内視鏡洗浄消毒装置
【課題】トップカバーの内部に形成された空間を有効利用できる構成を具備する内視鏡洗浄消毒装置を提供する。
【解決手段】装置本体に設けられた被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、装置本体に対し開閉自在なことにより、洗浄消毒槽の被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体3と、を具備し、空間は、被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部200を構成していることを特徴とする。
【解決手段】装置本体に設けられた被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、装置本体に対し開閉自在なことにより、洗浄消毒槽の被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体3と、を具備し、空間は、被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部200を構成していることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて内視鏡が具備する処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
医療分野の内視鏡は、特に検査及び治療を目的として体腔内に挿入されて使用されるものであるため、使用後、再度使用するためには洗浄消毒が必要となる。この使用済みの内視鏡を洗浄消毒する方法としては、例えば、内視鏡洗浄消毒装置(以下、単に洗浄消毒装置と称す)を用いて行う方法が周知である。
【0004】
洗浄消毒装置を用いれば、内視鏡は、洗浄消毒装置の洗浄消毒槽内にセットされるのみで、内視鏡に対して、自動的に、洗浄、消毒、濯ぎ及び水切り等(以下、洗浄消毒工程と称す)を行うことができる。この際、内視鏡は、該内視鏡の外表面のみならず、内視鏡が内部に有する既知の送気送水管路、処置具挿通管路等の内視鏡管路内も洗浄消毒される。尚、洗浄消毒装置は、内視鏡のみならず、処置具や他の医療器具等も洗浄消毒することができる。以下、洗浄消毒装置を用いて洗浄消毒するものを、被洗浄消毒物と称す。
【0005】
ところで、使用済みの被洗浄消毒物を、洗浄消毒装置を用いて洗浄消毒する際、ユーザは、装置本体に対して開閉自在な蓋体であるトップカバーを開成することにより、洗浄消毒槽に被洗浄消毒物をセットし、その後、トップカバーを閉成した後、操作パネルから洗浄消毒工程の開始の指示を入力する。このことにより、洗浄消毒工程は開始される。
【0006】
また、洗浄消毒工程終了後は、ユーザは、トップカバーを開成することにより、洗浄消毒槽から洗浄消毒済みの被洗浄消毒物を取り出し、被洗浄消毒物の外表面を拭き取った後、洗浄消毒済みの被洗浄消毒物を、所定に保管する。
【0007】
ここで、トップカバーは、軽量化するとともに、装置本体に対して閉成後も、洗浄消毒槽内の様子が観察できるように、1枚の透明な樹脂等から平板状に形成されているのが一般的である。
【0008】
しかしながら、トップカバーが1枚の樹脂から平板状に形成されていると、耐衝撃性が低く、トップカバーが外的要因により割れやすいといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、特許文献1には、トップカバーの外周縁部に、例えば金属から構成された枠を設けることにより、トップカバーの強度を向上させた洗浄消毒装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献1に開示された洗浄消毒装置においては、トップカバーの上面に、例えば消毒工程中に消毒液から蒸気化した洗浄消毒槽中のガスの臭気を取り除いて洗浄消毒装置外に排出するガスフィルタがトップカバーとは別体に設けられた構成も開示されている。このことにより、ユーザは、消毒液から蒸気化したガスの臭気を気にすることなく、洗浄消毒工程を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−296857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1に開示されたように、トップカバーの外周縁部に金属枠を設けると、トップカバーが重くなってしまうため、装置本体に対してトップカバーを開閉自在とする蝶番やバネ等に、強度が従来よりも強いものを用いなくてはならず、洗浄消毒装置製造上のコストが増加してしまうといった問題があった。
【0012】
また、このような問題に鑑み、トップカバーの外周縁部に金属以外の軽量な枠体を設ける構成も考えられるが、枠体によりトップカバーの上面に凹凸が形成されてしまうことから、使用後のトップカバーの上面に対して清掃し難いといった問題があった。
【0013】
さらに、特許文献1に開示された構成においては、ガスフィルタがトップカバーの上面に別体に設けられているため、より、トップカバーの上面に凹凸が形成されてしまい、トップカバーの上面が清掃し難いといった問題があった。
【0014】
このような問題に鑑み、枠体を用いずにトップカバーを内部に空間を有するよう2枚の平板状の樹脂から形成することにより、トップカバーを重くすることなくトップカバーの強度向上を図るとともに、ガスフィルタをトップカバーの上面以外の位置に設けることにより、トップカバー上面を平坦化する構成も周知ではある。しかしながら、この場合、トップカバー内の空間が無駄なスペースとなってしまうことから、該空間を有効利用できる構成が望まれていた。
【0015】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トップカバーの内部に形成された空間を有効利用できる構成を具備する内視鏡洗浄消毒装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明による内視鏡洗浄消毒装置は、被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置であって、装置本体に設けられた前記被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、前記装置本体に対し開閉自在なことにより、前記洗浄消毒槽の前記被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体と、を具備し、前記空間は、前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トップカバーの内部に形成された空間を有効利用できる構成を具備する内視鏡洗浄消毒装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において、被洗浄消毒物は、内視鏡を例に挙げて説明する。
【0019】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す洗浄消毒装置の斜視図、図2は、図1のトップカバーが開放され、洗浄消毒槽に内視鏡が収納自在な状態を示す洗浄消毒装置の斜視図である。
【0020】
同図に示すように、洗浄消毒装置1は、使用済みの内視鏡100を洗浄消毒する装置であり、装置本体2と、その上部に、例えば図示しない蝶番及びバネを介して開閉自在な蓋体であるトップカバー3とにより主要部が構成されている。尚、トップカバー3は、装置本体2が具備する洗浄消毒槽4の被洗浄消毒物の収容口4sを開閉自在である。
【0021】
図1に示すように、トップカバー3が、装置本体2に閉じられている状態では、装置本体2とトップカバー3とは、装置本体2及びトップカバー3の互いに対向する位置に配設された、例えばラッチ8により固定される構成となっている。
【0022】
尚、図1に示すように、トップカバー3を装置本体2に対し閉成した際、トップカバー3と装置本体2とは、トップカバー3の底面3tにおいて、平面視した状態で周状に設けられたシール部材60により、水密が保持されるようになっている。尚、トップカバー3の詳しい構成は、後述する。
【0023】
装置本体2の操作者が近接する図中前面(以下、前面と称す)であって、例えば左半部の上部に、洗剤/アルコールトレー11が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。
【0024】
洗剤/アルコールトレー11には、内視鏡100を洗浄する際に用いられる液体である洗浄剤が貯留された洗剤タンク11aと、洗浄消毒後の内視鏡100を乾燥する際に用いられる液体であるアルコールが貯留されたアルコールタンク11bとが収納されており、洗剤/アルコールトレー11が引き出し自在なことにより、各タンク11a、11bに、所定に液体が補充できるようになっている。
【0025】
尚、洗剤/アルコールトレー11には、2つの窓部11mが設けられており、該窓部11mにより、各タンク11a、11bに注入されている洗浄剤及びアルコールの残量が操作者によって確認できるようになっている。この洗浄剤は、図示しない給水フィルタにより濾過処理がされた水道水により所定の濃度に希釈される濃縮洗剤である。本実施の形態では、以下の説明において、前記洗浄剤と前記水道水との混合液を洗浄液と称す。
【0026】
また、装置本体2の前面であって、例えば右半部の上部に、カセットトレー12が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。カセットトレー12には、内視鏡100を消毒する際に用いる、例えば過酢酸等の消毒液が注入された薬液ボトル12aが収納されており、カセットトレー12が、引き出し自在なことにより、薬液ボトル12aを所定にセットできるようになっている。
【0027】
さらに、装置本体2の前面であって、カセットトレー12の上部に、洗浄消毒時間の表示や、図示しない消毒液タンク内の消毒液を、図示しないヒータによって加温するための指示釦等が配設されたサブ操作パネル13が配設されている。
【0028】
また、装置本体2の図中前面の下部に、装置本体2の上部に閉じられているトップカバー3を、操作者の踏み込み操作により、図2に示すように、装置本体2の上方に開くためのペダルスイッチ14が配設されている。
【0029】
また、図2に示すように、装置本体2の上面の、例えば操作者が近接する前面側の一端寄りに、装置本体2の洗浄、消毒動作スタートスイッチ、及び洗浄、消毒モード選択スイッチ等の設定スイッチ類が配設されたメイン操作パネル25が設けられている。
【0030】
また、装置本体2の上面であって、操作者が近接する前面に対向する背面側に、装置本体2に水道水を供給するための、水道蛇口に接続された給水ホース(いずれも図示されず)が接続される給水ホース接続口31が配設されている。尚、給水ホース接続口31に、水道水を濾過するメッシュフィルタが配設されていてもよい。
【0031】
さらに、装置本体2の上面の略中央部に、内視鏡収容口4sをトップカバー3によって開閉される、内視鏡100が収納自在な洗浄消毒槽4が設けられている。洗浄消毒槽4は、槽本体50と該槽本体50の内視鏡収納口の外周縁に連続して周設されたテラス部51とにより構成されている。
【0032】
槽本体50は、使用後の内視鏡100が洗浄消毒される際、該内視鏡100が収納自在であり、槽本体50の槽内の面である底面50tには、槽本体50に供給された洗浄液、水、アルコール、消毒液等を槽本体50から排水するとともに、後述する給水循環ノズル24から槽本体50に再度上記液体を供給するための第1の排水口55が設けられている。
【0033】
また、槽本体50の槽内の面である周状の側面50sの任意の位置に、循環口56が設けられている。循環口56から排出された槽本体50に供給された洗浄液、水、消毒液等は、図示しない接続チューブを介して内視鏡100の内部に具備された各管路に供給される。尚、循環口56には、洗浄液等を濾過するメッシュフィルタが設けられていても良い。
【0034】
尚、上述した循環口56は、槽本体50の底面50tに設けられていてもよい。循環口56が槽本体50の底面50tに設けられていれば、内視鏡100の各管路への、洗浄液、水、消毒液等の供給タイミングを早めることができる。さらに、ユーザが循環口56に設けられたメッシュフィルタ等を交換するに際し、底面に設けられていると、操作者がアプローチしやすくなるといった利点がある。
【0035】
洗浄消毒槽4の槽本体50には、さらに、図示しない超音波振動子や温度センサが配設されており、槽本体50の底面50tの略中央部に、洗浄ケース6が配設されている。この超音波振動子は、洗浄消毒槽4に貯留される洗浄水、或いは水道水に振動を与えて、内視鏡100の外表面を超音波洗浄、或いは濯ぐものである。また、温度センサは、洗浄消毒槽4に供給された消毒液の温度を検出するものである。
【0036】
洗浄ケース6には、内視鏡100の各スコープスイッチ等のボタン類等、内視鏡100に併設されている取り外し可能な部品が収容される。その結果、各ボタン類及び取り外した部品は、内視鏡100と一緒に洗浄、消毒される。
【0037】
槽本体50の側面50sの任意の位置に、槽本体50に供給された洗浄液、水、消毒液等の水位を検出するカバー付き水位センサ32が設けられている。
テラス部51のテラス面51t以外の面、即ち槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、洗剤タンク11aから、図示しない洗剤用ポンプにより、水道水により所定の濃度に希釈された洗浄剤を供給するための洗剤ノズル22及び、図示しない消毒液タンクから、図示しない供給用ポンプにより、消毒液を供給するための消毒液ノズル23が配設されている。
【0038】
さらに、テラス部51の槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、給水するための、または槽本体50の第1の排水口55から排出した洗浄液、水、消毒液等を、再度槽本体50に供給するための給水循環ノズル24が配設されている。尚、洗剤ノズル22、消毒液ノズル23及び給水循環ノズル24は、テラス面51tに配設されていても良い。
【0039】
また、テラス部51のテラス面51tの操作者近接位置4kに対向する側の面51fに、内視鏡100の内部に具備された内視鏡管路に、洗浄液、水、アルコール、消毒液、またはエア等を供給するための複数、ここでは2つの送気送水/鉗子口用ポート33と、鉗子起上用ポート34と、漏水検知用ポート35とが配設されている。
【0040】
次に、トップカバー3の構成について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、図1のトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図4は、図3のトップカバーの内部の収容部に出し入れ自在なガスフィルタユニットを拡大して示す斜視図、図5は、図3中のV-V線に沿うトップカバーの断面図である。
【0041】
図5に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に空間200を有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。
【0042】
尚、トップカバー3の内部に空間200が形成したのは、トップカバー3を耐衝撃性が弱く軽い樹脂から構成したとしてもトップカバー3の強度を向上させるためである。尚、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する透明部材であれば、樹脂に限定されない。また、透明部材でなくともよい。
【0043】
また、トップカバー3の底面3tに、空間200に連通する開口3kが形成されており、該開口3kに、液体を通過させずに気体を通過させる、例えばゴアテックス(登録商標)等の気体通過部材65が設けられている。この気体通過部材65により、トップカバー3を装置本体2に対して閉成して洗浄消毒工程を行った際、洗浄消毒槽4内の液体が空間200に進入してしまうことがない。また、トップカバー3の底面3tに、上述したシール部材60が平面視した状態で周状に形成されている。
【0044】
さらに、図3、図5に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の空間200に対し出し入れ自在なガスフィルタであるガスフィルタユニット70が設けられている。即ち、空間200は、ガスフィルタユニット70の収容部を構成している。よって、以下、空間200は、収容部200として示す。
【0045】
ガスフィルタユニット70は、本実施の形態における内視鏡の洗浄消毒に用いる部材であり、洗浄消毒工程中に、例えば消毒液から蒸気化した洗浄消毒槽4中の気体通過部材65を介して収容部200に進入してきたガスG中の臭気を取り除いて洗浄消毒装置1外に排出するものである。
【0046】
ガスフィルタユニット70は、図4に示すように、フィルタケース71と、該フィルタケース71に収容自在な、例えば活性炭がスポンジの中に設けられることにより構成されたフィルタ本体73と、蓋体72とにより主要部が構成されている。
【0047】
ガスフィルタユニット70は、収容部200に収容された際、トップカバー3の上面3jと蓋体72の上面72jとが略同一平面となるように収容される。即ち、収容部200内にガスフィルタユニット70を収容した際、ガスフィルタユニット70は、トップカバー3と一体的に設けられる。
【0048】
フィルタケース71は、フィルタ本体73を保持するものであり、側面に、内部にガスGを取り入れる用の図示しない孔が形成されている。また、フィルタ本体73は、収容部200に進入してきたガスG中の臭気を取り除くものであり、蓋体72は、フィルタケース71に対して開閉自在なものである。
【0049】
尚、通常、フィルタ本体73を交換する際は、フィルタユニット70を収容部200から取り出した後、蓋体72を開成して行うが、収容部200にフィルタユニット70が収容された状態においても、蓋体72を開成することにより、フィルタ本体73を容易に交換することができる。
【0050】
また、蓋体72に、複数の貫通孔72hが形成されている。貫通孔72hは、図1に示すようにフィルタケース71に対して蓋体72が閉成されている際、図5に示すように、フィルタ本体73によって臭気が取り除かれたガスGを、洗浄消毒装置1外に排出するものである。
【0051】
このようなトップカバー3の構成によれば、装置本体2に対しトップカバー3を閉成して洗浄消毒工程、特に消毒工程を行っている際、洗浄消毒槽4中の消毒液から蒸気化したガスGは、図5に示すように、気体通過部材65を介して、収容部200に進入した後、フィルタケース71に形成された孔を介してフィルタ本体73に進入し、該フィルタ本体73によって、臭気が取り除かれた後、蓋体72の貫通孔72hから、洗浄消毒装置1外に排出される。
【0052】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の板状部材3gは、軽量かつ透明な樹脂から構成されているとともに、板状部材3gからトップカバー3の内部に収容部200が形成されていると示した。また、トップカバー3の上面3jは、平坦な面に形成されていると示した。
【0053】
また、収容部200に、ガスフィルタユニット70が出し入れ自在であるとし、ガスフィルタユニット70が収容部200に収容され、フィルタケース71に蓋体72が閉成された際、トップカバー3の上面3jと蓋体72の上面72jとが略同一平面となると示した。
【0054】
このことによれば、従来の構成のように、板状の樹脂から構成されたトップカバー3の外周部に金属枠を設けることなく、トップカバー3の強度を向上させることができることから、トップカバー3の軽量化を図ることができるとともに、従来、トップカバー3の上面3jに別体として設けていたガスフィルタユニット70を、収容部200に収容することができることから、収容部200を有効利用することができる他、トップカバー3の上面3jを平坦化することができる。即ち、上面3jの清掃性が向上する。
【0055】
以上から、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。
【0056】
尚、本実施の形態においては、収容部200にガスフィルタユニット70が出し入れ自在であると示したが、これに限らず、洗浄消毒槽4内に供給された消毒液の温度が低下するのを防止する断熱材が収容部200に設けられていても構わないということは勿論である。
【0057】
(第2実施の形態)
図6は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図7は、図6中のVII-VII線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0058】
この第2実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部に2つの空間を設けた点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
図6、図7に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に空間200a、200bを有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。尚、本実施の形態においても、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する部材であれば、透明な樹脂に限定されない。
【0060】
さらに、図6、図7に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の空間200bに対し出し入れ自在なガスフィルタユニット70が設けられている。即ち、空間200bは、ガスフィルタユニット70の収容部を構成している。よって、以下、空間200bは、収容部200bとして示す。
【0061】
また、図6、図7に示すように、トップカバー3の空間200aに、該空間200aに対して出し入れ自在な内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である洗浄チューブ110や、フィルタ本体73の予備フィルタ120等が出し入れ自在となっている。即ち、空間200aは、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材の収容ケースを構成している。よって、以下、空間200aを収容部200aとして示す。
【0062】
尚、収容部200aに収容される物は、洗浄チューブ110や予備フィルタ120に限定されず、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材であって、空間200aに収容可能なものであれば、何であっても構わない。また、収容部200aと収容部200bとは、板状部材3gにより連通していないことから、ガスGが、収容部200aに進入してしまうことがない。
【0063】
また、トップカバー3の上面3jには、収容部200aに対し、洗浄チューブ110や予備フィルタ120等を出し入れ自在とする開閉自在な蓋体80が設けられている。蓋体80の上面80jには、該蓋体80の開閉がしやすいよう、取手81が設けられており、蓋体80は、ユーザにより取手81が把持されて閉成された際、トップカバー3の上面3jと蓋体80の上面80jとが略同一平面となるように形成されている。
【0064】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の内部に、収容部200a、200bを設け、収容部200bに、ガスフィルタユニット70が収容されるとともに、収容部200aが洗浄消毒に用いる部材の収容ケースを構成していると示した。
【0065】
このことによれば、上述した第1実施の形態よりも、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200a、200bをより有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0066】
(第3実施の形態)
図8は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図9は、図8中のIX-IX線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0067】
この第3実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部の空間に洗剤ボトル、アルコールボトル、薬液ボトル、排出管路、吸引ポンプを設けた点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0068】
図8、図9に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に収容部200を有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。尚、本実施の形態においても、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する部材であれば、透明な樹脂に限定されない。
【0069】
さらに、図8、図9に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の収容部200に対し出し入れ自在な内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が設けられているとともに、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である排出管路95、吸引ポンプ96が設けられている。
【0070】
洗剤ボトル91には、洗浄剤が注入されており、消毒液ボトル92には、消毒液Mが注入されており、アルコールボトル93には、アルコールが注入されている。よって、洗剤ボトル91は、上述した第1実施の形態に示した洗剤タンク11a(図1参照)と同じ構成を有しており、消毒液ボトル92は、上述した第1実施の形態に示した薬液ボトル12a(図1参照)と同じ構成を有しており、アルコールボトル93は、上述した第1実施の形態に示したアルコールタンク11b(図1参照)と同じ構成を有している。
【0071】
また、各ボトル91〜93に、排出管路95の一端がそれぞれ接続されている。排出管路95の各他端は、トップカバー3を装置本体2に閉成した際、洗浄消毒槽4に対して対向するようトップカバー3の底面3tから開口されている。即ち、各ボトル91〜93に注入された各種液体は、後述する吸引ポンプ96の駆動により、排出管路95を介して、洗浄消毒槽4へ供給される。
【0072】
各排出管路95の中途位置に、各ボトル91〜93から、洗浄消毒槽4に各種液体を送液する用の吸引ポンプ96がそれぞれ設けられている。尚、排出管路95の中途位置には、吸引ポンプ96の代わりに、図示しない弁が設けられていても構わない。
【0073】
尚、排出管路95は、1本の管路から構成されていても構わない。この場合、排出管路95の中途位置に、吸引ポンプ96を設けるとともに、1本の管路から各ボトル91〜93へと分岐する管路にそれぞれ弁を設け、各弁による切り換えにより、各種液体をそれぞれ洗浄消毒槽4へ供給しても構わない。
【0074】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の内部の収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が出し入れ自在であると示した。
【0075】
このことによれば、各ボトル91〜93を装置本体2に設ける必要がなくなることから、装置本体2を小型化できる他、トップカバー3の内部に形成された収容部200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0076】
尚、以下、変形例を示す。本実施の形態においては、収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93、排出管路95、吸引ポンプ96が設けられていると示したが、これに加え、上述した第1実施の形態に示したガスフィルタユニット70が出し入れ自在であっても構わないし、上述した第2実施の形態に示した洗浄消毒に用いる部材の収容ケースが構成されていても構わないということは勿論である。
【0077】
また、本実施の形態においては、収容部200に、吸引ポンプ96が設けられていると示したが、これに限らず、吸引ポンプは、装置本体2に設けられているポンプを兼用しても構わない。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が設けられていると示したが、これに限らず、洗剤ボトル91と、消毒液ボトル92と、アルコールボトル93との少なくとも1つが設けられていても構わない。この場合、排出管路95、吸引ポンプ96は、少なくとも1つのボトルから液体を、洗浄消毒槽4に供給する。
【0079】
(第4実施の形態)
図10は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0080】
この第4実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部の空間が液体の収容部となっている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0081】
図10に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の内部の収容部200に、液体である水道水Sを供給する第1の管路142が設けられているとともに、収容部200から水道水Sを洗浄消毒槽4へ供給する第2の管路143が設けられている。
【0082】
第1の管路142の一端は、収容部200に開口されており、他端は、水道栓147に接続されている。尚、第1の管路142の中途位置に、給水弁145が設けられている。また、収容部200に、第2の管路143を開閉する弁146も設けられている。よって、本実施の形態においては、収容部200は、水道水Sの予備タンクとして機能する。
【0083】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の収容部200に水道水Sを供給すると示した。即ち、収容部200は、水道水Sの予備タンクとして機能すると示した。
【0084】
このことによれば、通常、洗浄消毒槽4は、例えば15〜18リットルを有しているため、洗浄消毒槽4に水道水を供給するのには時間がかかるが、本実施の形態によれば、水道水の供給を用いない工程、例えば洗浄液を用いた洗浄工程中や、消毒液に浸漬させる消毒工程中に、給水弁145を開成するとともに弁146を閉成して、水道栓147から収容部200に水道水Sを供給し、収容部200に水道水Sを蓄えておくことができる。
【0085】
よって、例えば消毒工程終了後、濯ぎのため、洗浄消毒槽4に水道水Sを供給する場合には、弁146を開成することにより、第2の管路143から収容部200に蓄えておいた水道水Sを供給することができることから、従来よりも洗浄消毒槽4への水道水の供給時間を短縮することができる。尚、このことは、洗浄消毒装置1を、水道栓147からの水道水Sの供給量が低い施設において使用する場合において特に有効である。
【0086】
以上より、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる
尚、本実施の形態においては、収容部200に、水道水Sを供給すると示したが、これに限らず、消毒液Mや、アルコール、洗浄液を供給してもよい。即ち、収容部200は、消毒液Mや、アルコール、洗浄液の予備タンクとして機能しても良いことは勿論である。
【0087】
また、本実施の形態においても、収容部200に、上述した第1実施の形態に示したガスフィルタユニット70が出し入れ自在であっても構わないし、上述した第2実施の形態に示した洗浄消毒に用いる部材の収容ケースが構成されていても構わないということは勿論である。
【0088】
また、以下、変形例を図11、図12を用いて示す。図11は、トップカバーの収容部から液体を洗浄消毒槽に排出してトップカバーを開成させた状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図、図12は、図11のトップカバーの収容部に液体を供給してトップカバーを閉成させる状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図である。
【0089】
本実施の形態においては、トップカバー3の内部の収容部200に、水道水Sを供給すると示した。このことを用いてトップカバー3の開閉を自動的に行っても構わない。
【0090】
具体的には、図11、図12に示すように、トップカバー3は、装置本体2に対し、蝶番141及びバネ140を介して開閉自在に接続されている。尚、バネ140は、常にトップカバー3を装置本体2に対して開成させるよう機能する。
【0091】
このような構成によれば、一方、トップカバー3を開成させる際は、図11に示すように、収容部200内の水道水Sを、第2の管路143から洗浄消毒槽4に排出するのみで、即ち、収容部200を空の状態にするのみで、バネ140により、トップカバー3は開成する。
【0092】
他方、トップカバー3を閉成させる際は、図12に示すように、第1の管路142を介して装置本体2に水道水Sを供給するのみで、水道水Sの自重により、バネ140の作用に反してトップカバー3は閉成する。
【0093】
よって、収容部200内の水道水Sの有無により、トップカバー3の開閉を自動的に行う構成を提供することができる。このことから、通常、洗浄消毒装置1においては、トップカバー3の開成は、ユーザの踏み込み操作によるペダルスイッチ14により行い、閉成は、ユーザの手により行っていることにより、閉成の際は、手袋に付着した汚れがトップカバー3に付着することがないよう、手袋を脱いで行っていたが、本構成によれば、収容部200への水道水Sの供給により閉成を行うことができることから、トップカバー3の閉成を容易に行うことができる。
【0094】
尚、本構成においても、水道水Sに限らず、他の液体、例えば洗浄液、消毒液M、アルコールであっても同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、上述した第1〜第4実施の形態においては、被洗浄消毒物は、内視鏡を例に挙げて示したが、内視鏡以外のものであっても構わないということは勿論である。
【0096】
ところで、通常、洗浄消毒装置においては、図1、図2に示すように、トップカバー3は、装置本体2に対して、操作者近接位置4k(図2参照)に対向する側に設けられた図示しない蝶番、バネを介して、操作者近接位置4k側に位置するユーザ対して、開成の際、トップカバー3の底面3tが対向するよう開閉する(以下、縦方向Qに開閉すると称す)構成を有している。
【0097】
しかしながら、縦方向Qのみに開閉する構成では、トップカバー3の開閉方向によって、洗浄消毒装置の配置方向が制限されるため、洗浄消毒装置を配置する部屋の形状によっては、洗浄消毒装置に対する作業性が低下してしまうといった問題があった。以下、このような問題を解決する構成を図13に示す。図13は、トップカバーの開閉方向を図1、図2とは異なる方向とした構成を概略的に示す部分斜視図である。
【0098】
図13に示すように、トップカバー3を、縦方向Qの開閉のみならず、操作者近接側4kと該近接側4kに対向する側(以下、離間側と称す)4tとを結ぶ方向に垂直な操作者近接側4kからみた左側4lと右側4rとを結ぶ方向に、既知の構成を用いて開閉自在(以下、横方向Rの開閉と称す)としても構わない。
【0099】
このような構成によれば、トップカバー3は、縦方向Qのみならず、横方向Rにも開閉することができることから、洗浄消毒装置の配置位置が制限されなくなり、洗浄消毒装置に対する作業性が向上する。
【0100】
ところで、一般に、内視鏡100を用いる検査室においては、内視鏡100を用いて各種検査や処置を行う検査領域と、洗浄消毒後の内視鏡100の外表面の水滴を拭き取ったり保管したりする清潔領域との間位置に、洗浄消毒装置を載置するのが一般的である。これは、処置等に使用中の内視鏡100を清潔領域に載置してしまうことを防止するためである。
【0101】
しかしながら、トップカバー3は、一般に、上述した縦方向Qにおいて、一方向にしか開閉しないことから、トップカバー3の上面に設けられた取手を用いてトップカバー3の開閉を行う際、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合と、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合とで、ユーザは同じ取手を把持しなくてはならないといった問題があった。
【0102】
よって、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合は、ユーザは、取手に汚れが付着することがないよう、手袋を外す必要があり、大変煩雑であるといった問題があった。よって、使い勝手の良い洗浄消毒装置が望まれていた。
【0103】
以下、このような問題を解決できる構成を、図14に示す。図14は、トップカバーを縦方向において両開きにした構成を示す図である。
【0104】
図14に示すように、洗浄消毒装置1は、検査領域Dと、清潔領域Cとの間の位置において、例えば操作者近接側4kが検査領域Dを指向するとともに、離間側4tが清潔領域Cを指向するように設けられている。
【0105】
尚、検査領域Dには、内視鏡100を用いて検査を行う用の検査台151が設けられており、清潔領域Cには、洗浄消毒後の内視鏡100が載置される拭き取り台152が設けられている。
【0106】
また、トップカバー3の上面3jにおいて、操作者近接側4kの端部に取手103が設けられており、離間側4tの端部に取手104が設けられている。また、トップカバー3は、縦方向Qにおいて、検査領域D側からでも清潔領域C側からでも、開成の際にトップカバー3の底面3tをユーザが見ることができるように、両方向に、既知の構成により開閉自在となっている。
【0107】
このような構成によれば、ユーザは、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合は、検査領域D側から取手103を把持してトップカバー3を開閉させ、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合は、清潔領域C側から取手104を把持してトップカバー3を開閉させることから、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合と、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合とで、ユーザは同じ取手を把持しなくて良くなる。以上から、使い勝手の良い洗浄消毒装置1を提供することができる。
【0108】
ところで、従来、トップカバー3が1枚の透明な樹脂等から平板状に形成されている場合においては、トップカバー3の閉成後、洗浄消毒装置に設けられた、例えば既知の洗浄ブラシ自動挿入装置や液体供給装置を用いて内視鏡管路の洗浄消毒を自動的に行う際、内視鏡の挿入部の先端まで洗浄ブラシのブラシ部が突出しているかを、ユーザはトップカバーを介して目視で確認することにより、処置具挿通用管路全体が確実に擦り洗いされたかを確認することができる。
【0109】
さらに、内視鏡管路の口金に液体供給装置の供給ノズルが確実に装着されているかをユーザはトップカバーを介して目視で確認することにより、内視鏡管路に洗浄液、消毒液、濯ぎ水、アルコールが確実に供給されていることを確認することができる。
【0110】
しかしながら、上述した第1〜第4実施の形態に示したように、トップカバー3の内部に収容部200を設けると、トップカバーを構成する透明な板状部材3gは積層されてしまうことから透明度が下がるため、トップカバー3を装置本体2に対して閉成した際、ユーザは、トップカバー3を介して、洗浄消毒槽4内を目視し難くなってしまうといった問題があった。
【0111】
よって、この場合、洗浄消毒槽4内を確認するには、ユーザは、トップカバー3を開成させたり、トップカバー3に目を近付けて、確認部位を確認したりしなければならず、大変煩雑であるといった問題があった。
【0112】
以下、このような問題を解決する構成を、図15〜図17に示す。図15は、トップカバーの底面に光源を設けた例を概略的に示す洗浄消毒装置の斜視図、図16は、トップカバーの底面における内視鏡挿入部先端側及び内視鏡管路の口金に対向する位置に、光源及びカメラを設けた例を概略的に示す図、図17は、挿入部先端側から洗浄ブラシのブラシ部を突出させた状態におけるカメラ画像と比較画像とを対比して示す図である。
【0113】
図15に示すように、トップカバー3の底面3tに、例えばLEDから構成された光源160が設けられていても構わない。このことによれば、通常、トップカバー3開成の際は、開成後のトップカバー3が影となってしまい、洗浄消毒槽4内が暗くなって見難くなってしまうが、光源160から照明光を照射することにより、トップカバー3開成の際においても、洗浄消毒槽4内を確実に観察することができる。
【0114】
また、トップカバー3閉成の際も、例えば、内視鏡100の挿入部の先端部や口金が設けられた部位を、光源160は照明することから、ユーザは、トップカバー3を介した注目部位の目視観察が行いやすくなる。
【0115】
さらに、図16に示すように、トップカバー3の底面3tにおいて、洗浄消毒槽4に内視鏡100をセットし、トップカバー3を閉成した際、内視鏡挿入部先端側100sに対向する位置167、及び内視鏡管路の口金165に対向する位置168に、カメラ171及び光源172を設けても良い。
【0116】
このことによれば、光源172により照明され、カメラ171により撮像された内視鏡挿入部先端側100sの画像及び内視鏡口金165の画像を、トップカバー3を介して目視しなくともモニタ等からユーザは確認することができることから、洗浄ブラシのブラシ部180が挿入部先端側100sから突出しているか、または口金165に供給ノズルが確実に装着されているかを、より確実に観察しやすくなる。
【0117】
尚、この場合、ブラシ部180が、挿入部の先端側100sから突出したことをカメラ171が撮像した場合には、装置本体2から音や光を発生することにより、ユーザにモニタを観察するよう警告する構成を装置本体2は有していても構わない。
【0118】
また、装置本体2は、カメラ171で撮像した画像を、LAN等を用いて外部装置に転送する機能を有していても構わない。このことによれば、ユーザは、洗浄消毒装置1が載置されている場所とは別の場所にいたとしても、観察画像を確認することができる。
【0119】
さらに、装置本体2は、カメラ171で撮像した画像を録画する機能を有していても構わない。この場合録画した画像を用いて、ユーザは、洗浄消毒履歴の管理を行うことができる。尚、カメラ171を用いて録画する画像は、静止画であっても動画であってもどちらでも構わない。
【0120】
また、装置本体2は、内部に有する図示しないメモリに、挿入部の先端側100sから汚れが付着していない状態における洗浄ブラシのブラシ部180を突出させた状態の画像を比較画像197として記憶しておき、現在撮影中の挿入部の先端側100sからブラシ部180を突出させたカメラ画像198と比較画像197とを装置本体2が具備する制御部が比較することにより、カメラ画像198においてブラシ部180に汚れ185が付着していないか否かを判定し、汚れ185が付着している場合には、再度、処置具挿通管路に対する洗浄ブラシを用いた擦り洗いを行うよう制御しても構わない。
【0121】
また、カメラ171に限らず、図16に示すように、トップカバー3の上述した位置167、168に、レンズ170を設けても構わない。尚、レンズ170は、例えば該当部位の樹脂材をトップカバー3の厚さ方向に厚く形成することにより形成される。このことによれば、洗浄消毒槽4内の注目部位を、ユーザは、トップカバー3を介した目視の際、レンズ170を用いて拡大観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第1実施の形態を示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図2】図1のトップカバーが開放され、洗浄消毒槽に内視鏡が収納自在な状態を示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図3】図1のトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図4】図3のトップカバーの内部の収容部に出し入れ自在なガスフィルタユニットを拡大して示す斜視図。
【図5】図3中のV-V線に沿うトップカバーの断面図。
【図6】第2実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図7】図6中のVII-VII線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図8】第3実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図9】図8中のIX-IX線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図10】第4実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図11】トップカバーの収容部から液体を洗浄消毒槽に排出してトップカバーを開成させた状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図。
【図12】図11のトップカバーの収容部に液体を供給してトップカバーを閉成させる状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図。
【図13】トップカバーの開閉方向を図1、図2とは異なる方向とした構成を概略的に示す部分斜視図。
【図14】トップカバーを縦方向において両開きにした構成を示す図。
【図15】トップカバーの底面に光源を設けた例を概略的に示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図16】トップカバーの底面における内視鏡挿入部先端側及び内視鏡管路の口金に対向する位置に、光源及びカメラを設けた例を概略的に示す図。
【図17】挿入部先端側から洗浄ブラシのブラシ部を突出させた状態におけるカメラ画像と比較画像とを対比して示す図。
【符号の説明】
【0123】
1…洗浄消毒装置(内視鏡洗浄消毒装置)
2…装置本体
3…トップカバー(蓋体)
4…洗浄消毒槽
4s…収容口
70…ガスフィルタユニット
91…洗剤ボトル
92…消毒液ボトル
93…アルコールボトル
95…排出管路
96…吸引ポンプ
100…内視鏡(被洗浄消毒物)
142…第1の管路
143…第2の管路
200…収容部(空間)
200a…収容部(空間)
200b…収容部(空間)
G…ガス
M…消毒液
S…水道水(液体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて内視鏡が具備する処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
医療分野の内視鏡は、特に検査及び治療を目的として体腔内に挿入されて使用されるものであるため、使用後、再度使用するためには洗浄消毒が必要となる。この使用済みの内視鏡を洗浄消毒する方法としては、例えば、内視鏡洗浄消毒装置(以下、単に洗浄消毒装置と称す)を用いて行う方法が周知である。
【0004】
洗浄消毒装置を用いれば、内視鏡は、洗浄消毒装置の洗浄消毒槽内にセットされるのみで、内視鏡に対して、自動的に、洗浄、消毒、濯ぎ及び水切り等(以下、洗浄消毒工程と称す)を行うことができる。この際、内視鏡は、該内視鏡の外表面のみならず、内視鏡が内部に有する既知の送気送水管路、処置具挿通管路等の内視鏡管路内も洗浄消毒される。尚、洗浄消毒装置は、内視鏡のみならず、処置具や他の医療器具等も洗浄消毒することができる。以下、洗浄消毒装置を用いて洗浄消毒するものを、被洗浄消毒物と称す。
【0005】
ところで、使用済みの被洗浄消毒物を、洗浄消毒装置を用いて洗浄消毒する際、ユーザは、装置本体に対して開閉自在な蓋体であるトップカバーを開成することにより、洗浄消毒槽に被洗浄消毒物をセットし、その後、トップカバーを閉成した後、操作パネルから洗浄消毒工程の開始の指示を入力する。このことにより、洗浄消毒工程は開始される。
【0006】
また、洗浄消毒工程終了後は、ユーザは、トップカバーを開成することにより、洗浄消毒槽から洗浄消毒済みの被洗浄消毒物を取り出し、被洗浄消毒物の外表面を拭き取った後、洗浄消毒済みの被洗浄消毒物を、所定に保管する。
【0007】
ここで、トップカバーは、軽量化するとともに、装置本体に対して閉成後も、洗浄消毒槽内の様子が観察できるように、1枚の透明な樹脂等から平板状に形成されているのが一般的である。
【0008】
しかしながら、トップカバーが1枚の樹脂から平板状に形成されていると、耐衝撃性が低く、トップカバーが外的要因により割れやすいといった問題があった。
【0009】
このような問題に鑑み、特許文献1には、トップカバーの外周縁部に、例えば金属から構成された枠を設けることにより、トップカバーの強度を向上させた洗浄消毒装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献1に開示された洗浄消毒装置においては、トップカバーの上面に、例えば消毒工程中に消毒液から蒸気化した洗浄消毒槽中のガスの臭気を取り除いて洗浄消毒装置外に排出するガスフィルタがトップカバーとは別体に設けられた構成も開示されている。このことにより、ユーザは、消毒液から蒸気化したガスの臭気を気にすることなく、洗浄消毒工程を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−296857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1に開示されたように、トップカバーの外周縁部に金属枠を設けると、トップカバーが重くなってしまうため、装置本体に対してトップカバーを開閉自在とする蝶番やバネ等に、強度が従来よりも強いものを用いなくてはならず、洗浄消毒装置製造上のコストが増加してしまうといった問題があった。
【0012】
また、このような問題に鑑み、トップカバーの外周縁部に金属以外の軽量な枠体を設ける構成も考えられるが、枠体によりトップカバーの上面に凹凸が形成されてしまうことから、使用後のトップカバーの上面に対して清掃し難いといった問題があった。
【0013】
さらに、特許文献1に開示された構成においては、ガスフィルタがトップカバーの上面に別体に設けられているため、より、トップカバーの上面に凹凸が形成されてしまい、トップカバーの上面が清掃し難いといった問題があった。
【0014】
このような問題に鑑み、枠体を用いずにトップカバーを内部に空間を有するよう2枚の平板状の樹脂から形成することにより、トップカバーを重くすることなくトップカバーの強度向上を図るとともに、ガスフィルタをトップカバーの上面以外の位置に設けることにより、トップカバー上面を平坦化する構成も周知ではある。しかしながら、この場合、トップカバー内の空間が無駄なスペースとなってしまうことから、該空間を有効利用できる構成が望まれていた。
【0015】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トップカバーの内部に形成された空間を有効利用できる構成を具備する内視鏡洗浄消毒装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明による内視鏡洗浄消毒装置は、被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置であって、装置本体に設けられた前記被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、前記装置本体に対し開閉自在なことにより、前記洗浄消毒槽の前記被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体と、を具備し、前記空間は、前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トップカバーの内部に形成された空間を有効利用できる構成を具備する内視鏡洗浄消毒装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において、被洗浄消毒物は、内視鏡を例に挙げて説明する。
【0019】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す洗浄消毒装置の斜視図、図2は、図1のトップカバーが開放され、洗浄消毒槽に内視鏡が収納自在な状態を示す洗浄消毒装置の斜視図である。
【0020】
同図に示すように、洗浄消毒装置1は、使用済みの内視鏡100を洗浄消毒する装置であり、装置本体2と、その上部に、例えば図示しない蝶番及びバネを介して開閉自在な蓋体であるトップカバー3とにより主要部が構成されている。尚、トップカバー3は、装置本体2が具備する洗浄消毒槽4の被洗浄消毒物の収容口4sを開閉自在である。
【0021】
図1に示すように、トップカバー3が、装置本体2に閉じられている状態では、装置本体2とトップカバー3とは、装置本体2及びトップカバー3の互いに対向する位置に配設された、例えばラッチ8により固定される構成となっている。
【0022】
尚、図1に示すように、トップカバー3を装置本体2に対し閉成した際、トップカバー3と装置本体2とは、トップカバー3の底面3tにおいて、平面視した状態で周状に設けられたシール部材60により、水密が保持されるようになっている。尚、トップカバー3の詳しい構成は、後述する。
【0023】
装置本体2の操作者が近接する図中前面(以下、前面と称す)であって、例えば左半部の上部に、洗剤/アルコールトレー11が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。
【0024】
洗剤/アルコールトレー11には、内視鏡100を洗浄する際に用いられる液体である洗浄剤が貯留された洗剤タンク11aと、洗浄消毒後の内視鏡100を乾燥する際に用いられる液体であるアルコールが貯留されたアルコールタンク11bとが収納されており、洗剤/アルコールトレー11が引き出し自在なことにより、各タンク11a、11bに、所定に液体が補充できるようになっている。
【0025】
尚、洗剤/アルコールトレー11には、2つの窓部11mが設けられており、該窓部11mにより、各タンク11a、11bに注入されている洗浄剤及びアルコールの残量が操作者によって確認できるようになっている。この洗浄剤は、図示しない給水フィルタにより濾過処理がされた水道水により所定の濃度に希釈される濃縮洗剤である。本実施の形態では、以下の説明において、前記洗浄剤と前記水道水との混合液を洗浄液と称す。
【0026】
また、装置本体2の前面であって、例えば右半部の上部に、カセットトレー12が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。カセットトレー12には、内視鏡100を消毒する際に用いる、例えば過酢酸等の消毒液が注入された薬液ボトル12aが収納されており、カセットトレー12が、引き出し自在なことにより、薬液ボトル12aを所定にセットできるようになっている。
【0027】
さらに、装置本体2の前面であって、カセットトレー12の上部に、洗浄消毒時間の表示や、図示しない消毒液タンク内の消毒液を、図示しないヒータによって加温するための指示釦等が配設されたサブ操作パネル13が配設されている。
【0028】
また、装置本体2の図中前面の下部に、装置本体2の上部に閉じられているトップカバー3を、操作者の踏み込み操作により、図2に示すように、装置本体2の上方に開くためのペダルスイッチ14が配設されている。
【0029】
また、図2に示すように、装置本体2の上面の、例えば操作者が近接する前面側の一端寄りに、装置本体2の洗浄、消毒動作スタートスイッチ、及び洗浄、消毒モード選択スイッチ等の設定スイッチ類が配設されたメイン操作パネル25が設けられている。
【0030】
また、装置本体2の上面であって、操作者が近接する前面に対向する背面側に、装置本体2に水道水を供給するための、水道蛇口に接続された給水ホース(いずれも図示されず)が接続される給水ホース接続口31が配設されている。尚、給水ホース接続口31に、水道水を濾過するメッシュフィルタが配設されていてもよい。
【0031】
さらに、装置本体2の上面の略中央部に、内視鏡収容口4sをトップカバー3によって開閉される、内視鏡100が収納自在な洗浄消毒槽4が設けられている。洗浄消毒槽4は、槽本体50と該槽本体50の内視鏡収納口の外周縁に連続して周設されたテラス部51とにより構成されている。
【0032】
槽本体50は、使用後の内視鏡100が洗浄消毒される際、該内視鏡100が収納自在であり、槽本体50の槽内の面である底面50tには、槽本体50に供給された洗浄液、水、アルコール、消毒液等を槽本体50から排水するとともに、後述する給水循環ノズル24から槽本体50に再度上記液体を供給するための第1の排水口55が設けられている。
【0033】
また、槽本体50の槽内の面である周状の側面50sの任意の位置に、循環口56が設けられている。循環口56から排出された槽本体50に供給された洗浄液、水、消毒液等は、図示しない接続チューブを介して内視鏡100の内部に具備された各管路に供給される。尚、循環口56には、洗浄液等を濾過するメッシュフィルタが設けられていても良い。
【0034】
尚、上述した循環口56は、槽本体50の底面50tに設けられていてもよい。循環口56が槽本体50の底面50tに設けられていれば、内視鏡100の各管路への、洗浄液、水、消毒液等の供給タイミングを早めることができる。さらに、ユーザが循環口56に設けられたメッシュフィルタ等を交換するに際し、底面に設けられていると、操作者がアプローチしやすくなるといった利点がある。
【0035】
洗浄消毒槽4の槽本体50には、さらに、図示しない超音波振動子や温度センサが配設されており、槽本体50の底面50tの略中央部に、洗浄ケース6が配設されている。この超音波振動子は、洗浄消毒槽4に貯留される洗浄水、或いは水道水に振動を与えて、内視鏡100の外表面を超音波洗浄、或いは濯ぐものである。また、温度センサは、洗浄消毒槽4に供給された消毒液の温度を検出するものである。
【0036】
洗浄ケース6には、内視鏡100の各スコープスイッチ等のボタン類等、内視鏡100に併設されている取り外し可能な部品が収容される。その結果、各ボタン類及び取り外した部品は、内視鏡100と一緒に洗浄、消毒される。
【0037】
槽本体50の側面50sの任意の位置に、槽本体50に供給された洗浄液、水、消毒液等の水位を検出するカバー付き水位センサ32が設けられている。
テラス部51のテラス面51t以外の面、即ち槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、洗剤タンク11aから、図示しない洗剤用ポンプにより、水道水により所定の濃度に希釈された洗浄剤を供給するための洗剤ノズル22及び、図示しない消毒液タンクから、図示しない供給用ポンプにより、消毒液を供給するための消毒液ノズル23が配設されている。
【0038】
さらに、テラス部51の槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、給水するための、または槽本体50の第1の排水口55から排出した洗浄液、水、消毒液等を、再度槽本体50に供給するための給水循環ノズル24が配設されている。尚、洗剤ノズル22、消毒液ノズル23及び給水循環ノズル24は、テラス面51tに配設されていても良い。
【0039】
また、テラス部51のテラス面51tの操作者近接位置4kに対向する側の面51fに、内視鏡100の内部に具備された内視鏡管路に、洗浄液、水、アルコール、消毒液、またはエア等を供給するための複数、ここでは2つの送気送水/鉗子口用ポート33と、鉗子起上用ポート34と、漏水検知用ポート35とが配設されている。
【0040】
次に、トップカバー3の構成について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、図1のトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図4は、図3のトップカバーの内部の収容部に出し入れ自在なガスフィルタユニットを拡大して示す斜視図、図5は、図3中のV-V線に沿うトップカバーの断面図である。
【0041】
図5に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に空間200を有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。
【0042】
尚、トップカバー3の内部に空間200が形成したのは、トップカバー3を耐衝撃性が弱く軽い樹脂から構成したとしてもトップカバー3の強度を向上させるためである。尚、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する透明部材であれば、樹脂に限定されない。また、透明部材でなくともよい。
【0043】
また、トップカバー3の底面3tに、空間200に連通する開口3kが形成されており、該開口3kに、液体を通過させずに気体を通過させる、例えばゴアテックス(登録商標)等の気体通過部材65が設けられている。この気体通過部材65により、トップカバー3を装置本体2に対して閉成して洗浄消毒工程を行った際、洗浄消毒槽4内の液体が空間200に進入してしまうことがない。また、トップカバー3の底面3tに、上述したシール部材60が平面視した状態で周状に形成されている。
【0044】
さらに、図3、図5に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の空間200に対し出し入れ自在なガスフィルタであるガスフィルタユニット70が設けられている。即ち、空間200は、ガスフィルタユニット70の収容部を構成している。よって、以下、空間200は、収容部200として示す。
【0045】
ガスフィルタユニット70は、本実施の形態における内視鏡の洗浄消毒に用いる部材であり、洗浄消毒工程中に、例えば消毒液から蒸気化した洗浄消毒槽4中の気体通過部材65を介して収容部200に進入してきたガスG中の臭気を取り除いて洗浄消毒装置1外に排出するものである。
【0046】
ガスフィルタユニット70は、図4に示すように、フィルタケース71と、該フィルタケース71に収容自在な、例えば活性炭がスポンジの中に設けられることにより構成されたフィルタ本体73と、蓋体72とにより主要部が構成されている。
【0047】
ガスフィルタユニット70は、収容部200に収容された際、トップカバー3の上面3jと蓋体72の上面72jとが略同一平面となるように収容される。即ち、収容部200内にガスフィルタユニット70を収容した際、ガスフィルタユニット70は、トップカバー3と一体的に設けられる。
【0048】
フィルタケース71は、フィルタ本体73を保持するものであり、側面に、内部にガスGを取り入れる用の図示しない孔が形成されている。また、フィルタ本体73は、収容部200に進入してきたガスG中の臭気を取り除くものであり、蓋体72は、フィルタケース71に対して開閉自在なものである。
【0049】
尚、通常、フィルタ本体73を交換する際は、フィルタユニット70を収容部200から取り出した後、蓋体72を開成して行うが、収容部200にフィルタユニット70が収容された状態においても、蓋体72を開成することにより、フィルタ本体73を容易に交換することができる。
【0050】
また、蓋体72に、複数の貫通孔72hが形成されている。貫通孔72hは、図1に示すようにフィルタケース71に対して蓋体72が閉成されている際、図5に示すように、フィルタ本体73によって臭気が取り除かれたガスGを、洗浄消毒装置1外に排出するものである。
【0051】
このようなトップカバー3の構成によれば、装置本体2に対しトップカバー3を閉成して洗浄消毒工程、特に消毒工程を行っている際、洗浄消毒槽4中の消毒液から蒸気化したガスGは、図5に示すように、気体通過部材65を介して、収容部200に進入した後、フィルタケース71に形成された孔を介してフィルタ本体73に進入し、該フィルタ本体73によって、臭気が取り除かれた後、蓋体72の貫通孔72hから、洗浄消毒装置1外に排出される。
【0052】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の板状部材3gは、軽量かつ透明な樹脂から構成されているとともに、板状部材3gからトップカバー3の内部に収容部200が形成されていると示した。また、トップカバー3の上面3jは、平坦な面に形成されていると示した。
【0053】
また、収容部200に、ガスフィルタユニット70が出し入れ自在であるとし、ガスフィルタユニット70が収容部200に収容され、フィルタケース71に蓋体72が閉成された際、トップカバー3の上面3jと蓋体72の上面72jとが略同一平面となると示した。
【0054】
このことによれば、従来の構成のように、板状の樹脂から構成されたトップカバー3の外周部に金属枠を設けることなく、トップカバー3の強度を向上させることができることから、トップカバー3の軽量化を図ることができるとともに、従来、トップカバー3の上面3jに別体として設けていたガスフィルタユニット70を、収容部200に収容することができることから、収容部200を有効利用することができる他、トップカバー3の上面3jを平坦化することができる。即ち、上面3jの清掃性が向上する。
【0055】
以上から、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。
【0056】
尚、本実施の形態においては、収容部200にガスフィルタユニット70が出し入れ自在であると示したが、これに限らず、洗浄消毒槽4内に供給された消毒液の温度が低下するのを防止する断熱材が収容部200に設けられていても構わないということは勿論である。
【0057】
(第2実施の形態)
図6は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図7は、図6中のVII-VII線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0058】
この第2実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部に2つの空間を設けた点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
図6、図7に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に空間200a、200bを有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。尚、本実施の形態においても、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する部材であれば、透明な樹脂に限定されない。
【0060】
さらに、図6、図7に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の空間200bに対し出し入れ自在なガスフィルタユニット70が設けられている。即ち、空間200bは、ガスフィルタユニット70の収容部を構成している。よって、以下、空間200bは、収容部200bとして示す。
【0061】
また、図6、図7に示すように、トップカバー3の空間200aに、該空間200aに対して出し入れ自在な内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である洗浄チューブ110や、フィルタ本体73の予備フィルタ120等が出し入れ自在となっている。即ち、空間200aは、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材の収容ケースを構成している。よって、以下、空間200aを収容部200aとして示す。
【0062】
尚、収容部200aに収容される物は、洗浄チューブ110や予備フィルタ120に限定されず、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材であって、空間200aに収容可能なものであれば、何であっても構わない。また、収容部200aと収容部200bとは、板状部材3gにより連通していないことから、ガスGが、収容部200aに進入してしまうことがない。
【0063】
また、トップカバー3の上面3jには、収容部200aに対し、洗浄チューブ110や予備フィルタ120等を出し入れ自在とする開閉自在な蓋体80が設けられている。蓋体80の上面80jには、該蓋体80の開閉がしやすいよう、取手81が設けられており、蓋体80は、ユーザにより取手81が把持されて閉成された際、トップカバー3の上面3jと蓋体80の上面80jとが略同一平面となるように形成されている。
【0064】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の内部に、収容部200a、200bを設け、収容部200bに、ガスフィルタユニット70が収容されるとともに、収容部200aが洗浄消毒に用いる部材の収容ケースを構成していると示した。
【0065】
このことによれば、上述した第1実施の形態よりも、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200a、200bをより有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0066】
(第3実施の形態)
図8は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図、図9は、図8中のIX-IX線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0067】
この第3実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部の空間に洗剤ボトル、アルコールボトル、薬液ボトル、排出管路、吸引ポンプを設けた点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0068】
図8、図9に示すように、トップカバー3は、例えば透明な耐薬品性を有する樹脂から構成された複数の板状部材3gから、内部に収容部200を有するとともに、上面3jが平坦な面となるように形成されている。尚、本実施の形態においても、トップカバー3を構成する板状部材3gは、軽量かつ耐薬品性を有する部材であれば、透明な樹脂に限定されない。
【0069】
さらに、図8、図9に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の収容部200に対し出し入れ自在な内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が設けられているとともに、内視鏡の洗浄消毒に用いる部材である排出管路95、吸引ポンプ96が設けられている。
【0070】
洗剤ボトル91には、洗浄剤が注入されており、消毒液ボトル92には、消毒液Mが注入されており、アルコールボトル93には、アルコールが注入されている。よって、洗剤ボトル91は、上述した第1実施の形態に示した洗剤タンク11a(図1参照)と同じ構成を有しており、消毒液ボトル92は、上述した第1実施の形態に示した薬液ボトル12a(図1参照)と同じ構成を有しており、アルコールボトル93は、上述した第1実施の形態に示したアルコールタンク11b(図1参照)と同じ構成を有している。
【0071】
また、各ボトル91〜93に、排出管路95の一端がそれぞれ接続されている。排出管路95の各他端は、トップカバー3を装置本体2に閉成した際、洗浄消毒槽4に対して対向するようトップカバー3の底面3tから開口されている。即ち、各ボトル91〜93に注入された各種液体は、後述する吸引ポンプ96の駆動により、排出管路95を介して、洗浄消毒槽4へ供給される。
【0072】
各排出管路95の中途位置に、各ボトル91〜93から、洗浄消毒槽4に各種液体を送液する用の吸引ポンプ96がそれぞれ設けられている。尚、排出管路95の中途位置には、吸引ポンプ96の代わりに、図示しない弁が設けられていても構わない。
【0073】
尚、排出管路95は、1本の管路から構成されていても構わない。この場合、排出管路95の中途位置に、吸引ポンプ96を設けるとともに、1本の管路から各ボトル91〜93へと分岐する管路にそれぞれ弁を設け、各弁による切り換えにより、各種液体をそれぞれ洗浄消毒槽4へ供給しても構わない。
【0074】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の内部の収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が出し入れ自在であると示した。
【0075】
このことによれば、各ボトル91〜93を装置本体2に設ける必要がなくなることから、装置本体2を小型化できる他、トップカバー3の内部に形成された収容部200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0076】
尚、以下、変形例を示す。本実施の形態においては、収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93、排出管路95、吸引ポンプ96が設けられていると示したが、これに加え、上述した第1実施の形態に示したガスフィルタユニット70が出し入れ自在であっても構わないし、上述した第2実施の形態に示した洗浄消毒に用いる部材の収容ケースが構成されていても構わないということは勿論である。
【0077】
また、本実施の形態においては、収容部200に、吸引ポンプ96が設けられていると示したが、これに限らず、吸引ポンプは、装置本体2に設けられているポンプを兼用しても構わない。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、収容部200に、洗剤ボトル91、消毒液ボトル92、アルコールボトル93が設けられていると示したが、これに限らず、洗剤ボトル91と、消毒液ボトル92と、アルコールボトル93との少なくとも1つが設けられていても構わない。この場合、排出管路95、吸引ポンプ96は、少なくとも1つのボトルから液体を、洗浄消毒槽4に供給する。
【0079】
(第4実施の形態)
図10は、本実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバー及び装置本体の一部の断面図である。
【0080】
この第4実施の形態の洗浄消毒装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の洗浄消毒装置と比して、トップカバー3の内部の空間が液体の収容部となっている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0081】
図10に示すように、トップカバー3に、該トップカバー3の内部の収容部200に、液体である水道水Sを供給する第1の管路142が設けられているとともに、収容部200から水道水Sを洗浄消毒槽4へ供給する第2の管路143が設けられている。
【0082】
第1の管路142の一端は、収容部200に開口されており、他端は、水道栓147に接続されている。尚、第1の管路142の中途位置に、給水弁145が設けられている。また、収容部200に、第2の管路143を開閉する弁146も設けられている。よって、本実施の形態においては、収容部200は、水道水Sの予備タンクとして機能する。
【0083】
このように、本実施の形態においては、トップカバー3の収容部200に水道水Sを供給すると示した。即ち、収容部200は、水道水Sの予備タンクとして機能すると示した。
【0084】
このことによれば、通常、洗浄消毒槽4は、例えば15〜18リットルを有しているため、洗浄消毒槽4に水道水を供給するのには時間がかかるが、本実施の形態によれば、水道水の供給を用いない工程、例えば洗浄液を用いた洗浄工程中や、消毒液に浸漬させる消毒工程中に、給水弁145を開成するとともに弁146を閉成して、水道栓147から収容部200に水道水Sを供給し、収容部200に水道水Sを蓄えておくことができる。
【0085】
よって、例えば消毒工程終了後、濯ぎのため、洗浄消毒槽4に水道水Sを供給する場合には、弁146を開成することにより、第2の管路143から収容部200に蓄えておいた水道水Sを供給することができることから、従来よりも洗浄消毒槽4への水道水の供給時間を短縮することができる。尚、このことは、洗浄消毒装置1を、水道栓147からの水道水Sの供給量が低い施設において使用する場合において特に有効である。
【0086】
以上より、トップカバー3の内部に形成された収容部となる空間200を有効利用できる構成を具備する洗浄消毒装置1を提供することができる
尚、本実施の形態においては、収容部200に、水道水Sを供給すると示したが、これに限らず、消毒液Mや、アルコール、洗浄液を供給してもよい。即ち、収容部200は、消毒液Mや、アルコール、洗浄液の予備タンクとして機能しても良いことは勿論である。
【0087】
また、本実施の形態においても、収容部200に、上述した第1実施の形態に示したガスフィルタユニット70が出し入れ自在であっても構わないし、上述した第2実施の形態に示した洗浄消毒に用いる部材の収容ケースが構成されていても構わないということは勿論である。
【0088】
また、以下、変形例を図11、図12を用いて示す。図11は、トップカバーの収容部から液体を洗浄消毒槽に排出してトップカバーを開成させた状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図、図12は、図11のトップカバーの収容部に液体を供給してトップカバーを閉成させる状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図である。
【0089】
本実施の形態においては、トップカバー3の内部の収容部200に、水道水Sを供給すると示した。このことを用いてトップカバー3の開閉を自動的に行っても構わない。
【0090】
具体的には、図11、図12に示すように、トップカバー3は、装置本体2に対し、蝶番141及びバネ140を介して開閉自在に接続されている。尚、バネ140は、常にトップカバー3を装置本体2に対して開成させるよう機能する。
【0091】
このような構成によれば、一方、トップカバー3を開成させる際は、図11に示すように、収容部200内の水道水Sを、第2の管路143から洗浄消毒槽4に排出するのみで、即ち、収容部200を空の状態にするのみで、バネ140により、トップカバー3は開成する。
【0092】
他方、トップカバー3を閉成させる際は、図12に示すように、第1の管路142を介して装置本体2に水道水Sを供給するのみで、水道水Sの自重により、バネ140の作用に反してトップカバー3は閉成する。
【0093】
よって、収容部200内の水道水Sの有無により、トップカバー3の開閉を自動的に行う構成を提供することができる。このことから、通常、洗浄消毒装置1においては、トップカバー3の開成は、ユーザの踏み込み操作によるペダルスイッチ14により行い、閉成は、ユーザの手により行っていることにより、閉成の際は、手袋に付着した汚れがトップカバー3に付着することがないよう、手袋を脱いで行っていたが、本構成によれば、収容部200への水道水Sの供給により閉成を行うことができることから、トップカバー3の閉成を容易に行うことができる。
【0094】
尚、本構成においても、水道水Sに限らず、他の液体、例えば洗浄液、消毒液M、アルコールであっても同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、上述した第1〜第4実施の形態においては、被洗浄消毒物は、内視鏡を例に挙げて示したが、内視鏡以外のものであっても構わないということは勿論である。
【0096】
ところで、通常、洗浄消毒装置においては、図1、図2に示すように、トップカバー3は、装置本体2に対して、操作者近接位置4k(図2参照)に対向する側に設けられた図示しない蝶番、バネを介して、操作者近接位置4k側に位置するユーザ対して、開成の際、トップカバー3の底面3tが対向するよう開閉する(以下、縦方向Qに開閉すると称す)構成を有している。
【0097】
しかしながら、縦方向Qのみに開閉する構成では、トップカバー3の開閉方向によって、洗浄消毒装置の配置方向が制限されるため、洗浄消毒装置を配置する部屋の形状によっては、洗浄消毒装置に対する作業性が低下してしまうといった問題があった。以下、このような問題を解決する構成を図13に示す。図13は、トップカバーの開閉方向を図1、図2とは異なる方向とした構成を概略的に示す部分斜視図である。
【0098】
図13に示すように、トップカバー3を、縦方向Qの開閉のみならず、操作者近接側4kと該近接側4kに対向する側(以下、離間側と称す)4tとを結ぶ方向に垂直な操作者近接側4kからみた左側4lと右側4rとを結ぶ方向に、既知の構成を用いて開閉自在(以下、横方向Rの開閉と称す)としても構わない。
【0099】
このような構成によれば、トップカバー3は、縦方向Qのみならず、横方向Rにも開閉することができることから、洗浄消毒装置の配置位置が制限されなくなり、洗浄消毒装置に対する作業性が向上する。
【0100】
ところで、一般に、内視鏡100を用いる検査室においては、内視鏡100を用いて各種検査や処置を行う検査領域と、洗浄消毒後の内視鏡100の外表面の水滴を拭き取ったり保管したりする清潔領域との間位置に、洗浄消毒装置を載置するのが一般的である。これは、処置等に使用中の内視鏡100を清潔領域に載置してしまうことを防止するためである。
【0101】
しかしながら、トップカバー3は、一般に、上述した縦方向Qにおいて、一方向にしか開閉しないことから、トップカバー3の上面に設けられた取手を用いてトップカバー3の開閉を行う際、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合と、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合とで、ユーザは同じ取手を把持しなくてはならないといった問題があった。
【0102】
よって、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合は、ユーザは、取手に汚れが付着することがないよう、手袋を外す必要があり、大変煩雑であるといった問題があった。よって、使い勝手の良い洗浄消毒装置が望まれていた。
【0103】
以下、このような問題を解決できる構成を、図14に示す。図14は、トップカバーを縦方向において両開きにした構成を示す図である。
【0104】
図14に示すように、洗浄消毒装置1は、検査領域Dと、清潔領域Cとの間の位置において、例えば操作者近接側4kが検査領域Dを指向するとともに、離間側4tが清潔領域Cを指向するように設けられている。
【0105】
尚、検査領域Dには、内視鏡100を用いて検査を行う用の検査台151が設けられており、清潔領域Cには、洗浄消毒後の内視鏡100が載置される拭き取り台152が設けられている。
【0106】
また、トップカバー3の上面3jにおいて、操作者近接側4kの端部に取手103が設けられており、離間側4tの端部に取手104が設けられている。また、トップカバー3は、縦方向Qにおいて、検査領域D側からでも清潔領域C側からでも、開成の際にトップカバー3の底面3tをユーザが見ることができるように、両方向に、既知の構成により開閉自在となっている。
【0107】
このような構成によれば、ユーザは、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合は、検査領域D側から取手103を把持してトップカバー3を開閉させ、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合は、清潔領域C側から取手104を把持してトップカバー3を開閉させることから、使用後の内視鏡100を洗浄消毒槽4に収容するためトップカバー3を開閉させる場合と、洗浄消毒後の内視鏡100を取り出すためにトップカバー3を開閉させる場合とで、ユーザは同じ取手を把持しなくて良くなる。以上から、使い勝手の良い洗浄消毒装置1を提供することができる。
【0108】
ところで、従来、トップカバー3が1枚の透明な樹脂等から平板状に形成されている場合においては、トップカバー3の閉成後、洗浄消毒装置に設けられた、例えば既知の洗浄ブラシ自動挿入装置や液体供給装置を用いて内視鏡管路の洗浄消毒を自動的に行う際、内視鏡の挿入部の先端まで洗浄ブラシのブラシ部が突出しているかを、ユーザはトップカバーを介して目視で確認することにより、処置具挿通用管路全体が確実に擦り洗いされたかを確認することができる。
【0109】
さらに、内視鏡管路の口金に液体供給装置の供給ノズルが確実に装着されているかをユーザはトップカバーを介して目視で確認することにより、内視鏡管路に洗浄液、消毒液、濯ぎ水、アルコールが確実に供給されていることを確認することができる。
【0110】
しかしながら、上述した第1〜第4実施の形態に示したように、トップカバー3の内部に収容部200を設けると、トップカバーを構成する透明な板状部材3gは積層されてしまうことから透明度が下がるため、トップカバー3を装置本体2に対して閉成した際、ユーザは、トップカバー3を介して、洗浄消毒槽4内を目視し難くなってしまうといった問題があった。
【0111】
よって、この場合、洗浄消毒槽4内を確認するには、ユーザは、トップカバー3を開成させたり、トップカバー3に目を近付けて、確認部位を確認したりしなければならず、大変煩雑であるといった問題があった。
【0112】
以下、このような問題を解決する構成を、図15〜図17に示す。図15は、トップカバーの底面に光源を設けた例を概略的に示す洗浄消毒装置の斜視図、図16は、トップカバーの底面における内視鏡挿入部先端側及び内視鏡管路の口金に対向する位置に、光源及びカメラを設けた例を概略的に示す図、図17は、挿入部先端側から洗浄ブラシのブラシ部を突出させた状態におけるカメラ画像と比較画像とを対比して示す図である。
【0113】
図15に示すように、トップカバー3の底面3tに、例えばLEDから構成された光源160が設けられていても構わない。このことによれば、通常、トップカバー3開成の際は、開成後のトップカバー3が影となってしまい、洗浄消毒槽4内が暗くなって見難くなってしまうが、光源160から照明光を照射することにより、トップカバー3開成の際においても、洗浄消毒槽4内を確実に観察することができる。
【0114】
また、トップカバー3閉成の際も、例えば、内視鏡100の挿入部の先端部や口金が設けられた部位を、光源160は照明することから、ユーザは、トップカバー3を介した注目部位の目視観察が行いやすくなる。
【0115】
さらに、図16に示すように、トップカバー3の底面3tにおいて、洗浄消毒槽4に内視鏡100をセットし、トップカバー3を閉成した際、内視鏡挿入部先端側100sに対向する位置167、及び内視鏡管路の口金165に対向する位置168に、カメラ171及び光源172を設けても良い。
【0116】
このことによれば、光源172により照明され、カメラ171により撮像された内視鏡挿入部先端側100sの画像及び内視鏡口金165の画像を、トップカバー3を介して目視しなくともモニタ等からユーザは確認することができることから、洗浄ブラシのブラシ部180が挿入部先端側100sから突出しているか、または口金165に供給ノズルが確実に装着されているかを、より確実に観察しやすくなる。
【0117】
尚、この場合、ブラシ部180が、挿入部の先端側100sから突出したことをカメラ171が撮像した場合には、装置本体2から音や光を発生することにより、ユーザにモニタを観察するよう警告する構成を装置本体2は有していても構わない。
【0118】
また、装置本体2は、カメラ171で撮像した画像を、LAN等を用いて外部装置に転送する機能を有していても構わない。このことによれば、ユーザは、洗浄消毒装置1が載置されている場所とは別の場所にいたとしても、観察画像を確認することができる。
【0119】
さらに、装置本体2は、カメラ171で撮像した画像を録画する機能を有していても構わない。この場合録画した画像を用いて、ユーザは、洗浄消毒履歴の管理を行うことができる。尚、カメラ171を用いて録画する画像は、静止画であっても動画であってもどちらでも構わない。
【0120】
また、装置本体2は、内部に有する図示しないメモリに、挿入部の先端側100sから汚れが付着していない状態における洗浄ブラシのブラシ部180を突出させた状態の画像を比較画像197として記憶しておき、現在撮影中の挿入部の先端側100sからブラシ部180を突出させたカメラ画像198と比較画像197とを装置本体2が具備する制御部が比較することにより、カメラ画像198においてブラシ部180に汚れ185が付着していないか否かを判定し、汚れ185が付着している場合には、再度、処置具挿通管路に対する洗浄ブラシを用いた擦り洗いを行うよう制御しても構わない。
【0121】
また、カメラ171に限らず、図16に示すように、トップカバー3の上述した位置167、168に、レンズ170を設けても構わない。尚、レンズ170は、例えば該当部位の樹脂材をトップカバー3の厚さ方向に厚く形成することにより形成される。このことによれば、洗浄消毒槽4内の注目部位を、ユーザは、トップカバー3を介した目視の際、レンズ170を用いて拡大観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第1実施の形態を示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図2】図1のトップカバーが開放され、洗浄消毒槽に内視鏡が収納自在な状態を示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図3】図1のトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図4】図3のトップカバーの内部の収容部に出し入れ自在なガスフィルタユニットを拡大して示す斜視図。
【図5】図3中のV-V線に沿うトップカバーの断面図。
【図6】第2実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図7】図6中のVII-VII線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図8】第3実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバーを拡大して概略的に示す斜視図。
【図9】図8中のIX-IX線に沿うトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図10】第4実施の形態の洗浄消毒装置におけるトップカバー及び装置本体の一部の断面図。
【図11】トップカバーの収容部から液体を洗浄消毒槽に排出してトップカバーを開成させた状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図。
【図12】図11のトップカバーの収容部に液体を供給してトップカバーを閉成させる状態を概略的に示す洗浄消毒装置の図。
【図13】トップカバーの開閉方向を図1、図2とは異なる方向とした構成を概略的に示す部分斜視図。
【図14】トップカバーを縦方向において両開きにした構成を示す図。
【図15】トップカバーの底面に光源を設けた例を概略的に示す洗浄消毒装置の斜視図。
【図16】トップカバーの底面における内視鏡挿入部先端側及び内視鏡管路の口金に対向する位置に、光源及びカメラを設けた例を概略的に示す図。
【図17】挿入部先端側から洗浄ブラシのブラシ部を突出させた状態におけるカメラ画像と比較画像とを対比して示す図。
【符号の説明】
【0123】
1…洗浄消毒装置(内視鏡洗浄消毒装置)
2…装置本体
3…トップカバー(蓋体)
4…洗浄消毒槽
4s…収容口
70…ガスフィルタユニット
91…洗剤ボトル
92…消毒液ボトル
93…アルコールボトル
95…排出管路
96…吸引ポンプ
100…内視鏡(被洗浄消毒物)
142…第1の管路
143…第2の管路
200…収容部(空間)
200a…収容部(空間)
200b…収容部(空間)
G…ガス
M…消毒液
S…水道水(液体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置であって、
装置本体に設けられた前記被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、
前記装置本体に対し開閉自在なことにより、前記洗浄消毒槽の前記被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体と、
を具備し、
前記空間は、前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部を構成していることを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記収容部に対し出して入れ自在であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記洗浄消毒槽中のガスの臭気を取り除いて前記ガスを前記装置本体外に排出するガスフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、洗浄剤が注入された洗剤ボトルと、消毒液が注入された消毒液ボトルと、アルコールが注入されたアルコールボトルとの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記洗剤ボトルと、前記消毒液ボトルと、前記アルコールボトルとの少なくとも1つのボトルから前記洗浄消毒槽に、前記洗浄剤と前記消毒液と前記アルコールとの少なくとも1つを供給するポンプ及び管路であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項6】
前記収容部に前記液体を供給する第1の管路と、前記収容部から前記洗浄消毒槽に前記液体を供給する第2の管路とをさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項1】
被洗浄消毒物を自動的に洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置であって、
装置本体に設けられた前記被洗浄消毒物が収容される洗浄消毒槽と、
前記装置本体に対し開閉自在なことにより、前記洗浄消毒槽の前記被洗浄消毒物の収容口が開閉自在な、内部に空間を有する蓋体と、
を具備し、
前記空間は、前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材または液体の収容部を構成していることを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記収容部に対し出して入れ自在であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記洗浄消毒槽中のガスの臭気を取り除いて前記ガスを前記装置本体外に排出するガスフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、洗浄剤が注入された洗剤ボトルと、消毒液が注入された消毒液ボトルと、アルコールが注入されたアルコールボトルとの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記被洗浄消毒物の洗浄消毒に用いる部材は、前記洗剤ボトルと、前記消毒液ボトルと、前記アルコールボトルとの少なくとも1つのボトルから前記洗浄消毒槽に、前記洗浄剤と前記消毒液と前記アルコールとの少なくとも1つを供給するポンプ及び管路であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項6】
前記収容部に前記液体を供給する第1の管路と、前記収容部から前記洗浄消毒槽に前記液体を供給する第2の管路とをさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−165506(P2009−165506A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3546(P2008−3546)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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