説明

内部照明式道路標識

【課題】光源を頻繁に交換する必要がなく、また、光源の一部が切れても、道路標示を明確に示すことのできる内部照明式道路標識を提供する。
【解決手段】道路標示を記載した繊維シート3で前面を形成した箱体2の内部に発光部4を配置し、内部から前記道路標示を照らし出す道路標識であって、前記発光部4を、縦長で、前記箱体2の左右方向に複数並べて配置した基板5と、前記基板5の縦方向に複数、着脱自在に取付けたLED6とで構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に発光部(光源)を有する内部照明式の道路標識に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等には、反射式道路標識と共に、図9に示すような、内部照明式の道路標識が多く設置されている。この内部照明式道路標識は、図10に示すように、表面に、道路標示を記載した透光性に優れる繊維シート3を使用し、その内部に、光源として複数の蛍光灯11を収納している。このような内部照明式道路標識は、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−346541号公報
【0003】
こうした構成の内部照明式道路標識10は、内部に光源として蛍光灯11を収納しているので、夜間や昼間の悪天候時においても、道路標示を明確に示すことができるといった特長を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の内部照明式道路標識は、光源として蛍光灯を使用しており、この蛍光灯は比較的寿命が短いことから、新たなものと頻繁に交換する必要があるといった問題がある。
また、蛍光灯は長尺状であるため、複数の内、一本でも切れると道路標識の照度が広範部分にわたって低下し、道路標示が見え難くなってしまうといった問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、光源を頻繁に交換する必要がなく、また、光源の一部が切れても、道路標示を明確に示すことのできる内部照明式道路標識を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の内部照明式道路標識(1)は、道路標示を記載した繊維シート(3)で前面を形成した箱体(2)の内部に発光部(4)を配置し、内部から前記道路標示を照らし出す道路標識であって、
前記発光部(4)を、縦長で、前記箱体(2)の左右方向に複数並べて配置した基板(5)と、前記基板(5)の縦方向に複数、着脱自在に取付けたLED(6)とで構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の内部照明式道路標識(1)は、前記発光部(4)の基板(5)は、二つの斜面(5a,5a)を有しそれら斜面(5a,5a)の交線(5b)が垂直に延びる水平断面山形状であり、前記LED(6)は、前記基板(5)の斜面(5a,5a)に対して取付けられることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の内部照明式道路標識(1)は、前記箱体(2)の左右両側端部に位置する基板(5)のうち、最端側の斜面(5a)に取付けるLED(6)を縦方向に二列に配置し、他方の斜面(5a)および残りの基板(5)に取付けるLED(6)を縦方向に一列に配置したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の内部照明式道路標識(1)は、前記発光部(4)を、前記箱体(2)から挿脱自在としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の内部照明式道路標識(1)は、前記LED(6)を複数ずつユニット化し、前記斜面(5a)の各々に、複数のユニット(U)を着脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0011】
なお、カッコ内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の内部照明式道路標識によれば、発光部に光源としてLEDを使用しており、このLEDは、従来の蛍光灯と比較して寿命が長いので、頻繁に交換する必要がない。
また、LEDは蛍光灯と比較して小さいので、一部のLEDが切れても、それによって照度が低下する範囲は狭い。
従って、道路標示を明確に示すことができる。
【0013】
また、請求項2に記載の内部照明式道路標識によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、LEDは、水平断面山形状の基板の斜面に取付けているので、LEDの光は繊維シートにあらゆる角度から照射する。
従って、繊維シートの全体に充分な照度を均等に与えることができ、道路標示をさらに明確に示すことができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載の内部照明式道路標識によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、箱体の左右両側端部に位置する基板のうち、最端側の斜面に取付けるLEDのみを二列縦隊としたので、LEDの光が最も照射され難い部分である繊維シートの左右側端部に、その他の部分と同様な照度を与えることができる。
これにより、繊維シートに記載した道路標示の全体を、より明確に示すことができる。
【0015】
また、請求項4に記載の内部照明式道路標識によれば、請求項1乃至3に記載の発明の作用効果に加えて、発光部を箱体から挿脱自在としたので、箱体から取出した状態で、基板のLEDを交換することができる。
従って、LEDの交換を容易に行うことができる。
【0016】
また、請求項5に記載の内部照明式道路標識によれば、請求項1乃至4に記載の発明の作用効果に加えて、LEDを複数ずつユニット化し、斜面の各々に、複数のユニットを着脱自在に取付けたので、例えば、一つのLEDが切れた場合、それによって受ける悪影響を、同じユニットのLEDに限定することができる。
従って、照度が低下する範囲を狭く抑えることができ、道路標示を明確に示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る内部照明式道路標識1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る内部照明式道路標識1を示す部分断面正面図であり、図2はその側面断面図である。図3は、図1のA−A線拡大断面図である。図4は、図3の左側端部の基板5(図3の紙面上最も下側に位置する基板5)に取付けた発光部4を示す拡大図であり、図5は、その他の基板5(右側端部を除く)に取付けた発光部4を示す拡大図である。また、図6は、図1に示す道路標識1に使用する発光部4の正面図である。従来例で示したものと同一部分には、同一符号を付した。
【0018】
この内部照明式道路標識1は、高速道路等に設置されるもので、道路標示を記載した繊維シート3で前面を形成した箱体2の内部に発光部4を配置したものである。
発光部4は、基板5と、光源である複数のLED(発光ダイオード)6で構成される。
【0019】
基板5は、箱体2の高さとほぼ等しい縦長で、箱体2の左右方向に複数並べて配置されている。また、基板5は、繊維シート3に斜行する二つの斜面5a,5aを有する水平断面山形状(略V字状)であり、それら二つの斜面5a,5aの交線5bが垂直に延びるように形成されている。なお、ここでは、基板5の二つの斜面5a,5aの開き角度を鈍角、この例では約100度とし、LED6から照射される光を反射して繊維シート3に効率的に照射するようにしている。
また、LED6は、各基板5の斜面5aに対して縦方向に複数、着脱自在に取付けている。また、各基板5の上端部には、LED6に送電するためのリード線6aを連結している。
【0020】
なお、本実施形態では、図3乃至図5に示すように、LED6を、箱体2の両側端部、すなわち左側端部と右側端部に位置する二つの基板5のそれぞれの最外端側(左外端側および右外端側)の斜面に二列縦隊(縦方向に二列)で配置し、その他の斜面には一列縦隊(縦方向に一列)で配置している。
【0021】
また、隣接する発光部4の間には、反射板9を設け、LED6から照射される光を反射して繊維シート3に効率的に照射するようにしている。
また、各発光部4は、箱体2に挿脱自在に設けており、この挿脱は、図7に示すように、箱体2の内部に、発光部4の基板5の両側端部が嵌着する保持部材7を設け、この保持部材7を、中間部分を軸として屈曲する屈曲部材8で支持している。屈曲部材8を屈曲させることによって、保持部材7を傾斜状態に後退させ、その状態で基板5を斜めにした状態で保持部材7から抜き取る。なお、箱体2には蓋部2aを設けており、発光部4を挿脱する際に、この蓋部2aを開放する。
【0022】
本実施形態に係る内部照明式道路標識1は、光源をLED6で構成しているので寿命が長く、よって、その交換を頻繁に行う必要がない。また、LED6は蛍光灯と異なり小さいので、並列接続しておくと、例えば、一つのLED6が切れても、残りのLED6は照射を続けることができる。従って、一つのLED6の故障によって照度が低下する範囲はきわめて狭く、その結果、道路標示を引き続き明確に示すことができる。
【0023】
また、LED6は、繊維シート3に斜行する基板5の斜面に取付けているので、そこから照射する光を繊維シート3にあらゆる角度から当てることができる。
これによって、繊維シート3の全体に充分な照度を均等に与えて、道路標示をより明確に示すことができる。
【0024】
また、この内部照明式道路標識1は、箱体2の左右両側端部に位置する基板5のうち、最端側の斜面に取付けるLED6を二列縦隊としているので、LED6の光が最も照射され難い部分である繊維シート3の左右側端部にも、その他の部分と同様に充分な照度を与えることができる。
これにより、繊維シート3に記載した道路標示を、さらに明確に示すことができる。
【0025】
また、発光部4を箱体2から挿脱自在としているので、箱体2から取出した状態で、基板5のLED6を交換することができる。
従って、LED6の交換がきわめて容易である。
【0026】
なお、本実施形態に係る内部照明式道路標識1は、図8に示すように、LED6を複数ずつユニット化し、斜面5a,5aの各々に、複数のユニットUを着脱自在に取付けることができる。この場合、各ユニットUのLED6のみを直列接続し、他のユニットUと並列接続しておくことが好ましい。
【0027】
これにより、一つのLED6が切れた場合、その影響を同じユニットUのLED6は受けるものの、他のユニットUのLED6はそのまま照射を続けることができる。従って、照度が低下する範囲を狭く抑えることができ、道路標示を明確に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る内部照明式道路標識を示す部分断面正面図である。
【図2】図1に示す道路標識の側面断面図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図3の左側端部の基板に取付けた発光部を示す拡大図である。
【図5】図3のその他の基板(右側端部を除く)に取付けた発光部を示す拡大図である。
【図6】図1に示す道路標識に使用する発光部を示す正面図である。
【図7】図1に示す道路標識において、発光部の取出し状態を示す側面断面図である。
【図8】図1に示す道路標識に使用する発光部の他の態様を示す正面図である。
【図9】内部照明式道路標識を示す斜視図である。
【図10】従来例に係る内部照明式道路標識を示す部分断面正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 内部照明式道路標識
2 箱体
2a 蓋部
3 繊維シート
4 発光部
5 基板
5a 斜面
5b 交線
6 LED(光源)
6a リード線
7 保持部材
8 屈曲部材
9 反射板
10 内部照明式道路標識
11 蛍光灯
U ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路標示を記載した繊維シートで前面を形成した箱体の内部に発光部を配置し、内部から前記道路標示を照らし出す道路標識であって、
前記発光部を、縦長で、前記箱体の左右方向に複数並べて配置した基板と、前記基板の縦方向に複数、着脱自在に取付けたLEDとで構成したことを特徴とする内部照明式道路標識。
【請求項2】
前記発光部の基板は、二つの斜面を有しそれら斜面の交線が垂直に延びる水平断面山形状であり、前記LEDは、前記基板の斜面に対して取付けられることを特徴とする請求項1に記載の内部照明式道路標識。
【請求項3】
前記箱体の左右両側端部に位置する基板のうち、最端側の斜面に取付けるLEDを縦方向に二列に配置し、他方の斜面および残りの基板に取付けるLEDを縦方向に一列に配置したことを特徴とする請求項2に記載の内部照明式道路標識。
【請求項4】
前記発光部を、前記箱体から挿脱自在としたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の内部照明式道路標識。
【請求項5】
前記LEDを複数ずつユニット化し、前記斜面の各々に、複数のユニットを着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の内部照明式道路標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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