説明

円形構成における金属箔の皺を減らすための組立体及び方法

本発明は、電子ビーム装置において使用するための、支持プレート22と出口窓金属箔20の組立体であって、前記支持プレート22は前記金属箔20における皺を減らすように設計されており、皺は組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものである組立体に関する。金属箔20は、閉じた接合線26に沿って支持プレート22に接合されており、接合線は、支持プレート22に開口部及び金属箔支持部分が設けられている実質的に円形の領域を囲んでおり、この領域では、金属箔が電子ビーム装置の真空気密な筐体の壁部の一部としての役割を果たすようにしてある。本発明はまた、その組立体を充填機械で使用するための方法、及び、皺を減らす方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム生成装置の電子出口窓金属箔における皺を減らす組立体及び方法であって、皺が組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものであり、金属箔が支持プレートに接合されている組立体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム生成装置は、品物の殺菌、たとえば、包装資材、食品容器、又は、医療機器の殺菌などに使用することもできるし、たとえばインクを硬化させるのに使用することもできる。一般に、これらの装置は、少なくとも金属箔と支持プレートにより形成された電子出口窓組立体を備えている。支持プレートは、好ましくは、銅から作られているが、複数の開口部を有し、電子は、作動中に、電子ビーム生成装置からこの開口部を通って出ていく。支持プレートは、電子ビーム生成装置の真空機密筐体の壁部を形成しており、真空を維持するために、支持プレートの開口部が金属箔で覆われている。この金属箔は、約6〜10μmの厚みを有し、好ましくはチタンから作られている。この厚さのおかげで、大部分の電子は、金属箔を通過することができる。
【0003】
金属箔は、接合により、支持プレートの周囲又はその近くで、支持プレートを密閉している。接合という用語は、ここでは、一般的な用語として解釈しなければならない。可能性のある接合技術としては、レーザー溶接、電子ビーム溶接、ろう付け、超音波溶接、拡散接合、及び、接着がある。
【0004】
組立工程において、細心の注意をもって金属箔を取り扱っている間に、たとえば金属箔が引っ張られるその他のことに起因して、余分な金属箔が生じることがある。金属箔と支持プレートは、接合線において互いに固定されているので、筐体を真空にしたときに、余分な金属箔により金属箔に皺を生じることがある。大きな皺は、電子ビーム生成装置の動作に有害であり、これは、電子を通す効率が低下するからだけではなく、皺に沿って裂け目が生じる危険があるからでもある。金属は、本当にとても壊れやすいのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、支持プレートと出口窓金属箔の組立体であって、支持プレートが金属箔の皺を効率的且つ注意深く減らすように設計されているものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、電子ビーム装置において使用するための、支持プレートと出口窓金属箔の組立体であって、上記支持プレートは上記金属箔における皺を減らすように設計されており、皺は組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものであり、上記金属箔は、閉じた接合線に沿って支持プレートに接合されており、接合線は、支持プレートに開口部及び金属箔支持部分が設けられている実質的に円形の領域を囲んでおり、この領域では、金属箔が電子ビーム装置の真空気密な筐体の壁部の一部としての役割を果たすようにしてある、組立体によって達成される。この組立体は、支持プレートに、上記領域内で、開口部と金属箔支持部分が交互するパターンが設けられており、このパターンが、筐体内を真空にしたときに、金属箔のトポグラフィカル・プロファイルを形成し、すべての余分な金属箔を実質的に吸引するようになっていることを特徴としている。
【0007】
たとえば金属箔をぴんと張ることによってできる余分な金属箔について、できたところで処理しておく必要があるのを理解することは重要である。支持プレートと金属箔は接合線で互いに連結されており、金属箔と支持プレート間の、余分な金属箔をどこかに蓄積させうるいかなる動きも、おそらくは皺をも作る。したがって、余分な金属箔は、できるだけ多く、支持プレートの中へとまっすぐ下へ、つまり、支持プレートの平面に垂直な方向へ吸引する必要がある。よって、金属箔は、支持プレートに対して、支持プレートの平面の方向に、大きく動かないように管理することができる。吸引という言い回しは、ここ及び以下において、いかなる余分な金属箔領域も管理された方法で下方へ膨らませて、「張力がかかった」金属箔にすることができるような方法で金属箔を波形の表面に収めなければならないことを示すのに用いている。張力がかかったという言い回しは、ここ及び以下において、筐体内を真空にしたときに、金属箔が大きく、抑制できない皺を形成できないことを示すために用いている。しかしながら、金属箔内に過度の応力が生じるという意味で金属箔に張力がかけられるのではない。
【0008】
現在のところ好ましい実施例では、接合線内にある上記金属箔及び支持プレート領域は、軸方向軸、半径方向軸、及び、角度方向軸を有する円筒座標系によって定義されており、上記軸方向軸は、支持プレートの軸方向中央軸と位置が合わせてあり、半径方向軸は、実質的に円形の接合線内にある支持プレートの半径と位置が合わせてある。吸引は、開口部内で、金属箔の主要な曲げが半径方向軸又は角度方向軸のいずれかの周りに生じるように行われる。支持プレートのパターンは、金属箔が一重に湾曲することを促進し、可能な限り二重に湾曲することを防止しなければならないことが理解された。金属箔が大いに二重に湾曲している領域では、有害な皺がより生じやすいことが分かった。本発明では、半径方向軸又は角度方向軸周りの主要な曲げを金属箔に与えることにより、二重の湾曲を大幅に減らした。主要な曲げという言い回しは、ここ及び以下において、本質的に一重の湾曲であるか、二重湾曲の些細な又は小さな寄与を含む一重の湾曲と定義される。金属箔の二重湾曲を完全に取り除くのは困難であるが、金属箔を可能な限り1つの方向に膨らませたり、又は、曲げたりして、これにより、その方向に主要な曲げを生じさせれば、他のあらゆる方向の付加的で小さな曲げの影響は減らすことができる。主要な曲げは、支持プレートの各々の単一の開口部でどのように金属箔を局所的に曲げたいかということと、金属箔を全体的に、つまり、たくさんの隣り合う開口部にわたって、どのように曲げたいかということの両方と関係している。
【0009】
本発明の現在のところ好ましい実施例は、従属クレーム3〜9に記載されている。
【0010】
本発明はまた、電子ビーム装置の出口窓金属箔における皺を減らす方法であって、皺は組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものであり、上記金属箔は、閉じた接合線に沿って支持プレートに接合されており、接合線は、支持プレートに開口部及び金属箔支持部分が設けられている実質的に円形の領域を囲んでおり、この領域では、金属箔が電子ビーム装置の真空気密な筐体の壁部の一部としての役割を果たすようになっている、方法を含む。本方法は、上記領域内で、開口部と金属箔支持部分が交互するパターンを支持プレートに設けるステップであって、パターンは、筐体内を真空にしたときに、金属箔のトポグラフィカル・プロファイルを形成し、すべての余分な金属箔を実質的に吸引するようになっているステップを含む。
【0011】
本発明は、包装容器を殺菌するための充填機械における方法をさらに含む。上記方法は、請求項1に記載の組立体を備えた電子ビーム生成装置を使用するステップを含む。
【0012】
以下に、本発明の現在のところ好ましい実施例を、添付の図面を参照しながら、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術による電子ビーム生成装置の模式的な断面図である。
【図2】本発明による組立体の第1実施例の模式的な断面図であって、組立体が電子ビーム生成装置の部分的に示す筐体に取り付けられている図である。
【図3】図2の実施例の模式的な上面図である。
【図4】図2の実施例における支持プレート及び金属箔の部分断面等角図である。
【図5a】スポーク部を通る断面のある、支持プレートの部分断面図である。
【図5b】図5aと同様であるが金属箔がある図である。
【図5c】図5aと同様であるが、開口部を通る断面のある図である。
【図5d】図5cと同様であるが、金属箔がある図である。
【図6】1つの中間区域における、金属箔及びいくつかのスポーク部の、角度方向θの部分断面の非常に模式的な図である。
【図7】1つの開口部及び金属箔の一部分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、電子ビーム生成装置10の1つの実例の非常に模式的な図を示している。この装置は、電子出口窓12を備えており、電子は、照射すべき標的に向けてこの電子出口窓12を通る。開示した構造によれば、電子ビーム生成装置10は、概して、真空チャンバー14を備えており、この真空チャンバー14には、フィラメント16と、制御グリット18とが設けられている。フィラメント16は、好ましくは、タングステンで作られている。電流をフィラメント16に流すと、フィラメントの電気抵抗により、フィラメントが2000℃のオーダーの温度まで加熱される。この加熱により、フィラメントは電子群eを放出する。制御グリット18はフィラメント16の前方に設けられていて、電子を管理された方法で分散させるのに役立っている。電子は、グリッド18及び出口窓12の間の電圧によって加速される。電子ビーム生成装置10は、一般に、低電圧電子ビーム放射源と呼ばれており、この放出源は、通常、電圧が300kV以下である。開示した構造では、加速電圧が70〜85kVのオーダーである。この電圧は、各電子では、70〜85keVの運動(起動)エネルギーになる。
【0015】
電子出口窓12は、図2に示されるように、支持プレート22と、電子出口窓金属箔20との組立体である。金属箔20は支持プレート22の外面24に取り付けられており、この外面24は、図2では、支持プレート22の上面として見られる。したがって、支持プレート22は、金属箔20の内側に設けられている。すなわち、金属箔20は周囲に面しており、一方、支持プレート22は電子ビーム生成装置10の真空チャンバー14の内側を向いている。
【0016】
金属箔20の支持プレート22への取り付けは、連続した接合線26(図には2つの点としてのみ示されている)に沿って行われる。接合線26の全体と、接合線26が囲んでいる領域が、図2の組立体を示す図3において、点線で表されている。好ましい実施例では、支持プレート22及び金属箔20が円形であり、接合線26が円形の領域を囲んでいる。
【0017】
金属箔20を支持プレート22に接合しうる技術は、たとえば、レーザー溶接、電子ビーム溶接、ろう付け、超音波溶接、拡散接合、及び、接着であろう。接合線26は、電子ビーム生成装置の内部で真空を保つことができるように連続している。「連続」という用語を用いているのは、この線が無限、又は、閉じているという意味を明確にするためである。
【0018】
金属箔20は、電子に対して実質的に透明であり、好ましくは、金属、たとえばチタンによって、又は、いくつかの材料のサンドイッチ構造によって作られている。金属箔20の厚みは、約6〜10μmのオーダーである。
【0019】
支持プレート22は、金属箔20に対する支持体としての役割を果たす。図示の実施例では、支持プレートは2つの部材を備えている。すなわち、金属箔20の中央部分を支持する第1支持プレート部材22aと、枠体形状をしていて、金属箔接合線26が設けられている第2支持プレート部材22bである。「枠体」という用語は、ここでは、中央に穴が開いた形状構成の要素と解釈しなければならない。さらに、接合線26は、穴の開いた形状構成に沿ってであるが、枠体の外縁の内側を伸びている点を明確にしておかなければならない。好ましくは、接合線26は、枠体の外縁から一定の距離のところを伸びている。さらに、少なくとも1つの接合線26が設けられる。したがって、2つ以上の接合線を設けることであってもよい。たとえば、内側及び外側の接合線を枠体に設けてもよいし、その2つの線は、たとえば、互いに同心であってもよい。
【0020】
組み立てた状態において、2つの支持プレート部材22a及び22bは、互いに接合されている。2つの部材22a及び22bは、異なる材料からでも、同じような材料からでも製造できる。現在のところ好ましい実施例では、第1支持プレート部材22aは銅又は、アルミニウムから作られていて、第2支持プレート部材22bは、ステンレス・スチールから作られている。
【0021】
図2に見られるように、接合線26は、台地部30の上に配置されている。支持プレートの第2の部材22b、すなわち、枠体は、第1支持プレート部材22aとの関係において、枠体の上面が台地部30を形成するような方法で配置されている。すなわち、第2の部材22bは、第1支持プレート部材22aの上面32よりも高く配置された、つまり、持ち上げられた面を形成している。
【0022】
図4は、現在のところ好ましい実施例の支持プレート22と金属箔20の断面等角図を示している。図では、金属箔20が、電子ビーム生成装置10の内側から真空引きされているとして表されている。本発明を説明しやすくするために、そして、金属箔20と接合線26内の支持プレート領域をより明確に定義するために、一般的な円筒座標系を図に加えている。zで示した座標系の軸方向軸又は方向は、支持プレート22の軸方向中心軸と位置が合わせてある。rで示した半径方向軸又は方向は、実質的に円形である接合線26の内側にある円筒形支持プレートの半径方向と位置が合わせてある。最後に、座標系は、θで示す角度方向軸又は方向を有し、この角度方向軸は、支持プレートの軸方向中心軸(z方向)対して、且つ、半径方向rに対して直交している仮想平面に沿って支持プレートの軸方向中心軸(z方向)周りに360°回る方向を定義している。仮想平面は、座標系の観点から平坦であるべきであり、支持プレートの外面24に実質的に対応している。しかし、支持プレート22の上面24は平坦でないことを示すことになる。
【0023】
図4から、支持プレート22の断面が軸方向軸z周りに回転対称であることが分かる。
【0024】
第1支持プレート部材22aには、図3に示した複数の開口部28が設けられており、電子は、この開口部28を通過することができる。さらに、支持プレート22には、金属箔支持部分34が設けられている。一般的に、金属箔支持部分34は、一緒になって開口部28を囲む領域を構成し、この領域は、電子ビーム装置10内を真空にしたときに、金属箔20と少なくとも実質的に接触するが、連結はしない。接合線26で囲まれた領域内では、支持プレート22に、これら開口部28と金属箔支持部分34が交互するパターンが設けられており、このパターンは、筐体内を真空にしたときに、あらゆる余分な金属箔を実質的に吸引する、金属箔20のトポグラフィカル・プロファイル(組織分布形状)を形成するようになっている。余分な金属箔を吸引することにより、皺を回避すること、又は、少なくとも大幅に減らすことができる。「トポグラフィカル・プロファイル(topographical profile)」という言い方は、金属箔20が平坦でない、波形の表面を有し、一部の領域又は点が持ち上がっていて、一部の領域又は点が相互の関係において沈んでいることを説明するために用いている。現在のところ好ましい実施例では、開口部28と金属箔支持部分34とのパターンは、開口部28内で、金属箔20の主要な曲げが角度方向軸θ周りにできるような方法で設計される。この主要な曲げは、この言葉は発明の概要において定義してあるが、接合線26によって囲まれた領域内で、支持プレート22の金属箔支持部分34が、半径方向軸rに沿って、軸方向zの変化を与えることで生成されている。上記変化は、半径方向軸rに沿って伸びる同心波形36として与えられる。角度方向θに沿っては、接合線26によって囲まれた領域内において、支持プレートは軸方向zに変化しないか、わずかにのみ変化している。
【0025】
36で示されており、且つ、図5aに示されている波形は、異なる半径と振幅を有するいくつかの波を含んでいる。波形36は、接合線26によって囲まれた領域内の、支持プレート22の金属箔支持部分34が、半径方向に向けられたスポーク部40によって互いに連結された同心環部38(図3参照)を与えることで形成されている。半径方向のスポーク部40と同心環部38は、開口部28の境界を規定しており、上記同心環部38は、波形36の波の頂部と一致している。現在のところ好ましい実施例では、38a、38b、38c、38dで示した4つの同心環部が第1支持プレート部材22aにあり、且つ、第2支持プレート部材22bの台地部30によって構成された1つの追加的な環部があり、追加的な環部は最初の4つと同心である。図5aで最もよく分かるように、同心環部38の間のスポーク部40の上面は、平坦ではなく、弧状に形成されており、それにより波形36の谷間を形成している。最も内側の環部38内、すなわち、支持プレート22の中央部内に、中央開口部Xが設けられている。
【0026】
さらに、図3では、半径方向θにおけるスポーク部40の幅が同じ方向の開口部28の幅よりも数分の一であることが分かる。さらにまた、2つの環部の中間区域にあるスポーク部40は、隣の中間区域にあるスポーク部と位置が合わせてある必要はない。しかしながら、スポーク部は、代替実施例では位置が合わせてあることであってもよい。簡単のため、図5a及び図5bはスポーク部40を通る断面のみを示し、図5c及び図5dは開口部28を通る断面のみを示す。半径方向軸rに沿ったまっすぐな断面は、スポーク部40及び開口部28の両方を含みうることは分かるであろう。
【0027】
図3から、同心環部38の半径方向rの厚みが半径方向rにおける開口部の広がりの数分の一であることがさらに分かる。
【0028】
角度方向θにおけるスポーク部40の厚みは約0.4mmであり、半径方向rにおける同心環部38の厚みは、だいたい0.4mmである。
【0029】
開口部28は、角度方向θよりも半径方向rに大きく広がっている。示した実施例では、半径方向rでの広がりは、角度方向θでの広がりの少なくとも2倍である。接合線26によって囲まれた領域が円形の形状をしているので、開口部28は、角度方向θでの広がりが等しくない。支持プレート22の中心に最も近い開口部の端部は、角度方向θの広がりが最も小さい、つまり、幅が最も狭い。開口部28は、支持プレート22の中心に向かってしだいに幅が狭くなっているのである。
【0030】
金属箔支持部分34の数と開口部28の数の相互の関係と分布は、電子出口窓の電子に対する透明性と、金属箔20の冷却に影響する。金属箔支持部分34に比べて開口部28が大きい及び/又は多いと、金属箔20の冷却効果が悪くなり、一方で、開口部28と比べて金属箔支持部分34が大きい及び/又は多いと、電子に対する透明性が悪くなる。開口部と金属箔支持部分のパターンは、各々の具体的な用途について最適化する必要がある。軸方向zにおける支持プレート22の厚みもまた冷却と電子に対する透明性に影響を及ぼすものであり、たとえば図4には、支持プレート22の厚みが変化していることが示されている。支持プレートの中央部が最も薄く、約2mmであり、支持プレートの外縁が最も厚く、約5mmである。
【0031】
最も外側の中間区域にあるスポーク部40及び開口部28は、第2支持プレート部材22bまで完全には伸びておらず、第2支持プレート部材22bから所定の距離で終わっていて、第1支持プレート部材22aの外周縁が連続的なフランジ部42を形成するようにしている。示した実施例では、このフランジ部42は、波形36の波の頂部である同心環部とはみなされず、第2支持プレート部材22bの台地部30である最も外側の同心環部の隣にある平坦面とみなされる。このことは、図5aから図5dに示されている。
【0032】
真空にすると、金属箔20が支持プレート22の金属箔支持部分34の上に乗り、これにより、波形36に追従する。しかし、第1及び第2の支持プレート部材22a、22bの角部では、金属箔20は、図5b及び5dに見られるように、支持されることはない。
【0033】
前述したことであるが、接合線26によって囲まれた領域内では、支持プレート22が、角度方向θに沿って、軸方向zに変化していない、又は、わずかにしか変化していない。図6は、1つの中間区域にある金属箔20といくつかスポーク部40の角度方向θにおける部分断面の非常に模式的な図である。目的は、真空にしたときのこの方向における金属箔20のトポグラフィカル・プロファイルを図示することである。見て分かるように、金属箔20は、高さが等しいスポーク部40によって支持されるが、開口部28の中へとわずかに膨らむ、又は、曲がる。曲げは、ここでは、半径方向軸r周りにでき、角度方向軸θ周りに生じる曲げよりも著しく小さいために、「主要」とはみなされない。
【0034】
金属箔20と支持プレート22は互いに接触してはいるが、接合線26を除くどの位置でも互いに連結していないこと、及び、余分な金属箔があるために金属箔20、とりわけ金属箔の中心が、真空にしたときに、支持プレート22に対して半径方向rにわずかに動くことがあることを理解することは重要である。このために、金属箔支持部分34及び開口部28のパターンの構造しだいで、一部の領域に皺が集まることがありえる。このように皺が集まることを防ぐために、パターンは十分に細かい必要があり、また、可能な限り多くの余分な金属箔を支持プレートの平面に実質的に垂直に、つまり、軸方向zに直接吸引できるように、開口部28は均一に並べる必要がある。したがって、金属箔20を支持プレート22に対して大きく動かないように管理することができる。この理由は、図7に示す1つの開口部28を検討することにより、さらに明らかにできる。一般に、開口部上の金属箔領域aは、開口部の領域aと似たものになる。組立工程のために、たとえば金属箔の平面内において金属箔が引き伸ばされることがあり、金属箔領域は、Δaだけ拡大されて、全体でa+Δaという領域になりうる。真空にしたとき、開口部は、理想的には、有害な皺を相当量減らすために、拡大した部分Δaの少なくともかなりの部分を吸引できなければならない。好ましくは、半径方向rの吸引は、あらゆる座標点で、角度方向θの吸引と同量でなければならない。この理由を1つの開口部に当てはめると、半径方向rに吸引された金属箔の長さは、角度方向θに吸引された金属箔の長さと好ましくは等しくなければならない、と言うことができる。
【0035】
支持プレート、支持プレートのスポーク部、同心環部、及び、開口部の寸法は、支持プレートの大きさ及び用途しだいで変わる。
【0036】
本発明はまたある方法をも含むが、この方法は、大部分を組立体との関係ですでに説明している。この方法は、前述した領域内に、開口部と金属箔支持部分の交互するパターンを支持プレートに設けるステップを含み、このパターンは、筐体内を真空にすると、金属箔のトポグラフィカル・プロファイルを形成し、あらゆる余分な金属箔を実質的に吸引するようになっている。好ましくは、吸引は、開口部において、金属箔の主要な曲げが半径方向軸r又は角度方向軸θ周りにできるように行われる。
【0037】
本発明は、さらに、充填機械において、包装容器を殺菌するための方法を含む。この方法は、図1を参照しながら最初に説明した種類のもので、本発明による組立体を備えた電子ビーム生成装置を使用するステップを含む。包装容器は、スリーブ部と最上部を有する種類のものであってもよい。スリーブ部は、紙からなる芯層と、ポリマーからなる内層及び外層とを含む包装用積層体から作られていることであってもよい。最上部は、ポリマーから作られていてもよく、また、充填機械内で射出圧縮成型によってスリーブ部に設けられることであってもよい。包装容器は、殺菌目的で、電子ビーム生成装置10によって照射される。
【0038】
本発明を現在のところ好ましい実施例について説明したが、当然のことながら、さまざまな修正や変更を、添付の特許請求の範囲に定義した発明の目的及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0039】
接合線26によって囲まれた領域内で、支持プレートの金属箔支持部分が半径方向rに沿って軸方向zに変化することにより、主要な曲げが角度方向軸周りに生じる実施例を説明した。代替実施例では、接合線26によって囲まれた領域内で、支持プレートの金属箔支持部分が角度方向θに沿って軸方向zに変化することにより、主要な曲げが半径方向軸r周りに生じている。この変化は、支持プレートの軸方向中央軸周りに一周する波形として与えられることであってもよい。さらに、上記領域内において、支持プレートは、半径方向rに沿って、軸方向zに変化しない、又は、わずかにしか変化しない。
【0040】
本発明の範囲内にある別の代替実施例では、主要な曲げを開口部毎に、又は、支持プレートのある区域から隣の区域へと、異なる方向で用意してもよいが、当然のことながら、開口部又は区域の間で主要な曲げを変えると、金属箔20が二重に湾曲しうる。
【0041】
2つの部分からなる支持プレートを示した。しかしながら、代替実施例では、支持プレートは一体に形成する、つまり、第1及び第2の支持プレート部材が合体していることであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビーム装置(10)において使用するための、支持プレート(22)と出口窓金属箔(20)の組立体であって、
前記支持プレート(22)は前記金属箔(20)における皺を減らすように設計されており、前記皺は組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものであり、前記金属箔(20)は、閉じた接合線(26)に沿って前記支持プレート(22)に接合されており、前記接合線(26)は、前記支持プレートに開口部(28)及び金属箔支持部分(34)が設けられている実質的に円形の領域を囲んでおり、前記領域では、前記金属箔(20)が前記電子ビーム装置(10)の真空気密な筐体(14)の壁部の一部としての役割を果たすようにしてある、組立体において、
前記支持プレート(22)には、前記領域内に、開口部(28)と金属箔支持部分(34)が交互するパターンが設けられており、前記パターンは、前記筐体(14)内を真空にしたときに、前記金属箔(20)のトポグラフィカル・プロファイルを形成し、すべての余分な金属箔を実質的に吸引するようになっていることを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記接合線(26)内にある前記金属箔及び支持プレート領域は、軸方向軸(z)、半径方向軸(r)、及び、角度方向軸(θ)を有する円筒座標系によって定義されており、前記軸方向軸(z)は、前記支持プレート(22)の軸方向中央軸と位置が合わせてあり、前記半径方向軸(r)は、前記実質的に円形の接合線(26)内にある前記支持プレート(22)の半径と位置が合わせてあること、及び、前記開口部(28)内で、前記金属箔(20)の主要な曲げが前記半径方向軸(r)又は前記角度方向軸(θ)のいずれかの周りに生じるように前記吸引が行われるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記領域内にある前記支持プレート(22)の前記金属箔支持部分(34)が、前記半径方向軸(r)に沿って、前記軸方向(z)に変化を与えることにより、前記主要な曲げが前記角度方向軸(θ)周りに生じるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記半径方向軸(r)に沿った、前記軸方向(z)の前記変化は、同心の波形(36)として与えてられていること、及び、前記領域内において、前記支持プレート(22)は、前記角度方向(θ)に沿って、前記軸方向(z)に変化していない、又は、わずかにしか変化していないことを特徴とする請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記領域内における前記支持プレート(22)の前記金属箔支持部分(34)は、半径方向を向いたスポーク部(40)によって互いに連結された同心環部(38a、38b、38c、38d)を備えることを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記半径方向のスポーク部(40)及び前記同心環部(38a、38b、38c、38d)は、前記開口部(28)の境界を規定していることを特徴とする請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記同心環部(38a、38b、38c、38d)は、前記波形(36)の波の頂部と一致することを特徴とする請求項5から請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記接合線(26)は、台地部(30)の上に位置していることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記支持プレート(22)は、前記金属箔(20)の中央部分を支持するように設計された第1支持プレート部材(22a)と、枠体の形状を有し、前記接合線(26)が設けられている第2支持プレート部材(22b)との2つの部材を備えていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の組立体。
【請求項10】
電子ビーム装置(10)の出口窓金属箔(20)における皺を減らす方法であって、
前記皺は組立過程において生じる余分な金属箔に起因して生じうるものであり、前記金属箔(20)は、閉じた接合線(26)に沿って支持プレート(22)に接合されており、前記接合線(26)は、前記支持プレート(22)に開口部(28)及び金属箔支持部分(34)が設けられている実質的に円形の領域を囲んでおり、前記領域では、前記金属箔(20)が前記電子ビーム装置(10)の真空気密な筐体(14)の壁部の一部としての役割を果たすようになっている、方法において、
前記領域内で、開口部(28)と金属箔支持部分(34)が交互するパターンを前記支持プレート(22)に設けるステップであって、前記パターンは、前記筐体(14)内を真空にしたときに、前記金属箔(22)のトポグラフィカル・プロファイルを形成し、すべての余分な金属箔を実質的に吸引するようになっているステップを含む方法。
【請求項11】
前記接合線(26)内にある前記金属箔及び支持プレート領域は、軸方向軸(z)、半径方向軸(r)、及び、角度方向軸(θ)を有する円筒座標系によって定義されており、前記軸方向軸(z)は、前記支持プレート(22)の軸方向中央軸と位置が合わせてあり、前記半径方向軸(r)は、前記実質的に円形の接合線(26)内にある前記支持プレート(22)の半径と位置が合わせてあり、前記方法は、前記開口部(28)内で、前記金属箔(20)の主要な曲げが前記半径方向軸(r)又は前記角度方向軸(θ)のいずれか周りに生じるように吸引が行われるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
包装容器を殺菌するための充填機械における方法において、請求項1に記載の組立体を備えた電子ビーム生成装置(10)を使用するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−519086(P2013−519086A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551947(P2012−551947)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/SE2011/050103
【国際公開番号】WO2011/096875
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)