説明

内視鏡用把持部材及び把持装置

【課題】 爪部が対象部位を確実に保持することができ、容易に脱落することがない内視鏡用把持部材および該内視鏡用把持部材を有する把持装置を得る。
【解決手段】 開閉可能な一対の腕部と、この一対の腕部の先端にそれぞれ形成した対象部位を把持する爪部とを有する内視鏡用把持部材において、一対の腕部の先端の爪部に、一対の腕部を閉じたとき互いに接触する一対の接触部と、この一対の接触部の間に位置する互いに接触しない隙間部とを形成した内視鏡用把持部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡観察下で病変部を切除する際に患者の病変部を把持するための内視鏡用把持部材、及び該把持部材を磁界又は重力によって誘導可能なアンカーを有する内視鏡用把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の内視鏡用把持部材は一般に、開閉可能な一対の腕部と、この一対の腕部の先端にそれぞれ形成した対象部位を把持する爪部とを備えている。図13は、従来の爪部411の形状を示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが従来の爪部411は、先鋭な形状をしており、把持部を傷つけ、あるいは把持部(対象部位)を噛み切ってしまうおそれがあった。本出願人が開発中のアンカーを用いて把持部材を持ち上げ、病変部を切除する内視鏡用把持装置では、把持部材が把持部から脱落してしまい、所期の目的を達することができない可能性がある。
【0004】
従って本発明は、爪部が対象部位を噛み切ることがなく、把持した対象部位を確実に保持し容易に脱落することがない内視鏡用把持部材を得ることを目的とする。
また本発明は、内視鏡用把持部材を連結部材を介してアンカーに接続し、アンカーを利用して対象部位を持ち上げる内視鏡用把持装置において、該把持部材が対象部位を噛み切ることがなく容易に外れることがない把持装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内視鏡用把持部材は、開閉可能な一対の腕部と、この一対の腕部の先端にそれぞれ形成した対象部位を把持する爪部とを有する内視鏡用把持部材において、一対の腕部の先端の爪部に、一対の腕部を閉じたとき互いに接触する一対の接触部と、この一対の接触部の間に位置する互いに接触しない隙間部とを形成したことを特徴としている。
【0006】
隙間部は、一対の接触部の内側に位置し一対の接触部を結ぶ平面に交差する方向に延びる少なくとも一対の直線状隙間部と、この一対の直線状隙間部を結ぶ結合隙間部とを有することが好適である。
【0007】
一対の直線状隙間部は、一対の接触部を結ぶ平面に対して実際に交差させることも、該平面を一端部として形成することもできる。
【0008】
例えば、門型は最も単純な隙間部の形状である。
【0009】
また、隙間部は、方形であってもよい。
【0010】
一対の接触部は、平面からなっていることが好ましい。
【0011】
本発明の内視鏡用把持部材は、該内視鏡用把持部材を牽引するアンカーと、内視鏡用把持部材とアンカーとを連結する連結部材とを備えた内視鏡用把持装置に用いることができる。
【0012】
アンカーは、例えば磁性体から構成することで、外部磁界により動力を与えることができる。
【0013】
内視鏡用把持部材、アンカー、及び連結部材は、例えば中空円筒状の導入管内に収容された状態で内視鏡の挿入部内に挿通されて、対象物内部に導入されることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、爪部が対象部位を噛み切ることがなく、把持した対象部位を確実に保持し容易に脱落することがない内視鏡用把持部材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1から図9に示す実施形態は、内視鏡を用いた手術の一態様として従来知られている磁気アンカーを用いて病変部を持ち上げて切除する手法に用いる装置に本発明を適用したものである。
図1は、患者(対象物)の病変部(対象部位)130(図5から図9参照)を観察および処置することができる内視鏡2内に、内視鏡用把持装置1を挿通した状態を示している。内視鏡2は、患者の体内に挿入する挿入部3と、挿入部3の先端部に配置される先端硬性部60と、挿入部3の後方に内視鏡用把持装置1などの処置具を挿入する鉗子挿入口90と、鉗子挿入口90と先端硬性部60の間に連通する鉗子チャンネル61(図5参照)とを有する。
【0016】
図2、図3に示すように、内視鏡用把持装置1は、鉗子チャンネル61(図5参照)内に挿通される中空円筒状の導入管70と、導入管70の内壁に沿って設けられる押出部材71と、押出部材71の内側に挿通する操作ワイヤ80と、導入管70の先端部に嵌められる磁気アンカー30と、磁気アンカー30の後方に配置される把持鉗子ユニット100とを有する。
【0017】
磁気アンカー(アンカー)30は、磁性体からなり、導入管70の先端部に一部が嵌合されている。磁気アンカー30に用いる磁性体としては、純鉄、鉄合金のほか、プラチナマグネット、希土類磁石、テルビウム、ディスプロシウム、鉄合金などの磁石を使用することができる。さらに、術者は、例えば電磁石、永久磁石などの磁気誘導部材を用いることによって、患者の体外から磁気アンカー30に向けて磁界を発生させる。
【0018】
把持鉗子ユニット100は、把持クリップ(内視鏡用把持部材)10と外筒管40からなり、導入管70の内側に位置して磁気アンカー30の後方に配置されている。
把持クリップ10は、略U字形状に曲折しており、一対の腕部11、12とワイヤ掛止部10aを備える。腕部11、12は、長い板状であり、開閉可能なように対向している。ワイヤ掛止部10aは、曲折部分である。
【0019】
腕部11、12のワイヤ掛止部10aとは反対側の先端には、それぞれ内側へ屈曲させた一対の爪部11a、12aが形成されている。図4に示すように、爪部11a、12aの先端には、その幅方向(腕部11、12の開閉方向と直交する方向)の両側端部にそれぞれ、腕部11、12を閉じたとき互いに接触する平面からなる接触部13(13a、13b)と、接触部14(14a、14b)が形成されている。この接触部13と14の接触平面は、同一平面上に位置している。
【0020】
この一対の接触部13と14の間には、門形(コ字形)をなす隙間部(把持空間)15が形成されている。すなわち、この隙間部15は、接触部13と14を結ぶ平面を一端部として該平面と交差する方向に延びる一対の直線状隙間部15aと、この一対の直線状隙間部15aの他端部を結ぶ結合隙間部15bとからなっている。
以上の門形をなす隙間部15は、把持クリップ10の腕部11、12を閉じ接触部13と14を接触させたときでも互いに接触することはない。
【0021】
腕部11、12の長手方向の同一位置においては、腕部11、12を屈曲させることにより、その前後部分よりも外方へ突出した凸部11b、12bと、凸部11b、12bの前方端から再び外方へ広がる傾斜部11c、12cと、傾斜部11c、12cの前方端から爪部11a、12aへ延びる平面先端部11d、12dが設けられている。このため、腕部11、12を外筒管40に引き込むことによって爪部11a、12aが開閉し、患者内部の病変部130を把持することができる。なお、把持クリップ10は、病変部130を把持できれば腕部の数は3枚以上であってもよい。
【0022】
把持クリップ10は、ワイヤ掛止部10aの近傍に位置する後部11e、12eが略円筒状の外筒管40内に保持されている。外筒管40は、把持クリップ10の外面が当接可能な内径を有しており、例えばステンレスパイプ、プラスチックチューブや超弾性合金により形成することができる。外筒管40は、把持クリップ10のワイヤ掛止部10aおよび後部11e、12eが挿入されている大径部46と、大径部46の後方に設ける小径部47と、小径部47に位置して径方向に対向する一対のスリット41、42とを有する円筒形状であり、把持クリップ10に対して軸方向に相対移動可能である。スリット41、42は、外筒管40の軸に平行に延びており、その後端部は開放されている。
したがって、外筒管40は、軸方向に移動して把持クリップ10との相対位置を変化することによって把持クリップ10の開き角を制御する。なお、小径部47に設けるスリットは1つであってもよい。
【0023】
磁気アンカー30と把持クリップ10(把持鉗子ユニット100)は、柔軟性を有する連結部材20によって連結されている。連結部材20は、ワイヤ掛止部10aの内側に通されて、スリット41、42を介して外筒管40(把持鉗子ユニット100)外に配置された後に、磁気アンカー30の一端に設けられた孔部31に挿入固定されている。連結部材20としては、例えば、手術用縫合糸、釣糸、金属製ワイヤを使用することができる。
【0024】
操作ワイヤ80は、導入管70内に牽引操作可能に挿通されており、その先端には、フック部材81が設けられている。フック部材81は、接着剤、はんだ、ロウ付けなどの接合手段によって、操作ワイヤ80に固定されている。操作ワイヤ80は導入管70よりも充分長く、その後端部は内視鏡2の鉗子挿入口90から外部に突出した導入管70から、さらに延出している。フック部材81の中央部分には凹部82が形成されている。
【0025】
フック部材81の凹部82と把持鉗子ユニット100のワイヤ掛止部10aとの間には、これらを接続するループワイヤ50が掛け止められている。ループワイヤ50は、所定以上の強い力で牽引したときに切断する材料、例えば合成樹脂材料または金属材料から構成されている。
【0026】
導入管70の内壁には、導入管70の長手方向において、中空円筒状の押出部材71が配置されている。押出部材71は、導入管70に対して相対移動可能であり、把持鉗子ユニット100と磁気アンカー30とをこの導入管70から押し出す。押出部材71の先端硬性部60側先端には、規制管72が接着剤、はんだ、ロウ付けなどの固定手段によって固定されている。
【0027】
規制管72は段部73を設けており、その前後方向には前方部分74および後方部分75が設けられている。前方部分74の外径は、導入管70の内径とほぼ同一である。一方、後方部分75の外径は、前方部分74よりも小さく、押出部材71が形成する中空円筒の内径とほぼ同一である。したがって、後方部分75の外周に押出部材71を固定すると、押出部材71が形成する中空円筒の外周と前方部分74の外周がほぼ同一面となる。前方部分74の内径は、後方部分75の内径より大きく設定されている。さらに前方部分74の内径は、外筒管40の小径部47の外径とほぼ同一である。
【0028】
患者の体内に磁気アンカー30と把持鉗子ユニット100を導入する前に、以下のように、把持鉗子ユニット100と磁気アンカー30を導入管70内に配置する。
把持鉗子ユニット100と磁気アンカー30は、連結部材20を介して連結する。ループワイヤ50は、あらかじめ把持クリップ10内に通しておき、一端をフック材部81の凹部82に掛け止める。
【0029】
この状態で、外筒管40の後端部を規制管72内に挿入する。この挿入動作は、外筒管40の段差部45と前方部分74の先端部とが突き当たることによって、外筒管40の挿入が規制されて終了する。このようにすると、把持クリップ10の爪部11a、12aは先端硬性部60の先端側に向くように配置されて、把持鉗子ユニット100を導入管70内に収容する。次に磁気アンカー30の一部を導入管70の先端部に嵌合する。そして、鉗子挿入口90から鉗子チャンネル61内に挿通することによって、導入管70は内視鏡2の挿入部3内に配置される。なお、磁気アンカー30が鉗子挿入口90より大きい場合には、予め導入官70を鉗子挿入口90から挿入して、内視鏡2の先端に突出させる。この状態で把持鉗子ユニット100を導入管70内に収容し、磁気アンカー30の一部を導入管70の先端部に嵌合させることができる。
また、連結部材20は、磁気アンカー30を把持クリップ10の前方に配置することを妨げないだけの十分な長さを有しているため、挿入動作完了時には磁気アンカー30、把持鉗子ユニット100(把持クリップ10および外筒管40)が一直線上に配置される。
【0030】
図5から図9は、磁気アンカー30と把持鉗子ユニット100の体内への導入操作、把持クリップ10による病変部130の把持操作、把持鉗子ユニット100および磁気アンカー30の分離動作、磁気アンカー30(病変部130)の牽引操作を示している。
【0031】
把持クリップ10と磁気アンカー30の患者の体内への導入操作は以下のように行う。まず、内視鏡2の挿入部3を患者の体内に挿入する。その後、先端硬性部60から導入管70の先端部を体内に露出させる。押出部材71により磁気アンカー30と把持鉗子ユニット100とを導入管70から押し出す。
すなわち、押出部材71によって規制管72を前方側へ付勢すると、把持鉗子ユニット100は前方へ押される。そうすると、把持鉗子ユニット100の把持クリップ10の先端は磁気アンカー30の後端に当接する。この状態から、さらに規制管72を前方に付勢すると、導入管70の先端部に嵌合している磁気アンカー30が外れる。なお、押出部材71を保持した状態で、鉗子挿入口90側に導入管70を移動させて、導入管70の先端部に嵌合している磁気アンカー30を外すこともできる。
【0032】
図5に示すように、把持鉗子ユニット100は、導入管70の先端から患者の体内に露出し、把持鉗子ユニット100の把持クリップ10および外筒管40が導入管70の長手方向に、一直線上に配置される。磁気アンカー30は、重力によって下方に垂れ下がる。したがって、先端硬性部60を病変部130に対向するように内視鏡2を操作すれば、術者は、容易に把持クリップ10の先端を病変部130に向けることができる。
【0033】
図6、図7に示すように、把持クリップ10の病変部130への把持操作は以下のように行う。
まず、平面先端部11d、12dを開くために、操作ワイヤ80を押出部材71及び規制管72に対して相対的に移動させる。つまり、操作ワイヤ80を牽引して凸部11b、12bを外筒管40内に引き込む。外筒管40内に引き込まれた凸部11b、12bは、外筒管40の内壁に当接して、互いに近づく方向に撓む。このように凸部11b、12bが撓むと、平面先端部11d、12dは互いに離間して、外筒管40から露出した把持クリップ10の先端側が開くことになる(図6)。
【0034】
このように開いた把持クリップ10を、把持クリップ10と外筒管40の相対位置が変化しないようにして、押出部材71、規制管72及び操作ワイヤ80を一体に移動させて病変部130に向けて進行させる。把持クリップ10の先端が所望の位置に来たところで、把持クリップ10を閉じる。把持クリップ10を閉じるためには、操作ワイヤ80を再び牽引して押出部材71及び規制管72に対して相対的に移動させる。
このよう操作にすると、把持クリップ10の傾斜部11c、12cは外筒管40内に引き込まれて外筒管40の内壁に当接するため、これらは互いに近づく方向に撓む。これに伴って平面先端部11d、12dは互いに近づくように動き、外筒管40から露出した把持クリップ10の先端側が閉じる(図7)。把持クリップ10が閉じると、腕部11、12先端の爪部11a、12aは病変部130を把持する。爪部11a、12aによって把持された病変部130の一部分は、隙間部15内に収まる。このようにして、把持鉗子ユニット100および磁気アンカー30の病変部130への把持操作は完了する。この把持操作の際、爪部11a、12aの先端は、平面からなる接触部13と14で接触し、両接触部の間には隙間部(把持空間)15が形成されるので、病変部130を噛み切ることがなく、また病変部130を容易に外してしまうことがない。
【0035】
次に、把持鉗子ユニット100および磁気アンカー30の分離動作は、以下のように行う。操作ワイヤ80及びフック部材81を介してループワイヤ50を強く引くと、ループワイヤ50は、切断される(図8)。ループワイヤ50が切断されると、フック部材81によって拘束されていた磁気アンカー30と把持鉗子ユニット100は、フック部材81から自由となる。その後、押出部材71、規制管72、操作ワイヤ80及びループワイヤ50を導入管70内に後退させて、導入管70とともに鉗子挿入口90から抜去する。
【0036】
つづいて、内視鏡用把持装置1を用いた病変部130の切除工程について説明する。まず、病変部130の周辺から粘膜下層(不図示)に挿入した注射針で生理食塩水を注入して、病変部130を固有筋層(不図示)から浮き上がらせておく。
【0037】
一方、患者の外部のあらかじめ設定した位置に電磁石からなる磁気誘導部材(不図示)を配置する。このようにセットして、磁気アンカー30を磁気誘導部材による吸引力により持ち上げると、病変部130は磁気アンカー30と供に持ち上げられる(図9参照)。すなわち、磁気誘導部材の外部磁界によって磁気アンカー30に動力を与えると、術者は磁気アンカー30を吸引制御して、把持クリップ10を所望の方向に牽引することができ、病変部130を持ち上げることができる。病変部130の持ち上げ量が不足する場合、または大きすぎる場合には、磁気誘導部材の位置をずらしたり磁気誘導部材が発生する磁界を弱めたりすることによって調整する。
【0038】
つづいて、高周波メスなどの切開具を鉗子チャンネル61から体内に導入し、病変部130を粘膜とともに端部から切除していく。このとき、病変部130は把持クリップ10により持ち上げられているため、切除部分を十分とることができ、すでに切除した病変部130が固有筋層上に落ち込むことも防ぐことができる。また、磁気誘導部材(不図示)の位置を徐々にずらすことにより切除された病変部130をさらに持ち上げることができる。術者は高周波メスの先端位置を容易に確認でき、切除作業をスムーズに行うことができる。
【0039】
また、切除作業を終えると、把持クリップ10が病変部130を把持した状態で、磁気アンカー30は磁気誘導部材に引き寄せられる。そのため、切除した病変部130が紛失することを防ぐことができる。病変部130を回収する場合は、例えば把持鉗子(不図示)などを、鉗子チャンネル61を介して体内に導入し、病変部130の一部分を把持した把持鉗子ユニット100、磁気アンカー30または連結部材20のいずれかを把持鉗子によって把持する。この状態で、磁気誘導部材への電流の供給を止める。そのまま内視鏡2の挿入部3を抜き去ることにより回収する。その後、縫合、消毒などの処置を行う。
【0040】
爪部11a、12aには隙間部15が形成されているため、病変部130を噛み切ることがない。そのため、磁気誘導部材による持ち上げ量の多少および磁気アンカー30の牽引方向に関わらず、爪部11a、12aは、回収作業が完了するまで病変部130を確実に把持することができる。
【0041】
<第2実施形態>
図10は、把持クリップ110の爪部111a、112aの第2の実施形態を示している。第1の実施形態では、一対の直線状隙間部15aは、接触部13と14を結ぶ平面を一端部として該平面と交差する方向に延びており、該平面と交差はしていなかったのに対し、この実施形態では、一対の直線状隙間部115aは、接触部113と114を結ぶ平面に対して交差して延びている。この一対の直線状隙間部115aの端部どうしは結合隙間部115bを介して接続され、全体として門形(コ字形)の隙間部(把持空間)115が形成されている。
【0042】
<第3実施形態>
図11は、把持クリップ210の爪部211a、212aの第3の実施形態を示している。第1、第2の実施形態では、一つの門形の隙間部(把持空間)15(115)が、接触部13(113)と14(114)の内側に形成されていたのに対し、この実施形態では、2つの門形(コ字形)の隙間部を接続してジグザグ状の隙間部(把持空間)215を形成している。このように、直線状隙間部215aと直線状隙間部215bの数は増やすことができる。
【0043】
<第4実施形態>
図12は、把持クリップ310の爪部311a、312aの第4の実施形態を示している。この実施形態では、爪部311a、312aの両側の接触部313と314の内側に、単純な方形の隙間部(把持空間)315を形成している。
【0044】
これらの実施形態2ないし4においても、病変部130を把持した状態で把持クリップ110(210、310)を牽引したときにも、爪部111a(211a、311a)、112a(212a、312a)は病変部130を噛み切ることはなく、また容易に外れることがない。そのため、術者は病変部130を確実に切除、回収することができる。その他の構成、作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0045】
本発明について上記第1から第4実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内視鏡の全体構成を示す概観図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るアンカー、内視鏡用把持部材、連結部材、及びループワイヤの構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るアンカー、内視鏡用把持部材、連結部材、及びループワイヤの構成を示す横断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る内視鏡用把持部材の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る把持クリップおよびアンカーを導入管の外部に露出させた状態を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る把持クリップが開いた状態を示す一部断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る把持クリップが対象部位を把持した状態を示す一部断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るループワイヤの一部が切断された状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るアンカーが牽引されている状態を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る内視鏡用把持部材の構成を示す正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る内視鏡用把持部材の構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る内視鏡用把持部材の構成を示す正面図である。
【図13】従来の把持部材の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 内視鏡用把持装置
2 内視鏡
3 挿入部
10 110 210 310 把持クリップ(内視鏡用把持部材)
10a ワイヤ掛止部
11 12 腕部
11a 12a 111a 112a 211a 212a 311a 312a 411 爪部
11b 12b 凸部
11c 12c 傾斜部
11d 12d 平面先端部
11e 12e 後部
13 14 113 114 213 214 313 314 接触部
15 115 215 315 隙間部
15a 115a 215a 直線状隙間部
15b 115b 215b 結合隙間部
20 連結部材
30 磁気アンカー(アンカー)
31 孔部
40 外筒管
41 42 スリット
45 段差部
46 大径部
47 小径部
50 ループワイヤ
60 先端硬性部
61 鉗子チャンネル
70 導入管
71 押出部材
72 規制管
73 段部
74 前方部分
75 後方部分
80 操作ワイヤ
81 フック部材
82 凹部
90 鉗子挿入口
100 把持鉗子ユニット
130 病変部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な一対の腕部と、この一対の腕部の先端にそれぞれ形成した対象部位を把持する爪部とを有する内視鏡用把持部材において、
上記一対の腕部の先端の爪部に、該一対の腕部を閉じたとき互いに接触する一対の接触部と、この一対の接触部の間に位置する互いに接触しない隙間部とを形成したことを特徴とする内視鏡用把持部材。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡用把持部材において、上記隙間部は、一対の接触部の内側に位置し該一対の接触部を結ぶ平面と交差する方向の少なくとも一対の直線状隙間部と、この一対の直線状隙間部を結ぶ結合隙間部とを有する内視鏡用把持部材。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡用把持部材において、上記一対の直線状隙間部は、一対の接触部を結ぶ平面と交差している内視鏡用把持部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡用把持部材において、上記隙間部は、門形をなしている内視鏡用把持部材。
【請求項5】
請求項1記載の内視鏡用把持部材において、上記隙間部は、方形をなしている内視鏡用把持部材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の内視鏡用把持部材において、上記一対の接触部は、平面からなっている内視鏡用把持部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の内視鏡用把持部材を用いた内視鏡用把持装置であって、
上記内視鏡用把持部材を牽引するアンカーと、
上記把持部材と前記アンカーとを連結する連結部材と、
を備えた内視鏡用把持装置。
【請求項8】
請求項7記載の内視鏡用把持装置において、上記アンカーは磁性体からなり外部磁界により動力を与えられる内視鏡用把持装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の内視鏡用把持装置において、上記内視鏡用把持部材、アンカー、及び連結部材は、中空円筒状の導入管内に収容された状態で内視鏡の挿入部内に挿通されて対象物内部に導入される内視鏡用把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−75282(P2006−75282A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261330(P2004−261330)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【Fターム(参考)】