説明

円錐型包装体

【課題】結露等により表面に水滴が付着した場合においても握り易くて、安定して保持できる円錐型包装体を提供する。
【解決手段】円錐状の周壁10の大径側に封止部12を備え、周壁10に形成した破断線22から当該封止部12を破り取って開封する円錐型包装体。周壁10上の破断線22よりも円錐頂点11側の領域に、凹凸面30を形成し、この凹凸面30によりグリップ特性を高めている。したがって、円錐型包装体の表面に水滴が付着した場合においても握り易くて、これを安定して保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐状のコーン部分を握って食べるアイスクリームや菓子等の包装に用いる円錐型包装体に関する。さらに詳しくは、円錐体の周壁に設けた摘み部を引っ張ることで破り開けるタイプの円錐型包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装紙を円錐形に丸めるとともに、上端部を放射状に寄せ合わせて熱接着して封止することでアイスクリームや菓子等を包装する円錐型包装体は、従来から多数知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような円錐形の包装体においては、特にアイスクリームを包装する場合に、包装体の表面に結露による水滴が付着してスベリ易くなるので、これを安定して保持するための何らかの工夫を施すことが好ましい。
【0003】
しかしながら、出願人の知る限り、このような観点で構成された円錐型包装体は従来存在しない。上記特許文献1においても、上方の封止部をうまく破り取るために、破断線の構成が工夫されたものであり、円錐状の包装体を握り易くするという観点からは特別の工夫は為されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2006−82850号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的は、結露等により表面に水滴が付着した場合においても握り易くて、安定して保持できる円錐型包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の円錐型包装体は、円錐状の周壁の大径側に封止部を備え、周壁に形成した破断線から当該封止部を破り取って開封するものである。そして、周壁上の上記破断線よりも円錐頂点側の領域に、凹凸面を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備えた本発明の円錐型包装体においては、凹凸面によってグリップ特性が高められるので、表面に水滴が付着した場合でも握りやすく、安定してこれを保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る円錐型包装体を示す斜視図である。
【0009】
≪全体構成≫
この円錐型包装体は、図2の展開図に示した略三角形のブランクを円錐状に丸めて構成したものである。円錐の大径側である上端部には、放射状に寄せ合わせて熱接着してなる封止部12を備えていて、下端部には円錐頂点11が位置している。また、図1中、円錐の稜線15は、熱接着領域を示している。
【0010】
円錐状の周壁10には、摘み部21が設けられている。この摘み部21は、図2の展開図によく示されているように、上下の破断線22、23に挟まれている。したがって、摘み部21を摘んで周壁10に沿って破り取ることで、上方封止部12を除去することができる。
【0011】
破断線22、23は、これに沿って周壁10を破断することができるものであれば、その具体的な構成は問わない。代表的には、周壁10の全厚を貫通する切目、または、貫通しないハーフカットによる切目を一定間隔に配列したミシン目で構成される。
貫通切目を利用するよりも、ハーフカット切目を利用する場合の方が、包装体の密封性が高まるという利点があるが、いずれを採用するかは包装対象に応じて適宜選択すればよい。
【0012】
コーンアースが包装されている場合、消費者は、上方封止部12を除去してアイスクリームの上部を露出させ、円錐型包装体の下方領域を握って喫食する。本発明の円錐型包装体は、このとき消費者が握る円錐型包装体の下方領域に凹凸面30を形成して、グリップ特性を高めている。
【0013】
凹凸面30は、代表的には、エンボス加工等の適宜の手段を利用して形成することができる。また、凹凸面30が形成される領域の面積や形状も、適宜選択することが可能である。
【0014】
≪積層構造の一例≫
ハーフカットを利用して破断線22、23を構成する場合の円錐型包装体の積層構造の一例を以下に示す。これは単なる例示であって、本発明において、円錐型包装体の積層構造が特定のものに限定されるものではない。
円錐型包装体の外面から内面に向かって「OPP/DL/AL/DL/紙/LDPE」の順に積層する。下線を付した積層部分のみをカットし、最内層に位置する熱接着層であるLDPE(低密度ポリエチレン)層はカットせず、これによりハーフカットが構成される。
OPPは延伸ポリプロピレン層を、DLは接着層を、ALはアルミ層を、それぞれ表しており、延伸ポリプロピレン層には販売促進を目的とした絵柄等が適宜印刷される。
【0015】
≪バーコード表示部を避けて凹凸面を形成する例≫
図2の展開図に示した例では、凹凸面30は、バーコード表示部40を避けるようにして形成されている。バーコード表示部40は、一般的に知られたものであって、商品の種類、メーカー、値段等、当該商品を特定する情報を含んでいる。スーパー等の小売店のレジでは、読取り機でこのバーコードを読み取って料金の精算が行われる。
バーコードの読取り機は光学式の読取り機であるため、凹凸面30上にバーコード表示部40が存在すると、光が散乱して正しく読み取ることを妨げるおそれがある。そのような不都合を防ぐために、図2の例では、バーコード表示部40を避けて凹凸面30を形成している。
【0016】
≪破断線22と凹凸面30との間に帯状領域50を介在させる例≫
さらに、図2の展開図に示した例では、周壁10上において、下側の破断線22と凹凸面30との間に帯状領域50を設けている。この帯状領域50は、破断線22と一点鎖線“A”との間に存在する領域であって、表面に凹凸のない平坦な領域である。
つまり、凹凸面30は、破断線22から、帯状領域50の幅寸法に対応する距離をおいて形成されている。その理由は、次の通りである。
【0017】
凹凸面30はエンボス加工等を利用して、外部から力を付与することで形成される。一方、破断線22はミシン目で構成されているため、外部から力が加わることで破れてしまうことがある。
つまり、破断線22と凹凸面30とが接近していると、凹凸面30を形成する際に加えられる外力で破断線22が破れてしまうおそれがある。そのような不都合を防ぐために、図2の例では、破断線22と凹凸面30との間に帯状領域50を介在させ、帯状領域50の幅寸法に相当する距離だけ両者の間に間隔を保っている。
【0018】
特に、貫通切目からなるミシン目で破断線22が構成されている場合、破断線22の強度が弱いために外力によって破れ易く、したがって、そのような場合に帯状領域50を設けることが有効である。
【0019】
≪周壁上の絵柄を利用する例≫
図3の展開図は、凹凸面30を形成する領域に関する好ましい例を示している。円錐型包装体の表面には、通常、その内部に収容されるアイスクリームのイメージその他、販売促進効果を高めるための画像が印刷される。
図3の例は、そのような画像に合わせて凹凸面30を形成することで、意匠的効果も同時に高めようとするものである。
【0020】
具体的には、周壁10には、アイスクリームの絵柄60が印刷されている。印刷されたアイスクリーム絵柄60は、円錐形状のコーン61を有しており、当該コーン61は凹凸模様を伴うものである。そして、この凹凸模様に一致するようにして凹凸面30を形成する。図3では、アイスクリーム絵柄60を細線で示し、アイスクリーム絵柄60に合わせて形成した凹凸面30を太線で示している。
図面では分かり難いかも知れないが、実際の製品においては、円錐状の周壁10に印刷されたアイスクリームのコーン絵柄61と、当該周壁面上に立体的に現れる凹凸の形態とが相俟って、アイスクリーム絵柄60の立体感(リアル感)が高まる。これにより、グリップ特性を高めるという効果に加えて、消費者の注意を惹きつけるという意匠的な効果も高まり、販売促進効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る円錐型包装体を示す斜視図。
【図2】図1の円錐型包装体の展開図。
【図3】本発明の好ましい形態を示す展開図。
【符号の説明】
【0022】
10 周壁
11 円錐頂点
12 上方封止部
15 熱接着領域
21 摘み部
22、23 破断線
30 凹凸面
40 バーコード表示部
50 帯状領域
60 アイスクリーム絵柄
61 コーン絵柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状の周壁(10)の大径側に封止部(12)を備え、周壁(10)に形成した破断線(22)から当該封止部(12)を破り取って開封する円錐型包装体であって、
周壁(10)上の上記破断線(22)よりも円錐頂点(11)側の領域に、凹凸面(30)を形成したことを特徴とする、円錐型包装体。
【請求項2】
上記周壁(10)上の破断線(22)よりも円錐頂点(11)側の領域に、商品情報を特定するバーコード表示部(40)が設けられていて、
上記凹凸面(30)は、当該バーコード表示部(40)を避けて形成されていることを特徴とする、請求項1記載の円錐型包装体。
【請求項3】
上記周壁(10)上において、破断線(22)と凹凸面(30)との間に平坦な帯状領域(50)を設けたことを特徴とする、請求項1記載の円錐型包装体。
【請求項4】
上記破断線(22)は、周壁全厚を貫通する切目を一定間隔に配列したミシン目で構成されていることを特徴とする、請求項3記載の円錐型包装体。
【請求項5】
上記周壁(10)には、コーン(61)を有するアイスクリームの絵柄(60)が印刷されていて、
当該コーン(61)の凹凸模様に合わせて、上記凹凸面(30)が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の円錐型包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−150064(P2008−150064A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338479(P2006−338479)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】