内視鏡システム及びその駆動方法
【課題】複数の光源の内いずれかが故障等で消灯しても、観察を継続して患者への負担軽減を図ることが可能な内視鏡システムを提供する。
【解決手段】複数個の光源33a,33b,35a,35bの内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには電子内視鏡先端部に内蔵させた固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理37を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制する制御手段31を設ける。
【解決手段】複数個の光源33a,33b,35a,35bの内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには電子内視鏡先端部に内蔵させた固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理37を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制する制御手段31を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色照明光等の広帯域光と特定の狭帯域光とを用いて特殊光観察を行うことができる内視鏡システム及びその駆動方法に係り、特に、複数灯用意された複数光源のうちのいずれかの光源が消灯した場合に対処する内視鏡システム及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡システムは、体腔内に挿入される挿入部を備えた電子内視鏡(スコープ)と、この電子内視鏡が着脱自在に接続される本体装置とで構成される。
【0003】
本体装置は、プロセッサ装置と光源装置とを備える。プロセッサ装置は、電子内視鏡の挿入部先端に内蔵された撮像センサ(固体撮像素子)から出力される撮像信号を受信して画像処理を行い、得られた観察画像をモニタに表示する。光源装置は、電子内視鏡内に挿通されたライトガイドを通して体腔内を照明する光を発生する。
【0004】
近年、特定の狭い波長帯域光(狭帯域光)を生体の粘膜組織に照射し、生体組織の所望の深さの組織情報を得る、いわゆる特殊光観察を行うことができる内視鏡システムが活用されている。この種の内視鏡システムは、例えば、粘膜層或いは粘膜下層に発生する新生血管の表層微細構造、病変部の強調等、通常の観察像では得られない生体情報を簡単に可視化できる。
【0005】
例えば、観察対象が癌病変部である場合、青色(B)の狭帯域光を粘膜組織に照射すると組織表層の微細血管や微細構造の状態がより詳細に観察できるため、病変部をより正確に診断することができる。
【0006】
生体組織に対する光の深さ方向の深達度は、光の波長に依存する。波長の短い青色(B)光は、生体組織での吸収特性及び散乱特性により表層付近までしか光が深達せず、そこまでの深さの範囲で吸収,散乱を受けるため、主として表層組織の情報を観測することができる。
【0007】
B光より波長が長い緑色(G)光の場合、B光が深達する範囲よりさらに深い所まで深達し、その範囲で吸収,散乱を受けるため、主として中層組織及び表層組織の情報を観測することができる。
【0008】
G光より波長が長い赤色(R)光は、さらに深い組織まで光が到達し、その範囲で吸収,散乱を受けるため、主として深層組織及び中層組織の情報を観測することができる。
【0009】
すなわち、B光、G光、及びR光を照射して得られる各戻り光をCCD型,CMOS型等の撮像センサによって受光して得られる画像信号は、それぞれ、主として表層組織の情報、主として中層組織及び表層組織の情報、及び主として深層組織及び中層組織の情報を含むことが知られている。
【0010】
このため、特殊光観察では、生体組織の内の組織表層の微細血管や微細構造を観察しやすくするために、表層組織の観察に適した青色(B)の狭帯域光、および、中層組織及び表層組織の観察に適した緑色(G)の狭帯域光の2種類の狭帯域光のみを用い、主として生体組織の中層及び深層組織の観察に適した赤色(R)の狭帯域光はあまり用いられない。
【0011】
そして、撮像センサで得られる主として表層組織の情報を含むB画像信号(B狭帯域データ)と、撮像センサで得られる主として中層組織及び表層組織の情報を含むG画像信号(G狭帯域データ)とを用いて画像処理を行い、モニタに疑似カラー画像を表示して被写体を観察することが行われる。
【0012】
赤色(R)光を照明光として用いない場合の特殊光観察では、撮像画像信号の画像処理において、撮像センサで得られたG画像信号(G狭帯域データ)に所定の係数をかけてカラー画像のR画像データとして割り付け、B画像信号(B狭帯域データ)に異なる所定係数をかけてカラー画像のG画像データ及びB画像データにそれぞれ割り付け、RGB3ch(チャンネル)のカラー画像データからなる疑似カラー画像を生成し、モニタに表示する。
【0013】
即ち、狭帯域光モードにおける画像処理では、狭帯域光によるG画像信号とB画像信号の2色の画像信号を、RGBの3色カラー画像データに変換しモニタに疑似カラー画像として表示するため、白色光(通常光)モードにおける画像処理(撮像センサで受光して得られた3色のR画像信号,G画像信号,B画像信号をカラー表示するためのRGBカラー画像データに変換する画像処理)とは異なるものとなっている。
【0014】
G狭帯域光及びB狭帯域光だけでなく、R狭帯域光も用いる特殊光観察においても、表層組織の微細血管や微細構造の観察を目的とする場合には、R画像信号(R狭帯域データ)を用いずに、上述のように、G画像信号及びB画像信号のみを用いて画像処理を行い、モニタに疑似カラー画像表示して観察することが行われる。
【0015】
この場合にも、画像処理において、上記と同様にG画像信号をR画像データに割り付け、B画像信号をG画像データ及びB画像データに割り付け、3chカラー画像データからなる疑似カラー画像を生成し、モニタに表示することが行われる。
【0016】
その結果、モニタに表示された疑似カラー画像は、主として表層組織の情報を含むB画像信号(B狭帯域データ)を多く含んでいるため、表層組織の微細血管や微細構造の状態がより詳細に表現されたものとなり、表層組織の微細血管や微細構造が観察しやすくなる(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0017】
上述した様な内視鏡システムでは、特殊光を光源装置内で発光させ、これをライトガイドを通して電子内視鏡の先端部から観察対象に照射するのであるが、電子内視鏡を患者の体腔内に挿入している最中に光源が故障等によって消灯してしまう虞がある。この非常事態に対処するために、従来は、例えば下記の特許文献3に記載されている様に、特殊光観察中に特殊光の発光光源に異常が生じたとき、自動的に通常光(擬似白色光)による観察に切り替わるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3559755号公報
【特許文献2】特許第3607857号公報
【特許文献3】特開2005―204910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特殊光観察を行う内視鏡システムでは、発光波長の異なる複数の光源を用いるほか、同一波長の照明光を発光する光源も、故障に備えて主灯と予備灯を設けるのが普通である。
【0020】
内視鏡システムの使用中にいずれかの光源が故障によって消灯した場合、観察を中断して電子内視鏡を患者の体腔内から抜去して、故障光源を正常品に交換した後に再び内視鏡による検査を行うのでは、患者の負担が増してしまう。
【0021】
特に、レーザ光源を用いる場合、レーザ機器の取り扱い資格を持った者が専用施設内に光源装置を持ち込んで故障光源を交換しなければならないため、内視鏡システムを設置した病院内で医者や職員などが勝手にレーザ光源を交換することができないという制約がある。
【0022】
このため、内視鏡による検査中にいずれかの光源が故障によって消灯しても、なるべく他灯を用いて観察を継続し、患者への負担を軽減するのが好ましい。
【0023】
しかし、故障した光源の数や種別によっては観察を継続できない場合もあり、また、故障した光源に代替させる光源の発光波長や光量が故障前に比べて変動すると、観察画像の色味が変化してしまうという問題もある。
【0024】
本発明の目的は、光源のいずれかが故障等で消灯しても、観察を継続して患者への負担軽減を図ることが可能な内視鏡システム及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の内視鏡システム及びその駆動方法は、先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置とを備える内視鏡システム及びその駆動方法であって、前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数の光源のうちいずれかが故障又は劣化によって消灯しても、観察画像の色味の変化を抑制した観察を継続でき、患者への負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの機能ブロック図である。
【図3】図2に示す内視鏡システムの光源に用いられる狭帯域レーザ光源から出射される狭帯域光、及び青色レーザ光源と蛍光体とからなる白色光源から出射される疑似白色光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】図1に示す内視鏡システムの画像処理の各信号処理系を示すブロック図である。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ図4に示す青紫色レーザ光源(405LD)及び青色レーザ光源(445LD)からの出射光量と経過時間との関係の一実施例を示すグラフである。
【図6】図4に示す特殊光画像処理部の特殊光色変換部が備える色変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】図2に示す内視鏡システムで実施される特殊光観察の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図2に示す内視鏡システムで実施される光量調整の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】レーザ光源の故障検出回路の説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る光源の故障パターンに対する観察モード制限を例示する図である。
【図11】光源に故障が発生したときモニタに表示する警告表示の一例を示す図である。
【図12】光源に故障が発生したときモニタに表示する警告表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡システムを、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成を示す外観図であり、図2は、その概略機能を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システム10は、電子内視鏡12と、本体装置を構成するプロセッサ装置14及び光源装置16とを備える。電子内視鏡12は、患者(被検体)の体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設された操作部22と、プロセッサ装置14及び光源装置16に接続されるユニバーサルコード24とを備えている。
【0030】
挿入部20の先端には先端部26が連設され、先端部26内に、体腔内撮影用の撮像素子(CCD型やCMOS型等の固体撮像素子:図2参照)21及び詳細は後述する蛍光体23が内蔵される。先端部26の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部28が設けられている。湾曲部28は、操作部22に設けられたアングルノブ30が操作されたとき、挿入部20内に挿設されたワイヤが押し/引きされ、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部26が体腔内で所望の方向に向けられる。
【0031】
ユニバーサルコード24の基端にはコネクタ36が設けられている。コネクタ36は、複合タイプのものであり、プロセッサ装置14に接続される他、光源装置16にも接続される。
【0032】
プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード24内に挿通されたケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、撮像素子21の駆動を制御すると共に、撮像素子21からケーブル29を介して伝送された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種信号処理を施して画像データに変換する。
【0033】
プロセッサ装置14で変換された画像データは、プロセッサ装置14にケーブル接続されたモニタ38に内視鏡撮影画像(観察画像)として表示される。また、プロセッサ装置14は、コネクタ36を介して光源装置16とも電気的に接続される。
【0034】
プロセッサ装置14内には、内視鏡システム10の全体を統括的に制御するCPU(中央演算処理装置)31が設けられており、CPU31が、プロセッサ装置14内の各構成部を制御するほか、光源装置16内の各光源制御部や、電子内視鏡12内の撮像素子21等の駆動制御を行う。
【0035】
プロセッサ装置14には、操作部22等に設けられた入出力部が接続される他、観察画像データ等を記録するハードディスク42(図4参照)が接続される。入出力部は、通常観察モード(通常光モードともいう)や特殊光観察モード(特殊光モードともいう)などのモード切替を行うモード切替部40を含む。
【0036】
電子内視鏡12の先端部分には、被観察領域へ白色照明光や特殊光を照射する照明窓25と、受光窓27とが設けられており、照明窓25の内側に蛍光体23が内蔵されると共に、受光窓27の内側に撮像素子21が設けられる。撮像素子21の受光面には複数の図示省略の受光素子(フォトダイオード:画素)が二次元アレイ状に配列形成されており、各受光素子に、RGBのカラーフィルタが例えばベイヤ配列で積層されている。なお、カラーフィルタは補色系でも良い。
【0037】
照明窓25の内側には照明光学系を構成するカバーガラスやレンズ等が配置され、受光窓27の内側には撮像光学系を構成する対物レンズユニット等が配置されるが、これらの図示は省略する。
【0038】
光源装置16には、特殊光モードにおいて、特殊光光源として用いられる中心波長405nmの青紫色レーザ光源(405LD)33a,33bと、通常光モード及び特殊光モードの両方に用いられる白色照明光用光源として用いられる中心波長445nmの青色レーザ光源(445LD)35a,35bとを発光源として備えている。
【0039】
青紫色レーザ光源33a,青色レーザ光源35aが夫々の波長の主灯として用いられ、青紫色レーザ光源33b,青色レーザ光源35bが予備灯として用いられる。主灯を主に用いて予備灯を主灯故障時のバックアップ用として用いても良いが、本実施形態では、主灯と予備灯とを同時並列で用いる。同時並列で使用すると、照明光量を確保するために夫々に流す通電量を減らすことができ、光源の長寿命化を図ることができ、同時並列使用のため、明るい光源となる。なお、青紫レーザ光源については、予備灯33bを設けない場合もあるが、本実施形態では、予備灯33bを備える例で説明する。
【0040】
青紫色レーザ光源33a,33bからの中心波長405nmの青紫色レーザ光は、生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて、好ましくは合致して狭帯域化された波長帯域幅を持つ狭帯域光であるので、生体の構造・成分の検出能が優れている。
【0041】
これら各光源33a,33b,35a,35bの半導体発光素子からの発光は、光源制御部48(図4参照)により個別に制御されており、各光源33a,33b,35a,35bの発光条件、すなわち青紫色レーザ光源33a,33bの出射光と、青色レーザ光源35a,35bの出射光の光量割合は、変更自在になっている。
【0042】
青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bは、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオードを用いることもできる。また、上記光源として、発光ダイオード等の発光体を用いた構成としてもよい。
【0043】
これら各光源33a,33b,35a,35bから出射されるレーザ光は、集光レンズ(図示せず)により、それぞれライトガイド39に入力され、合波器(図示せず)を介してコネクタ36に伝送される。合波器を用いずに各光源33a,33b,35a,35bからの各レーザ光を直接コネクタ36に送出する構成とすることも可能である。
【0044】
中心波長405nmの青紫色レーザ光及び中心波長445nmの青色レーザ光が合波され、コネクタ36まで伝送されたレーザ光は、照明光学系を構成するライトガイド39によって、それぞれ電子内視鏡12の先端部まで伝播される。そして、青色レーザ光は、電子内視鏡12の先端の、ライトガイド39の光出射端と照明窓25との間に配置された波長変換部材である蛍光体23を励起して蛍光を発光させる。また、一部の青色レーザ光は、そのまま蛍光体23を透過する。
【0045】
一方、青紫色レーザ光は、その一部は蛍光体23を励起させるが、大部分は蛍光体23を励起させることなく透過して、狭帯域波長の照明光(いわゆる狭帯域光)となる。
【0046】
なお、合波したレーザ光を分波器で複数系統例えば2系統に分波し、夫々の系統のレーザ光を別々のライトガイドを通して電子内視鏡12の先端部に伝播し、受光窓27の左右2箇所に設けた照明窓から夫々の蛍光体を介して被写体に対し照射する構成とすることもできる。
【0047】
ライトガイド39は、マルチモードファイバであり、一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用できる。
【0048】
蛍光体23は、青色レーザ光及び青紫色レーザ光の一部を吸収して、緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、或いはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光及び青紫色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起光と、蛍光体23により吸収されずに透過した青色レーザ光及び青紫色レーザ光とが合わされて、白色(疑似白色)の照明光となる。
【0049】
本実施形態のように、中心波長445nmの青色レーザ光を発光する半導体発光素子を励起光源として用いることにより、高い発光効率で高強度の白色光が得られ、白色光の強度を容易に調整できる上に、白色光の色温度,色度の変化を小さく抑えることができる。
【0050】
上記の蛍光体23は、レーザ光の可干渉性により生じるスペックルに起因して、撮像の障害となるノイズの重畳や、動画像表示を行う際のちらつきの発生を防止できる。また、蛍光体23は、蛍光体を構成する蛍光物質と、充填材となる固定・固化用樹脂との屈折率差を考慮して、蛍光物質そのものと充填剤に対する粒径を、赤外域の光に対して吸収が小さく、かつ散乱が大きい材料で構成することが好ましい。これにより、赤色や赤外域の光に対して光強度を落とすことなく散乱効果が高められ、光学的損失が小さくなる。
【0051】
図3は、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光と、青色レーザ光源35a,35bからの青色レーザ光及び青色レーザ光が蛍光体23により波長変換された発光スペクトルとを示すグラフである。
【0052】
青紫色レーザ光は、中心波長405nmの輝線(プロファイルA)で表される狭帯域光であり、主に特殊光観察で使用される。また、青色レーザ光は、中心波長445nmの輝線で表され、青色レーザ光による蛍光体23からの励起発光光は、概ね450nm〜700nmの波長帯域で発光強度が増大する分光強度分布となる。
【0053】
この励起発光光と青色レーザ光によるプロファイルBによって、上述した疑似白色光が形成され、主に通常光とされる。なお、図示はしていないが、蛍光体23は、青紫色レーザ光によっても励起され、青色レーザ光による場合の1/8程度の光量の励起発光光を出射し、疑似白色光を形成する。
【0054】
ここで、青紫色レーザ光源33a,33bから照射される中心波長405nmの青紫色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、405nmの狭帯域光の成分が多く、表層組織の観察(表層組織の情報の取得)に優れる一方、蛍光体23からの励起発光光の成分が少ないため、背景の撮像に用いられる白色光の出射光量を多くできない。
【0055】
このため、被写体までの距離が近い場合には、背景としての白色光の出射光量が足りるが、被写体までの距離が離れた場合には、青紫色レーザ光による励起発光光では、白色光の出射光量が不足する。
【0056】
また、青色レーザ光源35a,35bから照射される中心波長445nmの青色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、青紫色レーザ光に比べて表層組織の観察には劣るが、蛍光体23を強く励起し、背景としての白色光の出射光量を多くできる。
【0057】
このため、青色レーザ光源35a,35bは、被写体までの距離が離れた場合にも白色光の光量を十分確保でき、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光による白色光の光量不足を補うことができる。
【0058】
ここで、本実施形態でいう白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限定されず、例えば、上述した疑似白色光を始めとして、R,G,B等、特定の波長帯の光を含むものであればよく、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含むものとする。
【0059】
この内視鏡システム10では、プロファイルAとプロファイルBとの発光強度を光源制御部48により相対的に増減制御して、任意の輝度バランスの照明光を生成することができる。なお、本実施形態の内視鏡システム10において、通常光モードでは、プロファイルBの光のみが用いられ、特殊光モードでは、原則としてプロファイルAの光及びプロファイルAの光に基づく図示しない励起発光光が用いられ、図示しない励起発光光の光量不足を補うために、プロファイルBの光が重畳される。
【0060】
上述したように、青紫色レーザ光源(以下、405LDという)33a,33bからの青紫色レーザ光による狭帯域光(プロファイルA)と、蛍光体23からの図示しない励起発光光による白色光からなる照明光、及び青色レーザ光源(以下、445LDという)35a,35bからの青色レーザ光と蛍光体23からの励起発光光による白色光からなる照明光(プロファイルB)は、電子内視鏡12の先端部の照明窓25から被写体の被観察領域に向けて照射される。
【0061】
そして、照明光が照射された被観察領域からの戻り光が、受光窓27を介して撮像素子21の受光面上に結像され、撮像素子21によって被観察領域が撮像される。撮像後に撮像素子21から出力される撮像画像の画像信号が、スコープケーブル29を通じてプロセッサ装置14の画像処理システム37(図2)に入力される。
【0062】
撮像素子21によって撮像された撮像画像信号は、プロセッサ装置14の画像処理システム37を含む信号処理系によって画像処理され、モニタ38や記録装置42に出力され、ユーザの観察に供される。
【0063】
図4は、本実施形態に係る内視鏡システム10の画像処理を行う信号処理系の構成図である。同図に示すように、内視鏡システム10の信号処理系は、電子内視鏡12の信号処理系と、光源装置16の信号処理系と、プロセッサ装置14の信号処理系(図2の画像処理システム37)とを備え、プロセッサ装置14にモニタ38と記録装置42とが接続され、モード切替部40がプロセッサ装置14と光源装置16とに接続される。
【0064】
電子内視鏡12の信号処理系は、撮像素子21から出力されるアナログの撮像画像信号に対し相関二重サンプリング(CDS)処理や自動利得制御(AGC)処理を行うためのCDS・AGC回路44と、CDS・AGC回路44でサンプリングと利得制御が行われたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器46とを有する。デジタル信号に変換された撮像画像信号は、コネクタ36を介してプロセッサ装置14の画像処理システム37に入力される。
【0065】
また、光源装置16の信号処理系は、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bのオンオフ制御及び光量制御を行う光源制御部48を有する。
【0066】
ここで、光源制御部48は、内視鏡システム10の稼働開始に伴う光源オン信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bを点灯したり、モード切替部40からの特殊光モードと通常光モードとの切替信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bのオンオフ制御を行ったり、後述する光量算出部50から算出された画像の輝度値に応じて、青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bの発光強度、すなわち光源33a,33b及び光源35a,35bに流す電流値を制御する。
【0067】
すなわち、光源制御部48は、後述する光量算出部50及び光量割合算出部56と共に、算出される出射光量及び出射光量の割合に基づいて、光源33a,33b及び光源35a,35bの発光条件、すなわち光量割合を変更する光量割合変更手段として機能する。
【0068】
プロセッサ装置14の信号処理系は画像処理システム37(図2参照)で構成される。この画像処理システム37は、光量算出部50と、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)52と、ノイズ除去回路54と、光量割合算出部56と、画像処理切替部(スイッチ)60と、通常光画像処理部62と、特殊光画像処理部64と、画像表示信号生成部66とを有する。
【0069】
光量算出部50は、内視鏡12のA/D変換器46からコネクタを介して入力されたデジタル画像信号を用いて、撮像素子21で受光した戻り光の光量、つまり、撮像画像の輝度値を算出する。そして、これら算出された光量は光源制御部48及び光量割合算出部56へ出力される。
【0070】
光源制御部48では、これら算出された光量が、所定値に満たない場合、戻り光の光量が所定値以上となるように、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bの出射光量を制御する。以下、主灯,予備灯の光源33a,33bを纏めて光源33とし、主灯,予備灯の光源35a,35bを纏めて光源35とする。
【0071】
出射光量の制御では、まず、内視鏡先端と被写体との位置を固定し、青色レーザ光源(445LD)35を停止し、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を増加させる(図5(a)参照)。算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。また、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量が最大となり、それでも戻り光の光量が足りない場合には、図5(b)に示すように、青色レーザ光源(445LD)35を点灯し、全体での出射光量を増加させ、算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。
【0072】
一般的に、狭帯域光光源である青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量は、それほど多くなく、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大としても、その出射光量は限られるため、内視鏡が被写体から離れると撮像素子側で検出される戻り光の光量は足りなくなる。
【0073】
この光量不足を補うために青色レーザ光源(445LD)35の照射光量を増加させると、光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。このため、画像処理システム37において適宜必要な画像処理を行う必要がある。
【0074】
また、撮像に必要な戻り光の光量を得るために、前述のとおり内視鏡先端と被写体との位置を固定して出射光量の制御を行ったが、出射光量を固定して、内視鏡先端の位置を移動させてもよい。例えば、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を所定値で固定しておき、内視鏡を動かして、戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
【0075】
もちろん、青紫色レーザ光源(405LD)33のみでは光量が足りないと予め分かるような位置で撮像を行う場合は、予め青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大とし、青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を所定値で固定して、前述と同様に、内視鏡を動かして戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
【0076】
光量割合算出部56は、光源制御部48による青紫色レーザ光源(405LD)33及び青色レーザ光源(445LD)35を駆動する電流の電流値の情報を受け、405LD33及び445LD35の出射光量の光量割合を算出する。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の後述する特殊光色変換部74へ出力される。
【0077】
なお、レーザの光量割合が変わると、撮像画像のホワイトバランスが変化する。そのため、図示はされていないが、405LD33及び445LD35の光量並びに光量割合がCDS・AGC回路44へ出力され、この光量及び光量割合の情報に基づいてホワイトバランスを取るためのCDS・AGC回路44のゲインが変更されて、撮像素子21の電気的なゲインが変更されるように信号処理系を構成してもよい。また、図示はされていないが、ホワイトバランスを決定する前述のゲインの情報は、画像処理部62及び特殊光画像処理部64へ出力され、色変換及び特殊光色変換に用いられる。
【0078】
DSP52(デジタルシグナルプロセッサ)は、光量算出部50で光源光量が検出された後、A/D変換器46から出力されたデジタル画像信号にガンマ補正、色補正処理を行う。ノイズ除去回路54は、DSP52でガンマ補正,色補正処理が施されたデジタル画像信号から、例えば、移動平均法やメディアンフィルタ法等の画像処理におけるノイズ除去方法を行ってノイズを除去する。こうして、電子内視鏡12からプロセッサ装置14に入力されたデジタル画像信号は、DSP52及びノイズ除去回路54でガンマ補正,色補正処理及びノイズ除去等の前処理がなされる。
【0079】
画像処理切替部60はスイッチで構成され、モード切替部(入力部)40の指示(切替信号)に基づいて、前処理されたデジタル画像信号を後段の通常光画像処理部62に送るか、又は、特殊光画像処理部64に送るかを切り替える。本実施形態では、通常光画像処理部62及び特殊光画像処理部64による画像処理前のデジタル画像信号を画像信号といい、画像処理前後のデジタル画像信号を画像データと呼ぶことにする。
【0080】
通常光画像処理部62は、通常光モードにおいて、445LD及び蛍光体23による白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した通常光用画像処理を施す部分であって、色変換部68と、色彩強調部70と構造強調部72とを有する。
【0081】
色変換部68は、前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号に、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行い、色変換処理済RGB画像データに変換する。
【0082】
色彩強調部70は、画面内の血管と粘膜との色味の差をつけて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
【0083】
構造強調部72は、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造強調処理を行う。
【0084】
構造強調部72で構造強調処理が施されたRGB画像データは、通常光用画像処理済RGB画像データとして通常光画像処理部62から画像表示信号生成部66に入力される。
【0085】
特殊光画像処理部64は、特殊光モードにおいて、405LD33からの青紫色レーザ光(プロファイルA)、並びに445LD35及び蛍光体23からの白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した特殊光用画像処理を施す部分であって、特殊光色変換部74と色彩強調部76と、構造強調部78とを有する。
【0086】
特殊光色変換部74は、入力された前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号のG画像信号に所定係数をかけてR画像データに割り付け、B画像信号に異なる所定係数をかけて夫々をG画像データ及びB画像データに割り付け、RGB画像データを生成した後、生成されたRGB画像データに、色変換部68と同様に3×3マトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行う。
【0087】
具体的には、特殊光色変換部74は、割り付け後のR,G,Bの画像データに対して、輝度の正規化を行い、Rnorm,Gnorm,Bnormの画像データを生成する。次に、これら正規化したRnorm,Gnorm,Bnorm画像データに対して、光量割合に応じた色調への補正を行う。色調補正後の画像データを、Radj,Gadj,Badj画像データとすると、色調補正後のRadj,Gadj,Badj画像データは、次の数1で示すような演算により求められる。
【0088】
【数1】
【0089】
ここで、KR,KG,KBは、それぞれ各色の色変換係数であり、光量割合算出部56で算出された光量割合に応じて求められる。特殊光色変換部74は、図6に示すように、光量割合(光量比率)に対応する各色の色変換係数を定めた色変換係数テーブル80を備え、算出された光量割合に基づいて、色変換係数テーブル80より、色変換係数KR,KG,KBを決定する。
【0090】
色変換係数テーブル80の色変換係数KR,KG,KBは、図6に示すように、それぞれ各光量割合に対応してR00,R01,R02,…、G00,G01,G02,…、B00,B01,B02,…として設定されている。光量割合算出部56で算出された光量割合に対応する色変換係数を数1に代入することで、色調補正された画像データRadj,Gadj,Badjが得られる。
【0091】
例えば、光源制御部48において制御される405LD33の光量と445LD35の光量との比が、100:10、つまり、光量割合が405LD:445LD≒90.9:9.1であるとき、色変換係数は、図6に示す色変換係数テーブルにより、(KR,KG,KB)=(R10,G10,B10)と求まる。この色変換係数は、図6に示すテーブルとして表すことに限らず、数式化して表してもよく、また、代表点のみ数値化して他の点を補間演算により求めてもよい。
【0092】
色彩強調部76は、色彩強調部70と同様に、画面内の血管と粘膜との色味の差を付けて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
【0093】
構造強調部78は、構造強調部72と同様に、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造処理を行う。構造強調部78で最適な周波数強調処理が施されたRGB画像データは、特殊光用画像処理済RGB画像データとして特殊光画像処理部64から画像表示信号生成部66へ出力される。
【0094】
また、前述のとおり、光量が足りず青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を増加させた場合、撮像のための光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。そこで、特殊光画像処理部64は、色変換部68の前段階において、撮像画像上の表層血管を強調するためにも、フレーム加算処理、または、ビニング処理を行ってもよい。
【0095】
ここでフレーム加算処理とは、通常、1フレームで1画像を生成するフレームを複数枚加算する処理であり、また、ビニング処理とは、画像を構成する画素を複数画素ずつ統合する処理である。なお、フレーム加算処理及びビニング処理ではなく、予め撮像素子21の電荷蓄積時間を長めにとってもよい。フレーム加算処理と略同様の効果が得られる。
【0096】
画像表示信号生成部66は、通常光モードでは通常光画像処理部62から入力された画像処理済RGB画像データを、特殊光モードでは特殊光画像処理部64から入力された画像処理済RGB画像データを、夫々、表示画像信号に変換する。この表示画像信号は、ソフトコピー画像としてモニタ38に表示され、また、記録装置42に対して出力される。記録装置42に記録された表示画像信号は、ハードコピー画像として記録装置42から出力される。
【0097】
通常光モードでは、白色光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び通常光画像処理がなされた表示画像信号に基づく通常観察用画像が、モニタ38に、ソフトコピー画像として表示される。特殊光モードでは、白色光に加え、特殊光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び特殊光画像処理がなされた表示画像信号に基づく特殊光観察画像が、モニタ38にソフトコピー画像として表示される。
【0098】
記録装置42も、通常光モードでは、白色光を照射して得られた通常観察画像をハードコピー画像として出力し、特殊光モードでは、白色光及び特殊光を照射して得られた特殊光観察画像をハードコピー画像として出力する。なお、必要に応じて、画像表示信号生成部66で生成された表示画像信号は、画像情報として、図示しないが、メモリやストレージ装置からなる記憶部に記憶されても良い。
【0099】
一方、モード切替部(入力部)40は、通常光モードと特殊光モードとを切り替えるためのモード切替ボタンを有し、モード切替部40からのモード切替信号は、光源装置16の光源制御部48に入力される。ここで、モード切替部40は、入出力部(図4ではモニタ38,記録装置42,モード切替部40)の入力部40として配置されているが、プロセッサ装置14、電子内視鏡12の操作部、または光源装置16に配置されてもよい。なお、モード切替部40からの切替信号は、光源制御部48及び画像処理切替部60へ出力される。
【0100】
次に、上述した構成の実施形態における内視鏡システムの動作を、図7及び図8を用いて説明する。本実施形態においては、まず、通常光モードで通常光観察が行われているものとする。つまり、445LD35が点灯され、白色光による撮像画像データについて、通常光画像処理部62で通常光画像処理が行われている。
【0101】
ここで、図7に示す処理手順の通り、ユーザによって特殊光モードへの切替が行われる。ユーザがモード切替部40を操作することでモード切替信号(特殊光ON)が出力され、画像処理切替部60における画像処理が特殊光モードに切り替えられる(ステップS10)。
【0102】
特殊光モードに切り替えられると、次のステップS20で、光源の光量調整が行われる。この光源からの出射光量の調整は、内視鏡先端と被写体との位置関係の変化に応じて常に行われる必要がある。図8は、内視鏡先端と被写体との位置を固定した際における光量調整の詳細処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
まず最初に、図8のステップS120で、青紫色レーザ光(405LD)33から所定量の狭帯域光(405nm)が出射され、内視鏡先端より被写体に向けて、照明光として狭帯域光(405nm)およびその励起発光光(蛍光体23の蛍光)が照射される。照射された照明光は、被写体で反射され、撮像素子21によりその戻り光が撮像画像情報として取得される(ステップS122)。
【0104】
撮像時画像情報が取得されると、撮像画像情報は、CDS・AGC44、A/D変換部46を経て、光量算出部50へ出力され、撮像素子21における戻り光の光量(該撮像画像の輝度値)が算出される(ステップS124)。算出された戻り光の光量は、光源制御部48へ出力される。
【0105】
光源制御部48は、光量割合算出部56で算出された光量に基づいて、光量が足りているか否か、つまり戻り光の光量が所定値以上か否かの判定を行う(ステップS126)。光量が足りている場合、その位置での照射光量は変更する必要がなく、光源の光量調整は行われず、図7の被写体撮像処理(ステップS30)に進む。もちろん、光量が多すぎて撮像素子21がオーバーフローを起こすような場合には、405LD33に流れる駆動電流の電流値を減少させる制御を行う。
【0106】
また、光量が足りない場合、光源制御部48は、405LD33に流れる駆動電流の電流値から、405LD33の出力が最大か否かを判定する(ステップS128)。
【0107】
405LDの出力が最大でない場合、光源制御部48は405LD33の出力(駆動電流の電流値)を所定量上げ(ステップS130)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。
【0108】
また、405LD33の出力が最大の場合、光源制御部48は、青色レーザ光源(445LD)35が点灯しているか否かを判定する(ステップS132)。445LD35が点灯していない場合、445LD35を点灯して(ステップS134)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。445LD35が点灯すると、照明光として狭帯域光(405nm)及びその励起発光光に重畳して、狭帯域光(445nm)及びその励起発光光が内視鏡先端より被写体に照射される。
【0109】
また、445LD35が既に点灯している場合には、445LD35の出力を上げ(ステップS136)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。こうして撮像素子21における戻り光の光量が所定値以上になるまで、図8のステップに基づいて、出射光量の調整を行う。
【0110】
なお、図8の処理手順には記載していないが、445LD35の出力を最大としても光量が足りない場合には、そのまま、図7に示す被写体の撮像処理(ステップS30)を行うか、内視鏡先端と被写体との位置を再度調整し、内視鏡先端を被写体に近づける。
【0111】
ここでは、内視鏡先端と被写体との位置を固定した場合の光量調整の動作について説明したが、前述のとおり、光源からの出射光量を固定し、内視鏡先端と被写体との位置を変更してもよい。その場合、前述のとおり、405LD33の出射光量を所定値とし、445LD35を停止して、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合と、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値として、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合との2つの動作が考えられる。
【0112】
405LD33のみを用いる場合は、主に内視鏡先端と被写体との位置を近くして撮像を行う場合に用いられ、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値とする場合は、主に、内視鏡先端と被写体との位置を遠くして撮像を行う場合に用いられる。
【0113】
光量の調整(図7のステップS20)が行われると、次に、ステップS30で、被写体の撮像が行われ、撮像素子21により、撮像画像情報が取得される。撮像画像情報は、前述のとおり、CDS・AGC44,A/D変換器36により適宜処理され、光量割合算出部56へ出力される。
【0114】
光量割合算出部56では、撮像画像情報から、B光の光量及びG光の光量のそれぞれが算出され、光量割合算出部56へ出力される(ステップS32)。また、撮像画像情報は、撮像画像信号として、DSP52,ノイズ除去回路54を通って特殊光画像処理部64へ出力される。
【0115】
光量割合算出部56では、光源制御部48から405LD33の出射光量及び445LD35の出射光量の情報を取得し、405LD33と445LD35との光量割合を算出する(ステップS34)。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74へ出力される。
【0116】
特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74は、算出された光量割合の情報と、色変換係数テーブル80とから、特殊光色変換に用いる色変換係数KR,KG,KBを決定する(ステップS36)と共に、特殊光画像処理部64へ入力された撮像画像信号は特殊光画像データに変換される(ステップS38)。なお、特殊光色変換前に、フレーム加算処理等の画像強調処理が行われてもよい。
【0117】
次のステップS40では、ステップS38の特殊光画像データにステップS36の色変換係数を適用して擬似カラー画像(RGB画像データ)に変換する。そして、このRGB画像データに対して、色彩強調部76及び構造強調部78が各種画像処理を施し(ステップS42)た後、画像表示信号生成部66へ出力されて画像表示信号が生成される(ステップS44)。最後のステップ46で、この画像表示信号は、特殊光画像としてモニタ38で表示され、記録装置42に記録され、この処理手順を終了する。
【0118】
なお、上述した実施形態では、図4の画像処理切替部(スイッチ)60で、通常光画像処理部62と特殊光画像処理部64のいずれか一方を選択しているが、スイッチ60を高速にスイッチングさせることで、通常光の観察画像に特殊光の観察画像を重ねた観察画像をモニタ38に表示させることが可能となる。
【0119】
以上述べた内視鏡システムでは、光源として、発光波長405nmの青紫色レーザ光源33a,33bの2灯と、発光波長445nmの青色レーザ光源35a,35bの2灯の、計4灯の光源が光源装置16内に設けられている。電子内視鏡12を患者の体腔内に挿入している最中に、いずれかの光源が故障により消灯してしまう虞がある。
【0120】
光源に故障が発生した場合、電子内視鏡12を患者の体腔内から抜去してしまうことも可能であり、故障光源を他の正常光源で代替し、内視鏡による患者の検査を継続することも可能である。この判断は医者が行うことになるが、本実施形態の内視鏡システムでは、医者の判断を支援するために、いずれかの光源に異常が発生したとき、次の様な駆動制御を行う。
【0121】
図9は、レーザ光源の故障検出回路の説明図である。各々のレーザ光源LDは、例えば定電流ドライバによって駆動される。そこで、故障検出回路91は、レーザ光源LDのアノード電位VAとカソード電位Vkとを検出し、両者間の差から順方向降下電圧Vf(=VA−Vk)を求め、電圧Vk,VA,Vfにより、故障発生を検知する。例えば、VA≒Vkの場合は「ショート発生」、Vk≒0Vで且つVA≫Vfの場合は「断線発生」と検知できる。
【0122】
図10は、4つの光源の故障パターン(正常(○),異常(×))と観察モードの制限事項を示した図である。ここで、各発光波長の光源のうち主灯33a,35aを「LD1」と標記し、予備灯33b,35bを「LD2」と標記している。
【0123】
故障パターン1は、波長445nmの2灯のうちいずれか1灯が故障し、波長405nmの2灯の両方が正常の場合であり、この場合には観察モード制限Aの駆動制御を実施する。
【0124】
故障パターン2は、波長445nmの2灯が両方とも正常であり、波長405nmの2灯のうちいずれか1灯が故障した場合であり、この場合には観察モード制限Bの駆動制御を実施する。
【0125】
故障パターン3は、波長445nmの2灯が両方とも故障した場合であり、この場合には観察モード制限Cの駆動制御を実施する。
【0126】
故障パターン4は、波長445nmの2灯が共に正常であるが、波長405nmの2灯が共に故障した場合であり、この場合には観察モード制限Dの駆動制御を実施する。
【0127】
故障パターン5は、波長445nmの2灯のうちの1灯が故障し、波長405nmの2灯のうちの1灯が故障した場合であり、この場合には観察モード制限Eの駆動制御を実施する。
【0128】
観察モード制限Aの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン1では、明るい光源である445nmのうちの1灯が故障したため、445nmの光源は1灯しか使用できない。
【0129】
図11は、故障パターン1の場合にモニタ38の観察画像92に重ねて表示する警告表示の一例を示す図である。故障パターン1の場合には、「故障発生:スコープを抜いて下さい。短時間であれば観察を継続できます。」の警告表示が行われる。
【0130】
この故障パターン1の場合、445nm2灯の同時並列使用時に比べて照明光が暗くなるため、医者が観察継続を選択したとき、光量不足を405nmの光源で補う駆動制御を行うことになる。この場合、故障発生前に比べて、照明光のうちのB光の割合が増えるため、撮像画像を画像処理するとき、B光割合が増えたことを勘案して画像処理を行い、故障発生前後で観察画像に色味の変化が起きないようにする。
【0131】
観察モード制限Bの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン2では、445nmの2灯の光源は正常のため、通常光を用いた観察は全く問題がない。このため、特殊光観察モードで支障が生じる旨の警告表示で済む。
【0132】
特殊光観察を継続する場合には、405nmの2灯のうちの1灯が故障しているため、405nm2灯の同時並列使用時に比べて特殊光の照明光が暗くなる。そこで、観察モード制限Bでは、405nmの照明光で得られる画像信号の不足分を、445nmの照明光で得られる画像信号で補うことになる。
【0133】
即ち、B光とG光で得られる表層血管のB画像信号とG画像信号から生成する擬似カラー画像の画像処理で用いる前述した所定係数の値を、故障発生前後で異なる値として、故障発生前後で観察画像に色味の変化が生じないようにする。
【0134】
観察モード制限Cの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン3では、445nmの2灯が共に故障しており、明るい照明光は得られない。このため、この観察モード制限Cでは、図12に示す様に、「直ぐにスコープを抜いて下さい」という警告表示を点滅表示するなどして、他に選択枝がないことを報知する。そして、405nmの照明光は暗いため固体撮像素子の出力信号に対するゲインを上げて観察画像を少しでも明るくし、迅速に電子内視鏡12が抜去できる様にする。
【0135】
観察モード制限Dの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン4では、445nmの2灯の光源は正常のため、通常光を用いた観察は全く問題がない。このため、特殊光観察モードで支障が生じる旨の警告表示で済む。故障パターン4では、405nmの2灯が共に故障しているため、405nmの照明光は使用できない。このため、表層血管の画像を観察する場合、445nmの照明光を使って行うことになる。即ち、観察モード制限Bと同様の画像処理を行うことになるが、故障パターン4では405nmの照明光が全くないため、観察モード制限Bとは上記の所定係数の値が異なる画像処理を行うことになる。
【0136】
観察モード制限Eの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン5は故障パターン1に比べて、405nmの光源が1灯少ない。このため、観察モード制限Eでは、445nmの照明光不足を1灯の405nmの光源で補うことになる。即ち、この観察モード制限EではB光の割合が観察モード制限Aと異なるため、故障前後で観察画像の色味が変化しないようにするために画像処理で用いる係数が観察モード制限Aとは異なる。
【0137】
以上述べた様に、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置とを備える内視鏡システム及びその駆動方法であって、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする。
【0138】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替えることを特徴とする。
【0139】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行うことを特徴とする。
【0140】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵されることを特徴とする。
【0141】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示することを特徴とする。
【0142】
以上述べた実施形態によれば、複数灯の光源を搭載した内視鏡システムでいずれかの光源が故障した場合でも、正常光源で故障光源を代替して内視鏡による観察を継続でき、また、光源を代替したとき代替前後で観察画像の色味変化を抑制でき、精度の高い観察を継続可能となり、患者への負担を軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明に係る内視鏡システムは、複数の光源のうちいずれかが故障した場合でも継続して内視鏡による患者の検査が可能なため、患者の負担を軽減することができ、複数光源を搭載する内視鏡システムに適用すると有用である。
【符号の説明】
【0144】
10 内視鏡システム
12 電子内視鏡(スコープ)
14 プロセッサ装置
16 光源装置
21 撮像素子
23 蛍光体
25 照明窓
26 先端部
27 照明窓
31 CPU
33a,33b 波長405nmのレーザ光発光光源
35a,35b 波長445nmのレーザ光発光光源
37 画像処理システム
38 モニタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色照明光等の広帯域光と特定の狭帯域光とを用いて特殊光観察を行うことができる内視鏡システム及びその駆動方法に係り、特に、複数灯用意された複数光源のうちのいずれかの光源が消灯した場合に対処する内視鏡システム及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡システムは、体腔内に挿入される挿入部を備えた電子内視鏡(スコープ)と、この電子内視鏡が着脱自在に接続される本体装置とで構成される。
【0003】
本体装置は、プロセッサ装置と光源装置とを備える。プロセッサ装置は、電子内視鏡の挿入部先端に内蔵された撮像センサ(固体撮像素子)から出力される撮像信号を受信して画像処理を行い、得られた観察画像をモニタに表示する。光源装置は、電子内視鏡内に挿通されたライトガイドを通して体腔内を照明する光を発生する。
【0004】
近年、特定の狭い波長帯域光(狭帯域光)を生体の粘膜組織に照射し、生体組織の所望の深さの組織情報を得る、いわゆる特殊光観察を行うことができる内視鏡システムが活用されている。この種の内視鏡システムは、例えば、粘膜層或いは粘膜下層に発生する新生血管の表層微細構造、病変部の強調等、通常の観察像では得られない生体情報を簡単に可視化できる。
【0005】
例えば、観察対象が癌病変部である場合、青色(B)の狭帯域光を粘膜組織に照射すると組織表層の微細血管や微細構造の状態がより詳細に観察できるため、病変部をより正確に診断することができる。
【0006】
生体組織に対する光の深さ方向の深達度は、光の波長に依存する。波長の短い青色(B)光は、生体組織での吸収特性及び散乱特性により表層付近までしか光が深達せず、そこまでの深さの範囲で吸収,散乱を受けるため、主として表層組織の情報を観測することができる。
【0007】
B光より波長が長い緑色(G)光の場合、B光が深達する範囲よりさらに深い所まで深達し、その範囲で吸収,散乱を受けるため、主として中層組織及び表層組織の情報を観測することができる。
【0008】
G光より波長が長い赤色(R)光は、さらに深い組織まで光が到達し、その範囲で吸収,散乱を受けるため、主として深層組織及び中層組織の情報を観測することができる。
【0009】
すなわち、B光、G光、及びR光を照射して得られる各戻り光をCCD型,CMOS型等の撮像センサによって受光して得られる画像信号は、それぞれ、主として表層組織の情報、主として中層組織及び表層組織の情報、及び主として深層組織及び中層組織の情報を含むことが知られている。
【0010】
このため、特殊光観察では、生体組織の内の組織表層の微細血管や微細構造を観察しやすくするために、表層組織の観察に適した青色(B)の狭帯域光、および、中層組織及び表層組織の観察に適した緑色(G)の狭帯域光の2種類の狭帯域光のみを用い、主として生体組織の中層及び深層組織の観察に適した赤色(R)の狭帯域光はあまり用いられない。
【0011】
そして、撮像センサで得られる主として表層組織の情報を含むB画像信号(B狭帯域データ)と、撮像センサで得られる主として中層組織及び表層組織の情報を含むG画像信号(G狭帯域データ)とを用いて画像処理を行い、モニタに疑似カラー画像を表示して被写体を観察することが行われる。
【0012】
赤色(R)光を照明光として用いない場合の特殊光観察では、撮像画像信号の画像処理において、撮像センサで得られたG画像信号(G狭帯域データ)に所定の係数をかけてカラー画像のR画像データとして割り付け、B画像信号(B狭帯域データ)に異なる所定係数をかけてカラー画像のG画像データ及びB画像データにそれぞれ割り付け、RGB3ch(チャンネル)のカラー画像データからなる疑似カラー画像を生成し、モニタに表示する。
【0013】
即ち、狭帯域光モードにおける画像処理では、狭帯域光によるG画像信号とB画像信号の2色の画像信号を、RGBの3色カラー画像データに変換しモニタに疑似カラー画像として表示するため、白色光(通常光)モードにおける画像処理(撮像センサで受光して得られた3色のR画像信号,G画像信号,B画像信号をカラー表示するためのRGBカラー画像データに変換する画像処理)とは異なるものとなっている。
【0014】
G狭帯域光及びB狭帯域光だけでなく、R狭帯域光も用いる特殊光観察においても、表層組織の微細血管や微細構造の観察を目的とする場合には、R画像信号(R狭帯域データ)を用いずに、上述のように、G画像信号及びB画像信号のみを用いて画像処理を行い、モニタに疑似カラー画像表示して観察することが行われる。
【0015】
この場合にも、画像処理において、上記と同様にG画像信号をR画像データに割り付け、B画像信号をG画像データ及びB画像データに割り付け、3chカラー画像データからなる疑似カラー画像を生成し、モニタに表示することが行われる。
【0016】
その結果、モニタに表示された疑似カラー画像は、主として表層組織の情報を含むB画像信号(B狭帯域データ)を多く含んでいるため、表層組織の微細血管や微細構造の状態がより詳細に表現されたものとなり、表層組織の微細血管や微細構造が観察しやすくなる(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0017】
上述した様な内視鏡システムでは、特殊光を光源装置内で発光させ、これをライトガイドを通して電子内視鏡の先端部から観察対象に照射するのであるが、電子内視鏡を患者の体腔内に挿入している最中に光源が故障等によって消灯してしまう虞がある。この非常事態に対処するために、従来は、例えば下記の特許文献3に記載されている様に、特殊光観察中に特殊光の発光光源に異常が生じたとき、自動的に通常光(擬似白色光)による観察に切り替わるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3559755号公報
【特許文献2】特許第3607857号公報
【特許文献3】特開2005―204910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特殊光観察を行う内視鏡システムでは、発光波長の異なる複数の光源を用いるほか、同一波長の照明光を発光する光源も、故障に備えて主灯と予備灯を設けるのが普通である。
【0020】
内視鏡システムの使用中にいずれかの光源が故障によって消灯した場合、観察を中断して電子内視鏡を患者の体腔内から抜去して、故障光源を正常品に交換した後に再び内視鏡による検査を行うのでは、患者の負担が増してしまう。
【0021】
特に、レーザ光源を用いる場合、レーザ機器の取り扱い資格を持った者が専用施設内に光源装置を持ち込んで故障光源を交換しなければならないため、内視鏡システムを設置した病院内で医者や職員などが勝手にレーザ光源を交換することができないという制約がある。
【0022】
このため、内視鏡による検査中にいずれかの光源が故障によって消灯しても、なるべく他灯を用いて観察を継続し、患者への負担を軽減するのが好ましい。
【0023】
しかし、故障した光源の数や種別によっては観察を継続できない場合もあり、また、故障した光源に代替させる光源の発光波長や光量が故障前に比べて変動すると、観察画像の色味が変化してしまうという問題もある。
【0024】
本発明の目的は、光源のいずれかが故障等で消灯しても、観察を継続して患者への負担軽減を図ることが可能な内視鏡システム及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の内視鏡システム及びその駆動方法は、先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置とを備える内視鏡システム及びその駆動方法であって、前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数の光源のうちいずれかが故障又は劣化によって消灯しても、観察画像の色味の変化を抑制した観察を継続でき、患者への負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの機能ブロック図である。
【図3】図2に示す内視鏡システムの光源に用いられる狭帯域レーザ光源から出射される狭帯域光、及び青色レーザ光源と蛍光体とからなる白色光源から出射される疑似白色光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】図1に示す内視鏡システムの画像処理の各信号処理系を示すブロック図である。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ図4に示す青紫色レーザ光源(405LD)及び青色レーザ光源(445LD)からの出射光量と経過時間との関係の一実施例を示すグラフである。
【図6】図4に示す特殊光画像処理部の特殊光色変換部が備える色変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】図2に示す内視鏡システムで実施される特殊光観察の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図2に示す内視鏡システムで実施される光量調整の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】レーザ光源の故障検出回路の説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る光源の故障パターンに対する観察モード制限を例示する図である。
【図11】光源に故障が発生したときモニタに表示する警告表示の一例を示す図である。
【図12】光源に故障が発生したときモニタに表示する警告表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡システムを、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成を示す外観図であり、図2は、その概略機能を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システム10は、電子内視鏡12と、本体装置を構成するプロセッサ装置14及び光源装置16とを備える。電子内視鏡12は、患者(被検体)の体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設された操作部22と、プロセッサ装置14及び光源装置16に接続されるユニバーサルコード24とを備えている。
【0030】
挿入部20の先端には先端部26が連設され、先端部26内に、体腔内撮影用の撮像素子(CCD型やCMOS型等の固体撮像素子:図2参照)21及び詳細は後述する蛍光体23が内蔵される。先端部26の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部28が設けられている。湾曲部28は、操作部22に設けられたアングルノブ30が操作されたとき、挿入部20内に挿設されたワイヤが押し/引きされ、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部26が体腔内で所望の方向に向けられる。
【0031】
ユニバーサルコード24の基端にはコネクタ36が設けられている。コネクタ36は、複合タイプのものであり、プロセッサ装置14に接続される他、光源装置16にも接続される。
【0032】
プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード24内に挿通されたケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、撮像素子21の駆動を制御すると共に、撮像素子21からケーブル29を介して伝送された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種信号処理を施して画像データに変換する。
【0033】
プロセッサ装置14で変換された画像データは、プロセッサ装置14にケーブル接続されたモニタ38に内視鏡撮影画像(観察画像)として表示される。また、プロセッサ装置14は、コネクタ36を介して光源装置16とも電気的に接続される。
【0034】
プロセッサ装置14内には、内視鏡システム10の全体を統括的に制御するCPU(中央演算処理装置)31が設けられており、CPU31が、プロセッサ装置14内の各構成部を制御するほか、光源装置16内の各光源制御部や、電子内視鏡12内の撮像素子21等の駆動制御を行う。
【0035】
プロセッサ装置14には、操作部22等に設けられた入出力部が接続される他、観察画像データ等を記録するハードディスク42(図4参照)が接続される。入出力部は、通常観察モード(通常光モードともいう)や特殊光観察モード(特殊光モードともいう)などのモード切替を行うモード切替部40を含む。
【0036】
電子内視鏡12の先端部分には、被観察領域へ白色照明光や特殊光を照射する照明窓25と、受光窓27とが設けられており、照明窓25の内側に蛍光体23が内蔵されると共に、受光窓27の内側に撮像素子21が設けられる。撮像素子21の受光面には複数の図示省略の受光素子(フォトダイオード:画素)が二次元アレイ状に配列形成されており、各受光素子に、RGBのカラーフィルタが例えばベイヤ配列で積層されている。なお、カラーフィルタは補色系でも良い。
【0037】
照明窓25の内側には照明光学系を構成するカバーガラスやレンズ等が配置され、受光窓27の内側には撮像光学系を構成する対物レンズユニット等が配置されるが、これらの図示は省略する。
【0038】
光源装置16には、特殊光モードにおいて、特殊光光源として用いられる中心波長405nmの青紫色レーザ光源(405LD)33a,33bと、通常光モード及び特殊光モードの両方に用いられる白色照明光用光源として用いられる中心波長445nmの青色レーザ光源(445LD)35a,35bとを発光源として備えている。
【0039】
青紫色レーザ光源33a,青色レーザ光源35aが夫々の波長の主灯として用いられ、青紫色レーザ光源33b,青色レーザ光源35bが予備灯として用いられる。主灯を主に用いて予備灯を主灯故障時のバックアップ用として用いても良いが、本実施形態では、主灯と予備灯とを同時並列で用いる。同時並列で使用すると、照明光量を確保するために夫々に流す通電量を減らすことができ、光源の長寿命化を図ることができ、同時並列使用のため、明るい光源となる。なお、青紫レーザ光源については、予備灯33bを設けない場合もあるが、本実施形態では、予備灯33bを備える例で説明する。
【0040】
青紫色レーザ光源33a,33bからの中心波長405nmの青紫色レーザ光は、生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて、好ましくは合致して狭帯域化された波長帯域幅を持つ狭帯域光であるので、生体の構造・成分の検出能が優れている。
【0041】
これら各光源33a,33b,35a,35bの半導体発光素子からの発光は、光源制御部48(図4参照)により個別に制御されており、各光源33a,33b,35a,35bの発光条件、すなわち青紫色レーザ光源33a,33bの出射光と、青色レーザ光源35a,35bの出射光の光量割合は、変更自在になっている。
【0042】
青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bは、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオードを用いることもできる。また、上記光源として、発光ダイオード等の発光体を用いた構成としてもよい。
【0043】
これら各光源33a,33b,35a,35bから出射されるレーザ光は、集光レンズ(図示せず)により、それぞれライトガイド39に入力され、合波器(図示せず)を介してコネクタ36に伝送される。合波器を用いずに各光源33a,33b,35a,35bからの各レーザ光を直接コネクタ36に送出する構成とすることも可能である。
【0044】
中心波長405nmの青紫色レーザ光及び中心波長445nmの青色レーザ光が合波され、コネクタ36まで伝送されたレーザ光は、照明光学系を構成するライトガイド39によって、それぞれ電子内視鏡12の先端部まで伝播される。そして、青色レーザ光は、電子内視鏡12の先端の、ライトガイド39の光出射端と照明窓25との間に配置された波長変換部材である蛍光体23を励起して蛍光を発光させる。また、一部の青色レーザ光は、そのまま蛍光体23を透過する。
【0045】
一方、青紫色レーザ光は、その一部は蛍光体23を励起させるが、大部分は蛍光体23を励起させることなく透過して、狭帯域波長の照明光(いわゆる狭帯域光)となる。
【0046】
なお、合波したレーザ光を分波器で複数系統例えば2系統に分波し、夫々の系統のレーザ光を別々のライトガイドを通して電子内視鏡12の先端部に伝播し、受光窓27の左右2箇所に設けた照明窓から夫々の蛍光体を介して被写体に対し照射する構成とすることもできる。
【0047】
ライトガイド39は、マルチモードファイバであり、一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用できる。
【0048】
蛍光体23は、青色レーザ光及び青紫色レーザ光の一部を吸収して、緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、或いはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光及び青紫色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起光と、蛍光体23により吸収されずに透過した青色レーザ光及び青紫色レーザ光とが合わされて、白色(疑似白色)の照明光となる。
【0049】
本実施形態のように、中心波長445nmの青色レーザ光を発光する半導体発光素子を励起光源として用いることにより、高い発光効率で高強度の白色光が得られ、白色光の強度を容易に調整できる上に、白色光の色温度,色度の変化を小さく抑えることができる。
【0050】
上記の蛍光体23は、レーザ光の可干渉性により生じるスペックルに起因して、撮像の障害となるノイズの重畳や、動画像表示を行う際のちらつきの発生を防止できる。また、蛍光体23は、蛍光体を構成する蛍光物質と、充填材となる固定・固化用樹脂との屈折率差を考慮して、蛍光物質そのものと充填剤に対する粒径を、赤外域の光に対して吸収が小さく、かつ散乱が大きい材料で構成することが好ましい。これにより、赤色や赤外域の光に対して光強度を落とすことなく散乱効果が高められ、光学的損失が小さくなる。
【0051】
図3は、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光と、青色レーザ光源35a,35bからの青色レーザ光及び青色レーザ光が蛍光体23により波長変換された発光スペクトルとを示すグラフである。
【0052】
青紫色レーザ光は、中心波長405nmの輝線(プロファイルA)で表される狭帯域光であり、主に特殊光観察で使用される。また、青色レーザ光は、中心波長445nmの輝線で表され、青色レーザ光による蛍光体23からの励起発光光は、概ね450nm〜700nmの波長帯域で発光強度が増大する分光強度分布となる。
【0053】
この励起発光光と青色レーザ光によるプロファイルBによって、上述した疑似白色光が形成され、主に通常光とされる。なお、図示はしていないが、蛍光体23は、青紫色レーザ光によっても励起され、青色レーザ光による場合の1/8程度の光量の励起発光光を出射し、疑似白色光を形成する。
【0054】
ここで、青紫色レーザ光源33a,33bから照射される中心波長405nmの青紫色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、405nmの狭帯域光の成分が多く、表層組織の観察(表層組織の情報の取得)に優れる一方、蛍光体23からの励起発光光の成分が少ないため、背景の撮像に用いられる白色光の出射光量を多くできない。
【0055】
このため、被写体までの距離が近い場合には、背景としての白色光の出射光量が足りるが、被写体までの距離が離れた場合には、青紫色レーザ光による励起発光光では、白色光の出射光量が不足する。
【0056】
また、青色レーザ光源35a,35bから照射される中心波長445nmの青色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、青紫色レーザ光に比べて表層組織の観察には劣るが、蛍光体23を強く励起し、背景としての白色光の出射光量を多くできる。
【0057】
このため、青色レーザ光源35a,35bは、被写体までの距離が離れた場合にも白色光の光量を十分確保でき、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光による白色光の光量不足を補うことができる。
【0058】
ここで、本実施形態でいう白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限定されず、例えば、上述した疑似白色光を始めとして、R,G,B等、特定の波長帯の光を含むものであればよく、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含むものとする。
【0059】
この内視鏡システム10では、プロファイルAとプロファイルBとの発光強度を光源制御部48により相対的に増減制御して、任意の輝度バランスの照明光を生成することができる。なお、本実施形態の内視鏡システム10において、通常光モードでは、プロファイルBの光のみが用いられ、特殊光モードでは、原則としてプロファイルAの光及びプロファイルAの光に基づく図示しない励起発光光が用いられ、図示しない励起発光光の光量不足を補うために、プロファイルBの光が重畳される。
【0060】
上述したように、青紫色レーザ光源(以下、405LDという)33a,33bからの青紫色レーザ光による狭帯域光(プロファイルA)と、蛍光体23からの図示しない励起発光光による白色光からなる照明光、及び青色レーザ光源(以下、445LDという)35a,35bからの青色レーザ光と蛍光体23からの励起発光光による白色光からなる照明光(プロファイルB)は、電子内視鏡12の先端部の照明窓25から被写体の被観察領域に向けて照射される。
【0061】
そして、照明光が照射された被観察領域からの戻り光が、受光窓27を介して撮像素子21の受光面上に結像され、撮像素子21によって被観察領域が撮像される。撮像後に撮像素子21から出力される撮像画像の画像信号が、スコープケーブル29を通じてプロセッサ装置14の画像処理システム37(図2)に入力される。
【0062】
撮像素子21によって撮像された撮像画像信号は、プロセッサ装置14の画像処理システム37を含む信号処理系によって画像処理され、モニタ38や記録装置42に出力され、ユーザの観察に供される。
【0063】
図4は、本実施形態に係る内視鏡システム10の画像処理を行う信号処理系の構成図である。同図に示すように、内視鏡システム10の信号処理系は、電子内視鏡12の信号処理系と、光源装置16の信号処理系と、プロセッサ装置14の信号処理系(図2の画像処理システム37)とを備え、プロセッサ装置14にモニタ38と記録装置42とが接続され、モード切替部40がプロセッサ装置14と光源装置16とに接続される。
【0064】
電子内視鏡12の信号処理系は、撮像素子21から出力されるアナログの撮像画像信号に対し相関二重サンプリング(CDS)処理や自動利得制御(AGC)処理を行うためのCDS・AGC回路44と、CDS・AGC回路44でサンプリングと利得制御が行われたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器46とを有する。デジタル信号に変換された撮像画像信号は、コネクタ36を介してプロセッサ装置14の画像処理システム37に入力される。
【0065】
また、光源装置16の信号処理系は、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bのオンオフ制御及び光量制御を行う光源制御部48を有する。
【0066】
ここで、光源制御部48は、内視鏡システム10の稼働開始に伴う光源オン信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bを点灯したり、モード切替部40からの特殊光モードと通常光モードとの切替信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bのオンオフ制御を行ったり、後述する光量算出部50から算出された画像の輝度値に応じて、青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bの発光強度、すなわち光源33a,33b及び光源35a,35bに流す電流値を制御する。
【0067】
すなわち、光源制御部48は、後述する光量算出部50及び光量割合算出部56と共に、算出される出射光量及び出射光量の割合に基づいて、光源33a,33b及び光源35a,35bの発光条件、すなわち光量割合を変更する光量割合変更手段として機能する。
【0068】
プロセッサ装置14の信号処理系は画像処理システム37(図2参照)で構成される。この画像処理システム37は、光量算出部50と、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)52と、ノイズ除去回路54と、光量割合算出部56と、画像処理切替部(スイッチ)60と、通常光画像処理部62と、特殊光画像処理部64と、画像表示信号生成部66とを有する。
【0069】
光量算出部50は、内視鏡12のA/D変換器46からコネクタを介して入力されたデジタル画像信号を用いて、撮像素子21で受光した戻り光の光量、つまり、撮像画像の輝度値を算出する。そして、これら算出された光量は光源制御部48及び光量割合算出部56へ出力される。
【0070】
光源制御部48では、これら算出された光量が、所定値に満たない場合、戻り光の光量が所定値以上となるように、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bの出射光量を制御する。以下、主灯,予備灯の光源33a,33bを纏めて光源33とし、主灯,予備灯の光源35a,35bを纏めて光源35とする。
【0071】
出射光量の制御では、まず、内視鏡先端と被写体との位置を固定し、青色レーザ光源(445LD)35を停止し、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を増加させる(図5(a)参照)。算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。また、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量が最大となり、それでも戻り光の光量が足りない場合には、図5(b)に示すように、青色レーザ光源(445LD)35を点灯し、全体での出射光量を増加させ、算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。
【0072】
一般的に、狭帯域光光源である青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量は、それほど多くなく、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大としても、その出射光量は限られるため、内視鏡が被写体から離れると撮像素子側で検出される戻り光の光量は足りなくなる。
【0073】
この光量不足を補うために青色レーザ光源(445LD)35の照射光量を増加させると、光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。このため、画像処理システム37において適宜必要な画像処理を行う必要がある。
【0074】
また、撮像に必要な戻り光の光量を得るために、前述のとおり内視鏡先端と被写体との位置を固定して出射光量の制御を行ったが、出射光量を固定して、内視鏡先端の位置を移動させてもよい。例えば、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を所定値で固定しておき、内視鏡を動かして、戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
【0075】
もちろん、青紫色レーザ光源(405LD)33のみでは光量が足りないと予め分かるような位置で撮像を行う場合は、予め青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大とし、青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を所定値で固定して、前述と同様に、内視鏡を動かして戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
【0076】
光量割合算出部56は、光源制御部48による青紫色レーザ光源(405LD)33及び青色レーザ光源(445LD)35を駆動する電流の電流値の情報を受け、405LD33及び445LD35の出射光量の光量割合を算出する。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の後述する特殊光色変換部74へ出力される。
【0077】
なお、レーザの光量割合が変わると、撮像画像のホワイトバランスが変化する。そのため、図示はされていないが、405LD33及び445LD35の光量並びに光量割合がCDS・AGC回路44へ出力され、この光量及び光量割合の情報に基づいてホワイトバランスを取るためのCDS・AGC回路44のゲインが変更されて、撮像素子21の電気的なゲインが変更されるように信号処理系を構成してもよい。また、図示はされていないが、ホワイトバランスを決定する前述のゲインの情報は、画像処理部62及び特殊光画像処理部64へ出力され、色変換及び特殊光色変換に用いられる。
【0078】
DSP52(デジタルシグナルプロセッサ)は、光量算出部50で光源光量が検出された後、A/D変換器46から出力されたデジタル画像信号にガンマ補正、色補正処理を行う。ノイズ除去回路54は、DSP52でガンマ補正,色補正処理が施されたデジタル画像信号から、例えば、移動平均法やメディアンフィルタ法等の画像処理におけるノイズ除去方法を行ってノイズを除去する。こうして、電子内視鏡12からプロセッサ装置14に入力されたデジタル画像信号は、DSP52及びノイズ除去回路54でガンマ補正,色補正処理及びノイズ除去等の前処理がなされる。
【0079】
画像処理切替部60はスイッチで構成され、モード切替部(入力部)40の指示(切替信号)に基づいて、前処理されたデジタル画像信号を後段の通常光画像処理部62に送るか、又は、特殊光画像処理部64に送るかを切り替える。本実施形態では、通常光画像処理部62及び特殊光画像処理部64による画像処理前のデジタル画像信号を画像信号といい、画像処理前後のデジタル画像信号を画像データと呼ぶことにする。
【0080】
通常光画像処理部62は、通常光モードにおいて、445LD及び蛍光体23による白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した通常光用画像処理を施す部分であって、色変換部68と、色彩強調部70と構造強調部72とを有する。
【0081】
色変換部68は、前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号に、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行い、色変換処理済RGB画像データに変換する。
【0082】
色彩強調部70は、画面内の血管と粘膜との色味の差をつけて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
【0083】
構造強調部72は、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造強調処理を行う。
【0084】
構造強調部72で構造強調処理が施されたRGB画像データは、通常光用画像処理済RGB画像データとして通常光画像処理部62から画像表示信号生成部66に入力される。
【0085】
特殊光画像処理部64は、特殊光モードにおいて、405LD33からの青紫色レーザ光(プロファイルA)、並びに445LD35及び蛍光体23からの白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した特殊光用画像処理を施す部分であって、特殊光色変換部74と色彩強調部76と、構造強調部78とを有する。
【0086】
特殊光色変換部74は、入力された前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号のG画像信号に所定係数をかけてR画像データに割り付け、B画像信号に異なる所定係数をかけて夫々をG画像データ及びB画像データに割り付け、RGB画像データを生成した後、生成されたRGB画像データに、色変換部68と同様に3×3マトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行う。
【0087】
具体的には、特殊光色変換部74は、割り付け後のR,G,Bの画像データに対して、輝度の正規化を行い、Rnorm,Gnorm,Bnormの画像データを生成する。次に、これら正規化したRnorm,Gnorm,Bnorm画像データに対して、光量割合に応じた色調への補正を行う。色調補正後の画像データを、Radj,Gadj,Badj画像データとすると、色調補正後のRadj,Gadj,Badj画像データは、次の数1で示すような演算により求められる。
【0088】
【数1】
【0089】
ここで、KR,KG,KBは、それぞれ各色の色変換係数であり、光量割合算出部56で算出された光量割合に応じて求められる。特殊光色変換部74は、図6に示すように、光量割合(光量比率)に対応する各色の色変換係数を定めた色変換係数テーブル80を備え、算出された光量割合に基づいて、色変換係数テーブル80より、色変換係数KR,KG,KBを決定する。
【0090】
色変換係数テーブル80の色変換係数KR,KG,KBは、図6に示すように、それぞれ各光量割合に対応してR00,R01,R02,…、G00,G01,G02,…、B00,B01,B02,…として設定されている。光量割合算出部56で算出された光量割合に対応する色変換係数を数1に代入することで、色調補正された画像データRadj,Gadj,Badjが得られる。
【0091】
例えば、光源制御部48において制御される405LD33の光量と445LD35の光量との比が、100:10、つまり、光量割合が405LD:445LD≒90.9:9.1であるとき、色変換係数は、図6に示す色変換係数テーブルにより、(KR,KG,KB)=(R10,G10,B10)と求まる。この色変換係数は、図6に示すテーブルとして表すことに限らず、数式化して表してもよく、また、代表点のみ数値化して他の点を補間演算により求めてもよい。
【0092】
色彩強調部76は、色彩強調部70と同様に、画面内の血管と粘膜との色味の差を付けて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
【0093】
構造強調部78は、構造強調部72と同様に、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造処理を行う。構造強調部78で最適な周波数強調処理が施されたRGB画像データは、特殊光用画像処理済RGB画像データとして特殊光画像処理部64から画像表示信号生成部66へ出力される。
【0094】
また、前述のとおり、光量が足りず青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を増加させた場合、撮像のための光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。そこで、特殊光画像処理部64は、色変換部68の前段階において、撮像画像上の表層血管を強調するためにも、フレーム加算処理、または、ビニング処理を行ってもよい。
【0095】
ここでフレーム加算処理とは、通常、1フレームで1画像を生成するフレームを複数枚加算する処理であり、また、ビニング処理とは、画像を構成する画素を複数画素ずつ統合する処理である。なお、フレーム加算処理及びビニング処理ではなく、予め撮像素子21の電荷蓄積時間を長めにとってもよい。フレーム加算処理と略同様の効果が得られる。
【0096】
画像表示信号生成部66は、通常光モードでは通常光画像処理部62から入力された画像処理済RGB画像データを、特殊光モードでは特殊光画像処理部64から入力された画像処理済RGB画像データを、夫々、表示画像信号に変換する。この表示画像信号は、ソフトコピー画像としてモニタ38に表示され、また、記録装置42に対して出力される。記録装置42に記録された表示画像信号は、ハードコピー画像として記録装置42から出力される。
【0097】
通常光モードでは、白色光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び通常光画像処理がなされた表示画像信号に基づく通常観察用画像が、モニタ38に、ソフトコピー画像として表示される。特殊光モードでは、白色光に加え、特殊光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び特殊光画像処理がなされた表示画像信号に基づく特殊光観察画像が、モニタ38にソフトコピー画像として表示される。
【0098】
記録装置42も、通常光モードでは、白色光を照射して得られた通常観察画像をハードコピー画像として出力し、特殊光モードでは、白色光及び特殊光を照射して得られた特殊光観察画像をハードコピー画像として出力する。なお、必要に応じて、画像表示信号生成部66で生成された表示画像信号は、画像情報として、図示しないが、メモリやストレージ装置からなる記憶部に記憶されても良い。
【0099】
一方、モード切替部(入力部)40は、通常光モードと特殊光モードとを切り替えるためのモード切替ボタンを有し、モード切替部40からのモード切替信号は、光源装置16の光源制御部48に入力される。ここで、モード切替部40は、入出力部(図4ではモニタ38,記録装置42,モード切替部40)の入力部40として配置されているが、プロセッサ装置14、電子内視鏡12の操作部、または光源装置16に配置されてもよい。なお、モード切替部40からの切替信号は、光源制御部48及び画像処理切替部60へ出力される。
【0100】
次に、上述した構成の実施形態における内視鏡システムの動作を、図7及び図8を用いて説明する。本実施形態においては、まず、通常光モードで通常光観察が行われているものとする。つまり、445LD35が点灯され、白色光による撮像画像データについて、通常光画像処理部62で通常光画像処理が行われている。
【0101】
ここで、図7に示す処理手順の通り、ユーザによって特殊光モードへの切替が行われる。ユーザがモード切替部40を操作することでモード切替信号(特殊光ON)が出力され、画像処理切替部60における画像処理が特殊光モードに切り替えられる(ステップS10)。
【0102】
特殊光モードに切り替えられると、次のステップS20で、光源の光量調整が行われる。この光源からの出射光量の調整は、内視鏡先端と被写体との位置関係の変化に応じて常に行われる必要がある。図8は、内視鏡先端と被写体との位置を固定した際における光量調整の詳細処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
まず最初に、図8のステップS120で、青紫色レーザ光(405LD)33から所定量の狭帯域光(405nm)が出射され、内視鏡先端より被写体に向けて、照明光として狭帯域光(405nm)およびその励起発光光(蛍光体23の蛍光)が照射される。照射された照明光は、被写体で反射され、撮像素子21によりその戻り光が撮像画像情報として取得される(ステップS122)。
【0104】
撮像時画像情報が取得されると、撮像画像情報は、CDS・AGC44、A/D変換部46を経て、光量算出部50へ出力され、撮像素子21における戻り光の光量(該撮像画像の輝度値)が算出される(ステップS124)。算出された戻り光の光量は、光源制御部48へ出力される。
【0105】
光源制御部48は、光量割合算出部56で算出された光量に基づいて、光量が足りているか否か、つまり戻り光の光量が所定値以上か否かの判定を行う(ステップS126)。光量が足りている場合、その位置での照射光量は変更する必要がなく、光源の光量調整は行われず、図7の被写体撮像処理(ステップS30)に進む。もちろん、光量が多すぎて撮像素子21がオーバーフローを起こすような場合には、405LD33に流れる駆動電流の電流値を減少させる制御を行う。
【0106】
また、光量が足りない場合、光源制御部48は、405LD33に流れる駆動電流の電流値から、405LD33の出力が最大か否かを判定する(ステップS128)。
【0107】
405LDの出力が最大でない場合、光源制御部48は405LD33の出力(駆動電流の電流値)を所定量上げ(ステップS130)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。
【0108】
また、405LD33の出力が最大の場合、光源制御部48は、青色レーザ光源(445LD)35が点灯しているか否かを判定する(ステップS132)。445LD35が点灯していない場合、445LD35を点灯して(ステップS134)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。445LD35が点灯すると、照明光として狭帯域光(405nm)及びその励起発光光に重畳して、狭帯域光(445nm)及びその励起発光光が内視鏡先端より被写体に照射される。
【0109】
また、445LD35が既に点灯している場合には、445LD35の出力を上げ(ステップS136)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。こうして撮像素子21における戻り光の光量が所定値以上になるまで、図8のステップに基づいて、出射光量の調整を行う。
【0110】
なお、図8の処理手順には記載していないが、445LD35の出力を最大としても光量が足りない場合には、そのまま、図7に示す被写体の撮像処理(ステップS30)を行うか、内視鏡先端と被写体との位置を再度調整し、内視鏡先端を被写体に近づける。
【0111】
ここでは、内視鏡先端と被写体との位置を固定した場合の光量調整の動作について説明したが、前述のとおり、光源からの出射光量を固定し、内視鏡先端と被写体との位置を変更してもよい。その場合、前述のとおり、405LD33の出射光量を所定値とし、445LD35を停止して、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合と、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値として、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合との2つの動作が考えられる。
【0112】
405LD33のみを用いる場合は、主に内視鏡先端と被写体との位置を近くして撮像を行う場合に用いられ、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値とする場合は、主に、内視鏡先端と被写体との位置を遠くして撮像を行う場合に用いられる。
【0113】
光量の調整(図7のステップS20)が行われると、次に、ステップS30で、被写体の撮像が行われ、撮像素子21により、撮像画像情報が取得される。撮像画像情報は、前述のとおり、CDS・AGC44,A/D変換器36により適宜処理され、光量割合算出部56へ出力される。
【0114】
光量割合算出部56では、撮像画像情報から、B光の光量及びG光の光量のそれぞれが算出され、光量割合算出部56へ出力される(ステップS32)。また、撮像画像情報は、撮像画像信号として、DSP52,ノイズ除去回路54を通って特殊光画像処理部64へ出力される。
【0115】
光量割合算出部56では、光源制御部48から405LD33の出射光量及び445LD35の出射光量の情報を取得し、405LD33と445LD35との光量割合を算出する(ステップS34)。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74へ出力される。
【0116】
特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74は、算出された光量割合の情報と、色変換係数テーブル80とから、特殊光色変換に用いる色変換係数KR,KG,KBを決定する(ステップS36)と共に、特殊光画像処理部64へ入力された撮像画像信号は特殊光画像データに変換される(ステップS38)。なお、特殊光色変換前に、フレーム加算処理等の画像強調処理が行われてもよい。
【0117】
次のステップS40では、ステップS38の特殊光画像データにステップS36の色変換係数を適用して擬似カラー画像(RGB画像データ)に変換する。そして、このRGB画像データに対して、色彩強調部76及び構造強調部78が各種画像処理を施し(ステップS42)た後、画像表示信号生成部66へ出力されて画像表示信号が生成される(ステップS44)。最後のステップ46で、この画像表示信号は、特殊光画像としてモニタ38で表示され、記録装置42に記録され、この処理手順を終了する。
【0118】
なお、上述した実施形態では、図4の画像処理切替部(スイッチ)60で、通常光画像処理部62と特殊光画像処理部64のいずれか一方を選択しているが、スイッチ60を高速にスイッチングさせることで、通常光の観察画像に特殊光の観察画像を重ねた観察画像をモニタ38に表示させることが可能となる。
【0119】
以上述べた内視鏡システムでは、光源として、発光波長405nmの青紫色レーザ光源33a,33bの2灯と、発光波長445nmの青色レーザ光源35a,35bの2灯の、計4灯の光源が光源装置16内に設けられている。電子内視鏡12を患者の体腔内に挿入している最中に、いずれかの光源が故障により消灯してしまう虞がある。
【0120】
光源に故障が発生した場合、電子内視鏡12を患者の体腔内から抜去してしまうことも可能であり、故障光源を他の正常光源で代替し、内視鏡による患者の検査を継続することも可能である。この判断は医者が行うことになるが、本実施形態の内視鏡システムでは、医者の判断を支援するために、いずれかの光源に異常が発生したとき、次の様な駆動制御を行う。
【0121】
図9は、レーザ光源の故障検出回路の説明図である。各々のレーザ光源LDは、例えば定電流ドライバによって駆動される。そこで、故障検出回路91は、レーザ光源LDのアノード電位VAとカソード電位Vkとを検出し、両者間の差から順方向降下電圧Vf(=VA−Vk)を求め、電圧Vk,VA,Vfにより、故障発生を検知する。例えば、VA≒Vkの場合は「ショート発生」、Vk≒0Vで且つVA≫Vfの場合は「断線発生」と検知できる。
【0122】
図10は、4つの光源の故障パターン(正常(○),異常(×))と観察モードの制限事項を示した図である。ここで、各発光波長の光源のうち主灯33a,35aを「LD1」と標記し、予備灯33b,35bを「LD2」と標記している。
【0123】
故障パターン1は、波長445nmの2灯のうちいずれか1灯が故障し、波長405nmの2灯の両方が正常の場合であり、この場合には観察モード制限Aの駆動制御を実施する。
【0124】
故障パターン2は、波長445nmの2灯が両方とも正常であり、波長405nmの2灯のうちいずれか1灯が故障した場合であり、この場合には観察モード制限Bの駆動制御を実施する。
【0125】
故障パターン3は、波長445nmの2灯が両方とも故障した場合であり、この場合には観察モード制限Cの駆動制御を実施する。
【0126】
故障パターン4は、波長445nmの2灯が共に正常であるが、波長405nmの2灯が共に故障した場合であり、この場合には観察モード制限Dの駆動制御を実施する。
【0127】
故障パターン5は、波長445nmの2灯のうちの1灯が故障し、波長405nmの2灯のうちの1灯が故障した場合であり、この場合には観察モード制限Eの駆動制御を実施する。
【0128】
観察モード制限Aの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン1では、明るい光源である445nmのうちの1灯が故障したため、445nmの光源は1灯しか使用できない。
【0129】
図11は、故障パターン1の場合にモニタ38の観察画像92に重ねて表示する警告表示の一例を示す図である。故障パターン1の場合には、「故障発生:スコープを抜いて下さい。短時間であれば観察を継続できます。」の警告表示が行われる。
【0130】
この故障パターン1の場合、445nm2灯の同時並列使用時に比べて照明光が暗くなるため、医者が観察継続を選択したとき、光量不足を405nmの光源で補う駆動制御を行うことになる。この場合、故障発生前に比べて、照明光のうちのB光の割合が増えるため、撮像画像を画像処理するとき、B光割合が増えたことを勘案して画像処理を行い、故障発生前後で観察画像に色味の変化が起きないようにする。
【0131】
観察モード制限Bの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン2では、445nmの2灯の光源は正常のため、通常光を用いた観察は全く問題がない。このため、特殊光観察モードで支障が生じる旨の警告表示で済む。
【0132】
特殊光観察を継続する場合には、405nmの2灯のうちの1灯が故障しているため、405nm2灯の同時並列使用時に比べて特殊光の照明光が暗くなる。そこで、観察モード制限Bでは、405nmの照明光で得られる画像信号の不足分を、445nmの照明光で得られる画像信号で補うことになる。
【0133】
即ち、B光とG光で得られる表層血管のB画像信号とG画像信号から生成する擬似カラー画像の画像処理で用いる前述した所定係数の値を、故障発生前後で異なる値として、故障発生前後で観察画像に色味の変化が生じないようにする。
【0134】
観察モード制限Cの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン3では、445nmの2灯が共に故障しており、明るい照明光は得られない。このため、この観察モード制限Cでは、図12に示す様に、「直ぐにスコープを抜いて下さい」という警告表示を点滅表示するなどして、他に選択枝がないことを報知する。そして、405nmの照明光は暗いため固体撮像素子の出力信号に対するゲインを上げて観察画像を少しでも明るくし、迅速に電子内視鏡12が抜去できる様にする。
【0135】
観察モード制限Dの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン4では、445nmの2灯の光源は正常のため、通常光を用いた観察は全く問題がない。このため、特殊光観察モードで支障が生じる旨の警告表示で済む。故障パターン4では、405nmの2灯が共に故障しているため、405nmの照明光は使用できない。このため、表層血管の画像を観察する場合、445nmの照明光を使って行うことになる。即ち、観察モード制限Bと同様の画像処理を行うことになるが、故障パターン4では405nmの照明光が全くないため、観察モード制限Bとは上記の所定係数の値が異なる画像処理を行うことになる。
【0136】
観察モード制限Eの駆動制御は、次の様に行う。故障パターン5は故障パターン1に比べて、405nmの光源が1灯少ない。このため、観察モード制限Eでは、445nmの照明光不足を1灯の405nmの光源で補うことになる。即ち、この観察モード制限EではB光の割合が観察モード制限Aと異なるため、故障前後で観察画像の色味が変化しないようにするために画像処理で用いる係数が観察モード制限Aとは異なる。
【0137】
以上述べた様に、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置とを備える内視鏡システム及びその駆動方法であって、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする。
【0138】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替えることを特徴とする。
【0139】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行うことを特徴とする。
【0140】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵されることを特徴とする。
【0141】
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示することを特徴とする。
【0142】
以上述べた実施形態によれば、複数灯の光源を搭載した内視鏡システムでいずれかの光源が故障した場合でも、正常光源で故障光源を代替して内視鏡による観察を継続でき、また、光源を代替したとき代替前後で観察画像の色味変化を抑制でき、精度の高い観察を継続可能となり、患者への負担を軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明に係る内視鏡システムは、複数の光源のうちいずれかが故障した場合でも継続して内視鏡による患者の検査が可能なため、患者の負担を軽減することができ、複数光源を搭載する内視鏡システムに適用すると有用である。
【符号の説明】
【0144】
10 内視鏡システム
12 電子内視鏡(スコープ)
14 プロセッサ装置
16 光源装置
21 撮像素子
23 蛍光体
25 照明窓
26 先端部
27 照明窓
31 CPU
33a,33b 波長405nmのレーザ光発光光源
35a,35b 波長445nmのレーザ光発光光源
37 画像処理システム
38 モニタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置と、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制する制御手段と
を備える内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡システムであって、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替える内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡システムであって、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行う内視鏡システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡システムであって、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵される内視鏡システム。
【請求項5】
請求項4に記載の内視鏡システムであって、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示する内視鏡システム。
【請求項6】
先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置と
を備える内視鏡システムの駆動方法であって、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする内視鏡システムの駆動方法。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替える内視鏡システムの駆動方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行う内視鏡システムの駆動方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵される内視鏡システムの駆動方法。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡システムであって、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示する内視鏡システムの駆動方法。
【請求項1】
先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置と、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制する制御手段と
を備える内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡システムであって、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替える内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡システムであって、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行う内視鏡システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡システムであって、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵される内視鏡システム。
【請求項5】
請求項4に記載の内視鏡システムであって、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示する内視鏡システム。
【請求項6】
先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
複数個の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置と
を備える内視鏡システムの駆動方法であって、
前記複数個の光源の内いずれかの光源が故障により消灯した場合、該故障にかかる光源の代わりに前記光源のうち正常な光源の照明光で代替させると共に、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光とが異なるときには前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて前記代替前後での前記画像処理の後の撮像画像の色味変化を抑制することを特徴とする内視鏡システムの駆動方法。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記故障にかかる光源の正常時における照明光と前記代替させた光源の照明光との光量,発光波長の少なくともいずれか1方が異なるとき、前記画像処理を切り替える内視鏡システムの駆動方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記故障が発生したとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行う内視鏡システムの駆動方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の内視鏡システムの駆動方法であって、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの半導体発光素子と第2波長域の光を発光する少なくとも1つの半導体発光素子とを備え、前記電子内視鏡の前記先端部には前記半導体発光素子の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が内蔵される内視鏡システムの駆動方法。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡システムであって、前記第1波長域の光を発光する複数の光源のいずれかが故障し且つ該複数の光源のうち少なくとも1つが正常の場合には前記故障後でも継続して前記固体撮像素子から前記撮像画像を取得し、前記第1波長域の光を発光する複数の光源の全てが故障したときは前記第2波長域の光を発光する光源の発光光を照明光として前記電子内視鏡の体腔内からの抜去を指示する警告表示を前記モニタ画面に表示する内視鏡システムの駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−217483(P2012−217483A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83107(P2011−83107)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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