説明

円錐ころ供給装置、円錐ころ軸受組立装置、及び円錐ころ供給方法

【課題】簡便な構成で、円錐ころを保持器のポケットに適切に装入することが可能な円錐ころ供給装置、円錐ころ軸受組立装置、及び円錐ころ供給方法を提供する。
【解決手段】上方から充填された複数の円錐ころ1を、積み重ねられた状態でその内部にストックするチューブ20と、チューブ20から排出される複数の円錐ころ1のうち、最下段の複数の円錐ころ1と、該最下段の円錐ころ1の上方に位置する円錐ころ1と、を上流及び下流方向に切り分けて、最下段の円錐ころ1を順次1個ずつ落下させる円錐ころ供給部30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐ころ供給装置、円錐ころ軸受組立装置、及び円錐ころ供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円錐ころ軸受の組立方法としては、図7及び8に示すように、保持器2のポケット部6に円錐ころ1を組み込む際、円錐ころ供給装置110を用いることによって、保持器2の内周に向けて鉛直方向(重力方向:図7中におけるZ方向)に延びるチューブ120内に、小径側を下側にした複数の円錐ころ1を充填し、最下段の円錐ころ1を切り出して保持器2のポケット部6に装入する方法が知られている。
【0003】
より詳細に説明すると、円錐ころ供給装置110は、上方から充填され、鉛直方向に互いに当接するよう積み重ねられた状態で複数の円錐ころ1をその内部の空孔120aにストックするチューブ120と、チューブ120の下端から供給された円錐ころ1が装入される保持器2を回転可能に載置する保持器載置部150と、チューブ120が固定されるとともに、円錐ころ1が通過するための切欠きを有し、保持器載置部150の上部に配置される天板158と、を備える。ここで、円錐ころ1は、小径側が下方すなわち先頭側となるようにチューブ120の空孔120a内に充填される。
【0004】
保持器載置部150は、Z方向に延びる軸152と、軸152の上方に固定された下型154と、下型154の上面に当接するように固定され、外周面156aの下方に保持器2が外嵌固定される治具156と、を有する。治具156の上面と、天板158の下面と、は互いに隙間を介して対向している。
【0005】
ここで、図8に示すように、保持器2は、小径円環部3と、大径円環部4と、小径及び大径円環部3,4を連結し、周方向に所定の間隔で配置された複数の柱部5と、を有し、円錐ころ1を保持する複数のポケット部6が形成されている。そして、保持器2は、大径円環部4が上方となるように、小径円環部3の内周面が治具156の外周面156aに外嵌される。
【0006】
治具156は、その外周面156aにころ収容部156bが凹設されており、チューブ120の下端から搬出された円錐ころ1が収容可能であるように位置決めされている。
【0007】
軸152は、その下端に連結されたモータ(不図示)又は手動によって回転可能とされており、軸152の回転に伴って下型154、治具156、及び保持器2が一体となって回転する。
【0008】
このように構成された円錐ころ供給装置110においては、先ず、円錐ころ1が、チューブ120の空孔120a内において鉛直方向に互いに当接するように積み上げられる。そして、チューブ120を通過した最下段の円錐ころ1は治具156の下部と接触して停止し、その後、治具156及び保持器2を回転させることで組立が行われる。なお、チューブ120及び天板158は、図示しない駆動機構により上下方向に移動可能とされており、保持器2や内輪(不図示)の搬入時等に、上方に退避される。
【0009】
また、他の円錐ころ軸受の組立方法としては、保持器の大径環状部を上方に配置し、円錐ころをその大径側を先頭にして保持器の内周側かつ保持器の小径環状部側(下方側)から、保持器のポケットに挿入する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−64312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図7に示した円錐ころ軸受の組立方法においては、鉛直方向に積み重なった円錐ころ1は自重によって互いに押圧されており、最下段の円錐ころ1の上面及び下面に大きな摩擦力が発生している。そして、最下段の円錐ころ1は、治具156によって保持器2のポケット部6に向かう方向へ力を受けると、前述した摩擦力との間に偶力が発生し姿勢が崩れ易くなる。このような場合、円錐ころ1は保持器2のポケット部6に正しく装入されず、製造プロセスが停止する事態を引き起こす虞がある。
【0012】
上述した事態を防ぐために、特許文献1に記載の円錐ころ軸受の組立方法を適用し、円錐ころを重力と逆方向に、すなわち下方から上方に搬送することによって、保持器のポケットに装入される先頭の円錐ころを、他の円錐ころの重力の影響から開放させることが考えられる。
【0013】
しかし、このように円錐ころの大径側を先頭にして保持器のポケットに装入する方法は、従来の設備から大掛かりな変更が必要となるとともに、機構が複雑であるため実用的でない。
【0014】
本発明は、上述した図7に示した装置の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便な構成で、円錐ころを保持器のポケットに適切に装入することが可能な円錐ころ供給装置、円錐ころ軸受組立装置、及び円錐ころ供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 上方から充填された複数の円錐ころを、積み重ねられた状態でその内部にストックするストック部と、
前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段の円錐ころと、該最下段の円錐ころの上方に位置する円錐ころと、を上流及び下流方向に切り分けて、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させる円錐ころ供給部と、
を有することを特徴とする円錐ころ供給装置。
(2) 前記円錐ころ供給部は、
それぞれ径方向側面に螺旋状の溝を有し、回転可能である一対の円筒部材と、
前記一対の円筒部材の径方向側面と対向する一対のガイドと、
を有し、
前記複数の円錐ころは、前記一対の円筒部材の径方向側面の螺旋状の溝と、前記ガイドと、によってそれぞれ1個ずつ上流及び下流方向に切り分けられ、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させることを特徴とする(1)に記載の円錐ころ供給装置。
(3) 前記円錐ころ供給部は、前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段及び下から2段目の円錐ころの落下を停止する落下停止機構を有し、
前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させることを特徴とする(1)に記載の円錐ころ供給装置。
(4) 前記円錐ころ供給部を複数有することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の円錐ころ供給装置。
(5) (1)〜(4)の何れか1つに記載の円錐ころ供給装置を備えることを特徴とする円錐ころ軸受組立装置。
(6) 上方から充填された複数の円錐ころを、積み重ねられた状態でストック部の内部にストックする工程と、
前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段の円錐ころと、該最下段の円錐ころの上方に位置する円錐ころと、を上流及び下流方向に切り分けて、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させる工程と、
を有することを特徴とする円錐ころ供給方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の円錐ころ供給装置によれば、ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段の円錐ころと、当該最下段の円錐ころの上方に位置する円錐ころと、を上流及び下流方向に切り分けて、最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させるようにした。したがって、簡便な構成でありながら、最下段の円錐ころは他の円錐ころの重量の影響を受けることがなくなり、安定した切り出し動作が可能となり、保持器のポケットに適切に装入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る円錐ころ供給装置を水平方向から見た図である。
【図2】図1におけるII−II線矢視図である。
【図3】図1における保持器載置部周辺の拡大断面図である。
【図4】天板を鉛直方向から見た平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る円錐ころ供給装置を水平方向から見た図である。
【図6】本発明の変形例に係る円錐ころ供給装置において、円錐ころ供給部を2つ設けた場合の模式図である。
【図7】従来の円錐ころ供給装置を水平方向から見た図である。
【図8】保持器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る円錐ころ供給装置、円錐ころ軸受組立装置、及び円錐ころ供給方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る円錐ころ供給装置10が示されている。円錐ころ供給装置10は、上方から充填された複数の円錐ころ1を、積み重ねられた状態でその内部の空孔20aにストックするストック部としてのチューブ20と、チューブ20から排出される複数の円錐ころ1を下方に供給する円錐ころ供給部30と、円錐ころ供給部30から供給された円錐ころ1が装入される保持器2を回転可能に載置する保持器載置部50と、を備える。ここで、円錐ころ1は、小径側が下方すなわち先頭(下流)側となるようにチューブ20内に充填される。また、チューブ20の空孔20aの径は、円錐ころ1の大径側の径よりも僅かに大きくなるように設定される。
【0020】
円錐ころ供給部30は、重力方向(図1中におけるZ方向)と垂直なX方向及びY方向に延びるベース32と、ベース32の上面に載置されたベアリングブロック34と、ベース32の下方のX方向両側に回転可能に配置されてZ方向に延びる一対のスクリュー(円筒部材)40と、ベース32の下面のX方向中央部に固定され、Z方向に延びる一対のガイド42(図2参照)と、を備える。また、一対のガイド42の下部には、天板58が固定されている。そしてベース32は、図示しない駆動機構により上下方向に移動可能とされており、ベース32の移動に伴って、一対のスクリュー40や一対のガイド42、天板58等も上下方向に移動する。
【0021】
ベース32及びベアリングブロック34のX方向中央部(図1中、仮想平面Aとして表されている。)には、それぞれZ方向に延び、互いに連通する貫通孔32a、34aが設けられており、チューブ20はこれら貫通孔32a及び34aに挿入されて、Z方向に対して平行に固定される。チューブ20のZ方向長さは、貫通孔32a及び34aのZ方向長さよりも長くなるように設定されており、ベアリングブロック34の上方に延出する。
【0022】
一対のスクリュー40の各回転軸は、ベース32及びベアリングブロック34を貫通し、上端部にギア36を有するとともに、一方のスクリュー40の回転軸には、プーリ38が取り付けられている。プーリ38は、タイミングベルトを介してサーボモータ(不図示)によって駆動可能に構成されており、各回転軸に設けられたギア36は、不図示のギアによって連結され、一対のスクリュー40を互いに反対方向に回転させる。
【0023】
また、一対のスクリュー40は、図2に示すように、X方向において互いに僅かに離間して配置される。また、スクリュー40には、その径方向側面40aから径方向に突出する螺旋状の突起40bが設けられており、螺旋状の溝40cを構成している。そして、仮想平面Aに対して線対称となるように構成された一対のスクリュー40は、螺旋状の溝40cが、一対のスクリュー40の矢印B方向(図2参照)の回転によって、円錐ころ1をZ方向に沿って搬送するように形成される。
【0024】
一対のガイド42は、一対のスクリュー40の径方向側面40aと対向するように互いにY方向に対向して配置されるとともに、一対のスクリュー40の突起40bと干渉しない先細状に形成されており、一対のスクリュー40の螺旋状の突起40bとともに円錐ころ1を挟み込み、円錐ころ1が螺旋状の突起40bから落下するのを防止している。従って、一対のガイド42は、一対のスクリュー40の中心O´を結ぶ仮想線分(図2中、破線で示されている。)に関して対称に配置され、円錐ころ1の中心Oが一対のスクリュー40の中心O´を結ぶ仮想線分の略中間点上に位置するように、円錐ころ1の外周面を案内する。
【0025】
図3も参照して、保持器載置部50は、Z方向に延びる基台51と、基台51の内周面に複数の軸受59を介して回転可能に支持され、Z方向に延び上方にフランジ部52aを有する軸52と、フランジ部52aの外周面に固定されフランジ部52aの上方に延出する下型54と、フランジ部52aの上面及び下型54の内周面に当接するように固定され、外周面56aに保持器2を外嵌固定する治具56と、を有する。なお、治具56の上面と天板58の下面とは、ベース32が変位可能な最下端に位置したとき、すなわち、天板58が変位可能な最下端に位置したときであっても、隙間を介して対向するように設定されている。
【0026】
ここで、本実施形態の保持器2は、図8に示した従来技術の保持器2と同様の構成を有しており、大径円環部4が上方となるように、小径円環部3の内周面が治具56の外周面56aに外嵌される。
【0027】
治具56は、略円筒形状に形成されており、その外周面56aの上方には、ころ収容部56bが凹設されており、円錐ころ供給部30から供給された円錐ころ1が収容可能とされている。
【0028】
天板58は、略円盤形状に形成され、一対のガイド42、及びベース32の下面にボルト止めされたブラケット57に固定されている。また、天板58の外径は治具56の外径と略同一とされており、天板58の外周面には断面略半円形状の切欠き58cが形成されている(図4参照)。切欠き58cは、上方の円錐ころ供給部30から供給される円錐ころ1が、治具56のころ収容部56bに落下可能となるように設けられる。
【0029】
軸52は、その下端に連結されたサーボモータ(不図示)によってZ軸周りに回転可能とされており、軸52の回転に伴って下型54、治具56、及び保持器2も一体に回転する。一方で、天板58は、上述したように一対のガイド42及びブラケット57に固定されているので、軸52が回転する際にも回転しない。
【0030】
ここで、本実施形態における円錐ころの組立方法について説明する。
先ず、小径側を先頭側(下方)に揃えた円錐ころ1を、チューブ20の空孔20a内に充填する。チューブ20の空孔20a内に充填された円錐ころ1は、ベアリングブロック34の貫通孔34a及びベース32の貫通孔32aを通過し、一対のスクリュー40及びガイド42の入り口まで移動する。
【0031】
次いで、円錐ころ1は、その下面が一対のスクリュー40の各突起40bに支持されるとともに、外周面を一対のスクリュー40の溝40cと一対のガイド42とに挟まれることで、姿勢が適切に維持される
【0032】
チューブ20から連続して排出される複数の円錐ころ1は、一対のスクリュー40を回転させることで、一対のスクリュー40の溝40cとガイド42とによってそれぞれ1個ずつ上流及び下流方向に切り分けられながら、下方に搬送され、スクリュー40の最下端から非常に正確な時間間隔で、順次1個ずつ自由落下させられる。
【0033】
ここで、保持器2、軸52、下型54、及び治具56は、スクリュー40が一回転するとき、保持器2の隣り合うポケット部6の間隔に相当する角度だけ回転するように、スクリュー40の回転と同期が取られている。したがって、スクリュー40から自由落下した円錐ころ1は、保持器1の各ポケット部6に正確に装入される。
【0034】
そして、保持器2の全てのポケット部6に円錐ころ1が装入された後、不図示の可動機構により、ベース32を上方に移動させることによって天板58等を上方に退避させるとともに、保持器載置部50の軸52、下型54、及び治具56を下降させ、保持器2の内周側から公知の方法によって内輪(不図示)を組み込む。そして、これら円錐ころ1、保持器2、及び内輪を一体として次工程へと渡す(組立完了)。
【0035】
以上、説明したように、本実施形態の円錐ころ供給装置10によれば、複数の円錐ころ1は、一対のスクリュー40の径方向側面40aの溝40cと、一対のガイド42と、によってそれぞれ1個ずつ上流及び下流方向に切り分けられ、最下段の円錐ころ1を順次1個ずつ落下させるようにした。したがって、簡便な構成でありながら、最下段の円錐ころ1は他の円錐ころ1の重量の影響を受けることがなくなり、安定した切り出し動作が可能となり、保持器1のポケット部6に適切に装入することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る円錐ころ供給装置について説明する。本実施形態の円錐ころ供給装置110Aは、図7に示した従来の円錐ころ供給装置110と基本的構成を同一とするので、同一又は相当部分には同一符号を付すことによりその説明を省略又は簡略化する。
【0037】
本実施形態の円錐ころ供給装置110Aは、上方から充填され、鉛直方向に互いに当接するよう積み重ねられた状態で複数の円錐ころ1をその内部の空孔120aにストックするチューブ120と、チューブ120から排出される複数の円錐ころ1を下方に供給する円錐ころ供給部130と、円錐ころ供給部130からから供給された円錐ころ1が装入される保持器2を回転可能に載置する保持器載置部150と、を備える。ここで、保持器載置部150は、図7に示した従来の円錐ころ供給装置の保持器載置部150と同様の構成を有する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態のチューブ120には、Z方向の異なる位置において、外周面から径方向に貫通して空孔120aに連通する一対の連通孔120bが設けられている。
【0039】
また、円錐ころ供給部130は、チューブ120から排出される複数の円錐ころのうち、最下段及び下から2段目の円錐ころ1の落下を停止する落下停止機構160を備える。落下停止機構160は、Z方向の異なる位置に配置された一対のシリンダ、すなわち、上側及び下側シリンダ161A,161Bと、上側及び下側シリンダ161A,161Bからチューブ120の連通孔120bの中を内周側に延びる伸縮自在の上側及び下側ロッド162A,162Bと、を備える(以下、単にシリンダ161、ロッド162と呼ぶことがある。)。
【0040】
ここで、本実施形態における円錐ころの組立方法について説明する。
先ず、小径側を先頭側(下方)に揃えた円錐ころ1は、チューブ120の空孔120a内に充填され、重力に従って自由落下する。このとき、事前に、下側シリンダ161Bを駆動することによって、下側ロッド162Bを、円錐ころ1の落下停止が可能なように伸長させておく。したがって、先頭すなわち最下段の円錐ころ1が下側ロッド162Bと対向する位置まで落下したとき、下側ロッド162Bの先端側面162aと最下段の円錐ころ1の外周面とが当接し、最下段の円錐ころ1の落下が停止される。このとき、2段目以降の円錐ころ1は、最下段の円錐ころ1の上に積み重なった状態とされている。
【0041】
次に、上側シリンダ161Aを駆動して上側ロッド162Aを伸長させることによって、上側ロッド162Aの先端側面162aと下から2段目の円錐ころ1の外周面とを当接させて、2段目の円錐ころ1を拘束する。このように最下段及び下から2段目の円錐ころ1の落下を停止することによって、下から2段目より上方に位置する複数の円錐ころ1も落下が停止されることになる。
【0042】
その後、下側ロッド162Bによる最下段の円錐ころ1の拘束を解くことによって、最下段の円錐ころ1のみを落下させて、治具156のころ収容部156bに収容し、保持器2のポケット部6に装入する。
【0043】
その後、次に円錐ころ供給部130から供給される円錐ころ1のポケット部6への装入が円滑に行われるように、治具156及び保持器2を、隣り合うポケット部6の間隔に相当する角度だけ回転させる。
【0044】
続いて、下側ロッド162Bを伸長させた後、下から二段目の円錐ころ1の上側ロッド162Aによる拘束を解き、自由落下した当該円錐ころ1を下側ロッド162Bによって拘束する。その後は、上述の方法を繰り返すことによって、最下段の円錐ころ1を順次1個ずつ落下させ、それぞれ保持器2のポケット部6に装入する。
【0045】
そして、保持器2の全てのポケット部6に円錐ころ1が装入された後、不図示の可動機構により、チューブ120及び天板158を上方に退避させるとともに、保持器載置部50の軸152、下型154、及び治具156を下降させ、保持器2の内周側から公知の方法によって内輪(不図示)を組み込むことによって、円錐ころ1、保持器2、及び内輪を互いに一体化する。そして、次工程に渡す。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の円錐ころ供給装置110Aによれば、チューブ120から排出される複数の円錐ころ1のうち、最下段及び下から2段目の円錐ころ1の落下を停止する落下停止機構160を備え、最下段の円錐ころ1を順次1個ずつ落下させるようにした。したがって、簡便な構成でありながら、最下段の円錐ころ1は他の円錐ころ1の重量の影響を受けることがなく、安定した切り出し動作が可能となり、保持器1のポケット部6に適切に装入することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、ロッド162の先端側面162aと最下段の円錐ころ1の外周面とを当接させて、円錐ころ1の落下を停止していたが、ロッド162を円錐ころ1の下面を支持するように伸長させて、円錐ころ1の落下を停止するように構成してもよい。
【0048】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良などが可能である。
例えば、第1実施形態においてはチューブ20やスクリュー40等による円錐ころ1の搬送経路が、第2実施形態においてはチューブ120等による円錐ころ1の搬送経路が、重力方向(Z方向)に平行となるように構成されていたが、これに限定されず、円錐ころ1の搬送経路を重力方向に対して斜めとなるようにしてもよい。
【0049】
また、複数の円錐ころ1は、大径側を下方すなわち先頭側となるようにチューブ20内の空孔120aに充填されるようにしてもよい。
【0050】
また、第1及び第2実施形態において、円錐ころ供給部30、130を複数設けてもよい。この場合、複数の円錐ころ供給部30(130)から、複数の最下段の円錐ころ1が同時に落下し、複数のポケット部6に同時に装入される。図6には、第1実施形態において、円錐ころ供給部30を2つ設けた場合を示した。このように構成することによって、円錐ころ1の保持器2のポケット部6への装入がより高速化される。
【符号の説明】
【0051】
1 円錐ころ
10、110A 円錐ころ供給装置
20、120 チューブ(ストック部)
30、130 円錐ころ供給部(円錐ころ供給部)
40 スクリュー(円筒部材)
40a 径方向側面
42 ガイド
160 落下停止機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から充填された複数の円錐ころを、積み重ねられた状態でその内部にストックするストック部と、
前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段の円錐ころと、該最下段の円錐ころの上方に位置する円錐ころと、を上流及び下流方向に切り分けて、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させる円錐ころ供給部と、
を有することを特徴とする円錐ころ供給装置。
【請求項2】
前記円錐ころ供給部は、
それぞれ径方向側面に螺旋状の溝を有し、回転可能である一対の円筒部材と、
前記一対の円筒部材の径方向側面と対向する一対のガイドと、
を有し、
前記複数の円錐ころは、前記一対の円筒部材の径方向側面の螺旋状の溝と、前記ガイドと、によってそれぞれ1個ずつ上流及び下流方向に切り分けられ、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させることを特徴とする請求項1に記載の円錐ころ供給装置。
【請求項3】
前記円錐ころ供給部は、前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段及び下から2段目の円錐ころの落下を停止する落下停止機構を有し、
前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させることを特徴とする請求項1に記載の円錐ころ供給装置。
【請求項4】
前記円錐ころ供給部を複数有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の円錐ころ供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の円錐ころ供給装置を備えることを特徴とする円錐ころ軸受組立装置。
【請求項6】
上方から充填された複数の円錐ころを、積み重ねられた状態でストック部の内部にストックする工程と、
前記ストック部から排出される複数の円錐ころのうち、最下段の円錐ころと、該最下段の円錐ころの上方に位置する円錐ころと、を上流及び下流方向に切り分けて、前記最下段の円錐ころを順次1個ずつ落下させる工程と、
を有することを特徴とする円錐ころ供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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