説明

内視鏡用フード

【課題】 本発明は、処置具の先端部の軸回り方向の回転を規制し、処置具を望んでいる方向に正しく向けることができ、正確な処置を速やかに行うことができる内視鏡用フードを提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】 内視鏡1の挿入部2の先端に取り付けられる略円筒形状のキャップ4の内周面に内視鏡1の挿入部2の先端から突出された処置具6と当接して処置具6が内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制する回転規制部7を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡を患者の体腔内に挿入する際に内視鏡の挿入部の先端部に取り付けられる内視鏡用フードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡検査や内視鏡下手術においては、内視鏡の処置具挿通チャンネルを通して患者の体内に処置具が挿入されて使用される。この内視鏡用処置具として例えばクリップ装置や、高周波スネアーや、把持鉗子や、生検鉗子等のように生体組織を掴む処置具がある。この種の処置具を使用して生体組織を掴む処置を行う際には、内視鏡自体もしくは処置具自体を動かしたり、回転させたりして、処置具の先端部を望みの方向に向けた状態で位置固定して処置を行っている。そのため、生体組織を掴む処置具では、生体組織を掴む方向が重要となっている。
【0003】
また、例えば特許文献1や、特許文献2には内視鏡検査や内視鏡下手術において、内視鏡の挿入部の先端部に略円筒形状の内視鏡用フードが着脱可能に取り付けられる構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−131397号公報
【特許文献2】特開平9−66019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成の内視鏡用フードの内周面は略平滑な周壁面によって形成されているので、内視鏡の処置具挿通チャンネルを通して患者の体内に挿入される処置具が内視鏡用フードの先端部から前方に突出された際に、処置具は内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転自在な状態で保持されている。そのため、内視鏡検査や内視鏡下手術において処置具の使用時に内視鏡の処置具挿通チャンネルを通して患者の体内に挿入される処置具によって生体組織を掴む処置を行う際に、内視鏡自体が回転してしまったり、処置具が内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転してしまう可能性がある。このような場合には術者が意図した方向に処置具の先端部を正しく向けることができないので、処置具の先端部を望んだ方向へ位置固定させる作業は時間がかかる場合があり、その操作に熟練が必要となる問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、処置具の先端部の軸回り方向の回転を規制し、処置具を望んでいる方向に正しく向けることができ、正確な処置を速やかに行うことができる内視鏡用フードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、内視鏡の挿入部先端に取り付けられる略円筒形状のキャップの内周面に前記内視鏡の挿入部先端から突出された処置具と当接して前記処置具が前記内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制する回転規制部を設けたことを特徴とする内視鏡用フードである。
そして、本請求項1の発明では、内視鏡の挿入部先端に取り付けられるキャップの内周面の回転規制部に、内視鏡の挿入部先端から突出された処置具を当接させて係合させることにより、処置具が内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制する。さらに、内視鏡を体腔内に挿入した後、キャップに収まっていた位置で処置具の先端部を突き出して生体組織に突き当てた状態、もしくは、生体組織をキャップ内に引き込んで生体組織に突き当てた状態から生体組織を掴む処置を行うようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記回転規制部は前記キャップの内周面に内方向に向けて突設された突出部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フードである。
そして、本請求項2の発明では、内視鏡の挿入部先端に取り付けられるキャップの内周面の回転規制部の突出部に、内視鏡の挿入部先端から突出された処置具を当接させて係合させることにより、処置具が内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制するようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、前記突出部は前記キャップの内壁面の一部を中心方向に盛り上げたものであることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用フードである。
そして、本請求項3の発明では、内視鏡の挿入部先端に取り付けられるキャップの内壁面の一部を中心方向に盛り上げた回転規制部の突出部に、内視鏡の挿入部先端から突出された処置具を当接させて係合させることにより、処置具が内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制するようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、前記回転規制部は前記キャップの内壁面側から外周面側へ切り込んで設けられた壁溝部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フードである。
そして、本請求項4の発明では、内視鏡の挿入部先端に取り付けられるキャップの内壁面側から外周面側へ切り込んで設けられた回転規制部の壁溝部に、内視鏡の挿入部先端から突出された処置具を当接させて係合させることにより、処置具が内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制するようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、前記キャップは硬質材料で形成され、かつ前記キャップの基端部側外周面に前記内視鏡の挿入部先端に固定する固定部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡用フードである。
そして、本請求項5の発明では、硬質材料で形成されたキャップの基端部側外周面の固定部材を内視鏡の挿入部先端に固定することにより、内視鏡の挿入部先端に硬質なキャップを取り付けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処置具の先端部の軸回り方向の回転を規制し、処置具を望んでいる方向に正しく向けることができ、正確な処置を速やかに行うことができる内視鏡用フードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードの取付け状態を示す縦断面図、(B)は内視鏡用フードの正面図。
【図2】(A)は第1の実施の形態の内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図、(C)は内視鏡用フードから突き出したクリップ装置を使用して止血を行う状態を示す要部の縦断面図。
【図3】(A)は第1の実施の形態の内視鏡用フードに高周波スネアが挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードに高周波スネアが挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図4】(A)は第1の実施の形態の内視鏡用フードに把持鉗子が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードに把持鉗子が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図5】第1の実施の形態の内視鏡用フードの第1の変形例を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図6】第1の実施の形態の内視鏡用フードの第2の変形例を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図、(C)は処置具の先端部が回転して円弧部分にかかっている状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて時計回り方向の回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図、(C)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて反時計回り方向の回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【図12】本発明の第7の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入された状態を示す要部の縦断面図、(B)は内視鏡用フードにクリップ装置が挿入されて回転が規制された状態を示す内視鏡用フードの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1(A),(B)乃至図4(A),(B)を参照して説明する。図1(A)は内視鏡1の挿入部2の先端に本実施の形態の内視鏡用フード3が取り付けられた状態を示すものである。この内視鏡用フード3には略円筒形状のキャップ4と、このキャップ4を内視鏡1の挿入部2の先端部に固定するための略円筒形状の固定部材5とが設けられている。
【0015】
また、キャップ4は硬質で、透明な合成樹脂、例えばアクリル樹脂や、好ましくはポリカーボネイト等の透明硬質のプラスチックで構成されており、内視鏡1の視野を妨げることはない。なお、キャップ4は、内視鏡用フード3を粘膜に押し付けたり吸引した時に、後述する処置具6の回転をしっかりと固定でき、かつ、吸引時には十分な量の粘膜がキャップ4内に入り込める様な変形しない程度の硬さを有している。さらに、このキャップ4の基端部外周面には外径寸法が小さい略リング状の係合凹部4aが形成されている。
【0016】
また、固定部材5は、例えば塩化ビニル、ポリウレタン、フッ素樹脂等の軟質プラスチック材料、又はラテックス、シリコン、イソプレン、ネオプレン等のゴム類、又は合成樹脂材料によって形成されている。そして、この固定部材5の先端部はキャップ4の係合凹部4aに外嵌された状態でキャップ4に圧入および接着剤により固定されている。なお、キャップ4と固定部材5との固定はネジ等による結合固定、あるいは、より強固な固定を行う場合には超音波、溶剤等による固定方法を用いてもよい。そして、この固定部材5の弾性変形によって内視鏡用フード3を内視鏡1の挿入部2の先端部に着脱自在に取付けるようになっている。この場合、固定部材5は弾性変形によって内視鏡1の挿入部2の先端部を傷つけることなく、いろいろな径の内視鏡1の挿入部2の先端部に対応してキャップ4を着脱自在に取付けることができるように構成されている。
【0017】
また、キャップ4の内周面には処置具6の回転規制部7が設けられている。この回転規制部7は図1(B)に示すようにキャップ4の内周面に突設されたそれぞれ左右一対の上部レール8aと下部レール8bとによって形成されている。これらの上部レール8aおよび下部レール8bは内視鏡1の挿入部2の先端面2aに形成された処置具挿通用のチャンネル9の両側に配置され、軸方向に沿って平行に延設されている。ここで、キャップ4の断面形状は、レール8aとレール8bがチャンネル9の中心を通る実線Y1と垂直に引かれた点線Xに平行で、レール8a,8bの間隔dが点線Xで二等分されるような関係に設定されている。
【0018】
また、両レール8a,8bは粘膜などをキャップ4内に吸引する場合に、吸引の邪魔にならない程度の寸法に設定されている。好ましくは各レール8a,8bの長さLは例えば、2mm乃至13mm程度、厚さtaは0.5mm乃至3mm程度、両レール8a,8b間の間隔dは2mm乃至5mm程度で、上部レール8aの幅waが1mm乃至6mm程度、下部レール8bの幅wbが1mm乃至6mm程度である。
【0019】
なお、キャップ4と各レール8a,8bとはそれぞれ別部材で構成し、これらを接着固定しても良いが、コストが安く、接着しなくても良い等の利点からキャップ4と各レール8a,8bとは同一部材での一体成形品であることが望ましい。
【0020】
そして、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取付ける場合には、図1(B)に示すように内視鏡1の挿入部2の先端部の中心と、チャンネル9の中心とを通る状態で引かれた実線Y1とキャップ4の断面形状とがそれぞれ左右対称(線対称)となるように引かれた点線Y2とが重なるように内視鏡用フード3を取り付けるようになっている。この状態で、内視鏡1の処置具挿通用のチャンネル9を通して患者の体内に処置具6が挿入されて使用される場合には図2(A),(B)に示すように内視鏡1の挿入部2の先端から突出された処置具6がキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bと当接してこの処置具6が内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制するようになっている。
【0021】
次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6がセットされる。ここでは、処置具6として図2(A)〜(C)に示すクリップ装置10を使用する場合について説明する。このクリップ装置10には内視鏡1のチャンネル9内に挿通される可撓性を有する細長いコイルシース10aと、このコイルシース10aの先端部に配置された押さえ管10bと、この押さえ管10b内に一部挿入している1対の腕を有するクリップ10cとが設けられている。なお、クリップ10cは押さえ管10bに引き込まれることにより体腔内の生体組織の結紮が行えるようになっている。
【0022】
そして、このクリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図2(B)に示すようにキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとの間に挟んだ状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bと当接してこのクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0023】
その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する操作が行われる。続いて、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織Hの止血したい部位に移動させる。そして、図2(C)に示すように、キャップ4の先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置でクリップ10cを突き出して生体組織Hに突き当てた状態、もしくは、内視鏡1の吸引操作により生体組織Hをキャップ4内に引き込んだ状態でクリップ10cを生体組織Hに突き当てる。この状態で、クリップ装置10の図示しない操作部を操作してクリップ10cを結紮して、生体組織Hの出血部位の止血を行う。
【0024】
また、処置具6として図3(A),(B)に示す高周波スネア11を使用する場合には次の通りとなる。この高周波スネア11には内視鏡1のチャンネル9内に挿通される可撓性管よりなる細長いスネアシース11aと、このスネアシース11a内に進退自在に挿通されたスネアワイヤ11bと、このスネアワイヤ11bの先端部のループ状部分11cとが設けられている。
【0025】
そして、この高周波スネア11の使用時にもクリップ装置10の場合と略同様の操作が行われる。すなわち、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付けた後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、この高周波スネア11が内視鏡1にセットされる。このとき、高周波スネア11は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、スネアシース11aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたスネアシース11aの先端のループ状部分11cは、図3(B)に示すようにキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとの間に挟んだ状態にセットされる。これにより、高周波スネア11のループ状部分11cがキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとに当接してこのループ状部分11cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0026】
その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する操作が行われる。続いて、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織の切除したい部位に移動させる。そして、キャップ4の先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置でループ状部分11cを突き出して生体組織に当てた状態、もしくは、内視鏡1の吸引操作により生体組織をキャップ4内に引き込んでループ状部分11cを生体組織に当てた状態で、高周波スネア11の図示しない操作部を操作してループ状部分11cを引き込んで生体組織の切除を行う。
【0027】
さらに、処置具6として図4(A),(B)に示す把持鉗子12を使用する場合には次の通りとなる。この把持鉗子12には内視鏡1のチャンネル9に挿通される細長いシース12aと、このシース12aの先端部に開閉自在に設けられた一対の鉗子部材12bと、この鉗子部材12bの基端部に連結された一対のリンク部材12cと、シース12a内に進退可能に挿通された図示しない操作ワイヤとが設けられている。この操作ワイヤの先端部はリンク部材12cの基端部に連結されている。
【0028】
そして、この把持鉗子12の使用時にもクリップ装置10の場合と略同様の操作が行われる。すなわち、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付けた後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、この把持鉗子12が内視鏡1にセットされる。このとき、把持鉗子12は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、シース12aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたシース12aの先端の鉗子部材12bは、図4(B)に示すようにキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとの間に挟んだ状態にセットされる。これにより、把持鉗子12の鉗子部材12bがキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとに当接してこの鉗子部材12bが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0029】
その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する操作が行われる。続いて、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織の把持したい部位に移動させる。そして、キャップ4の先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置で把持鉗子12の鉗子部材12bを突き出して生体組織に突き当てた状態、もしくは、内視鏡1の吸引操作により生体組織をキャップ4内に引き込んで把持鉗子12の鉗子部材12bを生体組織に突き当てた状態で、把持鉗子12の図示しない操作部を操作して生体組織の把持を行う。
【0030】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では内視鏡1の挿入部2の先端に取り付けられるキャップ3の内周面に回転規制部7を設け、この回転規制部7の上部レール8aと下部レール8bとに、内視鏡1の挿入部2の先端から突出された処置具6を当接させて係合させるようにしたので、処置具6が内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制することができる。そのため、内視鏡1の挿入部2の先端部の内視鏡用フード3を用いて予め処置具6の先端部の回転を固定し、処置具6を望んでいる方向に向けておくことができる為、より正確な処置を速やかに行うことができる効果がある。
【0031】
なお、本実施の形態では処置具6としてクリップ装置10や、高周波スネア11や、把持鉗子12などを用いた場合の例を示したが、把持鉗子12と同ように、生体組織採取用の生検鉗子の回転を固定する構成にしてもよい。
【0032】
また、本実施の形態の内視鏡用フード3ではキャップ4の内周面に2対のレール(上部レール8aと下部レール8b)を設けた構成を示したが、これに代えて図5(A),(B)に示す第1の実施の形態の内視鏡用フード3の第1の変形例のようにキャップ4の内周面に左右1対の下部レール8bのみを設け、左右の下部レール8bによって処置具6の先端部の回転を同ように固定しても良い。ここで、キャップ4の断面形状は図5(B)に示すようにチャンネル9の中心から引かれた点線Xと下部レール8bとの間の距離がd/2となるような関係に設定されている。
【0033】
そこで、本変形例の内視鏡用フード3ではキャップ4の内周面に突設されるレールの数を第1の実施の形態よりも減らすことができるので、キャップ4内に吸引できる粘膜の量をさらに増やすことができる利点がある。
【0034】
また、図6(A),(B)に示す第2の変形例のようにキャップ4の内周面に左右1対の上部レール8aのみを設け、左右の上部レール8aによって処置具6の先端部の回転を同ように固定しても良い。
【0035】
また、図7(A),(B)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3におけるキャップ4の構成を次の通り変更したものである。
【0036】
すなわち、本実施の形態の内視鏡用フード3のキャップ4の内周面には内壁の一部を中心方向に盛り上げて平面部21が形成されている。図7(B)に示すようにこの平面部21は内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付けた際に、内視鏡1のチャンネル9の下方部と対応する水平位置に配置されている。なお、内視鏡1への内視鏡用フード3の取り付け方は第1の実施の形態と同一であるのでここではその説明を省略する。
【0037】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10がセットされる。
【0038】
このクリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図7(B)に示すようにキャップ4の内周面の平面部21に沿わせて当接させた状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面の平面部21と当接してこのクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。その後の操作は第1の実施の形態と同一である為、ここではその説明を省略する。
【0039】
そこで、本実施の形態では、キャップ4の内周面に内壁の一部を中心方向に盛り上げてクリップ装置10のクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制する平面部21を形成したので、キャップ4の内面形状が単純であり、より簡単にキャップ4を成形することができる効果がある。
【0040】
また、図8(A)〜(C)は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3におけるキャップ4の構成を次の通り変更したものである。
【0041】
すなわち、本実施の形態ではキャップ4の内周面に第2の実施の形態(図7(A),(B)参照)と同様の平面部21を形成するとともに、この平面部21の中央部位に円弧状の凹陥部22を設けたものである。なお、内視鏡1への内視鏡用フード3の取り付け方は第1の実施の形態と同一であるのでここではその説明を省略する。
【0042】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する。次に、内視鏡1を患者の体腔内に挿入した状態で、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10をセットする。
【0043】
このクリップ装置10は、内視鏡1の手元側に設けられた開口を介して内視鏡1に設けられたチャンネル9内に挿通される。チャンネル9を挿通されたクリップ装置10は、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図8(B)に示すようにキャップ4の内周面の平面部21に沿わせて当接させた状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面の平面部21と当接してこのクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0044】
仮に、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出した際に、図8(C)に示す如くクリップ10cがキャップ4の内周面の円弧状の凹陥部22に挿入された状態であっても、キャップ4内でクリップ10cを軸回り方向に回転させることにより、図8(B)に示すようにクリップ装置10のクリップ10cをキャップ4の内周面の平面部21に当接させてこのクリップ10cが内視鏡1の軸回り方向に回転する動作を規制することができる。
【0045】
この動作が規制された状態で、クリップ装置10の先端部をキャップ4から一旦突出させ、クリップ10cを軸回りに回転させてキャップ4内に引き込むことにより、図8(C)に示すようにクリップ装置10のクリップ10cが上述した凹陥部22内に挿入された状態に移動する動作を容易に行うことができる。
【0046】
その後の操作は前述した第1の実施の形態における操作と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0047】
以上述べた如く、処置具6であるクリップ装置10を内視鏡1のチャンネル9内に挿入する時点を、内視鏡1を体腔内に挿入した後にすることは可能でありまた、その際クリップ10cが平面部21に当接しない状態で挿入部2から突出したとしても、キャップ4内でクリップ10cを回転させてクリップ10cが平面部21に当接した状態にすることが可能である。
【0048】
また、図9(A),(B)は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3におけるキャップ4の構成を次の通り変更したものである。
【0049】
すなわち、本実施の形態では、第1実施の形態のキャップ4の内周面に左右一対の凹陥状の係合溝部31を軸方向に沿って延設したものである。各係合溝部31は内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10のクリップ10cが引っかかる程度の寸法に設定されている。好ましくは、例えば、係合溝部31の深さtbが0.2mm乃至1mm程度である。なお、内視鏡1への内視鏡用フード3の取り付け方は第1の実施の形態と同一であるのでここではその説明を省略する。
【0050】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態ではまず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10がセットされる。
【0051】
このクリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図9(B)に示すようにキャップ4の係合溝部31に挿入させた状態にセットされる。このとき、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面の係合溝部31に挿入されて係合されることにより、このクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。その後の操作は第1の実施の形態と同一である為、ここではその説明を省略する。
【0052】
そこで、上記構成のものにあってはキャップ4の内周面に左右一対の凹陥状の係合溝部31を軸方向に沿って延設したので、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cを図9(B)に示すようにキャップ4の係合溝部31に挿入させた状態にセットすることにより、クリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態ではキャップ4の内周面に2つの係合溝部31を設けたので、キャップ4内に吸引される粘膜などの生体組織の容量を増すことができ、より多くの粘膜を吸引できる効果がある。
【0054】
また、図10(A)〜(C)は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3におけるキャップ4の構成を次の通り変更したものである。
【0055】
すなわち、本実施の形態ではキャップ4の内周面に内外の壁面間に貫通させた貫通孔であるスリット41が形成されている。このスリット41は内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付けた際に、内視鏡1の挿入部2の先端部からキャップ4の先端部位置まで軸方向に沿って延設されている。なお、図10(B)に示すようにスリット41の幅wcは、例えば、2mm乃至12mm程度に設定されている。そして、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10のクリップ10cをこのスリット41に係合させるようにしたものである。これにより、このスリット41の幅wcの範囲内で、クリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制されている。なお、内視鏡1への内視鏡用フード3の取り付け方は第1の実施の形態と同一であるのでここではその説明を省略する。
【0056】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10がセットされる。
【0057】
このクリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図10(B)に示すようにキャップ4の内周面のスリット41に挿入された状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面のスリット41と係合してこのスリット41の幅wcの範囲内でクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0058】
この状態で、内視鏡1の挿入部2を患者の体腔内に挿入する作業が行われる。このとき、クリップ装置10のクリップ10cとキャップ4の内周面のスリット41との係合部によりこのスリット41の幅wcの範囲内でキャップ4内におけるクリップ装置10のクリップ10cの先端部の回転を例えば90°以内程度に制限できる。なお、キャップ4の内周面に処置具6の先端部の一端が入るだけのスリットを設け、処置具6の先端部を一定の位置で回転固定してもよい。さらに、内視鏡1の挿入部2を患者の体腔内へ挿入後、手元から処置具6を入れて内視鏡用フード3内で処置具6の先端部の回転を制限してもよい。
【0059】
続いて、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織の掴みたい部位に移動させる。そして、その内視鏡用フード3の先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置でクリップ装置10のクリップ10cを突き出して生体組織に突き当てた状態で、クリップ装置10の操作部を操作してクリップ装置10のクリップ10cで生体組織を掴む。
【0060】
そこで、本実施の形態では、キャップ4の内周面に内外の壁面間に貫通させた貫通孔であるスリット41を形成し、コイルシース10aの先端のクリップ10cをこのスリット41に係合させるようにしたので、このスリット41の幅wcの範囲内でキャップ4内におけるクリップ装置10のクリップ10cの先端部の回転を例えば90°以内程度に制限できる。そのため、望んでいる方向にクリップ装置10のクリップ10cを向けやすくなる為、処置をより速やかに行うことができる効果がある。
【0061】
また、図11(A),(B)は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3におけるキャップ4の構成を次の通り変更したものである。
【0062】
すなわち、本実施の形態では、キャップ4の内周面に内外の壁面間に貫通させた貫通孔である左右一対のスリット51が形成されている。これらのスリット51は内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付けた際に、内視鏡1の挿入部2の先端部からキャップ4の先端部位置まで軸方向に沿って延設されている。なお、内視鏡1への内視鏡用フード3の取り付け方は第1の実施の形態と同一であるのでここではその説明を省略する。
【0063】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6、例えばクリップ装置10がセットされる。
【0064】
このクリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。ここで、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図11(B)に示すようにキャップ4の内周面の左右のスリット51に挿入された状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面のスリット51と係合されてクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0065】
この状態で、内視鏡1の挿入部2を患者の体腔内に挿入する作業が行われる。このとき、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織の掴みたい部位に移動させる。そして、その先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置でクリップ装置10のクリップ10cを突き出して生体組織に突き当てた状態で、クリップ装置10の操作部を操作してクリップ装置10のクリップ10cで生体組織を掴む。
【0066】
そこで、上記構成の本実施の形態によれば、キャップ4の内周面に内外の壁面間に貫通させた貫通孔である左右一対のスリット51を形成し、コイルシース10aの先端のクリップ10cをキャップ4の内周面の左右のスリット51に挿入させてクリップ装置10のクリップ10cをキャップ4の内周面のスリット51と係合させることにより、クリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作を規制させることができる。そのため、本実施の形態ではキャップ4内でのクリップ装置10のクリップ10cの開き幅に制限を受けることはないので、多くの生体組織を掴むことができる効果がある。
【0067】
また、図12(A),(B)は本発明の第7の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の内視鏡用フード3の構成を次の通り変更したものである。
【0068】
すなわち、本実施の形態では第1の実施の形態のキャップ4と、固定部材5と、2つのレール8a,8bとを同一材料で一体成形した一体成形品61を設けたものである。この一体成形品61の材料は、生体適合性と消毒液などの耐薬品性に優れ、優れた透明性と適度な硬さを有する等の利点から、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とするブロックとからなるブロック共重合体を主成分とする生体組織物により形成されている。これ以外の部分の構成は第1の実施の形態と同一である。
【0069】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、内視鏡1の挿入部2の先端部に内視鏡用フード3を取り付ける。その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する前に、内視鏡1と組み合わせて使用される処置具6であるクリップ装置10がセットされる。このとき、クリップ装置10は内視鏡1のチャンネル9内に挿通されたのち、コイルシース10aの先端部が内視鏡1の挿入部2の先端から突出される。そして、挿入部2の先端から突出されたコイルシース10aの先端のクリップ10cは、図12(B)に示すようにキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bとの間に挟んだ状態にセットされる。これにより、クリップ装置10のクリップ10cがキャップ4の内周面の上部レール8aと下部レール8bと当接してこのクリップ10cが内視鏡1の挿入部2の軸回り方向に回転する動作が規制される。
【0070】
その後、内視鏡1を患者の体腔内に挿入する操作が行われる。続いて、内視鏡1の図示しない操作部を操作して内視鏡用フード3のキャップ4の先端開口部を生体組織Hの止血したい部位に移動させる。そして、キャップ4の先端開口部からキャップ4内に収まっていた位置でクリップ10cを突き出して生体組織に突き当てた状態で、クリップ装置10の操作部を操作してクリップ10cで生体組織を掴む。
【0071】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では内視鏡用フード3は軟性部材の一体成形品61で作られているので、内視鏡1の挿入部2の先端にこの一体成形品61を取り付ける事により体腔内に挿入しやすくなる効果がある。
【0072】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 内視鏡の挿入部先端に取り付ける略円筒形状で透明なキャップと、前記キャップに前記内視鏡の挿入部先端から突出した処置具先端部が少なくとも1つあたる当接部を設けたことを特徴とする内視鏡用フード。
【0073】
(付記項2) 付記項1に記載の内視鏡用フードにおいて、上記当接部は上記キャップ内面に設けられた突出部であることを特徴とする内視鏡用フード。
【0074】
(付記項3) 付記項2に記載の内視鏡用フードにおいて、上記突出部は上記キャップの内壁を一部中心方向に盛り上げたことを特徴とする内視鏡用フード。
【0075】
(付記項4) 付記項1に記載の内視鏡用フードにおいて、上記当接部は上記キャップの内壁面から外周面へ切り込んで設けられた壁であることを特徴とする内視鏡用フード。
【0076】
(付記項5) 付記項1〜4に記載の内視鏡用フードにおいて、上記キャップは硬質であり、上記内視鏡の挿入部先端に固定する固定部材を有することを特徴とする内視鏡用フード。
【0077】
(付記項6) 上記キャップを上記内視鏡に取り付ける際に、上記内視鏡先端部の中心からチャネルの中心に対して引かれた線と、上記キャップ断面形状が左右対称となるように引かれた線とが重なるように取り付けることを特徴とする、内視鏡用フードの使用方法。
【0078】
(付記項7) 上記キャップを用いる際に、処置具先端部が互いに逆方向に開く処置具を用い、処置具先端部の回転を制御することを特徴とする、内視鏡用フードの使用方法。
【0079】
(付記項1〜7の従来技術) 内視鏡検査や内視鏡下手術において、クリップ装置や高周波スネアーや把持鉗子や生検鉗子等の組織を掴む処置具は、組織を掴む方向が重要である。従来、組織を掴む処置を行う際には、内視鏡自体もしくは処置具自体を動かしたり回転させたりして、処置具先端部を望みの方向に位置固定して処置を行っていた。
【0080】
(付記項1〜7が解決しようとする課題) しかしながら、組織を掴む処置を行うために体腔内に内視鏡を挿入した際に、内視鏡自体が回転してしまったり、処置具先端部が意図した方向に出なかったりと、処置具先端部を望んだ方向へ位置固定させるのは困難な場合があり、操作に熟練が必要であった。
【0081】
(付記項1〜7の目的) 本発明は、以上の問題に着目してなされたもので、内視鏡先端部に取り付けられた内視鏡用フードを用いて処置具先端部の回転を固定し、処置具を望んでいる方向に向けることにより、正確な処置を速やかに行えることを目的とする。
【0082】
(付記項1〜4の作用) 内視鏡の挿入部先端にキャップを取り付け、内視鏡を患者の体腔内に挿入する前に処置具先端部を当接部に当てることによりあらかじめ処置具先端部の回転を制御し、内視鏡を体腔内に挿入した後、キャップに収まっていた位置で処置具先端部を突き出して組織に突き当てた状態、もしくは、組織をキャップ内に引き込んで組織に突き当てた状態から組織を掴む処置を行う。
【0083】
(付記項5の作用) 付記項1〜4の作用において、内視鏡の挿入部先端に硬質なキャップを取り付ける。その他の作用は付記項1〜4と同様。
【0084】
(付記項1〜7の効果) 以上説明したように本発明によれば、内視鏡先端部に取り付けられた内視鏡用フードを用いて処置具先端部の回転を固定し、処置具を望んでいる方向に向けることにより、正確な処置を速やかに行えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…内視鏡、2…挿入部、4…キャップ、6…処置具、7…回転規制部、8a…上部レール、8b…下部レール、9…チャンネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部先端に取り付けられる略円筒形状のキャップの内周面に前記内視鏡の挿入部先端から突出された処置具と当接して前記処置具が前記内視鏡の挿入部の軸回り方向に回転する動作を規制する回転規制部を設けたことを特徴とする内視鏡用フード。
【請求項2】
前記回転規制部は前記キャップの内周面に内方向に向けて突設された突出部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フード。
【請求項3】
前記突出部は前記キャップの内壁面の一部を中心方向に盛り上げたものであることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用フード。
【請求項4】
前記回転規制部は前記キャップの内壁面側から外周面側へ切り込んで設けられた壁溝部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用フード。
【請求項5】
前記キャップは硬質材料で形成され、かつ前記キャップの基端部側外周面に前記内視鏡の挿入部先端に固定する固定部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡用フード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−67650(P2011−67650A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261644(P2010−261644)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2000−311082(P2000−311082)の分割
【原出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】