内視鏡用の自己蛍光画像化システム
【課題】現存のビデオ内視鏡システムの内視鏡自体を変えることなく、自家蛍光画像化システムに改良する。
【解決手段】組織蛍光を誘起し得る紫外線及び蛍光を誘起しないか又はわずかしか誘起しない可視光の両者を提供し得る光源、同じ空間及び角度の強度分布で組織に両方の波長帯域を送るための光学系、内視鏡の末端の1個の画像化検出器を使って可視の蛍光画像及び可視のような基準画像をデジタルで獲得するための手段、及び組織の形成異常の区域を表示するディスプレイ用の最終の偽色画像を作るために前記画像をデジタル処理するための手段を備え、ビデオ内視鏡による組織の自家蛍光を画像化するためのシステム及び方法が説明される。このシステムは現存のビデオ内視鏡に追加すること、又はその構造内に組み込むことができる。組み合わせられたシステムは通常の白色光画像化と蛍光画像化との間を電気的に切り替えることができる。
【解決手段】組織蛍光を誘起し得る紫外線及び蛍光を誘起しないか又はわずかしか誘起しない可視光の両者を提供し得る光源、同じ空間及び角度の強度分布で組織に両方の波長帯域を送るための光学系、内視鏡の末端の1個の画像化検出器を使って可視の蛍光画像及び可視のような基準画像をデジタルで獲得するための手段、及び組織の形成異常の区域を表示するディスプレイ用の最終の偽色画像を作るために前記画像をデジタル処理するための手段を備え、ビデオ内視鏡による組織の自家蛍光を画像化するためのシステム及び方法が説明される。このシステムは現存のビデオ内視鏡に追加すること、又はその構造内に組み込むことができる。組み合わせられたシステムは通常の白色光画像化と蛍光画像化との間を電気的に切り替えることができる。
【発明の詳細な説明】
【政府の支持】
【0001】
本発明は、全般的に、又は部分的に、National Institute of Health,Grant No.R44CA72626,Imaging Spectrofluorimater for Colonic Dysplasiaからの認可により支持される。政府は本発明における幾つかの権利を持つ。
【関連出願】
【0002】
本願は、1999年1月26日付け米国出願09/238664号の一部継続出願である1999年7月28日付け米国出願09/362806号の一部継続出願であり、これら出願の全文は参考文献としてここに組み入れられる。
【発明の背景】
【0003】
進行したガンは効果的に治療することが困難であり、このため、これらを形成異常のようなその前ガン段階又は上内皮ガンのような段階で検出することが重要である。現在は、早期発見に最も広く使われる方法としては、内視鏡による観察検査が使用され、これは、形成異常に伴う大きな構造的変化の認知に関係する。観察検査は、潰瘍性大腸炎及びバレット食道のような平らな形成異常の表面領域の検査には効果が少ない。これらの場合は、サーベイランスには生検及び続く組織解析のための代表位置の選択が必要である。この方法では、結腸のような大きい面積のごく小さい部分だけしか監視できず、小さな面積の形成異常は発見されないことがある。平らな形成異常を検出するためのより効果的な方法は、ガンの罹患率、致死率、及び費用を大きく減らす手段を提供するであろう。
【0004】
内視鏡検査中に成型異常を検知するための期待される技術は、適切な波長の光で組織を照明し、得られる蛍光を観察することを含む。組織蛍光は、励起照明より長い波長で発生しかつ典型的に極めて弱く、このため、その検出には一般に分光技術が必要である。蛍光情報を使用する診断方法は、一般に二つの範疇に分けられる。方法の第1のグループは、患者に投与され腫瘍組織内に蓄積される薬品からの蛍光を観察する。方法の第2のグループは、天然物質から組織自体に生じて組織が形成異常になったとき相対的濃度が変化する内因性蛍光又は自家蛍光を観察する。この2種の一般的な蛍光方法のうち、薬品の事前投与を必要とする第1の方法は侵襲性がより大きい。これら薬品の適用は余分な時間を取りかつ悪い副作用の可能性がある。自家蛍光検出に基づく方法は、侵襲性が少なくかつスクリーニングのための内視鏡に適している。
【0005】
正常な結腸組織は、例えば370nmの紫外線で照射されたとき、図1に示されるように450nmにピークのある広い青色の蛍光を示す。この蛍光は、コラーゲン、薄い筋肉層内に見いだされかつ粘膜下組織層の卓越した要素である結合組織の第1のプロテインに起因する。形成異常の結腸組織の蛍光は、その構造及び化学資質の変化により、典型的に、同じ照明で与えられる強度の2分の1から3分の1である。紫外線ないし紫の励起光により作られる可視の青緑の自家蛍光のこの減少は、形成異常組織の1次指標として認められている。600nmと比較した680nmにおける相対的な蛍光の増加が成型異常の2次指標である。
【0006】
自家蛍光を検知する診断装置は2個の一般グループに分けることができる。第1の部分は組織における本質的な点測定を行うために光ファイバープローブを使用する装置を含む。第2の部分は、詳細な2次元画像を作る装置を含む。点の検出装置は、組織におけるより完全なスペクトル情報を提供する長所を持っているが、大きな組織面積の日常的なスクリーニングに対しては余りにも時間を要しかつ小さい形成異常区域を見落とすことが有り
得る。蛍光画像化内視鏡は、結腸のような大きい組織面積をスクリーニングするにはより適切である。
【0007】
対象領域に加えられた蛍光マーカーの濃度を感知するように設計された蛍光画像化システムは、比較的高い蛍光レベルの測定に対して最適であるように作られ、本来弱い自家蛍光の測定に要する追加の装置特性については説明されていない。特に、励起の強度と比較して強度が1000分の1又はそれ以下に小さい自家蛍光を、効果的に測定できるであろう励起照明用の十分な帯域外濾波を提供する方法は説明されていない。
【0008】
自家蛍光を測定するように特別設計された蛍光画像化内視鏡は、選択された励起波長及び自家蛍光の低下の程度を定量する方法に基づいて更にグループ分けされる。これらの設計の選択は、例えば、画像化装置の所要数、装置の光・機械的な複雑性、及び実用の際の装置の取扱い特性に影響を与えるので、装置に対する商業的な考慮と直接関係する。
【0009】
励起式蛍光画像化内視鏡システムは、励起用の波長として440nm付近の可視の青色を使用し約500nmの蛍光ピークを生ずる。これら装置は、励起光用の明るく制御が容易な光源として442nmのヘリウム・カドミウム・レーザーを使用する。ヘリウム・カドミウム・レーザーの高価格が、これらを商業用装置の光源として非実用的なものとさせる。
【0010】
複数のカメラ及び機械的に切り替えられる光学要素及び/又はフィルターは、コヒーレントな画像化用ファイバーバンドルに基づいた内視鏡の使用を必要とし、このため、カメラ及びフィルターは、これらのための空間のある内視鏡の手元側端部に置くことができる。コヒーレントな画像化用ファイバーバンドルは大きな光の損失を導き、かつビデオ内視鏡に利用し得るような鮮明な画像を提供しない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、画像化用内視鏡に関し、特に上皮組織から形成異常の激しい領域への蛍光を画像化する内視鏡システム及び方法に関する。形成異常組織を検出するためのシステムは、結腸、食道、口腔、頸部及び肺のような粘膜組織の自家蛍光を使用する。本発明の内視鏡に現れる蛍光画像は、選択された範囲の励起光波長と蛍光の正規化とを利用する。これらの選択が、白色光画像化と蛍光画像化との両者について、ビデオ内視鏡の末端の1個の増強されない画像化検出器を必要とする改良された内視鏡を与える。画像化検出器は、可視及び赤外線領域を検出し得るCMOS画像化装置、電荷結合装置(CCD)又はその他の小型2次元画像化センサーのような画素統合回路とすることができる。
【0012】
本発明のシステムは、白色光と蛍光可視化方法との間を電子的に切り替える能力を有し、内視鏡は,それ自体が内部に運動部品のないことが必要である。内視鏡の手元側端部におけるカメラと画像化用光学系を無くすことは、その取扱い性を大きく改善する。コンピューターに基づく画像化システムは、例えば10Hzまで又はそれ以上の更新速度で表示される組織の画像を定量化することができる。好ましい実施例は、組織の形成異常の疑いのある区域を表示する見やすい偽色の重なりを使用する。「偽色」とは、各画素について、蛍光の強度のある特定のレベルにある色値が割り当てらることを意味する。データ処理システムは、与えられた形式の組織条件を画像化するに適したカラーシステムを提供する。システムは、(例えば、単色CCDを使用した)カラーホイール(color wfeel)ビデオ内視鏡又はカラー画像化センサー内視鏡と共に使用することができる。
【0013】
好ましい実施例においては、1998年1月26日付けのワン他の米国暫定出願60/072455号において説明されたように近紫外線が選ばれる。300−420nmの範囲におけるこの選択は、ビデオ内視鏡に使用されたとき標準の電子式画像化センサーが励
起光に感度なしであるという事実により、組織と画像化検出器との間に追加のファイバーの必要性を減らし又は無くす。画像化検出器が非常に敏感な可視の赤い光が、基準画像の獲得を目的として組織を照明する。この基準光は励起光と同じ光ガイドを通り、そして励起光と同じ正規化された空間分布及び角度分布で組織を照明する。反射画像用に使われた光及び蛍光画像用の光の空間強度及び角度分布を相関させることにより、より正確で診断に有用な画像化システムが提供される。本発明のこのシステムは、蛍光強度の局所的減少を正確に定量できるように蛍光画像を正規化するために基準画像を使うことを許す。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡を使っている別の好ましい実施例においては、基準光と励起光途とは逐次適用される。カラーCCDビデオ内視鏡を使用する別の好ましい実施例においては、蛍光励起光と基準光とは同時に適用される。
【0014】
ビデオ内視鏡の第3のカラーチャンネルを使って追加の基準画像を得ることができる。この画像のために組織に向けられた基準光は色が卓越した青でであり、そしてUV励起光により誘起された蛍光のスペクトルに近い中央波長及び帯域幅を持つ。この青の基準画像Bの赤の基準画像Rに対する比B/Rは、画像化された組織において化学資質(卓越してヘモグロビン)が、本来の蛍光の幾分かを、これが組織から出る前に吸収する区域を確定する。蛍光画僧Fの赤の基準画像Rに対する比F/Rの獲得は、2個のパラメーターF/R及びB/Rを提供し、これは、形成異常のような異常組織が画像化された対象区域内にあるか否かを決定するために画素ごとのベースで使用することができる。
【詳細な説明】
【0015】
本発明の以上及びその他の目的、特徴及び長所は付属図面に示された本発明の好ましい実施例の以下のより特別な説明から明らかとなるであろう。図面においては全図を通して同じ番号は同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺によらず、本発明の原理を示すために誇張が行われている。
【0016】
本発明は、上皮組織から形成異常の強い領域への自家蛍光を画像化するシステム及び方法に関する。本発明による組織自家蛍光画像化システムは、現存のビデオ内視鏡システムに、内視鏡自体を変えることなく内視鏡の可視光源の光路にシャッターを追加するだけで、前述の現在技術の状態をその最も単純な形式で改良することができる。従って、内視鏡の取扱い性は、現在市場にある蛍光画像化システム用の手元側端部内の外部カメラ及び画像の増感装置により悪影響を受けることがない。フルカラーの通常の可視光画像化と蛍光画像化との間の切替えは、医師による物理的操作ではなくて、現在のシステムにより求められる電子式切替えにより達成される。得られた蛍光ビデオ画像はコンピューターにより処理され、臨床医の見る診断用画像は見慣れた(グレイスケールの)可視光画像であり、正常な組織からの蛍光と比較して画像内の組織からの蛍光が少ない区域は、重ねられた偽色で示される。この画像は、現在システムにより提供される組み合わせられた赤/緑の生の蛍光画像より解釈が非常に容易である。特に赤/緑色盲の臨床医にとってはそうである。
【0017】
本発明のシステムは、通常のカラー画像、蛍光画像及び可視干渉画像を獲得するための内視鏡の末端の1個の画像化用検出器を使用するだけである。紫外線ないし深紫の波長の蛍光励起光を使うことにより、末端におけるカメラの使用が可能となる。この波長に対しては、CCDカメラは感度が悪く又は固定フィルターの使用により感度を下げることができる。これにより、青から赤に至る波長で得られた組織自家蛍光の広帯域の収集ができ、追加の画像増感の必要なしに十分な光で効果的なビデオ信号が得られる。この方法の蛍光画像化は、1999年1月26日付け米国出願09/238664号「蛍光画像化内視鏡」において説明されたようにワン外により生体内で説明されている。
【0018】
従来の自家蛍光画像化システムは、画像を提供するために、青緑の波長で得られた蛍光
画像と比べて赤の波長の非常に弱い蛍光の画像化に依存していた。有用な赤の蛍光画像を提供するためには追加の画像増感が特に必要である。本発明の自家蛍光画像化システム及び方法は、基準画像を得る目的で組織に追加の可視の赤い光の照明を供給することにより、この費用及び難点を避ける。しかし、効果的であるためには、UV励起光及び可視の基準光は共通の光ガイドを通って組織に送らねばならず、かつ同じ角度分布で同じ照明装置から出なければならない。これには、励起光及び基準光源の光学系の注意深い設計が必要である。基準画像の処理は、蛍光画像には生じない可視の正反射のようなアーティファクトをなくすために、ヒストグラム解析のような別の特徴を含む。
【0019】
本発明によるシステムの装置の組合せは、自家蛍光画像化システムの組み合わせられる内視鏡に依存して幾つかの異なった方法で具体化される。これら装置のあるものは、臨床医により技術が容認された段階で、内視鏡に組み込むことができる。
【0020】
好ましい実施例においては、励起照明及び基準照明は、同じアークランプにより作られ、内視鏡の生検用通路を通過する同じ光ファイバープローブにより組織に送られる。別の実施例においては、励起光は独立光源により作ることができるが、UVを吸収する標準ガラスバンドルに代わって内視鏡に組み込まれたUV透過の照明用バンドルを通って組織に送られる。基準照明は、卓越した青の蛍光の画像化を妨害する可能性のある青及び緑の波長の光を吸収する赤色通過フィルターで切り替えることにより、通常の白色光照明源から送られる。深赤光源又は近赤外線(例えば670nm又はそれ以上)は、通常の可視照明に影響を与えることがなく、更に共通の光路に沿って送るためにダイクロイック素子と組み合わせることができる。更なる実施例においては、励起光源は、標準の白色光照明源と組み合わせ、そしてUV透過の光ファイバー照明用バンドルにより内視鏡を経て組織に送ることができる。回転車光源も、蛍光画像化と可視光画像化との両者を行うように4色、紫外線、青、緑及び赤を作るように変えることができる。
【0021】
図2a及び2bは、好ましい実施例の一般的な構成要素を示し、これにおいては、励起光及び可視基準光は、別の光ファイバープローブを経て組織に送られる。光ファイバープローブ200は、標準のビデオ内視鏡202の生検用通路を通過させられ、最後に、その先端が内視鏡204の末端部付近に置かれる。臨床医によりフットスイッチ206が押されると、内視鏡光源及びビデオプロセッサー208からの白色光照明がシャッターにより遮断される。この白色光は、通常は、内視鏡の末端の2個の光ファイバー照明ポート210と212とを通して組織を照明する。同時に、励起及び基準の照明源214の相補的なシャッターが開けられ、このため励起光及び基準光は光ファイバープローブ200を通過できる。励起光及び基準光は、光ファイバープローブ216の先端から出て、組織218を照明する。ビデオ画像検出システム220が、内視鏡202を通って戻った基準画像信号及び得られた蛍光画像信号をビデオプロセッサー208に送り、ここで標準R、G、Bナショナルテレビジョンスタンダードコミッティー(NTSC)ビデオフォーマットの異なったカラーチャンネル(R及びB)に変換される。これら2個のチャンネルは、コンピューターシステム222のビデオフレームグラッバー(framegrabber)によりデジタル化される。デジタル化された蛍光及び基準光の画像は、リアルタイムで一緒に処理され、正常な組織と比べて蛍光の弱くなった画像領域を量化する。弱くなった蛍光は、形成異常の1次指標である。形成異常の可能性のある組織の区域は、組織の処理画像において偽色で目立つようにされる。この処理画像は、コンピューターのモニター244上に表示され、10Hzまでの速度で更新される。図3a及び3bに示された好ましい実施例は、現存の内視鏡/ビデオ処理システムへの追加構成要素であり、内視鏡システムのビデオプロセッサーの白色光源への内部シャッターの追加を要するのみである。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に対しては、励起光源214は、以下、より詳細に説明されるように励起照明と基準照明とを逐次提供するように構成される。カラーCCDビデオ内視鏡については、励起光源214は、同じく後でより詳細に説明されるように、励起
照明と基準照明とを同時に提供する。
【0022】
ワン他により示された自家蛍光画像化システムは、UV励起源としてアルゴンイオンレーザーを使用する。380nmないし420nmの範囲で作動する窒化ガリウムレーザーダイオードのような固体レーザーを含む他のレーザー源を使うことができ、これは、より小型でありかつより低電力で作動する。本発明によるシステムは、UV励起源として約365nmの水銀ラインのあるスペクトル帯域を有する水銀アークランプを使用する。水銀アーク源は小型であり、かつアルゴンイオンレーザーより安価であり、比較的小電力しか必要でなく、更に空冷される。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に使用される自家蛍光画像化システムに対しては、アークランプへの電流をパルス化することができる。カラーホイールビデオシステムにおいては、通常の光源が、33msのビデオフレーム中に赤、緑及び青の光を逐次提供し、これらはカラー画像を提供するためにビデオプロセッサーにより組み合わせられる。自家蛍光画像化モードにおいては、これらシステムは、正常の青い光のパルスをUVパルスで置換し、緑の光のパルスを(通常は赤の)基準光パルスで置換し、UVパルスと同じ光ファイバーを通して送られる。青い光が、通常はオンである8ms周期で、アークランプ電流をパルス化することにより、UV源は、33msのビデオフレーム期間の全部にわたってCWランプ強度が計画された場合になし得ると同じか又はより多くの励起フルーエンスを組織に提供できる。
【0023】
カラーホイールビデオシステム及びカラーCCDビデオシステムの両者により、励起/基準光源及び通常の内視鏡白色光源の相補的なシャッターを制御するフットスイッチにより、自家蛍光画像化モードが開始される。組織からの弱い蛍光を画像化するためには、通常の内視鏡照明のシャッターを閉じることが必要である。2種の異なった自家蛍光画像化モードを使うことができる。一方のモードにおいては、処理された自家蛍光画像からの重なった偽色の1フレームが直前の(又は直後の)カラー画像と組み合わせられ、そしてコンピューターのスクリーン上で凍結される。第2のモードにおいては、処理された蛍光画像は、フットスイッチが押されている限り(画像処理時間を許す約7.5Hzないし10Hzで)連続的に更新される。連続運転モードにおいては、可視画像が、形成異常の区域を示している偽色の重なりを有するグレイスケールで示される(画像が単色の基準照明で得られたため)。
【0024】
図3は、カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に使用する蛍光画像化システムの好ましい実施例の全体の図式的線図を示す。カラーホイールビデオ内視鏡の通常の運転モードについては、形成異常である領域304を含む可能性のある組織302の区域を観察するために、内視鏡300の末端部が身体の空洞器官内に挿入される。CCD画像化装置及びレンズサブシステム(ビデオカメラ)306は、通常の照明装置308及び310の側に配置される。
【0025】
通常の照明光は、内視鏡の長さを伸びてその末端部付近で二股に分岐し開口308及び310で終わる光ファイバー312により送られる。照明源と光ファイバーバンドルとの間のシャッター314は、デジタル信号315により制御され、光源ランプ316を消すことなく白色照明を消すことを許す。示された形式の内視鏡においては、回転フィルター車318により提供される赤、緑及び青の光のパルスにより得られる3個の連続した画像を組み合わせることにより通常のカラー画像が得られる。この形式の内視鏡のCCD検出器は、400nmから700nmまでの間のすべての波長に対して感度があるが、自家蛍光を励起させるために使用される約365nmの波長のUV励起には感度がない。これは、シリコンセンサーのアレイの設計、及びアレイの表面を物理的に保護するために使われる光学材料の選定の両者による。CCD検出器は、その表面に落ちた光を連続的に統合する。そこで、CCD列が読取り用電子回路に移されている間は、照明はシャッターで遮断されなければならない。さもなければ画像にストレーキング効果が見られるであろう。赤
、緑及び青の光のパルスは約6msの持続時間を有し、これに5msの暗黒時期が続き、この間にカメラ画素が読み取られ、約33msの総ビデオフレーム時間又はNTSC標準に合致する毎秒29.97フレームを生ずる。CCDカメラからのアナログの読取り信号は、ケーブル320を通って内視鏡ビデオプロセッサー322に送られる。
【0026】
3個の連続した単色画像はデジタル化され、ビデオフレームの終わりに標準カラービデオ内に組み合わせられる。プロセッサーは、2グループの標準の赤、緑、青(RGB)パルス同期出力を持つ。カラー信号の一方のグループ324は、組織328の通常のカラー画像表示をするために内視鏡ビデオモニター326に行く。カラー信号の他方のグループ330は、自家蛍光画像及び基準画像を獲得し処理する蛍光画像化コンピューターシステム334のビデオフレームグラバー332に行く。ビデオプロセッサーからの標準合成カラー信号出力336は、National LM1881 Video processor Sync Separatorに基づいて同期回路338に行く。この同期回路338は、インターレースされた偶数又は奇数のフィールドがビデオ信号内に生じたときを判定し、そして奇数フィールド中は高く偶数フィールド中は低い2進デジタル信号340を出力する。この信号340は、内視鏡のビデオプロセッサーにより設定されるタイミングに、その諸機能を同期させるために蛍光画像化システム全体を通して使用される。
【0027】
臨床医は、自家蛍光画像化作動モードにするために、フットスイッチ341を押して、ケーブル342上の信号をコンピューター334に送る。同期信号340により決められた適切なときに同期された信号はシャッタートリガー線315から出て、通常の照明源のシャッター314及び励起/基準光源のシャッター343に送られる。線315上の信号がシャッター343を開き同時にシャッター314を閉じるように、これらのシャッターは相補的である。光学系グループ350の回転シャッター車により作られた励起光パルスと基準光パルスとは、光ファイバープローブ344内に通過する。プローブ344は、生検通路開口345内に挿入され、その端部の窓346が内視鏡300の末端又はこれをちょうど越える点まで通理内を滑り降ろされる。励起光パルスと基準光パルスとは、内視鏡の視野の中央部分を照明する。照明の発散角度は光学系の素子350、ファイバーの開口数、及び光ファイバープローブの端部の窓346に依存する。
【0028】
励起及び基準の光のパルスは、自家蛍光画像及び基準画像を正確に獲得できるように、3個の通常の照明パルス期間の内の2個内で生じなければならない。これらの画像は、内視鏡ビデオプロセッサーの3個のビデオ出力チャンネルの内の2個において、次のビデオ出力フレーム上に現れる。適切なタイミングが、光学系グループ350の励起光(UV)経路内の回転シャッター352及び基準光(赤)経路内のシャッター354により達成される。シャッターは、供給電圧を変えることにより制御可能な速度で回転する直流モーター356及び358により駆動される。シャッターのリムの近くの基準穴が、光源及び検出器と組み合わせられて、シャッター回転時におけるその位相をマークする基準パルスを作る。各モーター358及び356に対して位相固定ループ(PLL)362及び360がモーターの電圧を調整して、各に対する基準パルスを、奇数番目のビデオフレームの開始をマークする同期パルス340の立上がりを適合させる。
【0029】
シャッターの穴を適切に位置決めすることにより、励起光パルス及び基準光パルスは、カメラの露光期間と時期を合わせることができる。青の露光期間は他のものより幾分か長い(8.1ms)ため、励起パルスは通常の青の露光に適合するようにタイミングを合わせられる。次に露光期間の長いのは緑であるため、基準光パルスは通常の緑の露光(5ms)とタイミングを合わせられる。通常の青の露光期間にすぐ続く通常の赤の露光期間は、現在は使われていないが、追加の自家蛍光又は基準の画像或いは他の分光解析用の追加の可視反射画像を得るために使うことができる。励起露光中、励起光出力を大きくさせるために、水銀ランプへの電流がより高いレベルに増強される。ランプ電力の供給は、無効
電流を維持しランプを始動させるためにDC電流セクション366を使用する。
【0030】
DCセクション366と並列に接続されたコンピューター制御のパルス電流セクション368は、画像化システムにより要求されるようにランプの出力を変えるために、複数の並列結合された定電流源を急速に切り替えることができる。電流パルスは、回転シャッターを固定させるように作用する同じ同期パルス340を使ってビデオシステムに同期させられる。コンピューターのデジタル入力/出力(I/O)セクション370はデジタルパルス372を出力し、これはタイミングパルス340と組み合わせられて露光期間中のランプ電流を増強させる。並列にトリガーされる定電流セクションの数は、要求に応じて1組のデジタルコントロールライン374により変えることができる。組織が励起/基準送達用プローブの窓346に対して十分に近い場合は、増強は不必要である。コンピューター画像解析プログラム376により決定されたとき、総合制御プログラム378によりモニターされたとき、自家蛍光画像のピーク値が最低容認レベルに落ちた場合は、追加電流増給セクションが次の露光に対して要求されたようにすることができる。
【0031】
コンピューターのデジタルフレームグラバーにより自家蛍光画像及び基準画像が獲得されると、解析を開始することができる。内視鏡カメラシステムにより得られた反射(非蛍光)画像は、視野内の組織表面の輝度を測定する。組織表面がランバート反射(非正反射)である範囲まで、反射画像信号は、信号照明源から組織までの距離(又は複数光源からの重み付け距離)及びビデオフレーム中の励起照明の積分されたエネルギーに比例する。励起/基準送達用プローブの端部の窓346は、カメラレンズからの直接の視線内にはなく、従って可視の陰影があるであろう。そこで、反射画像は、自家蛍光画像の陰影の存在を含みカメラから見ることのできる組織における励起照明を測定するために使うことができる。ただし、これは、励起照明及び可視照明が、上述されたように光源の設計により提供されたと同じ横断強度プロフィルと発散角度で、同じ開口から出る場合にのみ真であることに注意すべきである。例えば、標準内視鏡の照明用バンドルからの光で得られた可視の反射画像は、その内視鏡の生検用通路を通過する別の光ファイバーからの励起照明を判定するためには容認されない。しかし、同じ開口/同じ発散条件は、励起及び基準の光パルスの両者を内視鏡の照明用バンドルを通過させることにより満たし得ることにも注意すべきである。
【0032】
可視基準画像及び自家蛍光画像を使用した形成異常の偽色表示を得るための継続した諸段階は以下の通り進行する。2個の画像は、まず、一般にフレームグラバーではなくてビデオモニターに接続されているビデオプロセッサーによりビデオ信号に加えられたガンマー係数について修正される。これにより、コンピューターのフレームグラバーにより獲得されたデジタル画像が、照明フルーエンス(時間積分された強度)の1次関数であることが保証される。次いで、2個の画像は、視野の何処かの一般に形成異常でない組織の領域であるそのピーク値に正規化される。基準照明の正反射のため飽和された基準画像に僅かな画素がある。これらは、基準画像のヒストグラムを作り画像をピーク値に正規化することで無くされる。これは、一般に画素の約99%を含む。
【0033】
値1(正反射)以上のすべての正規化された基準画像の画素は、値1にリセットされる。自家蛍光画像には正反射がなく、従ってかかるヒストグラムに基づいた正規化は不必要である。画素ごとに基づいた自家蛍光画像の値は、比率画像を作るために修正された基準画像値により割られる。この除算は、信頼し得る測定値を提供するためには照明が弱すぎた状態で解析を試みないことを保証するために、自家蛍光及び基準の画像の画素値が最低閾値条件以上である場合にのみ行われる。
【0034】
画像の画素値の比率が所定の値(典型的には2分の1から3分の1)以下に落ちた場合は、その画素は、形成異常の表示である組織表面の蛍光の減った領域を表す。処理された
出力画像の対応画素は、これを形成異常の相対的可能性を示すように偽色状態に設定することができる。比率画像の画素値が3分の1以下である場合は、対応している出力画像の画素の赤の値が基準画像の値に設定され、そしてこの画素の緑及び青の値はゼロに設定される(これは形成異常の高い可能性を示している陰影付きの赤である)。比率画像画素の値が2分の1から3分の1であるならば、処理された出力画像の画素の緑の値は基準画像値に設定され、そして青の値はゼロに設定される(これは、形成異常の中等程度の可能性を示す陰影付き緑である)。比率画像画素の値が2分の1以上である場合は、処理された出力画像の画素の赤、緑及び青の値はすべて基準画像値に設定される。(これは、組織が正常であることを示している陰影付きグレイである)。この処理された出だぞう386は、システムコンピューター334に取り付けらたLCDモニター384に表示される。
【0035】
図4は、患者が準備され、内視鏡が腹腔又は人体内に挿入され、その末端が対象領域の画像化のために位置決めされた後の過程のシーケンス400を示す。この特別な例においては、可視の基準画像が得られる402。この基準データが修正され404、ヒストグラムが作られ406、データが正規化され408、選定された画素がリセットされ410、そして閾値が適用される412。蛍光画像が得られた420後、画像が修正され424、正規化され424、閾値が適用され426、そして比率画像が作られる430。次いで、得られた出力画像又は表現が、基準と比較され432、そして正常440又は形成異常450と判定された領域が与えられる450。
【0036】
図5は、画像化過程の1サイクルについてのタイミング図を示す。最大ビデオ出力速度は、NTSC標準により29.97Hzに設定される。この線図は、獲得用に1フレーム時間、解析用に2から3の間のフレーム時間、及び結果を出力画像バッファーに送るための1フレームの一部分の時間を必要とするシステムを示す。この解析画像について得られた更新速度は毎秒7.5フレームである。1個の早いプロセッサーにより、解析時間を減らし、対応して更新速度を毎秒10又は15フレームに増加させることができる。画像解析は、例えば獲得と表示との間でわずか数フレーム遅らせることにより2個のプロセッサーを並列運転させて毎秒30フレームまでの出力速度で実行することができる。しかし、更新速度の増加は、100W以下の平均ランプ消費を維持するために、ランプへのパルス電流の上限を低くすることを必要とする。図5は、どのようにして水銀ランプ電流を青の露光期間だけ増強して自家蛍光画像を得るかを示す。ランプはその他の時間は低出力で無効状態にある。
【0037】
図6a及び6bは、本質的に、70%以上が無効状態であり、100W水銀アークランプからの8ms間のパルス化されたUV出力が、その公称定格出力の少なくも5倍以上までその入力電力の1次関数であることを示す。UV露光期間中のランプ電流の増強はランプ出力を大きくし、一方、形成異常のために走査される組織面積を大きくできる。また、これは、パルス毎に最適のビデオ露光に対するランプ出力を調整する手段を提供する。ランプの放電は、電流とは無関係にアークを横切るほぼ一定の電圧低下を維持するので、ランプの出力は本質的に電流と比例する。しかし、水銀を蒸気相に維持するために、ランプへの電力の約70%は、常に維持されねばならない。図6cは、定格CW電流の5倍以上の電流をパルス化することが、7.5Hzの速度で連続的に繰り返し得ることを示す。
【0038】
図7は、水銀アークランプ700に接続されたときのランプ電力供給のブロック図を示す。DC無効電流回路702及び高電圧(HV)始動用パルス回路704は、CW100W水銀アークランプ用に設計された1個の商業用電力供給装置により扱われる。定電流のトリガー付きパルス回路706が、蛍光画像化内視鏡の特別な要求に適合するように設計される。4個のこれら回路が並列に接続され、アークランプの出力を5種の異なった電力レベル(無作動状態を含む)の一つにデジタル的に設定できる。各回路は電力MOSFETスイッチより構成され、これは、通過電流を一定レベル、典型的には公称直流電流4ア
ンペアに相当するレベルに保つようにその抵抗値を調整する。これら回路は、組織を適正に照明するために電流増強が必要なときは、いつでもコンピューターにより個別にトリガーすることができる。各回路は、電流制限器712を経て電力供給装置710により充電された貯蔵コンデンデサー708からその電流を取る。この制限された電流の設計が、アークランプの電力扱い用コンデンサーを過負荷にさせる可能性のある故障状態の確率を最小にする。
【0039】
図8a、8b、8c及び8dは、励起/基準照明源の光学系の詳細を示す。図8aの1個の水銀アークランプ800は、UV/紫の励起光及び赤/近赤外線基準光の両者が内視鏡の末端部において同じ見掛けのソースボリューム(source volume)802を持つことが必要であるため、両方の波長の光源として使用される。小さい100W水銀アークランプは、0.5から1.0mmのアーク寸法を有し、これは、内視鏡の先端に光を送るために使用される光ファイバー内に効果的に結合させるに十分に小さい。励起ビーム及び基準ビーム用に別のランプを使うことができるが、光源の光学系に対する許容度及び光源アークの配列がより困難である。図8aに示された好ましい1個のランプの光源の設計においては、集光光学系804は1個の熔融シリカのUV透過レンズとして図式的に示される。事実上、集光されたビームにおける光学収差を減らすために、複数素子レンズの設計か又はシュワルトシルト対物レンズのいずれかが使用される。かかる集光光学系は、代わりの光源として、固定され予め整列された楕円反射器を有する市販の水銀アークランプの焦点ボリューム(focal volume)からの光を集めることもできる。ランプからの光が、UV及び/又は深紫の波長を反射して可視波長を送るダイクロイックミラー806の手段により効果的にUVと可視の成分に分けることができるように、集光光学系804がランプからの光を平行にする。
【0040】
2個の回転シャッター808及び810が上述されたようにビデオフレーム中の異なった時間にUV励起パルス及び可視基準パルスを作り得るように、2経路への分離が要求される。ダイクロイックミラー直後のミラー812のUV反射性表面コーティングは、この経路内の望ましいUV光の100%近くを反射しかつダイクロイックミラーから反射された望ましくない可視光の多くをその基板内に吸収する。素子814で示された追加のUVフィルターは、水銀の365nm線を中心とする多層誘電体帯域通過フィルター並びにショットUG−1ガラスのような吸収フィルターを含むことができる。460nmの組織蛍光の効率は僅かに約0.1%に過ぎないので、UV経路は可視光を高度に拒絶する。UV露光期間中の可視光源の漏洩は、自家蛍光画像のコントラストを減らす。デジタル画像処理中のかかる漏洩に対するある種の補正が可能であるが、補正は、常に結果に少量のノイズを加える。
【0041】
基準経路の第1の素子は、UVに比較して低い可視波長における熔融シリカ視準用レンズ804の屈折率を補正するための弱いレンズ816である。レンズ804の場所にシュワルトシルト対物レンズが使用されれば、かかる設計はムラーのみを使用し従って全体としては色消しであるため、レンズ816は必ずしも必要ではないことに注意されたい。近い検査距離における基準画像の飽和を防ぐために、減衰器を位置817において基準経路内に選択的に動かすことができる。この減衰器は、基準照明に要求される均一な角度方向の強度分布を維持するように、基準ビームが通過する面積を横切って一様でなければならない。この減衰は、可変の交差偏光の差動的に滑る線形の減衰くさびにより、又は電子機械式に切り替えられる固定値減衰器により達成することができる。示されたシステムにおけるように逐次的な励起/基準ビームが使用されたときは、基準ビーム経路内の可視フィルター818はUVフィルターよりも厳密でない。基準ビームの波長は、ヘモグロビンの吸収帯域を避けるように選ばれる。これは大きい吸収により、基準画像が励起照明の強度の測定値であるように想定させる誤ちを解析内に導くためである。回転シャッター808及び810がフィルターに続く。
【0042】
可視経路を続けて下るとシャッター808の後に、広帯域可視反射コーティングを有する回転ミラー820がある。ダイクロイックミラー806と同じ第2のダイクロイックミラー822が、UV励起ビームと可視基準ビームとを同じ経路上で再び組み合わせる。UVと可視光との両者を反射する1個の追加回転ミラー824が、両ビームを焦点用光学系826に向け、この光学系は、ビームを給送ファイバー828内に結合させる。回転ミラー824が、システムのUV及び可視の経路と同数の反射を作る。同数の反射により、集光用光学系804の位置に関する水銀アーク802の位置のいかなる変化も、励起ビーム及び基準ビームの両者に対して同じ角度偏差を生ずる。同じ偏差角度が、組織上の励起ビームと基準ビームとの重なりを保護する。組み合わせられたビームが到着ビームと同じ方向で光学系のトレーンから出る図8a−8cに示されたシステムは、全体として光学系トレーンの併進及び小回転の下で出力ビームの方向を不変にする。
【0043】
図8aに示された開口ストップ830は、UV励起ビームと可視基準ビームとが、給送用ファイバー828に入るときに同じ角度の収束を持つことを保証する。焦点用光学系826の位置における2個のビームの横断方向寸法は、2個の経路における光学系の位置決めの小さい誤差のため及びアークの有効放出容量における2個の波長間における僅かな相違のため常に僅かに違うであろう。開口ストップ830は、両ビームがその外側の縁において僅かに切り取られて光ファイバーへの最大の投入角度が両者に対して同じであることを保証するように設定される。図8bは、大きな角度について、ファイバー軸線に関する光ファイバーの投入角度が、ファイバー内の各反射の際に保持されることを示す。視準されたビームによる1方向からのファイバーの照明は、一般に軸線に関して同じ角度を有するファイバーの反対側の端部からから光を出す円錐を作る。光は、ファイバーの出口開口にわたって空間的に平均化されるが、角度は、ファイバーが内視鏡の長さを通過するときのファイバーの湾曲のため広がりが緩やかである。示された実施例は、励起照明及び基準照明の正規化された角度方向の強度分布が、自家蛍光正規化方法により要求とよく適合することを保証する。例えば、正規化された基準照明が、図8cに示されるように領域831において正規化された励起照明を局所的に越えるならば、解析は、誤って、この領域における低下した自家蛍光を示す。正規化された基準照明が正規化された励起より2倍以上大きい場合は、解析は閾値条件を50%に設定したときに形成異常の偽の陽性の表示を提供する。同様に、正規化された基準照明がある領域における正規化された励起照明の2倍以下であったときは、解析は自家蛍光がこの領域の同じ係数2で実際に減らされたとしても、正常な組織を示す。かかる大きい誤差は、照明野の中央ではありそうもないが、照明がノイズレベルに落ちる照明野の縁においては発生する可能性がある。基準画像及び自家蛍光画像の両者に置かれる閾値条件が、ノイズ又は縁の効果により影響をあまりにも受け易い場合は解析を試みないことを保証する。一般に、組合せ装置と組織表面との間の光路に沿った適宜の点において、励起光の強度分布に関して20%以下の(正規化された)860において見られるような基準光の強度分布におけるいかなる変化も維持することが説明される。組織表面における強度の最小の変動を達成することが最も重要である。ファイバー862から出た光は角度θで定義された円錐内にあり、波面864に沿った強度の変動は、偽画像の危険を最小にするために20%以下とすべきである。
【0044】
図8dは、励起/基準源の回転シャッターのデザインをより詳細に示す。各ブレードは、1ビデオフレーム期間33.3msで1回転する。励起シャッターブレード810の開口832により限定された角度は、通常の青の露光のための期間8.1msに相当する。ビデオフレームの関するUV露光のタイミングは、励起ブレード起点834を通る光パルスの立ち上がりと、図3に示されるような同期信号340の奇数フレームマークの立ち上がりとを適合させ得る位相固定ループにより設定される。光学系トレーンにおける励起ビームの見掛けの位置は、破線の円836のマークが付けられる。光パルスの全立ち上がり時間で示されるシャッター直径に対するビームの直径の相対寸法は1.7msであり、こ
れはパルスの全長と比較し容認できる。ブレード810は薄く軽量でかつ不透明でありステンレス鋼又は繊維ガラス強化エポキシのような材料から作られる。
【0045】
慣性モーメントの最小化は、PLLによるシャター回転速度の固定を簡単にする。不透明であることは、光の漏洩の防止のために重要である。車の中央ハブ840のまわりの切除部838は薄いブレード固定部を残し、これにより車はモーターの回転軸線に直角に止まるようにその回転時に僅かに撓むことができ、モーター軸受における振動と応力とを最小にする。シャターの外側の連続した縁は、最も敏感である軸線から最大距離においてタイミングの起点を支持するように作用し、かつ組立中及び試験中の不慮の接触の場合に安全機能を果たす。可視基準シャターの開口844はビデオのタイミングシーケンスの通常の緑又は赤の期間に適合するように位置決めされる。この装置は、各フットスイッチ信号について1個の偽色画像を提供し、又は30Hzのビデオフレーム速度のある約数において一連の処理された画像を提供する。
【0046】
標準パーソナルコンピューターシステムは、獲得データを処理し、毎秒10フレームで偽色画像を更新することができる。この早さは、円滑な運動の印象を与えるに十分に早く、かつパルス化されたランプ電流におけるかなりの増加を許すに十分に遅い。30Hzの低位の約数(7.5Hz又は6Hz)における運転は、適切なリアルタイムのフェードバックをなお提供し、かつランプにおける公称100Wの平均電力消費を越すことなくより高いパルス電流(従って、より明るいUV照明)を許す。
【0047】
図9a−9cは、光ファイバープローブの詳細を示し、これは、上述された光源から内視鏡内の生検用通路を通って内視鏡の末端部における組織にUV及び基準の光パルスを送る。給送ファイバー900は、UV及び基準光の波長の両者を伝達し、光源と効率的に結合し、かつ内視鏡の先端部の柔軟性に大きな影響を与えないように十分に柔軟でなければならない。
【0048】
ファイバーは、複数の小直径の熔融シリカファイバーで作ることえきるが、好ましいシステムは、直径が1.5から2mmの1本のUV透過性のアクリルファイバーを使う。適切な一つの特別なアクルルファイバーは、トレイ・インダストリイ社製造のレイテラポリマーオプティカルファイバーである。単線ファイバーシステムは、多ファイバーバンドルのパッキング摩擦損失を無くすことにより結合効率が増加する。複数の内部空洞がなくなることによっても手順間の滅菌過程の信頼性を高くする。
【0049】
プローブ先端の窓902は、図9bに示されるようにスリーブ904及び間隙906、908及び910内の低蛍光エポキシにより保持される。薄い生体親和性の熱収縮チューブのシースが、光ファイバーの薄いクラッディングを保護する。ファイバー900、シース912及びスリーブ904間の空隙の位置914にあるエポキシの帯が滅菌に対してプローブを保護し、かつシースを定位置に保持する。この形式のファイバーは、光が60゜円錐に亙って出ることを意味する0.5の開口数NAを持つ。平面窓を有するプローブは、典型的な内視鏡の最大視野120゜の約半分しか照明しない。
【0050】
図9cは、平面窓902の位置に置かれかつ光ファイバーの端部との間に空隙918を有する凹レンズ916を示す。凹レンズは励起照明強度を犠牲にして照明視野を大きくする。追加の凹レンズは視野を更に拡大させるであろう。図9cのようなプローブの設計は大きい面積の走査用に最適であり、一方、図9bの平面窓の設計は、形成異常のより局所的な領域の走査に最適である。これらの窓又はレンズは、UVの透過を最適にするために熔融シリカ又はUBK−7で作ることができる。しかし、BK7のようなmm厚の普通のガラスは、励起照明の大きい部分を吸収することはない。もし、ある特別な形式給送用ファイバーにおいて青蛍光のレベルが蛍光画像を劣化させるならば、レンズ又は窓は、ショ
ットUG−1のようなUV透過、青阻止、赤透過のガラスで作ることもできる。かかる追加の濾波は、Paytelaファイバーを使用するプローブ設計においては要求されない。
【0051】
好ましい実施例においては、UV透過プラスチックから上記のプローブを作ることは、1回の使用でプローブ全部を廃棄できるということについて、熔融シリカ構成と比べて費用を引き下げるであろう。
【0052】
図10a及び10bは、図3に示された自家蛍光画像化システムを、標準のカラーCCDビデオ内視鏡1000とともに使うためにいかに変更し得るかを示す。この形式の内視鏡においては、画像検出システム1002は、CCD検出器の離散的に濾波された画素と同時に赤、緑及び青の光を検出する。この形式のビデオシステム用の照明源1008は、連続した広帯域の白色光を発光する。この光は、変更された自家蛍光画像化システムとともに使用するシャッター1010を開閉させるために回転させることがなお必要である。この実施例においては、励起/基準光源1018が、自家蛍光のピークがある青及び緑の波長において光を大きく排除する(1000:1より大)光学系トレーン1020により2種の波長を同時に作る。連続照明のスペクトルが図10bに示される。
【0053】
自家蛍光の検出のために、相補的なシャッター1010と1024とが前と同様にトリガーされ、励起光及び基準光の両者で同時に組織を照明させる。次いで、UV誘起の(まず460nmにおける)自家蛍光が、CCDカメラの青応答画素により検出される。赤応答画素により、赤の基準反射画像が同時に検出される。カラーCCDカメラは、典型的に電子式シャッターを使用し、このため、読取りのための暗期間を必要としない。この実施例においては、励起/基準光源1018における回転シャッターは、戻止めにより開口位置に停止されるか或いは自家蛍光システムがカラーCCDビデオ内視鏡によってのみ使用される場合に全部無くされるかのいずれかである。従ってUV照明は、全フレーム33msの間、継続し一体化された可視蛍光と基準信号を大きくし、パルス電流供給に対する必要性を無くす。ランプ電流供給装置1022は、ランプの過熱なしに1個の画像のために時々パルス化することができる。解析は、前のように、RGB NTSC信号の赤チャンネルに出現する基準画像及び青チャンネルに現れる自家蛍光画像により進められる。
【0054】
本発明による蛍光画像内視鏡においては、UV励起光パルス及び可視基準光パルスの両者は、標準内視鏡の生検用通路を通して挿入された光プローブを経て組織に送られる。或いは、励起光及び基準光は、内視鏡の照明用バンドルがUV及び可視の波長を透過するように変更された場合は、このバンドルを通過させることができる。必要なことは、励起光及び基準光が、たとえ異なった光源で作られたものであっても、これらが内視鏡の末端から出たときに同じ角度分布を有することである。
【0055】
図11a−11dは、UV透過内視鏡、通常の画像化用の標準の白色光源、別の励起光源及び接続箱を使用する自家蛍光は増加システムの実施例を示す。1個のユニットにおいて白色光、励起及び基準の機能を組み合わせている専用の光源より前に変更された内視鏡が開発されていたとすれば、このシステムが使用される。この中間の装置においては、アダプターボックス1100が標準白色光照明器1102とUV透過ビデオ内視鏡の電気/光結合用プラグ1104との間に取り付けられる。光結合用プラグ1106は、通常は、照明光を集め、これを内視鏡の照明用バンドル内に通過させるように可視光源1102内に直接取り付けられる。この実施例においては、光結合用プラグ1106はアダプター1100内に設置され、そしてアダプターの反対側の同様な光結合用プラグ1108は可視光源1102内に取り付けられる。1組の画像化用光学系1110が、プラグ1108の出口開口から出た光をプラグ1106の入口開口に伝達するであろう。この画像化用光学系の組は、光ファイバー1112から出た別の光源からの励起光をプラグ1106の入口
開口に伝送するであろう。
【0056】
画像化用光学系の組が図11bに詳細に示される。励起照明と可視照明の共通軸上への組合せは、ダイクロイックビームスプリプターキューブ1114により達成される。アクロマート1118が、プラグ1108の出口開口の点1118から広がっている可視光を平行にする。第2のアクロマート1120が、この光を、プラグ1106の入口開口上の点1122に再び焦点を結ばせる。熔融シリカレンズ1124及び1126は、励起給送用ファイバー1112の出口開口上の点1128からの光を平行にする。これらレンズの位置は、実際には、アクロマート1120がUV波長用に補正されいていないため、点1122の上に点1128の最良の像を提供するように調整される。
【0057】
この実施例においては、基準照明は、可視光源からの通常の赤の照明光から誘導される。フィルター1130が、UV波長、青及び緑波長を強く減衰させる赤吸収ガラスで作られる。フィルター1130は、図11cに示される摺動ベース1134上に取り付けられ、そして自家蛍光画像化が使われるときは電気機械式に光路内に切り替えられる。UV光源のシャッターが同時に開かれる。このとき、カラービデオ内視鏡が同時に使用されるか、或いはカラーホイールビデオ内視鏡が逐次的に使用されるかのいずれかであるばらば、組織はUV及び基準光の両者により照明される。フィルター1132は、通常の可視波長の全てを透過する透明ガラスである。フィルター1132は、レンズ1116の焦点が一定のまま留まるように通常の照明が使われるときは、電気機械式に切り替えられる。
【0058】
内視鏡照明用バンドル1136がUV透過性であり柔軟かつ長く続くものであるためには、これは、通常のガラスファイバーではなくて熔融シリカ光ファイバーで作らねばならない。透明度以外の両材料間の主な光学的な相違は、熔融シリカファイバーは、一般にガラスファイバーより小さい開口数を有することである。このことは、光が、熔融シリカファイバーから小さい角度で出て集められることを意味する。照明用バンドルは、点1138において分岐され、内視鏡の末端の光ポート1140及び1142から出る。ポート1140及び1142におけるレンズ素子は、現存のガラスファイバー用内視鏡と同じ照明角度維持するように変更されねばならない(より凹に作られる)。
【0059】
内視鏡の末端のビデオ画像化検出システム1144は、その信号を、内視鏡内の電線1146を通って戻し結合用プラグ1104の電気コネクター1147に送る。アダプターボックス1100において組み合っているコネクターは、アダプター1100を経て送られたこれら信号を集めてプラグ1147と同じ結合用プラグ1148に伝え、ビデオプロセッサーへの電気接続を完成する。前と同様に、自家蛍光及び基準画像の解析が始まる。
【0060】
UV可能な内視鏡が利用できると、自家蛍光画像化の全能力が内視鏡システム自体に含まれるように、励起源を内視鏡光源及びビデオプロセッサーに組み込むことができる。この好ましい実施例が図12に図式的に示される。電気/光結合用プラグ1200が、励起、基準/白色光源及びビデオプロセッサー1202に直接挿入される。このシステムは、正確に、図11a−11dに示された実施例のように作動し、ダイクロイックキューブビーム結合システム1204及び基準光フィルターシステム1206を使用しているが外部アダプターの必要はない。
【0061】
可視の青・緑自家蛍光の総合的な低下は、この点に対して記述された画像化システムについての組織形成異常の1次指標である。これら画像化システムは、組織画像における各画素ごとの1個のパラメーターによる自家蛍光の低下を特徴とする。この低下の特別な原因は、参考文献してここに取り入れられたゾニオス他によるMorphological
Model of Human Colon Tissue Fluorescence,IEEE Trans.Biomed.Eng.,43(2),113−122,1
996において説明された。主なフルオロフォア(fluorophore)はコラーゲン、薄い筋肉層内に見いだされかつ粘膜下組織層の卓越した要素である結合組織の第1のプロテインである。形成異常組織の自家蛍光は、筋肉層内の細胞が大きくなりコラーゲンが押し出されたとき、及び増加した血管新生によりヘモグロビンが組織に加えられたときに低下する。ヘモグロビンは蛍光の幾分かを吸収する。(吸収のないときの)組織の内因性蛍光及び組織内のヘモグロビンのレベルが、形成異常の可能性の正確な判定に対する画像化システムの能力を改善する。
【0062】
上述の画像化システムは、標準のカラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡の獲得期間、33msにおける3個の利用可能な画像化期間の内の2個を使用する。1期間中は、励起用紫外線が組織を照明し自家蛍光画像画像Fが得られる。第2の期間中は、可視の赤の光が組織を照明し、基準画像Rが得られ、これが組織における紫外線照明の強度分布を決定する。これら2個の画像の比が画像の各画素について1個のパラメーターF/Rを作り、これがその点における自家蛍光全体の相対レベルを示す。形成異常の可能性のある場所を目立たせるアルゴリズムは、各画素についてのF/Rパラメーターに適切な閾値を割り当てることが第1である。
【0063】
以下説明されかつ図13A及び13Bに示される改良された画像化システムは、より完全な分光分析をできるように追加の可視反射画像を獲得するために第3の画像化期間を使用する。このシステムにおいては、UV励起光により誘起された蛍光スペクトルに近い中心波長と帯域幅とを有する卓越した青い光が組織の上に向けられる。前と同様に、この青い光は、紫外線励起照明及び可視の紫基準照明と同じ照明ポートから出て同じ角度方向強度を持つ。得られた青の基準画像Bは、これら青の波長において組織の化学的形態が光を吸収する領域、従って吸収過程により本来の自家蛍光が低下した組織の区域を示す。前と同様に、赤の基準画像Rは組織表面における3種の波長の全部の照明強度の尺度として使うことができる。各画素ごとに(主にヘモグロビン)吸収を示すための特別なパラメーターは、比B/Rである。2個のパラメーターF/R及びB/Rは、形成異常を示す組織の画像化された区域を決定するために画素ごとに利用可能である。2種の基本的な方法を使用することができる。その一方においては、本来の蛍光の値をより精密に示すために、F/R比を、B/Rパラメーターにより修正することができ、これが1個の変更されたF/Rパラメーターを作り、前のように、これに閾値が適用される。第2の手順は、F/R及びB/Rにより定義される2次元表面を使用し、これが形成異常の可能性を示すことができる。双方の場合とも、どれがハイライトであるかを決定するための閾値が、F/R及びB/Rの測定値の比較により臨床試験中に決定され、これら組織から採取された生検標本についての病状の結果を報告する。
【0064】
図13a及び13bのシステムは、前と同様に水銀アークランプ光源1300を使用する。紫外線波長及び全範囲の可視波長の両者を含んで作られた光を集め、平行にするために同じ光学素子1302及び1304が使用される。紫外線照明の光路は同じままである。ダイクロイックミラー1360がUV光の大部分及びUV反射回転ミラー1308の幾らかの可視光を反射する。この場合も、UV光の大部分は反射され、一方、可視光の大部分はは1308の基層内に吸収される。UV帯域通過フィルター1310が残った可視光の殆ど全部を除去し、このため僅かなUV光しかタイミング車1312に達しない。タイミング車1312は、連続したUV光がビデオ結腸鏡の1露光期間中、通過することを保証する。別のダイクロイックミラー1314及び全反射ミラー(UV及び可視の両者)1318が、UVビームを焦点用レンズ1318に向ける。絞り1320が給送用ファイバー1322から出ていくUV光の角度の広がりを定める。給送用ファイバー1322は、組織を照明するために、すべての照明波長を結腸鏡の端部に送る。
【0065】
改良された自家蛍光画像化システムと先に説明されたシステムとの間の相違は、可視波
長がシステムを通る経路にある。青及び赤の波長は共に可視タインング車1324に近づく。この車は、ビデオ結腸鏡の2個の残った露光期間中、光の通過を許す2個の開口を持つ。車の開口の一つは赤フィルター1326で覆われ、このフィルターは基準画像Rについての適切な波長を通過させる。これらの波長は、組織におけるヘモグロビン吸収帯及び組織に光を送るために使用される光ファイバーの吸収帯の両者を避けるように選定される。濾波される光は、多層ダイクロイックコーティングを使用できるようによく平行にされるが、色ガラス又はプラスチックで作られた単純な吸収フィルターが適切である。タイミング車1324の第2の開口は、励起光により作られる本来の蛍光のスペクトルに近い広帯域の青のフィルターで覆われる。このフィルターの特別な帯域通過スペクトルは、ヘモグロビンにより吸収される波長を含むことができかつ十分に再現可能であり、従って得られた解析プログラムは、他の装置により使用することができる。第2の開口は、ビデオ結腸鏡の第3の露光期間に適合する。図13に示されるように2個の車のタインング穴1330及び1332通過する光に応答する光電式検出機が位相固定ループ用の電気パルスを提供し、これが、ビデオ結腸鏡のビデオ獲得システムと同期を取られた状態にタインング車を保持する。
【0066】
改良された3色診断システムと2色システムとの間のその他の相違は、青及び赤の両方の可視波長を反射する広帯域反射ミラー1334、及び可視波長における熔融シリカ集光レンズの長い焦点距離を補正する長焦点アクロマティックレンズを含む。
【0067】
本発明はこの好ましい実施例を参照して特に図示され説明されたが、本技術熟練者により、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から離れることなく形式及び詳細における種々の変更をなし得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】370nm紫外線の励起による正常及び形成異常の結腸組織の蛍光スペクトルの図である。
【図2】本発明による光ファイバー給送プローブシステムの図式的な線図である。
【図3】カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡の生検用通路を通してUV励起光を送る別個の光ファイバーの光ガイドを使用する本発明の蛍光画像化内視鏡の図式的な線図である。
【図4】出力画像の生産のための流れ図である。
【図5】本発明による画像の獲得、解析及び表示の諸プロセスのためのタイミング図を示す。
【図6】本発明によるパルス電流の関数としての水銀アークランプからのUV出力を示す。
【図7】本発明によるコンピューター制御のパルス化されたランプ電力供給装置の図式的な線図である。
【図8】本発明によるパルス化光源の光・機械要素の詳細を示す。
【図9】本発明の使用される光輸送ファイバーの構成を示す。
【図10】カラーCCDビデオ内視鏡の生検用通路を通してUV励起光を送る別個の光ファイバーの光ガイドを使用する本発明の画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図11】内視鏡内にUV透過の照明ガイドを一体化しかつ外部UV励起源をアダプターモジュールにより標準の白色光源に連結する画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図12】UV透過照明源の取り付けられた内視鏡用の聡明システムに励起光源と白色光源とを全部一体化した画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図13】照明及び採集用の内視鏡画像化システムの別の好ましい実施例を示す。
【政府の支持】
【0001】
本発明は、全般的に、又は部分的に、National Institute of Health,Grant No.R44CA72626,Imaging Spectrofluorimater for Colonic Dysplasiaからの認可により支持される。政府は本発明における幾つかの権利を持つ。
【関連出願】
【0002】
本願は、1999年1月26日付け米国出願09/238664号の一部継続出願である1999年7月28日付け米国出願09/362806号の一部継続出願であり、これら出願の全文は参考文献としてここに組み入れられる。
【発明の背景】
【0003】
進行したガンは効果的に治療することが困難であり、このため、これらを形成異常のようなその前ガン段階又は上内皮ガンのような段階で検出することが重要である。現在は、早期発見に最も広く使われる方法としては、内視鏡による観察検査が使用され、これは、形成異常に伴う大きな構造的変化の認知に関係する。観察検査は、潰瘍性大腸炎及びバレット食道のような平らな形成異常の表面領域の検査には効果が少ない。これらの場合は、サーベイランスには生検及び続く組織解析のための代表位置の選択が必要である。この方法では、結腸のような大きい面積のごく小さい部分だけしか監視できず、小さな面積の形成異常は発見されないことがある。平らな形成異常を検出するためのより効果的な方法は、ガンの罹患率、致死率、及び費用を大きく減らす手段を提供するであろう。
【0004】
内視鏡検査中に成型異常を検知するための期待される技術は、適切な波長の光で組織を照明し、得られる蛍光を観察することを含む。組織蛍光は、励起照明より長い波長で発生しかつ典型的に極めて弱く、このため、その検出には一般に分光技術が必要である。蛍光情報を使用する診断方法は、一般に二つの範疇に分けられる。方法の第1のグループは、患者に投与され腫瘍組織内に蓄積される薬品からの蛍光を観察する。方法の第2のグループは、天然物質から組織自体に生じて組織が形成異常になったとき相対的濃度が変化する内因性蛍光又は自家蛍光を観察する。この2種の一般的な蛍光方法のうち、薬品の事前投与を必要とする第1の方法は侵襲性がより大きい。これら薬品の適用は余分な時間を取りかつ悪い副作用の可能性がある。自家蛍光検出に基づく方法は、侵襲性が少なくかつスクリーニングのための内視鏡に適している。
【0005】
正常な結腸組織は、例えば370nmの紫外線で照射されたとき、図1に示されるように450nmにピークのある広い青色の蛍光を示す。この蛍光は、コラーゲン、薄い筋肉層内に見いだされかつ粘膜下組織層の卓越した要素である結合組織の第1のプロテインに起因する。形成異常の結腸組織の蛍光は、その構造及び化学資質の変化により、典型的に、同じ照明で与えられる強度の2分の1から3分の1である。紫外線ないし紫の励起光により作られる可視の青緑の自家蛍光のこの減少は、形成異常組織の1次指標として認められている。600nmと比較した680nmにおける相対的な蛍光の増加が成型異常の2次指標である。
【0006】
自家蛍光を検知する診断装置は2個の一般グループに分けることができる。第1の部分は組織における本質的な点測定を行うために光ファイバープローブを使用する装置を含む。第2の部分は、詳細な2次元画像を作る装置を含む。点の検出装置は、組織におけるより完全なスペクトル情報を提供する長所を持っているが、大きな組織面積の日常的なスクリーニングに対しては余りにも時間を要しかつ小さい形成異常区域を見落とすことが有り
得る。蛍光画像化内視鏡は、結腸のような大きい組織面積をスクリーニングするにはより適切である。
【0007】
対象領域に加えられた蛍光マーカーの濃度を感知するように設計された蛍光画像化システムは、比較的高い蛍光レベルの測定に対して最適であるように作られ、本来弱い自家蛍光の測定に要する追加の装置特性については説明されていない。特に、励起の強度と比較して強度が1000分の1又はそれ以下に小さい自家蛍光を、効果的に測定できるであろう励起照明用の十分な帯域外濾波を提供する方法は説明されていない。
【0008】
自家蛍光を測定するように特別設計された蛍光画像化内視鏡は、選択された励起波長及び自家蛍光の低下の程度を定量する方法に基づいて更にグループ分けされる。これらの設計の選択は、例えば、画像化装置の所要数、装置の光・機械的な複雑性、及び実用の際の装置の取扱い特性に影響を与えるので、装置に対する商業的な考慮と直接関係する。
【0009】
励起式蛍光画像化内視鏡システムは、励起用の波長として440nm付近の可視の青色を使用し約500nmの蛍光ピークを生ずる。これら装置は、励起光用の明るく制御が容易な光源として442nmのヘリウム・カドミウム・レーザーを使用する。ヘリウム・カドミウム・レーザーの高価格が、これらを商業用装置の光源として非実用的なものとさせる。
【0010】
複数のカメラ及び機械的に切り替えられる光学要素及び/又はフィルターは、コヒーレントな画像化用ファイバーバンドルに基づいた内視鏡の使用を必要とし、このため、カメラ及びフィルターは、これらのための空間のある内視鏡の手元側端部に置くことができる。コヒーレントな画像化用ファイバーバンドルは大きな光の損失を導き、かつビデオ内視鏡に利用し得るような鮮明な画像を提供しない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、画像化用内視鏡に関し、特に上皮組織から形成異常の激しい領域への蛍光を画像化する内視鏡システム及び方法に関する。形成異常組織を検出するためのシステムは、結腸、食道、口腔、頸部及び肺のような粘膜組織の自家蛍光を使用する。本発明の内視鏡に現れる蛍光画像は、選択された範囲の励起光波長と蛍光の正規化とを利用する。これらの選択が、白色光画像化と蛍光画像化との両者について、ビデオ内視鏡の末端の1個の増強されない画像化検出器を必要とする改良された内視鏡を与える。画像化検出器は、可視及び赤外線領域を検出し得るCMOS画像化装置、電荷結合装置(CCD)又はその他の小型2次元画像化センサーのような画素統合回路とすることができる。
【0012】
本発明のシステムは、白色光と蛍光可視化方法との間を電子的に切り替える能力を有し、内視鏡は,それ自体が内部に運動部品のないことが必要である。内視鏡の手元側端部におけるカメラと画像化用光学系を無くすことは、その取扱い性を大きく改善する。コンピューターに基づく画像化システムは、例えば10Hzまで又はそれ以上の更新速度で表示される組織の画像を定量化することができる。好ましい実施例は、組織の形成異常の疑いのある区域を表示する見やすい偽色の重なりを使用する。「偽色」とは、各画素について、蛍光の強度のある特定のレベルにある色値が割り当てらることを意味する。データ処理システムは、与えられた形式の組織条件を画像化するに適したカラーシステムを提供する。システムは、(例えば、単色CCDを使用した)カラーホイール(color wfeel)ビデオ内視鏡又はカラー画像化センサー内視鏡と共に使用することができる。
【0013】
好ましい実施例においては、1998年1月26日付けのワン他の米国暫定出願60/072455号において説明されたように近紫外線が選ばれる。300−420nmの範囲におけるこの選択は、ビデオ内視鏡に使用されたとき標準の電子式画像化センサーが励
起光に感度なしであるという事実により、組織と画像化検出器との間に追加のファイバーの必要性を減らし又は無くす。画像化検出器が非常に敏感な可視の赤い光が、基準画像の獲得を目的として組織を照明する。この基準光は励起光と同じ光ガイドを通り、そして励起光と同じ正規化された空間分布及び角度分布で組織を照明する。反射画像用に使われた光及び蛍光画像用の光の空間強度及び角度分布を相関させることにより、より正確で診断に有用な画像化システムが提供される。本発明のこのシステムは、蛍光強度の局所的減少を正確に定量できるように蛍光画像を正規化するために基準画像を使うことを許す。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡を使っている別の好ましい実施例においては、基準光と励起光途とは逐次適用される。カラーCCDビデオ内視鏡を使用する別の好ましい実施例においては、蛍光励起光と基準光とは同時に適用される。
【0014】
ビデオ内視鏡の第3のカラーチャンネルを使って追加の基準画像を得ることができる。この画像のために組織に向けられた基準光は色が卓越した青でであり、そしてUV励起光により誘起された蛍光のスペクトルに近い中央波長及び帯域幅を持つ。この青の基準画像Bの赤の基準画像Rに対する比B/Rは、画像化された組織において化学資質(卓越してヘモグロビン)が、本来の蛍光の幾分かを、これが組織から出る前に吸収する区域を確定する。蛍光画僧Fの赤の基準画像Rに対する比F/Rの獲得は、2個のパラメーターF/R及びB/Rを提供し、これは、形成異常のような異常組織が画像化された対象区域内にあるか否かを決定するために画素ごとのベースで使用することができる。
【詳細な説明】
【0015】
本発明の以上及びその他の目的、特徴及び長所は付属図面に示された本発明の好ましい実施例の以下のより特別な説明から明らかとなるであろう。図面においては全図を通して同じ番号は同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺によらず、本発明の原理を示すために誇張が行われている。
【0016】
本発明は、上皮組織から形成異常の強い領域への自家蛍光を画像化するシステム及び方法に関する。本発明による組織自家蛍光画像化システムは、現存のビデオ内視鏡システムに、内視鏡自体を変えることなく内視鏡の可視光源の光路にシャッターを追加するだけで、前述の現在技術の状態をその最も単純な形式で改良することができる。従って、内視鏡の取扱い性は、現在市場にある蛍光画像化システム用の手元側端部内の外部カメラ及び画像の増感装置により悪影響を受けることがない。フルカラーの通常の可視光画像化と蛍光画像化との間の切替えは、医師による物理的操作ではなくて、現在のシステムにより求められる電子式切替えにより達成される。得られた蛍光ビデオ画像はコンピューターにより処理され、臨床医の見る診断用画像は見慣れた(グレイスケールの)可視光画像であり、正常な組織からの蛍光と比較して画像内の組織からの蛍光が少ない区域は、重ねられた偽色で示される。この画像は、現在システムにより提供される組み合わせられた赤/緑の生の蛍光画像より解釈が非常に容易である。特に赤/緑色盲の臨床医にとってはそうである。
【0017】
本発明のシステムは、通常のカラー画像、蛍光画像及び可視干渉画像を獲得するための内視鏡の末端の1個の画像化用検出器を使用するだけである。紫外線ないし深紫の波長の蛍光励起光を使うことにより、末端におけるカメラの使用が可能となる。この波長に対しては、CCDカメラは感度が悪く又は固定フィルターの使用により感度を下げることができる。これにより、青から赤に至る波長で得られた組織自家蛍光の広帯域の収集ができ、追加の画像増感の必要なしに十分な光で効果的なビデオ信号が得られる。この方法の蛍光画像化は、1999年1月26日付け米国出願09/238664号「蛍光画像化内視鏡」において説明されたようにワン外により生体内で説明されている。
【0018】
従来の自家蛍光画像化システムは、画像を提供するために、青緑の波長で得られた蛍光
画像と比べて赤の波長の非常に弱い蛍光の画像化に依存していた。有用な赤の蛍光画像を提供するためには追加の画像増感が特に必要である。本発明の自家蛍光画像化システム及び方法は、基準画像を得る目的で組織に追加の可視の赤い光の照明を供給することにより、この費用及び難点を避ける。しかし、効果的であるためには、UV励起光及び可視の基準光は共通の光ガイドを通って組織に送らねばならず、かつ同じ角度分布で同じ照明装置から出なければならない。これには、励起光及び基準光源の光学系の注意深い設計が必要である。基準画像の処理は、蛍光画像には生じない可視の正反射のようなアーティファクトをなくすために、ヒストグラム解析のような別の特徴を含む。
【0019】
本発明によるシステムの装置の組合せは、自家蛍光画像化システムの組み合わせられる内視鏡に依存して幾つかの異なった方法で具体化される。これら装置のあるものは、臨床医により技術が容認された段階で、内視鏡に組み込むことができる。
【0020】
好ましい実施例においては、励起照明及び基準照明は、同じアークランプにより作られ、内視鏡の生検用通路を通過する同じ光ファイバープローブにより組織に送られる。別の実施例においては、励起光は独立光源により作ることができるが、UVを吸収する標準ガラスバンドルに代わって内視鏡に組み込まれたUV透過の照明用バンドルを通って組織に送られる。基準照明は、卓越した青の蛍光の画像化を妨害する可能性のある青及び緑の波長の光を吸収する赤色通過フィルターで切り替えることにより、通常の白色光照明源から送られる。深赤光源又は近赤外線(例えば670nm又はそれ以上)は、通常の可視照明に影響を与えることがなく、更に共通の光路に沿って送るためにダイクロイック素子と組み合わせることができる。更なる実施例においては、励起光源は、標準の白色光照明源と組み合わせ、そしてUV透過の光ファイバー照明用バンドルにより内視鏡を経て組織に送ることができる。回転車光源も、蛍光画像化と可視光画像化との両者を行うように4色、紫外線、青、緑及び赤を作るように変えることができる。
【0021】
図2a及び2bは、好ましい実施例の一般的な構成要素を示し、これにおいては、励起光及び可視基準光は、別の光ファイバープローブを経て組織に送られる。光ファイバープローブ200は、標準のビデオ内視鏡202の生検用通路を通過させられ、最後に、その先端が内視鏡204の末端部付近に置かれる。臨床医によりフットスイッチ206が押されると、内視鏡光源及びビデオプロセッサー208からの白色光照明がシャッターにより遮断される。この白色光は、通常は、内視鏡の末端の2個の光ファイバー照明ポート210と212とを通して組織を照明する。同時に、励起及び基準の照明源214の相補的なシャッターが開けられ、このため励起光及び基準光は光ファイバープローブ200を通過できる。励起光及び基準光は、光ファイバープローブ216の先端から出て、組織218を照明する。ビデオ画像検出システム220が、内視鏡202を通って戻った基準画像信号及び得られた蛍光画像信号をビデオプロセッサー208に送り、ここで標準R、G、Bナショナルテレビジョンスタンダードコミッティー(NTSC)ビデオフォーマットの異なったカラーチャンネル(R及びB)に変換される。これら2個のチャンネルは、コンピューターシステム222のビデオフレームグラッバー(framegrabber)によりデジタル化される。デジタル化された蛍光及び基準光の画像は、リアルタイムで一緒に処理され、正常な組織と比べて蛍光の弱くなった画像領域を量化する。弱くなった蛍光は、形成異常の1次指標である。形成異常の可能性のある組織の区域は、組織の処理画像において偽色で目立つようにされる。この処理画像は、コンピューターのモニター244上に表示され、10Hzまでの速度で更新される。図3a及び3bに示された好ましい実施例は、現存の内視鏡/ビデオ処理システムへの追加構成要素であり、内視鏡システムのビデオプロセッサーの白色光源への内部シャッターの追加を要するのみである。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に対しては、励起光源214は、以下、より詳細に説明されるように励起照明と基準照明とを逐次提供するように構成される。カラーCCDビデオ内視鏡については、励起光源214は、同じく後でより詳細に説明されるように、励起
照明と基準照明とを同時に提供する。
【0022】
ワン他により示された自家蛍光画像化システムは、UV励起源としてアルゴンイオンレーザーを使用する。380nmないし420nmの範囲で作動する窒化ガリウムレーザーダイオードのような固体レーザーを含む他のレーザー源を使うことができ、これは、より小型でありかつより低電力で作動する。本発明によるシステムは、UV励起源として約365nmの水銀ラインのあるスペクトル帯域を有する水銀アークランプを使用する。水銀アーク源は小型であり、かつアルゴンイオンレーザーより安価であり、比較的小電力しか必要でなく、更に空冷される。カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に使用される自家蛍光画像化システムに対しては、アークランプへの電流をパルス化することができる。カラーホイールビデオシステムにおいては、通常の光源が、33msのビデオフレーム中に赤、緑及び青の光を逐次提供し、これらはカラー画像を提供するためにビデオプロセッサーにより組み合わせられる。自家蛍光画像化モードにおいては、これらシステムは、正常の青い光のパルスをUVパルスで置換し、緑の光のパルスを(通常は赤の)基準光パルスで置換し、UVパルスと同じ光ファイバーを通して送られる。青い光が、通常はオンである8ms周期で、アークランプ電流をパルス化することにより、UV源は、33msのビデオフレーム期間の全部にわたってCWランプ強度が計画された場合になし得ると同じか又はより多くの励起フルーエンスを組織に提供できる。
【0023】
カラーホイールビデオシステム及びカラーCCDビデオシステムの両者により、励起/基準光源及び通常の内視鏡白色光源の相補的なシャッターを制御するフットスイッチにより、自家蛍光画像化モードが開始される。組織からの弱い蛍光を画像化するためには、通常の内視鏡照明のシャッターを閉じることが必要である。2種の異なった自家蛍光画像化モードを使うことができる。一方のモードにおいては、処理された自家蛍光画像からの重なった偽色の1フレームが直前の(又は直後の)カラー画像と組み合わせられ、そしてコンピューターのスクリーン上で凍結される。第2のモードにおいては、処理された蛍光画像は、フットスイッチが押されている限り(画像処理時間を許す約7.5Hzないし10Hzで)連続的に更新される。連続運転モードにおいては、可視画像が、形成異常の区域を示している偽色の重なりを有するグレイスケールで示される(画像が単色の基準照明で得られたため)。
【0024】
図3は、カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡に使用する蛍光画像化システムの好ましい実施例の全体の図式的線図を示す。カラーホイールビデオ内視鏡の通常の運転モードについては、形成異常である領域304を含む可能性のある組織302の区域を観察するために、内視鏡300の末端部が身体の空洞器官内に挿入される。CCD画像化装置及びレンズサブシステム(ビデオカメラ)306は、通常の照明装置308及び310の側に配置される。
【0025】
通常の照明光は、内視鏡の長さを伸びてその末端部付近で二股に分岐し開口308及び310で終わる光ファイバー312により送られる。照明源と光ファイバーバンドルとの間のシャッター314は、デジタル信号315により制御され、光源ランプ316を消すことなく白色照明を消すことを許す。示された形式の内視鏡においては、回転フィルター車318により提供される赤、緑及び青の光のパルスにより得られる3個の連続した画像を組み合わせることにより通常のカラー画像が得られる。この形式の内視鏡のCCD検出器は、400nmから700nmまでの間のすべての波長に対して感度があるが、自家蛍光を励起させるために使用される約365nmの波長のUV励起には感度がない。これは、シリコンセンサーのアレイの設計、及びアレイの表面を物理的に保護するために使われる光学材料の選定の両者による。CCD検出器は、その表面に落ちた光を連続的に統合する。そこで、CCD列が読取り用電子回路に移されている間は、照明はシャッターで遮断されなければならない。さもなければ画像にストレーキング効果が見られるであろう。赤
、緑及び青の光のパルスは約6msの持続時間を有し、これに5msの暗黒時期が続き、この間にカメラ画素が読み取られ、約33msの総ビデオフレーム時間又はNTSC標準に合致する毎秒29.97フレームを生ずる。CCDカメラからのアナログの読取り信号は、ケーブル320を通って内視鏡ビデオプロセッサー322に送られる。
【0026】
3個の連続した単色画像はデジタル化され、ビデオフレームの終わりに標準カラービデオ内に組み合わせられる。プロセッサーは、2グループの標準の赤、緑、青(RGB)パルス同期出力を持つ。カラー信号の一方のグループ324は、組織328の通常のカラー画像表示をするために内視鏡ビデオモニター326に行く。カラー信号の他方のグループ330は、自家蛍光画像及び基準画像を獲得し処理する蛍光画像化コンピューターシステム334のビデオフレームグラバー332に行く。ビデオプロセッサーからの標準合成カラー信号出力336は、National LM1881 Video processor Sync Separatorに基づいて同期回路338に行く。この同期回路338は、インターレースされた偶数又は奇数のフィールドがビデオ信号内に生じたときを判定し、そして奇数フィールド中は高く偶数フィールド中は低い2進デジタル信号340を出力する。この信号340は、内視鏡のビデオプロセッサーにより設定されるタイミングに、その諸機能を同期させるために蛍光画像化システム全体を通して使用される。
【0027】
臨床医は、自家蛍光画像化作動モードにするために、フットスイッチ341を押して、ケーブル342上の信号をコンピューター334に送る。同期信号340により決められた適切なときに同期された信号はシャッタートリガー線315から出て、通常の照明源のシャッター314及び励起/基準光源のシャッター343に送られる。線315上の信号がシャッター343を開き同時にシャッター314を閉じるように、これらのシャッターは相補的である。光学系グループ350の回転シャッター車により作られた励起光パルスと基準光パルスとは、光ファイバープローブ344内に通過する。プローブ344は、生検通路開口345内に挿入され、その端部の窓346が内視鏡300の末端又はこれをちょうど越える点まで通理内を滑り降ろされる。励起光パルスと基準光パルスとは、内視鏡の視野の中央部分を照明する。照明の発散角度は光学系の素子350、ファイバーの開口数、及び光ファイバープローブの端部の窓346に依存する。
【0028】
励起及び基準の光のパルスは、自家蛍光画像及び基準画像を正確に獲得できるように、3個の通常の照明パルス期間の内の2個内で生じなければならない。これらの画像は、内視鏡ビデオプロセッサーの3個のビデオ出力チャンネルの内の2個において、次のビデオ出力フレーム上に現れる。適切なタイミングが、光学系グループ350の励起光(UV)経路内の回転シャッター352及び基準光(赤)経路内のシャッター354により達成される。シャッターは、供給電圧を変えることにより制御可能な速度で回転する直流モーター356及び358により駆動される。シャッターのリムの近くの基準穴が、光源及び検出器と組み合わせられて、シャッター回転時におけるその位相をマークする基準パルスを作る。各モーター358及び356に対して位相固定ループ(PLL)362及び360がモーターの電圧を調整して、各に対する基準パルスを、奇数番目のビデオフレームの開始をマークする同期パルス340の立上がりを適合させる。
【0029】
シャッターの穴を適切に位置決めすることにより、励起光パルス及び基準光パルスは、カメラの露光期間と時期を合わせることができる。青の露光期間は他のものより幾分か長い(8.1ms)ため、励起パルスは通常の青の露光に適合するようにタイミングを合わせられる。次に露光期間の長いのは緑であるため、基準光パルスは通常の緑の露光(5ms)とタイミングを合わせられる。通常の青の露光期間にすぐ続く通常の赤の露光期間は、現在は使われていないが、追加の自家蛍光又は基準の画像或いは他の分光解析用の追加の可視反射画像を得るために使うことができる。励起露光中、励起光出力を大きくさせるために、水銀ランプへの電流がより高いレベルに増強される。ランプ電力の供給は、無効
電流を維持しランプを始動させるためにDC電流セクション366を使用する。
【0030】
DCセクション366と並列に接続されたコンピューター制御のパルス電流セクション368は、画像化システムにより要求されるようにランプの出力を変えるために、複数の並列結合された定電流源を急速に切り替えることができる。電流パルスは、回転シャッターを固定させるように作用する同じ同期パルス340を使ってビデオシステムに同期させられる。コンピューターのデジタル入力/出力(I/O)セクション370はデジタルパルス372を出力し、これはタイミングパルス340と組み合わせられて露光期間中のランプ電流を増強させる。並列にトリガーされる定電流セクションの数は、要求に応じて1組のデジタルコントロールライン374により変えることができる。組織が励起/基準送達用プローブの窓346に対して十分に近い場合は、増強は不必要である。コンピューター画像解析プログラム376により決定されたとき、総合制御プログラム378によりモニターされたとき、自家蛍光画像のピーク値が最低容認レベルに落ちた場合は、追加電流増給セクションが次の露光に対して要求されたようにすることができる。
【0031】
コンピューターのデジタルフレームグラバーにより自家蛍光画像及び基準画像が獲得されると、解析を開始することができる。内視鏡カメラシステムにより得られた反射(非蛍光)画像は、視野内の組織表面の輝度を測定する。組織表面がランバート反射(非正反射)である範囲まで、反射画像信号は、信号照明源から組織までの距離(又は複数光源からの重み付け距離)及びビデオフレーム中の励起照明の積分されたエネルギーに比例する。励起/基準送達用プローブの端部の窓346は、カメラレンズからの直接の視線内にはなく、従って可視の陰影があるであろう。そこで、反射画像は、自家蛍光画像の陰影の存在を含みカメラから見ることのできる組織における励起照明を測定するために使うことができる。ただし、これは、励起照明及び可視照明が、上述されたように光源の設計により提供されたと同じ横断強度プロフィルと発散角度で、同じ開口から出る場合にのみ真であることに注意すべきである。例えば、標準内視鏡の照明用バンドルからの光で得られた可視の反射画像は、その内視鏡の生検用通路を通過する別の光ファイバーからの励起照明を判定するためには容認されない。しかし、同じ開口/同じ発散条件は、励起及び基準の光パルスの両者を内視鏡の照明用バンドルを通過させることにより満たし得ることにも注意すべきである。
【0032】
可視基準画像及び自家蛍光画像を使用した形成異常の偽色表示を得るための継続した諸段階は以下の通り進行する。2個の画像は、まず、一般にフレームグラバーではなくてビデオモニターに接続されているビデオプロセッサーによりビデオ信号に加えられたガンマー係数について修正される。これにより、コンピューターのフレームグラバーにより獲得されたデジタル画像が、照明フルーエンス(時間積分された強度)の1次関数であることが保証される。次いで、2個の画像は、視野の何処かの一般に形成異常でない組織の領域であるそのピーク値に正規化される。基準照明の正反射のため飽和された基準画像に僅かな画素がある。これらは、基準画像のヒストグラムを作り画像をピーク値に正規化することで無くされる。これは、一般に画素の約99%を含む。
【0033】
値1(正反射)以上のすべての正規化された基準画像の画素は、値1にリセットされる。自家蛍光画像には正反射がなく、従ってかかるヒストグラムに基づいた正規化は不必要である。画素ごとに基づいた自家蛍光画像の値は、比率画像を作るために修正された基準画像値により割られる。この除算は、信頼し得る測定値を提供するためには照明が弱すぎた状態で解析を試みないことを保証するために、自家蛍光及び基準の画像の画素値が最低閾値条件以上である場合にのみ行われる。
【0034】
画像の画素値の比率が所定の値(典型的には2分の1から3分の1)以下に落ちた場合は、その画素は、形成異常の表示である組織表面の蛍光の減った領域を表す。処理された
出力画像の対応画素は、これを形成異常の相対的可能性を示すように偽色状態に設定することができる。比率画像の画素値が3分の1以下である場合は、対応している出力画像の画素の赤の値が基準画像の値に設定され、そしてこの画素の緑及び青の値はゼロに設定される(これは形成異常の高い可能性を示している陰影付きの赤である)。比率画像画素の値が2分の1から3分の1であるならば、処理された出力画像の画素の緑の値は基準画像値に設定され、そして青の値はゼロに設定される(これは、形成異常の中等程度の可能性を示す陰影付き緑である)。比率画像画素の値が2分の1以上である場合は、処理された出力画像の画素の赤、緑及び青の値はすべて基準画像値に設定される。(これは、組織が正常であることを示している陰影付きグレイである)。この処理された出だぞう386は、システムコンピューター334に取り付けらたLCDモニター384に表示される。
【0035】
図4は、患者が準備され、内視鏡が腹腔又は人体内に挿入され、その末端が対象領域の画像化のために位置決めされた後の過程のシーケンス400を示す。この特別な例においては、可視の基準画像が得られる402。この基準データが修正され404、ヒストグラムが作られ406、データが正規化され408、選定された画素がリセットされ410、そして閾値が適用される412。蛍光画像が得られた420後、画像が修正され424、正規化され424、閾値が適用され426、そして比率画像が作られる430。次いで、得られた出力画像又は表現が、基準と比較され432、そして正常440又は形成異常450と判定された領域が与えられる450。
【0036】
図5は、画像化過程の1サイクルについてのタイミング図を示す。最大ビデオ出力速度は、NTSC標準により29.97Hzに設定される。この線図は、獲得用に1フレーム時間、解析用に2から3の間のフレーム時間、及び結果を出力画像バッファーに送るための1フレームの一部分の時間を必要とするシステムを示す。この解析画像について得られた更新速度は毎秒7.5フレームである。1個の早いプロセッサーにより、解析時間を減らし、対応して更新速度を毎秒10又は15フレームに増加させることができる。画像解析は、例えば獲得と表示との間でわずか数フレーム遅らせることにより2個のプロセッサーを並列運転させて毎秒30フレームまでの出力速度で実行することができる。しかし、更新速度の増加は、100W以下の平均ランプ消費を維持するために、ランプへのパルス電流の上限を低くすることを必要とする。図5は、どのようにして水銀ランプ電流を青の露光期間だけ増強して自家蛍光画像を得るかを示す。ランプはその他の時間は低出力で無効状態にある。
【0037】
図6a及び6bは、本質的に、70%以上が無効状態であり、100W水銀アークランプからの8ms間のパルス化されたUV出力が、その公称定格出力の少なくも5倍以上までその入力電力の1次関数であることを示す。UV露光期間中のランプ電流の増強はランプ出力を大きくし、一方、形成異常のために走査される組織面積を大きくできる。また、これは、パルス毎に最適のビデオ露光に対するランプ出力を調整する手段を提供する。ランプの放電は、電流とは無関係にアークを横切るほぼ一定の電圧低下を維持するので、ランプの出力は本質的に電流と比例する。しかし、水銀を蒸気相に維持するために、ランプへの電力の約70%は、常に維持されねばならない。図6cは、定格CW電流の5倍以上の電流をパルス化することが、7.5Hzの速度で連続的に繰り返し得ることを示す。
【0038】
図7は、水銀アークランプ700に接続されたときのランプ電力供給のブロック図を示す。DC無効電流回路702及び高電圧(HV)始動用パルス回路704は、CW100W水銀アークランプ用に設計された1個の商業用電力供給装置により扱われる。定電流のトリガー付きパルス回路706が、蛍光画像化内視鏡の特別な要求に適合するように設計される。4個のこれら回路が並列に接続され、アークランプの出力を5種の異なった電力レベル(無作動状態を含む)の一つにデジタル的に設定できる。各回路は電力MOSFETスイッチより構成され、これは、通過電流を一定レベル、典型的には公称直流電流4ア
ンペアに相当するレベルに保つようにその抵抗値を調整する。これら回路は、組織を適正に照明するために電流増強が必要なときは、いつでもコンピューターにより個別にトリガーすることができる。各回路は、電流制限器712を経て電力供給装置710により充電された貯蔵コンデンデサー708からその電流を取る。この制限された電流の設計が、アークランプの電力扱い用コンデンサーを過負荷にさせる可能性のある故障状態の確率を最小にする。
【0039】
図8a、8b、8c及び8dは、励起/基準照明源の光学系の詳細を示す。図8aの1個の水銀アークランプ800は、UV/紫の励起光及び赤/近赤外線基準光の両者が内視鏡の末端部において同じ見掛けのソースボリューム(source volume)802を持つことが必要であるため、両方の波長の光源として使用される。小さい100W水銀アークランプは、0.5から1.0mmのアーク寸法を有し、これは、内視鏡の先端に光を送るために使用される光ファイバー内に効果的に結合させるに十分に小さい。励起ビーム及び基準ビーム用に別のランプを使うことができるが、光源の光学系に対する許容度及び光源アークの配列がより困難である。図8aに示された好ましい1個のランプの光源の設計においては、集光光学系804は1個の熔融シリカのUV透過レンズとして図式的に示される。事実上、集光されたビームにおける光学収差を減らすために、複数素子レンズの設計か又はシュワルトシルト対物レンズのいずれかが使用される。かかる集光光学系は、代わりの光源として、固定され予め整列された楕円反射器を有する市販の水銀アークランプの焦点ボリューム(focal volume)からの光を集めることもできる。ランプからの光が、UV及び/又は深紫の波長を反射して可視波長を送るダイクロイックミラー806の手段により効果的にUVと可視の成分に分けることができるように、集光光学系804がランプからの光を平行にする。
【0040】
2個の回転シャッター808及び810が上述されたようにビデオフレーム中の異なった時間にUV励起パルス及び可視基準パルスを作り得るように、2経路への分離が要求される。ダイクロイックミラー直後のミラー812のUV反射性表面コーティングは、この経路内の望ましいUV光の100%近くを反射しかつダイクロイックミラーから反射された望ましくない可視光の多くをその基板内に吸収する。素子814で示された追加のUVフィルターは、水銀の365nm線を中心とする多層誘電体帯域通過フィルター並びにショットUG−1ガラスのような吸収フィルターを含むことができる。460nmの組織蛍光の効率は僅かに約0.1%に過ぎないので、UV経路は可視光を高度に拒絶する。UV露光期間中の可視光源の漏洩は、自家蛍光画像のコントラストを減らす。デジタル画像処理中のかかる漏洩に対するある種の補正が可能であるが、補正は、常に結果に少量のノイズを加える。
【0041】
基準経路の第1の素子は、UVに比較して低い可視波長における熔融シリカ視準用レンズ804の屈折率を補正するための弱いレンズ816である。レンズ804の場所にシュワルトシルト対物レンズが使用されれば、かかる設計はムラーのみを使用し従って全体としては色消しであるため、レンズ816は必ずしも必要ではないことに注意されたい。近い検査距離における基準画像の飽和を防ぐために、減衰器を位置817において基準経路内に選択的に動かすことができる。この減衰器は、基準照明に要求される均一な角度方向の強度分布を維持するように、基準ビームが通過する面積を横切って一様でなければならない。この減衰は、可変の交差偏光の差動的に滑る線形の減衰くさびにより、又は電子機械式に切り替えられる固定値減衰器により達成することができる。示されたシステムにおけるように逐次的な励起/基準ビームが使用されたときは、基準ビーム経路内の可視フィルター818はUVフィルターよりも厳密でない。基準ビームの波長は、ヘモグロビンの吸収帯域を避けるように選ばれる。これは大きい吸収により、基準画像が励起照明の強度の測定値であるように想定させる誤ちを解析内に導くためである。回転シャッター808及び810がフィルターに続く。
【0042】
可視経路を続けて下るとシャッター808の後に、広帯域可視反射コーティングを有する回転ミラー820がある。ダイクロイックミラー806と同じ第2のダイクロイックミラー822が、UV励起ビームと可視基準ビームとを同じ経路上で再び組み合わせる。UVと可視光との両者を反射する1個の追加回転ミラー824が、両ビームを焦点用光学系826に向け、この光学系は、ビームを給送ファイバー828内に結合させる。回転ミラー824が、システムのUV及び可視の経路と同数の反射を作る。同数の反射により、集光用光学系804の位置に関する水銀アーク802の位置のいかなる変化も、励起ビーム及び基準ビームの両者に対して同じ角度偏差を生ずる。同じ偏差角度が、組織上の励起ビームと基準ビームとの重なりを保護する。組み合わせられたビームが到着ビームと同じ方向で光学系のトレーンから出る図8a−8cに示されたシステムは、全体として光学系トレーンの併進及び小回転の下で出力ビームの方向を不変にする。
【0043】
図8aに示された開口ストップ830は、UV励起ビームと可視基準ビームとが、給送用ファイバー828に入るときに同じ角度の収束を持つことを保証する。焦点用光学系826の位置における2個のビームの横断方向寸法は、2個の経路における光学系の位置決めの小さい誤差のため及びアークの有効放出容量における2個の波長間における僅かな相違のため常に僅かに違うであろう。開口ストップ830は、両ビームがその外側の縁において僅かに切り取られて光ファイバーへの最大の投入角度が両者に対して同じであることを保証するように設定される。図8bは、大きな角度について、ファイバー軸線に関する光ファイバーの投入角度が、ファイバー内の各反射の際に保持されることを示す。視準されたビームによる1方向からのファイバーの照明は、一般に軸線に関して同じ角度を有するファイバーの反対側の端部からから光を出す円錐を作る。光は、ファイバーの出口開口にわたって空間的に平均化されるが、角度は、ファイバーが内視鏡の長さを通過するときのファイバーの湾曲のため広がりが緩やかである。示された実施例は、励起照明及び基準照明の正規化された角度方向の強度分布が、自家蛍光正規化方法により要求とよく適合することを保証する。例えば、正規化された基準照明が、図8cに示されるように領域831において正規化された励起照明を局所的に越えるならば、解析は、誤って、この領域における低下した自家蛍光を示す。正規化された基準照明が正規化された励起より2倍以上大きい場合は、解析は閾値条件を50%に設定したときに形成異常の偽の陽性の表示を提供する。同様に、正規化された基準照明がある領域における正規化された励起照明の2倍以下であったときは、解析は自家蛍光がこの領域の同じ係数2で実際に減らされたとしても、正常な組織を示す。かかる大きい誤差は、照明野の中央ではありそうもないが、照明がノイズレベルに落ちる照明野の縁においては発生する可能性がある。基準画像及び自家蛍光画像の両者に置かれる閾値条件が、ノイズ又は縁の効果により影響をあまりにも受け易い場合は解析を試みないことを保証する。一般に、組合せ装置と組織表面との間の光路に沿った適宜の点において、励起光の強度分布に関して20%以下の(正規化された)860において見られるような基準光の強度分布におけるいかなる変化も維持することが説明される。組織表面における強度の最小の変動を達成することが最も重要である。ファイバー862から出た光は角度θで定義された円錐内にあり、波面864に沿った強度の変動は、偽画像の危険を最小にするために20%以下とすべきである。
【0044】
図8dは、励起/基準源の回転シャッターのデザインをより詳細に示す。各ブレードは、1ビデオフレーム期間33.3msで1回転する。励起シャッターブレード810の開口832により限定された角度は、通常の青の露光のための期間8.1msに相当する。ビデオフレームの関するUV露光のタイミングは、励起ブレード起点834を通る光パルスの立ち上がりと、図3に示されるような同期信号340の奇数フレームマークの立ち上がりとを適合させ得る位相固定ループにより設定される。光学系トレーンにおける励起ビームの見掛けの位置は、破線の円836のマークが付けられる。光パルスの全立ち上がり時間で示されるシャッター直径に対するビームの直径の相対寸法は1.7msであり、こ
れはパルスの全長と比較し容認できる。ブレード810は薄く軽量でかつ不透明でありステンレス鋼又は繊維ガラス強化エポキシのような材料から作られる。
【0045】
慣性モーメントの最小化は、PLLによるシャター回転速度の固定を簡単にする。不透明であることは、光の漏洩の防止のために重要である。車の中央ハブ840のまわりの切除部838は薄いブレード固定部を残し、これにより車はモーターの回転軸線に直角に止まるようにその回転時に僅かに撓むことができ、モーター軸受における振動と応力とを最小にする。シャターの外側の連続した縁は、最も敏感である軸線から最大距離においてタイミングの起点を支持するように作用し、かつ組立中及び試験中の不慮の接触の場合に安全機能を果たす。可視基準シャターの開口844はビデオのタイミングシーケンスの通常の緑又は赤の期間に適合するように位置決めされる。この装置は、各フットスイッチ信号について1個の偽色画像を提供し、又は30Hzのビデオフレーム速度のある約数において一連の処理された画像を提供する。
【0046】
標準パーソナルコンピューターシステムは、獲得データを処理し、毎秒10フレームで偽色画像を更新することができる。この早さは、円滑な運動の印象を与えるに十分に早く、かつパルス化されたランプ電流におけるかなりの増加を許すに十分に遅い。30Hzの低位の約数(7.5Hz又は6Hz)における運転は、適切なリアルタイムのフェードバックをなお提供し、かつランプにおける公称100Wの平均電力消費を越すことなくより高いパルス電流(従って、より明るいUV照明)を許す。
【0047】
図9a−9cは、光ファイバープローブの詳細を示し、これは、上述された光源から内視鏡内の生検用通路を通って内視鏡の末端部における組織にUV及び基準の光パルスを送る。給送ファイバー900は、UV及び基準光の波長の両者を伝達し、光源と効率的に結合し、かつ内視鏡の先端部の柔軟性に大きな影響を与えないように十分に柔軟でなければならない。
【0048】
ファイバーは、複数の小直径の熔融シリカファイバーで作ることえきるが、好ましいシステムは、直径が1.5から2mmの1本のUV透過性のアクリルファイバーを使う。適切な一つの特別なアクルルファイバーは、トレイ・インダストリイ社製造のレイテラポリマーオプティカルファイバーである。単線ファイバーシステムは、多ファイバーバンドルのパッキング摩擦損失を無くすことにより結合効率が増加する。複数の内部空洞がなくなることによっても手順間の滅菌過程の信頼性を高くする。
【0049】
プローブ先端の窓902は、図9bに示されるようにスリーブ904及び間隙906、908及び910内の低蛍光エポキシにより保持される。薄い生体親和性の熱収縮チューブのシースが、光ファイバーの薄いクラッディングを保護する。ファイバー900、シース912及びスリーブ904間の空隙の位置914にあるエポキシの帯が滅菌に対してプローブを保護し、かつシースを定位置に保持する。この形式のファイバーは、光が60゜円錐に亙って出ることを意味する0.5の開口数NAを持つ。平面窓を有するプローブは、典型的な内視鏡の最大視野120゜の約半分しか照明しない。
【0050】
図9cは、平面窓902の位置に置かれかつ光ファイバーの端部との間に空隙918を有する凹レンズ916を示す。凹レンズは励起照明強度を犠牲にして照明視野を大きくする。追加の凹レンズは視野を更に拡大させるであろう。図9cのようなプローブの設計は大きい面積の走査用に最適であり、一方、図9bの平面窓の設計は、形成異常のより局所的な領域の走査に最適である。これらの窓又はレンズは、UVの透過を最適にするために熔融シリカ又はUBK−7で作ることができる。しかし、BK7のようなmm厚の普通のガラスは、励起照明の大きい部分を吸収することはない。もし、ある特別な形式給送用ファイバーにおいて青蛍光のレベルが蛍光画像を劣化させるならば、レンズ又は窓は、ショ
ットUG−1のようなUV透過、青阻止、赤透過のガラスで作ることもできる。かかる追加の濾波は、Paytelaファイバーを使用するプローブ設計においては要求されない。
【0051】
好ましい実施例においては、UV透過プラスチックから上記のプローブを作ることは、1回の使用でプローブ全部を廃棄できるということについて、熔融シリカ構成と比べて費用を引き下げるであろう。
【0052】
図10a及び10bは、図3に示された自家蛍光画像化システムを、標準のカラーCCDビデオ内視鏡1000とともに使うためにいかに変更し得るかを示す。この形式の内視鏡においては、画像検出システム1002は、CCD検出器の離散的に濾波された画素と同時に赤、緑及び青の光を検出する。この形式のビデオシステム用の照明源1008は、連続した広帯域の白色光を発光する。この光は、変更された自家蛍光画像化システムとともに使用するシャッター1010を開閉させるために回転させることがなお必要である。この実施例においては、励起/基準光源1018が、自家蛍光のピークがある青及び緑の波長において光を大きく排除する(1000:1より大)光学系トレーン1020により2種の波長を同時に作る。連続照明のスペクトルが図10bに示される。
【0053】
自家蛍光の検出のために、相補的なシャッター1010と1024とが前と同様にトリガーされ、励起光及び基準光の両者で同時に組織を照明させる。次いで、UV誘起の(まず460nmにおける)自家蛍光が、CCDカメラの青応答画素により検出される。赤応答画素により、赤の基準反射画像が同時に検出される。カラーCCDカメラは、典型的に電子式シャッターを使用し、このため、読取りのための暗期間を必要としない。この実施例においては、励起/基準光源1018における回転シャッターは、戻止めにより開口位置に停止されるか或いは自家蛍光システムがカラーCCDビデオ内視鏡によってのみ使用される場合に全部無くされるかのいずれかである。従ってUV照明は、全フレーム33msの間、継続し一体化された可視蛍光と基準信号を大きくし、パルス電流供給に対する必要性を無くす。ランプ電流供給装置1022は、ランプの過熱なしに1個の画像のために時々パルス化することができる。解析は、前のように、RGB NTSC信号の赤チャンネルに出現する基準画像及び青チャンネルに現れる自家蛍光画像により進められる。
【0054】
本発明による蛍光画像内視鏡においては、UV励起光パルス及び可視基準光パルスの両者は、標準内視鏡の生検用通路を通して挿入された光プローブを経て組織に送られる。或いは、励起光及び基準光は、内視鏡の照明用バンドルがUV及び可視の波長を透過するように変更された場合は、このバンドルを通過させることができる。必要なことは、励起光及び基準光が、たとえ異なった光源で作られたものであっても、これらが内視鏡の末端から出たときに同じ角度分布を有することである。
【0055】
図11a−11dは、UV透過内視鏡、通常の画像化用の標準の白色光源、別の励起光源及び接続箱を使用する自家蛍光は増加システムの実施例を示す。1個のユニットにおいて白色光、励起及び基準の機能を組み合わせている専用の光源より前に変更された内視鏡が開発されていたとすれば、このシステムが使用される。この中間の装置においては、アダプターボックス1100が標準白色光照明器1102とUV透過ビデオ内視鏡の電気/光結合用プラグ1104との間に取り付けられる。光結合用プラグ1106は、通常は、照明光を集め、これを内視鏡の照明用バンドル内に通過させるように可視光源1102内に直接取り付けられる。この実施例においては、光結合用プラグ1106はアダプター1100内に設置され、そしてアダプターの反対側の同様な光結合用プラグ1108は可視光源1102内に取り付けられる。1組の画像化用光学系1110が、プラグ1108の出口開口から出た光をプラグ1106の入口開口に伝達するであろう。この画像化用光学系の組は、光ファイバー1112から出た別の光源からの励起光をプラグ1106の入口
開口に伝送するであろう。
【0056】
画像化用光学系の組が図11bに詳細に示される。励起照明と可視照明の共通軸上への組合せは、ダイクロイックビームスプリプターキューブ1114により達成される。アクロマート1118が、プラグ1108の出口開口の点1118から広がっている可視光を平行にする。第2のアクロマート1120が、この光を、プラグ1106の入口開口上の点1122に再び焦点を結ばせる。熔融シリカレンズ1124及び1126は、励起給送用ファイバー1112の出口開口上の点1128からの光を平行にする。これらレンズの位置は、実際には、アクロマート1120がUV波長用に補正されいていないため、点1122の上に点1128の最良の像を提供するように調整される。
【0057】
この実施例においては、基準照明は、可視光源からの通常の赤の照明光から誘導される。フィルター1130が、UV波長、青及び緑波長を強く減衰させる赤吸収ガラスで作られる。フィルター1130は、図11cに示される摺動ベース1134上に取り付けられ、そして自家蛍光画像化が使われるときは電気機械式に光路内に切り替えられる。UV光源のシャッターが同時に開かれる。このとき、カラービデオ内視鏡が同時に使用されるか、或いはカラーホイールビデオ内視鏡が逐次的に使用されるかのいずれかであるばらば、組織はUV及び基準光の両者により照明される。フィルター1132は、通常の可視波長の全てを透過する透明ガラスである。フィルター1132は、レンズ1116の焦点が一定のまま留まるように通常の照明が使われるときは、電気機械式に切り替えられる。
【0058】
内視鏡照明用バンドル1136がUV透過性であり柔軟かつ長く続くものであるためには、これは、通常のガラスファイバーではなくて熔融シリカ光ファイバーで作らねばならない。透明度以外の両材料間の主な光学的な相違は、熔融シリカファイバーは、一般にガラスファイバーより小さい開口数を有することである。このことは、光が、熔融シリカファイバーから小さい角度で出て集められることを意味する。照明用バンドルは、点1138において分岐され、内視鏡の末端の光ポート1140及び1142から出る。ポート1140及び1142におけるレンズ素子は、現存のガラスファイバー用内視鏡と同じ照明角度維持するように変更されねばならない(より凹に作られる)。
【0059】
内視鏡の末端のビデオ画像化検出システム1144は、その信号を、内視鏡内の電線1146を通って戻し結合用プラグ1104の電気コネクター1147に送る。アダプターボックス1100において組み合っているコネクターは、アダプター1100を経て送られたこれら信号を集めてプラグ1147と同じ結合用プラグ1148に伝え、ビデオプロセッサーへの電気接続を完成する。前と同様に、自家蛍光及び基準画像の解析が始まる。
【0060】
UV可能な内視鏡が利用できると、自家蛍光画像化の全能力が内視鏡システム自体に含まれるように、励起源を内視鏡光源及びビデオプロセッサーに組み込むことができる。この好ましい実施例が図12に図式的に示される。電気/光結合用プラグ1200が、励起、基準/白色光源及びビデオプロセッサー1202に直接挿入される。このシステムは、正確に、図11a−11dに示された実施例のように作動し、ダイクロイックキューブビーム結合システム1204及び基準光フィルターシステム1206を使用しているが外部アダプターの必要はない。
【0061】
可視の青・緑自家蛍光の総合的な低下は、この点に対して記述された画像化システムについての組織形成異常の1次指標である。これら画像化システムは、組織画像における各画素ごとの1個のパラメーターによる自家蛍光の低下を特徴とする。この低下の特別な原因は、参考文献してここに取り入れられたゾニオス他によるMorphological
Model of Human Colon Tissue Fluorescence,IEEE Trans.Biomed.Eng.,43(2),113−122,1
996において説明された。主なフルオロフォア(fluorophore)はコラーゲン、薄い筋肉層内に見いだされかつ粘膜下組織層の卓越した要素である結合組織の第1のプロテインである。形成異常組織の自家蛍光は、筋肉層内の細胞が大きくなりコラーゲンが押し出されたとき、及び増加した血管新生によりヘモグロビンが組織に加えられたときに低下する。ヘモグロビンは蛍光の幾分かを吸収する。(吸収のないときの)組織の内因性蛍光及び組織内のヘモグロビンのレベルが、形成異常の可能性の正確な判定に対する画像化システムの能力を改善する。
【0062】
上述の画像化システムは、標準のカラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡の獲得期間、33msにおける3個の利用可能な画像化期間の内の2個を使用する。1期間中は、励起用紫外線が組織を照明し自家蛍光画像画像Fが得られる。第2の期間中は、可視の赤の光が組織を照明し、基準画像Rが得られ、これが組織における紫外線照明の強度分布を決定する。これら2個の画像の比が画像の各画素について1個のパラメーターF/Rを作り、これがその点における自家蛍光全体の相対レベルを示す。形成異常の可能性のある場所を目立たせるアルゴリズムは、各画素についてのF/Rパラメーターに適切な閾値を割り当てることが第1である。
【0063】
以下説明されかつ図13A及び13Bに示される改良された画像化システムは、より完全な分光分析をできるように追加の可視反射画像を獲得するために第3の画像化期間を使用する。このシステムにおいては、UV励起光により誘起された蛍光スペクトルに近い中心波長と帯域幅とを有する卓越した青い光が組織の上に向けられる。前と同様に、この青い光は、紫外線励起照明及び可視の紫基準照明と同じ照明ポートから出て同じ角度方向強度を持つ。得られた青の基準画像Bは、これら青の波長において組織の化学的形態が光を吸収する領域、従って吸収過程により本来の自家蛍光が低下した組織の区域を示す。前と同様に、赤の基準画像Rは組織表面における3種の波長の全部の照明強度の尺度として使うことができる。各画素ごとに(主にヘモグロビン)吸収を示すための特別なパラメーターは、比B/Rである。2個のパラメーターF/R及びB/Rは、形成異常を示す組織の画像化された区域を決定するために画素ごとに利用可能である。2種の基本的な方法を使用することができる。その一方においては、本来の蛍光の値をより精密に示すために、F/R比を、B/Rパラメーターにより修正することができ、これが1個の変更されたF/Rパラメーターを作り、前のように、これに閾値が適用される。第2の手順は、F/R及びB/Rにより定義される2次元表面を使用し、これが形成異常の可能性を示すことができる。双方の場合とも、どれがハイライトであるかを決定するための閾値が、F/R及びB/Rの測定値の比較により臨床試験中に決定され、これら組織から採取された生検標本についての病状の結果を報告する。
【0064】
図13a及び13bのシステムは、前と同様に水銀アークランプ光源1300を使用する。紫外線波長及び全範囲の可視波長の両者を含んで作られた光を集め、平行にするために同じ光学素子1302及び1304が使用される。紫外線照明の光路は同じままである。ダイクロイックミラー1360がUV光の大部分及びUV反射回転ミラー1308の幾らかの可視光を反射する。この場合も、UV光の大部分は反射され、一方、可視光の大部分はは1308の基層内に吸収される。UV帯域通過フィルター1310が残った可視光の殆ど全部を除去し、このため僅かなUV光しかタイミング車1312に達しない。タイミング車1312は、連続したUV光がビデオ結腸鏡の1露光期間中、通過することを保証する。別のダイクロイックミラー1314及び全反射ミラー(UV及び可視の両者)1318が、UVビームを焦点用レンズ1318に向ける。絞り1320が給送用ファイバー1322から出ていくUV光の角度の広がりを定める。給送用ファイバー1322は、組織を照明するために、すべての照明波長を結腸鏡の端部に送る。
【0065】
改良された自家蛍光画像化システムと先に説明されたシステムとの間の相違は、可視波
長がシステムを通る経路にある。青及び赤の波長は共に可視タインング車1324に近づく。この車は、ビデオ結腸鏡の2個の残った露光期間中、光の通過を許す2個の開口を持つ。車の開口の一つは赤フィルター1326で覆われ、このフィルターは基準画像Rについての適切な波長を通過させる。これらの波長は、組織におけるヘモグロビン吸収帯及び組織に光を送るために使用される光ファイバーの吸収帯の両者を避けるように選定される。濾波される光は、多層ダイクロイックコーティングを使用できるようによく平行にされるが、色ガラス又はプラスチックで作られた単純な吸収フィルターが適切である。タイミング車1324の第2の開口は、励起光により作られる本来の蛍光のスペクトルに近い広帯域の青のフィルターで覆われる。このフィルターの特別な帯域通過スペクトルは、ヘモグロビンにより吸収される波長を含むことができかつ十分に再現可能であり、従って得られた解析プログラムは、他の装置により使用することができる。第2の開口は、ビデオ結腸鏡の第3の露光期間に適合する。図13に示されるように2個の車のタインング穴1330及び1332通過する光に応答する光電式検出機が位相固定ループ用の電気パルスを提供し、これが、ビデオ結腸鏡のビデオ獲得システムと同期を取られた状態にタインング車を保持する。
【0066】
改良された3色診断システムと2色システムとの間のその他の相違は、青及び赤の両方の可視波長を反射する広帯域反射ミラー1334、及び可視波長における熔融シリカ集光レンズの長い焦点距離を補正する長焦点アクロマティックレンズを含む。
【0067】
本発明はこの好ましい実施例を参照して特に図示され説明されたが、本技術熟練者により、特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から離れることなく形式及び詳細における種々の変更をなし得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】370nm紫外線の励起による正常及び形成異常の結腸組織の蛍光スペクトルの図である。
【図2】本発明による光ファイバー給送プローブシステムの図式的な線図である。
【図3】カラーホイール(単色CCD)ビデオ内視鏡の生検用通路を通してUV励起光を送る別個の光ファイバーの光ガイドを使用する本発明の蛍光画像化内視鏡の図式的な線図である。
【図4】出力画像の生産のための流れ図である。
【図5】本発明による画像の獲得、解析及び表示の諸プロセスのためのタイミング図を示す。
【図6】本発明によるパルス電流の関数としての水銀アークランプからのUV出力を示す。
【図7】本発明によるコンピューター制御のパルス化されたランプ電力供給装置の図式的な線図である。
【図8】本発明によるパルス化光源の光・機械要素の詳細を示す。
【図9】本発明の使用される光輸送ファイバーの構成を示す。
【図10】カラーCCDビデオ内視鏡の生検用通路を通してUV励起光を送る別個の光ファイバーの光ガイドを使用する本発明の画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図11】内視鏡内にUV透過の照明ガイドを一体化しかつ外部UV励起源をアダプターモジュールにより標準の白色光源に連結する画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図12】UV透過照明源の取り付けられた内視鏡用の聡明システムに励起光源と白色光源とを全部一体化した画像化システムの好ましい実施例の図式的な線図である。
【図13】照明及び採集用の内視鏡画像化システムの別の好ましい実施例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織における可視蛍光を誘起する、380から420nmの範囲の波長を有する励起光を作るためのダイオードレーザー光源、及び組織のカラー画像を作るよう照明光を生成する第2の光源であって、該ダイオードレーザー光源及び該第2の光源が、制御システムからの信号を制御するように応答して作動するダイオードレーザー光源及び第2の光源、
前記励起光と前記第2の光源からの照明光とを共通の光路上に光学的に組み合わせる光組合せ装置であって、該励起光及び該照明光が、内視鏡を介して組織の同一範囲に励起光と照明光を送る光ガイドに連結されている光組合せ装置、
赤、緑及び青波長成分を含む自家蛍光画像及び組織のカラー画像を検出する、内視鏡の遠位端の単一の画像検出器、及び
赤、緑及び青波長成分を含む自家蛍光画像と、組織の処理された出力画像を作るように前記カラー画像とを処理するデータプロセッサー、を具備した蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項2】
該処理された出力画像が、可視光画像と、所定のレベルの蛍光濃度のカラー表示を含む請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項3】
該単一の画像検出器が、白色光照明源からの反射画像を検出できる電荷結合装置検出器である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項4】
該光ガイドが、対象物の結腸又は肺における異常を測定するために、内視鏡の溝を介して延びている光フアイバの束である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項5】
該内視鏡の遠位端の該検出器が、カラー電荷結合装置を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項6】
該画像検出器が、第1の期間中に蛍光画像を検出し第2の期間中に反射画像を検出する単一の画像センサーを具備し、励起光及び照明光が逐次的に出される請求項1の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項7】
それぞれの画像が感色性画像センサーにより検出され、青チャンネルが蛍光画像を検出し、そして赤チャンネルがカラー画像を検出するように、励起光及び照明光が同時に発せられる請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項8】
励起光及び照明光が、制御システムによって順次作動せしめられる請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項9】
第2の光源が、赤外線の範囲の波長を有する基準光源である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項10】
光ガイドが、末端に取り付けられたレンズを有する光ファイバーを備える請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項11】
励起光が、照明光の角度方向と同じ角度方向を有する請求項1の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項12】
単一の画像検出器が、画素集積回路を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項13】
単一の画像検出器が、CMOS画素装置を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項14】
ダイオードレーザー光源が、ガリウム窒化物レーザーダイオードを備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項15】
ガリウム窒化物レーザーダイオードが、380nm乃至420nmの範囲の波長で作動する請求項14に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項16】
第2の光源がアークランプである請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項17】
第2の光源が水銀アークランプである請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項18】
処理される出力画像が蛍光画像と基準画像の比率である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項19】
基準画像がカラー画像から成る請求項18に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項20】
基準画像が赤波長画像から成る請求項18に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項21】
励起光の角度強度方向が照明光の角度強度方向と調和するように調和分布光学システムを有する請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項22】
調和分布光学システムがアパーチャーストップを有する請求項21に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項1】
組織における可視蛍光を誘起する、380から420nmの範囲の波長を有する励起光を作るためのダイオードレーザー光源、及び組織のカラー画像を作るよう照明光を生成する第2の光源であって、該ダイオードレーザー光源及び該第2の光源が、制御システムからの信号を制御するように応答して作動するダイオードレーザー光源及び第2の光源、
前記励起光と前記第2の光源からの照明光とを共通の光路上に光学的に組み合わせる光組合せ装置であって、該励起光及び該照明光が、内視鏡を介して組織の同一範囲に励起光と照明光を送る光ガイドに連結されている光組合せ装置、
赤、緑及び青波長成分を含む自家蛍光画像及び組織のカラー画像を検出する、内視鏡の遠位端の単一の画像検出器、及び
赤、緑及び青波長成分を含む自家蛍光画像と、組織の処理された出力画像を作るように前記カラー画像とを処理するデータプロセッサー、を具備した蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項2】
該処理された出力画像が、可視光画像と、所定のレベルの蛍光濃度のカラー表示を含む請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項3】
該単一の画像検出器が、白色光照明源からの反射画像を検出できる電荷結合装置検出器である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項4】
該光ガイドが、対象物の結腸又は肺における異常を測定するために、内視鏡の溝を介して延びている光フアイバの束である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項5】
該内視鏡の遠位端の該検出器が、カラー電荷結合装置を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項6】
該画像検出器が、第1の期間中に蛍光画像を検出し第2の期間中に反射画像を検出する単一の画像センサーを具備し、励起光及び照明光が逐次的に出される請求項1の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項7】
それぞれの画像が感色性画像センサーにより検出され、青チャンネルが蛍光画像を検出し、そして赤チャンネルがカラー画像を検出するように、励起光及び照明光が同時に発せられる請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項8】
励起光及び照明光が、制御システムによって順次作動せしめられる請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項9】
第2の光源が、赤外線の範囲の波長を有する基準光源である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項10】
光ガイドが、末端に取り付けられたレンズを有する光ファイバーを備える請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項11】
励起光が、照明光の角度方向と同じ角度方向を有する請求項1の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項12】
単一の画像検出器が、画素集積回路を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項13】
単一の画像検出器が、CMOS画素装置を備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項14】
ダイオードレーザー光源が、ガリウム窒化物レーザーダイオードを備えている請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項15】
ガリウム窒化物レーザーダイオードが、380nm乃至420nmの範囲の波長で作動する請求項14に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項16】
第2の光源がアークランプである請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項17】
第2の光源が水銀アークランプである請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項18】
処理される出力画像が蛍光画像と基準画像の比率である請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項19】
基準画像がカラー画像から成る請求項18に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項20】
基準画像が赤波長画像から成る請求項18に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項21】
励起光の角度強度方向が照明光の角度強度方向と調和するように調和分布光学システムを有する請求項1に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【請求項22】
調和分布光学システムがアパーチャーストップを有する請求項21に記載の蛍光画像化内視鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−206546(P2011−206546A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112785(P2011−112785)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【分割の表示】特願2000−594378(P2000−594378)の分割
【原出願日】平成12年1月26日(2000.1.26)
【出願人】(504275993)ニユートン・ラボラトリーズ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【分割の表示】特願2000−594378(P2000−594378)の分割
【原出願日】平成12年1月26日(2000.1.26)
【出願人】(504275993)ニユートン・ラボラトリーズ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
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