説明

内視鏡システムおよび内視鏡システムの駆動方法

【課題】診断に資する信頼性の高い酸素飽和度の情報を取得する。
【解決手段】血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を取得する機能情報観察モードが選択されたとき、正常な被観察部位を撮像してその酸素飽和度を血液情報算出部70で算出するプレ撮影を実施する。設定変更部74は、プレ撮影で得た酸素飽和度の実測値(複数フレーム分の平均値)STOaveと予め設定された酸素飽和度の基準値STOstの差が埋まるよう、酸素飽和度を算出する際に参照するデフォルトの参照情報71を変更する。血液情報算出部70は、設定変更部74で変更した参照情報71を用いて酸素飽和度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度の情報を取得する内視鏡システムおよび内視鏡システムの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において様々な生体情報の取得が行われている。その代表例として内視鏡を利用した検査が挙げられる。周知の如く、内視鏡は被検体内に挿入する挿入部の先端から被検体の被観察部位に照明光を照射し、被観察部位の像を取り込む。
【0003】
従来、照明光の光源にはキセノンランプやメタルハライドランプ等の白色光源が用いられていたが、病変の発見を容易にするために狭い波長帯域の光(狭帯域光)を被観察部位に照射し、その反射光を画像化して観察する手法が脚光を浴びている(特許文献1参照)。
【0004】
狭帯域光を照射して得られた撮像信号に基づき、血管中のヘモグロビンの酸素飽和度の情報を取得する方法も鋭意研究されている(特許文献2参照)。特許文献2では、300〜400nm、400nm付近、400〜500nm、500〜600nm、450〜850nm等の各波長帯域で複数の波長セットの狭帯域光を照射している。波長セットはヘモグロビンの酸素飽和度により吸光度が変化する波長と変化が少ない波長の組み合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3583731号
【特許文献2】特開平06−315477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のように酸素飽和度の情報を得る際には、得られた画像の画素値の比等をパラメータとする関数あるいはデータテーブルを予め用意し、求めたパラメータを関数に代入したりデータテーブルを検索したりしている。
【0007】
こうした関数やデータテーブル等の参照情報は典型的な生体組織に基づいて作られるが、実際には参照情報は被観察部位の性状、例えば粘膜層の構造、厚さ、血管密度等に依存して変化する。被観察部位の性状には患者の個体差や消化管の部位毎の差異があるため常に典型的な生体組織が観察対象となる保障はなく、典型例から外れた生体組織を観察した場合は酸素飽和度の算出結果が信頼性のないものとなってしまう。
【0008】
特許文献2には、典型例から外れた生体組織を観察した場合に酸素飽和度の算出結果の信頼性が低下する問題について言及されておらず、当然ながらその解決策も提示されていない。
【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、診断に資する信頼性の高い酸素飽和度の情報を取得することができる内視鏡システムおよび内視鏡システムの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を測定するための第一測定光を被検体の被観察部位に照射する照射手段と、第一測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第一画素値を出力する撮像素子と、第一画素値と酸素飽和度の相関関係を規定する参照情報を記憶する記憶手段と、参照情報に基づき第一画素値に応じた酸素飽和度を算出する算出手段と、被観察部位の性状に応じて参照情報を変更する設定変更手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
病変が存在しない正常な被観察部位に照射された第一測定光に対応する第一画素値とデフォルトの参照情報とに基づき、正常な被観察部位の酸素飽和度の実測値を得るプレ撮影を実行するモードを有する。前記設定変更手段は、プレ撮影により得られた酸素飽和度の実測値と予め設定された酸素飽和度の基準値との差に応じて、デフォルトの参照情報を変更する。プレ撮影終了後、前記設定変更手段で変更された参照情報に基づき前記算出手段で酸素飽和度を算出する本撮影に移行する。
【0012】
プレ撮影では画像を複数フレーム撮影し、複数フレーム分の画像の酸素飽和度の平均値を実測値とする。
【0013】
酸素飽和度の基準値は、解剖学的部位に関わらず一つの値を設定してもよいし、解剖学的部位に応じて複数の値を設定してもよい。
【0014】
後者の場合、被観察部位の解剖学的部位を入力する操作入力手段、または前記撮像素子から出力された画素値に基づき、被観察部位の解剖学的部位を検出する部位検出手段を備え、前記設定変更手段は、前記操作入力手段からの操作入力信号、または前記部位検出手段の検出結果に応じて基準値の設定を変更する。前記部位検出手段は、血液量の多寡に基づき、被観察部位の解剖学的部位を特定する。周知の画像認識により部位検出を行ってもよい。なお、解剖学的部位とは、具体的には食道、胃、大腸等である。
【0015】
前記算出手段は、プレ撮影で得た画像の全領域について酸素飽和度を算出する。あるいは、プレ撮影で得た画像の限定された領域について酸素飽和度を算出してもよい。
【0016】
後者の場合、前記撮像素子から出力された画素値に基づき、プレ撮影で前記算出手段が酸素飽和度を算出する画像の領域を選定する領域選定手段を備えることが好ましい。前記領域選定手段は、画像内で極端に明るい領域または極端に暗い領域以外を、酸素飽和度を算出する領域として選定する。血液量が閾値よりも多い領域、血管の密集度が閾値よりも低い領域を、酸素飽和度を算出する領域として選定してもよい。前記領域選定手段で選定した領域を前記表示手段に表示することが好ましい。
【0017】
前記撮像素子の視野全体に正常な被観察部位を位置させてプレ撮影を実施することを促すメッセージを表示手段に表示した後、プレ撮影の開始を指示する操作入力に応じてプレ撮影を開始してもよいし、メッセージを表示せずにプレ撮影を開始してもよい。
【0018】
後者の場合、プレ撮影で得られた酸素飽和度の実測値が許容範囲内に収まっているか否かを判定する判定手段を備えることが好ましい。酸素飽和度の実測値が許容範囲内に収まっていた場合は以降の参照情報を変更する処理を続行し、収まっていない場合は前記撮像素子の視野全体に正常な被観察部位を位置させてプレ撮影を実施することを促すメッセージを表示手段に表示する。
【0019】
被観察部位にブロードな波長帯域の白色光を連続的に照射して肉眼で観察したときと略同等の画像を表示手段に表示する通常観察モードと、第一測定光を照射して酸素飽和度の情報を算出してその結果を表示手段に表示する機能情報観察モードとを備え、各モードを切替可能に構成することが好ましい。機能情報観察モードを選択したときにプレ撮影を開始することが好ましい。
【0020】
第一測定光は、ヘモグロビンの吸光スペクトルにおいて酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に差が生じる波長帯域を含む光である。より好ましくは470nm±10nmの波長帯域の狭帯域光である。
【0021】
前記照射手段は、第一測定光に加えて血管中の血液量を測定するための第二測定光を被観察部位に照射し、前記撮像素子は、第二測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第二画素値を出力する。参照情報は、第一画素値と酸素飽和度の相関関係に加えて第二画素値と血液量の相関関係を規定している。前記算出手段は、参照情報に基づき第一画素値と第二画素値に応じた酸素飽和度と血液量の両方を算出する。この場合、第二測定光は、赤色波長帯域を含む光である。
【0022】
また、前記照射手段は、第一、第二測定光に加えて参照光を被観察部位に照射し、前記撮像素子は、参照光の被観察部位からの反射光を撮像して第三画素値を出力する。前記算出手段は、第一、第二、および第三画素値に基づき酸素飽和度と血液量を算出する。
【0023】
より詳しくは、前記算出手段は、酸素飽和度と血液量の両方に依存性を有する第一画素値および第三画素値の比である第一信号比と、血液量に依存性を有する第二画素値および第三画素値の比である第二信号比とを求める。参照情報は、酸素飽和度と第一、第二信号比との相関関係と、血液量と第二信号比との相関関係を規定している。前記算出手段は、該参照情報から第二信号比に対応する血液量を求めるとともに、第一、第二信号比に対応する酸素飽和度を求める。
【0024】
また、本発明の内視鏡システムの駆動方法は、生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を測定するための第一測定光を被検体の被観察部位に照射する照射ステップと、第一測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第一画素値を出力する撮像ステップと、第一画素値と酸素飽和度の相関関係を規定する参照情報に基づき第一画素値に応じた酸素飽和度を算出する算出ステップと、被観察部位の性状に応じて参照情報を変更する設定変更ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被観察部位の性状に応じて、生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を算出する際の参照情報を変更するので、診断に資する信頼性の高い酸素飽和度の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す外観図である。
【図2】電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図3】電子内視鏡の先端の構成を示す平面図である。
【図4】ベイヤー配列のカラーフィルタを示す図である。
【図5】CCDのRGB各画素の分光感度特性を示すグラフである。
【図6】励起光、狭帯域光、および蛍光の発光スペクトルを表すグラフである。
【図7】CCDおよび第一、第二半導体光源の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】画像処理部の構成を示す図である。
【図9】参照情報の例を示すグラフである。
【図10】酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光特性を示すグラフである。
【図11】血液量画像および酸素飽和度画像の生成手順を示すブロック図である。
【図12】血液量画像および酸素飽和度画像を生成するためのカラーマップを示す図である。
【図13】プレ撮影の実施を促すメッセージウィンドウを示す図である。
【図14】設定変更部による参照情報の変更の様子を説明するための図である。
【図15】機能情報観察モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】機能情報観察モードへの切替と同時にプレ撮影を実施する例を示すフローチャートである。
【図17】酸素飽和度の実測値を算出する領域の表示例を示す図である。
【図18】ロータリーフィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1において、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、および光源装置12からなる。電子内視鏡10は、周知の如く、被検体(患者)内に挿入される可撓性の挿入部13と、挿入部13の基端部分に連設された操作部14と、プロセッサ装置11および光源装置12に接続されるコネクタ15と、操作部14、コネクタ15間を繋ぐユニバーサルコード16とを有する。
【0028】
操作部14には、挿入部13の先端17を上下左右方向に湾曲させるためのアングルノブや、送気・送水ノズルからエアー、水を噴出させるための送気・送水ボタンの他、観察画像を静止画記録するためのレリーズボタンといった操作部材が設けられている。
【0029】
また、操作部14の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部13内の鉗子チャンネルを通して、先端17に設けられた鉗子出口40(図3参照)に連通している。
【0030】
プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続され、電子内視鏡システム2の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード16や挿入部13内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡10に給電を行い、先端17に搭載されたCCD33(図2参照)の駆動を制御する。また、プロセッサ装置11は、伝送ケーブルを介してCCD33から出力された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置11で生成された画像データは、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ18に観察画像として表示される。
【0031】
電子内視鏡システム2には、被検体の被観察部位に白色光を照射して観察する通常観察モードと、被観察部位に白色光および狭帯域光を照射して、生体組織の血管中のヘモグロビンの酸素飽和度と血液量を算出する機能情報観察モードとが用意されている。各モードの切替は操作部14のモード切替スイッチ19を操作することにより行われる。電子内視鏡システム2の電源投入直後は通常観察モードが自動的に選択される。
【0032】
図2および図3において、先端17には、略中央に配置された一つの観察窓30とその両脇に配置された四つの照明窓31a、31b、31c、31dが設けられている。観察窓30の奥には、レンズ群およびプリズムからなる対物光学系32を介して、被検体内撮影用のCCD33が配されている。
【0033】
照明窓31a〜31dは、ユニバーサルコード16や挿入部13に配設されたライトガイド34a、34b、34c、34d、および照明レンズ35a、35b、35c、35dで導光される光源装置12からの照明光を被観察部位に照射する。照明窓31a、31dは白色光照射用、照明窓31b、31cは狭帯域光照射用である。照明窓31a〜31dは、照明窓31a、31dの中心を結ぶ直線a1と照明窓31b、31cの中心を通る直線a2とが観察窓30の中心で交差するように、白色光照射用と狭帯域光照射用が互い違いに配置されている。このような配置にすることで、照明ムラの発生を防止することができる。なお、図2では白色光照射用と狭帯域光照射用の照明系をまとめて描いているが、実際には白色光照射用、狭帯域光照射用で二系統、計四系統の照明系が配設されている。白色光照射用と狭帯域光照射用でそれぞれ一つの照明系とし、照明窓も二つにした二灯式であってもよい。
【0034】
CCD33は、観察窓30、対物光学系32を経由した被検体内の被観察部位の像が撮像面に入射するように配置されている。撮像面には複数の色セグメントからなるカラーフィルタ、例えば、図4に示すベイヤー配列(R−赤、G−緑、B−青)の原色カラーフィルタ36が形成されている。原色カラーフィルタ36の分光透過率、および画素自体の分光感度によって、CCD33のRGB各画素の分光感度特性は図5に示すようになる。R画素は650nm近傍、G画素は550nm近傍、B画素は450nm近傍の波長の光にそれぞれ感度を有する。RGB各画素の感度は幾つかの波長帯域でオーバーラップしており、例えばB画素とG画素はともに、450nm〜530nmの波長帯域に感度を有する。
【0035】
図2において、アナログ信号処理回路(以下、AFEと略す)37は、相関二重サンプリング回路(以下、CDSと略す)、自動ゲイン制御回路(以下、AGCと略す)、およびアナログ/デジタル変換器(以下、A/Dと略す)から構成されている。CDSは、CCD33から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD33で生じるリセット雑音およびアンプ雑音の除去を行う。AGCは、CDSによりノイズ除去が行われた撮像信号を、プロセッサ装置11から指定されるゲイン(増幅率)で増幅する。A/Dは、AGCにより増幅された撮像信号を所定のビット数のデジタル信号に変換する。A/Dでデジタル化された撮像信号は、伝送ケーブルを介してプロセッサ装置11の画像処理回路49に入力される。
【0036】
CCD駆動回路38は、CCD33の駆動パルス(垂直/水平走査パルス、電子シャッタパルス、読み出しパルス、リセットパルス等)とAFE37用の同期パルスとを発生する。CCD33は、CCD駆動回路38からの駆動パルスに応じて撮像動作を行い、撮像信号を出力する。AFE37の各部は、CCD駆動回路38からの同期パルスに基づいて動作する。
【0037】
CPU39は、電子内視鏡10とプロセッサ装置11とが接続された後、プロセッサ装置11のCPU45からの動作開始指示に基づいて、CCD駆動回路38を駆動させるとともに、CCD駆動回路38を介してAFE37のAGCのゲインを調整する。
【0038】
CPU45は、プロセッサ装置11全体の動作を統括的に制御する。CPU45は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続している。ROM46には、プロセッサ装置11の動作を制御するための各種プログラム(OS、アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ等)が記憶されている。CPU45は、ROM46から必要なプログラムやデータを読み出して、作業用メモリであるRAM47に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU45は、検査日時、患者や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、プロセッサ装置11の操作パネルやLAN(Local Area Network)等のネットワークより得て、RAM47に記憶する。
【0039】
操作部48は、プロセッサ装置11の筐体に設けられる操作パネル、あるいは、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスである。CPU45は、操作部48、および電子内視鏡10の操作部14にあるレリーズボタンやモード切替スイッチ19等からの操作入力信号に応じて、各部を動作させる。
【0040】
画像処理回路49は、電子内視鏡10から入力された撮像信号に対して、色補間、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、画像強調、画像用ノイズリダクション、色変換等の各種画像処理を施す他、後述する血液量および酸素飽和度の算出を行う。
【0041】
表示制御回路50は、CPU45からROM46およびRAM47のグラフィックデータを受け取る。グラフィックデータには、観察画像の無効画素領域を隠して有効画素領域のみを表示させる表示用マスク、検査日時、あるいは患者や術者、現在選択されている観察モード等の文字情報、グラフィカルユーザインターフェース(GUI;Graphical User Interface)等がある。表示制御回路50は、画像処理回路49からの画像に対して、表示用マスク、文字情報、GUIの重畳処理、モニタ18の表示画面への描画処理等の各種表示制御処理を施す。
【0042】
表示制御回路50は、画像処理回路49からの画像を一時的に格納するフレームメモリを有する。表示制御回路50は、フレームメモリから画像を読み出し、読み出した画像をモニタ18の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換する。これにより、モニタ18に観察画像が表示される。
【0043】
プロセッサ装置11には、上記の他にも、画像に所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す圧縮処理回路や、圧縮された画像をCFカード、光磁気ディスク(MO)、CD−R等のリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらはデータバス等を介してCPU45と接続されている。
【0044】
光源装置12は、第一半導体レーザ光源55および第二半導体レーザ光源56を有する。各光源55、56は、ブロードエリア型のInGaN系、InGaNAs系、あるいはGaNAs系の半導体レーザダイオードである。図6に示すように、第一半導体レーザ光源55は、ライトガイド34a、34dの出射端に配された波長変換部材41を励起発光させるための励起光、例えば中心波長445nmの青色の励起光L1を発する。一方第二半導体レーザ光源56は、血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を算出するための狭帯域光、例えば波長帯域が470±10nmに、好ましくは473nmに制限された狭帯域光L2(第一測定光)を発する。
【0045】
各光源55、56は、光源ドライバ57、58によってそれぞれ駆動される。集光レンズ59、60は、各光源55、56から発せられた各光を集光して、各光源55、56の出射端側に配された二本のライトガイド61、62に導光する。ライトガイド61、62は合波器であるコンバイナ63に接続し、コンバイナ63は分波器であるカプラー64に接続している。ライトガイド61、62からの光は、コンバイナ63およびカプラー64を介して四本のライトガイド34a〜34dに分波される。集光レンズ59、60とライトガイド61、62の間には、ライトガイド61、62の入射端に入射させる光の光量を調節するための可動絞り65、66が設けられている。なお、コンバイナ63やカプラー64を設けるのではなく、各光源55、56からの光を直接ライトガイド34a〜34dに入射させる構成としてもよい。
【0046】
ライトガイド34a、34dと照明レンズ35a、35dの間に配された波長変換部材41は、第一半導体レーザ光源55からの青色の励起光L1の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体が分散配置、または表面に塗布されたガラスである。この波長変換部材41で励起発光する緑色〜黄色の蛍光(図6にL3で示す)と蛍光体の励起発光に寄与しない青色の励起光L1とが合波されて白色光が生成され、照明窓31a、31dを通して被観察部位に照射される。この白色光の赤色波長帯域の光が血液量を求めるための第二測定光として用いられ、緑色波長帯域の光が参照光として用いられる。なお、蛍光体としては、例えばYAG系蛍光物質、或いはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光物質が用いられ、商品名としてマイクロホワイト(登録商標)(Micro White(MW))とも呼ばれている。
【0047】
図5の分光感度特性より、中心波長445nmの励起光L1の反射光にはB画素のみが感応する。中心波長473nmの狭帯域光L2の反射光には、B画素およびG画素が感応する。蛍光L3は概ね450nm〜700nmのブロードな光であるため、RGB全ての画素が感応する。
【0048】
光源装置12のCPU67は、プロセッサ装置11のCPU45と通信し、光源ドライバ57、58を介して各光源55、56の各レーザ光の点消灯制御および可動絞り65、66による光量制御を各光源55、56および各可動絞り65、66別に行う。
【0049】
通常観察モードが選択された場合、CPU45は、CPU67を介して光源ドライバ57の駆動を制御して、第一半導体レーザ光源55のみを点灯させる。被観察部位に照射される照明光は第一半導体レーザ光源55からの中心波長445nmの励起光L1と波長変換部材41からの蛍光L3が混合された白色光のみとなる。
【0050】
機能情報観察モードが選択された場合は、CPU45は、CPU67を介して光源ドライバ57、58の駆動を制御して、図7に示すように各光源55、56を点灯させる。すなわち、各光源55、56のうちの一方を点灯させているときは他方を消灯させる。そしてこの点消灯動作をCCD33の蓄積・読出期間単位で繰り返す。被観察部位に照射される照明光は、白色光L1+L3、または狭帯域光L2となる。なお、CCD33の蓄積期間だけ各光源55、56のいずれかを点灯し、続く読出期間から次の蓄積期間まで該光源を消灯させてもよい。
【0051】
図8において、画像処理回路49には、血液情報算出部70が設けられている。血液情報算出部70は、機能情報観察モードで被観察部位に白色光および狭帯域光を交互に照射してその反射光を撮像した連続する二組の画像P1、P2(図7参照、P1=第一画像、P2=第二画像)に基づき、血管中のヘモグロビンの酸素飽和度と血液量を算出する。
【0052】
血液情報算出部70は、機能情報観察モードで被観察部位に白色光および狭帯域光を照射して得た連続する二組の画像P1、P2をそれぞれ一時的に記憶するフレームメモリ(図示せず)を有する。血液情報算出部70は、フレームメモリから各画像P1、P2を読み出し、各画像P1、P2の画素値を用いた種々の演算、例えば各画像P1、P2間の画素値の比をとる。なお、各画像P1、P2の全体ではなく、各画像P1、P2中の血管領域に対してのみ比を算出してもよい。この場合は血液情報算出部70の前段でAFE37から入力される画像を解析し、例えば血管部分とそれ以外の部分の輝度値の差を参照することで血管が映し出された領域を特定し、特定した血管領域の情報を画像とともに血液情報算出部70に出力する。
【0053】
白色光を照射して得られた第一画像P1と、続いて狭帯域光を照射して得られた第二画像P2の画素値の比を用いて酸素飽和度と血液量を算出する場合、血液情報算出部70は、同じ位置にある第二画像P2のB画素値b2(第一画素値)と第一画像P1のG画素値g1(第三画素値)の比b2/g1(第一信号比)、および同じ位置にある第一画像P1のR画素値r1(第二画素値)とG画素値g1(第三画素値)の比r1/g1(第二信号比)を算出し、参照情報71に基づいて酸素飽和度および血液量を算出する。
【0054】
参照情報71は、例えばROM46や画像処理回路49のメモリ内に予め記憶されており、図9に示すような各信号比と酸素飽和度および血液量の相関関係を関数あるいはデータテーブルの形式でもつ。各信号比と酸素飽和度および血液量の関係は実験等で予め求められる。血液量は第二信号比であるr1/g1(logスケール)と相関関係があり、比r1/g1が大きい程血液量も多くなる。一方、酸素飽和度は、第一信号比b2/g1と第二信号比r1/g1を縦横軸とする二次元空間上に張り巡らされた複数本の等高線で表される。等高線は、比r1/g1すなわち血液量が多くなるに連れてその幅が広くなっている。
【0055】
各信号比と酸素飽和度および血液量の相関関係は、図10に示す酸化ヘモグロビンHbOと還元ヘモグロビンHbの吸光特性や光散乱特性と密接に関連性し合っている。狭帯域光L2の波長帯域である473nmのように、酸化ヘモグロビンHbOと還元ヘモグロビンHbの吸光係数の差が大きい波長の光を照射して得た信号からは酸素飽和度の情報を取り易い。しかしながら該信号は酸素飽和度だけでなく血液量にも依存度が高い。
【0056】
図10から以下の二つのことが言える。
・波長470nm近辺(例えば、中心波長470nm±10nmの青色の波長帯域)では酸素飽和度の変化に応じて吸光係数が大きく変化する。
・590〜700nmの赤色の波長帯域では、酸素飽和度によって一見吸光係数が大きく変化するように見えるが、吸光係数の値自体が非常に小さいので、結果的に酸素飽和度の影響を受けにくい。
【0057】
こうした知見を踏まえて、機能情報観察モードにおいては、第一測定光として青色波長帯域の狭帯域光L2を用い、狭帯域光L2に対応する第二画像P2のB画素値b2を取得し、白色光のうち主として血液量に依存して変化する赤色波長帯域の光を第二測定光として用い、赤色波長帯域の光に対応する第一画像P1のR画素値r1を取得する。そして、酸素飽和度と血液量の両方に依存性を示す第一信号比b2/g1と、血液量のみ依存性を示す第二信号比r1/g1の二つの信号比を用いて、血液量の影響を除去した酸素飽和度を正確に求めている。
【0058】
血液情報算出部70は、算出した各信号比を関数に代入して演算したりデータテーブルを検索したりして、当該信号比に対応する酸素飽和度および血液量を参照情報71から求める。血液量については、算出した比r1*/g1*がそのまま血液量となる。酸素飽和度は、算出した比b2*/g1*および比r1*/g1*に対応する点Pと交わる等高線の値(本例では60%)が採用される。比b2*/g1*および比r1*/g1*に対応する点が酸素飽和度=0%限界の下限ラインlminよりも上方に位置するとき(点P’)には酸素飽和度を0%とし、酸素飽和度=100%限界の上限ラインlmaxよりも下方に位置するとき(点P’’)には酸素飽和度を100%とする。あるいは、いずれの場合もその画素の酸素飽和度の算出を行わない。血液情報算出部70は、これら血液量および酸素飽和度の算出結果を画像生成部72に出力する。
【0059】
画像生成部72は、血液情報算出部70の算出結果を擬似カラー表示するためのカラーマップ73に基づき、算出結果を反映させた血液量画像および酸素飽和度画像を生成する。
【0060】
図11に示すように、モニタ18に出力されるビデオ信号は、輝度信号Yと色差信号Cb、Crから構成される。血液量画像は、第一画像P1のG画素値g1を輝度信号Yに、算出した血液量を色差信号Cb、Crにそれぞれ割り当てることによって生成される。第一画像P1のG画素値g1は、ヘモグロビンによる吸収がやや強い波長帯域の反射光に対応しているので、該画素値に基づく画像からは粘膜の凹凸や血管等を視認することができる。従って、G画素値g1を輝度信号Yに割り当てることで、血液量画像の全体的な明るさを定義することができる。
【0061】
色差信号Cb、Crは、図12の(A)に示すカラーマップ73aに従って、血液量に応じた信号値が割り当てられる。カラーマップ73aは、色差信号Cbについては血液量が大きくなるほど信号値が低下するように定義され、色差信号Crについては血液量が大きくなるほど信号値が増加するように定義されている。従って、血液量画像は、血液量が多いところでは赤味が増加し、血液量が低くなるにつれて赤味の彩度が下がりモノクロに近づいていく。
【0062】
図11において、酸素飽和度画像は、血液量画像と同様に、G画素値g1を輝度信号Yに、算出した酸素飽和度を色差信号Cb、Crにそれぞれ割り当てることによって生成される。
【0063】
色差信号Cb、Crは、図12の(B)に示すカラーマップ73bに従い、酸素飽和度に応じた信号値が割り当てられる。カラーマップ73bは、高酸素飽和度下では色差信号Crの信号値が正、色差信号Cbの信号値が負となるように定義され、低酸素飽和度下では、反対に色差信号Crの信号値が負、色差信号Cbの信号値が正となるように定義されている。そして、中酸素飽和度下において、色差信号Crの信号値と色差信号Cbの信号値の大小関係が逆転するように定義されている。従って、酸素飽和度が低い方から高くなるに連れて色味が青→水色→緑→黄→橙→赤と変化する。これに加えて、血液量や酸素飽和度の具体的な数値を文字情報として画像に重畳表示してもよい。
【0064】
表示制御回路50は、画像生成部72で生成された血液量画像および酸素飽和度画像をモニタ18に単独、または並べて表示させる。これら単独表示、並列表示を、術者の操作または一定時間毎に自動的に切り替えてもよい。各画像の比較が容易になり、酸素飽和度と血液量の両方に特徴を有する未分化型早期胃癌等の病変部に対する診断能を向上させることができ、診断をスムーズに進めることができる。
【0065】
通常観察モードから機能情報観察モードに切り替えられたとき、CPU45は、図13に示すメッセージウィンドウ80をモニタ18に表示させる。メッセージウィンドウ80には、例えば「正常な被観察部位でプレ撮影を実行して下さい。」といった、電子内視鏡10の視野全体に病変部のない正常な被観察部位を位置させた状態で酸素飽和度を算出するプレ撮影の実行を促すメッセージが表示される。
【0066】
メッセージウィンドウ80が表示されたことを受けて、術者はモニタ18に映る画像を観察して正常な被観察部位と思われる箇所に電子内視鏡10の視野を移動させる。その後操作部48を操作してプレ撮影の開始を指示する。プレ撮影の開始を指示するまでは照明光は白色光のままである。なお、正常な被観察部位は、これから血液量や酸素飽和度を算出しようとする病変部がある臓器内で探索する。
【0067】
プレ撮影の開始が指示されてはじめて照明光が白色光から狭帯域光に切り替わり、図7で示したようにCCD33で白色光と狭帯域光の反射光を連続的に撮像する。血液情報算出部70は、図9に示すデフォルトの参照情報71を用いてプレ撮影開始後の複数フレーム分の画像の酸素飽和度を算出し、その情報を設定変更部74に出力する。
【0068】
設定変更部74は、血液情報算出部70から送られた情報を元に、各フレームの酸素飽和度の平均値を求め、さらに求めた平均値を足してフレーム数で割って複数フレーム全体の酸素飽和度の平均値STOaveを求める。そして、平均値STOaveと予め設定された基準値STOstとの差分Δを求める。基準値STOstは、口から肛門までの消化管の正常な粘膜が示す酸素飽和度の典型的な値(70%)である。
【0069】
平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが0(STOave=STOst)の場合、設定変更部74は何もしない。
【0070】
平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが負(STOave−STOst<0、すなわちSTOave<STOst)の場合は、図14に一点鎖線で示すように、平均値STOaveと基準値STOstのずれが解消してSTOave=STOstとなるよう、細線で示すデフォルトの参照情報71を縦軸に沿って上方に平行移動させる。また、平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが正(STOave−STOst>0、すなわちSTOave>STOst)の場合は、二点鎖線で示すように、同様に平均値STOaveと基準値STOstのずれが解消するよう、デフォルトの参照情報71を縦軸に沿って下方に平行移動させる。平行移動の量は、血液量をある値(例えば中間値)に固定した場合の参照情報71上における平均値STOaveと基準値STOstの差分Δの大きさに応じて調整する(図9参照)。当然ながら差が大きい程平行移動の量も多くなる。設定変更部74は、変更した参照情報71をデフォルトの参照情報71とは別に記憶させる。
【0071】
なお、酸素飽和度とともに血液量とその平均値も算出し、血液量を平均値とした場合の参照情報71上における平均値STOaveと基準値STOstの差分を求めてもよい。参照情報71の酸素飽和度の等高線は血液量によって幅が広くなったり狭くなったりするため、血液量も加味して差分を求めればより正確となり好ましい。
【0072】
機能情報観察モードでは、プレ撮影で設定変更部74にて上述の処理を実行した後、本撮影に移行する。平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが0(STOave=STOst)の場合、血液情報算出部70は、本撮影でも引き続き図9に示すデフォルトの参照情報71を用いて酸素飽和度と血液量を算出する。それ以外の場合は、デフォルトの参照情報71に代えて、設定変更部74で変更した参照情報71を用いて酸素飽和度と血液量を算出する。
【0073】
次に、上記のように構成された電子内視鏡システム2の作用について説明する。電子内視鏡10で被検体内を観察する際、術者は、操作部48を操作して、被検体に関する情報等を入力し、検査開始を指示する。検査開始を指示した後、術者は、電子内視鏡10の挿入部13を被検体内に挿入し、光源装置12からの照明光で被検体内を照明しながら、CCD33による被検体内の観察画像をモニタ18で観察する。
【0074】
CCD33から出力された撮像信号は、AFE37の各部で各種処理を施された後、画像処理回路49に入力される。画像処理回路49では、入力された撮像信号に対して各種画像処理が施され、画像が生成される。画像処理回路49で処理された画像は、表示制御回路50に入力される。表示制御回路50では、グラフィックデータに応じて各種表示制御処理が実行される。これにより、観察画像がモニタ18に表示される。
【0075】
電子内視鏡システム2で検査を行うときには、観察対象に応じて観察モードが切り替えられる。電子内視鏡10の挿入部13を被検体内に挿入する際には通常観察モードを選択して、白色光を照射して得られた画像を観察して広い視野を確保しつつ挿入作業を行う。詳細な観察が必要な病変が発見され、その病変の酸素飽和度や血液量を取得する際には、機能情報観察モードを実行に移し、病変に白色光および狭帯域光を交互に照明して得られた血液量画像および酸素飽和度画像を観察する。そして、必要に応じて電子内視鏡10に装備されたレリーズボタンを操作して静止画像を取得したり、病変に処置が必要な場合は電子内視鏡10の鉗子チャンネルに各種処置具を挿通させて、病変の切除や投薬等の処置を施す。
【0076】
通常観察モードの場合は、CPU45の指令の下にCPU67により第一半導体レーザ光源55が点灯されて、照明窓31a、31dから被観察部位に白色光が照射される。
【0077】
一方、図15のステップ10(S10)に示すように、モード切替スイッチ19が操作されて機能情報観察モードが選択されると、表示制御回路50によってプレ撮影の実行を促すメッセージウィンドウ80がモニタ18に表示される(S11)。術者は正常な被観察部位に電子内視鏡10の視野を移動させてプレ撮影の開始を指示する(S12でYES)。プレ撮影の開始指示がなされると、各光源55、56のうちの一方が点灯されているときは他方が点灯され、これがCCD33の蓄積・読出期間単位で繰り返されるようCPU67により各光源55、56が駆動制御される。CCD33では白色光L1+L3、または狭帯域光L2による反射光が撮像されて、第一画像P1、または第二画像P2が交互に出力される(S13)。
【0078】
画像処理回路49では、血液情報算出部70で第一、第二画像P1、P2の画素値の比が算出され、デフォルトの参照情報71を元に酸素飽和度が算出される(S14)。これらS13の撮像とS14の酸素飽和度の算出が複数フレーム分繰り返される(S15でNO)。
【0079】
酸素飽和度の算出結果は、血液情報算出部70から設定変更部74に出力される。そして、設定変更部74で複数フレーム全体の酸素飽和度の平均値STOaveが算出され(S16)、さらに平均値STOaveと基準値STOstとの差分Δが求められる(S17)。平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが0の場合(STOave=STOst、S18でYES)は、続く本撮影で血液情報算出部70にてデフォルトの参照情報71で酸素飽和度と血液量が算出される(S19)。一方、平均値STOaveと基準値STOstの差分Δが0でない場合(STOave<STOstまたはSTOave>STOst、S18でNO)、設定変更部74により平均値STOaveと基準値STOstとのずれが解消されるよう設定変更部74により参照情報71が変更される(S20)。本撮影では、変更された参照情報71で酸素飽和度と血液量が算出される(S21)。
【0080】
酸素飽和度と血液量の算出結果は、画像生成部72で酸素飽和度画像と血液量画像に画像化されてモニタ18に表示される(S22)。上記一連のS19またはS21、S22の処理は、モード切替スイッチ19が操作されて通常観察モードが選択される等して機能情報観察モードが終了される(S23でYES)まで続行される。
【0081】
以上説明したように、本発明は、正常な被観察部位の酸素飽和度平均値STOaveを得て、この値と基準値STOstが一致しない場合はそのずれが解消するよう参照情報71を変更し、変更した参照情報71で酸素飽和度を算出するので、患者の個体差等の影響を受けることなく常に正確で再現性ある酸素飽和度の情報を得ることができる。このため酸素飽和度画像による診断の信頼性が増し、癌組織の早期発見といった医療の進歩に貢献することができる。
【0082】
上記実施形態では、基準値STOstを一つの値としているが、食道、胃等の消化管の部位毎に基準値STOstを設定、記憶しておいてもよい。基準値STOstを一つの値とするよりも、部位毎に細かく基準値STOstを設定することで、酸素飽和度の算出結果の信頼性をより高めることができる。なお、この場合はプレ撮影の開始を指示する際に操作部48等を介して術者に現在観察している部位を入力させ、その操作入力信号に応じて基準値STOstを切り替える。あるいは以下に説明するように、部位を入力する手間を省くため、被観察部位の解剖学的部位を自動的に検出して、その結果に応じて基準値STOstを切り替えてもよい。
【0083】
被観察部位の解剖学的部位を自動的に検出する方法としては、血液量の指標である第一画像P1のR画素値r1とG画素値g1の比r1/g1と閾値の比較による方法がある。消化管の各部位の血液量は、例えば食道は比較的少なく、胃は比較的多く、大腸はそれらの中間の値を示す。設定変更部74は、血液情報算出部70から送られた比r1/g1と各部位を区別するために予め設定された閾値の大小の比較結果に基づき、現在観察している部位を特定する。そして、特定した部位に応じた基準値STOstに切り替えたうえで平均値STOaveとの差分を算出する。つまりこの場合設定変更部74は部位検出手段の機能を担う。
【0084】
他の方法としては、周知の画像認識技術を利用することも考えられる。画像認識には、例えば食道と胃のつなぎ目で、特異な形状を有する噴門をパターン認識する、あるいは画像に映し出される暗部の面積が食道から噴門は小、胃に入ったときに大となることを利用して、暗部の面積と閾値とを比較するといった方法が挙げられる。検査中の被検体をCT撮影して電子内視鏡10の先端17の体内位置を検出したり、先端17にpHセンサを設けてpHの違いによって部位を認識する等、被観察部位が分かる方法であれば上記に挙げた方法以外のものを採用してよい。
【0085】
上記実施形態では、機能情報観察モードを選択したときに術者にプレ撮影を実施させているが、通常観察モード、機能情報観察モードに関わらず操作部48等を介した術者の指示により任意のタイミングでプレ撮影を開始してもよい。
【0086】
また、プレ撮影の開始を術者に指示させるのではなく、自動化してもよい。この場合、例えば図16に示すように、上記実施形態と同様に機能情報観察モードを選択したとき(S30)に術者の指示を待たずに自動的にプレ撮影を開始し、複数フレーム分の酸素飽和度の平均値STOaveを得る(S31、S32、S33でYES、S34)。
【0087】
そして、平均値STOaveが予め設定された閾値の範囲内に収まっているか否かを設定変更部74にて判定する(S35)。つまりこの場合設定変更部74は判定手段として機能する。閾値の範囲は例えば酸素飽和度50%以上90%以下とする。平均値STOaveが閾値の範囲内であった場合(S35でYES)は、電子内視鏡10の視野全体に病変部のない正常な被観察部位が位置していたと判断し、上記実施形態のS17以降の処理を続行する。
【0088】
一方、平均値STOaveが閾値の範囲外であった場合(S35でNO)は病変部が映っていたと判断する。この場合は上記実施形態と同様にメッセージウィンドウ80をモニタ18に表示させ(S36)、電子内視鏡10の視野全体に正常な被観察部位を位置させるよう術者に促し、術者からプレ撮影の開始指示があったら(S37でYES)、S31に戻って再びプレ撮影を実施する。平均値STOaveが閾値の範囲内であった場合は術者がプレ撮影の開始を指示する手間を省くことができる。
【0089】
なお、正常な被観察部位か否かを判断する方法としては、上記の酸素飽和度の他にも種々考えられる。例えば青色波長帯域の狭帯域光(上記実施形態の中心波長473nmの狭帯域光L2等)を照射して得られた粘膜表層の血管強調画像(血管走行の可視像)を解析することで判断してもよい。具体的には粘膜表層の血管の枝分かれ本数から血管の密集度を求め、密集度が比較的高い場合は癌組織周辺の新生血管を映していると判断し、密集度が比較的低い場合は正常な被観察部位を映していると判断する。
【0090】
上記実施形態では、プレ撮影で得た画像フレームの全領域の酸素飽和度の平均値STOaveを算出しているが、平均値STOaveを算出する領域を限定してもよい。例えば、血液情報算出部70にて、画像内で極端に明るい領域または極端に暗い領域を、平均値STOaveを算出する領域としては不適と判断して排除し、排除した領域以外の酸素飽和度の情報を設定変更部74に出力する。画素値の階調が10bitで表現されている場合は、画素値が30〜700の範囲以外を排除する。
【0091】
または、血液量の指標である第一画像P1のR画素値r1とG画素値g1の比r1/g1がある閾値よりも大きく、血液量が比較的多い領域のみを平均値STOaveを算出する領域としてもよい。よく知られているように癌組織は血流が不足するため、血液量が比較的多い領域を選べば正常な被観察部位である可能性が高くなる。このため比r1/g1が閾値以下の領域は正常な被観察部位ではない確率が高いと判断して、平均値STOaveを算出する領域から排除する。
【0092】
あるいは、第二画像P2のB画素値b2と第一画像P1のG画素値g1の比b2/g1がある閾値よりも大きい領域のみを平均値STOaveを算出する領域としても可である。癌組織周辺の新生血管を映していた場合は血管の密集度が比較的高くなり、比b2/g1は比較的小さくなる。このため比b2/g1が閾値以下の領域は癌組織周辺の新生血管が映っている確率が高いと判断して、平均値STOaveを算出する領域から排除する。いずれの方法にしても、全領域の酸素飽和度の平均値STOaveを算出する場合と比べて処理を高速化することができ、プレ撮影から本撮影に移行するまでの時間を短縮することができる。
【0093】
図17に示すように、上記の如く選別した平均値STOaveを算出する領域を酸素飽和度画像上で色付きの網掛けで囲む等して識別可能に表示してもよい。選別した領域が妥当なものかどうかを目視により確認することができる。また、平均値STOaveを算出する領域を術者が指定してもよく、例えば画像中央部分等に平均値STOaveを算出する領域を固定してもよい。
【0094】
検査後の検証のためにプレ撮影で得た画像および算出した酸素飽和度や選別した平均値STOaveを算出する領域の情報を記憶しておいてもよい。
【0095】
上記実施形態ではデフォルトの参照情報をその都度設定変更しているが、デフォルトの参照情報に加えて、これを変更した参照情報を複数予め用意しておき、平均値STOaveと基準値STOstの差分Δの算出結果に応じて複数用意した中から選択するよう構成してもよい。
【0096】
平均値STOaveを患者毎または患者の臓器毎に記憶・管理してもよい。こうすればプレ撮影を実施しなくとも過去の直近の検査で得た平均値STOaveを記憶先から読み出して用いれば上記実施形態と同様の処理を行うことができ、プレ撮影を実施する手間とプレ撮影に掛かる時間を省くことができる。
【0097】
なお、本発明に係る内視鏡システムは、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、撮像素子としてCCD33の代わりにCMOSイメージセンサを用いてもよい。
【0098】
上記実施形態では酸素飽和度に加えて血液量も算出しているが、本発明はこれに限定されない。特許文献2(特開平06−315477号公報)のように酸素飽和度のみを算出するシステムに適用することももちろん可能である。また、特開2011−092690号公報のように、酸素飽和度の情報とともに血管深さの情報も同時に得るシステムについても本発明は適用可能である。要するに、何らかの参照情報に基づいて酸素飽和度を算出するシステムであれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
酸素飽和度の算出に加えて、中心波長405nm、450nm、550nm、780nm等の狭帯域光を照射して、粘膜表層、中層、深層の各血管強調画像を得たり、あるいは生体組織に蛍光物質を注入して励起光を照射し、被観察部位からの蛍光を観察したり、さらには生体組織の自家蛍光を観察する特殊光観察機能を実行可能な構成としてもよい。
【0100】
血液量×酸素飽和度(%)から求まる酸化ヘモグロビンインデックス、血液量×(100−酸素飽和度)(%)から求まる還元ヘモグロビンインデックス等を算出してもよい。
【0101】
上記実施形態では、白色光用と狭帯域光用の第一、第二半導体レーザ光源55、56を用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば400nm以上800nm以下の波長帯の青色〜赤色までのブロードな波長の白色光を発生するキセノンランプやハロゲンランプ、白色LED(発光ダイオード)等の白色光源と、入射光のうちの特定の波長帯域の光を選択的に透過させ、且つ透過させる光の波長帯域を変更可能な波長可変素子を組み合わせてもよい。
【0102】
波長可変素子には、圧電素子等のアクチュエータを駆動することにより、二枚の高反射光フィルタからなる基板の面間隔を変更し、以て透過光の波長帯域を制御するエタロン、あるいは偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御する液晶チューナブルフィルタを用いる。この場合、白色光源と白色光を電子内視鏡の先端に導光するライトガイドの入射端の間、またはライトガイドの出射端側に波長可変素子を設ける。あるいは照明光学系ではなく、被観察部位の像を取り込む対物光学系、例えば観察窓の背後やCCDの撮像面上に波長可変素子を配置する。
【0103】
また、モノクロ撮像素子と、白色光源と、白色光の光路に配置され、複数の干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)を組み合わせたロータリーフィルタとを用いてもよい。例えば図18に示すロータリーフィルタ90を用いる。ロータリーフィルタ90は、外周部90aと内周部90bとに分れた二重円構造であり、外周部90aは白色光のうちの赤色、緑色、青色波長帯域が透過するR、G、Bフィルタ部からなり、内周部90bは、R、Gフィルタ部は外周部90aと共通で、外周部90aのBフィルタ部と同じ扇形領域が白色光のうちの470nm±10nmの光(上記実施形態の狭帯域光L2)を透過するフィルタ部となっている。
【0104】
ロータリーフィルタ90は、図示しないシフト機構によって外周部90aと内周部90bを選択的に白色光の光路上に配置することが可能である。通常観察モードでは外周部90aが白色光の光路上に配置され、RGBの各フィルタ部によりRGBの各光が被観察部位に順次照射される。そして、モノクロ撮像素子でそれらの反射光が撮像され、RGB各光を照射して得た三つの画像から一つの通常観察用の画像が生成される。機能情報観察モードでは内周部90bが白色光の光路上に配置され、RGの各フィルタ部と狭帯域光L2のフィルタ部によりRG光と狭帯域光L2が順次照射される。この場合はR光が第二測定光、G光が参照光となり、モノクロ撮像素子から出力された狭帯域光L2、R光、G光を照射して得たそれぞれの画像の画素値が第一〜第三画素値となる。なお、ロータリーフィルタは二重円構造でなく、複数の扇形状のフィルタ部を並べた構造であってもよいし、ロータリーフィルタを二枚以上用意してシフト機構で切り替えてもよい。
【0105】
上記実施形態では、CCDのカラーフィルタやロータリーフィルタのフィルタ部をRGBの原色系としているが、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の補色系のフィルタを使用してもよい。
【0106】
上記実施形態では電子内視鏡を例示したが、本発明はこれに限らず、イメージガイドを用いたファイバスコープや、撮像素子と超音波トランスデューサが先端に内蔵された超音波内視鏡等、他の形態の内視鏡にも適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 プロセッサ装置
12 光源装置
18 モニタ
19 モード切替スイッチ
33 CCD
34a〜34d ライトガイド
39、45、67 CPU
41 波長変換部材
49 画像処理回路
50 表示制御回路
55、56 第一、第二半導体レーザ光源
70 血液情報算出部
71 参照情報
74 設定変更部
80 メッセージウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を測定するための第一測定光を被検体の被観察部位に照射する照射手段と、
第一測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第一画素値を出力する撮像素子と、
第一画素値と酸素飽和度の相関関係を規定する参照情報を記憶する記憶手段と、
参照情報に基づき第一画素値に応じた酸素飽和度を算出する算出手段と、
被観察部位の性状に応じて参照情報を変更する設定変更手段とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
病変が存在しない正常な被観察部位に照射された第一測定光に対応する第一画素値とデフォルトの参照情報とに基づき、正常な被観察部位の酸素飽和度の実測値を得るプレ撮影を実行するモードを有し、
前記設定変更手段は、プレ撮影により得られた酸素飽和度の実測値と予め設定された酸素飽和度の基準値との差に応じて、デフォルトの参照情報を変更することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
プレ撮影では画像を複数フレーム撮影し、複数フレーム分の画像の酸素飽和度の平均値を実測値とすることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
酸素飽和度の基準値は、一つの値が設定されることを特徴とする請求項2または3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
酸素飽和度の基準値は、解剖学的部位に応じた複数の値が設定されることを特徴とする請求項2または3に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
被観察部位の解剖学的部位を入力する操作入力手段を備え、
前記設定変更手段は、前記操作入力手段からの操作入力信号に応じて基準値の設定を変更することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記撮像素子から出力された画素値に基づき、被観察部位の解剖学的部位を検出する部位検出手段を備え、
前記設定変更手段は、前記部位検出手段の検出結果に応じて基準値の設定を変更することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記部位検出手段は、血液量の多寡に基づき、被観察部位の解剖学的部位を特定することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記算出手段は、プレ撮影で得た画像の全領域について酸素飽和度を算出することを特徴とする請求項2ないし8のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記算出手段は、プレ撮影で得た画像の限定された領域について酸素飽和度を算出することを特徴とする請求項2ないし8のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記撮像素子から出力された画素値に基づき、プレ撮影で前記算出手段が酸素飽和度を算出する画像の領域を選定する領域選定手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記領域選定手段は、画像内で極端に明るい領域または極端に暗い領域以外を、酸素飽和度を算出する領域として選定することを特徴とする請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記領域選定手段は、血液量が閾値よりも多い領域を、酸素飽和度を算出する領域として選定することを特徴とする請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記領域選定手段は、血管の密集度が閾値よりも低い領域を、酸素飽和度を算出する領域として選定することを特徴とする請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
前記領域選定手段で選定した領域を表示手段に表示することを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項16】
前記撮像素子の視野全体に正常な被観察部位を位置させてプレ撮影を実施することを促すメッセージを表示手段に表示した後、プレ撮影の開始を指示する操作入力に応じてプレ撮影を開始することを特徴とする請求項2ないし15のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項17】
プレ撮影で得られた酸素飽和度の実測値が許容範囲内に収まっているか否かを判定する判定手段を備え、
酸素飽和度の実測値が許容範囲内に収まっていた場合は以降の参照情報を変更する処理を続行し、
収まっていない場合は前記撮像素子の視野全体に正常な被観察部位を位置させてプレ撮影を実施することを促すメッセージを表示手段に表示することを特徴とする請求項2ないし15のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項18】
被観察部位にブロードな波長帯域の白色光を連続的に照射して肉眼で観察したときと略同等の画像を表示手段に表示する通常観察モードと、
第一測定光を照射して酸素飽和度の情報を算出してその結果を表示手段に表示する機能情報観察モードとを備え、
各モードを切替可能に構成することを特徴とする請求項1ないし17のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項19】
機能情報観察モードを選択したときにプレ撮影を開始することを特徴とする請求項18に記載の内視鏡システム。
【請求項20】
第一測定光は、ヘモグロビンの吸光スペクトルにおいて酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に差が生じる波長帯域を含む光であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項21】
第一測定光は、470nm±10nmの波長帯域の狭帯域光であることを特徴とする請求項20に記載の内視鏡システム。
【請求項22】
前記照射手段は、第一測定光に加えて血管中の血液量を測定するための第二測定光を被観察部位に照射し、
前記撮像素子は、第二測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第二画素値を出力し、
参照情報は、第一画素値と酸素飽和度の相関関係に加えて第二画素値と血液量の相関関係を規定し、
前記算出手段は、参照情報に基づき第一画素値と第二画素値に応じた酸素飽和度と血液量の両方を算出することを特徴とする請求項1ないし21のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【請求項23】
第二測定光は、赤色波長帯域を含む光であることを特徴とする請求項22に記載の内視鏡システム。
【請求項24】
前記照射手段は、第一、第二測定光に加えて参照光を被観察部位に照射し、
前記撮像素子は、参照光の被観察部位からの反射光を撮像して第三画素値を出力し、
前記算出手段は、第一、第二、および第三画素値に基づき酸素飽和度と血液量を算出することを特徴とする請求項22または23に記載の内視鏡システム。
【請求項25】
前記算出手段は、酸素飽和度と血液量の両方に依存性を有する第一画素値および第三画素値の比である第一信号比と、血液量に依存性を有する第二画素値および第三画素値の比である第二信号比とを求め、
参照情報は、酸素飽和度と第一、第二信号比との相関関係と、血液量と第二信号比との相関関係を規定し、
前記算出手段は、該参照情報から第二信号比に対応する血液量を求めるとともに、第一、第二信号比に対応する酸素飽和度を求めることを特徴とする請求項24に記載の内視鏡システム。
【請求項26】
生体組織に存在する血管中のヘモグロビンの酸素飽和度を測定するための第一測定光を被検体の被観察部位に照射する照射ステップと、
第一測定光の被観察部位からの反射光を撮像して第一画素値を出力する撮像ステップと、
第一画素値と酸素飽和度の相関関係を規定する参照情報に基づき第一画素値に応じた酸素飽和度を算出する算出ステップと、
被観察部位の性状に応じて参照情報を変更する設定変更ステップとを備えることを特徴とする内視鏡システムの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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