説明

内視鏡装置

【課題】エネルギ制限回路を備えた上で、低消費電力にできると共に、高精度の定電流制御ができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】危険領域Ddに配置される負荷34に対して安全領域Ds内に配置された電圧制御電流源31から信号線32の途中に配置された電流制限抵抗33bを含むエネルギ制限回路33を介して電流を供給し、検出抵抗の機能を兼ねる電流制限抵抗33bの両端の電圧を検出用信号線35a、35bを介して制御電圧生成回路43は検出し、検出した電圧を制御電圧としてトランジスタ42のベースに印加し、トランジスタ42のコレクターエミッタ間を流れる電流が定電流となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラント、ジェットエンジン等の内部の検査の他に、爆発の可能性の高い環境での使用が可能な内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置等の電子機器は種々の環境において使用される。このため、通常の環境とは異なる例えば可燃性のガス又は粉塵に囲まれたような環境下で電子機器を使用する場合には、火花の発生を抑止するエネルギ制限回路を使用する。エネルギ制限回路を使用することにより、電子機器を駆動させた最中において故障が発生しても、負荷側に火花が発生しないように保証する。
電子機器の負荷を駆動する場合には、定電流回路が広く用いられる。定電流回路を用いた場合において、負荷において火花の発生が無いことを保証するために、定電流回路の電源部と負荷との間に電流制限抵抗を有するエネルギ制限回路が用いられてきた。 図9は従来例における定電流回路91を示す。
【0003】
安全領域Dsに配置され、検出した電圧により供給する電流を制御する電圧制御電流源92は、負荷93の一端に接続された信号線94上に、検出抵抗95と、エネルギ制限回路を構成する電流制限抵抗96との直列回路が設けられている。負荷93は危険領域Ddに配置され、検出抵抗95と電流制限抵抗96は、安全領域Ds内に配置されているが、電流制限抵抗96は、負荷93にその一端が接続されているため、電流制限抵抗96は安全領域Dsと危険領域Ddとの境界Bとなる。
そして、検出抵抗95の両端の電圧を検出用信号線97a,97bを介して検出し、検出された電圧によって電圧制御電流源92の電流を定電流となるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例においては、検出抵抗95により消費電力が増大してしまう。この場合、検出抵抗95の抵抗の値を小さくすることで、消費電力を低減できるが、検出抵抗95の両端の電圧が小さくなってしまうため、検出できる電圧が小さくなり、ノイズによる影響を受け易くなり、定電流の制御機能の精度が低下したり、定電流の値に対する信頼性が低下する欠点がある。
なお、特開2007−152020号公報には、爆発の可能性の高い環境での使用が可能な内視鏡装置が開示され、図9において定電流回路を用いているが、定電流に制御する回路構成部分は開示されていない。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、エネルギ制限回路を備えた上で、低消費電力にできると共に、高精度の定電流制御ができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る内視鏡装置は、負荷側に流れる電流を制限する電流制限抵抗を含むエネルギ制限回路及び負荷側に流れる電流を検出するための検出抵抗を有する定電流回路を備えた内視鏡装置であって、前記負荷に一端が接続された前記エネルギ制限回路を形成する前記電流制限抵抗を前記検出抵抗として兼用して用い、前記電流制限抵抗の両端で検出された検出電圧に基づいて前記負荷に流れる電流を定電流となるように制御する定電流回路を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エネルギ制限回路を備えた上で、低消費電力にできると共に、高精度の定電流制御ができる内視鏡装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の全体構成を示す構成図。
【図2】図2は第1の実施形態に用いられる定電流回路の構成を示すブロック図。
【図3】図3は図2の定電流回路の具体的な回路構成を示す回路図。
【図4】図4は変形例の定電流回路の構成を示す回路図。
【図5】図5は第1の実施形態の変形例の内視鏡装置の全体構成を示す構成図。
【図6】図6は第2の実施形態に用いられる定電流回路の構成を示す回路図。
【図7】図7は第2の実施形態に用いられる第1変形例の定電流回路の構成を示す回路図。
【図8】図8は図7を変形した第2変形例の定電流回路の構成を示す回路図。
【図9】図9は従来の定電流回路の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1は、細長の内視鏡挿入部(以下、単に挿入部)2と、挿入部2の後端に設けられた本体部3と、この本体部3に接続された(画像)表示装置としてのモニタ4とを有する。
本体部3から延出された挿入部2の先端部5の照明窓には、照明光を出射して検査対象部位側の照明を行う先端照明回路6が設けられ、この先端照明回路6からの照明光で照明された検査対象部位を撮像する撮像センサ7が観察窓に設けられている。先端照明回路6は、照明光を発生する発光素子としての例えば発光ダイオード(LEDと略記)8を備える。
先端照明回路6を構成するLED8,撮像センサ7は、挿入部2内を挿通された信号線9,10の一端と接続されている。信号線9,10の他端は本体部3内部に設けた火花の発生を抑止するエネルギ制限回路部11を介して画像処理と制御動作を行う画像処理・制御回路12,先端照明回路6を駆動する先端照明駆動回路13にそれぞれ接続される。
【0010】
エネルギ制限回路部11は、信号線9、10上にそれぞれ設けられた火花の発生を抑止するエネルギ制限回路11a、11bにより構成される。
また、画像処理・制御回路12は、信号線9を介して撮像センサ7を駆動すると共に、撮像センサ7により撮像した信号から、画像処理により画像信号を生成し、生成した画像信号を信号線14により、この信号線14上に設けた火花の発生を抑止するエネルギ制限回路部15のエネルギ制限回路15aを介してモニタ4に出力する。モニタ4は、撮像センサ7により撮像した画像を内視鏡画像として表示する。
なお、本体部3内部の電源回路16は、画像処理・制御回路12、先端照明駆動回路13及び後述するLCD照明駆動回路17にそれぞれの動作に必要な電源を供給する。
【0011】
また、先端照明駆動回路13は、先端照明回路6のLED8を駆動するため、エネルギ制限回路11bが設けられた信号線10を介して先端照明回路6のLED8に定電流を供給し、LED8を定電流で発光させるように駆動する。
この場合、先端照明駆動回路13、エネルギ制限回路11b及び電源回路16(の一部)は、第1の定電流回路18を構成し、LED8はその負荷を形成する。また、この第1の定電流回路18の電流を検出するためにエネルギ制限回路11bの両端にそれぞれ検出用信号線19a,19bの一端がそれぞれ接続され、他端は先端照明駆動回路13に接続される。また、検出用信号線19bの途中にはエネルギ制限回路20が介挿されている。
また、モニタ4は、例えば液晶ディスプレイ(LCDと略記)により形成され、このLCDにはその背面から照明する背面照明素子としてのLCD照明回路21が設けてある。
【0012】
そして、本体部3内部に設けたLCD照明駆動回路17は、LCD照明回路21を駆動するため、エネルギ制限回路15bが設けられた信号線22を介してLCD照明駆動電流に定電流を供給し、LCD照明回路21を発光させるように駆動する。
この場合、LCD照明駆動回路17、エネルギ制限回路15b及び電源回路16(の一部)は、第2の定電流回路23を構成し、LCD照明回路21はその負荷を形成する。また、この第2の定電流回路23の電流を検出するためにエネルギ制限回路15bの両端にそれぞれ検出用信号線24a,24bの一端がそれぞれ接続され、他端はLCD照明駆動回路17に接続される。また、検出用信号線24bの途中にはエネルギ制限回路25が介挿されている。
【0013】
本体部3は、所定の厚みを有する外装ケースにより気密構造にされ、この本体部3は安全領域Dsを形成する。
一方、挿入部2は、外装チューブにより覆われているが、爆発の可能性がある危険領域Ddにおいて使用される。このため、エネルギ制限回路11a,11bは、本体部3内部に配置されているが、撮像センサ7、先端照明回路6に接続された信号線9,10側は危険領域Ddに属すると見なし、図1では本体部3内側の点線で示すようにエネルギ制限回路11a,11bが安全領域Dsと危険領域Ddの境界Bであるように示している。
【0014】
また、モニタ4は、本体部3程の気密構造を採用していないため、本実施形態においては危険領域Ddに属するとして、エネルギ制限回路部15を設けて、モニタ4も、挿入部2の場合と同様に本質安全防爆の構造にしている。
図2は、第1の定電流回路18、又は第2の定電流回路23として利用できる定電流回路30の構成を示す。
安全領域Ds内に配置された電圧制御電流源31は信号線32の途中に設けられた電流制限抵抗を含むエネルギ制限回路33を介して負荷34の一端に接続され、負荷34の他端はグラウンド端子Gに接続される。
つまり、電圧制御電流源31から負荷34側に供給される電流は、エネルギ制限回路33の電流制限抵抗(図3では符号33bで示している)と、この電流制限抵抗に直列の負荷34を介してグラウンド端子Gに流れる。
【0015】
また、エネルギ制限回路33の電流制限抵抗に流れる電流によりその両端に電圧降下が発生する。このため、このエネルギ制限回路33の一端の電圧を検出用信号線35aを用いて検出すると共に、このエネルギ制限回路33の負荷34に接続された他端の電圧を検出用信号線35bを用い、その途中に介挿した第2のエネルギ制限回路36を介して検出する。
検出用信号線35a,35bにより検出した電圧を電圧制御電流源31の電圧制御端に印加し、検出した電圧によって、電圧制御電流源31による電流を定電流となるように制御する。
上述した場合と同様にエネルギ制限回路33の一端は、危険領域Ddで使用される負荷34に接続されるため、エネルギ制限回路33自体は安全領域Dsの内部に配置されるが、エネルギ制限回路33が安全領域Dsと危険領域Ddとの境界Bとなる。
【0016】
上述した図9の従来例との対比で説明すると、従来例においては、本実施形態のエネルギ制限回路33と負荷34との直列回路において、さらに検出抵抗95が直列に接された構成になっている。
これに対して、本実施形態においては、新たに検出抵抗を設けることなく、エネルギ制限回路33を構成する電流制限抵抗を検出抵抗として兼用する。
また、検出用信号線35bが、エネルギ制限回路33と負荷34との接続点に接続されるため、火花の発生を抑止するエネルギ制限回路36を介挿している。
従来例における検出抵抗95は、その抵抗値が大きい程、消費電力を増大させるものになるため、その抵抗値Rdは小さく設定される。
【0017】
これに対して、電流制限抵抗は、故障などが発生した場合においても負荷34側に流れる電流を、火花の発生を抑止することができる電流値以下に制限するためのものであるため、その抵抗値(図3に示すようにRr1)は従来例における検出抵抗95の抵抗値Rdよりもかなり大きい値に設定される(つまり、Rr1>>Rd)。
従って、電流制限抵抗を検出抵抗として兼用することにより、その両端で発生する電圧を従来例の場合よりも高精度に検出することが可能になる。また、従来例における検出抵抗95を設けることを不要にできるので、その検出抵抗95による電力消費を解消でき、エネルギ消費を低減できる。
図3は図2の定電流回路30の具体的な回路構成を示す。
【0018】
図3に示す定電流回路30において、図1又は図2の電圧制御電流源31は、電源回路16と、電流制御回路41とから構成される。
また、この電流制御回路41から出力される電流は、エネルギ制限回路33を構成するヒューズ33a及び電流制限抵抗33b(その抵抗値Rr1)の直列回路を介して負荷34側に流れる。また、所定以上の電流が流れると可溶部が溶解して、流れる電流を遮断するヒューズ33a及び電流制限抵抗33bの接続点とグラウンド端子Gとの間には電圧を制限するツェナーダイオード等の電圧制限素子33cが設けてある。この電圧制限素子33cヒューズ33a及び電流制限抵抗33bとの接続点の電圧が所定の電圧以上にならないように制限する。
【0019】
また、エネルギ制限回路36は、上記エネルギ制限回路33の構成と同様に、検出用信号線35bの途中に介挿されたヒューズ36a及び電流制限抵抗36bの直列回路と、ヒューズ36a及び電流制限抵抗36b(その抵抗値Rr2)の接続点とグラウンド端子Gとの間に設けられ、電圧を制限するツェナーダイオード等の電圧制限素子36cとから構成される。
また、電流制御回路41は、電源回路16の電源端子の一端と信号線32との間にコレクタ及びエミッタが接続され、ベースに印加される制御電圧に応じて出力電流が変化する電流規制用のトランジスタ42と、このトランジスタ42のベースに印加する制御電圧を生成する制御電圧生成回路43とから構成される。
【0020】
制御電圧生成回路43は、上記電流制限抵抗33bの両端の電圧を検出する第1差動アンプ43aと、第1差動アンプ43aの出力電圧と基準電圧Vrとの差分の電圧を制御電圧として出力する第2差動アンプ43bを有する。
また、制御電圧生成回路43は、基準電圧Vrを生成する基準電圧生成回路43cを有する。なお、第1差動アンプ43aの反転入力端には抵抗値がRr2の電流制限抵抗36bを介して負荷34側の端子の電圧が印加される。
そのため、第1差動アンプ43aの非転入力端にも抵抗値Rr2と同じ抵抗値のオフセット補償抵抗43dを介して電流制限抵抗36bの他方の端子の電圧が印加されるようにして、第1差動アンプ43aにより電流制限抵抗36bの両端の電圧を検出する場合のオフセットの発生を低減し、電流検出誤差を小さくしている。
【0021】
本実施形態の内視鏡装置1は、負荷34側に流れる電流を制限する電流制限抵抗33bを含むエネルギ制限回路33及び負荷34側に流れる電流を検出するための検出抵抗を有する定電流回路30を備えた内視鏡装置であって、前記負荷34に一端が接続された前記エネルギ制限回路33を形成する前記電流制限抵抗33bを前記検出抵抗として兼用して用い、前記電流制限抵抗33bの両端で検出された検出電圧に基づいて前記負荷34に流れる電流を定電流となるように制御する定電流回路30を形成したことを特徴とする。
【0022】
次に図3の回路構成の作用を説明する。電源回路16から供給される電流は、トランジスタ42のコレクタ−エミッタ、エネルギ制限回路33及び負荷34を経てグラウンド端子Gに流れる。エネルギ制限回路33を構成する電流制限抵抗33bの両端の電圧は、検出用信号線35a,35bを介して第1差動アンプ43aにより検出され、さらに基準電圧Vrとの差分値が制御電圧としてトランジスタ42のベースに印加される。
信号線32を流れる電流は、制御電圧値に応じて増減する。このため、トランジスタ42のベースに所定の制御電圧を印加し、負荷34の動作に適した所定の電流を流すことができるように基準電圧Vrが設定されている。
【0023】
所定の制御電圧がベースに印加された状態においては、その所定の電流が負荷34側に流れる。この所定の電流が(ノイズにより)小さくなる場合には、第1差動アンプ43aの出力電圧は小さくなり、第2差動アンプ43bの出力電圧、つまり、制御電圧が大きくなり、所定の電流を維持するように作用する。
なお、ノイズにより、電流が増大しようとした場合には、制御電圧が小さくなり、所定の電流を維持するように作用する。このように本実施形態においては、定電流を維持するように検出した電圧により低電流を維持する負帰還の制御ループを形成している。
なお、図3の定電流回路30は、図1の定電流回路18に適用した場合には、図3における括弧で示すようになる。
【0024】
具体的には、図1の信号線9が信号線32、エネルギ制限回路11bがエネルギ制限回路33、LED8が負荷34、エネルギ制限回路20がエネルギ制限回路36、先端照明駆動回路13が電流制御回路41、検出用信号線19aが検出用信号線35a、検出用信号線19bが検出用信号線35b、にそれぞれ対応する。
そして、定電流により、LED8を発光させるように駆動することにより、LED8による発光量を精度良く制御することができる。LED8による発光量を精度良く制御することにより、挿入部2を検査対象物体の内部に挿入して内視鏡検査する場合の照明光量を精度良く制御でき、検査対象部位側を適正な照明光量を維持した状態で内視鏡検査を行うことができる。従って、内視鏡検査を円滑に行うことができる。
【0025】
また、 図3の定電流回路30は、図1の定電流回路23に適用した場合には、以下のように対応する。
図1の信号線22が信号線32、エネルギ制限回路15bがエネルギ制限回路33、LCD照明回路21が負荷34、エネルギ制限回路25がエネルギ制限回路36、LCD照明駆動回路17が電流制御回路41、検出用信号線24aが検出用信号線35a、検出用信号線24bが検出用信号線35b、にそれぞれ対応する。
この場合においても、モニタ4のバックライト照明するLCD照明回路21の発光量、又は照明光量を精度良く制御でき、モニタ4に表示される内視鏡画像の明るさを観察し易い明るさを維持するように制御することができる。従って、内視鏡画像の明るさを観察し易い明るさを維持することができるため、内視鏡検査を円滑に行うことができる。
【0026】
従って、本実施形態によれば、エネルギ制限回路を備えた上で、低消費電力にできると共に、高精度の定電流制御ができる内視鏡装置1を提供することができる。
また、上記のように適正な照明光量で検査対象部位側を照明したり、モニタ4のバックライト照明を観察し易い照明光量で照明できるので、内視鏡検査を円滑に行うことができる。
図4は図3の変形例の定電流回路30Bの構成を示す。図4に示す定電流回路30Bは、図3に示す定電流回路30におけるエネルギ制限回路36部分のみが異なる。
【0027】
図4における定電流回路30Bにおいては、電流制限抵抗36bのみでエネルギ制限回路36を構成している。
電流制限抵抗36bの一端は負荷34に接続されているが、他端は第1差動アンプ43aの反転入力端、つまり電流を殆ど流出又は流入する機能を有しない端子に接続されているため、電流制限抵抗36bのみでエネルギ制限回路36を構成している。
本変形例の作用効果は、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を有する。
上述した図1の内視鏡装置1においては、先端照明回路6を挿入部2の先端部5の照明窓に設けた構成例で説明したが、図5に示す変形例の内視鏡装置1Bのような構成にしても良い。
【0028】
図5に示す内視鏡装置1Bにおいては、本体部3の内部に先端照明回路6を配置している。また、この先端照明回路6にその基端(入射端)が対向し、挿入部2内を挿通したライトガイド51が設けてある。このライトガイド51により先端照明回路6で発生した照明光を伝送し、ライトガイド51の先端が配置された照明窓から、伝送した照明光を出射する。その他の構成は、図1の構成と同じである。
本変形例は、図1の場合と殆ど同じ作用効果を有する。
【0029】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態の内視鏡装置は、例えば図1と同じ構成であり、第1の定電流回路18及び第2の定電流回路23の構成が図3に示す回路構成と異なり、図6に示す回路構成である。
本実施形態の定電流回路30Cは、図3における電流制御回路41と一部が異なる電流制御回路41Cを有する。
電流制御回路41Cは、図3における制御電圧生成回路43における第2差動アンプ43bの代わりに比較回路43eを採用して制御信号生成回路43′を構成すると共に、一定の直流電圧の基準電圧Vrを生成する基準電圧生成回路43cの代わりに、例えばピーク値がVrとなる鋸歯状信号を発生する鋸歯状信号生成回路43fを採用している。
【0030】
そして、比較回路43eは、基準信号となる鋸歯状信号と、第1差動アンプ43aの出力信号とを比較して、鋸歯状信号が、出力信号以上となる期間のみHレベル、その他ではLレベルの比較信号を制御信号として出力する。
この比較回路43eのH/Lレベルの制御信号に応じて、スイッチング素子として機能するトランジスタ42CをON/OFFさせる。なお、トランジスタ42Cは、スイッチングさせた場合のエネルギ損失が小さいスイッチング用のトランジスタを用いると良い。
また、エミッタ側には、ON/OFF(スイッチング)されたパルス状の直流を平滑化する平滑回路として機能するコンデンサ44を設け、平滑化した電流を生成する。なお、エミッタ側にさらにチョークコイルを設けて平滑化する機能を向上しても良い。
その他の構成は、図3の場合と同様である。
【0031】
第1の実施形態においては、ベースに印加する制御電圧のレベルに応じて、トランジスタ42のコレクタ−エミッタ間の抵抗値を変化させることにより、定電流を維持するように制御する。換言すると、トランジスタ42による抵抗部分での電力消費により、定電流を維持する。
これに対して、本実施形態においては、トランジスタ42CをON/OFFさせると共に、ON/OFFの期間を制御することにより定電流を維持するように制御する。
具体的には、信号線32を流れる電流が所定の定電流から減少する場合には第1差動アンプ43aの出力電圧が低下し、そのために鋸歯状信号と比較した比較信号におけるHレベルの期間が大きくなり、トランジスタ42CはON期間が増大する。従って、平滑化した場合の電流は増大し、定電流を維持するように作用する。
【0032】
信号線32を流れる電流が所定の定電流から増大する場合には、トランジスタ42CをONさせるON期間を減少させ、平滑化した場合の電流を減少させ、定電流を維持するように作用する。
本実施形態においては、電源回路16から供給される電流をスイッチング素子によりスイッチングさせ、平滑化後の電流を定電流となるように制御するため、スイッチング素子における電力消費は、第1の実施形態のトランジスタ42の場合に比較して遙かに低減することができる。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を有すると共に、電流制御回路41における電力消費をより低減することができる効果を有する。
なお、本実施形態の定電流回路30Cを図4の変形例の定電流回路30Bに適用することもできる。
【0033】
ところで、上述した第1,第2の実施形態においては、負荷側に吐き出す電流を定電流となるように制御する吐き出しタイプの定電流回路を説明したが、図7に示すように負荷に流れた電流を吸い込んで定電流となるように制御する吸い込みタイプの定電流回路30Dを用いることもできる。
図7の定電流回路30Dにおいては、電源回路16と負荷34の一端とを接続する信号線61の途中に第1のエネルギ制限回路62を介挿している。
また、負荷34の他端と電流制御回路63を構成するトランジスタ42のコレクタとを接続する信号線64の途中に第2のエネルギ制限回路65を介挿している。
【0034】
そして、第2のエネルギ制限回路65の両端の電圧は、この第2のエネルギ制限回路65の両端に接続した検出用信号線66a,66bを用いて電流制御回路63内の制御電圧生成回路67により検出する。
この場合、負荷34の他端に接続された検出用信号線66aの途中には、第3のエネルギ制限回路68を介挿している。
そして、制御電圧生成回路67により検出した電圧を制御電圧として、電流制御用のトランジスタ42のベースに印加し、トランジスタ42のコレクターエミッタ間を流れる電流を停電量となるように制御する。なお、トランジスタ42のエミッタはグラウンド端子Gに接続されている。
【0035】
第1のエネルギ制限回路62は、電源回路16と負荷34の一端との間に設けたヒューズ62a及び電流制限抵抗62b(その抵抗値をRr1′)の直列回路と、ヒューズ62a及び電流制限抵抗62bの接続点とグラウンド端子Gとの間に接続した電圧制限素子62cとから構成される。
また、第2のエネルギ制限回路62は、負荷34の他端とトランジスタ42のコレクタとの間に設けた電流制限抵抗65b(その抵抗値をRr2′)及びヒューズ65aの直列回路と、ヒューズ65a及び電流制限抵抗65bの接続点とグラウンド端子Gとの間に接続した電圧制限素子65cとから構成される。
【0036】
また、第3のエネルギ制限回路68は、負荷34の他端と差動アンプ43aとの間に設けた電流制限抵抗68b(その抵抗値をRr3′)及びヒューズ68aの直列回路と、ヒューズ68a及び電流制限抵抗68bの接続点とグラウンド端子Gとの間に接続した電圧制限素子68cとから構成される。
なお、制御電圧生成回路67は、図3の制御電圧生成回路43と実質的に同じ回路構成であり、同じ符号で示している。但し、オフセット補償抵抗43dの抵抗値は、電流制限抵抗68bのRr3′と同じ値に設定されている。
本変形例は、負荷34の両端にエネルギ制限回路62,65を設けて火花などの発生を確実に抑止する構成にしている。本変形例は、第1の実施形態の場合に比較してより高い電源電圧を必要とするが、負荷34の両方の端子における一方をグラウンド端子に接続することができないような負荷に対して適用することができ、その場合に対して高精度の定電流制御が可能になる効果を有する。
【0037】
なお、吸い込みタイプの場合には、図7に示す定電流回路30Dの変形例として図8に示すような構成にすることもできる。
図8に示す定電流回路30Eは、図7における第3のエネルギ制限回路68を設けないで、トランジスタ42のエミッタ−グラウンド端子G間に検出抵抗71を設けて電流制御回路63′を構成している。また、図7における第1差動アンプ43a、オフセット補償抵抗43dを設けないで、差動アンプ43bの入力端をトランジスタ42のエミッタと検出抵抗71との接続点に接続している。
【0038】
そして、検出抵抗71のグラウンド端子Gに対するエミッタに接続された一端の電圧を検出し、基準電圧Vrと比較して制御電圧を生成し、その制御電圧をトランジスタ42のベースに印加してトランジスタ42のコレクターエミッタ間を流れる電流を停電量となるように制御する。なお、検出抵抗71の抵抗値は、従来例の場合に比較してより大きな抵抗値にした方が高精度の定電流制御が可能になる。
この回路構成の場合には、図7の構成よりも簡略化することができるが、検出抵抗71が負荷34に直列に接続される構成となり、検出抵抗71での電力消費も発生するため、より電源電圧を高くする必要がある。
なお上述した実施形態などにおいて、部分的に組み合わせることにより構成される実施形態も本発明に属する。
【符号の説明】
【0039】
1…内視鏡装置、2…挿入部、3…本体部、4…モニタ、5…先端部、6…先端照明回路、7…撮像センサ、8…LED、9,10,14,21…信号線、11,15…エネルギ制限回路部、11a,11b,15a,15b,20,25,33,36…エネルギ制限回路、12…画像処理・制御回路、13…先端照明駆動回路、16…電源回路、17…LCD照明駆動回路、18,23,30,30C…定電流回路、19a,19b,24a,24b,35a,35b…検出用信号線、21…LCD照明回路、31…電圧制御電流源、41…電流制御回路、42…トランジスタ、43…制御電圧生成回路、33a,36a…ヒューズ、33b、36b…電流制限抵抗、33c、36c…電圧制限素子、34…負荷、43a、43b…差動アンプ、43c…基準電圧生成回路、43d…オフセット補償抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷側に流れる電流を制限する電流制限抵抗を含むエネルギ制限回路及び負荷側に流れる電流を検出するための検出抵抗を有する定電流回路を備えた内視鏡装置であって、
前記負荷に一端が接続された前記エネルギ制限回路を形成する前記電流制限抵抗を前記検出抵抗として兼用して用い、前記電流制限抵抗の両端で検出された検出電圧に基づいて前記負荷に流れる電流を定電流となるように制御する定電流回路を形成したことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記検出抵抗として兼用される前記電流制限抵抗における前記負荷との接続点に一端に接続され、前記負荷に流れる電流を制限する電流制限抵抗を含む第2のエネルギ制限回路を備え、前記第2のエネルギ制限回路を介して前記エネルギ制限回路に含まれる前記電流制限抵抗の両端で検出した前記検出電圧に基づいて前記負荷に流れる電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記負荷の一方の端部にそれぞれ一端が接続された前記エネルギ制限回路及び前記第2のエネルギ制限回路を介して入力端がそれぞれ接続された第1の差動アンプと、基準電圧及び前記第1の差動アンプの出力電圧の差分値を出力する第2の差動アンプと、前記第2の差動アンプの出力により電源から供給される電流を制御するトランジスタとから構成される電圧制御電流源を備え、
前記電圧制御電流源からの電流を前記ネルギ制限回路及び該ネルギ制限回路に直列に一端が接続され、他端がグラウンドに接続される負荷に定電流として供給する吐き出し型の定電流回路により構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記負荷の一方の端部にそれぞれ一端が接続された前記エネルギ制限回路及び前記第2のエネルギ制限回路を介して入力端がそれぞれ接続された差動アンプと、鋸歯状の基準電圧及び前記差動アンプの出力電圧の比較を行う比較回路と、前記比較回路の出力信号により電源から供給される電流をスイッチングするスイッチング素子と、前記スイッチング素子の出力電圧を平滑化する平滑回路とから構成される電圧制御電流源を備え、
前記電圧制御電流源からの電流を前記ネルギ制限回路及び該ネルギ制限回路に直列に一端が接続され、他端がグラウンドに接続される負荷に定電流として供給する吐き出し型の定電流回路により構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記負荷は、内視鏡挿入部の先端部に設けられた照明光を発生する発光素子、又は液晶を用いた表示装置の背面照明素子により構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つの請求項に記載の内視鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate