説明

内視鏡用アダプタ

【課題】管路を封止する栓体を管路口金から取り外すことなく管路内に挿通される処置具を内視鏡に対して着脱可能とし、内視鏡観察下における処置の操作を容易なものとする内視鏡用アダプタを提供する。
【解決手段】本発明の内視鏡用アダプタは、内視鏡及び内視鏡の管路に挿通される内視鏡用処置具を接続する内視鏡用アダプタであって、内視鏡の管路口金と、内視鏡用処置具を着脱自在でありかつ内視鏡用処置具が挿通される貫通孔を有する処置具固定口金と、を同一軸線上に固定し、かつ管路口金と処置具固定口金との間に、管路口金を封止する栓体を収容する空間である栓体配設部を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路と前記管路の端部に設けられた管路口金とを有してなる内視鏡及び前記管路に挿通される内視鏡用処置具を接続する内視鏡用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部を被検体の体内の所定の部位に挿入し、前記内視鏡の観察下において、挿入部に設けられた管路を介して体内に挿入される処置具を用い所定の部位に各種治療処置や検査処置を行う技術が知られている。管路は、挿入部の先端部に設けられた処置具挿通口と、内視鏡の操作部に設けられた管路口金とを連通している。
【0003】
例えば、特開2005−349121号公報には、超音波内視鏡による超音波断層像観察下において、管路に挿通される処置具である穿刺針を病変組織に穿刺し、体組織又は体液を採取して病理確定診断を行う技術が開示されている。
【0004】
例えば穿刺針のような処置具は、管路口金に螺合するねじ部を有し、前記ねじ部を管路口金に螺合し内視鏡に対して固定された状態において使用される。
【特許文献1】特開2005−349121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡の挿入部を被検体の体内に挿入する作業時、及び内視鏡の挿入部を被検体の体内から抜去する作業時には、管路を封止する栓体が管路口金に装着される。一方、管路内に処置具を挿通する場合には、処置具を管路口金に固定する必要があることから、管路口金から栓体を取り外さねばならない。
【0006】
すなわち、管路口金に装着される処置具を用いて内視鏡観察下における処置を行う場合、術者は栓体の着脱を繰り返す必要がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、管路を封止する栓体を管路口金から取り外すことなく、管路内に挿通される処置具を内視鏡に対して着脱可能とし、内視鏡観察下における処置の操作を容易なものとする内視鏡用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡用アダプタは、管路と前記管路の端部に設けられた管路口金とを有してなる内視鏡及び前記管路に挿通される内視鏡用処置具を接続する内視鏡用アダプタであって、前記内視鏡用処置具を着脱自在であり、かつ前記内視鏡用処置具が挿通される貫通孔を有する処置具固定口金と、前記管路の軸線に沿ってみた場合に前記貫通孔の少なくとも一部が前記管路口金の開口部に重なるように、前記処置具固定口金を前記内視鏡に固定する内視鏡固定部と、前記処置具固定部と前記管路口金との間に形成され、前記開口部を封止する栓体を収容する空間である栓体配設部と、を具備することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の内視鏡用アダプタの好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いた各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、内視鏡の概略構成を示す説明図である。図2は、処置具の概略構成を示す説明図である。図3は、第1の実施形態の内視鏡用アダプタが内視鏡に固定された状態を示す斜視図である。図4は、管路口金に栓体が装着された状態を示す斜視図である。図5は、第1の実施形態の内視鏡用アダプタの詳細な構成を説明するための斜視図である。
【0011】
まず、図1を参照して、内視鏡の構成の一例を説明する。図1に示す内視鏡101は、被検体の体内において所定の部位に超音波を送受することにより、前記所定の部位の超音波断層像を取得する、いわゆる超音波内視鏡である。
【0012】
内視鏡101は、被検体の体内に挿入される挿入部102と、この挿入部102の基端に位置する操作部103と、この操作部103の側部から延出するユニバーサルコード104とで主に構成されている。
【0013】
前記ユニバーサルコード104の基端部には図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ104aが設けられている。この内視鏡コネクタ104aからは図示しないカメラコントロールユニットに電気コネクタ105aを介して着脱自在に接続される電気ケーブル105及び図示しない超音波観測装置に超音波コネクタ106aを介して着脱自在に接続される超音波ケーブル106が延出されている。
【0014】
前記挿入部102は、先端側から順に先端部120、この先端部120の基端側に位置する湾曲自在な湾曲部108、この湾曲部108の後端に位置して前記操作部103の先端部に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓管部109が連設されて構成されている。また、前記先端部120の先端側には超音波を送受するための超音波探触子122が設けられている。
【0015】
また、詳しくは図示しないが、挿入部102の先端部120には、観察部位に照明光を照射する照明光学部を構成する照明レンズ、及び観察部位の光学像を捉える観察光学部を構成する対物レンズからなる観察光学系が配設されている。
【0016】
前記操作部103には前記湾曲部108を所望の方向に湾曲制御するアングルノブ111、送気及び送水操作を行うための送気・送水ボタン112及び吸引操作を行うための吸引ボタン113等が設けられている。
【0017】
また、挿入部102内には、管路200が設けられている。管路200は、先端部120に設けられた処置具挿通口201と、操作部103に設けられた管路口金210の開口部211とを連通している。前記管路200には、管路口金210の開口部211から後述する処置具300が挿通される。また、管路200は、吸引を行うために用いられるものであってもよい。
【0018】
なお、内視鏡101の形態は上述した超音波内視鏡に限られるものではなく、光学的に被検体の体内を観察する光学内視鏡であってもよい。また、内視鏡101は、挿入部に可撓性を有する部位を具備しない、いわゆる硬性鏡と称される形態のものであってもよい。
【0019】
図2に示す本実施形態の処置具300は、穿刺吸引細胞診(Fine Needle Aspiration:FNA)に用いられる、いわゆる吸引生検針と称される形態のものである。
【0020】
以下に説明するように、処置具300は、被検体の体内において内視鏡101の先端部120の処置具挿通口201から先端が鋭利な針状とされた管状部材である針管312を突出させて目的部位に穿刺することにより、前記針管312内に体組織や体液を採取するためのものである。
【0021】
処置具300は、上記内視鏡101の管路口金210から管路200内に挿通される細長の管状のシース311と、前記シース311の基端部に配置されたハンドル部301と、シース311内において進退自在に挿通配置される針管312と、針管312内に挿抜可能に配設されたスタイレット313とを具備して主に構成されている。
【0022】
ハンドル部301は、後述する内視鏡用アダプタ1により内視鏡101の管路口金210に対して固定される固定部301aと、前記固定部301aに対して摺動自在に配設されたニードルスライダ302と、スタイレット操作部303とにより構成されている。
【0023】
シース311の基端部は、固定部301aに対して固定されており、針管312の基端部は、ニードルスライダ302に固定されており、スタイレット313の基端部は、スタイレット操作部303に固定されている。
【0024】
固定部301aの先端部には、雌ねじ部301bが形成されている。処置具300は、前記雌ねじ部301bが後述する内視鏡用アダプタ1の処置具固定口金10に螺合することで、内視鏡用アダプタ1に対して固定される。
【0025】
本実施形態の処置具300では、ニードルスライダ302の摺動に応じて針管312がシース311内において進退移動する。またスタイレット操作部303をハンドル部301から取り外すことにより、スタイレット313は針管312内から抜去される。
【0026】
なお、本実施形態では、内視鏡101の管路200に挿通される処置具の一例として吸引生検針を挙げたが、処置具300は他の形態、例えば鉗子等であってもよい。
【0027】
以下に、内視鏡101に処置具300を固定するための内視鏡用アダプタ1の構成を説明する。
【0028】
本実施形態の内視鏡用アダプタ1は、前記処置具300の固定部301aが着脱自在に固定される処置具固定口金10と、前記内視鏡101の操作部103に固定可能に構成された内視鏡固定部20とを具備して主に構成されている。
【0029】
処置具固定口金10は、略筒形状を有し、中心軸に沿って一方の端部から他方の端部に貫通する貫通孔11が形成されてなる。また処置具固定口金10の一方の端部の側面部には、処置具300の固定部301aの雌ねじ部301bに螺合するねじ山である雄ねじ部12が形成されている。
【0030】
前記雄ねじ部12に処置具300の雌ねじ部301bが螺合した状態において、処置具固定口金10の貫通孔11内には処置具300のシース311が挿通される。
【0031】
なお、図3においては処置具固定口金10は断面が略円形の筒形状として記載しているが、処置具固定口金10は処置具300が着脱自在に構成された形態であればよい。例えば、処置具固定口金10の形状は、略矩形の断面形状を有する筒形状であってもよい。
【0032】
内視鏡固定部20は、上記処置具固定口金10に固定された処置具300のシース311が、管路口金210の開口部211内に挿通可能なように、処置具固定口金10を内視鏡101に位置決めして固定する部材である。
【0033】
処置具固定口金10と内視鏡固定部20とは、管路200の軸線から離間した位置において管路200の軸線に沿って延在する腕部31を有してなる略コの字形状の連結部30によって接続されている。
【0034】
図3に示すように、本実施形態の内視鏡用アダプタ1では、内視鏡固定部20が内視鏡101に固定された状態において、処置具固定口金10が、管路口金210とは所定の距離だけ離間し、かつ処置具固定口金10の軸線が管路200の軸線に沿うように配置される。
【0035】
ここで、処置具固定口金10と管路口金210とは間の空間は、図4に示すように、管路口金210の開口部211を封止する栓体50を配設可能とする栓体配設部40として構成される。栓体50は、管路口金210の端部に装着されるゴム等の樹脂からなる部材であって、管路口金210の開口部211を開閉可能に構成された蓋体51を具備してなる。
【0036】
言い換えれば、本実施形態の内視鏡用アダプタ1が内視鏡101に固定された状態において、処置具固定口金10の貫通孔11は、管路200の軸線に沿って見た場合に少なくとも一部が管路口金210の開口部211と重なるように配設される。
【0037】
そして、処置具固定口金10と管路口金200との間の空間である栓体配設部40には、蓋体51の脱着により開口部211を開閉自在に構成された栓体50が配設されている。
【0038】
以上のように構成された本実施形態の内視鏡用アダプタ1は、内視鏡101に対して処置具300を、管路200内にシース311が挿通可能な状態で固定することができる。
【0039】
そして、内視鏡用アダプタ1が内視鏡101に固定された状態において、栓体50の蓋体51の開閉操作が可能であることから、内視鏡101の挿入部102を被検体の体内に挿抜する作業時には、蓋体51により管路口金210の開口部211を封止することができる。
【0040】
一方で、内視鏡101の挿入部102の先端部120が被検体の体内の目的部位に達し、処置具300のシース311を管路200内に挿通させる作業は、蓋体51を開放位置にすることで、栓体50を管路口金210から取り外すことなく行うことができる。
【0041】
すなわち、本実施形態の内視鏡用アダプタ1は、管路200を封止する栓体50を管路口金210から取り外すことなく、管路200内に挿通される処置具300を内視鏡101に対して脱着可能とし、内視鏡101の操作を容易なものとすることができる。
【0042】
次に、上述した内視鏡用アダプタ1を内視鏡101に固定する構成の一例を説明する。
【0043】
本実施形態においては、図5に示すように、内視鏡101の管路口金210の側部に、管路200の軸線に略直交する平面上において管路口金210を挟むように配設された一対のレール部222及び232を具備してなる係合部220が設けられている。
【0044】
一方、内視鏡用アダプタ1の内視鏡固定部20は、上記係合部220の一対のレール部222及び232に管路口金210の側方から係合して、管路口金210の側部を弾性的に把持する一対の腕部21及び22を具備して構成されている。
【0045】
腕部21及び22の先端部には、それぞれ対向する内向きに突出する凸部23及び24が形成されている。すなわち、凸部23及び24間の距離は、係合部220の一対のレール部222及び232間の距離よりも小さい。
【0046】
また、前記凸部23及び24は、内視鏡固定部20が係合部220に係合した状態において、前記係合部220を相対的に腕部21及び22の基端側に付勢するように形成されている。
【0047】
したがって、内視鏡固定部20が係合部220に係合した状態では、凸部23及び24間の距離が一対のレール部222及び232間の距離にまで達するように一対の腕部21及び22間の距離を押し広げる所定の大きさ以上の力が加えられない限り、内視鏡固定部20は係合部220から脱落することはない。
【0048】
以上の構成により、内視鏡用アダプタ1は、内視鏡101に固定される。本実施形態のように、内視鏡固定部20を管路口金210の側方から内視鏡101の係合部220に係合するように構成することで、栓体50を管路口金210から取り外すことなく、内視鏡アダプタ1を内視鏡101に脱着することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、処置具固定口金10には、側面部を軸線に沿って一方の端部から他方の端部まで所定の幅で切断してなるスリット13が形成されている。すなわち、処置具固定口金10を軸線に沿う方向から見た場合、略筒形状の処置具固定口金10は前記スリット13によって一部が切り欠かれた形状を有する。
【0050】
処置具固定口金10は、このスリット13が、内視鏡固定部20の一対の腕部21及び22の基端から先端に向かう方向と略同一の方向に向くように連結部30に固定されている。また、連結部30にも、前記スリット13に対応する位置にスリット32が形成されている。
【0051】
言い換えれば、内視鏡用アダプタ1を、腕部21及び22の先端に対向する方向から見た場合に、スリット13及びスリット32は、正面に面するように配設されている。
【0052】
以上のように、内視鏡固定部20を管路口金210の側方から内視鏡101の係合部220に係合するように構成し、かつ処置具固定口金10及び連結部30の側部に貫通孔11に達するスリット13及び32を形成することによって、管路200内に処置具300のシース311が挿通されている状態、例えば、内視鏡用アダプタ1を内視鏡101に接続し忘れて、処置具300を管路200内に挿通してしまった場合でも、内視鏡用アダプタ1を脱着することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、内視鏡用アダプタの別の形態の例を示すものである。図6は、第2の実施形態の内視鏡用アダプタの斜視図である。
【0054】
第2の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して内視鏡固定部の形態が異なる。よって、以下ではこの相違点のみを説明するものとし、また、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0055】
図6に示すように、本実施形態の内視鏡用アダプタ401の内視鏡固定部420は、係合部220の一対のレール部222及び232に係合する一対の腕部421及び422を具備して構成されている。
【0056】
腕部421及び422の先端部には、それぞれ略同一の直線軸上にねじ孔423及び貫通孔424が形成されている。貫通孔424内には、先端にねじ孔423に螺合する雄ねじ部が形成されたクランプ用ねじ426が挿通されている。
【0057】
前記クランプ用ねじ426には、貫通孔424から抜け落ちないよう両端に抜け止めが設けられている。また、クランプ用ねじ426は、バネ425によって腕部421から離れる方向に付勢されており、雄ねじ部がねじ孔423に螺合していない状態においては、図6に示すように、腕部421から最も離間した状態となる。
【0058】
ここで、クランプ用ねじ426が腕部421から最も離間した状態における、クランプ用ねじ426の先端と腕部421との間の距離は、係合部220の一対のレール部222及び232間の距離よりも大きい。
【0059】
本実施形態の内視鏡用アダプタ401を内視鏡101に固定する場合、まずクランプ用ねじ426がねじ孔423に螺合せず腕部421から最も離間した状態において、腕部421及び422を、係合部220のレール部222及び232に係合させる。
【0060】
そして、クランプ用ねじ426をねじ孔423に螺合させることで、一対の腕部421及び422を近づく方向に弾性変形させ、腕部421及び422により係合部220を把持させる。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態に比してより強固に内視鏡用アダプタ401を内視鏡101に固定することができる。
【0062】
なお、本実施形態において内視鏡用アダプタ401を内視鏡101に固定、取り外し、または固定と脱着とを行う操作は、クランプ用ねじ426が貫通孔424から脱落せず、かつバネ425により一方に付勢されていることから片手で行うことができる。
【0063】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、内視鏡用アダプタの別の形態の例を示すものである。図7は、第3の実施形態の内視鏡用アダプタの斜視図である。
【0064】
第3の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して連結部の形態が異なる。よって、以下ではこの相違点のみを説明するものとし、また、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0065】
本実施形態の内視鏡用アダプタ501は、処置具固定口金10を、処置具固定口金10の軸線と離間しかつ処置具固定口金10の軸線に略平行な中心軸周りに回動可能に支持し、かつ前記中心軸に沿って移動可能に支持する構成を有する。
【0066】
具体的には、図7に示すように、処置具固定口金10を保持する保持部533には、処置具固定口金10の軸線と離間した位置において処置具固定口金10の軸線と略平行に延出する円柱形状の軸部材534が固設されている。軸部材534は、側面の一部に中心軸と略平行な平面部535が形成された、いわゆるDカット軸である。
【0067】
前記軸部材534は、内視鏡固定部520に形成された貫通孔541内において摺動可能に挿通される。内視鏡固定部520には、側面部から貫通孔541に連通するねじ孔542が形成されており、前記ねじ孔542には固定用ねじ550が螺合される。
【0068】
本実施形態では、固定用ねじ550を、ねじ孔542に締め込むことにより、固定用ねじ550の先端部が軸部材534の側面に当接し、軸部材534が内視鏡固定部520に対して固定される。
【0069】
また、本実施形態では、固定用ねじ550の先端部を軸部材534の平面部535に当接させることによって、軸部材534の回転方向の位置を固定することができる。ここで、固定用ねじ550の先端部を軸部材534の平面部535に当接させた状態において、保持部533に保持された処置具固定口金10は、第1の実施形態と同様に管路200の軸線上に位置決めされる。
【0070】
また、この状態から固定用ねじ550を若干緩めると、軸部材534は、中心軸周りの回動を規制された状態のまま、内視鏡固定部520に対して中心軸に沿う方向に摺動可能となる。
【0071】
すなわち、本実施形態によれば、内視鏡用アダプタ501を内視鏡101に固定した状態において、処置具固定口金10と管路口金210との間の距離を変更することができ、管路200に挿通される処置具300のシース311の処置具挿通口201からの突出量の調整、又は栓体配設部530の高さの調整を行うことができる。
【0072】
また、さらに固定用ねじ550を緩め先端部が貫通孔541内に突出しないようにすると、軸部材534は、内視鏡固定部520に対して中心軸周りに回動可能となる。
【0073】
すなわち、本実施形態によれば、内視鏡用アダプタ501を内視鏡101に固定した状態において軸部材534を回動させることにより、処置具固定口金10を、管路200の軸線上から退避させることができ、管路200に処置具300とは異なる処置具、例えば鉗子等を容易に挿通させることができる。
【0074】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、内視鏡用アダプタの別の形態の例を示すものである。図8は、第4の実施形態の内視鏡用アダプタの構成を説明する部分断面図である。図9は、第4の実施形態の内視鏡用アダプタを、内視鏡に固定される基端側から見た図である。図10は、第4の実施形態の内視鏡用アダプタが管路口金に固定された状態を示す図である。
【0075】
第4の実施形態は、上述した第1の実施形態に対して内視鏡用アダプタを内視鏡に固定する構成が異なる。よって、以下ではこの相違点のみを説明するものとし、また、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0076】
第4の実施形態の内視鏡用アダプタ601は、内視鏡101の管路口金210の先端部に形成されたフランジ部210aを把持することで、内視鏡101に対して固定される形態を有する。
【0077】
図8に示すように、内視鏡用アダプタ601の内視鏡固定部620は、略円筒状であり、先端部が管路口金210と略同一の形状である延長口金部670と、前記延長口金部670の基端部に螺合する略円筒形状の固定リング621とを具備して主に構成されている。
【0078】
延長口金部670の基端部側の外周面には、雄ねじ部672が形成されている。一方、固定リング621は、内周面に形成された雌ねじ部622と、内周面から延長口金部670の基端部に対向するように内側に延出する押圧部623とを具備して構成されている。
【0079】
固定リング621の押圧部623は、図9に示すように、側方から前記押圧部623と延長口金部670の基端部との間に、内視鏡101の管路口金210の先端部を挿入可能とする略U字状の切り欠き部624が形成されている。
【0080】
前記切り欠き部624の互いに対向する2面間の距離は、管路口金210のフランジ部210aの直径よりも小さい。また、略U字状の切り欠き部624内に管路口金210を突き当たるまで挿入した状態において、管路口金210の開口部211の中心軸と延長口金部670の貫通孔671中心軸とは略一致するように位置決めされる。
【0081】
切り欠き部624内に管路口金210が挿入された状態において、押圧部623が延長口金部670の基端部に近づくように、固定リング621を延長口金部670に対して相対的に回転させることで、押圧部623と延長口金部670の基端部との間に管路口金210のフランジ部210aが把持される。
【0082】
これにより、内視鏡固定部620は、管路口金210に対して固定される。また、この状態において、延長口金部670の基端部は、管路口金210の先端部に密接し、延長口金部670の貫通孔671と管路口金210の開口部211とが連接される。
【0083】
一方、延長口金部670の先端部側には、前記延長口金部670の貫通孔671の軸線上に処置具固定口金10を固定する連結部630が固設されている。処置具固定口金10は、前記連結部630によって延長口金部670の先端部とは所定の距離だけ離間するように固定される。
【0084】
この処置具固定口金10と延長口金部670とは間の空間は、図10に示すように、延長口金部670の貫通孔671を封止する栓体50を配設可能とする栓体配設部640として構成される。
【0085】
また、延長口金部670の側面部には、第2口金部680が配設されている。第2口金部680は、延長口金部670の貫通孔671に連通する開口部681を有する。第2口金部680の先端部は、吸引、送気又は送水等を行うためのチューブを固定可能な形状を有する。
【0086】
以上のように、本実施形態の内視鏡用アダプタ601は、内視鏡固定部620が内視鏡101に固定された状態において、管路200を延長する延長口金部670を具備して構成されているのであり、前記延長口金部670の先端部に装着される栓体50は、第1の実施形態と同様に管路200を封止するように機能する。
【0087】
そして、栓体50が配設される空間である栓体配設部640を挟んで延長口金部670の先端部に対向する位置には、処置具固定口金10が連結部630によって固定されている。
【0088】
すなわち、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、内視鏡用アダプタ601は、管路200内にシース311を挿通可能な状態で処置具300を内視鏡101に対して固定することができる。
【0089】
また、内視鏡用アダプタ601は、管路200を封止する栓体50を延長口金部670から取り外すことなく、管路200内に挿通される処置具300を内視鏡101に対して脱着可能とし、内視鏡101の操作を容易なものとすることができる。
【0090】
また、内視鏡アダプタ601は、貫通孔671に連通する開口部681が形成された第2口金部680を具備することから、処置具300を貫通孔671に挿通した状態であっても、開口部681を経由して吸引、送気又は送水等を行うことができる。
【0091】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡用アダプタ及び内視鏡もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】内視鏡の概略構成を示す説明図である。
【図2】処置具の概略構成を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態の内視鏡用アダプタが内視鏡に固定された状態を示す斜視図である。
【図4】管路口金に栓体が装着された状態を示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態の内視鏡及び内視鏡用アダプタの詳細な構成を説明するための斜視図である。
【図6】第2の実施形態の内視鏡用アダプタの斜視図である。
【図7】第3の実施形態の内視鏡用アダプタの斜視図である。
【図8】第4の実施形態の内視鏡用アダプタの構成を説明する部分断面図である。
【図9】第4の実施形態の内視鏡用アダプタを、内視鏡に固定される基端側から見た図である。
【図10】第4の実施形態の内視鏡用アダプタが管路口金に固定された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 内視鏡用アダプタ、
10 処置具固定口金、
11 貫通孔、
12 雄ねじ部、
13 スリット、
20 内視鏡固定部、
21 腕部、
22 腕部、
23 凸部、
24 凸部、
30 連結部、
31 腕部、
32 スリット、
40 栓体配設部、
50 栓体、
51 蓋体、
101 内視鏡、
102 挿入部、
103 操作部、
104 ユニバーサルコード、
104a 内視鏡コネクタ、
105 電気ケーブル、
105a 電気コネクタ、
106 超音波ケーブル、
106a 超音波コネクタ、
108 湾曲部、
109 可撓管部、
111 アングルノブ、
112 送気・送水ボタン、
113 吸引ボタン、
120 先端部、
122 超音波探触子、
200 管路、
201 処置具挿通口、
210 管路口金、
210a フランジ部、
211 開口部、
220 係合部、
222 レール部、
232 レール部、
300 処置具、
301 ハンドル部、
301a 固定部、
301b 雌ねじ部、
302 ニードルスライダ、
303 スタイレット操作部、
311 シース、
312 針管、
313 スタイレット、
401 内視鏡用アダプタ(第2の実施形態)、
420 内視鏡固定部、
421 腕部、
422 腕部、
423 ねじ孔、
424 貫通孔、
425 バネ、
426 クランプ用ねじ、
501 内視鏡用アダプタ(第3の実施形態)、
520 内視鏡固定部、
533 保持部、
534 軸部材、
535 平面部、
541 貫通孔、
542 ねじ孔、
550 固定用ねじ、
601 内視鏡用アダプタ(第4の実施形態)、
620 内視鏡固定部、
621 固定リング、
622 雌ねじ部、
623 押圧部、
624 切り欠き部、
630 連結部、
640 栓体配設部、
670 延長口金部、
671 貫通孔、
672 雄ねじ部
680 第2口金部、
681 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路と前記管路の端部に設けられた管路口金とを有してなる内視鏡及び前記管路に挿通される内視鏡用処置具を接続する内視鏡用アダプタであって、
前記内視鏡用処置具を着脱自在であり、かつ前記内視鏡用処置具が挿通される貫通孔を有する処置具固定口金と、
前記管路の軸線に沿って見た場合に前記貫通孔の少なくとも一部が前記管路口金の開口部に重なるように、前記処置具固定口金を前記内視鏡に固定する内視鏡固定部と、
前記処置具固定部と前記管路口金との間に形成され、前記開口部を封止する栓体を収容する空間である栓体配設部と、
を具備することを特徴とする内視鏡用アダプタ。
【請求項2】
前記軸線から離間した位置において前記軸線に沿って延在する腕部を有してなり、前記処置具固定口金と前記内視鏡固定部とを接続する連結部を具備することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用アダプタ。
【請求項3】
前記連結部は、前記内視鏡固定部に対して前記処置具固定口金を、前記腕部の中心軸周りに回動可能に支持することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用アダプタ。
【請求項4】
前記内視鏡固定部は、前記内視鏡の所定の箇所を把持する把持部を有し、かつ前記内視鏡に着脱自在であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡用アダプタ。
【請求項5】
前記把持部は、前記管路口金を側方から把持することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用アダプタ。
【請求項6】
前記把持部が前記内視鏡の所定の箇所を把持した状態において、前記管路口金の端部に連接されて前記管路を前記軸線に沿って延長する筒状部材であって、かつ端部が前記管路の端部と同一形状である延長口金部を具備することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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