説明

内視鏡の吸引管路切り替え装置

【課題】大きめの半固形物を吸引することができる内視鏡の吸引管路切り替え装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る内視鏡の吸引管路切り替え装置19において、吸引ボタン44が押圧操作されていないときに、第一弁部42が第一開口30近傍に位置するとともに、第二弁部43が吸引通路17のうち径が狭い吸引通路17aの内壁に当接して負圧源通路21と吸引通路17との連通を遮断する遮断状態になる。押圧操作により第一弁部42がシリンダ24内に押し込まれたときに、カムフォロア46とカム面39との接触で本体軸部41がシリンダ内径の中心から偏心した位置に移動し、第二弁部43の外周と吸引通路17の内壁との隙間が広がり負圧源通路21と吸引通路17とを連通する連通状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部の先端に開口した吸引口からの体液等の吸引を制御する内視鏡の吸引管路切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に内視鏡の挿入部内には、その先端面の吸引口に通じる吸引通路が設けられている。この吸引通路は操作部に設けられた吸引管路切り替え装置に接続している。このような吸引通路の大部分は鉗子等の処置具の挿通や洗浄水などの噴射に使用される鉗子チャネルとして兼用され、この鉗子チャネルの途中から分岐した吸引通路が吸引管路切り替え装置に接続している。
【0003】
吸引管路切り替え装置には、吸引通路の他に、吸引ポンプ等の負圧源に通じる負圧源通路が接続している。吸引管路切り替え装置は、術者の押圧操作により吸引通路と負圧源通路とを連通して吸引口から吸引を行わせ、この押圧操作が解除されたときに吸引通路と負圧源通路との連通を遮断して吸引口からの吸引を停止させる。
【0004】
例えば、下記特許文献1の内視鏡の吸引管路切り替え装置では、吸引ボタンの押し操作に応じて押し操作方向とは反対の方向にプランジャを移動させる反転移動機構が設けられている。吸引ボタン押し操作時では、プランジャを押し操作方向の反対方向へ移動させ、L字型の吸引管路に設けられた吸引管用弁部を開状態する。その際プランジャがL字型の吸引管路から離れ吸引管路が広くなり、粘性の高い流体等でも容易に吸引することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−46331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の内視鏡の吸引管路切り替え装置では、吸引管用弁部を開状態する際に吸引管路を広くするためにはプランジャを押し操作方向の反対方向へ大きく移動させなければならないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸引管路を広くするためにプランジャの移動が小さくて済み、大きめの半固形物を吸引することができる内視鏡の吸引ボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡の吸引管路切り替え装置は、内視鏡の操作部に設けられた口金に固定され、吸引ボタンを付勢に抗して押下操作することにより、内視鏡に接続された負圧源の連通先を外気吸引路から内視鏡挿入部内の吸引通路に切り替える内視鏡の吸引管路切り替え装置において、上端部に第一開口が設けられ、下端部に設けられた第二開口が内視鏡の前記吸引通路に連通するように前記口金に固定されたシリンダであって、前記第一開口の周縁に第一弁座部が設けられ、上端部と下端部との間の内壁には、下端側ほど内径が細くなるカム面と、前記負圧源に接続される貫通した接続開口とが設けられたシリンダと、前記シリンダの管路内に移動自在に収容され、前記第一開口から突出した上端に前記吸引ボタンが設けられ、前記吸引ボタンから下方に延びた本体軸部には、前記第一弁座部との間で管路を開閉する第一弁部と、前記シリンダの下端側内壁または前記口金の内壁に設けられた第二弁座部との間で管路を開閉する第二弁部と、前記第一弁部と第二弁部との間で前記本体軸部の側方に突出するカムフォロアとが設けられたプランジャとを備え、前記プランジャが上昇した状態では、前記第二弁部が前記第二弁座部との間の管路を遮断するとともに前記第一弁部が第一弁座部との間の管路を開放して前記負圧源を外気吸引路に接続し、前記吸引ボタンの押圧操作により前記プランジャが下降した状態では、前記第一弁部が第一弁座部との間の管路を遮断するとともに前記第二弁部が第二弁座部との間の管路を開放して負圧源を内視鏡の吸引通路に接続し、かつ前記カムフォロアとカム面との係合により前記プランジャの本体軸部の下端側を管路内で偏心させることで第二弁座部と第二弁部との間の隙間を広げるようにしたことを特徴とする。ここで、前記第二弁座部は下端側が幅広となるテーパ面を備え、開放時には第二弁部が前記テーパ面の下端側に移動しながら偏心する。
【0009】
また、前記シリンダの第一開口を密封して包み込むようにゴム製のキャップが取り付けられ、前記プランジャの吸引ボタンが前記キャップで固定保持され、前記キャップの弾性力によって前記プランジャが上方に付勢されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第一弁部は、上端側ほど大径になるテーパ面を備え、押圧操作したときに第一弁座部に近接する段差部と、前記キャップに一体に設けられ、前記段差部と協同して前記第一弁座部に圧着して管路を遮断する弾性変形部とからなることが好ましい。
【0011】
また、前記キャップの側方に小穴が設けられ、前記外気吸引路は、前記第一開口、前記キャップ内空間、前記小穴を通して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡の吸引管路切り替え装置によれば、吸引管路を広くするためにプランジャの移動が小さくて済み、大きめの半固形物を吸引することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内視鏡の吸引機構の概略図である。
【図2】吸引OFF時の吸引管路切り替え装置の断面図である。
【図3】吸引ON時の吸引管路切り替え装置の断面図である。
【図4】弁ガイド部材の断面図である。
【図5】プランジャの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、内視鏡10は、例えば気管に挿入する気管支鏡であり、気管内に挿入される挿入部11と、挿入部11の後端部分に連設された操作部12と、図示しないプロセッサ装置や光源装置などに接続されるユニバーサルコード13とを備えている。
【0016】
挿入部11には、鉗子等の処置具を挿入するための鉗子チャネル14が設けられている。この鉗子チャネル14の一端は、挿入部11の先端面に設けられた吸引/鉗子口(以下、単に吸引口という)15に接続し、他端は操作部12に設けられた鉗子入口16に接続している。この鉗子入口16は、処置具を挿入するとき以外は鉗子栓(図示せず)により閉塞されている。なお、鉗子入口16にシリンジ(図示せず)を接続し、このシリンジから生理食塩水等の洗浄水を注入した場合には、この洗浄水は鉗子チャネル14を通って吸引口15から噴出する。
【0017】
また、挿入部の先端には、吸引口15の他に、観察窓や照明窓(図示せず)が設けられている。観察窓の奥には固体撮像素子(図示せず)などが取り付けられている。照明窓の奥には光ファイバケーブル(図示せず)が配置されている。固体撮像素子の信号線や光ファイバケーブルは、挿入部11やユニーバサルコード13などを経て、上述のプロセッサ装置、光源装置にそれぞれ接続される。
【0018】
鉗子チャネル14は、吸引口15から血液等の体液や体内汚物等の固形物などを吸引するための経路にも併用される。鉗子チャネル14は、図示のように操作部12内で分岐した連絡通路を介して吸引管路切り替え装置19に連通しており、全体として吸引口15から吸引管路切り替え装置19まで一連となった吸引通路17が形成される。
【0019】
吸引管路切り替え装置19は、吸引通路17の他に操作部12外において、吸引ポンプ(負圧源)20に通じる負圧源通路21に接続している。吸引管路切り替え装置19は、押圧操作またはその押圧操作の解除により、吸引通路17と負圧源通路21との連通/遮断を切り替える。吸引ポンプ20は、吸引ボタンが押圧操作されて吸引を行う場合に、内視鏡検査中は吸引を常時行う。
【0020】
吸引OFF時の状態を示す図2、及び吸引ON時の状態を示す図3において、吸引管路切り替え装置19は、大別して操作部12に固定されたシリンダ24と、このシリンダ24内に収容されたプランジャ25と、シリンダ24及びプランジャ25を連結するキャップ26とで構成される。なお、以下の説明では、図中上方側を上端側、図中下方側を下端側という。
【0021】
操作部12の筐体28には略管状の口金27が固定されており、シリンダ24を操作部12に連結する。口金27は、その上端部が筐体28の外側に突出し、その下端部が筐体28の内側に突出した状態で筐体28に固定されている。口金27内には、吸引通路17が形成されている。
【0022】
シリンダ24は、その下端部が口金27の上端側の開口に嵌合して連結されている。シリンダ24の上端部には、プランジャ25の軸上端部を突出させるための第一開口30(図4参照)が開口し、下端部には第二開口35として開放され、吸引通路17に連通している。シリンダ24内には、直管状の直管管路34が形成されている。
【0023】
シリンダ24における直管管路34の側方に位置する部分には、負圧源通路21に接続する接続パイプ36が設けられている。この接続パイプ36は、直管管路34に対して略直交する方向に長く延びており、負圧源通路21の一部を構成している。直管管路34の内壁には、接続パイプ36に通じる接続口37が開口している。直管管路34の内壁において上端側の接続口37の下端側には、直管管路34下端側から直管管路34上端側に向かうに従い次第に径が広くなるカム面39が設けられている。
【0024】
フランジ32を利用して、その下方の円筒部31にキャップ26が緊密に固定されている。図2及び図3において、キャップ26は、例えばゴムなどの弾性材料で形成されている。キャップ26は、吸引ボタン44に連結される略円板状の蓋部50と、蓋部50と吸引ボタン44と円筒部31を囲む略筒形状を有し、円筒部31に連結されるスカート部51とが一体形成されてなる。
【0025】
蓋部50の上面には、吸引ボタン44が嵌合する嵌合穴52が形成されている。この嵌合穴52の底部の中心には、プランジャ25が貫通する貫通穴53が形成されている。この蓋部50における、貫通穴53の内壁を構成する第一環状凸部54(図2及び図3参照)は、上述の吸引ボタン44に嵌合する。これにより、蓋部50とプランジャ25とが連結する。
【0026】
スカート部51は、その先端部が蓋部50の外周と一体化しており、後端部にはその内側に向かって突出した第二環状凸部55(図2及び図3参照)が設けられている。第二環状凸部55は、シリンダ用キャップ取付溝33に嵌合する。これにより、円筒部31が第二環状凸部55に嵌合した状態で連結される(図2、図3参照)。また、スカート部51には、大気と連通する通気穴56が形成されている。
【0027】
キャップ26は、プランジャ25を図中上方向に向けて付勢することで、このプランジャ25を遮断状態で維持する。蓋部50は、吸引ボタン44に対する押圧操作に伴い、円筒部31に向けて移動する。スカート部51は、押圧操作による蓋部50の移動に伴い、プランジャ25の径方向に拡径するとともにその軸方向に収縮(以下、適宜弾性変形という)する。弾性変形したスカート部51は、吸引ボタン44に対する押圧操作が解除されたときに弾性復元力により元の形状に復元する。
【0028】
図2において、プランジャ25は、シリンダ24にその軸方向に移動自在に収容されており、押圧操作または押圧解除により吸引通路17と負圧源通路21との連通/遮断を切り替える。
【0029】
プランジャ25は、直管管路34内に収納され、その軸方向に長く延びた略円柱状の本体軸部41と、本体軸部41の軸上端部に設けられた第一弁部42と、本体軸部41の軸下端部に設けられた第二弁部43と、第一開口30から突出した上端に設けられた吸引ボタン44とからなる。第二弁部43にはOリング45が設けられている。また、第一弁部42と第二弁部43との間に本体軸部41に側方へ突出したカムフォロア46を有する。さらに、本体軸部41はリブ41a、41b(図5参照)を有し補強される。
【0030】
本体軸部41は、直管管路34の内径よりも十分に細い径、例えば直管管路34の内径の1/3以下に形成されている。第一弁部42は、第一開口30の近傍に位置し、上端側に向かって次第に拡径する略錐形状を有している。吸引ボタン44は、吸引ON時に術者からの押圧操作を受ける。
【0031】
プランジャ25は、吸引ボタン44が押圧操作されていない場合、第一弁部42が第一開口30近傍に位置するとともに、第二弁部43が径の狭い吸引通路17の一部17aの内壁に当接してOリング45が吸引通路17の一部17aの内壁に圧着し吸引通路17を塞ぐことにより、吸引通路17と負圧源通路21との連通を遮断する遮断状態になる。
【0032】
また、プランジャ25は、吸引ボタン44が押圧操作された場合、第一弁部42が直管管路34内に押し込まれたときに、第一弁部42の上端部の側面に装着したキャップ26に一体に設けられた弾性変形部26aが第一開口30に圧着されて負圧源通路21と大気との連通が遮断されるとともに、カムフォロア46がカム面39と接触し本体軸部41が直管管路34内で直管管路34の中心軸から偏心した位置に移動し、第二弁部43の外周面と吸引通路17の内壁との隙間が広がり負圧源通路21と吸引通路17とを連通する連通状態になる。
【0033】
次に、上記構成の吸引管路切り替え装置19の作用について説明を行う。吸引を行わない吸引OFF時には、図2に示すように、キャップ26によりプランジャ25が遮断状態で維持されるので、第二弁部43が径の狭い吸引通路17の一部17aの内壁に当接してOリング45が吸引通路17の一部17aの内壁に圧着する。第二弁部43の外周壁は吸引通路17の一部17aの内壁に合う形状であるので、吸引通路17が塞がれるため、吸引通路17と負圧源通路21との連通が遮断されて、吸引口15からの吸引が停止した状態となる。このとき、第二弁部43の外周壁が吸引通路17の一部17aの内壁に合うことで、プランジャ25を直管管路34の中心軸に調芯させることができる。
【0034】
この際に、第一弁部42は第一開口30の近傍に位置して、第一開口30は開放されている。このため、負圧源通路21が接続口37、直管管路34、第一開口30を介して通気穴56と連通する。これにより、負圧源通路21が大気と連通するため、吸引ポンプ20に負荷がかかることが防止される。
【0035】
吸引を行う場合には、図3に示すように、吸引ボタン44が押圧操作されて、キャップ26のスカート部51が弾性変形して、第一弁部42が直管管路34内に押し込まれ、第一弁部42の上端部の側面に装着したキャップ26に一体に設けられた弾性変形部26aが第一開口30に圧着される。これにより、プランジャ25が遮断状態から連通状態に切り替わり、第二弁部43が吸引通路17の一部17aの内壁から後端側(図中下方)へ離れ、さらにカムフォロア46がカム面39と接触し、本体軸部41が直管管路34内で直管管路34の中心軸から偏心した位置に移動し、第二弁部43の外周と吸引通路17の内壁との隙間が広がり負圧源通路21と吸引通路17とが連通する。
【0036】
第一開口30は第一弁部42とキャップ26の一部26aにより塞がれるので、負圧源通路21と通気穴56(大気)との連通は遮断される。これにより、負圧源通路21内及びこれに通じる各管路内の負圧吸引力が増加して、吸引口15から各種体液や固形物(以下、吸引物という)が吸引される。吸引物は、吸引通路17を経た後、直管管路34、及び負圧源通路21を通って内視鏡10の外部に排出される。
【0037】
吸引を停止する場合には、吸引ボタン44に対する押圧操作を解除することにより、スカート部51の復元力によってプランジャ25が遮断状態に切り替わるため、上述の図2で説明したように吸引口15からの吸引が停止される。
【0038】
以下、吸引を行う場合には押圧操作によりプランジャ25を連通状態に切り替え、逆に吸引を停止する場合には押圧操作を解除してプランジャ25を遮断状態に切り替える。この際に、プランジャ25の本体軸部41の径が直管管路34の内径よりも十分に小さく形成(例えば直管管路34の内径の1/3以下に形成)されているので、プランジャ25が連通状態と遮断状態のいずれか一方から他方に切り替わる際に、本体軸部41は直管管路34の内壁と摺動することなく移動する。これにより、プランジャ25と弁ガイド部材24の管路内壁との摺動抵抗の発生を抑えることができる。その結果、押圧操作が解除されたときにキャップ26の付勢力だけでプランジャ25が遮断状態に戻らないといった作動不良の発生が防止される。
【0039】
また、本体軸部41の径を小さくすることで、直管管路34内で吸引物の通る通路の径が大きくなるので、大きい吸引物が直管管路34内で詰まることが防止される。なお、本体軸部41を細径にした場合でも、プランジャ25は、遮断状態時には第二弁部43の外周壁が吸引通路17の一部17aの内壁に合うことにより直管管路34の中心軸に調芯され、連通状態時には第一弁部42が直管管路34内に押し込まれ、第一弁部42の上端部の側面に装着したキャップ26に一体に設けられた弾性変形部26aが第一開口30に圧着されるとともに、カムフォロア46がカム面39と接触し、本体軸部41が直管管路34の中心軸から偏心した位置に移動することにより、遮断状態時や連通状態時にプランジャ25のガタツキや第一開口30と吸引通路17の閉塞不良が発生することはない。
【0040】
以上のような本実施形態に係る内視鏡の吸引管路切り替え装置によれば、本体軸部とシリンダの管路内壁のカム面との間に本体軸部をシリンダの中心軸から偏心させるためのカムフォロアが設けられ、吸引時にカムフォロアとカム面との接触で本体軸部をシリンダの中心軸から偏心させ吸引管路の広い部分をつくりだし、大きめの半固形物も吸引することができる。
【0041】
上記実施形態では、キャップ26のスカート部51の弾性復元力により、プランジャ25を遮断状態で維持しているが、例えば、蓋部54と弁ガイド部材24の先端面との間にコイルバネ等を装着して、このコイルバネの付勢力によりプランジャ25を遮断状態で維持してもよい。
【0042】
上記実施形態では、気管に挿入する内視鏡10に設けられた吸引管路切り替え装置19を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種内視鏡に設けられている吸引ON/OFF切替用の吸引管路切り替え装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 内視鏡
15 吸引口
17 吸引通路
19 吸引管路切り替え装置
20 吸引ポンプ
21 負圧源通路
24 弁ガイド部材
25 プランジャ
26 キャップ
30 第一開口
34 直管管路
35 第二開口
37 接続口
39 カム面
41 本体軸部
42 第一弁部
43 第二弁部
46 カムフォロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の操作部に設けられた口金に固定され、吸引ボタンを付勢に抗して押下操作することにより、内視鏡に接続された負圧源の連通先を外気吸引路から内視鏡挿入部内の吸引通路に切り替える内視鏡の吸引管路切り替え装置において、
上端部に第一開口が設けられ、下端部に設けられた第二開口が内視鏡の前記吸引通路に連通するように前記口金に固定されたシリンダであって、前記第一開口の周縁に第一弁座部が設けられ、上端部と下端部との間の内壁には、下端側ほど内径が細くなるカム面と、前記負圧源に接続される貫通した接続開口とが設けられたシリンダと、
前記シリンダの管路内に移動自在に収容され、前記第一開口から突出した上端に前記吸引ボタンが設けられ、前記吸引ボタンから下方に延びた本体軸部には、前記第一弁座部との間で管路を開閉する第一弁部と、前記シリンダの下端側内壁または前記口金の内壁に設けられた第二弁座部との間で管路を開閉する第二弁部と、前記第一弁部と第二弁部との間で前記本体軸部の側方に突出するカムフォロアとが設けられたプランジャとを備え、
前記プランジャが上昇した状態では、前記第二弁部が前記第二弁座部との間の管路を遮断するとともに前記第一弁部が第一弁座部との間の管路を開放して前記負圧源を外気吸引路に接続し、前記吸引ボタンの押圧操作により前記プランジャが下降した状態では、前記第一弁部が第一弁座部との間の管路を遮断するとともに前記第二弁部が第二弁座部との間の管路を開放して負圧源を内視鏡の吸引通路に接続し、かつ前記カムフォロアとカム面との係合により前記プランジャの本体軸部の下端側を管路内で偏心させることで第二弁座部と第二弁部との間の隙間を広げるようにしたことを特徴とする内視鏡の吸引管路切り替え装置。
【請求項2】
前記第二弁座部は下端側が幅広となるテーパ面を備え、開放時には第二弁部が前記テーパ面の下端側に移動しながら偏心することを特徴とする請求項1記載の内視鏡の吸引管路切り替え装置。
【請求項3】
前記シリンダの第一開口を密封して包み込むようにゴム製のキャップが取り付けられ、前記プランジャの吸引ボタンが前記キャップで固定保持され、前記キャップの弾性力によって前記プランジャが上方に付勢されていることを特徴とする請求項2記載の内視鏡の吸引管路切り替え装置。
【請求項4】
前記第一弁部は、上端側ほど大径になるテーパ面を備え、押圧操作したときに第一弁座部に近接する段差部と、前記キャップに一体に設けられ、前記段差部と協同して前記第一弁座部に圧着して管路を遮断する弾性変形部とからなることを特徴とする請求項3記載の内視鏡の吸引管路切り替え装置。
【請求項5】
前記キャップの側方に小穴が設けられ、前記外気吸引路は、前記第一開口、前記キャップ内空間、前記小穴を通して形成されることを特徴とする請求項4記載の内視鏡の吸引管路切り替え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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