説明

内視鏡の鉗子栓

【課題】通路開放状態では、確実に所定の開口径が得られて、大型の処置具を挿通でき、通路を閉鎖する際には、確実に密閉させるようにする。
【解決手段】処置具導入部22の口金25に鉗子栓30が装着されており、この鉗子栓30は口金25に固定したリング状楔33と、拡縮筒31及びコイル32とからなり、拡縮筒31の外周面には膨出部31cが形成され、拡縮筒31とリング状楔33とは摺動可能となっており、拡縮筒31を拡径させると、コイル32の内部に処置具通路35が形成され、リング状楔33が拡縮筒31の膨出部31cと当接させて、この拡縮筒31を縮径させると、その弾性シース32bが部分的にオーバーラップして、上下のピッチ間隔がなくなり、弾性体32bが上下から圧縮されて、内向きに突出することになる結果、コイル32の内部に形成されていた処置具通路35が閉鎖される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の本体操作部に設けた処置具導入部に装着されて、この処置具導入部を開閉させる鉗子栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡には処置具挿通チャンネルが設けられており、この処置具挿通チャンネル内に鉗子その他の処置具を挿通させることによって、細胞採取,組織の切開,止血等の処置を行うことができる構成となっている。このために、処置具挿通チャンネルは、挿入部の先端に開口させた処置具導出口を有し、この処置具導出口に可撓性を有する処置具挿通チューブが接続して設けられる。処置具挿通チューブは本体操作部の内部にまで延在されており、この本体操作部に設けた処置具導入部に他端が接続されている。処置具挿通チャンネルには処置具が挿通される他、体内からの吸引を行う吸引通路としても使用される。従って、本体操作部において、処置具導入部の前方位置に分岐部が設けられ、処置具挿通チューブは、この分岐部で処置具導入部に通じる通路と、吸引通路とに分岐している。
【0003】
吸引通路は本体操作部からユニバーサルコード内に延在されており、このユニバーサルコードに設けられ、光源装置等に着脱可能に接続されるコネクタの位置で、吸引源装置に接続した負圧配管が着脱可能に接続されている。また、本体操作部には吸引バルブが設けられており、吸引通路はこの吸引バルブに接続されている。従って、本体操作部を把持する手の指で吸引バルブを操作することによって、吸引操作が行われる。
【0004】
処置具導入部は、処置具が導入されるので、大気に開放されている。処置具挿通チャンネルを吸引通路として機能させるために、処置具導入部には栓部材が装着されて、大気と連通・遮断できるようにしている。ただし、処置具を導入させる度毎に栓部材を着脱するのではなく、この栓部材を装着したままで通路を開閉できるようにする。このように、通路の開閉が可能な栓部材の代表的なものとしては、特許文献1に示されているように、栓部材を弾性部材で形成して、処置具挿入部を覆う天蓋部にスリットを形成する構成としたものが広く用いられている。このスリットの両側の壁面を相互に密着可能となし、処置具を挿通しないときには、スリットを構成する両側の壁面が密着して通路を閉鎖する。一方、処置具を挿通する際には、このスリットを左右に押し開くことにより栓部材を通過させることができるようになる。
【0005】
また、他のタイプの鉗子栓としては、処置具導入部の先端側に拡径する段差部を設けて、この段差部に処置具を挿通できる内径を有する弾性リングを装着し、この弾性リングを押動部材によって上下から押し潰すことによって、通路を閉鎖するように構成したものが特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開2005−198834号公報
【特許文献2】実開昭55−70108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示されている鉗子栓は、全く処置具を挿通させないときには、完全な密閉性が保たれているが、一度処置具を挿通させると、スリットの部位に広がり癖が付くおそれがあり、特に長い時間にわたって処置具を挿通させた状態に保持したり、繰り返し処置具を挿脱したりすると、スリットの密閉性が低下して、その後に吸引を行う際には、スリットの部位から吸引された体液等が漏出するおそれがあり、また不完全な密閉により、吸引時にこのスリットから外気が吸い込まれて、吸引力が低下するという問題が生じることになる。しかも、スリットの長さは制約されることから、挿通可能な処置具の外径が制限を受けるという問題点もある。
【0007】
一方、特許文献2のように、弾性リングを上下から押し潰しただけでは、この弾性リングの内径部分を完全に閉鎖するのは極めて困難であり、やはり密閉不良が生じることになる。また、密閉性を向上させるには、弾性リングの内径を小さくする必要があり、そうすると挿通可能な処置具の外径が制約されることになる。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通路開放状態では、確実に所定の開口径が得られて、大型の処置具を挿通でき、通路を閉鎖する際には、確実に密閉させることができる鉗子栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明は、内視鏡の本体操作部に設けられ、一端が外部に開放され、他端が処置具挿通チャンネルに接続した通路を外部に開放させた処置具導入部に装着され、この通路を閉鎖状態と開放状態とに切り換えるための鉗子栓であって、弾性部材からなり、前記処置具導入部に挿入される処置具通路が形成されて、外周面に半径方向の膨出部を有する拡縮部材と、前記拡縮部材の内部に装着された弾性材からなるコイルと、前記拡縮部材の外周側に配設され、前記拡縮部材との間で相対移動可能な硬質リングから構成した作動リングとを備え、前記作動リングを前記膨出部の外面に当接させると、前記拡縮部材の前記処置具通路及び前記コイルが縮径されて、このコイルが連続して部分的にオーバーラップすることにより前記処置具通路を密閉し、前記作動リングを前記膨出部から離間させると、前記コイルが拡径して、前記処置具通路を形成するように構成したことをその特徴とするものである。
【0010】
処置具導入部の内部には、外周側から作動リング、拡縮部材及びコイルの順に装着される。作動リングは硬質部材からなり、拡縮部材及びコイルはゴム等からなるエラストマで形成した弾性部材から構成される。特に、拡縮部材は高い伸縮性を有するものから構成するのが望ましい。そして、拡縮部材または作動リングの一方が他方に対して摺動可能な構成、つまり一方が他方に対して摺動しながら相対移動するように構成されている。拡縮部材は概略円筒形状とするか、または一端側から途中位置まで複数個所において、軸線方向に向けたすり割りを設けるようにしても良い。すり割りを設ける場合には、拡縮部材が縮径されたときに、このすり割りの部位における壁面が密着するようにすり割りの幅を設定する。
【0011】
拡縮部材の外周面に設けられる膨出部は、その内部に設けたコイルを圧縮する領域を形成するためのものであり、縮径させたときに、コイルが部分的にオーバーラップするのに必要な軸線方向の長さを持たせる。この膨出部には厚みが連続的に変化するテーパ面を有する移行部を連設し、さらにこの移行部から所定の長さ分は小径部とするのが望ましい。このように、移行部を設けるのは、拡縮部材と作動リングとの一方が移動する際に、作動リングを膨出部と当接する位置に円滑に移行させるためである。また、作動リングは軸線方向において円筒形状部とテーパ面部とを有する構成とすることができる。ただし、拡縮部材または作動リングのいずれか一方がテーパ面を有するものであれば、他方側にはテーパ面を設けなくても良い。いずれにしろ、作動リングは拡縮部材と処置具導入部の内壁との間に挿入されて、拡縮部材を縮径させるための円環状の楔部材として機能するものである。
【0012】
コイルは弾性部材から構成され、その直径はある程度の大きさを持たせている。拡縮部材が縮径されると、コイルは絞り込まれるように変形する。その結果、内径が小さくなって、前後のピッチ部分の一部がオーバーラップすることになる結果、拡縮部材の内部が密閉される。ここで、コイルが縮径されると、軸線方向に伸長するように変形する。コイルは拡縮部材に固定するが、この軸線方向の動きを許容するために、固定は一端側のみとする。具体的には、処置具導入部における処置具が挿入される入口側に固定するようになし、他端は非固定状態とする。縮径したコイルは、拡縮部材が拡径されたときに、これに伴ってコイルも拡径するように変形して、内部に通路を形成させる。このために、コイルは弾性復元力を有するものとする必要があり、全体をゴム等の弾性部材で形成することもできるが、芯材として、ばね性を有する金属線材で構成し、このばね性金属線材を柔軟性のある部材からなる弾性シースで覆うようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
通路を開放した状態では、確実に所定の開口径が得られて、大型の処置具を挿通でき、通路を閉鎖すると、確実に密閉させることができ、処置具挿通チャンネルを吸引通路として機能させる際には、逆流防止機能を発揮するのはもとより、処置具導出口に高い吸引力を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に内視鏡の全体構成を示す。1は内視鏡であって、内視鏡1は、本体操作部2、挿入部3及びユニバーサルコード4から大略構成される。挿入部3は、本体操作部2への連結部から大半の長さ部分が軟性部3aで、この軟性部3aには湾曲部3bが、湾曲部3bには先端硬質部3cが連結されている。先端硬質部3cには、図2に示したように、照明窓10,10と、両照明窓10,10間の観察窓11とが設けられており、また鉗子等の処置具を導出するための処置具導出口12が開口している。さらに、図中において、13は観察窓11が汚損されたときに、この汚れを除去するための洗浄用流体を噴射するための洗浄ノズルである。
【0015】
図3から明らかなように、先端が処置具導出口12に接続されている処置具挿通チャンネル20は本体操作部2内にまで延在されており、この処置具挿通チャンネル20は通路分岐部材21に接続されている。この通路分岐部材21には、本体操作部2のケーシング2aに設けた処置具導入部22に向けて延在した処置具導入路23が接続され、また吸引通路24が接続されている。処置具導入部22には口金25が装着されており、この口金25の端部は処置具導入路23に連結して設けられており、この口金25から処置具導入路23を通り、通路分岐部材21は処置具導入路23に螺挿されている。従って、口金25内に処置具を挿入すると、この処置具は処置具導入路23から通路分岐部材21を通り、処置具挿通チャンネル20内に導かれて、挿入部3の先端硬質部3cに設けた処置具導出口12から導出させることになる。
【0016】
一方、吸引通路24は、本体操作部2からユニバーサルコード4内に延在されており、このユニバーサルコード4のコネクタ部(図示せず)に設けた接続口として開口しており、この接続口に吸引源からの配管が着脱可能に接続される。そして、本体操作部2の内部であって、吸引通路24の途中位置には吸引バルブ14が装着されている。この吸引バルブ14は本体操作部2を把持する手の指で操作可能なものであって、常時においては、吸引通路24の処置具挿通チャンネル20への連結側を吸引源側から遮断した状態に保持されて、吸引源側は大気と連通させている。そして、吸引バルブ14を押し込むと、吸引通路24における吸引源側が処置具挿通チャンネル20側と連通して、処置具導出口12に負圧吸引力が作用することになる。
【0017】
ここで、体腔内は大気圧より高い圧力状態となっているから、体内から処置具挿通チャンネル20内に体液等が逆流しないように保持し、また吸引バルブ14を操作したときには、処置具導出口12に確実に負圧吸引力を作用させ、かつ処置具挿通チャンネル20を流れる吸引物が処置具導入部22側に逆流するのを防止するために、処置具導入部22に装着した口金25には鉗子栓30が設けられている。ここで、口金25は、処置具導入路23への連結側は、この処置具導入路23とほぼ同じ内径となった細径部25aで、途中から連続的に拡径する拡径部25bとなり、大気への開口側における所定の長さ分は大径部25cとなっており、鉗子栓30はこの大径部25cから拡径部25bの途中までの位置に挿入されている。
【0018】
図4及び図5からも明らかなように、鉗子栓30は、拡縮部材としての拡縮筒31とコイル32とを備え、口金25には拡縮筒31を拡縮駆動するための作動リングとして、リング状楔33が設けられている。拡縮筒31は伸縮性を有するゴムその他のエラストマから構成され、内周面は概略円筒形状となった概略円筒状の部材である。拡縮筒31の外周面は一端側、つまり外部に突出する側が小径部31aで、この小径部31aの途中位置からはテーパ状に拡径する移行部31bが連設されており、最大径となった部位から所定の長さ分は最大径となった均等な外径の膨出部31cを構成している。さらに、この膨出部31cより他端側は、口金25の拡径部25bに倣うテーパ面31dとなっている。
【0019】
拡縮筒31とリング状楔33とは、軸線方向に向けて相対移動可能となっており、本実施の形態においては、拡縮筒31が移動可能に構成している。この拡縮筒31を手動操作で移動させるために、その小径部31aには操作つまみ34が形成されている。一方、リング状楔33は口金25に圧入等により固定して設けられており、口金25の内面とリング状楔33の外面との間は気密状態に保持されている。そして、リング状楔33の内周面は所定の長さ分が円筒形状部33aとなっており、口金25への挿入側の端部近傍の部位は拡縮筒31の移行部31bのテーパ面とほぼ一致するように拡開するテーパ面部33bが形成されている。
【0020】
コイル32は弾性部材から構成される。このコイル32は、好ましくは、芯材として金属線からなるばね性金属線材32aと、このばね性金属線材32aに被着させたゴム等のエラストマからなる弾性シース32bとからなり、断面が円形となったコード状の部材を粗巻き螺旋形状に巻回したもので構成されている。コイル32は拡縮筒31の入口部近傍位置に固着されており、他端は自由状態となっている。
【0021】
図4に示したように、拡縮筒31に外力が作用されないときには、コイル32は所定の内径を有する状態に保持されて、このコイル32の内部に処置具を通過させる処置具通路35が形成される。一方、拡縮筒31を縮径させると、コイル32が絞り込まれるようにして縮径され、かつ処置具導入路23側に向けて伸長する。そして、コイル32が最縮径状態になると、図5に示したように、弾性シース32bの部位が部分的にオーバーラップすることになる。これによって、コイル32の上下のピッチ間隔が存在しなくなり、かつ弾性体32bが上下から圧縮されて、内向きに突出することになる。その結果、円周方向にも隙間がない状態になるようになり、コイル32の内部に形成されていた処置具通路35が閉鎖される。従って、コイル32の線径及びピッチを適切に設定することによって、拡縮筒31が最縮径状態となったときに、この拡縮筒31の内部がコイル32により密閉されることになる。
【0022】
リング状楔33は拡縮筒31の内径を縮小させたり、拡大させたりするためのものであって、拡縮筒31は口金25に固定して設けたリング状楔33に対して軸線方向に向けて移動可能となっている。拡縮筒31が口金25内に押し込まれていると、図4に示したように、処置具通路35が形成され、処置具導入部22の開放状態となる。この状態から、操作つまみ34を処置具導入部22から引き出すように操作すると、口金25に設けたリング状楔33が拡縮筒31の膨出部31cに乗り上げて、図5に示したように、処置具通路35が閉鎖状態になる。
【0023】
以上のように構成することによって、処置具を挿通させる際には、この処置具通路35が形成され、また処置具挿通チャンネル20を吸引用の通路の一部として構成する場合には、処置具通路35が閉鎖され、かつ口金25とリング状楔33との間、リング状楔33と拡縮筒31との間、さらに拡縮筒31とコイル32との間が気密状態に保持され、処置具導入部22の内部を確実に密閉状態にすることができる。即ち、処置具の挿通経路を確保するには、拡縮筒31を口金25内に押し込むように操作する。その結果、リング状楔33の円筒形状部33aの内面が小径部31aと対面し、先端のテーパ面部33bが移行部31bと対面する。従って、拡縮筒31には圧縮力が作用しないので、コイル32にも外力が作用することがなく、処置具通路35が形成された状態となる。ここで、図3に示したように、コイル32の内径をDとしたときに、この内径Dを処置具挿通チャンネル20の内径dとほぼ同じか、それより大きい寸法としておくことによって、この内視鏡1に用いられる最大径の処置具も処置具通路35を通過できるようになる。しかも、コイル32の内部を開放状態とすることによって、処置具の挿通時には格別の抵抗が生じることはない。従って、軟性チューブのように、腰の弱い処置具であっても、円滑に、しかも変形させることなく挿通することができる。
【0024】
一方、処置具挿通チャンネル20を吸引用の通路として使用する場合には、処置具導入部22の部位は密閉状態にしなければならない。このためには、口金25に装着した鉗子栓30を構成する拡縮筒31をこの口金25から引き上げるように変位させる。これによって、リング状楔33のテーパ面部33bは拡縮筒31の移行部31bから膨出部31cに乗り上げるようになり、さらに拡縮筒31が引き上げられると、リング状楔33の円筒形状部33aが拡縮筒31の膨出部31cと当接することになって、拡縮筒31は内方に圧縮されるようになる。その結果、拡縮筒31の内径が縮径されることになり、これに伴ってコイル32が縮径されながら伸長する。従って、コイル32は絞り込まれて、このコイル32が軸線方向において、複数個所で、つまり膨出部31cを設けた領域において、部分的にオーバーラップして、上下の部位が密着してピッチ間隔がなくなり、かつ弾性体32bが上下から圧縮されて、円周方向に隙間がない状態となる。そして、拡縮筒31が圧縮されるので、リング状楔33と拡縮筒31との間、拡縮筒31とコイル32との間及びコイル32の内径部分が密閉され、全体として処置具導入部22が閉鎖されることになる。
【0025】
これによって、処置具導入部22の密閉性が高くなり、処置具挿通チャンネル20は、挿入部3の先端に設けた処置具導出口12を除き、完全に密閉された状態となるので、吸引操作を行う際に、この処置具導入部22からの逆流を防止するだけでなく、負圧吸引力の低下を防止することができる。従って、処置具挿通チャンネル20の先端における処置具導出口12における吸引能力を高めることができる。
【0026】
また、体腔内の圧力は大気圧より高い状態となっているので、処置具を挿通させる時にだけ処置具導入部22を開放状態となし、それ以外では拡縮筒31を押し込んだ閉鎖状態とするのが望ましい。そして、コイル32にはばね状金属線材32aを有しているので、この閉鎖状態にある拡縮筒31を押し込んで、開放状態としたときには、ばね状金属線材32aの弾性復元力によって、コイル32は確実に拡径して、処置具を挿通させるための通路が確保される。
【0027】
さらに、鉗子栓30は症例毎に廃棄し、新たな鉗子栓30を装着することになる。この鉗子栓30のうち、拡縮筒31と、この拡縮筒31の内部に固定して設けたコイル32を処置具導入部22の口金25から脱着して、新たな拡縮筒31及びコイル32を口金25に装着する。ここで、口金25の端部にはフランジ部25dが設けられており、また拡縮筒31の操作つまみ34には、この口金25のフランジ部25dへの回り込み部34aが設けられて、この回り込み部34aをフランジ部25dに抱持させるようにして組み付けられている。しかも、拡縮筒31は柔軟性を有する部材で構成されている。従って、拡縮筒31は口金25の部位に容易に着脱できることになり、鉗子栓30の必要な部分の交換作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の鉗子栓が装着されている内視鏡の全体構成図である。
【図2】図1の内視鏡における挿入部の先端面を示す正面図である。
【図3】図1の内視鏡の本体操作部の要部断面図であって、処置具挿通チャンネル及び吸引通路以外を省略して示す図である。
【図4】図3の本体操作部における処置具導入部に鉗子栓を装着した状態の要部断面図であって、通路開放状態を示す図である。
【図5】図3の本体操作部における処置具導入部に鉗子栓を装着した状態の要部断面図であって、通路閉鎖状態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 内視鏡 2 本体操作部
3 挿入部 3c 先端硬質部
12 処置具導出口 20 処置具挿通チャンネル
21 通路分岐部材 22 処置具導入部
23 処置具導入路 24 吸引通路
25 口金 30 鉗子栓
31 拡縮筒 31a 小径部
31b 移行部 31c 膨出部
32 コイル 32a ばね性金属線材
32b 弾性シース 33 リング状楔
33a 円筒形状部 33b テーパ面部
34 操作つまみ 35 処置具通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の本体操作部に設けられ、一端が外部に開放され、他端が処置具挿通チャンネルに接続した通路を外部に開放させた処置具導入部に装着され、この通路を閉鎖状態と開放状態とに切り換えるための鉗子栓において、
弾性部材からなり、前記処置具導入部に挿入される処置具通路が形成されて、外周面に半径方向の膨出部を有する拡縮部材と、
前記拡縮部材の内部に装着された弾性材からなるコイルと、
前記拡縮部材の外周側に配設され、前記拡縮部材との間で相対移動可能な硬質リングから構成した作動リングとを備え、
前記作動リングを前記膨出部の外面に当接させると、前記拡縮部材の前記処置具通路及び前記コイルが縮径されて、このコイルが連続して部分的にオーバーラップすることにより前記処置具通路を密閉し、前記作動リングを前記膨出部から離間させると、前記コイルが拡径して、前記処置具通路を形成するように
構成したことを特徴とする内視鏡の鉗子栓。
【請求項2】
前記拡縮部材は円筒形状の部材から構成し、前記処置具導入部の軸線方向に移動可能となし、前記作動リングはこの処置具導入部に固定的に保持する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の鉗子栓。
【請求項3】
前記拡縮部材は内周面が円筒形状となり、外周面の前記膨出部には厚みが連続的に変化するテーパ面からなる移行部が連設され、この移行部から所定の長さの小径部を有するものとなし、また前記作動リングは、前記拡縮部材の前記小径部の外径より大きい内径を有する円筒形状部に、前記テーパ面部の傾斜角と一致するように拡開するテーパ面部とから構成され、この作動リングは、その円筒形状部が前記拡縮部材の前記膨出部の外周部当接する位置に配置することによって、この膨出部の内径を縮径させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の鉗子栓。
【請求項4】
前記コイルは、ばね性金属線材の外周部に柔軟性を有する弾性シースを設けたもので構成され、このコイルは前記拡縮部材の前記処置具通路の入口側に固定して設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の鉗子栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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