説明

内部器官の振動治療のための非侵襲的装置および方法

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【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先権
この出願は、2004年8月18日に出願されて米国仮出願番号60/602,495が付与された米国仮出願に基づく優先権を主張しており、その仮出願の全内容は参照としてここに組み込まれている。
【0002】
背景
1.技術分野
本開示は医学治療手順に関連する。より具体的には、本開示は内部器官の治療のための非侵襲的装置および方法に関連する。
【0003】
2.関連技術の記載
姿勢不安定の治療のために共鳴振動を用いる方法が米国特許6,607,497B2号に記載されている。その方法は、(a)非硬直的に支持された台を有する振動テーブルを用意するステップと、(b)所定の時間、その非硬直的に支持された台上に患者を休ませるステップと、(c)所定の治療期間にわたってステップ(a)および(b)を繰り返すステップとを含む。ステップ(b)は、(b1)振動測定装置を用いて患者の筋骨格系の振動反応を測定するステップと、(b2)その振動反応の周波数分解を行い、振動反応を定量化して特定振動スペクトルとするステップと、(b3)その振動スペクトルを分析して、少なくとも姿勢安定性を評価するステップとを含む。
【0004】
米国特許6,607,497B2号に記載されている方法では、外側面に取り付けられた少なくとも1つの加速度計を含む振動テーブルまたは不安定な立ち台の上に、患者を立たせることになる。次いで、患者は不安定な立ち台による振動刺激に曝される。不安定な立ち台は、患者の神経−感覚制御系の振動摂動を起こす。振動摂動は、少なくとも患者の一筋肉内で信号を発生させて、筋骨格系からの測定可能な反応を生成させる。これらのステップは、患者の姿勢安定性を改善するために、1日当たり約10分間行われ、所定の治療期間にわたって繰り返される。
【0005】
本開示は、米国特許6,607,497B2号の振動テーブルに類似した振動テーブルによって生成される共鳴振動または振動刺激を用いた、内部器官治療用の非侵襲的装置および方法を記載している。本開示では、内部器官の治療のために、少なくとも1つのエネルギー移送装置(たとえば、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハー)からのエネルギーを集中させる非侵襲的装置および方法も記載している。後者の非侵襲的装置および方法によって提供される振動治療は、前者の非侵襲的装置および方法によって提供される振動治療と共に、または、それとは別に、行うことができる。
【0006】
概要
本開示は、第1、第2および第3の実施形態による内部器官の振動治療用の非侵襲的装置および方法を記載している。各実施形態による装置および方法は、一般に、患者の内部器官の振動治療が有益な結果をもたらすであろうという判断に従って、採用される。内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろう一例は、嚢胞性線維症をもつ患者の治療である。たとえば、本発明の第1の実施形態の振動テーブルによって生成される共鳴振動または振動刺激は、嚢胞性線維症患者の肺中の痰を分解する。内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろう他の例は、腎臓および胆嚢結石の分解である。この場合、腎臓または胆嚢結石を分解するために、患者の腎臓または胆嚢が振動刺激の対象とされる。内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろうさらなる例は、小腸に炎症を起こす炎症性腸疾患であるクローン病をもつ患者の治療である。
【0007】
振動刺激は、第2の実施形態の少なくとも1つのエネルギー移送装置(たとえば、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハー)によっても提供することができる。第2の実施形態の少なくとも1つのエネルギー移送装置によって提供される振動治療は、第1の実施形態の振動テーブルによって提供される振動治療と共に(たとえば、振動に曝すステップと同時に)、または、それとは別に、行うことができる。
【0008】
具体的には、第1の実施形態による本開示は、内部器官の振動治療のための非侵襲的装置および方法に関連する。この装置は、患者が振動テーブル上に立っている間に少なくとも1つの患者の器官を振動刺激に曝すための、振動するように構成された振動テーブルを含んでいる。この振動テーブルは、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように、振動するのが好ましい。この共鳴振動は、その少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。
【0009】
第1の実施形態による方法は、(a)少なくとも1つの患者の器官を含めて、患者を、所定の時間、振動刺激に曝すステップと、(b)少なくとも1つの患者の器官を治療する所定の治療期間にわたって、ステップ(a)を繰り返すステップとを含んでいる。この方法は、さらに、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように振動し得る振動テーブルの上に、患者を立たせるステップを含む。この共鳴振動は、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。
【0010】
この方法は、また、少なくとも1つの患者の器官の治癒反応を評価し、所定の時間および所定の治療期間のうちの少なくとも一方を、結果に応じて調節するステップを含む。本開示の第1の実施形態による装置および方法では、振動刺激は、少なくとも1つの患者の器官への有益な治癒効果が生じるように、患者および少なくとも1つの患者の器官を揺動または振動させる。
【0011】
さらに、第2の実施形態による本開示は、内部器官の治療のために、少なくとも1つのエネルギー移送装置(たとえば、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハー)からのエネルギーを集中させる非侵襲的装置および方法に関連している。この非侵襲的装置および方法によって提供される振動治療は、第1の実施形態の非侵襲的装置および方法によって提供される振動治療と共に(たとえば、振動に曝すステップと同時に)、または、それとは別に、行うことができる。少なくとも1つのエネルギー移送装置は、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の波動を生成するのが好ましい。この波動は、少なくとも1つの患者の器官を振動的に治療するための非侵襲的装置により患者の胴に対して集中させられた振動エネルギーを伝える。
【0012】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態に関連して述べた、内部器官の治療のために、少なくとも1つのエネルギー移送装置(たとえば、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハー)からのエネルギーを集中させる非侵襲的装置および方法は、少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成される振動エネルギーに曝される間、患者が固定されないように、振動ベッド(すなわち、振動し得るベッド)に取り付けられていてもよい。
【0013】
第2および第3の実施形態の方法は、(a)少なくとも1つの患者の器官を含めて、患者を、所定の時間、少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成される振動エネルギーに曝すステップと、(b)その少なくとも1つの患者の器官を治療するための所定の治療期間にわたって、ステップ(a)を繰り返すステップとを含む。この方法は、さらに、少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成される振動エネルギーに患者を曝す間、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように振動し得る振動テーブルまたは振動ベッドの上に、患者を立たせ、または横たわらせるステップを含み得る。この共鳴振動は、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。あるいは、共鳴振動が、少なくとも1つの患者の器官に、異なる周波数の振動刺激を与える。
【0014】
この方法は、また、少なくとも1つの患者の器官の治癒反応を評価し、所定の時間および所定の治療期間のうちの少なくとも一方を、結果に応じて調節するステップを含む。本開示の第2の実施形態による非侵襲的装置および方法では、振動刺激は、少なくとも1つの患者の器官への有益な治癒効果が生じるように、患者および少なくとも1つの患者の器官を揺動または振動させる。
【0015】
好ましい実施形態の詳細な説明
本開示は、内部器官の振動治療のための、第1および第2の実施形態による非侵襲的装置および方法を記載する。第1および第2の実施形態による装置および方法は、一般に、振動治療が患者の内部器官に有益な結果をもたらすであろうという判断に従って採用される。
【0016】
患者の内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろう一例は、嚢胞性線維症をもつ患者の治療である。第1の実施形態の装置の振動テーブルによって生成される共鳴振動または振動刺激、および/または、第2の実施形態の少なくとも1つのエネルギー移送装置(たとえば、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハー)によって生成され、患者の肺に集中させられる振動エネルギーは、嚢胞性線維症患者の肺中の痰を分解する。内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろう他の例は、腎臓および胆嚢結石の分解である。この場合、腎臓または胆嚢結石を分解するために、患者の腎臓または胆嚢が、振動刺激および/または少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成される振動エネルギーの対象とされる。内部器官の振動治療に正当な理由があるといえるであろうさらなる例は、小腸に炎症を起こす炎症性腸疾患であるクローン病をもつ患者の治療である。
【0017】
図1に第1の実施形態による本開示の模範的な装置を示し、参照符号100で表す。装置100は、患者がその上に立っている間に少なくとも1つの患者の器官を振動刺激に曝すために、振動するように構成された振動テーブル102を含む。振動テーブル102は、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように、振動するのが好ましい。この共鳴振動は、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。振動テーブル102は、制御された周波数でテーブル102を振動させるばね支持体を有しモーター駆動されるばねシステムを含む。
【0018】
振動テーブル102は、その上に立っている患者に、垂直方向の振動を与える。振動治療は、1またはそれ以上のパラメータに基づき、所定の周波数で所定の時間、所定の治療期間にわたって行うのが好ましい。そのパラメータには、患者のどの器官が振動治療を必要としているか、患者に関する要素(年齢、性別、体重、姿勢安定性等)、患者に何らかの異状があるか、および/または、患者の状態、および/または、振動治療を必要とする器官が含まれる。一般に、所定の周波数は30Hz、所定の時間は10分、所定の治療期間は約4週である。
【0019】
図1は、本開示による治療方法を受けている患者を示している。患者は振動テーブル102の上に立っている。テーブル102によって所定の時間、たとえば10分間生成される振動は、患者の体を通じて振動治療を必要とする少なくとも1つの患者の器官に伝えられる。振動は、振動テーブル102の立ち台106の下に位置しこれに取り付けられた、モーター駆動されるばね機構104によって生成される。振動は、立ち台106の下方に取り付けられ、その上に立ち台106が乗せられた、非モーター駆動の複数のばねまたはコイルによって生成してもよい。
【0020】
振動テーブル102によって与えられる周波数は、30〜90Hzの間の範囲であり、ピーク振幅は0.04〜0.4gの間である。好ましくは、振動テーブル102の周波数は約30Hz、ピーク振幅は0.2gである。振動波形は正弦波であるのが好ましいが、他の波形であってもよい。
【0021】
参照としてその内容をここに組み込む米国特許6,607,497B2号の記載と同様に、振動テーブル102には、少なくとも1つの低質量の加速度計108が、立ち台106の外側面110に取り付けられている。加速度計108は、本開示による振動治療を少なくとも1つの患者の器官に施している間に、米国特許6,607,497B2号に記載されている方法により、患者の筋骨格系の振動反応を測定して、同時に患者の姿勢安定性を判断することが望まれるときに、それを行うために用いられる。
【0022】
米国特許6,607,497B2号に記載されているように、振動反応は、ケーブル114により電気的に加速度計108に接続されているスペクトル分析器/コンピュータ112によって測定され、記録される。加速度計の振動反応データは、姿勢の揺らぎについての情報を抽出するために分析される。加速度計108は、人が好ましくはロンバーグ位置(両足を肩幅の間隔に広げ、両手を体側に置き、両目を開く)で、好ましくは10〜100秒間立っている間に、その人の自然の揺らぎパターンを記録するのが好ましい。加速度計108を患者に取り付ければ、患者の神経−筋の状態に何らかの改善が見られるかどうかを判断するために、筋骨格系および筋から骨への刺激についての情報も分析し、抽出することができる。
【0023】
第1の実施形態による本開示の方法は、(a)少なくとも1つの患者の器官を含めて、患者を、所定の時間、振動刺激に曝すステップと、(b)少なくとも1つの患者の器官を治療する所定の治療期間にわたって、ステップ(a)を繰り返すステップとを含む。この方法は、さらに、1Hz〜500Hzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように振動し得る振動テーブルの上に、患者を立たせるステップを含む。概して、共鳴振動は、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。この方法は、また、少なくとも1つの患者の器官の治癒反応を評価するステップを含む。
【0024】
所定の時間は約10分、所定の治療期間は少なくとも4週であることが好ましい。第1の実施形態による本開示の装置および方法では、振動刺激は、有益な治癒効果が生じるような振動周波数で、少なくとも1つの患者の器官を揺動または振動させる。
【0025】
図2に、本開示の第1の実施形態による少なくとも1つの患者の器官の治療のための振動治療方法の流れ図を示す。ステップ1では、患者が図1に示した立ち台106のような立ち台の上に立つ。この立ち台は、外側面に取り付けられた少なくとも1つの加速度計を含んでいてもよい。ステップ2では、患者は立ち台106により振動刺激に曝される。ステップ3では、振動刺激または摂動が少なくとも1つの患者の器官内に信号を発生させる。その信号は、公知技術である電気的受容器116(図1参照)によって取り出されるのが好ましい。電気的受容器は、その少なくとも1つの患者の器官の近くの患者の皮膚に取り付けられる。
【0026】
患者は所定の時間、たとえば10分間、立ち台の上に立ち、立ち台106は約30Hz、0.2gのピーク間振幅で振動されるのが好ましい。
【0027】
ステップ4は、器官の振動を記録するための電気的受容器によって取り出された信号を測定し記録すること、および、少なくとも1つの患者の器官の振動周波数を判断することを表している。その後、ステップ5で、少なくとも1つの患者の器官の振動周波数が有益な治癒効果を生じさせる所定の範囲内にあるかどうかが判断される。この判断は、少なくとも1つの患者の器官の振動周波数と、年齢、性別、体寸法、治療中の器官等の特徴が患者に類似している人について得たデータなどのデータとの、相関を調べることによって行う。その判断に基づき、立ち台106の振動周波数を結果に応じて調節し、または、一定に保つ。
【0028】
ステップ6では、少なくとも1つの患者の器官の治癒反応を評価し、その少なくとも1つの患者の器官の状態が改善され、異常および/または症状(腎臓結石、肺の痰等)が消散しているかどうかを判断する。ステップ5および6は、少なくとも1つの患者の器官の振動周波数の相関を調べるため、および、治癒反応を評価するために、データベースおよび/またはルックアップテーブルなどのデータ構造体に蓄えられているデータにアクセスするための専用プログラムが動作するコンピュータを用いて行うのが好ましい。
【0029】
ステップ7では、ステップ1〜6を繰り返し、患者は所定の治療期間にわたって治療を受けることになる。治療期間は少なくとも4週が好ましいが、ステップ6での評価に応じて調節することができる。さらに、所定の時間、つまり、各回の治療において患者が立ち台に立っている時間は、ステップ6での治癒反応の評価に応じて調節することができる。
【0030】
第2の実施形態による本開示の模範的な装置を図3に示し、参照符号300で表す。装置300は、患者が、少なくとも1つの内部器官の治療のために、本開示の第1の実施形態で説明した装置100の振動テーブル102を用いる振動治療を受けている間に、同時に、その少なくとも1つの内部器官を振動治療するための振動エネルギーを生成して患者の胴に向かわせる。このため装置300は患者に取り付けられる。しかしながら、装置300は、患者の少なくとも1つの内部器官の振動治療のための装置100とは別に、独立して使用することも可能である。
【0031】
装置300は、少なくとも1つのエネルギー移送装置302を含む。この少なくとも1つのエネルギー移送装置302は、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハーから成るグループの中から選んでもよいし、それらの組み合わせであってもよい。エネルギー移送装置302は、ストラップ304を用いて患者に取り付けられ、エネルギー移送装置302を電源に接続するためのコード306を含む。
【0032】
振動治療の間、エネルギー移送装置302は、本開示の第2の実施形態の方法による振動治療を必要とする少なくとも1つの内部器官に対して集中する振動エネルギーを生成する。この少なくとも1つのエネルギー移送装置302は、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の波動を生成する。この波動は、上述の共鳴振動のように、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。
【0033】
第1の実施形態の方法と同様に、少なくとも1つのエネルギー移送装置302を用いる振動治療は、1またはそれ以上のパラメータに基づき、所定の周波数で所定の時間、所定の治療期間にわたって行うのが好ましい。そのパラメータには、患者のどの器官が振動治療を必要としているか、患者に関する要素(年齢、性別、体重、姿勢安定性等)、患者に何らかの異状があるか、および/または、患者の状態、および/または、振動治療を必要とする器官が含まれる。一般に、所定の周波数は30Hz、所定の時間は10分、所定の治療期間は約4週である。
【0034】
少なくとも1つのエネルギー移送装置302は、少なくとも1つの内部器官の振動治療に用いる低周波の波動を生成するために、圧電変換器を含むのが好ましい。好ましい実施形態では、その技術分野で低周波の波動の生成を容易にするとして知られているように、非線形パラメータの音響効果を利用した圧電変換器が用いられる。この種の圧電変換器は、伝達媒体の非線形特性を利用するものである。
【0035】
2番目の好ましい実施形態では、低周波の波動を生成するために、多孔質セラミック技術を用いて作成した圧電変換器が使用される。この種の圧電変換器は、その変換器の作成に用いる材料の本質的特性を利用するものである。
【0036】
図4に示すように、第2の実施形態による本開示の方法は、(a)少なくとも1つの患者の器官をもつ患者を、所定の時間、少なくとも1つのエネルギー移送装置302により生成された振動エネルギーに曝すステップ(ステップ400)と、(b)少なくとも1つの患者の器官を治療する所定の治療期間にわたって、ステップ(a)を繰り返すステップ(ステップ402)とを含む。この方法は、さらに、少なくとも1つのエネルギー移送装置302により生成された振動エネルギーに患者を曝しながら、1Hz〜100KHz、より好ましくは1Hz〜10KHzの範囲の周波数の共鳴振動を生成するように振動し得る振動テーブル102の上に、患者を立たせるステップを含み得る。この共鳴振動は、少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数の振動刺激を与える。
【0037】
この方法は、また、少なくとも1つの患者の器官の治癒反応を評価し、所定の時間および所定の治療期間のうちの少なくとも一方を、結果に応じて調節するステップ(ステップ404)を含む。本開示の第2の実施形態による装置および方法では、振動エネルギーにより与えられる振動刺激は、少なくとも1つの患者の器官への有益な治癒効果が生じるように、患者および少なくとも1つの患者の器官を揺動または振動させる。
【0038】
第3の実施形態による本開示の装置を図5に示し、参照符号500で表す。装置500は装置300に類似しており、構成および/または動作の差異を特定するために必要な範囲でのみ詳細に説明する。この具体的な実施形態では、患者が振動ベッド501の上に横たわっている間に、少なくとも1つの内部器官の振動治療のための振動エネルギーを生成して患者の胴に向かわせるために、装置500は患者に取り付けられている。
【0039】
装置500は、少なくとも1つのエネルギー移送装置502を含む。この少なくとも1つのエネルギー移送装置502は、スピーカー、空気移送装置(ブロワーおよびファン)、ならびにサブウーハーから成るグループの中から選んでもよいし、それらの組み合わせであってもよい。エネルギー移送装置502は、図3のエネルギー移送装置302と実質的に類似している。エネルギー移送装置502は、ストラップ504を用いて患者に取り付けられ、エネルギー移送装置502を電源に接続するためのコード506を含む。
【0040】
エネルギー移送装置502は、治療しようとする器官の近くに位置する複数のスピーカーを含むのが好ましい。複数のスピーカーは、第2の実施形態に関して述べた方法で低周波の波動を生成してもよい。さらに、各スピーカーは、他方のスピーカーによって生成される波動の振動数とは異なる振動数を有する波動を生成するように構成してもよい。したがって、周波数の異なる波動によって生成される振動刺激に器官を曝すことができる。たとえば、嚢胞性線維症をもつ患者を治療する間、患者の第1の肺葉は3.4Hzの周波数の波動によって振動され、第2の肺葉は4.3Hzの周波数の波動によって振動される。両肺葉はそれぞれに合った共鳴周波数で振動させるのが好ましい。
【0041】
さらに、第1の実施形態に関して述べた配置に類似の配置として、患者が同時に、少なくとも1つの内部器官の治療のために、振動ベッド501を用いた振動治療を受けるようにしてもよい。振動ベッド501は、患者が振動ベッド501の上に横たわっている間に、少なくとも1つの患者の器官を振動刺激に曝すように振動する構成してもよい。振動ベッド501は、制御された周波数でベッドを振動させるばね支持体を有しモーター駆動されるばねシステムを含む。振動は、ベッド表面501の下に位置しこれに取り付けられた、モーター駆動されるばね機構510によって生成される。前述の方法を用いて、同時に、患者の筋骨格系の振動反応を測定して姿勢安定性を判断するために、加速度計508が使用される。
【0042】
前述のように、振動反応はケーブル514によって加速度計508に電気的に接続されたスペクトル分析器/コンピュータ512によって測定され、記録される。
【0043】
第3の実施形態による本開示は、第1および第2の実施形態に関して述べた方法で共鳴振動を生成するために振動し得る振動ベッド500の上に、患者が横たわることを除き、図4の全てのステップを含む。
【0044】
本開示の方法は、米国特許6,607,497B2号に記載されている方法と同様に、立ち台に患者が座っている間にも実施することができる。よって、他の治療方法が身体的能力を超えてしまう虚弱な年輩者の治療においても使用可能である。
【0045】
本開示の方法が提供する有利な点は、患者は練習や学習をほとんどまたは全くしなくてよいこと、各方法で使用する装置は廉価に製造でき、また、小型であるため収納や使用に便利であること、立ち台の振動負荷の周波数が容易に調節でき、患者の特定の器官、たとえば腎臓、肺、胆嚢、心臓、胃、小腸などに集中した治療を行うことができること、立ち台の振動負荷の振幅が0.05gから0.5gまで容易に制御できること、有意な効果を得るために必要な治療時間が短くてすむ(1日あたり10分)こと、第1の実施形態の方法は、患者の器官の治療中に姿勢安定性を維持する効果を有し、週1回または週2回の治療だけで改善された姿勢安定性を維持することができこと、米国特許6,607,497B2号に記載されている方法を用いる治療の間に、姿勢安定性をリアルタイムで監視する能力を有すること、これらの方法は、患者が立っている、または座っている間に適用することができること、これらの方法は、外科的治療を含む他の治療が身体的能力を超えてしまう虚弱な年輩者の治療にも採用可能であること、である。
【0046】
第1、第2および第3の実施形態の方法は、少なくとも1つの患者の器官を振動させるための基本的な摂動手段として、それぞれ振動台または振動ベッドと少なくとも1つのエネルギー移送装置を利用しているが、本開示の第1、第2および第3の実施形態の方法に従って少なくとも1つの患者の器官を振動的に治療するのに必要な振動刺激を提供するためには、他のあらゆる装置または方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本開示の第1の実施形態の振動台を、器官の治療のために振動治療を受けている患者と共に示す等角図である。
【図2】本開示の第1の実施形態の方法による振動刺激を用いた患者の器官治療のためのステップを示す流れ図である。
【図3】本開示の第2の実施形態による方法の少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成され、器官に対して集中させられた振動エネルギーを受けながら、図1に示した振動台の上に立って器官の治療のために図2に示した振動治療を受けている患者を示す等角図である。
【図4】本開示の第2の実施形態による方法の少なくとも1つのエネルギー移送装置によって生成された振動エネルギーと組み合わせて振動刺激を用いる、患者の器官の治療のためのステップを示す流れ図である。
【図5】振動ベッドすなわち振動し得るベッドに横たわっている患者を示す等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体の内部器官を振動治療するための装置であって、
患者の体を支持するように構成された台を含み、少なくとも1つの患者の器官を振動刺激に曝すように構成された振動テーブルと、
動作可能に振動テーブルに接続され、前記少なくとも1つの患者の器官に振動刺激を提供するために、所定の周波数で振動テーブルに振動力を与えるように構成されたばね機構と、
患者に装着するための少なくとも1つのストラップを有し、振動エネルギーを生成して少なくとも1つの内部器官に与えるエネルギー移送装置とを含む、患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項2】
所定の周波数は約1Hz〜約100KHzの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項3】
所定の周波数は約1Hz〜約10KHzの範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項4】
振動テーブルは、ばね機構から与えられる振動力を、前記少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数で与えることを特徴とする、請求項2に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項5】
振動テーブルは垂直方向の振動を患者に与えることを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項6】
振動力は約0.04g〜約0.4gの範囲のピーク振幅を有することを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項7】
ピーク振幅は約0.2gであることを特徴とする、請求項6に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項8】
振動力は少なくとも1つの治療パラメータに従って与えられることを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項9】
治療パラメータは、年齢、性別、体重、姿勢安定性、およびこれらの組み合わせから成るグループの中から選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項10】
エネルギー移送装置は、スピーカー、空気移送装置、サブウーハー、およびこれらの組み合わせから成るグループの中から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項11】
エネルギー移送装置は少なくとも1つの圧電変換器を含むことを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項12】
エネルギー移送装置によって生成される振動エネルギーは、約1Hz〜約100KHzの範囲の周波数を有することを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項13】
周波数は約1Hz〜約10KHzの範囲であることを特徴とする、請求項12に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項14】
エネルギー移送装置は、振動エネルギーを、前記少なくとも1つの患者の器官に、実質的に同じ周波数で与えることを特徴とする、請求項12に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項15】
さらに、振動テーブルに取り付けられ、患者の筋骨格系の振動反応を測定するために適応された加速度計を含むことを特徴とする、請求項1に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項16】
さらに、加速度計の反応データを分析するために加速度計に操作可能に接続されたスペクトル分析器を含むことを特徴とする、請求項15に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項17】
前記反応データは、姿勢の揺動、筋力および筋骨刺激から成るグループの中から選ばれることを特徴とする、請求項16に記載の患者の体の内部器官を振動治療するための装置。
【請求項18】
内部器官の振動治療を提供するシステムであって
少なくとも1つの患者の器官を振動刺激に曝すように構成され、さらに患者の体を支持するように構成された振動テーブルと、動作可能に振動テーブルに接続され、前記少なくとも1つの患者の器官に振動刺激を提供するために、振動テーブルに振動力を与えるばね機構と、振動エネルギーを生成して少なくとも1つの内部器官に与えるエネルギー移送装置とを含む、少なくとも1つの装置と通信可能な加速度計と、
加速度計と通信可能で、加速度計の反応データを分析するスペクトル分析器とを含む、内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項19】
エネルギー移送装置は少なくとも1つの圧電変換器を含むことを特徴とする、請求項18に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項20】
加速度計の反応データは、姿勢の揺動、筋力および筋骨刺激から成るグループの中から選ばれることを特徴とする、請求項18に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項21】
振動力は約1Hz〜約100KHzの範囲内の所定の周波数を有することを特徴とする、請求項18に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項22】
振動力は約0.04g〜約0.4gの範囲内のピーク振幅を有することを特徴とする、請求項18に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項23】
振動力は少なくとも1つの治療パラメータに従って与えられることを特徴とする、請求項18に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。
【請求項24】
治療パラメータは、年齢、性別、体重、姿勢安定性、およびこれらの組み合わせから成るグループの中から選ばれることを特徴とする、請求項23に記載の内部器官の振動治療を提供するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−535069(P2009−535069A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541520(P2006−541520)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029717
【国際公開番号】WO2006/023817
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506092754)ジュベント,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】JUVENT,INC.
【住所又は居所原語表記】300 Atrium Drive,Somerset,New Jersey,The United States of America
【Fターム(参考)】