が入力されたICタグからその情報を読み出すことや、そのオペレータが実行した洗浄の履歴をオペレータのICタグに書き込むことができる。CPU32は、RFID R/W部56においてICタグから読み出した各種データを、洗浄履歴データとしてRAM34に記憶することができ、また、LAN接続部54を介してネットワークに送信することができる。
プリンタ48からは、履歴管理データをプリントすることができる。このプリンタ48は、洗浄機10に搭載されたものでもよいし、外部のプリンタでもよい。
【0041】
パネルI/F回路42は、洗浄機10の表示・操作パネル60とのインターフェースである。表示・操作パネル60は、洗浄機10に関する情報を表示するものであり、また、オペレータからの指示を入力できるタッチパネルとしても機能する。
【0042】
洗浄機10における洗浄消毒の各工程は、制御部16が制御する。制御部16は、CPU32によって、ROM36から予め設定された洗浄消毒プログラムを読み出し、それに従って、洗浄機10のポンプ、バルブ、弁、センサ等の各部を制御して、洗浄消毒の各工程を実行する。
【0043】
次に、洗浄機10による内視鏡12の洗浄消毒の作用を説明する。以下の説明も、第1洗浄槽14aを代表に行うが、第2洗浄槽14bも、全く同様にして内視鏡の洗浄および消毒を行うことができる。また、以下の説明では、特に記載しなくても、各工程の各処理の説明において、開放と記載したバルブ以外は、全てのバルブは閉塞していることとし、また、駆動と記載したポンプ以外は、全て停止していることとする。
【0044】
洗浄機10においては、基本的に、洗浄液を用いた洗浄工程→すすぎ工程→消毒液による消毒工程→すすぎ工程の順で、内視鏡12の洗浄および消毒を行う。
まず、オペレータ(技師)によって第1洗浄槽14aの所定位置に内視鏡12がセットされ、その後、鉗子ポート124aに内視鏡12の鉗子チャンネル口26が、送気送水ポート128aに送気送水チャンネル口28が、吸引ポート130aに吸引チャンネル口30が、また、内視鏡12に鉗子起上チャンネルがある場合は、鉗子起上ポート124aに鉗子起上チャンネル口が、それぞれ接続される。
なお、これらの接続は、コネクタ等を用いた、内視鏡洗浄機で行われている公知の手段で行えばよい。
【0045】
内視鏡12のセットが完了し、洗浄開始の指示が入力されたら、洗浄機10は、まず最初に、洗浄工程を行う。
まず、水供給ライン164の減圧弁168および第1バルブ170、ならびに、給水口136aに接続するバルブ180aを開放して、水供給ライン164から水供給管163aを経て、給水口136aから第1洗浄槽14a内に、所定量の水道水を導入する(水道水導入)。
所定量の水道水を導入したら、洗浄液口132aに接続するバルブ176aを開放して、洗浄液ポンプ106を駆動して、洗浄液タンク100から洗浄液口132aに洗浄液を供給して、第1洗浄槽14a内に、所定量の洗浄液を供給する(洗浄液導入)。
【0046】
なお、洗浄機10においては、洗浄工程の水道水導入の後に、すなわち水道水導入と洗浄液導入との間に、必要に応じて、後述する漏水検知工程を行ってもよい。
また、漏水検知工程を実施しない場合には、水道水の導入と洗浄液の導入とを、並行して行ってもよい。
【0047】
所定量の水道水および洗浄液を第1洗浄槽14aに導入したら、バルブ162aを開放して、循環ポンプ182aを駆動し、かつ、一例として、鉗子起上ポート124aに接続するバルブ150a(鉗子起上ポート124aに鉗子起上チャンネル口が接続されている場合のみ)、鉗子ポート126aに接続するバルブ152a、送気送水ポート128aに接続するバルブ154a、および、吸引ポート130aに接続するバルブ156aを、1個ずつ、順次、所定時間だけ開放する。なお、バルブ開放時間は、各ポートで同じでもよいし、異なってもよい。内視鏡12の各チャンネルの一端である各チャンネル口26,28,30等から送り込まれた洗浄液は、各チャンネルの他端である、挿入部24(図2参照)の先端から排出されて、第1洗浄槽14a内に戻る。
これにより、内視鏡12の各チャンネル内に第1洗浄槽14a内の洗浄液を循環させて、洗浄液による内視鏡12の各チャンネルの洗浄を、順次、行う(チャンネル洗浄)。
【0048】
チャンネル洗浄を終了したら、給水口136aに対応するバルブ180aを開放して循環ポンプ182を駆動する。
これにより、内視鏡12の外部で、第1洗浄槽14a内で洗浄液を循環して、洗浄液による内視鏡12の外部の洗浄を行う(外部流水洗浄)。
【0049】
外部洗浄を所定時間行ったら、バルブ190aおよびバルブ192を開放して、排水ポンプ118を駆動して、第1洗浄槽14a内の洗浄液を排水する(洗浄液排水)。
第1洗浄槽14a内の洗浄液を全て排水したら、バルブ190aおよびバルブ192は開放したままで、さらに、バルブ160aを開放して、第2エアポンプ116を駆動し、かつ、鉗子起上ポート124aに接続するバルブ150a、鉗子ポート124aに接続するバルブ152a、送気送水ポート128aに接続するバルブ154a、および、吸引ポート130aに接続するバルブ156aを、1個ずつ、順次、開放する。
これにより、鉗子起上ポート124a、鉗子ポート124a、送気送水ポート128a、および吸引ポート130aから、内視鏡12の各チャンネルに空気を送り込み、チャンネル内に残っている洗浄液を内視鏡から排出する(洗浄送気)。
【0050】
上記洗浄工程は、複数回行ってもよい。洗浄工程を複数回行う場合には、洗浄液を排水した後、送気を行う前に、再度水道水および洗浄液を第1洗浄槽14a内に導入し、チャンネル洗浄および外部流水洗浄を行って、洗浄液を排水する。この工程を所定回数繰り返した後、最後に内視鏡12の各チャンネル内への送気を行う。
【0051】
以上で洗浄工程を終了して、次いで、洗浄後のすすぎ工程を行う。このすすぎ工程は、本発明の特徴とする部分である。
ここで、すすぎ工程の説明の前に、洗浄およびすすぎの機構について説明する。図6は、固体汚れの除去の様子を表す概念図であり、図7は、油汚れの除去の様子を表す概念図である。
【0052】
固体汚れの場合は、非洗浄物1に汚れ2が付着しているときに、上述の洗浄工程で洗浄液が投与されると、図6のように、洗浄液中の界面活性剤3が汚れ2に吸着し、界面活性剤の作用で水の表面張力が低下することにより、水分が汚れ2と被洗浄物1との間の狭い隙間まで入り込み、汚れ2が被洗浄物1から分離しやすくなる。汚れ2は、被洗浄物1から分離した後は、界面活性剤3の分散作用により、水溶液中に固体を保持する。
【0053】
油汚れの場合は、非洗浄物1に油汚れ4が付着しているときに、上述の洗浄工程で洗浄液が投与されると、界面活性剤3が汚れ1に吸着し、油(油汚れ4)と水の界面張力が減少する。しかし、油汚れ4と被洗浄物1との界面張力は変わらない。そのため、図7のように、油汚れ4と被洗浄物1との界面が減少し、油汚れ4と水の表面積が大きくなり易くなり、油汚れ4が被洗浄物1から除去され易くなる。油汚れ4は、被洗浄物1から分離した後は、界面活性剤3の乳化作用により、水溶液中に油分を保持する。なお、このとき、界面活性剤が多量に存在すると、油を可溶化することも可能になる。
【0054】
一方、図8に示すように、界面活性剤3は、被洗浄物1にも吸着する。界面活性剤3が汚れ2(または油汚れ4)と被洗浄物1の双方に吸着することで、被洗浄物1と汚れ2が反発し合い、被洗浄物1から分離した汚れ2の被洗浄物1への再付着が防止される。なお、図8は、アニオン界面活性剤の例であり、被洗浄物1と汚れ2の静電力による反発の状況を概念的に示している。ノニオン界面活性剤でも、効果はアニオン界面活性剤よりも低いが同じような作用がある。
【0055】
また、第1洗浄槽14aの水(水溶液)中の界面活性剤濃度がある点を超えると、ミセルが生成し始める。この濃度限界は、cmc(critical micelle concentration:限界ミセル濃度)と呼ばれる。界面活性剤の洗浄力は濃度を上げると上昇するが、cmcを超えると、それ以上には効果は上がらなくなる。しかし、汚れがあると、界面活性剤が汚れの表面に吸着することにより、界面活性剤濃度が低下するため、一般に、洗浄工程では、汚れによる濃度低下を見越して、それを十分補えるように、界面活性剤を余分に投入する。すなわち、洗浄工程においては、界面活性剤の濃度が限界ミセル濃度cmcを大きく上回る量、例えばcmcの2倍以上となるように、洗浄液が投入される。
なお、油は、ミセルの中に取り込まれることで水中に溶けるようになるため、油の可溶化はcmc以上の濃度で起こる。
【0056】
洗浄機10における内視鏡12の洗浄消毒処理において、洗浄工程が終了した段階では、第1洗浄槽14a内には、被洗浄物である内視鏡12から分離した汚れの一部が、洗浄液の排水時に流れ切らずに、第1洗浄槽14aの壁面や内視鏡12の表面に残っている。このとき、第1洗浄槽14a内に残った汚れは、その表面を界面活性剤に覆われた状態であり、また、内視鏡12の表面にも界面活性剤が残っているため、洗浄工程で分離した汚れが直ちに内視鏡12に再付着することはない。
しかし、本発明者の研究によれば、洗浄工程に続くすすぎ工程の初期で、汚れが第1洗浄槽14a内に残っている状態のときに、界面活性剤濃度を急激に低下させてしまうと、汚れの内視鏡12への再付着を促進する作用が生じることが考えられた。
【0057】
そこで、本発明のすすぎ方法では、すすぎ工程の初期において界面活性剤を投入することにより、界面活性剤濃度を所定の範囲に保って、汚れの再付着を抑制しつつ、すすぎの後半において界面活性剤を取り除く。
【0058】
すすぎ工程における界面活性剤の投入量は、洗浄工程における投入量とは全く異なり、限界ミセル濃度付近の濃度となるように調整するのが好ましい。すなわち、上述したように、洗浄工程では、汚れによる界面活性剤濃度の低下を考慮し、cmcの何倍かの界面活性剤濃度を達成できるよう、洗浄液(洗浄剤)を投入するが、すすぎ工程においては、既に洗浄は終了しているので、界面活性剤濃度は、汚れの再付着を抑制できる量として、限界ミセル濃度を維持できる範囲で投入すればよい。
【0059】
洗浄機10では、すすぎ工程での界面活性剤の調整に、洗浄工程で用いるのと同じ洗浄剤を用いる。すすぎ工程で付与する界面活性剤は、洗浄工程で用いる洗浄剤と異なるものを用いてもよいが、同一の洗浄剤を用いることにより、装置構成および消耗品の管理を簡潔にすることができる。
洗浄機10で用いる洗浄剤は、界面活性剤を含む他、ビルダー、酵素、漂白剤を含むことがある。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤の一方または両方を用いることができる。酵素としては、蛋白分解酵素、炭水化物分解酵素、脂質分解酵素があり、このうちの一部もしくは全てを用いるケースがあり得るが、内視鏡洗浄機においては汚れ主成分がタンパク質であることから、主としてタンパク質分解酵素を含むのが一般的である。また、洗浄効率を高めるためアルカリビルダーを含む場合には、内視鏡へのダメージを軽減するために金属腐食防止剤を配合する。
【0060】
第1洗浄槽14a内の界面活性剤濃度の調整は、制御部16が行う。
例えば、すすぎ工程開始後に第1洗浄槽14aの所定水位まで水道水を導入したときの界面活性剤濃度を予め得ておき、その情報に基づいて洗浄液の投入量を予め設定しておき、制御部16は、設定された量の洗浄液を、水道水に加えて投入してもよい。
また、例えば、第1洗浄槽14a内に界面活性剤濃度の測定器を配置し、制御部16は、その測定値に基づいて投入すべき洗浄液の量を算出して、算出した量の洗浄液を、水道水に加えて投入してもよい。
【0061】
次に、洗浄機10における洗浄後のすすぎ工程について説明する。図5は、すすぎ工程における給排水系の各工程を示すフロー図である。すすぎ工程は、制御部16が洗浄機10の各部を制御して、内視鏡12の内部および外部へすすぎ水を送るとともに、図5の各ステップに従って洗浄機10の第1洗浄槽14a(14b)におけるすすぎ水の入れ替え、成分、および水温等を制御することにより、実行される。
【0062】
図5に示すように、洗浄後のすすぎ工程では、ステップS1ですすぎが開始されると、ステップS2で第1洗浄槽14aへの注水が行われる。制御部16は、減圧弁168、第1バルブ170、および、バルブ180aを開放して第1洗浄槽14a内に所定量の水道水を導入する。
【0063】
本発明の好ましい形態として、ステップS2では、水道水から供給された水を、加温することなく、常温のまま用いる。水道水を加温せずに用いるのが好ましいのは、温度の高い水を用いると、洗浄工程で剥離させた汚れが内視鏡12に再付着する可能性が高くなるからである。
一般に、水の温度が高い方が汚れを落とす効果は高いが、汚れの再付着も起こり易くなる。これは、高温になればなるほど界面活性剤自体の分子運動が大きくなり、界面活性剤のミセルの形成や被洗浄物への付着が起こり難くなり、汚れや被洗浄物表面の界面活性剤が離脱しやすくなるためと考えられる。
【0064】
特に、洗浄機10では、後述するステップS4で、汚れの再付着抑制のために界面活性剤を投入するが、特にノニオン系の界面活性剤を用いる場合、ステップS2で高温の水を供給すると、界面活性剤の水溶性が低下し、界面活性剤の効果が得られないので、少なくとも界面活性剤を含む水によるすすぎの間は、常温の水など、温度の低い水を用いるのが好ましい。適切な温度範囲は界面活性剤の種類により異なるが、ノニオン界面活性剤の場合、曇り点+15〜20℃以下とするのが望ましい。
【0065】
また、洗浄工程で、洗浄効率を高めるために水の温度を上げている場合には、すすぎ工程では水の温度をそれよりも下げることで、再付着を抑制する効果が得られる。
【0066】
ステップS2で注水が開始された後、第1洗浄槽14aの所定水位まで水が達すると、注水は継続しつつ、ステップS3で、オーバーフロー分を第1洗浄槽14aの外部へ排出する。具体的には、排出口144aまたは排水ライン194に通じる排水口(図示しない。)を第1洗浄槽14aの所定の水位に対応する位置に設けておき、所定の水位を超える水をその排水口から排出させればよい。この場合は、第1洗浄槽14aの排水口と排水ライン194とを遮断するシャッターまたは弁を設け、オーバーフロー分の排水時以外は、第1洗浄槽14aの排水口を閉鎖するのが好ましい。あるいは、第1洗浄槽14aの水位以下の任意の場所に、オーバーフロー分を排出する排水口とその開閉を行う電磁弁を設け、電磁弁の開閉を制御することにより排水を行ってもよい。
ステップS2の注水は継続されるので、排出された分は、新規の供給水で補われる。このようにして、ステップS3を含むステップS2〜ステップS5のループでは、オーバーフローすすぎが行われる。
【0067】
一方、ステップS4では、ステップS2で第1洗浄槽14aへの注水を開始した後、注水しながら、第1洗浄槽14aへの界面活性剤の投入を開始する。投入する界面活性剤の量は、第1洗浄槽14a内の界面活性剤の濃度が限界ミセル濃度付近となるように調整される。界面活性剤の投入は、第1洗浄槽14aの所定の水位まで注水が完了した後に行っても良いが、第1洗浄槽14a内の界面活性剤の濃度を大幅に下げないためには、注水しながら界面活性剤を投入し始める方が好ましい。また、本実施形態のようにオーバーフローすすぎを行う場合は、界面活性剤の濃度を所定範囲に制御するために、界面活性剤の投入を連続的または断続的に継続するのが好ましい。
【0068】
第1洗浄槽14aに界面活性剤を含む水道水によるすすぎ水(第1のすすぎ水)が満たされると、上述の洗浄工程と同様に、内視鏡12のすすぎのために、内視鏡12の各チャンネル内および外部へすすぎ水を循環させる。
まず、バルブ162aを開放し、循環ポンプ182aを駆動して、かつ、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、開放して、第1洗浄槽14a内のすすぎ水を順次各チャンネルへ送り、チャンネル洗浄と同様にして、内視鏡12の各チャンネルを濯ぐチャンネルすすぎを行う。その後、バルブ180aを開放して循環ポンプ182を駆動して、第1洗浄槽14a内ですすぎ水を循環させ、外部流水洗浄と同様にして、内視鏡12外部を濯ぐ外部流水すすぎを行う。
【0069】
次に、ステップS5で、予め定められた一定時間が経過したか否かが判断される。この一定時間は、オーバーフローすすぎを行う時間として設定されている時間であり、例えば、ステップS2の第1洗浄槽14aへの注水開始からの時間、または、ステップS2以降、第1洗浄槽14aの所定水位に達してからの時間でカウントされる。この時間は、上記チャンネルすすぎおよび外部流水すすぎが完了する時間とほぼ同じか、それ以上とすればよい。
【0070】
ステップS5で、一定時間に達していなければ、ステップS5の判断がNoとなり、ステップS2に戻ってオーバーフローすすぎのための注水が継続される。一定時間が経過し、ステップS5でYesの判断がされると、ステップS6で、第1洗浄槽14a内の水が全て排出される。制御部16は、バルブ190aおよびバルブ192を開放して、排水ポンプ118を駆動して、洗浄排水と同様にしてすすぎ工程における排水を行う。
【0071】
排水が完了すると、次いで、ステップS7で、再び第1洗浄槽14aへの注水が行われる。今度は、界面活性剤の投入は行わず、水道水のみをすすぎ水(第2のすすぎ水)として用いる。
第1洗浄槽14aの所定水位まで水道水(第2のすすぎ水)が満たされると、次に、ステップS8で、第1洗浄槽14a内の温度が所定の温度以上となっているか否かを判断する。すなわち、制御部16は、第1洗浄槽14a内に設けられた温度計TEから検出値を受け取って、予め設定された温度値と比較する。第1洗浄槽14a内の温度が所定温度未満であれば、ステップS8の判断はNoとなって、ステップS9へ進み、第1洗浄槽14aに設けられたヒータHによって槽内を加温する。
【0072】
ステップS8の判断の基準とする設定温度は、被洗浄物である内視鏡12から洗浄液(洗浄剤)、すなわち洗浄液中の界面活性剤を落とすのに効果的な温度とすればよい。一般的には、温度は高ければ高いほどよいが、内視鏡にダメージを与える恐れがあるため、60℃以下とする必要がある。
ステップS7で水道水導入を開始した直後は、ステップS8の判断はNoとなり、ステップS9の加温が開始される。そして、すすぎの最終段階までには、すすぎ水は所定の温度に達する。このように、すすぎの最終工程ではすすぎ水の温度を上げることで、洗浄剤の被洗浄物への付着を阻害し、洗浄剤を効果的に落とすことができる。
【0073】
ステップS9で加温を開始すると、加温を継続したままステップS10へ進む。また、ステップS8で第1洗浄槽14a内の温度が所定温度以上であれば、ステップS8の判断はYesとなって、槽内の加温を行わずに、ステップS10へ進む。
ステップS10では、第1洗浄槽14a内の第2のすすぎ水を、上述の第1のすすぎ水によるすすぎと同様に、内視鏡12のすすぎのために、内視鏡12の各チャンネル内および外部へ循環させる。
【0074】
なお、ステップS8およびステップS9は、ステップS7での注水を開始した後、所定水位に達する前に実行し、常温の水道水を注水しながらその加温を開始してもよい。ただし、ステップS10のすすぎ水の循環は、すすぎ水が第1洗浄槽14aの所定水位まで溜まってから開始する。
【0075】
次に、ステップS11で、予め定められた一定時間が経過したか否かが判断される。この一定時間は、ためすすぎを行う時間として設定されている時間であり、例えば、ステップS10ですすぎ水の循環を開始してからの時間でカウントされる。この時間は、ステップS10で行う第2のすすぎ水によるチャンネルすすぎおよび外部流水すすぎが完了する時間とほぼ同じか、それ以上とすればよい。
【0076】
ステップS5で、一定時間に達していなければ、ステップS5の判断がNoとなり、ステップS8に戻る。ステップS8で再度第1洗浄槽14a内の温度を確認し、温度が一定温度に達していたら、ステップS9には進まずヒータHによる加温を終了する。温度がまだ一定温度に達していなければ、再びステップS9へ進み、加温を継続する。
このように、ステップS8〜ステップS11のループでは、ステップS7で満たしたすすぎ水を用いた、ためすすぎが行われる。
【0077】
ステップS11で、一定時間が経過し、Yesの判断がされると、ステップS12ですすぎ工程が完了する。
洗浄後のすすぎ工程が終了時には、バルブ160aを開放して、第2エアポンプ116を駆動し、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、順次、1個ずつ開放して、洗浄送気と同様にして、すすぎ工程における送気を行う。
【0078】
このように、図5のすすぎ工程では、本発明の好ましい形態として、先ず、オーバーフローすすぎを行い、その後、ためすすぎを行う。
一般に、オーバーフローすすぎの方が、初期には短時間で高い洗浄効率が得られるが、最終的な洗浄到達度は、ためすすぎの方が高いレベルが得られる。図9は、繊維の洗浄における例であるが(近藤他、繊消誌、12,257, 1971)、オーバーフローすすぎのすすぎ時間、または、ためすすぎのすすぎ水入れ替え回数と、界面活性剤の残留量との関係を示すグラフである。このような結果となるのは、すすぎ水中の汚れ濃度が高いときは、オーバーフローすすぎの方が早く汚れ濃度を低下させることができ、また、汚れ濃度が低くなった段階では、すすぎ水を完全入れ替えするためすすぎの方が、到達する汚れ濃度を低くできるためと推定される。
そこで、すすぎの初期にはオーバーフローすすぎを実施し、後半ではためすすぎをすることで、短時間で高い洗浄効率を得ることができる。
【0079】
洗浄機10では、すすぎ工程を2段階に分けて、すすぎ水への界面活性剤の使用、すすぎ水の温度、および、すすぎ水の入れ替え方法の3項目について、すすぎ水の特性を制御している。このように、すすぎ処理の前後半で特性を制御することで、汚れの再付着を抑制できる。
【0080】
上記の例では、すすぎ水への界面活性剤の使用、すすぎ水の温度、および、すすぎ水の入れ替え方法の全項目について、すすぎの前半であるステップS2〜ステップS5と後半であるステップS7〜ステップS11とで、異ならせている。
しかし、本発明はこれには限定されず、すすぎ水への界面活性剤の使用の有無のみを制御してもよいし、それに加えて、すすぎ水の温度およびすすぎ水の入れ替え方法の一方のみを制御してもよい。すなわち、すすぎ水の加温を行わない形態や、すすぎの全工程で、オーバーフローすすぎまたはためすすぎの一方を行う形態も可能である。
【0081】
すすぎの全工程でオーバーフローすすぎを行う場合は、ステップS6およびステップS7を行わず、ステップS4の界面活性剤投入をやめた後、その界面活性剤がオーバーフロー分として排水され、第1洗浄槽14a内が水道水のみとなってからを後半のすすぎとして行ってもよい。また、すすぎの全工程をためすすぎで行う場合は、第1洗浄槽14a内のすすぎ水を1回以上入れ替えて、複数回のためすすぎを行えばよい。
【0082】
すすぎ水への界面活性剤の使用の有無を制御することで、汚れの多い、すすぎ工程初期で、汚れが内視鏡12へ再付着するのを抑制する効果を得られる。
また、界面活性剤の使用の有無に加え、すすぎ水温度を制御することで、低温水によって、すすぎ工程初期での界面活性剤の必要量を減少させる効果が得られるとともに、高温水によって、すすぎ工程の後半で界面活性剤を除去するのを促進することができる。
また、界面活性剤の使用の有無に加え、すすぎ水の入れ替え方法を制御することにより、すすぎ工程初期で界面活性剤を使用した後の、界面活性剤の除去がし易い。
上記の例では、これら全ての効果を得ることができる。
【0083】
また、上記3項目のうち、2つ以上の項目を制御する場合は、それぞれを異なるタイミングで制御してもよい。例えば、すすぎ水の温度を上げるのは、界面活性剤を使用しないすすぎ水(第2のすすぎ水)ですすぎを開始した後、すすぎ工程の最後の方でのみ行ってもよい。また、界面活性剤を使用するすすぎ水(第1のすすぎ水)によるすすぎの途中で、オーバーフローすすぎからためすすぎに切り換えてもよいし、同様に、界面活性剤を使用しないすすぎ水(第2のすすぎ水)によるすすぎの途中でオーバーフローすすぎからためすすぎに切り換えてもよい。
【0084】
ただし、上述したように、第1のすすぎ水の温度を高くすると、界面活性剤の効果が得られないので、すすぎ水への加温は、界面活性剤を使用するすすぎ水(第1のすすぎ水)に対しては行わず、界面活性剤を使用しないすすぎ水(第2のすすぎ水)に対してのみ行うのが好ましい。
また、オーバーフローすすぎのときにすすぎ水の温度を高温にするのは、非効率的であるため、すすぎ水を加温するときは、ためすすぎを行うのが好ましい。
【0085】
洗浄後のすすぎ工程が終了したら、次いで、消毒工程を行う。
消毒工程においては、まず、消毒液口134aに接続するバルブ178aを開放して、消毒液ポンプ108を駆動し、所定量の消毒液を第1洗浄槽14a内に導入する(消毒液導入)。
【0086】
第1洗浄槽14aに所定量の消毒液を導入したら、前述のチャンネル洗浄と同様にして、内視鏡12の各チャンネル内の消毒を行う。
すなわち、バルブ162aを開放して、循環ポンプ182aを駆動すると共に、内視鏡の各チャンネルを接続するポートに接続されるバルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、所定時間だけ開放する。
これにより、内視鏡12内の各チャンネルを通して第1洗浄槽14a内の消毒液を循環して、消毒液による内視鏡12の各チャンネルの消毒を行う(チャンネル消毒)。
【0087】
チャンネル消毒が終了したら、前述の外部流水洗浄と同様に、内視鏡12外部の消毒を行う。
すなわち、給水口136aに対応するバルブ180aを開放して循環ポンプ182を駆動して、内視鏡12の外部で第1洗浄槽14a内の消毒液を循環して、洗浄液による内視鏡12の外部の消毒を行う(外部流水消毒)。
【0088】
なお、消毒液を循環させなくても内視鏡12の内部および外部の全体に消毒液を十分行き渡らせることができる場合には、チャンネル消毒および外部消毒は、消毒液を行き渡らせた後、所定時間浸漬させることで行ってもよい。
【0089】
外部流水消毒を、所定時間、行ったら、排出口144aに接続するバルブ198aを開放して、消毒液を消毒液タンク102に戻す(消毒液回収)。
図示例の洗浄機10においては、消毒液の回収にはポンプ等は用いず、自重による落下で消毒液を消毒液タンク102に回収する。
【0090】
第1洗浄槽14a内の消毒液を消毒液タンク102に回収したら、前記洗浄送気と同様に、内視鏡12の各チャンネルに送気を行う。
すなわち、バルブ160aを開放して、第2エアポンプ116を駆動すると共に、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、開放する。これにより、鉗子起上ポート124a、鉗子ポート126a、送気送水ポート128a、および吸引ポート130aから、内視鏡12の各チャンネルに空気を送り込み、チャンネル内に残っている消毒液を内視鏡12から排出する(消毒送気)。
【0091】
以上で消毒工程を終了して、次いで、消毒後のすすぎ工程を行う。
消毒後のすすぎ工程も、基本的に、前記洗浄後のすすぎ工程と同様に行う。
まず、減圧弁168、第1バルブ170、およびバルブ180aを開放して第1洗浄槽14a内に所定量の水道水を導入する(水道水導入)。
水道水導入を終了したら、バルブ162aを開放して、循環ポンプ182を駆動すると共に、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、所定時間だけ開放して水道水によって内視鏡12の各チャンネルを濯ぐチャンネルすすぎを行う。次いで、バルブ180aを開放して循環ポンプ182aを駆動して、内視鏡12の外部を水道水で濯ぐ外部流水すすぎを行う。
外部流水すすぎが終了したら、バルブ190aおよびバルブ192を開放して、排水ポンプ118を駆動して、すすぎ工程における排水を行う。その後、バルブ160aを開放して、第2エアポンプ116を駆動すると共に、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、開放して、すすぎ工程における送気を行い、消毒後のすすぎ工程が終了する。
【0092】
上記すすぎ工程は、複数回行ってもよい。すすぎ工程を複数回行う場合には、すすぎ水を排水した後、送気を行う前に、再度水道水を第1洗浄槽14a内に導入し、チャンネルすすぎおよび外部流水すすぎを行って、排水する。この工程を所定回数繰り返した後、最後に送気を行う。
【0093】
この消毒工程後のすすぎ工程が終了したら、洗浄機10による内視鏡12の洗浄が終了し、例えばディスプレイ表示や警告音の発生等によって、オペレータに内視鏡12の洗浄が終了した旨を報知する。
【0094】
なお、前述のように、洗浄機10は、タンクやポンプなどの多くの物を第1洗浄槽14aと第2洗浄槽14bとで共用しているが、両洗浄槽は、洗浄液等の供給系、水供給ライン164および排水ライン194以外は、共に、独立した配管系を持っているので、同時に同じ処理を行うことも、同時に互いに異なる処理(両槽で非同期の処理)を行うことも可能である。
【0095】
洗浄機10において、内視鏡12の洗浄は、基本的に、以上のように行われるが、洗浄機10は、このような洗浄以外にも、各種の処理を行うことが可能である。
【0096】
一例として、必要に応じて、洗浄後の内視鏡12の各チャンネル内の乾燥を促進するためのアルコールフラッシュを行うことができる。
アルコールフラッシュを行う際には、洗浄を終了した後、バルブ158aを開放して、アルコールポンプ110を駆動すると共に、鉗子起上ポート124aに接続するバルブ150a、鉗子ポート126aに接続するバルブ152a、送気送水ポート128aに接続するバルブ154a、および、吸引ポート130aに接続するバルブ156aを、1個ずつ、順次、所定時間開放する。
次いで、前記各工程における送気と同様にして、バルブ160aを開放して、第2エアポンプ116を駆動すると共に、バルブ150a、バルブ152a、バルブ154a、およびバルブ156aを、1個ずつ、順次、開放して、内視鏡12の各チャンネル内に送気して、アルコールを排出し、かつ、送気による乾燥を行う。
また、排水口144a、バルブ190aおよびバルブ192を開放し、排水ポンプ118を駆動して、第1洗浄槽14a内に排出されたアルコールを排水する。
【0097】
また、洗浄機10は、水供給ライン164および排水ライン194等を消毒液で消毒する、自己消毒を行うこともできる。
この自己消毒工程においては、まず、消毒液口134aに接続するバルブ178aを開放して、消毒液ポンプ108を駆動して、第1洗浄槽14a内に、所定量の消毒液を導入する。
次いで、排水口144aに接続するバルブ190a、バイパスバルブ196、減圧弁168、第1バルブ170、給水口136aに接続するバルブ180aを開放して、排水ポンプ118を駆動して、水供給ライン164および排水ライン194を含む経路で、消毒液を循環させる。
【0098】
図示例の洗浄機10においては、好ましい一例として、自己消毒を終了したら、装置内の消毒液を排出し、新規な消毒液を消毒液タンク102に充填する。
すなわち、前記水供給ライン164および排水ライン194を含む経路で、所定時間、消毒液を循環したら、バルブ190aおよびバルブ192を開放して、排水ポンプ118を駆動して、消毒液を排出する。また、バルブ178aを開放して、消毒液ポンプ108を駆動して、消毒液タンク102内に残っている消毒液を、全て、第1洗浄槽14aに投入して、排出する。
洗浄機10内の消毒液を全て排出したら、減圧弁168、第1バルブ170、および、第2バルブ172を開放して、所定量の水道水を消毒液タンク102に投入する。次いで、オペレータによって、2つの取付部102Aに消毒液ボトルBが取り付けられる。消毒液は、例えば、自重によって消毒液タンク102に導入され、消毒液タンク102に、新規な消毒液が充填される。
【0099】
また、前述のように、洗浄機10においては、必要に応じて、洗浄工程における水道水導入の後に、内視鏡12の各チャンネルの漏水検知を行ってもよい。
漏水検知工程を実施する場合には、洗浄する内視鏡12を第1洗浄槽14aにセットする際に、空気口138a(138b)と、内視鏡12に設けられた漏水検知用の加圧口31(図2参照)とを接続する。洗浄工程における水道水導入が終了したら、第1エアポンプ114を駆動して、減圧弁186およびバルブ184aを開放する。圧力計188aによる測定値が所定圧となった時点で、第1エアポンプ114の駆動を停止する。なお、この停止は、圧力測定結果に応じた圧力計188aから第1エアポンプ114への信号に応じて、自動的に行うのが好ましい。
【0100】
加圧が終了したら、目視によって、内視鏡12から気泡が出ているか否かを確認し、気泡が出ている場合には、内視鏡12のいずれかのチャンネルで漏洩している可能性があるので、この時点で、内視鏡12の洗浄は中止する。あるいは、圧力計188aによって計測される圧力が、所定時間内に所定値以下となった場合には、内視鏡12のいずれかのチャンネルで漏洩している可能性があるので、この時点で、内視鏡12の洗浄は中止する。また、圧力計188aは、圧力が所定値以下となった際に、内視鏡12のいずれかのチャンネルで漏洩している旨の警告を発するようにしてもよい。
【0101】
以上、本発明の内視鏡のすすぎ方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の内視鏡のすすぎ方法を実施する内視鏡洗浄機の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】内視鏡の斜視図である。
【図3】図1の内視鏡洗浄機における配管系統の概略を示すブロック図である。
【図4】制御部の概略構成を概念的に示すブロック図である。
【図5】本発明の内視鏡のすすぎ方法のフロー図である。
【図6】固体汚れの除去の様子を表す概念図である。
【図7】油汚れの除去の様子を表す概念図である。
【図8】被洗浄物と汚れの静電力による反発の状況を示す概念図である。
【図9】すすぎ時間またはすすぎ水入れ替え回数と界面活性剤の残留量との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
10 内視鏡洗浄機
12 内視鏡
14 洗浄槽
14a 第1洗浄槽
14b 第2洗浄槽
16 制御部
18 コネクター部
20 ユニバーサルコード部
22 操作部
24 挿入部
26 鉗子チャンネル口
28 送気送水チャンネル口
30 吸引チャンネル口
31 漏水検知用の加圧口
100 洗浄液タンク
102、103 消毒液タンク
104 アルコールタンク
106 洗浄液ポンプ
108 消毒液ポンプ
110 アルコールポンプ
114 第1エアポンプ
116 第2エアポンプ
118 排水ポンプ
120 エアフィルタ
124a、124b 鉗子起上ポート
126a、126b 鉗子ポート
128a、128b 送気送水ポート
130a、130b 吸引ポート
132a、132b 洗浄液口
134a、134b 消毒液口
136a、136b 給水口
138a、138b 空気口
142a、142b レベルセンサ
144a、144b 排水口
150a〜162a、150b〜162b バルブ
164 水供給ライン
166 フィルタ
168、186 減圧弁
170 第1バルブ
172 第2バルブ
176a〜180a、176b〜180b、184a、184b バルブ
182a、182b 循環ポンプ
188a、188b 圧力計
190a、192a、190b、192b、198a、198b バルブ
194 排水ライン
196 バイパスバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡洗浄機において内視鏡をすすぐすすぎ方法であって、
槽内に、水の供給に加えて界面活性剤を投入し、
前記界面活性剤を含む第1のすすぎ水で前記槽内に置かれた内視鏡をすすぎ、
前記第1のすすぎ水によるすすぎの後に、水のみを供給し、
前記界面活性剤を含まない第2のすすぎ水で前記内視鏡をすすぐことを特徴とする内視鏡のすすぎ方法。
【請求項2】
水に加えて投入する前記界面活性剤の量は、前記槽内の前記第1のすすぎ水における前記界面活性剤の濃度が、限界ミセル濃度付近の濃度となるように調整する請求項1に記載の内視鏡のすすぎ方法。
【請求項3】
少なくとも前記第1のすすぎ水によるすすぎの全工程では、水道から供給された水を常温のままで用い、
前記第2のすすぎ水によるすすぎの一部または全部の工程では、水道から供給された水を加熱することにより昇温させて用いる請求項1または2に記載の内視鏡のすすぎ方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡のすすぎ方法において、
先に、前記槽内のすすぎ水の一部を排出しつつ排出した分を新規の供給水で補いながら前記内視鏡をすすぐ、オーバーフローすすぎを行い、
次に、前記槽内のすすぎ水を一旦全部を排出した上ですすぎ水を全て新規の供給水で補って前記内視鏡をすすぐ、ためすすぎを行う内視鏡のすすぎ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−22513(P2009−22513A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188560(P2007−188560)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】