説明

内視鏡装置の電圧制御回路

【課題】 昇圧回路の制御が不能となった場合においても、過剰な電圧の発生を防止できる電圧制御回路を提供する。
【解決手段】 DC/DCコンバータIC32は、第1端子32Aが検出する第2節点41での電圧に応じて、トランジスタ42にベース電流を供給する。このため、第1、第2LED14、16に供給される昇圧電圧は一定に保たれる。そして、第1、第2LED14、16の断線のため、DC/DCコンバータIC32とトランジスタ42の昇圧制御における異常等が生じ、過剰な電圧が生じると、過剰電圧は抵抗58および警告用LED34を介してツェナーダイオード62に印加される。この結果、電源制御回路30の出力側から電池12に向けて電流が流れ、ツェナー電圧よりも大きく昇圧された過剰電圧の発生が防止されるとともに、警告用LED34が点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置の電圧制御回路に関し、特に、被写体照明用の光源等のための昇圧回路を含む電圧制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
暗い体内での被写体観察を行なうために、内視鏡装置のスコープの先端に、照明用の光源が設けられる場合がある。この光源として、LED等を使用することが知られている(例えば特許文献1参照)。そして携帯内視鏡のように照明用の光源を電池駆動にて使用する場合には、電池の電圧が変化してもLEDに流れる電流を安定させて、照明する明るさを安定させるために、またより大きい電流をLEDに流して照明の明るさを増すために、高い電圧が必要であることから、一般に昇圧回路が用いられる。また、照明用LEDの電流値をモニターし、その値をフィードバックさせることで、一定の電流を照明用LEDに流すように制御される。
【特許文献1】特許第3315809号公報(段落[0013]、[0014]、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、スコープの先端に照明用LEDを設ける場合は、電圧制御回路と照明用LEDは離れた位置にある。そして、携帯内視鏡の製造時には、電圧制御回路と照明用LEDとは個別に組み立てられた後に接続されるため、照明用LEDの接続が不完全な場合(リード線の半田付ミスなど)が生じうる。さらには、スコープの先端は小型化を要求されるため、照明用LEDの実装スペースは狭く、LED自身の接続ミスなどが生じやすい。
【0004】
被写体照明用のLED等に断線等のトラブルが生じると、電流値のフィードバックが出来なくなって、昇圧回路の制御が不能となり、必要とされる電圧を大きく越えた過剰な電圧が生じるおそれがある。こうして、周辺素子の耐圧性能を超えた過剰な電圧が生じると、それら周辺素子の故障を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、昇圧回路の制御が不能となった場合に、装置の不良原因を特定させて警告表示を行ない、装置の不良を確実に知らせるための電圧制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電圧制御回路は、電源から入力される入力電圧を昇圧する昇圧手段と、昇圧手段により得られた昇圧電圧が印加される負荷手段と、印加された昇圧電圧に基づいて負荷手段に流れる電流をモニターして、電流の量に応じて昇圧電圧が所定の目標電圧となるように、昇圧手段を制御する昇圧制御手段と、昇圧制御手段が、負荷手段に流れる電流がモニター不能となったときに、警告する警告手段とを備える。
【0007】
昇圧手段は、例えば昇圧型のDC/DCコンバータを含む。また、負荷手段は、例えば電流駆動による照明素子を含み、この場合、照明素子に昇圧電圧が印加されている状態で、照明素子の断線により電流がモニター不能となったときに、昇圧制御手段が、昇圧電圧が所定の目標電圧よりも大きい電圧になることを抑制することが好ましい。
【0008】
警告手段は、例えば発光素子であり、負荷手段に流れる電流がモニター不能となったときに発光素子は発光する。そして発光素子は、例えばLEDを含む。
【0009】
昇圧制御手段は、例えば、昇圧手段の出力側に電流を流すことにより、昇圧電圧が所定の目標電圧よりも大きい電圧になることを抑制する。また昇圧制御手段は、例えばツェナーダイオードを含む。
【0010】
電源は、例えば電池であり、この場合に電圧制御回路は、入力電圧が所定の基準電圧よりも低いか否かを判断する電圧判断手段をさらに有し、電圧判断手段が、入力電圧が所定の基準電圧よりも低いと判断すると警告手段が警告することが好ましい。
【0011】
本発明の内視鏡装置は、先述の電圧制御回路を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、昇圧回路の制御が不能となった場合においても、過剰な電圧の発生を防止できる電圧制御回路を提供できる。また、電池残量警告表示を用いて、昇圧回路の制御不能警告も表示できるため、部品点数を多くせずに電圧制御回路が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における携帯内視鏡装置(ファイバースコープ)のブロック図である。
【0014】
ファイバースコープ10の先端には、被写体Sを照明するための第1および第2LED14、16と、第1および第2配光レンズ18、19が設けられている。第1、第2LED14、16は、点灯駆動部20の制御の下で、電池12から供給される電力により照明光を被写体Sに照射する。被写体Sの表面で反射された照明光の反射光は、対物レンズ22、イメージガイド24、及び対眼レンズ26を介して、オペレータの眼に入射する。こうして、被写体Sがオペレータにより観察される。
【0015】
ファイバースコープ10の本体(オペレータが保持する部分)の表面には、電圧警告灯28が設けられている。電圧警告灯28には、警告用LED(図示せず)が含まれている。警告用LEDは、点灯駆動部20における、電池12から供給される入力電圧の昇圧制御における異常を知らせるために点灯する。例えば、点灯駆動部20に接続された第1、第2LED14、16のいずれかが断線して昇圧制御が不能となり、入力電圧が異常に高い電圧まで昇圧された場合などにおいて、警告用LEDは自動的に点灯する。
【0016】
図2は、点灯駆動部20に設けられた電圧制御回路を示す回路図である。
【0017】
点灯駆動部20には、電源制御回路30、照明素子部50および電圧制御補助回路60を含む電圧制御回路25が設けられている。電源制御回路30は、昇圧型のDC/DCコンバータIC32、トランジスタ42および第1抵抗45等で構成され、電池12から供給される入力電圧を昇圧するためにDC/DCコンバータIC32に設けられたDC/DCコンバータや、スイッチ38、コンデンサ40、コイル44、ショットキーダイオード46、平滑コンデンサ48を含む。照明素子部50には、第1、第2LED14、16が設けられている。
【0018】
そして、電池12から入力された電圧が昇圧型のDC/DCコンバータによって昇圧され、生じた昇圧電圧が第1、第2LED14、16に供給されると、第1、第2LED14、16が照明光を出射するように電流が流れる。この電流は、第1節点39に接続された第1抵抗45によりモニターされる。そして、第1節点39に常に一定の電流が流れるようにDC/DCコンバータIC32が作動する。
【0019】
すなわち、まず、電源スイッチ38がオンになると、第2節点41を介してDC/DCコンバータIC32の第3端子32Cに電圧が供給される。そしてDC/DCコンバータIC32は、第5端子32Eに接続されたトランジスタ42に、パルス状のベース電流を供給する。ここで、DC/DCコンバータIC32が、第5端子32Eを介してトランジスタ42に供給する駆動電圧の能動期間の繰り返し周期、つまり端子がHIになる期間(パルス)の繰返し周期は、第1端子32Aが検出する第1節点39での電圧に応じて可変である。
【0020】
すなわち、第1節点39での電圧が設定電圧よりも低い場合、第5端子32Eは、単位時間当たりのベース端子の電圧をHIにする期間の繰り返し周期を短くし、単位時間当たりにトランジスタ42がオンとなる頻度を高くする。また、第1節点39での電圧が設定電圧よりも高い場合、第5端子32Eは、単位時間当たりのベース端子の電圧をHIにする期間の繰り返し周期を長くし、単位時間当たりにトランジスタ42がオンとなる頻度を低くする。この結果、ステップアップコンバータの原理に従って、第1節点39での電圧および第1、第2LED14、16に供給される昇圧電圧は、ほぼ一定の電圧(目標電圧)に保たれる。
【0021】
第2節点41と第3節点43との間には、ステップアップ・インダクタとして昇圧動作を担うコイル44が設けられ、第3節点43と第1LED14との間には、電流の逆流を防止するためのショットキーダイオード46、電流を平滑する平滑コンデンサ48が設けられている。
【0022】
電圧制御補助回路60には、DC/DCコンバータ等の異常により、昇圧が適切に制御されない事態に備えて、第2抵抗58、警告用LED34、およびツェナーダイオード62が設けられている。例えば、第1、第2LED14、16のいずれかが断線して、第1抵抗45に電流が流れなくなり、第1端子32Aが第1節点39の電圧を検出できなくなった場合、DC/DCコンバータIC32からの出力電圧が異常に高くなるおそれがある。そして、後述する比較例の回路のように、電圧制御補助機能が設けられていない場合、電源制御回路30から目標電圧よりも高い電圧(以下、過剰電圧という)が出力され、各素子の破損を招く可能性がある。
【0023】
これに対し、ツェナーダイオード62が設けられている電圧制御補助回路60においては、発生した過剰電圧は、第2抵抗58を介してツェナーダイオード62に印加される。そして、所定のツェナー電圧よりも高い電圧が印加されると、ツェナーダイオード62に電流が流れる。すなわち、電源制御回路30の出力側から電流が流れ、この結果、ツェナー電圧よりも大きく昇圧された過剰電圧の発生が防止されるとともに、警告用LED34が点灯する。
【0024】
図3は、第1、第2LED14、16のいずれかが断線して、第1端子32Aが第1節点39の電圧を検出できなくなった場合において、警告用LED34に流れる電流量と、DC/DCコンバータから出力される電圧の大きさの関係を示す図である。
【0025】
図3における複数の点は、警告用LED34に流れる電流量とDC/DCコンバータの出力電圧との関係を示す実測値であり、曲線はこれらの実測値をなめらかに結ぶものである。警告用LED34に流れる電流の大きさは、DC/DCコンバータの出力電圧からツェナーダイオード62のツェナー電圧降下と警告用LED34の順方向電圧とを減算した値に、第2抵抗58の抵抗値を除した値に相当する。
【0026】
DC/DCコンバータから出力される電圧は、第2抵抗58、警告用LED34、ツェナーダイオード62に電流がほとんど流れない状態にあっては著しく高いものの、これらにわずかな電流が流れることにより、大きく低下する。すなわち第2抵抗58およびツェナーダイオード62が、目標電圧よりも大きい過剰電圧の発生を抑制することとなる。
【0027】
このように、本実施形態の電圧制御回路25においては、電源制御回路30による昇圧制御が不能となった場合においても、過剰な電圧の発生を防止するとともに、警告用LED34が発光することによりオペレータに昇圧制御の異常を知らせることができる。
【0028】
本実施形態の電圧制御回路25は、電池12を用いた携帯可能なファイバースコープ10のみならず、商用電源を用いる固定式の内視鏡装置に用いられても良い。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態における電圧制御回路を示す回路図である。図5は、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路を示す回路図である。図6は、比較例としての電池残量低下警告機能を有する電圧制御回路を示す回路図である。これらの図においては、第1の実施形態における電源制御回路30と同一の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0030】
第2の実施形態の電圧制御回路25は、電圧警告表示機能と、電池残量低下の警告のための表示駆動回路36とが電圧制御補助回路60に設けられている点のみが、第1の実施形態と異なる。表示駆動回路36は、長期間の使用等により電池12の入力電圧が低下した場合においても警告用LED34を点灯させ、オペレータに入力電圧の低下を警告するために設けられている。
【0031】
続いて、表示駆動回路36の動作について説明する(図5参照)。表示駆動回路36には、基準電圧生成回路52が設けられており、基準電圧生成回路52は、例えば2.3(V)の基準電圧を生成する。この基準電圧と、電池12から入力される入力電圧を抵抗比で分割した電圧が、それぞれコンパレータ54に入力される。コンパレータ54は、これらの電圧の高低を比較し、電池12からの入力電圧が、基準電圧である2.3(V)よりも低いか否かを判断する。
【0032】
コンパレータ54は、電池12の電圧が抵抗分割された電圧が基準電圧よりも低いと判断すると、nチャンネルFET56のゲートにHIの電圧を印加する。このため、電池12の入力電圧が抵抗分割された電圧が、基準電圧よりも低い場合には、コンパレータ54の出力端子における電圧が高くなり、nチャンネルFET56のゲートの電圧が高くなってドレイン、ソース間に電流が流れる。この結果、nチャンネルFET56に接続された警告用LED34に、第2抵抗58を介して電流が流れ、警告用LED34は点灯して、電池残量が所定電圧以下に低下していることを報知する。
【0033】
このように、本実施形態における電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60においては、第1の実施形態と同様に、電源制御回路30による昇圧制御が不能になってDC/DCコンバータからの出力電圧が異常に高くなるおそれがある場合のみならず、電池12の電圧が低下した場合においても、警告用LED34が発光する。
【0034】
本実施形態においては、電池12の電圧が低下した場合、第1、第2LED14、16を発光させるための昇圧電圧から第2抵抗58を介して得られる電流を用いて、警告用LED34を発光させている。すなわち、警告用LED34には、電池12から直接入力される電圧による電流ではなく、電源制御回路30の制御によって昇圧された電圧から第2抵抗58を介して電流が供給される。
【0035】
従って、電池12の電圧が低下した場合においても、電源制御回路30が作動する限り、警告用LED34には、昇圧電圧から第2抵抗58を介して電流が供給される。このため警告用LED34には十分な電流を供給できるので、警告用LED34は、明るい光を発光し、電圧警告灯28は、オペレータに電池12の電圧低下を確実に知らせることができる。なお本実施形態では、DC/DCコンバータは、例えば、2.0(V)以上の電圧が電池12から供給されると作動する。
【0036】
これに対し、図6に示す比較例の電圧制御回路27のように、電池12からの入力電圧を電源制御回路30により昇圧して得られた電圧で照明素子部50を駆動する一方、警告用LED34が電池12に接続され、電池12からの入力電圧から直接抵抗を介することによって得られる電流を用いて発光する場合、その光の輝度は、電池残量の低下に伴った電流量の減少により低下してしまう。このため、電池12の残量が少なくなったことを知らせるために警告用LED34が発光するときには、警告用LED34に流れる電流は少なくなっており、輝度の低い光による警告表示となってオペレータに認識されないおそれがある。
【0037】
なお、図6の比較例では、照明素子部50の断線による負荷オープンに対する過電圧保護回路として、平滑コンデンサ48のホット側の昇圧電圧出力端と第1節点39との間にツェナーダイオード63が接続されている。
【0038】
図7は、電池12の入力電圧の経時変化を示す図である。図8は、電源制御回路30から出力される電圧の経時変化を示す図である。図9は、図8と同様に電池12の電圧が経時的に変化したときの表示駆動回路36におけるnチャンネルFET56の動作状況を示す図である。
【0039】
電池12が入力する電圧は、使用開始時間である使用時間t=0の3.5(V)から、使用時間tの経過とともに低下する。そして、電池12からの入力電圧が2.0(V)以上であるときには、DC/DCコンバータが作動するため、DC/DCコンバータから出力される電圧は、例えばおよそ7.5(V)程度で一定である(図8参照)。そして電池12からの入力電圧が2.0(V)を下回ると、DC/DCコンバータIC32が動作できる下限の電圧を下回るために、DC/DCコンバータは作動せず、電池12から供給された電圧は、コイル44、ショットキーダイオード46、第2抵抗58等を介してそのまま出力される。このとき、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60は、警告用LED34を点灯すべくスイッチングされているから、警告用LED34は点灯する。
【0040】
また入力電圧が、基準電圧である2.3(V)よりも低下すると、DC/DCコンバータが作動しているので、表示駆動回路36のnチャンネルFET56がオンになる(図9参照)。このとき、出力端子OUTにおける電圧も入力電圧と同様に降下する。この結果、警告用LED34には降下電圧に対応した電流が供給され、警告用LED34は発光する。以上の図7〜9に示す電池12からの入力電圧の低下に伴って、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60において、警告用LED34からの光の輝度がどのように変化するかについて、以下に説明する。
【0041】
図10は、電池12からの入力電源を直接用いる場合において、図6に示す比較例の表示回路61における警告用LED34に流れる電流に対応する、警告用LED34が発光する光の輝度を示す図である。図11は、図4における電圧制御補助回路60において、警告用LED34が発光する光の輝度を示す図である。
【0042】
図10および図11の一点鎖線で示す電池12の入力電圧が、基準電圧である2.3(V)以上のときには、比較例の表示回路61(図6参照)においても、本実施形態の電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60においても、警告用LED34は発光しない。そして電池12の入力電圧が、基準電圧の2.3(V)から徐々に低下すると、比較例の表示回路61においては、警告用LED34からの光の輝度は、基準電圧である2.3(V)に比例した輝度レベル(以下、レベル1という)から、入力電圧に比例して徐々に低下する。これは、警告用LED34に流れる電流が、電池12による入力電圧に依存して低下するためである。
【0043】
これに対し、図4に示す、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60における警告用LED34には、DC/DCコンバータの出力電圧(図8参照)に比例し、基準電圧の2.3(V)よりも大幅に高い安定した電圧が供給されるので、結果的に大きい電流値が安定して供給可能となり、警告用LED34への電流供給も電圧に比例して大きくなるため、一定の高い輝度レベルを有する光を発光できる(図11参照)。
【0044】
また、電池12の入力電圧が2.0(V)まで低下すると、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60、表示回路61のいずれにおいても、DC/DCコンバータが作動しないためにDC/DCコンバータからの電圧供給は停止し、警告用LED34の発光する光の輝度は、コイル44、ショットキーダイオード46、第2抵抗58等を介した2.0(V)の入力電圧に比例した輝度レベル(以下、レベル2という)になる。そして、さらに入力電圧が低下すると、警告用LED34からの光の輝度は、電池12からの入力電圧に応じてさらに低下する。
【0045】
以上のように、図6に示す比較例の表示回路61において警告用LED34の発光する光の輝度は、DC/DCコンバータが作動するか否かに係わらず、レベル1からレベル2以下に低下し続ける。これに対し、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60における警告用LED34が発光する光は、DC/DCコンバータが作動しなくなるまでの期間、レベル1よりも大幅に高い輝度レベルを有する。
【0046】
このように本実施形態によれば、警告用LED34は、DC/DCコンバータが作動できなくなる直前であって、電池12の入力電圧低下を知らせる必要性が最も高い期間において、高輝度の光を発光するため、オペレータに電池残量の低下を確実に知らせることができる。
【0047】
本実施形態では、DC/DCコンバータは2.0(V)以上の電圧が供給された場合に作動することから、基準電圧を2.0(V)よりも多少高い2.3(V)に設定する等の手段をとることができる。つまり、基準電圧の大きさは、DC/DCコンバータ等、昇圧のために用いられる回路が作動するために最低限必要な入力電圧の大きさに応じて、調整することができる。
【0048】
図12は、DC/DCコンバータ等による昇圧制御フィードバックの異常と、電池12からの入力電圧の低下とにより、警告用LED34が発光する光の輝度の変化を示す図である。
【0049】
一点鎖線が示す電池12の入力電圧が、基準電圧の2.3(V)以上のとき(使用時間t=0〜t1)には、警告用LED34は、DC/DCコンバータ等による昇圧制御の異常の場合にのみ発光する。この場合に警告用LED34が発光する光の輝度は、図11に示す入力電圧の低下時(使用時間t>t1)における輝度よりも高くなる。これは、DC/DCコンバータIC32等の昇圧が適正に行なわれなかった場合には、正常に昇圧された場合よりも大きい過剰電圧に基づく電流が、一時的に警告用LED34に流れるためである。
【0050】
このように本実施形態においては、電圧警告灯28は、照明素子部50の負荷オープンによる昇圧制御に異常が生じた場合に加え、電池12の入力電圧が低下したことも確実にオペレータに知らせることができる。さらに、昇圧制御の異常と、電池12の電圧低下との報知のために、単一の発光素子である警告用LED34のみが設けられていることから、電圧警告表示機能を有する電圧制御補助回路60の構造は簡略化される。
【0051】
本実施形態では、昇圧制御の異常と電池12の入力電圧の低下とを報知するために、警告用LED34のみが設けられているが、それぞれを個別にオペレータに報知するために、2つの発光素子が設けられても良い。この場合、昇圧制御の異常と入力電圧の低下とのいずれが生じたかを、オペレータに知らせることができる。
【0052】
また本実施形態では、図13に示すように、電池電圧の低下を知らせる警告用LED34のための独自の電源である表示用電源35を設けても良い。この場合、電池12の入力電圧が2.0(V)以下に低下し、DC/DCコンバータIC32が作動しないときにおいても、警告用LED34からの光の輝度を、先述のレベル1以上に維持することができる。
【0053】
第1および第2のいずれの実施形態においても、被写体照明用の光源である第1、第2LED14、16、もしくは警告用LED34の代わりに、ランプを用いても良い。また、光源の数、配置はいずれの実施形態にも限定されず、例えば照明用に1個の高輝度光源を用いたり、あるいは2個の照明用光源を並列に配置しても良い。
【0054】
電圧制御回路25は、汎用的な素子によって構成することが可能であり、例えば、DC/DCコンバータIC32として「東光株式会社」製の「TK11840L」を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態における携帯内視鏡装置のブロック図である。
【図2】第1の実施形態における電圧制御回路を示す回路図である。
【図3】警告用LEDに流れる電流量と、DC/DCコンバータから出力される電圧の大きさとの関係を示す図である。
【図4】第2の実施形態における電圧制御回路を示す回路図である。
【図5】電圧制御補助回路を示す回路図である。
【図6】比較例としての電圧制御回路を示す回路図である。
【図7】電池の入力電圧の経時変化を示す図である。
【図8】電源制御回路から出力される電圧の経時変化を示す図である。
【図9】表示駆動回路の出力端子における電圧の経時変化を示す図である。
【図10】比較例の表示回路において、警告用LEDが発光する光の輝度を示す図である。
【図11】第2の実施形態における電圧制御補助回路において、警告用LEDが発光する光の輝度を示す図である。
【図12】昇圧制御の異常と電池からの入力電圧の低下とにより、警告用LEDが発光する光の輝度の変化を示す図である。
【図13】警告用LEDのための独自の電源を設けた電圧制御回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0056】
10 ファイバースコープ(内視鏡装置)
12 電池(電源)
14 第1LED(照明光出射手段・LED)
16 第2LED(照明光出射手段・LED)
25 電圧制御回路
28 電圧警告灯(警告手段)
32 DC/DCコンバータIC(DC/DCコンバータ・昇圧手段・昇圧制御手段)
34 警告用LED(警告手段・LED・表示手段)
42 トランジスタ(昇圧制御手段)
54 コンパレータ(電圧判断手段)
60 電圧制御補助回路(昇圧制御手段)
62 ツェナーダイオード(昇圧制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から入力される入力電圧を昇圧する昇圧手段と、
前記昇圧手段により得られた昇圧電圧が印加される負荷手段と、
印加された前記昇圧電圧に基づいて前記負荷手段に流れる電流をモニターして、前記電流の量に応じて前記昇圧電圧が所定の目標電圧となるように、前記昇圧手段を制御する昇圧制御手段と、
前記昇圧制御手段が、前記負荷手段に流れる電流がモニター不能となったときに、警告する警告手段とを備えることを特徴とする電圧制御回路。
【請求項2】
前記昇圧手段が、昇圧型のDC/DCコンバータを含むことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御回路。
【請求項3】
前記負荷手段が、電流駆動による照明素子を含み、前記照明素子に前記昇圧電圧が印加されている状態で、前記照明素子の断線により電流がモニター不能となったときに、前記昇圧制御手段が、前記昇圧電圧が前記所定の目標電圧よりも大きい電圧になることを抑制することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御回路。
【請求項4】
前記警告手段が発光素子であり、前記負荷手段に流れる電流がモニター不能となったときに、前記発光素子が発光することを特徴とする請求項3に記載の電圧制御回路。
【請求項5】
前記発光素子が、LEDを含むことを特徴とする請求項4に記載の電圧制御回路。
【請求項6】
前記昇圧制御手段が、前記昇圧手段の出力側に電流を流すことにより、前記昇圧電圧が前記所定の目標電圧よりも大きい電圧になることを抑制することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御回路。
【請求項7】
前記昇圧制御手段が、ツェナーダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の電圧制御回路。
【請求項8】
前記電源が電池であり、
前記入力電圧が所定の基準電圧よりも低いか否かを判断する電圧判断手段をさらに有し、
前記電圧判断手段が、前記入力電圧が前記所定の基準電圧よりも低いと判断すると、前記警告手段が警告することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御回路。
【請求項9】
請求項1に記載の電圧制御回路を備えることを特徴とする内視鏡装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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