説明

内視鏡装置

【課題】複雑な配管に対して挿入性を向上させることができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡装置1は、配管内に挿入可能な長尺な挿入部11を挿通可能な曲げ形状を有する外チューブ21と、外チューブ21の先端に設けられ、第1の拡張部24及び第2の拡張部26と、第1の拡張部24及び第2の拡張部26との間を連結するコイル25とを有するセンタリング部23と、センタリング部23を押し込むための前側口金22とを有する。そして、前側口金22が押し込まれた際に、第1の拡張部24及び第2の拡張部26が拡張されるとともに、コイル25が密巻きとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関し、特に、挿入部のセンタリングを行うセンタリング部を有する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業用の内視鏡装置は、例えば、検査対象としての配管等に細長の挿入部を挿入して、内部の傷や腐蝕等の観察、あるいは検査を行う場合等に用いられる。
【0003】
この種の内視鏡装置においては、挿入部の先端の径と検査対象である配管の径とが大きく異なる状況では、挿入部の先端が配管の下側に片寄り、配管の底壁部分しか観察できないという問題があった。
【0004】
そこで、太い径の配管に挿入部を挿入して検査を行うために、挿入部の先端側に内視鏡挿入補助具を設けた内視鏡装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この内視鏡装置に設けられた内視鏡挿入補助具は、配管の内径部に接触する接触部材である前方接触部材と後方接触部材とが可撓性の密巻きコイルを有する連結具で連結され、挿入部の屈曲管への挿入、抜去を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−287523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に提案されている内視鏡挿入補助具は、接触部材のサイズを変えることができないため、エルボ部を複雑な配管に対して挿入部を通過させることが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複雑な配管に対して挿入性を向上させることができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、配管内に挿入可能な長尺な挿入部を有する内視鏡装置において、前記挿入部を挿通可能な曲げ形状を有するチューブ体と、前記チューブ体の先端に設けられ、少なくとも2つの拡張部と、前記2つの拡張部の間を連結する疎巻きのコイル部とを有するセンタリング部と、前記チューブ体の後端に設けられ、前記センタリング部を押し込むための押込部と、を有し、前記押込部が押し込まれた際に、前記少なくとも2つの拡張部が拡張されるとともに、前記コイル部が密巻きとなることを特徴とする内視鏡装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内視鏡装置によれば、複雑な配管に対して挿入性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の構成を示す斜視図である。
【図2】センタリング部の構成を示す斜視図である。
【図3】第2の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【図4】第2の実施の形態に係るセンタリング部の変形例の構成を示す図である。
【図5】変形例の動作方法について説明するための図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る内視鏡装置の構成を示す斜視図である。
【図9】内視鏡装置の先端側の構成を示す断面図である。
【図10】バルーンの構成の例を示す斜視図である。
【図11】ナイロン拡張部の構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
まず、図1に基づき、本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の構成について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2に接続される本体装置3とを有して構成されている。内視鏡2は、長尺な挿入部11と、挿入部11の後端に設けられた操作部12と、操作部12から延出するユニバーサルコード13とを有する。
【0016】
挿入部11は、所定の可撓性を備えたチューブ体を主体として構成され、先端側から順に、先端部14、湾曲部15、及び可撓管部16を連設して構成される。
【0017】
先端部14の端面には、図示しない観察窓に取り付けられた対物レンズが設けられている。この対物レンズは、生体組織からの反射光による光学像を結像する。先端部14内には、対物レンズの結像位置に、例えば、CCD等の撮像素子が設けられている。撮像素子は、結像された光学像を光電変換して撮像信号を生成する。湾曲部15は、例えば上下左右方向に湾曲するように構成されている。可撓管部16は、長尺に構成され、可撓性を有している。また、可撓管部16は、後端が操作部12に接続されている。
【0018】
挿入部11内には、撮像素子に接続される信号線、湾曲部15を湾曲動作するための湾曲ワイヤ、照明光を供給するライトガイド等が挿通されている。撮像素子からの撮像信号は、信号線を介して、本体装置3に供給される。
【0019】
操作部12は、例えば、後方に延出する把持用のハンドル部12aを有する。このハンドル部12aの上面には、湾曲部15の湾曲方向を指示するための湾曲操作レバー12bと、各種内視鏡機能を操作するための図示しない各種スイッチとが配設されている。また、操作部12は、ユニバーサルコード13を介して、本体装置3と電気的に接続されている。
【0020】
本体装置3は、ユニバーサルコード13が接続される制御ボックス17と、この制御ボックス17の上面を開閉自在な蓋体を兼ねるモニタ18とを有して構成されている。
【0021】
制御ボックス17の内部には、内視鏡装置1の各種制御を行う制御回路、及び、先端部14内の撮像素子で撮像された撮像信号に画像処理を施す画像処理回路等が内蔵されている。また、制御ボックス17の上面には、電源スイッチ、キーボード等の各種入力部17aが配設されている。なお、上述したライトガイド等を介して先端部14に照明光を供給する光源を制御ボックス17に内蔵するようにしてもよい。
【0022】
モニタ18は、液晶ディスプレイ等からなる表示画面18aを有している。この表示画面18aは、本体装置3の画像処理回路により画像処理されて得られた内視鏡画像等を表示する。
【0023】
また、内視鏡装置1は、挿入部11が挿通できるように細長で中空部を設けた可撓性の内シース19を有する。内シース19の後端には、後側口金20が設けられ、この後側口金20は、操作部12の前側に配置される。また、内シース19の先端は、挿入部11が挿通された際に、湾曲部15の後端で固定される。
【0024】
また、内視鏡装置1は、内シース19が挿通できるように細長で中空部を設けた可撓性の外シース21を有する。外シース21の後端には、前側口金22が設けられ、この前側口金22は、後側口金20の前側に配置される。また、外シース21の先端には、配管等に対して挿入部11のセンタリングを行うセンタリング部23が設けられている。
【0025】
センタリング部23は、先端側から第1の拡張部24と、コイル25と、第2の拡張部26とを有する。コイル25の先端が第1の拡張部24の後端に連結され、コイル25の後端が第2の拡張部26の先端に連結される。
【0026】
第1の拡張部24には、長手方向に沿うように複数の切込みにより形成される複数の拡張部材24aが設けられている。同様に、第2の拡張部26には、長手方向に沿うように複数の切込みにより形成される複数の拡張部材26aが設けられている。
【0027】
通常の状態では、コイル25は疎巻きになっており、可撓性を有する。また、チューブ体としての外シース21は、可撓性を有するため、曲がり癖がついてしまい、曲げ形状を有する。そのため、通常の状態では、挿入部11の先端部14が所定の方向に向くことになる。
【0028】
押込部としての前側口金22が押し込まれたセンタリング状態では、第1及び第2の拡張部24及び26が拡張するとともに、コイル25が密巻きとなり、所定の硬さを有する。これにより、挿入部11の先端部14が配管の視野中心に配置される。
【0029】
図2は、センタリング部の構成を示す斜視図である。
【0030】
図2に示すように、内シース19の先端は、内シース19の外径より大きい外径を有する支持部27が設けられている。支持部27は、前側口金22が前方に押し込まれた際に、第1の拡張部26の先端面28を支持する。なお、拡張部26の先端面28は、支持部27に予め固定していてもよい。
【0031】
次に、このように構成された内視鏡装置1の作用について説明する。
【0032】
操作者は、配管等に対して挿入部11を直進させる場合、前側口金22を前方に押し込み、外シース21を内シース19に対して前にスライドさせる。前側口金22を前方に押し込まれ際の押圧力により、拡張部材24a及び26aが拡張されるとともに、コイル25が密巻きとなる。これにより、センタリング部23の曲がり癖等は是正され、挿入部11の先端部14は良好な直進性を実現することができる。
【0033】
センタリング部23が所定の硬さを有したまま、挿入部11の先端部14が配管のエルボ部に到達すると、エルボ部の通過が困難となる。そこで、操作者は、前側口金22を後方に引き出す。前側口金22を後方に引くことにより、拡張部材24a及び26aが収縮されるとともに、コイル25が疎巻きとなる。これにより、センタリング部23の曲がり癖等により、先端部14が所定の方向を向くことになり、操作者は、エルボ部の方向に先端部14を向け、エルボ部を容易に通過させることができる。
【0034】
操作者は、センタリング部23がエルボ部を通過した後、前側口金22を前方に押し込み、センタリング部23の曲がり癖等を是正させ、挿入部11の先端部14は良好な直進性を実現する。これにより、配管等に対して挿入部11の先端部14を直進させる場合、センタリングを行った状態の画像を得ることができる。
【0035】
以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、配管等に対して挿入部11の先端部14を直進させる場合、前側口金22を前方に押し込み、センタリング部23に所定の硬さを持たせ、挿入部11の直進性を向上させている。そして、内視鏡装置1は、配管等のエルボ部に対して挿入部11の先端部14を通過させる場合、前側口金22を後方に引き、センタリング部23に曲がり癖等を持たせ、エルボ部の通過を容易にしている。
【0036】
よって、本実施の形態の内視鏡装置1によれば、複雑な配管に対して挿入性を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施形態は、拡張部を独立で拡張することができる内視鏡装置について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図3は、第2の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【0039】
本実施の形態の内視鏡装置1は、第1の実施の形態のセンタリング部23に代わり、センタリング部29を用いて構成させている。センタリング部29は、第1の実施の形態の第1の拡張部24、コイル25及び第2の拡張部26に加え、第3の拡張部30を有する。
【0040】
第3の拡張部30は、複数の拡張部材30aと、先端側に固定口金31とを有して構成される。また、挿入部11の湾曲部15の後端には、第3の拡張部30を固定するための固定部32が設けられおり、第3の拡張部30に挿入部11が挿通させた際に、固定口金31が固定部32に固定される。
【0041】
内シース19の先端は、湾曲部15の後端から第3の拡張部30の長さ分だけ後方の可撓管部16に固定される。第3の拡張部30の後端は、支持部27により支持される。
【0042】
次に、このように構成された内視鏡装置1の作用について説明する。
【0043】
挿入部11が後方に引かれると、固定口金31が挿入部11の固定部32に固定されるとともに、第3の拡張部30の後端が支持部27により支持される。これにより、第3の拡張部30の拡張部材30aのみが拡張される。また、前側口金22が前方に押し込まれると、第1の拡張部24の先端が支持部27により支持される。これにより、第1及び第2の拡張部24及び26の拡張部材24a及び26aのみが拡張される。
【0044】
操作者は、配管等で挿入部11を直進させる場合、挿入部11を後方に引き、前側口金22を前方に押し込むことで、拡張部材24a、26a及び30aを拡張させる。操作者は、挿入部11がエルボ部に到達すると、挿入部11を前方に押し込むことで、第3の拡張部30の拡張部材30aのみを収縮させ、エルボ部の通過を容易にさせる。
【0045】
そして、操作者は、第3の拡張部30がエルボ部を通過すると、挿入部11を引き、拡張部材30aを拡張させるとともに、前側口金22を後方に引くことにより、第1の拡張部24の拡張部材24a及び第2の拡張部26の拡張部材26aを収縮させ、エルボ部の通過を容易にさせる。操作者は、センタリング部29がエルボ部を完全に通過させた後、前側口金22を前方に押し込み、拡張部材24a及び26aを拡張させ、挿入部11の先端部14は良好な直進性を実現する。
【0046】
以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、エルボ部に対して挿入部11の先端部14を通過させる際に、前方の第3の拡張部30と、後方の第1の拡張部24及び第2の拡張部26とを独立に拡張させるようにした。この結果、本実施の形態の内視鏡装置1は、第1の実施の形態に対して、挿入性をさらに向上させることができる。
【0047】
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。
【0048】
図4は、第2の実施の形態に係るセンタリング部の変形例の構成を示す図である。
【0049】
図4に示すように、センタリング部29aは、センタリング部29からコイル25及び第2の拡張部26を削除し、第1の拡張部24と第3の拡張部30との間にコイル33が設けられて構成される。コイル33の先端は第3の拡張部30の後端に連結され、コイル33の後端は、支持部27に連結される。
【0050】
図5は、変形例の動作方法について説明するための図である。
【0051】
操作者は、直進させる時は、先ず図4に示すように、外シース21を内シース19に対して前にスライドさせることで、第1の拡張部24の拡張部材24aを拡張し、可撓管16を内シース19に対して引くことで、第3の拡張部30の拡張部材30aを拡張させる。次に、エルボ部に対して挿入部11を通過させる場合、挿入部11を前方に押し込むことで、図5に示すように、第3の拡張部30の拡張部材30aのみを収縮させるとともに、コイル33を疎巻きにして可撓性を有するようにできるので、エルボ部が通過しやすくなる。
【0052】
挿入部11の先端側が可撓性を有する状態となり、操作者は、先端部14を所定の方向に向けてエルボ部を通過させる。この結果、本変形例の内視鏡装置1は、第2の実施の形態の内視鏡装置1と同様に、第1の実施の形態に対して、挿入性をさらに向上させることができる。
(第3の実施の形態)
【0053】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施形態は、複数のコイルを有するセンタリング部を備えた内視鏡装置について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【0055】
本実施の形態の内視鏡装置1は、第1の実施の形態のセンタリング部23に代わり、センタリング部35を用いて構成させている。センタリング部35は、第1の実施の形態の第2の拡張部26の後方にコイル36及び第4の拡張部37を追加して構成されている。
【0056】
第4の拡張部37は、複数の拡張部材37aを有し、先端にコイル36が連結される。コイル36の先端は、第2の拡張部の後端に連結される。
【0057】
通常時では、コイル25が疎巻きとなり、コイル36がコイル25よりも密巻きとなっている(完全に密着コイルではない)。即ち、本実施の形態では、コイル25とコイル36との硬さを変えており、前側のコイル25を後側のコイル36より柔軟にしている。
【0058】
本実施の形態の内視鏡装置1は、コイル25とコイル36との硬さを変えることで、拡張部24、26及び37の拡張する順番を変えることができる。そのため挿入部11が入りやすくなるだけでなく、挿入部11のエルボ部の通過を容易にすることができる。
(第4の実施の形態)
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施形態は、拡張部の変形した内視鏡装置について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
なお、図6の拡張部24,26,37の夫々の硬さを変えて拡張する順番を変えることができる。
例えば、コイル25,36の硬さは同じで、拡張部24から順次手元側を柔らかくすることで、手元側から順次拡張させることができるので、先端側から順次拡張した場合に考えられる挿入部先端の向き(視線)の変化を少なくすることができる。
すなわち、挿入部先端側の拡張を最後にすることで、先端の位置と向き(視線)を、挿入方向とほぼ一致させることができる。
【0061】
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る内視鏡装置の先端側の構成を示す斜視図である。
【0062】
本実施の形態の内視鏡装置1は、第1の実施の形態のセンタリング部23に代わり、センタリング部38を用いて構成させている。センタリング部38は、第1の実施の形態の第1の拡張部24及び第2の拡張部26に代えて、第1の接触部39及び第2の接触部40を用いて構成されている。
【0063】
第1の接触部39の後端は、コイル25の先端に連結され、第2の接触部40の先端は、コイル25の後端に連結される。第1の接触部39には、略長方形状の複数の接触部材39aが放射線状に設けられている。第2の接触部40も同様に、略長方形状の複数の接触部材40aが放射線状に設けられている。これらの複数の接触部材39a及び40aが配管等の内壁に接触することで、挿入部11のセンタリングが行われる。また、複数の接触部材39a及び40aは、外力によって変形する構成になっている。
【0064】
操作者は、配管等に対して挿入部11を直進させる場合、前側口金22を前方に押し込むことにより、コイル25を密巻きして所定の硬さを持たせて、直進性を向上させる。また、操作者は、エルボ部を通過させる場合、前側口金22を後方に引き、コイル25を疎巻きにして可撓性を持たせて、エルボ部の通過を容易にさせる。
【0065】
第1の実施の形態のセンタリング部23は、前側口金22が押し込まれた際に、所定の硬さを有しているため、配管等に対して挿入部11を直進させている場合に、配管に段差(例えば、異なるサイズの配管の継ぎ手)等があった場合、段差等を通過させるのが困難となる。
【0066】
これに対し、本実施の形態の接触部材39a及び40aは、外力により変形するため、配管に段差(例えば、異なるサイズの配管の継ぎ手)等があった場合でも、挿入部11を容易に通過させることができる。
(第5の実施の形態)
【0067】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施形態は、エアで拡張部を拡張及び硬さを変更する内視鏡装置について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
図8は、本発明の第5の実施の形態に係る内視鏡装置の構成を示す斜視図であり、図9は、内視鏡装置の先端側の構成を示す断面図である。
【0069】
第1の実施の形態では、前側口金22を操作することにより拡張部24及び26を拡張させていたが、本実施の形態の内視鏡装置1は、エアにより拡張部24及び26を拡張させる構成になっている。
【0070】
内視鏡装置1は、第1の実施の形態のセンタリング部23に代わり、センタリング部50を用いるとともに、第1の実施の内視鏡装置1に対し、バルーン51と、ボンベ52と、エアチューブ53と、エア供給スイッチ54aを有するメカニカルバルブ54と、エアチューブ55とエア供給口金56と追加して構成される。
【0071】
本実施の形態のセンタリング部50は、内部にエアが供給されることにより膨張するバルーン51を有する。
【0072】
ボンベ52からのエアは、エアチューブ53を介して操作部12に設けられたメカニカルバルブ54に供給される。操作者がメカニカルバルブ54のエア供給スイッチ54aをONすると、エアチューブ55を介してエア供給口金56に供給される。エア供給口金56に供給されたエアは、外シース21を介してバルーン51に供給される。
【0073】
図9に示すように、センタリング部50の先端側は、湾曲部15の後端で固定ネジ57により固定される。また、湾曲部15の後側に設けられた周溝にOリング58が設けられ、前口金59の内周面に当接する。第1の拡張部24及びバルーン51の先端は、糸縛り60により前口金59に固定される。
【0074】
また、第1の拡張部24の後端には、コイル部材固定前口金61が設けられ、第2の拡張部26の先端には、コイル部材固定後口金62が設けられ、第2の拡張部26の後端には、後口金63が設けられている。
【0075】
図10は、バルーンの構成の例を示す斜視図である。
【0076】
図10に示すように、バルーン51は、挿入軸方向に伸びない複数の繊維51aが設けられている。バルーン51の外側にコイル25が設けられている部分は、エアが供給されたときに膨張せず、外側に拡張部材24a及び26aが設けられている部分は、エアが供給されたときに膨張する。また、バルーン51は、エアが供給されたときに、コイル25を圧縮するようになっている。
【0077】
以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、ボンベ52からのエアによりバルーン51を膨張させ、拡張部材24a及び26aを拡張させるとともに、コイル25を硬くすることができるため、挿入性を向上させることができる。
【0078】
なお、バルーン51に代わり、図11に示すナイロン拡張部を用いるようにしてもよい。
【0079】
図11は、ナイロン拡張部の構成の例を示す斜視図である。
【0080】
図11に示すように、ナイロン拡張部64は、二重のナイロンにより構成され、前側ナイロン拡張部材65と、コイル66と、後側ナイロン拡張部材67とを有して構成されている。また、前側ナイロン拡張部材65には、エア注入部68が設けられている。
【0081】
ナイロン拡張部64は、ボンベ52からエアを供給することができるが、エア注入部68を介して、外部から直接エアを供給することができる構成になっている。このような構成により、ボンベ52または外部から選択的にエアを注することができる。
【0082】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…内視鏡装置、2…内視鏡、3…本体装置、11…挿入部、12…操作部、12a…ハンドル部、12b…湾曲操作レバー、13…ユニバーサルコード、14…先端部、15…湾曲部、16…可撓管部、17…制御ボックス、17a…各種入力部、18…モニタ、18a…表示画面、19…内シース、20…後側口金、21…外シース、22…前側口金、23…センタリング部、24…拡張部、24a…拡張部材、25…コイル、26…拡張部、26a…拡張部材、27…支持部、28…先端面、29…センタリング部、29a…センタリング部、30…拡張部、30a…拡張部材、31…固定口金、32…固定部、33…コイル、35…センタリング部、36…コイル、37…拡張部、37a…拡張部材、38…センタリング部、39…接触部、39a…接触部材、40…接触部、40a…接触部材、50…センタリング部、51…バルーン、51a…繊維、52…ボンベ、53…エアチューブ、54…メカニカルバルブ、54a…エア供給スイッチ、55…エアチューブ、56…エア供給口金、57…固定ネジ、58…Oリング、59…前口金、60…糸縛り、61…コイル部材固定前口金、62…コイル部材固定後口金、63…後口金、64…ナイロン拡張部、65…前側ナイロン拡張部材、66…コイル、67…後側ナイロン拡張部材、68…エア注入部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内に挿入可能な長尺な挿入部を有する内視鏡装置において、
前記挿入部を挿通可能な曲げ形状を有するチューブ体と、
前記チューブ体の先端に設けられ、少なくとも2つの拡張部と、前記2つの拡張部の間を連結する疎巻きのコイル部とを有するセンタリング部と、
前記チューブ体の後端に設けられ、前記センタリング部を押し込むための押込部と、
を有し、
前記押込部が押し込まれた際に、前記少なくとも2つの拡張部が拡張されるとともに、前記コイル部が密巻きとなることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つ拡張部のうち、前側の拡張部と後側の拡張部とを独立に拡張可能なことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記センタリング部は、少なくとも3つの拡張部と、前記3つの拡張部のうち、前後の拡張部を連結する少なくとも2つのコイル部とを有し、
前記少なくとも2つのコイル部のうち、前側のコイル部を後側のコイル部より柔軟としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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