説明

内部ミラーを備えた熱アシスト磁気記録ヘッド

【課題】内部ミラーに起因して光の利用効率が低下することを防止する。
【解決手段】熱アシスト磁気記録ヘッドは、反射膜支持体27と反射膜35とを有する内部ミラー30を備えている。内部ミラー30は、導波路26の上方から到来する光を、導波路26内を媒体対向面に向けて進行するように反射する。反射膜支持体27は、第1および第2の傾斜面272a,272bを含み、反射膜35は、それぞれ第1および第2の傾斜面272a,272bの上に配置された第1および第2の部分351,352を含んでいる。反射膜支持体27を形成する工程は、初期支持体に対する2回のテーパーエッチングを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に近接場光を照射して記録媒体の保磁力を低下させて情報の記録を行う熱アシスト磁気記録に用いられる熱アシスト磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置等の磁気記録装置では、高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドおよび記録媒体の性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。磁気ディスク装置において、薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体の表面からわずかに浮上するスライダに設けられる。
【0003】
磁気記録装置において、記録密度を高めるためには、記録媒体の磁性微粒子を小さくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子を小さくすると、磁性微粒子の磁化の熱安定性が低下するという問題が発生する。この問題を解消するには、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすると、記録媒体の保磁力が大きくなって、既存の磁気ヘッドでは情報の記録が困難になるという問題が発生する。
【0004】
上述のような問題を解決する方法として、いわゆる熱アシスト磁気記録という方法が提案されている。この方法では、保磁力の大きな記録媒体を使用し、情報の記録時には、記録媒体のうち情報が記録される部分に対して磁界と同時に熱も加えて、その部分の温度を上昇させ保磁力を低下させて情報の記録を行う。情報が記録された部分は、その後、温度が低下して保磁力が大きくなり、磁化の熱安定性が高まる。
【0005】
熱アシスト磁気記録では、記録媒体に対して熱を加える方法としては、近接場光を用いる方法が一般的である。近接場光を発生させる方法としては、微小な金属片であるプラズモン・アンテナにレーザ光を照射する方法が知られている。プラズモン・アンテナは、近接場光を発生させる先鋭部である近接場光発生部を有している。プラズモン・アンテナでは、照射されたレーザ光によって表面プラズモンが励起される。この表面プラズモンは、プラズモン・アンテナの近接場光発生部に伝播され、この近接場光発生部において、表面プラズモンに基づいて、近接場光が発生される。プラズモン・アンテナより発生される近接場光は、光の回折限界よりも小さな領域にのみ存在する。この近接場光を記録媒体に照射することにより、記録媒体における微小な領域のみを加熱することができる。
【0006】
一般的に、近接場光の発生に利用されるレーザ光は、スライダに設けられた導波路によって、スライダの媒体対向面の近傍に設けられたプラズモン・アンテナに導かれる。ここで、レーザ光を出射する光源の配置の方法には、大きく分けて、以下の2つの方法がある。第1の方法は、光源をスライダから離れた位置に配置する方法である。第2の方法は、光源をスライダに固定する方法である。
【0007】
第1の方法は、例えば特許文献1に記載されている。第2の方法は、例えば、特許文献2や、特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0233062A1号明細書
【特許文献2】特開2008−59697号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0002298A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1の方法では、光源から導波路まで光を導くために、ミラー、レンズ、光ファイバの光学素子を含む、長い光の経路が必要になり、その結果、この経路における光のエネルギーの損失が大きくなるという問題が生じる。第2の方法によれば、光源から導波路まで光を導くための光の経路が短くなるため、上記の問題は生じない。
【0010】
しかしながら、第2の方法では、以下のような問題が生じる。以下、第2の方法において生じる問題について詳しく説明する。第2の方法では、一般的に、光源としてレーザダイオードが用いられる。レーザダイオードから出射されたレーザ光を導波路に入射させる方法としては、例えば特許文献2に記載されているように、出射部が導波路の入射端に対向するようにレーザダイオードを配置して、出射部より出射されたレーザ光を、光学素子を介さずに導波路の入射端に入射させる方法がある。この方法では、導波路の入射端が配置されたスライダの端面に対してレーザダイオードの長手方向すなわち出射部より出射されるレーザ光の光軸方向が垂直になるように、レーザダイオードが配置される。この場合、導波路の光軸に対して出射部より出射されるレーザ光の光軸が傾かないように、レーザダイオードを精度よく配置する必要がある。導波路の光軸に対して出射部より出射されるレーザ光の光軸が傾いた場合には、十分な強度のレーザ光がプラズモン・アンテナまで伝達されないことが起こり得る。しかし、導波路の入射端が配置されたスライダの端面に対してレーザダイオードの長手方向が垂直になるようにレーザダイオードを配置する場合には、導波路の入射端が配置されたスライダの端面に垂直な方向に対してレーザダイオードの長手方向が傾きやすく、導波路に対するレーザ光の位置合わせが難しいという問題点がある。
【0011】
また、レーザダイオードから出射されたレーザ光を導波路に入射させる他の方法としては、例えば特許文献3に記載されているように、出射部がスライダのトレーリング側の面に対向するようにレーザダイオードを配置して、出射部より出射されたレーザ光を、スライダの上方から導波路に入射させる方法がある。この方法では、導波路に対するレーザ光の位置合わせが容易になる。
【0012】
特許文献3に記載された磁気ヘッドでは、スライダの内部に、レーザダイオードより出射されてスライダの上方からスライダ内に入射するレーザ光を、導波路内を媒体対向面に向けて進行するように回折する回折格子が設けられている。しかし、レーザ光の進行方向を変える手段としては、回折格子よりも、より構造の簡単なミラーの方が有利と考えられる。そこで、スライダの内部に、導波路の上方から到来するレーザ光を、導波路内を媒体対向面に向けて進行するように反射する内部ミラーを設けることが考えられる。
【0013】
ここで、上記の内部ミラーの作製方法について考える。内部ミラーの作製方法としては、例えば、アルミナ等よりなる絶縁層の上にフォトレジストよりなるエッチングマスクを形成し、反応性イオンエッチングを用いて絶縁層をテーパーエッチングして絶縁層に斜面を形成し、この斜面に蒸着法、スパッタ法等によって、金属よりなる反射膜を形成する方法が考えられる。この反射膜の表面がレーザ光を反射する反射面となる。
【0014】
以下、上記の内部ミラーの作製方法における問題点について説明する。一般的に、絶縁層をテーパーエッチングする場合のエッチングレートは、絶縁層を垂直にエッチングする場合のエッチングレートよりも小さくなる。そのため、エッチングの深さを同じにして比較すると、絶縁層をテーパーエッチングする場合には、絶縁層を垂直にエッチングする場合に比べて、エッチングマスクを厚くする必要がある。しかし、エッチングマスクを厚くすると、エッチング中に、プラズマによってエッチングマスクの形状が崩れやすくなる。そのため、上記の内部ミラーの作製方法では、特に深さ方向の寸法の大きな反射面を有する内部ミラーを作製する場合に、絶縁層に斜面を形成するためのエッチング中におけるエッチングマスクの形状の崩れに起因して、斜面を平面状に形成することが難しくなるという問題点がある。斜面が平面状ではなくなると反射面も平面状ではなくなり、その結果、反射面によって反射されて所望の方向に進行するレーザ光の光量が減少し、近接場光の発生に利用されるレーザ光の利用効率が低下するという問題が発生する。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、導波路の上方から到来して近接場光の発生に利用される光を、導波路内を進行するように反射する内部ミラーを備え、内部ミラーに起因して光の利用効率が低下することを防止できるようにした熱アシスト磁気記録ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
内部ミラーと、
上面を有する基板とを備えている。
【0017】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドでは、基板の上面の上方に、磁極、導波路、近接場光発生素子および内部ミラーが配置されている。内部ミラーは、反射膜支持体と、反射膜支持体によって支持された反射膜とを有し、導波路の上方から到来する光を、導波路内を媒体対向面に向けて進行するように反射する。
【0018】
反射膜支持体は、それぞれ前端と後端とを有する第1および第2の傾斜面を含んでいる。第1の傾斜面の後端は、第1の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の傾斜面の前端は、第1の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の傾斜面の後端は、第1の傾斜面の後端および第2の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の傾斜面は、第1の傾斜面を含む仮想の平面に対して、第1の傾斜面に垂直な方向にずれている。
【0019】
反射膜は、第1の傾斜面の上に配置された第1の部分と、第2の傾斜面の上に配置された第2の部分とを有している。第1の部分は、前端と後端とを有する第1の反射面を含んでいる。第2の部分は、前端と後端とを有する第2の反射面を含んでいる。第1の反射面の後端は、第1の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面の前端は、第1の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面の後端は、第1の反射面の後端および第2の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面は、第1の反射面を含む仮想の平面に対して、第1の反射面に垂直な方向にずれている。
【0020】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第1および第2の反射面は、いずれも、基板の上面に垂直な方向に対して45°の角度をなしていてもよい。
【0021】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第1および第2の傾斜面は、基板の上面に垂直な方向から見て互いに重ならないように配置されていてもよい。
【0022】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、反射膜は、更に、第1の部分と第2の部分を連結する連結部を有し、連結部は、第1の反射面と第2の反射面を連結する連結面を含んでいてもよい。この場合、連結面が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1および第2の反射面の各々が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0023】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第1および第2の傾斜面は、基板の上面に垂直な方向から見て、それぞれの一部が重なるように配置されていてもよい。
【0024】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子は、媒体対向面に配置された第1の端面と、媒体対向面からより遠い第2の端面と、第1の端面と第2の端面を連結する連結部とを含む外面を有し、第1の端面は近接場光発生部を含んでいてもよい。この場合、媒体対向面に垂直な方向についての近接場光発生素子の長さは、基板の上面に垂直な方向についての第1の端面の長さよりも大きく、導波路は、連結部の一部に対向する対向部分を含む外面を有していてもよい。また、この場合、導波路の外面は、媒体対向面により近い前端面と、媒体対向面からより遠い後端面と、基板の上面からより遠い上面とを有し、後端面は、第1および第2の反射面に接し、導波路の上方から到来する光は、導波路の上面から導波路内に入射した後、第1および第2の反射面で反射されてもよい。
【0025】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、内部ミラーで反射される光を出射するレーザダイオードを備えていてもよい。
【0026】
本発明の製造方法によって製造される熱アシスト磁気記録ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
内部ミラーと、
上面を有する基板とを備えている。
【0027】
本発明の製造方法によって製造される熱アシスト磁気記録ヘッドでは、基板の上面の上方に、磁極、導波路、近接場光発生素子および内部ミラーが配置されている。内部ミラーは、1つ以上の層を含む反射膜支持体と、反射膜支持体によって支持された反射膜とを有し、導波路の上方から到来する光を、導波路内を媒体対向面に向けて進行するように反射する。
【0028】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、
磁極を形成する工程と、
内部ミラーを形成する工程と、
導波路を形成する工程と、
近接場光発生素子を形成する工程とを備えている。
【0029】
内部ミラーを形成する工程は、反射膜支持体を形成する工程と、反射膜を形成する工程とを含んでいる。反射膜支持体は、それぞれ前端と後端とを有する第1および第2の傾斜面を含んでいる。第1の傾斜面の後端は、第1の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の傾斜面の前端は、第1の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の傾斜面の後端は、第1の傾斜面の後端および第2の傾斜面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。
【0030】
反射膜支持体を形成する工程は、後に第1および第2の傾斜面が形成されることにより反射膜支持体となる初期支持体を形成する工程と、初期支持体に第1および第2の傾斜面が形成されて、初期支持体が反射膜支持体となるように、初期支持体をエッチングする工程とを備えている。
【0031】
初期支持体をエッチングする工程は、
初期支持体のうち、基板の上面に垂直な方向から見たときに後に第1の傾斜面が形成される領域を除いた一部を覆う第1のエッチングマスクを形成する工程と、
第1のエッチングマスクを用いて、反応性イオンエッチングによって、初期支持体をテーパーエッチングする第1のエッチング工程と、
第1のエッチングマスクを除去する工程と、
初期支持体のうち、基板の上面に垂直な方向から見たときに後に第1および第2の傾斜面が形成される領域を除いた一部を覆う第2のエッチングマスクを形成する工程と、
第2のエッチングマスクを用いて、反応性イオンエッチングによって、初期支持体をテーパーエッチングする第2のエッチング工程と、
第2のエッチングマスクを除去する工程とを含んでいる。
【0032】
第2のエッチング工程の後で第1および第2の傾斜面が完成して、初期支持体が反射膜支持体となる。反射膜は、第1の傾斜面の上に配置された第1の部分と、第2の傾斜面の上に配置された第2の部分とを有し、第1の部分は第1の反射面を含み、第2の部分は第2の反射面を含んでいる。
【0033】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、第2の傾斜面は、第1の傾斜面を含む仮想の平面に対して、第1の傾斜面に垂直な方向にずれていてもよい。この場合、第1および第2の反射面は、それぞれ前端と後端とを有する。第1の反射面の後端は、第1の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面の前端は、第1の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面の後端は、第1の反射面の後端および第2の反射面の前端に対して媒体対向面から遠く且つ基板の上面から遠い位置にある。第2の反射面は、第1の反射面を含む仮想の平面に対して、第1の反射面に垂直な方向にずれている。
【0034】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、第1および第2の反射面は、いずれも、基板の上面に垂直な方向に対して45°の角度をなしていてもよい。
【0035】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、初期支持体はアルミナによって形成され、第1および第2のエッチング工程は、BClおよびClと、NまたはCFとを含むエッチングガスを用いてもよい。
【0036】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、第1のエッチング工程では、初期支持体に、基板の上面に垂直な方向に対して傾いた初期傾斜面が形成され、第2のエッチング工程では、初期支持体のうち、初期傾斜面の下の部分がエッチングされて第1の傾斜面が形成されると共に、初期支持体のうち、第1のエッチング工程においてエッチングされなかった部分がエッチングされて第2の傾斜面が形成されてもよい。この場合、第1および第2のエッチングマスクは、それぞれ媒体対向面により近い側面を有し、第2のエッチングマスクの側面は、第1のエッチングマスクの側面が配置される位置に対して、第2のエッチング工程によるエッチング深さの0.8〜1.2倍だけ媒体対向面から遠い位置に配置されてもよい。
【0037】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、反射膜は、更に、第1の部分と第2の部分を連結する連結部を有し、連結部は、第1の反射面と第2の反射面を連結する連結面を含んでいてもよい。この場合、連結面が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1および第2の反射面の各々が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0038】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、反射膜支持体は、第1の傾斜面を有する第1層と、第2の傾斜面を有する第2層とを含んでいてもよい。この場合、初期支持体を形成する工程は、第1のエッチングマスクを形成する工程の前に、後に第1の傾斜面が形成されることにより第1層となる初期第1層を形成する工程と、第1のエッチングマスクを除去する工程と第2のエッチングマスクを形成する工程の間において、後に第2の傾斜面が形成されることにより第2層となる初期第2層を形成する工程とを含んでいてもよい。この場合、第1のエッチングマスクは、初期第1層の上に形成され、第1のエッチング工程は、初期第1層をテーパーエッチングして、第1の傾斜面を形成する。また、第2のエッチングマスクは、初期第2層の上に形成され、第2のエッチング工程は、初期第2層をテーパーエッチングして、第2の傾斜面を形成する。
【0039】
なお、本出願では、熱アシスト磁気記録ヘッドにおける基板以外の構成要素に関して、基板の上面により近い面を「下面」と定義し、基板の上面からより遠い面を「上面」と定義する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおける内部ミラーは、反射膜支持体と反射膜とを有している。反射膜支持体は、第1および第2の傾斜面を含んでいる。第2の傾斜面は、第1の傾斜面を含む仮想の平面に対して、第1の傾斜面に垂直な方向にずれている。反射膜は、第1の傾斜面の上に配置された第1の部分と、第2の傾斜面の上に配置された第2の部分とを有している。第1の部分は第1の反射面を含み、第2の部分は第2の反射面を含んでいる。第2の反射面は、第1の反射面を含む仮想の平面に対して、第1の反射面に垂直な方向にずれている。本発明における反射膜支持体の第1および第2の傾斜面は、例えば、2回のテーパーエッチングを含む複数の工程を経て形成することができる。第1および第2の傾斜面は、寸法の大きな平面状の1つ傾斜面を形成する場合に比べて、精度よく形成することが可能である。そのため、本発明によれば、第1および第2の反射面も精度よく形成することが可能になる。これにより、本発明によれば、内部ミラーに起因して光の利用効率が低下することを防止することが可能になるという効果を奏する。
【0041】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、反射膜支持体を形成する工程は、初期支持体を形成する工程と、初期支持体をエッチングする工程とを備えている。初期支持体をエッチングする工程は、初期支持体をテーパーエッチングする第1および第2のエッチング工程を含んでいる。そして、第2のエッチング工程の後で第1および第2の傾斜面が完成する。本発明の製造方法によれば、寸法の大きな平面状の1つ傾斜面を形成する場合に比べて、第1および第2の傾斜面を精度よく形成することが可能である。そのため、本発明によれば、第1および第2の反射面も精度よく形成することが可能になる。これにより、本発明によれば、内部ミラーに起因して光の利用効率が低下することを防止することが可能になるという効果を奏する。
【0042】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドまたはその製造方法において、反射膜は連結部を有し、連結部の連結面が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1および第2の反射面の各々が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さくてもよい。この場合には、内部ミラーに入射する光の一部が光源に戻ることを抑制することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図2】図1におけるレーザダイオード、外部ミラー、内部ミラーおよび導波路の位置関係とレーザ光の偏光方向を示す斜視図である。
【図3】図1におけるレーザダイオードおよび外部ミラーを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの斜視図である。
【図5】図4におけるA方向から見た熱アシスト磁気記録ヘッドを示す平面図である。
【図6】図5における6−6線で示す位置における熱アシスト磁気記録ヘッドの断面の一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるスライダの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるスライダの媒体対向面を示す正面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおける近接場光発生素子の近傍を示す斜視図である。
【図10】図7における内部ミラーの近傍を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す説明図である。
【図12】図11に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図13】図12に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図14】図13に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図15】図14に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図16】図15に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図17】図16に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図18】図17に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図19】図18に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図20】図19に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態における導波路、反射膜支持体および反射膜を形成するための一連の工程における一工程を示す断面図である。
【図22】図21に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図23】図22に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図24】図23に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図25】図24に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図26】図25に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図27】図26に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図28】図27に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【図29】本発明の第1の実施の形態における第1の変形例の熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図30】本発明の第1の実施の形態における第2の変形例の熱アシスト磁気記録ヘッドの導波路の一部と近接場光発生素子を示す平面図である。
【図31】図30に示した近接場光発生素子の斜視図である。
【図32】本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおける内部ミラーの近傍を示す断面図である。
【図33】本発明の第2の実施の形態における導波路、反射膜支持体および反射膜を形成するための一連の工程における一工程を示す説明図である。
【図34】本発明の第3の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおける内部ミラーの近傍を示す断面図である。
【図35】本発明の第3の実施の形態における導波路、反射膜支持体および反射膜を形成するための一連の工程における一工程を示す説明図である。
【図36】図35に示した工程に続く工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図4および図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドと磁気ディスク装置について説明する。図4は、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの斜視図である。図5は、図4におけるA方向から見た熱アシスト磁気記録ヘッドを示す平面図である。
【0045】
本実施の形態における磁気ディスク装置は、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200を備えている。この熱アシスト磁気記録ヘッド200は、図示しないサスペンションによって支持されて、回転駆動される円盤状の記録媒体(磁気ディスク)に対向するように配置される。図4および図5において、X方向は記録媒体のトラック横断方向であり、Y方向は記録媒体の表面に垂直な方向であり、Z方向は熱アシスト磁気記録ヘッド200から見た記録媒体の進行方向である。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。
【0046】
熱アシスト磁気記録ヘッド200は、スライダ201と、このスライダ201に固定された端面発光型のレーザダイオード202と、スライダ201の外部に設けられた外部ミラー203とを備えている。スライダ201は、ほぼ六面体形状をなし、記録媒体に対向する媒体対向面201aと、その反対側の背面201bと、媒体対向面201aと背面201bとを連結する4つの面とを有している。スライダ201の媒体対向面201aは、熱アシスト磁気記録ヘッド200における媒体対向面でもある。媒体対向面201aと背面201bとを連結する4つの面のうちの1つは、レーザダイオード202が固定された上面201cである。スライダ201は、上面201cに設けられた複数の端子210を備えている。本実施の形態では、外部ミラー203はレーザダイオード202に固定されている。
【0047】
記録媒体が回転してZ方向に進行すると、記録媒体とスライダ201との間を通過する空気流によって、スライダ201に、図4におけるY方向の上方に揚力が生じる。スライダ201は、この揚力によって記録媒体の表面から浮上するようになっている。
【0048】
次に、図1、図7ないし図10を参照して、スライダ201の構成について詳しく説明する。図1は、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200の要部を示す斜視図である。図7は、スライダ201の構成を示す断面図である。なお、図7は、図5の7−7線で示す位置における断面を表している。図8は、スライダ201の媒体対向面201aを示す正面図である。図9は、熱アシスト磁気記録ヘッド200における近接場光発生素子の近傍を示す斜視図である。図10は、熱アシスト磁気記録ヘッド200における内部ミラーの近傍を示す断面図である。図1、図7ないし図10には、図4に示したX,Y,Zの各方向も示している。図7および図10において、X方向はY方向およびZ方向に直交する方向であり、図8において、Y方向はX方向およびZ方向に直交する方向である。
【0049】
図7および図8に示したように、スライダ201は、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなり、上面1aを有する基板1と、この基板1の上面1a上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3と、絶縁層2の上において下部シールド層3の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層31とを備えている。絶縁層2,31は、例えばアルミナ(Al23)によって形成されている。下部シールド層3および絶縁層31の上面は平坦化されている。
【0050】
スライダ201は、更に、下部シールド層3および絶縁層31の上面の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜6と、この上部シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる上部シールド層7と、上部シールドギャップ膜6の上において上部シールド層7の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層32とを備えている。絶縁層32は、例えばアルミナによって形成されている。上部シールド層7および絶縁層32の上面は平坦化されている。
【0051】
MR素子5の一端部は、媒体対向面201aに配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。下部シールド層3から上部シールド層7までの部分は、再生ヘッドを構成する。
【0052】
スライダ201は、更に、非磁性材料よりなり、上部シールド層7および絶縁層32の上面の上に配置された非磁性層8と、非磁性層8の上に配置された磁性材料よりなるリターン磁極層10と、非磁性層8の上においてリターン磁極層10の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層33とを備えている。非磁性層8と絶縁層33は、例えばアルミナによって形成されている。リターン磁極層10および絶縁層33の上面は平坦化されている。
【0053】
スライダ201は、更に、リターン磁極層10および絶縁層33の上面の一部の上に配置された絶縁層11と、この絶縁層11の上に配置されたコイル12と、リターン磁極層10の上に配置された連結層13とを備えている。リターン磁極層10と連結層13は、いずれも磁性材料によって形成されている。これらの材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。絶縁層11は、例えばアルミナによって形成されている。コイル12は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。コイル12は、平面渦巻き形状をなし、連結層13を中心として巻回されている。また、コイル12は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0054】
スライダ201は、更に、コイル12の巻線間および周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層14と、絶縁層11の上において絶縁層14および連結層13の周囲に配置された絶縁層15と、コイル12および絶縁層14,15の上に配置された絶縁層16とを備えている。コイル12、連結層13および絶縁層14,15の上面は平坦化されている。絶縁層14は、例えばフォトレジストによって形成されている。絶縁層15,16は、例えばアルミナによって形成されている。
【0055】
スライダ201は、更に、連結層13および絶縁層16の上に配置された磁性材料よりなる下部ヨーク層17と、絶縁層16の上において下部ヨーク層17の周囲に配置された非磁性材料よりなる非磁性層18とを備えている。下部ヨーク層17の材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。非磁性層18は、例えばアルミナによって形成されている。下部ヨーク層17は、媒体対向面201aにより近い端面を有し、この端面は媒体対向面201aから離れた位置に配置されている。下部ヨーク層17および非磁性層18の上面は平坦化されている。
【0056】
スライダ201は、更に、磁極20を備えている。磁極20は、第1層20Aと第2層20Bとを有している。第1層20Aは、下部ヨーク層17および非磁性層18の上に配置されている。また、第1層20Aは、媒体対向面201aに配置された端面を有している。この端面の形状は、例えば矩形である。
【0057】
第2層20Bは、媒体対向面201aの近傍において、第1層20Aの上に配置されている。第2層20Bは、媒体対向面201aに配置された前端面と、その反対側の後端面とを有している。第2層20Bの前端面の形状は、例えば矩形である。
【0058】
磁極20は、コイル12によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。記録媒体に記録されるビットパターンの端部の位置は、第2層20Bの前端面における上端部すなわち基板1の上面1aからより遠い端部の位置によって決まる。また、第2層20Bの前端面における上端部の幅がトラック幅を規定する。
【0059】
媒体対向面201aに配置された第1層20Aの端面の幅は、第2層20Bの前端面の幅と等しくてもよいし、第2層20Bの前端面の幅よりも大きくてもよい。
【0060】
第1層20Aおよび第2層20Bは、金属磁性材料によって形成されている。第1層20Aおよび第2層20Bの材料としては、例えば、NiFe、CoNiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0061】
スライダ201は、更に、非磁性層18の上において第1層20Aの周囲に配置された非磁性材料よりなる非磁性層21を備えている。非磁性層21は、例えばアルミナによって形成されている。第1層20Aおよび非磁性層21の上面は平坦化されている。
【0062】
スライダ201は、更に、第1層20Aおよび非磁性層21の上面の上に配置された内部ミラー30と、導波路26とを備えている。内部ミラー30は、反射膜支持体27と、この反射膜支持体27によって支持された反射膜35とを有している。反射膜支持体27は、上面で開口する溝部27Aを有している。導波路26は、溝部27A内に収容されている。反射膜支持体27は、導波路26に対するクラッド層を兼ねている。
【0063】
図10に示したように、反射膜支持体27の溝部27Aは、底部271と、第1の傾斜面272aと、第2の傾斜面272bと、傾斜面272a,272bを連結する連結面272cとを有している。傾斜面272a,272bと連結面272cは、いずれも平面である。傾斜面272aは、媒体対向面201aにより近い前端272a1と、媒体対向面201aからより遠い後端272a2とを有している。傾斜面272bは、媒体対向面201aにより近い前端272b1と、媒体対向面201aからより遠い後端272b2とを有している。傾斜面272aの後端272a2は、傾斜面272aの前端272a1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。傾斜面272bの前端272b1は、傾斜面272aの前端272a1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。傾斜面272bの後端272b2は、傾斜面272aの後端272a2および傾斜面272bの前端272b1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。
【0064】
傾斜面272a,272bは、基板1の上面1aに垂直な方向から見て互いに重ならないように配置されている。傾斜面272aは、底部271に連結されている。傾斜面272bは、傾斜面272aを含む仮想の平面に対して、傾斜面272aに垂直な方向にずれている。傾斜面272a,272bは、いずれも、例えば、基板1の上面1aに垂直な方向に対して45°の角度をなしている。連結面272cが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも大きい。
【0065】
反射膜35は、例えば、Al、Ag、Au等の金属による、厚みが50〜200nm程度の膜である。図10に示したように、反射膜35は、第1の傾斜面272aの上に配置された第1の部分351と、第2の傾斜面272bの上に配置された第2の部分352と、連結面272cの上に配置され、第1の部分351と第2の部分352を連結する連結部353と、底部271の上に配置されて第1の部分351に連結された部分354とを有している。なお、反射膜35は、部分354を有していなくてもよい。
【0066】
第1の部分351は、傾斜面272aに接する面とは反対側の面である第1の反射面351aを含んでいる。第2の部分352は、傾斜面272bに接する面とは反対側の面である第2の反射面352aを含んでいる。連結部353は、第1の反射面351aと第2の反射面352aを連結する連結面353aを含んでいる。反射面351a,352aと連結面353aは、いずれも平面である。第1の反射面351aは、媒体対向面201aにより近い前端351a1と、媒体対向面201aからより遠い後端351a2とを有している。第2の反射面352aは、媒体対向面201aにより近い前端352a1と、媒体対向面201aからより遠い後端352a2とを有している。
【0067】
第1の反射面351aの後端351a2は、第1の反射面351aの前端351a1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。第2の反射面352aの前端352a1は、第1の反射面351aの前端351a1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。第2の反射面352aの後端352a2は、第1の反射面351aの後端351a2および第2の反射面352aの前端352a1に対して媒体対向面201aから遠く且つ基板1の上面1aから遠い位置にある。
【0068】
第2の反射面352aは、第1の反射面351aを含む仮想の平面に対して、第1の反射面351aに垂直な方向にずれている。反射面351a,352aは、いずれも、例えば、基板1の上面1aに垂直な方向に対して45°の角度をなしている。連結面353aが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、反射面351a,352aの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも大きい。反射面351a,352aは、導波路26の上方に配置される光源より出射された光を、導波路26内を媒体対向面201aに向けて進行するように反射する。
【0069】
導波路26は、後述するレーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。反射膜支持体27は、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。導波路26の材料としては、例えば、屈折率が約2.1のTaが用いられ、反射膜支持体27の材料としては、例えば、屈折率が約1.8のアルミナが用いられる。第2層20B、導波路26および反射膜支持体27の上面は平坦化されている。導波路26の形状については、後で詳しく説明する。
【0070】
スライダ201は、更に、第2層20B、導波路26および反射膜支持体27の上面の上に配置された介在層25を備えている。介在層25は、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有し、レーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。介在層25の材料としては、例えば、屈折率が約1.8のアルミナが用いられる。介在層25の厚みは、例えば、30〜70nmの範囲内である。
【0071】
スライダ201は、更に、介在層25の上に配置された近接場光発生素子23と、介在層25の上において近接場光発生素子23の周囲に配置されたクラッド層24と、上面29aを有し、近接場光発生素子23およびクラッド層24の上に配置されたクラッド層29とを備えている。近接場光発生素子23およびクラッド層24の上面は平坦化されている。近接場光発生素子23は、金属によって形成されている。具体的には、近接場光発生素子23は、例えば、Au、Ag、Al、Cu、Pd、Pt、Rh、Irのいずれか、またはこれらのうちの複数の元素よりなる合金によって形成されている。クラッド層24,29は、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有し、レーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。クラッド層24,29の材料としては、例えば屈折率が約1.8のアルミナが用いられる。クラッド層29の厚みは、例えば、0.1〜0.5μmの範囲内である。クラッド層29の上面29aは、スライダ201の上面201cを構成している。基板1は、磁極20、近接場光発生素子23および導波路26に向いた上面1aを有し、スライダ201の上面201cは、基板1の上面1aの上方の端に位置している。
【0072】
図9に示したように、近接場光発生素子23は、媒体対向面201aに配置された近接場光発生部23gを有している。また、近接場光発生素子23は、以下のような外面を有する三角柱形状をなしている。近接場光発生素子23の外面は、媒体対向面201aに配置された第1の端面23aと、媒体対向面201aからより遠い第2の端面23bと、第1の端面23aと第2の端面23bを連結する連結部とを含んでいる。連結部は、基板1の上面1aからより遠い上面23cと、基板1の上面1aに近づくに従って互いの距離が小さくなる2つの側面23d,23eと、2つの側面23d,23eを接続するエッジ部23fとを含んでいる。第1の端面23aの形状は、頂点が下を向いた二等辺三角形である。第1の端面23aは、近接場光発生部23gを含んでいる。近接場光発生部23gは、具体的には、端面23aにおけるエッジ部23fの端部およびその近傍の部分である。
【0073】
ここで、図9に示したように、媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さを記号HPAで表し、第1の端面23aの上端部の幅を記号WPAで表し、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さを記号TPAで表す。媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さHPAは、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さTPAよりも大きい。WPAとTPAは共に、導波路26を伝播する光の波長以下である。WPAは例えば50〜150nmの範囲内である。TPAは例えば50〜150nmの範囲内である。HPAは例えば0.25〜2.5μmの範囲内である。
【0074】
次に、図1、図5、図7、図9および図10を参照して、導波路26について詳しく説明する。図1、図5および図7に示したように、導波路26は、媒体対向面201aに垂直な方向(Y方向)に延びている。また、導波路26は、外面を有している。この外面は、媒体対向面201aにより近い前端面26aと、媒体対向面201aからより遠い後端面26bと、基板1の上面1aからより遠い上面26cと、基板1の上面1aにより近い下面26dと、トラック幅方向の両側に位置する2つの側面26e,26fとを有している。前端面26aは、反射膜支持体27の一部を介して第2層20Bの後端面に対向している
【0075】
図9に示したように、導波路26の外面は、近接場光発生素子23の外面のうちの連結部の一部に対向する対向部分26gを含んでいる。本実施の形態では、特に、対向部分26gは、導波路26の上面26cのうち、介在層25を介して、近接場光発生素子23のエッジ部23fの一部およびその近傍部分に対向する部分である。前述の媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さHPAが、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さTPAよりも大きいという要件は、導波路26の上面26cの一部である対向部分26gが、介在層25を介して、近接場光発生素子23のエッジ部23fの一部およびその近傍部分に対向するために必要な要件である。
【0076】
図10に示したように、後端面26bは、反射面351a,352aおよび連結面353aに接している。後端面26bにおける任意の位置の媒体対向面201aからの距離は、この任意の位置が基板1の上面1aから離れるに従って大きくなっている。
【0077】
図7および図10に示したように、内部ミラー30は、導波路26の上方に配置される光源より出射された光を、反射面351a,352aによって、導波路26内を媒体対向面201aに向けて進行するように反射するようになっている。より詳しく説明すると、内部ミラー30は、導波路26の上方から到来し、導波路26の上面26cから導波路26内に入射して後端面26bおよび反射面351a,352aに至る光を、前端面26aに向けて進行するように反射するようになっている。
【0078】
次に、図3を参照して、レーザダイオード202と外部ミラー203について説明する。図3は、レーザダイオード202および外部ミラー203を示す斜視図である。図3に示したように、レーザダイオード202は、上面および下面を有するn基板211と、n基板211の下面の下に配置されたレーザ構造部212と、n基板211の上面に接合されたn電極213と、n基板211との間でレーザ構造部212を挟む位置に配置されてレーザ構造部212に接合されたp電極214とを備えている。レーザ構造部212は、少なくとも、nクラッド層221、活性層222およびpクラッド層223を含んでいる。nクラッド層221は、n基板211と活性層222の間に配置されている。pクラッド層223は、p電極214と活性層222の間に配置されている。活性層222は、nクラッド層221に向いた面と、pクラッド層223に向いた面とを有している。
【0079】
また、レーザダイオード202は、活性層222の面に垂直な方向の両端に位置する下面202aおよび上面202bと、この下面202aと上面202bとを連結する4つの面とを有する直方体形状をなしている。下面202aと上面202bは、活性層222の面に平行である。下面202aは、p電極214の表面によって形成されている。上面202bは、n電極213の表面によって形成されている。下面202aと上面202bとを連結する4つの面のうちの1つの面202cは、活性層222の端に位置するレーザ光の出射部222aを含んでいる。以下、この面202cを出射端面と言う。下面202aおよび上面202bは、出射端面202cよりも面積が大きい。
【0080】
レーザダイオード202は、活性層222の面に垂直な方向の端に位置する下面202aがスライダ201の上面201cに向くように配置されて、スライダ201に固定される。本実施の形態では、特に、レーザダイオード202の下面202aはスライダ201の上面201cに接合されている。スライダ201の上面201cに対するレーザダイオード202の下面202aの接合は、例えば接着剤によって行われる。
【0081】
スライダ201は、上面201cにおいて露出するように配置されて、レーザダイオード202のp電極214と端子210とを接続する導体層を備えていてもよい。この場合、レーザダイオード202の下面202aをスライダ201の上面201cに接合することによって、p電極214が導体層に電気的に接続されるようにしてもよい。この場合、レーザダイオード202の下面202aと導体層との接続は、例えば半田付けによって行われる。レーザダイオード202のn電極213は、例えばボンディングワイヤによって、他の端子210に接続されている。
【0082】
図3および図6に示したように、本実施の形態では、レーザダイオード202の下面202aと出射部222aとの間の距離D1は、レーザダイオード202の上面202bと出射部222aとの間の距離D2よりも小さい。
【0083】
外部ミラー203は、それぞれ板状の反射部203aと被固定部203b,203cを有している。被固定部203b,203cは、90°の角度をなすように連結されている。反射部203aは、被固定部203cに対して135°の角度をなすように、被固定部203cにおける被固定部203bが連結された端部とは反対側の端部に連結されている。外部ミラー203は、被固定部203bが上面202aに固定され、被固定部203cが出射端面202cに固定されることによって、レーザダイオード202に固定されている。反射部203aは、出射部222aの前方に配置されている。反射部203aにおける出射部222aにより近い面は、出射部222aより出射されたレーザ光を、スライダ201内の導波路26に向けて反射する反射面になっている。この反射面に対する法線は、出射部222aより出射されたレーザ光の進行方向に対して45°の角度をなしている。
【0084】
外部ミラー203は、例えば、樹脂、ガラス等の絶縁材料を成型して本体を作製し、この本体のうちの少なくとも反射面となる部分に、蒸着法、スパッタ法等によって金属膜を形成することによって作製することができる。
【0085】
リターン磁極層10からクラッド層29までの部分、レーザダイオード202および外部ミラー203は、記録ヘッドを構成する。
【0086】
次に、図1、図2、図6および図7を参照して、レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光の経路について説明する。図2は、図1におけるレーザダイオード202、外部ミラー203、内部ミラー30および導波路26の位置関係とレーザ光の偏光方向を示す斜視図である。図6は、図5における6−6線で示す位置における熱アシスト磁気記録ヘッド200の断面の一部を示す断面図である。図2および図6には、図4に示したX,Y,Zの各方向も示している。図6において、Y方向はX方向およびZ方向に直交する方向である。
【0087】
レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光は、外部ミラー203の反射部203aの反射面で反射されて、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して後端面26bおよび反射面351a,352aに至り、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行するように、内部ミラー30の反射膜35における反射面351a,352aで反射される。
【0088】
ここで、図1および図2に示したように、出射部222aより出射されたレーザ光を符号L1で示し、外部ミラー203で反射された後のレーザ光を符号L2で示し、内部ミラー30で反射された後のレーザ光を符号L3で示す。本実施の形態では、レーザダイオード202、外部ミラー203、内部ミラー30および導波路26は、スライダ201の上面201cの上方から見たときに、出射部222aより出射されたレーザ光L1の進行方向と内部ミラー30で反射された後のレーザ光L3の進行方向が直交するように配置されている。
【0089】
図1および図2には、導波路26の形状の一例を示している。この例における導波路26では、2つの側面26e,26fにおける前端部26aの近傍の部分は、上方から見た形状が放物線形状の反射面になっている。この反射面は、導波路26によって伝播される光を、前端部26aの近傍に集光する機能を有している。
【0090】
ここで、図2を参照して、本実施の形態におけるレーザ光の偏光方向について説明する。本実施の形態では、レーザダイオード202は、出射部222aから、電界の振動方向が活性層222の面に平行な直線偏光すなわちTEモードのレーザ光を出射する。出射部222aより出射されたレーザ光における電界の振動方向は、XY平面に平行である。出射部222aより出射されたレーザ光は、外部ミラー203の反射部203aの反射面で反射されて、導波路26に向かう。このときのレーザ光における電界の振動方向は、YZ平面に平行である。このレーザ光は、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して、内部ミラー30によって反射される。内部ミラー30によって反射された後のレーザ光における電界の振動方向は、YZ平面に平行である。内部ミラー30によって反射されたレーザ光は、導波路26内を伝播して、対向部分26gに至る。このレーザ光における電界の振動方向は、対向部分26gに対して垂直である。これにより、近接場光発生素子23において大きな強度の表面プラズモンを発生させることができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200は、スライダ201と、このスライダ201に固定された端面発光型のレーザダイオード202と、スライダ201の外部に設けられた外部ミラー203とを備えている。スライダ201は、記録媒体に対向する媒体対向面201aと、再生ヘッドと、記録ヘッドのうちのレーザダイオード202および外部ミラー203を除いた部分(以下、記録ヘッドのスライダ内部分という。)を備えている。再生ヘッドと、記録ヘッドのスライダ内部分は、基板1の上に積層されている。記録ヘッドのスライダ内部分は、再生ヘッドに対して、記録媒体の進行方向(Z方向)の前側(トレーリング側)に配置されている。
【0092】
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面201a側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層7と、MR素子5と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜4と、MR素子5と上部シールド層7との間に配置された上部シールドギャップ膜6とを備えている。
【0093】
記録ヘッドのスライダ内部分は、リターン磁極層10と、コイル12と、連結層13と、下部ヨーク層17と、磁極20とを備えている。コイル12は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。リターン磁極層10、連結層13、下部ヨーク層17および磁極20は、コイル12が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極20は、第1層20Aと第2層20Bとを有している。磁極20は、コイル12によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。記録媒体に記録されるビットパターンの端部の位置は、媒体対向面201aに配置された第2層20Bの前端面における上端部すなわち基板1の上面1aからより遠い端部の位置によって決まる。また、媒体対向面201aに配置された第2層20Bの前端面における上端部の幅がトラック幅を規定する。リターン磁極層10、連結層13および下部ヨーク層17は、磁極20より発生されて、記録媒体を磁化した磁束を、磁極20に還流させる機能を有する。
【0094】
記録ヘッドのスライダ内部分は、更に、近接場光発生素子23と、介在層25と、導波路26と、クラッド層24,29と、内部ミラー30とを備えている。基板1は上面1aを有している。磁極20、導波路26、近接場光発生素子23および内部ミラー30は、基板1の上面1aの上方に配置されている。導波路26、近接場光発生素子23および内部ミラー30は、磁極20の第1層20Aに対して基板1の上面1aからより遠い位置に配置されている。導波路26の前端面26aは、第2層20Bの後端面に対向している。導波路26の後端面26bは、内部ミラー30の反射膜35における反射面351a,352aに接している。近接場光発生素子23は、第2層20Bに対して基板1の上面1aからより遠い位置に配置されている。介在層25、近接場光発生素子23およびクラッド層24,29は、導波路26に対して基板1の上面1aからより遠い位置に配置されている。クラッド層29は、上面29aを有している。クラッド層29の上面29aは、スライダ201の上面201cを構成している。
【0095】
近接場光発生素子23の外面は、媒体対向面201aに配置された第1の端面23aと、媒体対向面201aからより遠い第2の端面23bと、第1の端面23aと第2の端面23bを連結する連結部とを含んでいる。連結部は、基板1の上面1aからより遠い上面23cと、基板1の上面1aに近づくに従って互いの距離が小さくなる2つの側面23d,23eと、2つの側面23d,23eを接続するエッジ部23fとを含んでいる。第1の端面23aは、近接場光発生部23gを含んでいる。媒体対向面201aに垂直な方向(Y方向)についての近接場光発生素子23の長さHPAは、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さTPAよりも大きい。後で詳しく説明するが、近接場光発生素子23では、導波路26を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部23gに伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部23gより近接場光が発生される。
【0096】
導波路26は、近接場光発生素子23に対して、基板1の上面1aにより近い位置に配置されている。導波路26の外面は、介在層25を介して、近接場光発生素子23のエッジ部23fの一部に対向する対向部分26gを含んでいる。
【0097】
反射膜支持体27、介在層25およびクラッド層24,29は、いずれも、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。従って、導波路26の外面のうち反射膜35に接する部分以外の部分は、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって覆われている。
【0098】
記録ヘッドは、更に、スライダ201に固定された端面発光型のレーザダイオード202と、レーザダイオード202に固定された外部ミラー203とを備えている。レーザダイオード202は、活性層222と、活性層222の面に平行な方向の端に位置し、レーザ光の出射部222aを含む出射端面202cと、活性層222の面に垂直な方向の端に位置する下面202aとを有し、下面202aがスライダ201の上面201cに向くように配置されている。外部ミラー203は、出射部222aより出射されたレーザ光を、導波路26に向けて反射する。外部ミラー203で反射されたレーザ光は、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して後端面26bに至り、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行するように、内部ミラー30によって反射される。
【0099】
ここで、本実施の形態における近接場光発生の原理と、近接場光を用いた熱アシスト磁気記録の原理について詳しく説明する。レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光は、上述のように、外部ミラー203で反射され、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して後端面26bに至り、内部ミラー30によって反射されて、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行する。このレーザ光は、導波路26内を伝播して、対向部分26gの近傍に達する。ここで、対向部分26gと介在層25との界面において、レーザ光が全反射することによって、介在層25内にしみ出すエバネッセント光が発生する。その結果、このエバネッセント光と、近接場光発生素子23の外面のうちの連結部の一部(エッジ部23fの一部およびその近傍部分)における電荷の集団振動すなわち表面プラズモンとが結合した系である表面プラズモン・ポラリトンが励起される。このようにして、近接場光発生素子23に表面プラズモンが励起される。
【0100】
近接場光発生素子23に励起された表面プラズモンは、近接場光発生素子23のエッジ部23fに沿って近接場光発生部23gに向けて伝播する。その結果、近接場光発生部23gにおいて表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて、近接場光発生部23gから近接場光が発生する。この近接場光は、記録媒体に向けて照射され、記録媒体の表面に達し、記録媒体の磁気記録層の一部を加熱する。これにより、その磁気記録層の一部の保磁力が低下する。熱アシスト磁気記録では、このようにして保磁力が低下した磁気記録層の一部に対して、磁極20より発生される記録磁界を印加することによってデータの記録が行われる。
【0101】
次に、図11ないし図20を参照して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200の製造方法について説明する。図11ないし図20において、(a)は、それぞれ、熱アシスト磁気記録ヘッド200の製造過程における積層体の、媒体対向面201aおよび基板1の上面1aに垂直な断面を示している。図11ないし図20の(a)において、記号“ABS”は、媒体対向面201aが形成される予定の位置を表している。図11ないし図20において、(b)は、それぞれ、図11ないし図20の(a)における位置ABSにおける断面を示している。
【0102】
本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200の製造方法では、まず、図11に示したように、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3を覆うように絶縁層31を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって、下部シールド層3が露出するまで絶縁層31を研磨して、下部シールド層3および絶縁層31の上面を平坦化する。次に、下部シールド層3および絶縁層31の上に下部シールドギャップ膜4を形成する。次に、下部シールドギャップ膜4の上にMR素子5と、MR素子5に接続される図示しないリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを覆うように上部シールドギャップ膜6を形成する。次に、上部シールドギャップ膜6の上に上部シールド層7を形成する。次に、上部シールド層7を覆うように絶縁層32を形成する。次に、例えばCMPによって、上部シールド層7が露出するまで絶縁層32を研磨して、上部シールド層7および絶縁層32の上面を平坦化する。次に、上部シールド層7および絶縁層32の上に非磁性層8を形成する。次に、非磁性層8の上にリターン磁極層10を形成する。次に、リターン磁極層10を覆うように絶縁層33を形成する。次に、例えばCMPによって、リターン磁極層10が露出するまで絶縁層33を研磨して、リターン磁極層10および絶縁層33の上面を平坦化する。次に、リターン磁極層10および絶縁層33の上面の一部の上に絶縁層11を形成する。
【0103】
図12は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばフレームめっき法によって、絶縁層11の上にコイル12を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、リターン磁極層10の上に連結層13を形成する。なお、連結層13を形成した後に、コイル12を形成してもよい。次に、コイル12の巻線間およびコイル12の周囲に、例えばフォトレジストよりなる絶縁層14を選択的に形成する。次に、例えばスパッタ法によって、積層体の上面全体の上に、絶縁層15を形成する。次に、例えばCMPによって、コイル12および連結層13が露出するまで絶縁層15を研磨して、コイル12、連結層13および絶縁層14,15の上面を平坦化する。
【0104】
図13は、次の工程を示す。この工程では、まず、絶縁層16を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、連結層13および絶縁層16の上に下部ヨーク層17を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層18を形成する。次に、例えばCMPによって、下部ヨーク層17が露出するまで非磁性層18を研磨して、下部ヨーク層17および非磁性層18の上面を平坦化する。
【0105】
図14は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばフレームめっき法によって、下部ヨーク層17および非磁性層18の上に第1層20Aを形成する。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層21を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aが露出するまで非磁性層21を研磨して、第1層20Aおよび非磁性層21の上面を平坦化する。
【0106】
図15は、次の工程を示す。この工程では、例えばフレームめっき法によって、第1層20Aの上に第2層20Bを形成する。
【0107】
図16は、次の工程を示す。この工程では、まず、積層体の上面全体の上に、後に傾斜面272a,272bを有する溝部27Aが形成されることにより反射膜支持体27となる初期支持体27Pを形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bが露出するまで初期支持体27Pを研磨して、第2層20Bおよび初期支持体27Pの上面を平坦化する。
【0108】
図17は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えば反応性イオンエッチング(以下、RIEと記す。)によって、初期支持体27Pを選択的にエッチングして、初期支持体27Pに溝部27Aを形成する。これにより、初期支持体27Pは反射膜支持体27となる。次に、反射膜支持体27の溝部27Aの表面のうちの少なくとも傾斜面272a,272bおよび連結面272cの上に、後に反射膜35となる金属膜35Pを形成する。
【0109】
図18は、次の工程を示す。この工程では、まず、積層体の上面全体の上に、後に導波路26となる誘電体層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bおよび反射膜支持体27が露出するまで誘電体層および金属膜35Pを研磨して、第2層20B、反射膜支持体27および誘電体層の上面を平坦化する。これにより、反射膜支持体27の溝部27A内に残った誘電体層が導波路26となり、反射膜支持体27の溝部27A内に残った金属膜35Pが反射膜35となる。なお、導波路26、反射膜支持体27および反射膜35を形成するための一連の工程については、後で更に詳しく説明する。
【0110】
図19は、次の工程を示す。この工程では、まず、第2層20B、導波路26および反射膜支持体27の上に介在層25を形成する。次に、介在層25の上にクラッド層24を形成する。次に、クラッド層24を選択的にエッチングして、クラッド層24に、近接場光発生素子23を収容するための溝部を形成する。次に、クラッド層24の溝部内に収容されるように近接場光発生素子23を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、クラッド層29を形成する。次に、クラッド層29の上面29aに配線や端子210等を形成する。
【0111】
次に、図20に示したように、外部ミラー203が固定されたレーザダイオード202を、クラッド層29の上面29aすなわちスライダ201の上面201cに固定する。
【0112】
次に、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面201aの研磨、浮上用レールの作製等を行って、熱アシスト磁気記録ヘッドが完成する。
【0113】
ここで、図10、図21ないし図28を参照して、導波路26、反射膜支持体27および反射膜35を形成するための一連の工程について更に詳しく説明する。図21ないし図28は、それぞれ、熱アシスト磁気記録ヘッドの製造過程における積層体の一部の、媒体対向面201aおよび基板1の上面1aに垂直な断面を示している。なお、図21ないし図25では、初期支持体27Pよりも基板1側の部分を省略している。また、図26ないし図28では、反射膜支持体27よりも基板1側の部分を省略している。
【0114】
図21は、図16に示した第2層20Bおよび初期支持体27Pの上面を平坦化した後の工程を示している。この工程では、初期支持体27Pの上面に、第1のエッチングマスク41を形成する。このエッチングマスク41は、例えばフォトレジスト層をフォトリソグラフィによってパターニングして形成する。エッチングマスク41は、導波路26の平面形状に対応した形状の開口部を有し、初期支持体27Pのうち、基板1の上面1aに垂直な方向から見たときに後に第1の傾斜面272aが形成される領域を除いた一部を覆っている。また、エッチングマスク41は、図21において、媒体対向面201aが形成される予定の位置により近い側面41aを有している。なお、初期支持体27Pとエッチングマスク41との間に、導波路26の平面形状に対応した形状の開口部を有する金属製マスクを形成してもよい。この金属製マスクは、例えばTaによって形成されていてもよい。
【0115】
図22は、次の工程を示す。この工程では、エッチングマスク41を用いて、RIEによって、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。この工程を、第1のエッチング工程と呼ぶ。
【0116】
図22に示したように、初期支持体27Pがテーパーエッチングされることによって、初期支持体27Pに、初期底部271P、初期傾斜面272Pおよび図示しない初期側壁を有する初期溝部27APが形成される。初期傾斜面272Pは、基板1の上面1aに垂直な方向に対して傾いている。初期支持体27Pがアルミナ(Al23)によって形成されている場合、第1のエッチング工程では、例えば、BClおよびClと、CFまたはNを含むエッチングガスを用いたRIEによって、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。BClとClは、初期支持体27Pのエッチングに寄与する主成分である。CFとNは、初期支持体27Pのエッチング中に、エッチングによって形成される溝の側壁に側壁保護膜を形成するためのガスである。エッチングガスがCFまたはNを含むことにより、初期支持体27Pのエッチング中に溝の側壁に側壁保護膜が形成され、これにより、初期傾斜面272Pが、基板1の上面1aに垂直な方向に対して傾いた面となる。なお、図示しない初期側壁も、基板1の上面1aに垂直な方向に対して傾いた面となる。
【0117】
ここで、図22に示したように、初期傾斜面272Pが初期底部271Pに対してなす角度を符号θで表す。角度θは、上記エッチングガスの全流量に対するCFまたはNの流量の割合を変化させることによって、15°〜90°の範囲内で制御することができる。上記エッチングガスにおいて、全流量に対するCFおよびNの流量の割合がいずれも0%のときには、角度θは90°となる。また、上記エッチングガスがNを含む場合、エッチングガスの全流量に対するNの流量の割合が8%のときには、角度θは45°となり、エッチングガスの全流量に対するNの流量の割合が20%のときには、角度θは20°となる。なお、上記エッチングガスがNの代わりにCFを含む場合、エッチングガスの全流量に対するCFの流量の割合は、同じ角度θを形成するときのエッチングガスの全流量に対するNの流量の割合のおよそ2倍となる。一例として、上記エッチングガスがBCl、ClおよびCFを含む場合、角度θを45°とするためには、例えば、BClの流量を80sccmとし、Clの流量を15sccmとし、CFの流量を17sccmとする。この場合、エッチング時間を720秒とすると、エッチングにより初期支持体27Pに形成される溝の深さは1μmとなる。また、上記エッチングガスがBCl、ClおよびNを含む場合、BClの流量を80sccmとし、Clの流量を15sccmとし、Nの流量を23sccmとし、エッチング時間を400秒とすると、初期支持体27Pに、角度θが20°で、深さが0.5μmの溝部が形成される。
【0118】
ここで、第1のエッチング工程におけるエッチングガス以外の条件の一例を挙げる。この例では、高周波コイルを用いた電磁誘導によりチャンバ内にプラズマを発生させるRIE装置を用い、高周波コイルに供給するソースパワーを1200Wとし、高周波バイアスパワーを25Wとし、チャンバ内の圧力を0.3Paとする。
【0119】
第1のエッチング工程では、例えば、初期傾斜面272Pが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度が45°となるように、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。初期溝部27APの深さ(初期支持体27Pの上面と初期底部271Pとの間の距離)は、例えば0.5μmである。なお、第1のエッチング工程の後、図示しない初期側壁が基板1の上面1aに対して垂直になるように、RIEによって、図示しない初期側壁をエッチングしてもよい。その際、初期傾斜面272Pをフォトレジストマスクで覆ってもよい。
【0120】
図23は、次の工程を示す。この工程では、例えば、有機系のレジスト剥離液を用いた剥離や、Oを含むアッシングガスを用いたアッシングによって、エッチングマスク41を除去する。
【0121】
図24は、次の工程を示す。この工程では、まず、初期支持体27Pの上面に、第2のエッチングマスク42を形成する。このエッチングマスク42は、例えばフォトレジスト層をフォトリソグラフィによってパターニングして形成する。エッチングマスク42は、導波路26の平面形状に対応した形状の開口部を有し、初期支持体27Pのうち、基板1の上面1aに垂直な方向から見たときに後に傾斜面272a,272bが形成される領域を除いた一部を覆っている。また、エッチングマスク42は、図24において、媒体対向面201aが形成される予定の位置により近い側面42aを有している。側面42aは、エッチングマスク41の側面41aが配置される位置に対して、媒体対向面201aが形成される予定の位置からより遠い位置に配置される。
【0122】
図25は、次の工程を示す。この工程では、エッチングマスク42を用いて、RIEによって、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。この工程を、第2のエッチング工程と呼ぶ。第2のエッチング工程におけるエッチング条件は、第1のエッチング工程におけるエッチング条件と同じである。第2のエッチング工程の後の状態を、図26に示す。
【0123】
図26は、第2のエッチング工程により、初期支持体27Pがテーパーエッチングされた後の積層体の一部を示している。図26に示したように、初期支持体27Pがテーパーエッチングされることによって、初期支持体27Pに、溝部27Aが形成される。これにより、底部271および傾斜面272a,272bが完成して、初期支持体27Pは反射膜支持体27となる。なお、第2のエッチング工程の後、溝部27Aの図示しない側壁が基板1の上面1aに対して垂直になるように、RIEによって、側壁をエッチングしてもよい。この場合、傾斜面272a,272bおよび連結面272cをフォトレジストマスクで覆ってもよい。
【0124】
第2のエッチング工程では、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度が45°となるように、BCl、Cl、CF、Nのうち少なくともBCl、Cl、CFを含むエッチングガスを用いたRIEによって、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。溝部27Aの深さ(反射膜支持体27の上面と底部271との間の距離)は、例えば1μmである。
【0125】
ここで、図24ないし図26を参照して、第2のエッチング工程について更に詳しく説明する。第2のエッチング工程では、以下で説明するようなRIEの特性を用いて、初期支持体27Pをテーパーエッチングする。CFまたはNを含むエッチングガスを用いたRIEによって初期支持体27Pをエッチングすると、エッチングによって初期支持体27Pに形成される溝の側壁に側壁保護膜が形成されるため、初期支持体27Pのうちエッチングマスク42に近い部分は、テーパーエッチングされる。一方、初期支持体27Pのうちエッチングマスク42から離れた部分は、垂直にエッチングされる。上記のRIEの特性により、第2のエッチング工程では、初期支持体27Pのうち、初期底部271Pおよび初期傾斜面272Pの下の部分がエッチングされて底部271および傾斜面272aが形成されると共に、初期支持体27Pのうち、第1のエッチング工程においてエッチングされなかった部分がエッチングされて傾斜面272bが形成される。
【0126】
また、第2のエッチング工程では、傾斜面272bが、傾斜面272aを含む仮想の平面に対して傾斜面272aに垂直な方向にずれた状態で、傾斜面272a,272bが形成されてもよい。この場合には、傾斜面272a,272bを連結するように連結面272cが形成される。
【0127】
ここで、図24および図25に示したように、エッチングマスク41の側面41aとエッチングマスク42の側面42aとの間の距離を符号S1で表し、第2のエッチング工程によるエッチング深さ(初期底部271Pと底部271との間の距離)を符号Dpで表す。傾斜面272bが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度を45°とする場合には、S1を、Dpと等しいか、ほぼ等しくなるようにする。S1は、Dpの0.8〜1.2倍であることが好ましい。
【0128】
傾斜面272bが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度を45°としたときに、S1/Dpが1である場合には、理想的には、傾斜面272a,272bが同一平面上に配置され、連結面272cは形成されない。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200の製造方法は、このような場合も含む。
【0129】
傾斜面272bが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度を45°としたときに、S1/Dpが1以外の場合には、傾斜面272bが、傾斜面272aを含む仮想の平面に対して傾斜面272aに垂直な方向にずれた状態で、傾斜面272a,272bが形成され、連結面272cが形成される。特に、S1/Dpが1より大きい場合には、図26に示したように、連結面272cが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも大きくなる。
【0130】
図27は、次の工程を示す。この工程では、例えば、有機系のレジスト剥離液を用いた剥離や、Oを含むアッシングガスを用いたアッシングによって、エッチングマスク42を除去する。
【0131】
図28は、次の工程を示す。この工程では、傾斜面272a,272bおよび連結面272cの上に、後に反射膜35となる金属膜35Pを形成する。金属膜35Pは、反射膜支持体27の上面の一部および底部271の一部の上にも形成される。
【0132】
図28に示した工程の後、導波路26および内部ミラー30を形成するまでの工程については、図10を参照して説明する。図28に示した工程の後では、まず、積層体の上面全体の上に、後に導波路26となる誘電体層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bおよび反射膜支持体27が露出するまで誘電体層および金属膜35Pを研磨して、第2層20B、反射膜支持体27および誘電体層の上面を平坦化する。これにより、溝部27A内に残った誘電体層が導波路26となる。また、溝部27A内に残った金属膜35Pが反射膜35となり、内部ミラー30が完成する。
【0133】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200では、スライダ201の上面201cにレーザダイオード202が固定されている。レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光は、外部ミラー203の反射部203aの反射面で反射されて、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して後端面26bに至り、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行するように、内部ミラー30によって反射される。
【0134】
内部ミラー30は、反射膜支持体27と反射膜35とを有している。反射膜支持体27は、第1の傾斜面272aと第2の傾斜面272bを含んでいる。第2の傾斜面272bは、第1の傾斜面272aを含む仮想の平面に対して、第1の傾斜面272aに垂直な方向にずれている。反射膜35は、第1の傾斜面272aの上に配置された第1の部分351と、第2の傾斜面272bの上に配置された第2の部分352とを有している。第1の部分351は第1の反射面351aを含み、第2の部分352は第2の反射面352aを含んでいる。第2の反射面352aは、第1の反射面351aを含む仮想の平面に対して、第1の反射面351aに垂直な方向にずれている。
【0135】
以下、本実施の形態による効果について説明する。始めに、深さ方向の寸法の大きな単一の反射面を有する内部ミラーを作製する場合における問題点について説明する。一般的に、アルミナよりなる初期支持体27Pのような絶縁層をテーパーエッチングする場合のエッチングレートは、絶縁層を垂直にエッチングする場合のエッチングレートよりも小さくなる。そのため、エッチングの深さを同じにして比較すると、絶縁層をテーパーエッチングする場合には、絶縁層を垂直にエッチングする場合に比べて、フォトレジストよりなるエッチングマスクを厚くする必要がある。しかし、エッチングマスクを厚くすると、エッチング中に、プラズマによってエッチングマスクの網状化(reticulation)が発生する等して、エッチングマスクの形状が崩れやすくなる。
【0136】
例えば、初期支持体27Pの上に4μmの厚みのフォトレジストよりなるエッチングマスクを形成して、テーパーエッチングによって初期支持体27Pに、基板1の上面1aに垂直な方向に対して45°の角度をなす傾斜面を形成する場合、傾斜面を平面状に形成可能な最大のエッチング深さは1μm程度である。エッチングマスクの厚みが4μmを超えると、エッチングマスクの形状が崩れ、傾斜面を平面状に形成することが困難になる。従って、1回のテーパーエッチングによって平面状の傾斜面を精度よく形成可能な最大のエッチング深さは1μm程度になる。
【0137】
一方、内部ミラーの反射面に入射する際のレーザ光の径は、例えば1〜2μmである。レーザダイオード202をスライダ201の上面201aに固定する際の位置合わせの誤差によるレーザ光の変位が最大で1μm程度あるとすると、反射面の深さ方向の寸法としては2〜4μm程度必要となる。このような寸法の単一の反射面を形成する場合には、初期支持体27Pに、深さ方向の寸法が2〜4μm程度の単一の平面状の傾斜面を形成する必要がある。しかし、前述のように、このような寸法の単一の平面状の傾斜面を、1回のテーパーエッチングによって精度よく形成することは困難である。従って、深さ方向の寸法が2〜4μmのように大きな単一の反射面を形成する場合には、反射面が平面状ではなくなる。その結果、反射面によって反射されて所望の方向に進行するレーザ光の光量が減少し、近接場光の発生に利用されるレーザ光の利用効率が低下するという問題が発生する。
【0138】
本実施の形態では、反射膜支持体27は、第1の傾斜面272aと第2の傾斜面272bを含んでいる。この第1の傾斜面272aと第2の傾斜面272bは、例えば、2回のテーパーエッチングを含む複数の工程を経て形成することができる。第1および第2の傾斜面272a,272bは、寸法の大きな単一の平面状の傾斜面を形成する場合に比べて、精度よく形成することが可能である。そのため、本実施の形態によれば、第1および第2の反射面351a,352aも精度よく形成することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、内部ミラー30に起因して、レーザ光の利用効率が低下することを防止することが可能になる。
【0139】
また、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200の製造方法では、反射膜支持体27を形成する工程は、初期支持体27Pを形成する工程と、初期支持体27Pをエッチングする工程とを備えている。初期支持体27Pをエッチングする工程は、初期支持体27Pをテーパーエッチングする第1および第2のエッチング工程を含んでいる。そして、第2のエッチング工程の後で第1および第2の傾斜面272a,272bが完成する。この製造方法によれば、寸法の大きな単一の平面状の傾斜面を形成する場合に比べて、第1および第2の傾斜面272a,272bを精度よく形成することが可能である。そのため、本実施の形態によれば、第1および第2の反射面351a,352aも精度よく形成することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、内部ミラー30に起因してレーザ光の利用効率が低下することを防止することが可能になる。
【0140】
ここで、媒体対向面201aに垂直な方向についての連結面272cの寸法(以下、連結面272cの幅と言う。)および連結面353aの寸法(以下、連結面353aの幅と言う。)について考える。連結面353aの幅は、連結面272cの幅に依存する。連結面272cは、前述のようにS1/Dpが1以外の場合に形成される。S1/Dpが1より大きい場合には、連結面272cが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも大きくなる。その結果、図10に示したように、連結面353aが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、反射面351a,352aの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも大きくなる。ここで、S1/Dpが大きすぎると、連結面272cの幅が大きくなりすぎて、連結面353aの幅も大きくなりすぎる。この場合、反射膜35に入射した光のうち、連結面353aで反射されて、その結果、導波路26内を媒体対向面201aに向けて進行しない光の割合が大きくなりすぎて、光の利用効率が低下する。この観点から、S1/Dpは、1.2以下であることが好ましい。なお、S1/Dpが1よりも小さい場合については、第2の実施の形態で説明する。
【0141】
S1/Dpが1となるようにエッチングマスク41,42を形成しようとしても、エッチングマスク41,42を形成する際のフォトリソグラフィにおける位置合わせの誤差によって、エッチングマスク41,42の位置が所望の位置からわずかにずれる場合がある。この位置合わせの誤差によるS1の変動は最大で0.1μm程度と考えられ、位置合わせの誤差によって生じる連結面272cの幅および連結面353aの幅も、最大で0.1μm程度と考えられる。ここで、媒体対向面201aに垂直な方向についての反射面351a,352aの寸法がそれぞれ0.5μmであり、連結面353aの幅が0.1μmであり、反射膜35に入射するレーザ光の径が1μmであるとする。この場合には、反射膜35に入射するレーザ光のうちの90%の部分を、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行するように反射面351a,352aによって反射することができる。
【0142】
以下、本実施の形態におけるその他の効果について説明する。本実施の形態では、導波路26の外面における対向部分26gが、介在層25を介して、近接場光発生素子23のエッジ部23fの一部およびその近傍部分に対向する。本実施の形態では、導波路26を伝播する光に基づいて、介在層25においてエバネッセント光が発生し、このエバネッセント光に基づいて、近接場光発生素子23に表面プラズモンが励起される。そして、この表面プラズモンが近接場光発生部23gに伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部23gより近接場光が発生される。本実施の形態によれば、レーザ光をプラズモン・アンテナに直接照射して近接場光を発生させる場合に比べて、導波路26を伝播する光の近接場光への変換の効率を高めることができる。
【0143】
また、本実施の形態では、導波路26を伝播するレーザ光が近接場光発生素子23に直接照射されないため、近接場光発生素子23の温度上昇を抑制することができる。また、本実施の形態では、媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さHPAが、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さTPAよりも大きい。そのため、本実施の形態における近接場光発生素子23の体積は、媒体対向面201aに垂直な方向についての長さが、基板1の上面1aに垂直な方向についての長さよりも小さい従来のプラズモン・アンテナに比べて大きい。この点からも、本実施の形態によれば、近接場光発生素子23の温度上昇を抑制することができる。これらのことから、本実施の形態によれば、近接場光発生素子23が媒体対向面201aから突出することを抑制することができる。
【0144】
また、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200では、近接場光の発生に利用される光を出射する光源として、端面発光型のレーザダイオード202が用いられている。一般的に、端面発光型のレーザダイオードの光出力は、面発光型レーザダイオードに比べて大きい。
【0145】
レーザダイオード202は、活性層222の面に垂直な方向の端に位置する下面202aがスライダ201の上面201cに向くように配置されて、スライダ201に固定される。レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光は、外部ミラー203で反射されて導波路26に向けられる。レーザダイオード202の下面202aは、活性層222の面に平行であり、且つ出射端面202cよりも面積が大きい。従って、本実施の形態では、出射部222aより出射されるレーザ光の光軸がスライダ201の上面201cに平行になるように、レーザダイオード202をスライダ201に対して精度よく位置決めすることは容易である。そのため、本実施の形態によれば、出射部222aより出射されるレーザ光の光軸が所望の方向に対して傾くことを防止することができる。従って、本実施の形態によれば、近接場光の発生に利用される光を出射する光源として、光出力が大きい端面発光型のレーザダイオード202を用いながら、出射部222aより出射されるレーザ光を、直接、導波路に入射させる場合に比べて、導波路に対するレーザ光の位置合わせを容易に行うことが可能になる。
【0146】
また、本実施の形態では、図1および図2に示したように、レーザダイオード202、外部ミラー203、内部ミラー30および導波路26は、スライダ201の上面201cの上方から見たときに、出射部222aより出射されたレーザ光L1の進行方向と内部ミラー30で反射された後のレーザ光L3の進行方向が直交するように配置されている。このような配置により、本実施の形態によれば、図2に示したように、内部ミラー30で反射された後のレーザ光L3の偏光方向(電界の振動方向)を、出射部222aより出射されたレーザ光L1の偏光方向に直交する方向に設定することができる。これにより、本実施の形態によれば、レーザダイオード202として、TEモードのレーザ光を出射する一般的なレーザダイオードを用いながら、導波路26を伝播するレーザ光の偏光方向を、近接場光発生素子23において大きな強度の表面プラズモンを発生させることができる方向すなわち対向部分26gに対して垂直な方向に設定することができる。
【0147】
また、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッド200では、近接場光発生素子23が、磁極20の第2層20Bに対して基板1の上面1aからより遠い位置に配置され、導波路26が、磁極20の第1層20Aに対して基板1の上面1aからより遠い位置に配置され、導波路26の上方に配置されたレーザダイオード202より出射された光が、内部ミラー30によって、導波路26内を媒体対向面201aに向けて進行するように反射される。
【0148】
ここで、近接場光発生素子および導波路が、磁極20に対して基板1の上面1aにより近い位置に配置されている場合について考える。この場合には、近接場光発生素子および導波路の上方に磁極20が存在することになるため、本実施の形態のように導波路の上方にレーザダイオードを配置する場合、レーザダイオードから導波路までの光の経路が長くなり、光のエネルギーの損失が大きくなる。また、この場合、レーザダイオードから導波路までの光の経路が長いことから、レーザダイオードと導波路とを正確に位置決めすることが難しく、レーザダイオードと導波路との位置ずれによる光のエネルギーの損失が発生しやすい。
【0149】
これに対し、本実施の形態では、レーザダイオード202から導波路26までの光の経路を短くすることができ、その結果、短い経路によって、レーザダイオード202から、導波路26の外面における対向部分26gまで光を導くことが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、光のエネルギーの損失を少なくすることができる。また、本実施の形態では、レーザダイオード202と導波路26とを近付けることができることから、レーザダイオード202と導波路26とを正確に位置決めすることが容易である。そのため、本実施の形態によれば、レーザダイオード202と導波路26との位置ずれによる光のエネルギーの損失を少なくすることができる。
【0150】
また、本実施の形態では、レーザダイオード202の下面202aと出射部222aとの間の距離D1は、レーザダイオード202の上面202bと出射部222aとの間の距離D2よりも小さい。レーザダイオード202の出射部222aより出射されるレーザ光の径は、出射部222aから離れるに従って大きくなる。そのため、距離D1が距離D2よりも大きい場合には、出射部222aから内部ミラー30までのレーザ光の経路が長くなり、レーザ光の一部が内部ミラー30に入射しなくなって導波路26を伝播するレーザ光の光量が少なくなるおそれがある。これに対し、本実施の形態によれば、距離D1が距離D2よりも大きい場合に比べて、出射部222aから内部ミラー30までのレーザ光の経路を短くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、内部ミラー30に入射する際のレーザ光の径を小さくすることができる。その結果、本実施の形態によれば、レーザ光の一部が内部ミラー30の反射膜35における反射面351a,352aに入射しなくなって導波路26を伝播するレーザ光の光量が少なくなることを防止することができる。
【0151】
また、本実施の形態では、外部ミラー203は、例えば、樹脂、ガラス等の絶縁材料を成型して本体を作製し、この本体のうちの少なくとも反射面となる部分に、蒸着法、スパッタ法等によって金属膜を形成することによって作製することができる。この場合、金属膜を形成する前に、本体の反射面となる部分を研磨してもよい。これにより、反射面のうち、反射部203aと被固定部203cの境界に近い部分が丸みを帯びることを防止することができる。これにより、以下のような効果を奏する。前述のように、出射部222aより出射されるレーザ光の径は、出射部222aから離れるに従って大きくなる。そのため、出射部222aから反射部203aの反射面までのレーザ光の経路が長くなるほど、反射面で反射された後のレーザ光の径が大きくなる。上述のように、金属膜を形成する前に、本体の反射面となる部分を研磨して、反射面のうち、反射部203aと被固定部203cの境界に近い部分が丸みを帯びることを防止することにより、出射部222aより出射されたレーザ光が、反射面のうち、反射部203aと被固定部203cの境界により近い位置で反射されるように設定することが可能になる。これにより、出射部222aから反射面までのレーザ光の経路を短くして、反射面で反射された後のレーザ光の径が大きくなりすぎることを防止することができる。
【0152】
また、本実施の形態では、導波路26においてレーザ光が入射する上面の上に、導波路26の屈折率よりも小さい屈折率を有する介在層25が設けられている。そのため、導波路26と介在層25との界面に、導波路26側から臨界角以上の入射角で入射する光は、界面で全反射される。これにより、レーザダイオード202より出射され、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して導波路26内に入射したレーザ光が、介在層25、クラッド層24、クラッド層29を通過してレーザダイオード202に戻ることを抑制することができる。その結果、本実施の形態によれば、レーザ光の利用効率を高めることができると共に、レーザダイオード202に戻るレーザ光によってレーザダイオード202が損傷を受けることを防止することができる。
【0153】
以上のことから、本実施の形態によれば、熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光の発生に利用される光の利用効率を高めることが可能になる。
【0154】
なお、本実施の形態において、初期支持体27Pに対して、エッチングマスクの位置を変えて3回以上のテーパーエッチングを行って、反射膜支持体27に3つ以上の傾斜面を形成してもよい。この場合には、反射膜35は、反射膜支持体27の3つ以上の傾斜面の上に配置された3つ以上の部分を有し、各部分が反射面を有することになる。この場合には、反射膜35における3つ以上の反射面の全体の、基板1の上面1aに垂直な方向および媒体対向面201aに垂直な方向の各々についての寸法を、より大きくすることができる。
【0155】
[変形例]
以下、本実施の形態における第1および第2の変形例について説明する。図29は、第1の変形例における熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。第1の変形例における熱アシスト磁気記録ヘッドは、図1ないし図7に示した熱アシスト磁気記録ヘッドのレーザダイオード202および外部ミラー203の代わりに、図29に示した面発光型のレーザダイオード302を備えている。
【0156】
第1の変形例では、レーザダイオード302は、スライダ201の上面201cに固定されている。レーザダイオード302は、その下面に配置された出射部302aを有し、この出射部302aより下方に向けてレーザ光を出射する。出射部302aより出射されたレーザ光は、クラッド層29、クラッド層24、介在層25を通過して、上面26cから導波路26内に入射して後端面26bに至り、導波路26内を媒体対向面201a(前端面26a)に向けて進行するように、内部ミラー30によって反射される。
【0157】
第1の変形例では、出射部302aより出射されたレーザ光を、外部ミラーで反射させずに、直接クラッド層29に入射させることができることから、レーザダイオード302から導波路26までの光の経路を短くすることができ、その結果、短い経路によって、レーザダイオード302から、導波路26の外面における対向部分26gまで光を導くことが可能になる。これにより、第1の変形例によれば、光のエネルギーの損失を少なくすることができる。また、第1の変形例では、レーザダイオード302と導波路26とを近付けることができることから、レーザダイオード302と導波路26とを正確に位置決めすることが容易である。そのため、第1の変形例によれば、レーザダイオード302と導波路26との位置ずれによる光のエネルギーの損失を少なくすることができる。
【0158】
次に、本実施の形態における第2の変形例について説明する。図30は、第2の変形例における導波路26の一部と近接場光発生素子23を示す平面図である。図31は、図30に示した近接場光発生素子23の斜視図である。第2の変形例における近接場光発生素子23では、側面23d,23eは、媒体対向面201aに近づくに従って、トラック幅方向についての互いに距離が小さくなる部分を有している。また、側面23dと第2の端面23bとの間の角部と、側面23eと第2の端面23bとの間の角部は、それぞれ丸められている。第2の変形例では、特に、上記の2つの角部を除いて、側面23d,23eは、媒体対向面201aに近づくに従って、トラック幅方向についての互いに距離が小さくなっている。
【0159】
上面23cは、第1の端面23aの上端に位置する第1の端縁223aと、第2の端面23bの上端に位置する第2の端縁223bと、側面23dの上端に位置する第3の端縁223dと、側面23eの上端に位置する第4の端縁223eとを有している。第3の端縁223dと第4の端縁223eは、第1の端縁223aに近づくに従って、第1の端縁223aに平行な方向についての互いに距離が小さくなる部分を有している。第2の端縁223bと第3の端縁223dとの間の角部と、第2の端縁223bと第4の端縁223eとの間の角部は、それぞれ丸められている。第2の変形例では、特に、上記の2つの角部を除いて、第3の端縁223dと第4の端縁223eは、第1の端縁223aに近づくに従って、第1の端縁223aに平行な方向についての互いに距離が小さくなっている。
【0160】
また、第2の変形例における近接場光発生素子23は、基板1の上面1aにより近い下面23hを有している。導波路26の上面26cの一部は、介在層25を介して、近接場光発生素子23の下面23hの一部に対向している。図30には、導波路26の前端面26aが媒体対向面201aから離れた位置に配置されている例を示している。しかし、前端面26aは媒体対向面201aに配置されていてもよい。
【0161】
また、図31に示したように、第2の変形例における近接場光発生素子23は、第1の端面23aに近い一部分(以下、前端近傍部分という。)において、第1の端面23aに近づくに従って、下端が基板1の上面1aから遠ざかっている。また、近接場光発生素子23の前端近傍部分においてのみ、側面23d,23eがそれぞれ連続する上部と下部とを含み、側面23dの下部と側面23eの下部とがなす角度は、側面23dの上部と側面23eの上部とがなす角度よりも小さくなっている。近接場光発生素子23の前端近傍部分以外の部分における側面23d,23eの形状は、平面またはほぼ平面である。
【0162】
第1の端面23aは、第1の側面23dの端に位置する第1の辺123dと、第2の側面23eの端に位置する第2の辺123eと、上面23cの端に位置する第3の辺123cと、第1の辺123dと第2の辺123eが接して形成され、近接場光発生部23gを形成する尖端123gとを含んでいる。近接場光発生部23gは、具体的には、端面23aにおける尖端123gおよびその近傍の部分である。
【0163】
第1の辺123dは、連続する上部と下部とを含んでいる。第2の辺123eは、連続する上部と下部とを含んでいる。第1の辺123dの下部と第2の辺123eの下部とがなす角度は、第1の辺123dの上部と第2の辺123eの上部とがなす角度よりも小さい。
【0164】
ここで、図30に示したように、媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さを記号HPAで表し、第1の端面23aの上端部の幅を記号WPAで表し、トラック幅方向(X方向)における近接場光発生素子23の最大の幅を記号WBPAで表す。また、図31に示したように、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さを記号TPAで表す。媒体対向面201aに垂直な方向についての近接場光発生素子23の長さHPAは、基板1の上面1aに垂直な方向についての第1の端面23aの長さTPAよりも大きい。WPAは例えば50〜350nmの範囲内である。TPAは例えば60〜350nmの範囲内である。HPAは例えば0.25〜2.5μmの範囲内である。WBPAは例えば0.25〜2.5μmの範囲内である。
【0165】
第2の変形例では、導波路26において、近接場光発生素子23の外面のうちの連結部の一部(下面23hの一部)に対向する対向部分の面積を大きくすることができる。これにより、近接場光発生素子23の連結部(下面23h)において、より多くの表面プラズモンを励起させることができる。また、第2の変形例では、近接場光発生素子23において、側面23dと第2の端面23bとの間の角部と、側面23eと第2の端面23bとの間の角部が、それぞれ丸められている。これにより、これらの角部から近接場光が発生することを防止することができる。また、第2の変形例では、上記の2つの角部を除いて、近接場光発生素子23の側面23d,23eは、媒体対向面201aに近づくに従って、トラック幅方向についての互いに距離が小さくなっている。これにより、下面23hにおいて励起された表面プラズモンが近接場光発生部23gに伝播される際に、表面プラズモンを集中させることができる。これらのことから、第2の変形例によれば、尖った形状の近接場光発生部23gに、より多くの表面プラズモンを集中させることが可能になる。
【0166】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図32は、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおける内部ミラーの近傍を示す断面図である。
【0167】
図32に示したように、本実施の形態における内部ミラー30では、連結面272cが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。また、連結面353aが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、反射面351a,352aの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。
【0168】
次に、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法では、エッチングマスク41を除去する工程(図23)までは、第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法と同様である。
【0169】
図33は、エッチングマスク41を除去した後の工程を示している。図33は、熱アシスト磁気記録ヘッドの製造過程における積層体の一部の、媒体対向面201aおよび基板1の上面1aに垂直な断面を示している。なお、図33では、初期支持体27Pよりも基板1側の部分を省略している。この工程では、図24に示した工程と同様に、まず、初期支持体27Pの上面にエッチングマスク42を形成する。本実施の形態では、エッチングマスク42の側面42aの位置が第1の実施の形態と異なっている。その後の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0170】
本実施の形態では、傾斜面272bが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度を45°とし、第1の実施の形態において規定したS1/Dpが1より小さくなるように、エッチングマスク42を配置している。S1/Dpが1より小さい場合、図32に示したように、連結面272cが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、傾斜面272a,272bの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さくなる。その結果、連結面353aが基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度は、反射面351a,352aの各々が基板1の上面1aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さくなる。これにより、本実施の形態によれば、反射膜35に入射したレーザ光の一部が連結面353aで反射されてレーザダイオード202に戻ることを抑制することができ、レーザダイオード202に戻るレーザ光によってレーザダイオード202が損傷を受けることを防止することができる。
【0171】
S1/Dpが小さすぎると、基板1の上面1aに垂直な方向についての反射面351a,352a間の距離が大きくなりすぎ、その結果、反射膜35によって反射された後のレーザ光の径が大きくなりすぎる。この観点から、S1/Dpは、0.8以上であることが好ましい。
【0172】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0173】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図34は、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおける内部ミラーの近傍を示す断面図である。本実施の形態における反射膜支持体27は、第1層127Aと、この第1層127Aの上に配置された第2層127Bとを含んでいる。第1層127Aは、上面で開口する溝部127A1を有している。溝部127A1は、底部271と第1の傾斜面272aを有している。第2層127Bは、貫通する開口部127B1を有している。開口部127B1は、第2の傾斜面272bを有している。溝部127A1および開口部127B1は、溝部27Aを構成する。本実施の形態における溝部27Aは、第2の実施の形態における連結面272cの代わりに、第2層127Bの下面の一部である連結面272dを有している。
【0174】
本実施の形態における傾斜面272a,272bは、基板1の上面1aに垂直な方向から見て、それぞれの一部が重なるように配置されている。すなわち、本実施の形態では、傾斜面272bの前端272b1は、傾斜面272aの後端272a2に対して、媒体対向面201aに近い位置にある。連結面272dは、基板1の上面1aに向き、基板1の上面1aに対して平行である。
【0175】
本実施の形態における反射膜35は、第1の傾斜面272aの上に配置された第1の部分351と、第2の傾斜面272bの上に配置された第2の部分352と、溝部27Aの底部271の上に配置されて第1の部分351に連結された部分354とを有しているが、第1の部分351と第2の部分352とを連結する連結部は有していない。第1の部分351と第2の部分352は分離されている。なお、反射膜35は、部分354を有していなくてもよい。本実施の形態における反射面351a,352aは、基板1の上面1aに垂直な方向から見て、それぞれの一部が重なるように配置されている。すなわち、本実施の形態では、反射面352aの前端352a1は、反射面351aの後端351a2に対して、媒体対向面201aに近い位置にある。
【0176】
本実施の形態における導波路26は、基板1の上面1aにより近い第1層126Aと、基板1の上面1aからより遠い第2層126Bとを有している。第1層126Aの少なくとも一部は、溝部127A1に収容されている。第2層126Bの少なくとも一部は、開口部127B1に収容されている。
【0177】
図示しないが、本実施の形態における磁極20の第2層20Bは、基板1の上面1aにより近い第1の部分と、基板1aの上面1aからより遠い第2の部分とを含んでいる。
【0178】
次に、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法では、磁極20の第1層20Aおよび非磁性層21の上面を平坦化する工程(図14)までは、第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法と同様である。
【0179】
図35は、磁極20の第1層20Aおよび非磁性層21の上面を平坦化した後の工程を示している。図35は、熱アシスト磁気記録ヘッドの製造過程における積層体の一部の、媒体対向面201aおよび基板1の上面1aに垂直な断面を示している。なお、図35では、反射膜支持体27の第1層127Aよりも基板1側の部分を省略している。図示しないが、この工程では、まず、例えばフレームめっき法によって、第1層20Aの上に第2層20Bの第1の部分を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、後に傾斜面272aが形成されることにより第1層127Aとなる初期第1層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bの第1の部分が露出するまで初期第1層を研磨して、第2層20Bの第1の部分および初期第1層の上面を平坦化する。
【0180】
次に、初期第1層の上に、第1のエッチングマスク43を形成する。このエッチングマスク43は、例えばフォトレジスト層をフォトリソグラフィによってパターニングして形成する。エッチングマスク43は、導波路26の第1層126Aの平面形状に対応した形状の開口部を有し、初期第1層のうち、基板1の上面1aに垂直な方向から見たときに後に傾斜面272aが形成される領域を除いた一部を覆っている。
【0181】
次に、エッチングマスク43を用いて、RIEによって、初期第1層をテーパーエッチングする。この工程を、第1のエッチング工程と呼ぶ。この工程におけるエッチング条件は、第1の実施の形態の第1のエッチング工程におけるエッチング条件と同じである。図35に示したように、初期第1層がエッチングされることによって、初期第1層に溝部127A1が形成される。また、これにより、底部271および傾斜面272aが形成されて、初期第1層は第1層127Aとなる。
【0182】
図36は、次の工程を示す。図36は、熱アシスト磁気記録ヘッドの製造過程における積層体の一部の、媒体対向面201aおよび基板1の上面1aに垂直な断面を示している。なお、図36では、反射膜支持体27の第1層127Aよりも基板1側の部分を省略している。この工程では、まず、エッチングマスク43を除去する。次に、底部271の一部および傾斜面272aの上に、後に反射膜35の第1の部分351および部分354となる金属膜を形成する。この金属膜は、第1層127Aの上面の一部の上にも形成される。次に、積層体の上面全体の上に、後に導波路26の第1層126Aとなる誘電体層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bの第1の部分および反射膜支持体27の第1層127Aが露出するまで誘電体層および金属膜を研磨して、第2層20Bの第1の部分、第1層127Aおよび誘電体層の上面を平坦化する。これにより、溝部127A1内に残った誘電体層が導波路26の第1層126Aとなり、溝部127A1内に残った金属膜が反射膜35の第1の部分351および部分354となる。
【0183】
次に、図示しないが、例えばフレームめっき法によって、第2層20Bの第1の部分の上に第2層20Bの第2の部分を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、後に傾斜面272bが形成されることにより第2層127Bとなる初期第2層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bの第2の部分が露出するまで初期第2層を研磨して、第2層20Bの第2の部分および初期第2層の上面を平坦化する。
【0184】
次に、初期第2層の上面に、第2のエッチングマスク44を形成する。このエッチングマスク44は、例えばフォトレジスト層をフォトリソグラフィによってパターニングして形成する。エッチングマスク44は、導波路26の第2層126Bの平面形状に対応した形状の開口部を有し、初期第2層のうち、基板1の上面1aに垂直な方向から見たときに後に傾斜面272a,272bが形成される領域を除いた一部を覆っている。次に、エッチングマスク44を用いて、RIEによって、初期第2層をテーパーエッチングする。この工程を、第2のエッチング工程と呼ぶ。この工程におけるエッチング条件は、第1の実施の形態の第2のエッチング工程におけるエッチング条件と同じである。図36に示したように、初期第2層がエッチングされることによって、初期第2層に開口部127B1が形成される。また、これにより、傾斜面272bが形成され、初期第2層は第2層127Bとなる。
【0185】
図36に示した工程の後、導波路26の第2層126Bおよび反射膜35の第2の部分352を形成するまでの工程については、図34を参照して説明する。この工程では、まず、エッチングマスク44を除去する。次に、傾斜面272bの上に、後に反射膜35の第2の部分352となる金属膜を形成する。この金属膜は、第2層127Bの上面の一部の上にも形成される。次に、積層体の上面全体の上に、後に導波路26の第2層126Bとなる誘電体層を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20Bの第2の部分および第2層127Bが露出するまで誘電体層および金属膜を研磨して、第2層20Bの第2の部分、第2層127Bおよび誘電体層の上面を平坦化する。これにより、開口部127B1内に残った誘電体層が導波路26の第2層126Bとなり、開口部127B1内に残った金属膜が反射膜35の第2の部分352となる。その後の工程は、第1の実施の形態と同様である。
【0186】
本実施の形態では、反射面351a,352aは、基板1の上面1aに垂直な方向から見て、それぞれの一部が重なるように配置されている。そのため、本実施の形態によれば、反射膜35に入射したレーザ光の一部がレーザダイオード202に戻ることを防止することができ、レーザダイオード202に戻るレーザ光によってレーザダイオード202が損傷を受けることを防止することができる。
【0187】
なお、本実施の形態において、反射膜支持体27は、それぞれ傾斜面を有し積層された3つ以上の層を有し、反射膜35は、反射膜支持体27の3つ以上の層の傾斜面の上に配置された3つ以上の部分を有していてもよい。反射膜支持体27の各層の傾斜面は、テーパーエッチングによって形成される。この場合には、反射膜35における3つ以上の反射面の全体の、基板1の上面1aに垂直な方向および媒体対向面201aに垂直な方向の各々についての寸法を、より大きくすることができる。
【0188】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0189】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1ないし第3の実施の形態において、レーザダイオード202、外部ミラー203、内部ミラー30および導波路26を、レーザダイオード202の出射部222aより出射されたレーザ光の進行方向と内部ミラー30で反射された後のレーザ光の進行方向が平行になるように配置してもよい。
【0190】
また、本発明において、磁極20は、第2層20Bを有していなくてもよい。また、導波路26は、近接場光発生素子23に対して、基板1の上面1aからより遠い位置に配置されていてもよい。
【0191】
また、本発明において、近接場光発生素子23の形状は、図9、図31にそれぞれ示した形状以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0192】
26…導波路、27…反射膜支持体、30…内部ミラー、35…反射膜、272a…第1の傾斜面、272b…第2の傾斜面、351…第1の部分、352…第2の部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
内部ミラーと、
上面を有する基板とを備え、
前記基板の上面の上方に、前記磁極、導波路、近接場光発生素子および内部ミラーが配置され、
前記内部ミラーは、反射膜支持体と、前記反射膜支持体によって支持された反射膜とを有し、前記導波路の上方から到来する光を、前記導波路内を前記媒体対向面に向けて進行するように反射し、
前記反射膜支持体は、それぞれ前端と後端とを有する第1および第2の傾斜面を含み、
前記第1の傾斜面の後端は、前記第1の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の傾斜面の前端は、前記第1の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の傾斜面の後端は、前記第1の傾斜面の後端および前記第2の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面を含む仮想の平面に対して、前記第1の傾斜面に垂直な方向にずれており、
前記反射膜は、前記第1の傾斜面の上に配置された第1の部分と、前記第2の傾斜面の上に配置された第2の部分とを有し、
前記第1の部分は、前端と後端とを有する第1の反射面を含み、
前記第2の部分は、前端と後端とを有する第2の反射面を含み、
前記第1の反射面の後端は、前記第1の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面の前端は、前記第1の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面の後端は、前記第1の反射面の後端および前記第2の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面は、前記第1の反射面を含む仮想の平面に対して、前記第1の反射面に垂直な方向にずれていることを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項2】
前記第1および第2の反射面は、いずれも、前記基板の上面に垂直な方向に対して45°の角度をなしていることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項3】
前記第1および第2の傾斜面は、前記基板の上面に垂直な方向から見て互いに重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項4】
前記反射膜は、更に、前記第1の部分と第2の部分を連結する連結部を有し、前記連結部は、前記第1の反射面と第2の反射面を連結する連結面を含むことを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項5】
前記連結面が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1および第2の反射面の各々が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも大きいことを特徴とする請求項4記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項6】
前記連結面が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1および第2の反射面の各々が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項4記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項7】
前記第1および第2の傾斜面は、前記基板の上面に垂直な方向から見て、それぞれの一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項8】
前記近接場光発生素子は、前記媒体対向面に配置された第1の端面と、前記媒体対向面からより遠い第2の端面と、前記第1の端面と第2の端面を連結する連結部とを含む外面を有し、前記第1の端面は前記近接場光発生部を含み、
前記媒体対向面に垂直な方向についての前記近接場光発生素子の長さは、前記基板の上面に垂直な方向についての前記第1の端面の長さよりも大きく、
前記導波路は、前記連結部の一部に対向する対向部分を含む外面を有することを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記導波路の前記外面は、前記媒体対向面により近い前端面と、前記媒体対向面からより遠い後端面と、前記基板の上面からより遠い上面とを有し、
前記後端面は、前記第1および第2の反射面に接し、
前記導波路の上方から到来する前記光は、前記導波路の上面から前記導波路内に入射した後、前記第1および第2の反射面で反射されることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項10】
更に、前記内部ミラーで反射される前記光を出射するレーザダイオードを備えたことを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項11】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
内部ミラーと、
上面を有する基板とを備え、
前記基板の上面の上方に、前記磁極、導波路、近接場光発生素子および内部ミラーが配置され、
前記内部ミラーは、1つ以上の層を含む反射膜支持体と、前記反射膜支持体によって支持された反射膜とを有し、前記導波路の上方から到来する光を、前記導波路内を前記媒体対向面に向けて進行するように反射する熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法であって、
前記磁極を形成する工程と、
前記内部ミラーを形成する工程と、
前記導波路を形成する工程と、
前記近接場光発生素子を形成する工程とを備え、
前記内部ミラーを形成する工程は、前記反射膜支持体を形成する工程と、前記反射膜を形成する工程とを含み、
前記反射膜支持体は、それぞれ前端と後端とを有する第1および第2の傾斜面を含み、
前記第1の傾斜面の後端は、前記第1の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の傾斜面の前端は、前記第1の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の傾斜面の後端は、前記第1の傾斜面の後端および前記第2の傾斜面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記反射膜支持体を形成する工程は、
後に第1および第2の傾斜面が形成されることにより前記反射膜支持体となる初期支持体を形成する工程と、
前記初期支持体に前記第1および第2の傾斜面が形成されて、前記初期支持体が前記反射膜支持体となるように、前記初期支持体をエッチングする工程とを備え、
前記初期支持体をエッチングする工程は、
前記初期支持体のうち、前記基板の上面に垂直な方向から見たときに後に前記第1の傾斜面が形成される領域を除いた一部を覆う第1のエッチングマスクを形成する工程と、
前記第1のエッチングマスクを用いて、反応性イオンエッチングによって、前記初期支持体をテーパーエッチングする第1のエッチング工程と、
前記第1のエッチングマスクを除去する工程と、
前記初期支持体のうち、前記基板の上面に垂直な方向から見たときに後に前記第1および第2の傾斜面が形成される領域を除いた一部を覆う第2のエッチングマスクを形成する工程と、
前記第2のエッチングマスクを用いて、反応性イオンエッチングによって、前記初期支持体をテーパーエッチングする第2のエッチング工程と、
前記第2のエッチングマスクを除去する工程とを含み、
前記第2のエッチング工程の後で前記第1および第2の傾斜面が完成して、前記初期支持体が前記反射膜支持体となり、
前記反射膜は、前記第1の傾斜面の上に配置された第1の部分と、前記第2の傾斜面の上に配置された第2の部分とを有し、前記第1の部分は第1の反射面を含み、前記第2の部分は第2の反射面を含むことを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面を含む仮想の平面に対して、前記第1の傾斜面に垂直な方向にずれており、
前記第1および第2の反射面は、それぞれ前端と後端とを有し、
前記第1の反射面の後端は、前記第1の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面の前端は、前記第1の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面の後端は、前記第1の反射面の後端および前記第2の反射面の前端に対して前記媒体対向面から遠く且つ前記基板の上面から遠い位置にあり、
前記第2の反射面は、前記第1の反射面を含む仮想の平面に対して、前記第1の反射面に垂直な方向にずれていることを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記第1および第2の反射面は、いずれも、前記基板の上面に垂直な方向に対して45°の角度をなしていることを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記初期支持体はアルミナによって形成され、前記第1および第2のエッチング工程は、BClおよびClと、NまたはCFとを含むエッチングガスを用いることを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記第1のエッチング工程では、前記初期支持体に、前記基板の上面に垂直な方向に対して傾いた初期傾斜面が形成され、
前記第2のエッチング工程では、前記初期支持体のうち、前記初期傾斜面の下の部分がエッチングされて前記第1の傾斜面が形成されると共に、前記初期支持体のうち、第1のエッチング工程においてエッチングされなかった部分がエッチングされて前記2の傾斜面が形成されることを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記第1および第2のエッチングマスクは、それぞれ前記媒体対向面により近い側面を有し、
前記第2のエッチングマスクの側面は、前記第1のエッチングマスクの側面が配置される位置に対して、前記第2のエッチング工程によるエッチング深さの0.8〜1.2倍だけ前記媒体対向面から遠い位置に配置されることを特徴とする請求項15記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記反射膜は、更に、前記第1の部分と第2の部分を連結する連結部を有し、前記連結部は、前記第1の反射面と第2の反射面を連結する連結面を含むことを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記連結面が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1および第2の反射面の各々が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも大きいことを特徴とする請求項17記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記連結面が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1および第2の反射面の各々が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項17記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記反射膜支持体は、前記第1の傾斜面を有する第1層と、前記第2の傾斜面を有する第2層とを含み、
前記初期支持体を形成する工程は、前記第1のエッチングマスクを形成する工程の前に、後に前記第1の傾斜面が形成されることにより前記第1層となる初期第1層を形成する工程と、前記第1のエッチングマスクを除去する工程と第2のエッチングマスクを形成する工程の間において、後に前記第2の傾斜面が形成されることにより前記第2層となる初期第2層を形成する工程とを含み、
前記第1のエッチングマスクは、前記初期第1層の上に形成され、
前記第1のエッチング工程は、前記初期第1層をテーパーエッチングして、前記第1の傾斜面を形成し、
前記第2のエッチングマスクは、前記初期第2層の上に形成され、
前記第2のエッチング工程は、前記初期第2層をテーパーエッチングして、前記第2の傾斜面を形成することを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−134428(P2011−134428A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161422(P2010−161422)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】