説明

内部循環を伴う混合容器装置

本発明は、使用者が混合容器内で可溶の粉体や高粘度流体を効率的に混合することを可能にする、内部循環機能を有する混合容器装置である。この装置は、バッフルを備える特別のバッグを利用し、よい混合性能を有する混合システムを使用者に提供する。さらに、この装置は、混合装置容器がその気密を完全を保持することを可能にし、数百リットルまで容易に装置を規模拡大する場合でも何れの形式のシールをも必要としない。したがって、本願発明は、効率的でよい混合性能を提供する混合容器中での、可溶の粉体あるいは粘性液体を混合する単純な方法を使用者に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医薬品とバイオテクノロジーの加工産業で使用される製品を収容する密封されているバッグに係り、特に、そのような製品を密封されているバッグ内でそのまま混合するバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2007年9月26日に出願された米国仮特許出願第60/975,206に基づき優先権を主張し、その開示内容は全体としてここに組み入れられる。
バイオ加工産業は、発酵や細胞培養用の製造工程において、伝統的にステンレス鋼のシステムおよび配管を使用していた。これらの装置は、蒸気殺菌され再使用されるように設計されていた。しかし、洗浄と殺菌は高価な労働集約型の作業である。さらに、必要不可欠な配管および設備を備えるこれらの従来のシステムの設置コストは、多くの場合ひどく高価である。更に、これらのシステムは一般的に、特定のプロセスのために設計されており、新しい用途のために容易に再構成することができない。これらの制限は、過去10年にわたって新しいアプローチの採用につながっており、それは通常のステンレス鋼タンクに代えて、プラスチックで1回使用の使い捨てのバッグおよび配管を使用することである。
【0003】
特定のバイオリアクターにおいて、伝統的なステンレス鋼で製造されたものは、細胞培養に必要な曝気および混合を提供するために揺動される使い捨てバッグによって、多くの用途で置き換えられている。これらの使い捨てバッグは一般的に殺菌され、費用と時間のかかる洗浄と殺菌の工程をなくすことができる。バッグは、作業中に無菌環境を維持するように設計され、これにより汚染の危険を最小限にする。
【0004】
殺菌された流体を収容しているバッグは、製剤、貯蔵、移送、加工および輸送のために、バイオ加工産業の中で使用される。滅菌状態は、これらの作業中に維持されなければならず、また、バッグは汚染を防ぐために通常密封されている。一般に使用されるバッグは「枕スタイル」のものであり、これは主として、これらのバッグが柔軟な2枚のプラスチックシートをともに継ぎ合わせることにより、低価格で製造することができるからである。
【0005】
多くの用途において、バッグに収容されている成分は使用の前に混合されなければならない。例えば、製品は乾燥した粉体を流体の中へ混合することから製剤される。他の状況において、バッグに収容されている製品は輸送中または貯蔵中に分離してしまうため、使用の前に混合が必要となる。
【0006】
密封したバイオ処理バッグ内の製品を混合することができるいくつかの先行技術のシステムがある。1つの方法は、非侵襲的な波動撹拌を利用するものである。これを遂行するために、バイオ処理バッグは受け皿内に置かれ、単一の軸に関する制御された揺動運動が与えられる。この揺動運動は、液体が一様に混合されるまで、バッグの中であちこちに液体を移動させる。第2の方法は、一体化されたループ状配管を備えるバッグであって、蠕動ポンプを使用して物質をバッグから取り出し、その後バッグに戻すようなバッグを利用するものである。チューブによる流体の循環は、ゆっくりとバッグの内容物を混合する。第3の方法は、バッグ内に置かれ回転駆動手段に磁気的に連結される使い捨ての撹拌棒を利用するものである。別の方法は、混合を促進するためにバッグを連続して圧迫するか波打たせることである。最後の方法は、小さなバッグだけに使用することができるものであり、バッグとその内容物に高いせん断力と圧力を掛けるものであるが、バッグに損害や漏れを生じさせてしまう。
【0007】
揺動作用混合装置は、典型的には小さな容積で最良に作動し、広く使用されている低コストの解決手段である。しかしながら、それは、溶けにくい粉体の溶解や高粘性流体の混合のような困難な混合状況では、しばしば不十分であることが判明している。さらに、揺動バッグでは大容積を混合するのは困難である。ループのまわりにポンプを備えたバッグは、大量の固体を迅速に溶かすのには役立たず、流体がループをまわってポンプを多数回通って高い速度で循環すると、製薬の作業において共通する、せん断に対して敏感な材料を損傷させる流体せん断を及ぼしてしまう。バッグ中での磁気撹拌棒の使用は、一般に一回使用の後に撹拌棒を廃棄しなければならないので、非常に高価である。撹拌棒混合機を備えたバッグは、数百リットルを越えて拡大することが容易にはできず、この方法の一般的な適用可能性を制限している。
【0008】
したがって、使用者が可溶の粉体あるいは非常に高粘度の液体を効率的に混合することができる装置への要望がある。さらに、よい混合性能を持ち、効率的な混合システムを使用者に提供する必要がある。さらに、容易に数百リットルに規模拡大でき、いずれの形式のシールをも必要としない、気密状態を完全に確保できる混合システムの必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、前述の背景技術に鑑みてなされたものであり、本願発明の目的は、使用者が可溶の粉体や高粘度液体を容器中で効率的に混合することを可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
容器の単一軸に関して容器を揺動させる混合機のための容器は、側部壁および端部壁によって連結された上部壁と底部壁の部分を有するチャンバを形成するために連結された可撓性材料の上部壁と底部壁を備えている。バッフルが、側部壁と端部壁の結合部で上部壁と底部壁に接続され、容器が単一軸に関して揺動する場合に、チャンバ内の液体が渦巻き運動を引き起こすように、単一軸を横切っている。
【0011】
バッフルの各々は、容器が単一軸に関して揺動する場合に、チャンバ内の液体に渦巻き運動を引き起こすように、側部壁と端部壁の傾斜した連結部に位置している。第1対の対向する結合部は鈍角であり、また、第2対の対向する結合部は鋭角である。代替的に、バッフルの各々は側部壁と端部壁とを接合するチャンバの円弧状壁を備えてもよい。他の代替案としては、バッフルの各々は、側部壁および端部壁の両方を接続し、これらを傾斜させる直線状の壁を備えていてもよい。
【0012】
容器の上部壁と底部壁は共に継ぎ合わされ、上部壁と底部壁の部分はチャンバの側部壁を形成する。単一軸を横切る端部壁は、バッフルを画成するように上部壁、底部壁および側部壁に継ぎ合わされるパネルである。バッフルは、側部壁と端部壁から置き換えられる。
【0013】
第1対のバッフルは第1の長さを有し、第2対の対向するバッフルは揺動の間に単一方向の渦巻きを生成するように、第1の長さより短い第2の長さを有している。あるいは、バッフルは各々、揺動の間2つの渦巻きパターンを生成するように、端部壁の長さよりも実質的に短い長さを有してもよい。
【0014】
混合機は、単一の軸に関してベースに対して揺動可能に取り付けられている支持体と、支持体を単一軸に関して揺動させるための支持体に接続された駆動手段を備えている。容器は側部壁と端部壁によって連結された上部壁と底部壁と、側部壁と端部壁の結合部で上部壁と底部壁に接続されたバッフルとを備えている。バッフルは、容器が単一軸に関して揺動する場合に、チャンバ内の液体に渦巻き運動を引き起こすように、単一軸を横切っている。クランプは、容器を支持体上に固定する。容器は、上述した容器の構造を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術に係る枕形式の二次元状バッグ構造の斜視図を示す。
【図2】従来技術に基づいた揺動プラットホームに固定された図1のバッグの斜視図を示す。
【図3】先行技術に基づく単一軸揺動により得られた図1のバッグの液体の流れパターンを示す。
【図4】本願発明の第1の実施形態によるバッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する単一の液体流れパターンを示す。
【図5】本願発明の第2の実施形態によるバッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する単一の液体流れパターンを示す。
【図6】本願発明の第3の実施形態によるバッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する二つの液体流れパターンを示す。
【図7】本願発明の第4の実施形態による、バッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する液体流れパターンを示す。
【図8】本願発明の第5の実施形態による、直線状のバッフルでバッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する液体流れパターンを示す。
【図9】本願発明の第6の実施形態による、不等辺四辺形状にバッフルされたバッグおよび単一軸の揺動に起因する液体流れパターンを示す。
【図10】本願発明による内部流れ転換バッフルを備えた、別の実施形態を示す。
【図11】本願発明の別の実施形態による三次元のバッグ構造の斜視図を示す。
【図12】本願発明の一実施形態にかかる構造の詳細を示している、図11に示されている実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面と共に以下の説明を読めば、これらおよび本願発明の他の利点はより明白になるであろう。
本願発明の望ましい本実施形態は図面を参照しながら説明されるが、類似の構成要素は同じ数字で示されている。望ましい実施形態の説明は、例示であって発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0017】
図1に示されるような先行技術に係るバッグ20は、平坦で、長方形で、「枕型」の細胞培養バッグ20であり、揺動(振動)バイオリアクターの用途で一般的に使用されており、例えば、参考としてここに組み込まれている1998年8月12日に出願された「波誘発撹拌を用いる細胞培養方法」と題する米国特許第6,190,913号のシステムにおいて使用されている。バッグ20は、上側シート22を下側シート24へ一体的に継ぎ合わせる方法により形成されている。4つの縁部52,54,56および58すべてで、2枚のシート22,24をともに密閉することにより形成された輪郭が内部のチャンバの境界をつけ、その中に培養液32が収容されている。上側シート22上のポート26は、ガスの導入および排気に使用される。
【0018】
図2は、縁部52および54上にクランプ12を使用して、揺動するプラットホームの支持体10に固定されたバッグ20を示している。支持体10はベース14へ旋回(枢動)可能に取り付けられ、単一軸15に関して揺動する。揺動により引き起こされる流体の流れは、流線40として図3に記載されている。図示のように、揺動運動は主としてY軸(揺動軸15に垂直)に沿った流体運動40Aを生成する。X軸方向(揺動軸15と平行)のとても僅かな流体運動40Bが、実質的に直角の角部30−33で生成される。バッグ20の構造体の中で、混合バッグ20の内容物を均一に混合するためには、相当な時間がかかる。混合時間は揺動速度を増加させることにより短縮できるが、これはバッグに多くの応力を与えバッグの破損可能性に結びつき、さらに混合のためのエネルギー必要量を増大させてしまう。
【0019】
最初に図4に示される実施形態を参照すると、平坦な「枕型」の混合バッグ20Aは継ぎ目49によって結合され、成分を含み、その少なくとも1つは混合されるべき液体である。混合バッグ20A、バッグあるいは可撓性容器は、可動のすなわち揺動軸15に関して枢動する揺動プラットホーム10上に配置される。混合バッグ20Aの角部42Aの輪郭は、対角線上の反対の角部46Aと同じ態様で輪郭が形成され、これらの角部を形成する円弧は混合バッグ20Aの幅の1/4から1/2の範囲の半径を持つが、隣接する角部44Aとは異なっており、この角部44Aは輪郭が細胞培養バッグ20Aの幅の1/20から1/4の範囲の異なる円弧半径を持つ対角線上の反対の角部48Aと同じ態様で輪郭が形成されている。角部42Aと46Aはバッフル、すなわち側部壁52,54と端部壁56,58の接合部に形成された流れ方向付け手段である。これらのバッフルすなわち流れ方向付け手段は、上側シート22を下側シート24に接合することにより形成された液密継ぎ目49を液体が通り抜けることができず、輪郭に沿って液体がバッグ内を流れるように強制する。図4に示すように、角部は側部壁と端部壁との結合部を形成し、それは混合バッグが揺動した場合に、チャンバ内の液体の循環渦巻き運動を引き起こすように、単一の揺動軸に交差する。液体は、液体中で可溶の粉体、ともに混合あるいはブレンドされるように設計された低あるいは高粘度液体からなってもよい。バッグ20Aにおいて、接合部は傾斜していて円弧形である。傾斜した接合部は、90度余り(プラス)の鈍角を持ち、その一方で円弧形の接合部は90度未満の角度を持っている。
【0020】
混合バッグ20Aのこの非対称の効果は、それが支持体10を傾斜させることにより100の方へ傾斜するとともに、縁部54から縁部52への重力により液体が流れることである。液体が縁部52に接近するとともに、それは、角部42Aによって、混合バッグ20Aの中心の方へちょうど変向される。反対側の液体は、中心へ流れを変向するようには形作られていない角部44Aに向かって流れ込む。この流れ速度の不均衡は、強制的に左端壁58から右端壁56への流れを生み、右端からの流れは左端に入るのを抑制される。逆の行程(ストローク)においては、支持体100は101へ向かって傾き、そうすれば、混合バッグ20Aの中の液体は縁部52から縁部54の方へ流れる。角部46Aに入る液体は、角部46Aの形により容器20Aの中心に変向されるが、角部48Aに入る液体は中心の方へは変向されない。2回から5回の揺動行程の後には、バッグの中で反時計回りに循環する液体に流線40Cで示されるような自立運動が起こる。それはバッグが揺動する限り保持される。この自立運動は揺動運動が続く限り持続する。この循環運動は、前後運動に重ねあわせられ、先行技術の主な制限であった揺動軸15に平行な方向の混合に非常に有効である。循環する運動は、角部の幾何学形状の変更により時計回りの方向に容易に逆転させることができる。
【0021】
図5は、混合バッグ20Aよりも大きな循環を生む混合バッグ20Bを示す。これは、角部42Bおよび46Bの半径がそれらの対応する角部42Aおよび46Aよりも大きいからである(図4参照)。これらの角部の半径は、混合バッグ20Bの幅の1/2から2倍の範囲とすることができる。角部44Bおよび48Bはさらに、それらの対応する角部44Aおよび48Aより大きな半径(混合バッグの幅の1/4から1/2)を持っている(図4参照)。これらのより大きな半径円弧は、鋭い角部44Aおよび48Aによって引き起こされる乱流のうちのいくらかを縮小して、より多くの穏やかな流れパターンを提供する。これにより生じる循環は、40Dとして示される。隣接する角部のその非対称性が維持されることは重要である。例えば、図6に示される対称な混合バッグ20Cは、角部42Cから48Cにわたりよって小さな等しい円弧形状を持っている。結果として生じる循環40Eは、揺動軸15と平行な流動循環がわずかかあるいは全くない、先行技術と同様の前後運動である。
【0022】
流れの輪郭は、曲がった表面としてバッグ内で成形されるか、あるいはプラスチックの継ぎ目部によって作ることができる。輪郭は曲がった継ぎ目あるいは一連の直線継ぎ目部として製造される。継ぎ目は上側シートと下側シートとを共に溶接することにより作られる。様々な方法、例えば加熱密閉、超音波接合などが一般に使用される。直線の継ぎ目は、容易に加熱棒密閉機によって作ることができる。曲がった継ぎ目ははるかに困難であり、熱したプラテンを使用して一般的に作られる。これらは高価で、特定のバッグ寸法のために設計されている。レーザー法は、ソフトウェアを単に変更することによって、どんな形の継ぎ目、バッグの形状あるいは寸法であっても作ることができるという長所を有している。
【0023】
図7は一実施形態を示しており、ここで流れ変向輪郭すなわちバッフルは膨張可能なセグメント60および62であり、混合バッグ20Dと一体である。膨張式の玩具に使用されるような1つの単純な一方向弁が、膨張式のセグメントを膨張させるためにハンドポンプと共に使用される。これらのセグメントは膨張した場合に、流れ変向輪郭すなわちバッフルを形成する。生じる循環は40Fとして示されている。混合バッグ20Dの外側継ぎ目49は、角部42Dから48Dを形成する。上側シートが下側シートに接合された場合に、すべての継ぎ目が形成される。外側継ぎ目49は膨張式セグメント60および62の外壁を形成し、混合される液体および成分を含んでいる混合バッグ20Dの内部チャンバの部分52、54、56、58を画成している。継ぎ目51は、膨張式のセグメント60および62の内壁を画成する。膨張式セグメント60および62の内壁はバッフルを形成し、それはそれぞれの角部42Dおよび46Dから置き換えられる。
【0024】
バッグに曲がった継ぎ目を製造するのは困難であり、複雑な設備を必要とする。直線の継ぎ目は容易に市販の棒状加熱密閉機を使用して作ることができる。図8に示される実施形態は、循環流れを実現できる、直線あるいは線形の継ぎ目を使用して作られた混合バッグを示している。外側の継ぎ目49は、混合される液体および成分を含んでいる混合バッグ20Eの内部チャンバの部分52、54、56、58を形成する。継ぎ目51は、角部において線形部分としてバッフル72、74、76、78を画成し、それらは上部壁、底部壁、側部壁および端部壁に接続される。これらのバッフルは、一般的に揺動軸15に対して45度(30から60度までの角度は使用することができる)に向けられている。より長いバッフル42E、46Eは、バッグ20Eの側部の長さの1/4から1/3に及び、より短いバッフル44E,48Eは一般的に長いバッフルの長さの1/5から1/2である。非対称のバッフルにより生じる循環は40Gとして示されている。角部は除かれており、それらはバッフルを越えて延びている。また、継ぎ目49は、バッフルの接合部を超えて延びる必要は無く、内部の継ぎ目51は側部壁と端部壁まで及ぶ必要はない。
【0025】
図9に示される実施形態は、混合バッグ20Fの形を本質的に長方形の形態から不等辺四辺形の形状に変更することにより循環流れを実現する、直線あるいは線形の継ぎ目を使用して作られた混合バッグを示している。混合バッグ20Fの端部壁54および58は互いと平行であるが、側部壁52および56に垂直ではない。このことは、第1対の対向する接合部とバッフル42F,46Fが100から130度に及ぶ鈍角を作り、第2対の対向する接合部とバッフル42Fおよび46Fが対応する鋭角である。鈍角と鋭角とを設定することにより、自動的に平行四辺形としての形状を固定する。
【0026】
混合バッグ20Fが軸15に関して揺動する場合、流体は流れの流線40Hによって示される方向に循環し、混合バッグ20Fの内容物を効果的に混合する。
二次元状のバッグで、側部壁と端部壁の接合によって形成されたバッフルは、バッグが所定の液体レベルで膨張し、所望の循環量を生成するために揺動運動する場合、十分な高さを持たない場合がある。図10に示される実施形態は、バッフルが側部壁と端部壁の接合部から離れて移動した混合バッグ20Gを示している。バッフル82、84、86、88は、角部42G、44G、46G、48Gに隣接している。バッフルは、上部壁22、底部壁24、側部壁52、56および端部壁54G、58Gに接続されている。バッフルは、最初に上部壁と底部壁に接続され、次に、それらが上部壁と底部壁に形成すなわち接続された場合に側部壁および端部壁に接続される。
【0027】
混合バッグ20Gが図10において、各角部に形成された三角形のインサートを持つ折り込みのある三次元バッグとして示されているが、それは図11,12に関して議論され、バッフル 82、84、86、88は、前の図の二次元状バッグで使用される。バッフル 82、84、86、88の長さおよび配置は、上述した円弧状の角部と同様である。さらに、前の図のバッフル構造も三次元のバッグで形成される。
【0028】
二次元状のバッグ20に対する図2に示すように、折り目およびしわ90、91、92は、バッグ20の各角部30−33の上面22に、さらに各角部30−33の下側24に93、94が形成される。余剰材料が角部30−33に生じるが、それは膨張により拘束されていない端縁部56,58が引っ張られ、角部30−33を押し出すからである。この余剰材料は完全には膨張することができず、揺動の間にぱたぱたと動き、それは早い段階での疲労破壊に結びつく。バッグ20は膨張した場合に応力を受け、この応力は上部壁シート22および底部壁シート24を通してクランプされた縁部52および56に伝達される。応力は縁部52,56に沿って分配されるが角部30−33には分配されず、角部30−33に存在する余剰材料により支持体10へぴんと引っ張られることはない。従って、角部30−33で損傷が発生し、バッグは緊張や剛性が維持されない。
【0029】
図11は、側部壁52および56に折り込みとして端部壁54Hおよび58Hを形成することにより形成された、三次元の細胞培養バッグ20Hを示している。図12で示される分解組立図に示されるように、培養バッグ20Hは、複数の平坦な可撓性パネル22、24、54Hおよび58Hから形成される。この図は1つの方法を示しており、2枚の柔軟なシート22および24をともに継ぎ合わせて、2つの小さなパネル54Hおよび58Hに折りたたみ、培養バッグ20Hの内部容積に境界を付ける横断したあるいは曲がった継ぎ目によってそれらを閉鎖することによって、培養バッグ20Hが形成される。折り込まれた端部壁54H,58Hを上部壁シート22および下部壁シート24へ接合する継ぎ目49のセグメントは、図11におけるバッフルおよび図10にだけ示されている端部壁を形成するようにアーチ形である。上部壁シート22と下部壁シート24を連結する継ぎ目49のセグメントは、側部壁52および56を形成する。
【0030】
培養バッグ20Hが縁部52および56で拘束されて膨張した場合、上側シート22および下側シート24は折り込まれた端部壁54Hと58Hで離れることができる。培養バッグ20Hは、しわや折り目または余剰材料のない膨張した三次元形状に順応する。ここで角部100−103は、ぴんと引っ張られて、応力を培養バッグ20Hの高い点110および112からクランプされた縁部52および56へ分配する追加の構造要素を提供する。これらの縁部は、それらの全体長さに沿ってホルダー10へクランプされ、バッグが過剰膨張するのを抑制するための固定点を形成する。角部100−103は、さらに揺動中にバッグを支持するための強化構造として機能する。軸15に関して縁部56の方へ揺動すると、培養バッグ20Hは縁部52から引き上げられることになる。この動きは、培養バッグ20Hを押さえつけるための役目をする角部100および101によって抑えられる。バッグが縁部56の方へ滑るような更なる傾向は、角部100および101によって抑えられる。逆のストロークでは、同じ機能は角部102および103によって提供される。
【0031】
改善されたバッグ20は、成形された三次元構造になりえるか、あるいは柔軟なシートを継ぎ合わせることにより作り上げることができる。縁部と折り込み部は曲がった継ぎ目か、あるいはここに示されるような一連の直線継ぎ目セグメントとして製造される。
【0032】
この発明は、使用者が混合容器中の可溶の粉体あるいは高粘度液体を効率的に混合することを可能にする、内部循環を伴う混合容器装置を供給する。この装置は、バッフルを備える特別のバッグを利用し、よい混合性能を有する混合システムを使用者に提供する。さらに、この装置は、混合装置容器がその気密を完全に保持することを可能にし、数百リットルまで容易に装置を規模拡大する場合でも何れの形式のシールをも必要としない。したがって、本願発明は、効率的でよい混合性能を提供する混合容器中での、可溶の粉体あるいは粘性液体を混合する単純な方法を使用者に提供する。
【0033】
本願発明は、特定のバッグのような具体的実施形態の観点から説明されたが、添付の請求項によって定義される思想および範囲から逸脱することなく、その他多数の改変および変更が可能であることは当業者には自明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合容器装置であって、
可動軸に置かれたプラットホームと、
プラットホームに置かれた可撓性容器であって、複数の側部壁および複数の端部壁によって連結された上部壁と底部壁の部分を有するチャンバを形成するために共に接合された上部壁と底部壁を有する可撓性容器と、
複数の側部壁および軸と交差する複数の端部壁の結合部で上部壁と底部壁に接続された複数のバッフルであって、可撓性容器が可動軸に沿って動いた場合にチャンバ内の液体に渦巻き運動を引き起こすように構成された複数のバッフルとを備えた、混合容器装置。
【請求項2】
複数のバッフルの各々は、複数の側部壁と複数の端部壁との傾斜した結合部である、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項3】
可動軸は揺動軸である、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項4】
可動軸は単一の軸である、請求項3に記載の混合容器装置。
【請求項5】
可撓性容器は、液体を反時計回りの方角に循環させるように構成されている、請求項4に記載の混合容器装置。
【請求項6】
可撓性容器は、液体を時計回りの方角に循環させるように構成されている、請求項4に記載の混合容器装置。
【請求項7】
可撓性容器はバッグである、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項8】
第1対の複数のバッフルが第1の長さを有し、第2対の複数のバッフルが第1の長さより短い第2の長さを有し、複数のバッフルは揺動中に単一方向の渦巻きを生成するように構成されている、請求項3に記載の混合容器装置。
【請求項9】
可撓性容器は、長方形の形態を有している、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項10】
可撓性容器は、不等辺四辺形の形態を有している、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項11】
可撓性容器は、三次元構造体である、請求項1に記載の混合容器装置。
【請求項12】
混合装置であって、
単一の軸に関して枢動可能にベースに取り付けられた支持体であって、単一の軸に関して揺動するように構成された支持体と、
複数の側部壁と複数の端部壁によって連結された上部壁と底部壁を有するバッグと、複数の側部壁と単一軸に交差する複数の端部壁との結合部で上部壁と底部壁に接続される複数のバッフルとを備え、複数のバッフルは、容器が単一軸に関して揺動した場合にチャンバ内の液体に渦巻き運動を引き起こすように構成されたバッフルと、
容器を支持体上に固定するクランプと、を備えている混合装置。
【請求項13】
バッグは、共に継ぎ合わせられた可撓性シートである、請求項12に記載の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−540228(P2010−540228A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527019(P2010−527019)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076360
【国際公開番号】WO2009/042428
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(507169657)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・バイオプロセス・コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】