説明

再利用可能な自己注入器

注入装置は第1のサブアセンブリを含む。第1のサブアセンブリは、流体を保持するチャンバ(116)を含む。チャンバは、内表面および出口孔(114)を含む。第1のサブアセンブリは、チャンバの内部に移動可能に配されたストッパー(112)を含み、このストッパーは、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する外表面を有する。第1のサブアセンブリは、チャンバ内に流体を運ぶように構成されたアダプタ(118)を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、注入装置、例えば、患者に皮下注射する前にバイアルから薬剤が内部に運ばれ得る、再利用可能な自己注入器に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
薬物を患者に送達するため自動注入装置(一般的に自己注入器として知られる)を使用することは、手動注射器にまさる多くの利益を提供してきた。特に、自己注入器は、薬剤を患者に送達するために病院職員にかかる負担を軽減するのに役立ってきた。これは、患者が、確実かつ安全に、また自宅で、その装置を自分自身に使用することができるためである。
【0003】
既知の自己注入器は、WO95/35126およびEP−A−O 516 473に記載されている。これらの、また同様の自己注入器は、典型的には、下準備をして(primed)(すなわち予めバネ付きで)提供され、患者に注入するために使用される用意ができている。このような理由で、薬剤を自己注入器に挿入することが困難であり、結果として、このような自己注入器の製造業者は、典型的には、自己注入器に使用される予め充填された注射器、または特定の薬剤が予め充填されている完成した自己注入器ユニットを提供してきた。
【0004】
このことは、別の状況で自己注入器に必要とされるよりも、複雑で高価な製造プロセスを必要とする。これは、製造業者が、薬剤を入手および提供し、かつそれらの薬剤を保管し取り扱う施設を維持しなければならないためである。さらに、製造業者は、必要とされる各薬剤について、別々の生産ラインを動かさなくてはならない。
【0005】
医学的用途の薬剤はしばしば、標準的なバイアル中で製造および分配される。このように、薬剤は、薬剤が最終的に使用される方法に関わらず、便利に、また比較的安価に、大量に供給されることができる。
【0006】
予め充填された注射器に頼るのではなく、標準的なバイアルから薬剤を抜き出すことのできる自己注入器装置を提供する際、著しいコスト削減を行うことができる。このような装置は、あつらえの薬剤充填済み装置をもはや提供する必要がなくなる製造業者だけでなく、簡易化された在庫システムを享受し、習慣的に(on a regular basis)使用される標準的なバイアルを利用することができる病院、および、自己投与のためのバイアルの蓄え(supply)を備えることのできる患者にも恩恵を与える。
【0007】
さらに、バイアルの使用により、より大きな割合の自己注入器装置を再利用する可能性が許容される。典型的には、自己注入器は、2つのサブアセンブリで提供される。第1のサブアセンブリは、操作機構、および他の全ての再利用可能な構成要素を含み、第2のサブアセンブリは、装置を使用するたびに取り替えなければならない注入構成要素を収容する。
【0008】
第2のサブアセンブリのコストにおける主要因子は、注入されるべき薬剤が予め充填されたチャンバを設けることである。前記に説明したように、様々な範囲の注射器を提供することは、自己注入器の製造プロセスの、高価で時間のかかる側面である。標準的なバイアルの使用により、このコストを減らすことができる。
【0009】
〔発明の概要〕
本発明は、前記の問題を解決することを目的とする。したがって、注入装置は、第1のサブアセンブリを含み、第1のサブアセンブリは、流体を保持し、内表面および出口孔を含むチャンバと、チャンバ内部に移動可能に配されたストッパーであって、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する外表面を有する、ストッパーと、チャンバ内に流体を運ぶように構成されたアダプタと、を含む。
【0010】
あつらえのアダプタにより流体が内部に運ばれ得るチャンバを有する、自己注入器などの注入装置を提供することは、先行技術にまさる少なくとも2つの利益を有する。まず、自己注入器装置の製造業者は、再利用可能なサブアセンブリに挿入されるべき様々な範囲の予め充填された注射器を製造する必要がなくなる。むしろ、製造業者は、注入の直前に任意の様々な薬剤が内部に運ばれ得る、本発明による1種類のサブアセンブリを代わりに提供することができる。この1種類のサブアセンブリは、大量に生産されることができるので、製造コストが減少する。
【0011】
この利点は、本発明があらゆる種類の容器(薬剤がその容器からチャンバ内へ運ばれ得る)と共に使用されることができる第2の利益につながる。特に、本発明は、標準的なバイアルと共に使用されることができる。
【0012】
さらに、本発明により、より多くの割合の針アセンブリを再利用することができる。既知の自己注入器システムは、予め充填された注射器を必要とするが、針装置内部のチャンバの中に流体を運ぶ能力により、より大きな再利用性の範囲が可能となる。
【0013】
アダプタは、チャンバを通してストッパーを動かす手段と、ストッパーが出口孔から離れたときに流体をチャンバの中に運ぶ手段と、を含むことができる。ストッパーは、アダプタの遠位端部に設けられることができる。
【0014】
アダプタを設けることは、流体を注入するチャンバ内に流体を直接提供するために自己注入器を分解する必要をなくすという、追加の利点を有する。チャンバ内に流体を運ぶように構成されたアダプタにより、使用者は、注入されるべき流体を、都合のよい場所で提供することができる。
【0015】
前記に述べた実施形態では、流体が内部に運ばれるチャンバの容量は、ストッパーと出口孔との間の空間により定められる。その結果、この容量は、ストッパーが出口孔から離れると増大する。容量の増大は、チャンバ内の圧力の減少を引き起こし、これによって、流体がチャンバ内に引き込まれる。当然、代替的な実施形態では、チャンバ容量の増大、および対応する効果は、ストッパーを出口孔に向かって動かすことにより、達成され得る。チャンバ内に流体を引き込むためにチャンバ容量の増大を達成する他の実施形態も考えられる。
【0016】
好ましくは、ストッパーは、運搬アセンブリが出口孔から離れてチャンバに対して動かされたときに、チャンバ内に流体を運ぶように構成される。
【0017】
アダプタは、流体容器を受容し、容器からチャンバへ流体を運ぶように構成されてよい。適切な容器は、薬剤を収容し、何らかの形でアダプタと協調するように構成された、あらゆる容器を含み得る。したがって、流体薬物を収容および運搬するのに使用される標準的なバイアルを、本発明と組み合わせて使用することができる。このように、薬剤を注射器内に運ぶプロセスが患者によって完全に実行され得るので、自己注入器システムを提供するコストは大きく減少し、標準的なバイアルは、入手しやすく、コストが低い。容器は、アダプタの近位端部に設けることができる。
【0018】
アダプタと連絡するバイアルなどの流体容器を設けることの利便性により、チャンバ内に流体を運ぶことが、特に簡単になることが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、アダプタは、注入装置の外側に延びてよく、流体容器は、アダプタ上に単に押し付けられて、容器とチャンバとの間に流体導管を作り出すことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、チャンバ内に流体を運ぶ手段は、中空の流体運搬針を含んでよく、この針は、ストッパーが出口孔から離れるにつれて、中空の針を通して流体を流体容器から運ぶために、流体容器に係合するように構成される。あるいは、針は、一方向弁を含む流体通路を含んでよい。これにより、チャンバ内への運搬が可能となるが、チャンバから外へは運搬されない。
【0020】
典型的には、薬剤を収容するのに使用される容器は、貫通可能なホイルまたはゴムのキャップを備えている。アダプタ上に設けられ、キャップを貫通するように構成された針は、容器とチャンバとの間の流体導管の一部を形成することができる。当然、針は単に好ましいだけである。容器の特定の構成に従って他の手段を提供することもできる。例えば、容器が弁を含むものである場合、流体をチャンバ内に運ぶ手段は、流体密封シールによって弁に接続された中空通路を含むことができる。流体を容器から運ぶ手段を含む他の実施形態も、想定される。
【0021】
中空の針は、ストッパーを通してチャンバ内へ流体を送達するためにストッパーを貫通するように構成されてよい。そのような実施形態では、中空の針は、アダプタの長さにわたって、すなわち近位端部の容器から遠位端部のチャンバまで、延びて、容器とチャンバとの間に完全な流体導管を提供することができる。この実施形態のさらなる利益は、近位端部において中空の針と容器を係合させる力も、中空の針を通じて伝達可能であり、ゆえに、遠位端部でストッパーを貫通するのに十分であり得ることである。
【0022】
あるいは、そのような針の代わりに、アダプタは、チャンバ内に流体を運ぶことができるようにストッパーを貫通するよう構成された、別個の第2の針を含むことができる。そのような実施形態では、第2の針をストッパーに通す手段を提供することが必要となる場合がある。当然、第2の針は、チューブ、または流体を運ぶ類似手段に代えることができる。そのような手段は、流体をチャンバ内へ運ぶことを可能にするがチャンバからは外へは出さないように、弁を含むことができる。
【0023】
好適な実施形態では、アダプタは、流体を容器からチャンバに運ぶために流体経路を含む。アダプタが、その長さにわたる単一の中空の針を含む場合は、流体経路は、針を通る。しかしながら、そのような単一の導管がない場合、アダプタは、流体を運ぶために、容器とチャンバとの間に流体経路を提供することができる。この経路は、例えば、中空通路またはチューブであってよい。
【0024】
代替的な実施形態では、自己注入器は、解放可能な駆動機構を含む第2のサブアセンブリを含む。この機構は、駆動機構の作動時にストッパーに対して駆動される細長いシャフトを含むことができる。理解されるように、チャンバ内へ流体を運ぶ役割に加え、ストッパーは、流体を注入装置から患者内へ排出する機能を行うのを助けることもできる。
【0025】
第1のサブアセンブリは、第2のサブアセンブリから分離可能であってよい。これは、第2のサブアセンブリが再利用可能である場合に特に有用である。前記に説明したように、2つの分離可能なサブアセンブリを提供する上で、自己注入器の駆動機構を含む第2のサブアセンブリは再利用されることができるが、薬剤および患者と接触させられている第1のサブアセンブリは、処分されてよい。
【0026】
当然、本発明の性質により、第1のサブアセンブリは、必要であれば再利用されることもできる。薬剤を患者内に放出した後で、さらなる流体が、前記のように、同じ患者内に注入するために、第1のサブアセンブリ内に運ばれてよい。これにより、自己注入器の長期コストがさらに減少する。これは、取替が必要な構成要素が、バイアルおよび薬剤のみであるためである。そのような状況で、汚染を防ぐために第1のサブアセンブリを滅菌することが有利となり得る。
【0027】
第2のサブアセンブリを含む実施形態では、アダプタは、流体経路を提供するため、シャフト内部に挿入されるように構成されてよい。よって、シャフトは、流体を注入装置から排出するためストッパーを駆動する機能を実行でき、アダプタは、流体がチャンバ内へ運ばれ得るように、ストッパーに流体導管を与えることができる。
【0028】
オプションとして、アダプタは、ストッパーに対して取り外し可能に取り付け可能である。ストッパーは、流体がいったんチャンバ内へ運ばれると自己注入器の内側で機能し得るままでなければならないが、アダプタは、それ以上の目的を有していなくてよい。したがって、注入前に、ストッパーからアダプタを取り外すことが有利となり得る。アダプタおよびストッパーは、そのような取り外し可能な取り付けを可能にするために、相互に係合可能なねじ山を含むことができる。当然、クリップまたは戻り止めといった、他の取り外し可能な係合手段を、代わりに使用することができる。
【0029】
本発明は、添付図面を参照して、例として説明される。
【0030】
〔図面の詳細な説明〕
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態による自己注入器110を示す。
【0031】
自己注入器110は、注射器内に配されたプランジャに連結された駆動手段111を含む。プランジャは、内表面を有するチャンバ116内部に配されたストッパー112を含む。ストッパー112は、チャンバ116内部を移動可能であり、その周辺部の周りで内表面と実質的に接触する外表面を有している。ストッパーは、柔軟な材料から作られる。この実施形態では、材料はゴムであるが、他の柔軟な材料を使用してもよい。ストッパーとチャンバとの間の接触は、流体密封かつ気密シールを形成する。
【0032】
チャンバ116の遠位端部には、注入針115と連絡している出口孔114が設けられている。自己注入器の下準備ができて、薬物を患者内に注入する用意ができると、装置の操作は以下の通りである。作動すると、駆動手段111は、自己注入器110のケースの外側に注入針115を露出し、その後、出口孔114に向かってプランジャ112をチャンバ116内部で動かして、出口孔114を通してチャンバ116の中身を放出するように構成される。
【0033】
自己注入器は、注入針115上に配されたシース142を含む取り外し可能なキャップ140を含む。シース142は、注入針115を保護し、注入針115の先端部上に、実質的に流体密封かつ気密のシールを提供して、流体の進入もしくは放出(egress)または他の汚染を防ぐ。
【0034】
図1〜図3の自己注入器では、ストッパー112は出口孔114に隣接する。流体が内部に運ばれ得るチャンバ116の利用可能容量は最小であり、したがって、チャンバ116は、実質的に空である。ストッパー112が出口孔114から離れて位置付けられると(図4および図5を参照)、チャンバ116の利用可能容量は、最大または実質的に最大となる。図示のとおり、チャンバ116は、流体を保持するのに適しており、注入直前には、注入されるべき薬剤を収容する。
【0035】
図1をさらに詳細に参照すると、自己注入器は、ストッパー112に取り外し可能に取り付けられたアダプタ118を含む。
【0036】
アダプタ118は、自己注入器110、および投与されるべき薬剤のバイアル132(以下を参照)を含むキットに提供されるか、自己注入器110に予め備え付けられて提供されるか、または使用者が自己注入器110に挿入するように別々に提供されることができる。
【0037】
アダプタ118およびストッパー112は、相互接続するねじ山120を含み、アダプタ118は、アダプタ118のねじを緩めることによりストッパー116から取り外されることができる。アダプタは、近位端部および遠位端部を有する細長いシャフト122を含む。ストッパー112は、細長いシャフト122の遠位端部でアダプタ118に取り付けられる。アダプタ118の近位端部には、ハンドル124がある。ハンドル124にはポート126が配されており、ポート126は、キャップ134を有するバイアル132を受容するように構成されている。ハンドル124は、細長いシャフトに取り付けられ、使用者が自己注入器内部でアダプタ118を動かすことを可能にし、それによってチャンバ116内部でストッパー112を動かす。
【0038】
アダプタ118は、中空の針128をさらに含み、中空の針128は、シャフト122を通って延び、また、シャフト122内部で長さ方向に移動可能である。針128は、シャフト122の近位端部および遠位端部に対応する近位端部および遠位端部を有する。近位端部において、針128はポート126内へと延びる。近位端部で針128に固定されているのは、グリップ130である。グリップ130は、針128と共にポート126内部で移動可能である。針128はその遠位端部において、ストッパー112に隣接する。針128は、容器がアダプタ118と係合すると、遠位端部ではストッパー112を、近位端部ではキャップ134を貫通することができるように構成されている。
【0039】
バイアル132は、患者内に注入されるべき薬剤136を収容する。図2に見ることができるように、針の近位端部がバイアル132のキャップ134を貫通する第1の位置までバイアル132がポート126と係合すると、それによりバイアル132と中空の針128との間に流体導管が作られる。ポート126は、ポート126内部のこの位置でバイアル132を固定するように構成された戻り止め138を含み、キャップ134はグリップ130に隣接する。
【0040】
バイアル132は、図3に示すように、第2の位置まで、ポート126内部でさらに係合され得る。第1の位置から第2の位置までバイアル132を動かす際に、バイアルは、グリップ130を押し、グリップは、出口孔114に向かってポート126内部を動く。グリップは針に取り付けられているので、グリップの動きにより、針の対応する動きが生じる。針128が出口孔114の方へ動くにつれて、針はストッパー112を貫通し、それによって、針128を通ってバイアル132からチャンバ116までの流体導管が完成する。しかしながら、この段階では、流体はバイアル132の中に残っている。
【0041】
図4は、バイアル132からチャンバ116へ流体を運ぶプロセスを示す。針128がいったんキャップ134およびストッパー112の双方を貫通すると、使用者は、自己注入器を通してアダプタ118を引っ張り、それによって、出口孔114から離れるようにチャンバ116を通してストッパー112を引っ張ることができる。
【0042】
ストッパー112が出口孔114から遠ざかると、チャンバ116内の利用可能容量は増大する。注入針115が取り外し可能なキャップ140のシース142によってシールされることにより、流体が出口孔114を通ってチャンバ116内に入るのを防ぐので、その容量の圧力は減少し、バイアル132とチャンバ116との間の圧力差により、流体がバイアル132から流体運搬針128を通ってチャンバ116内へ引き込まれる。
【0043】
図5は、バイアル132からの流体の実質的に全てがチャンバ内へ運ばれた後の、自己注入器を示す。アダプタ118は、ストッパー112から取り外され、アダプタ118は、流体運搬針128と共に、自己注入器110から引き抜かれる。ストッパーは柔軟なので、流体運搬針128により形成された孔は、流体運搬針128が取り外された後で、実質的にシールされる。
【0044】
自己注入器110はいまや、投与されるべき薬剤を収容している。
【0045】
図6〜図8は、本発明の第2の実施形態によるキット200を示す。
【0046】
図6は、自己注入器で使用するのに適した第1のサブアセンブリ210を示す。第1の実施形態と同様に、第1のサブアセンブリ210は、注射器内部に配されたプランジャを含む。プランジャは、内表面を有するチャンバ224内部に配されたストッパー222を含む。チャンバ224の遠位端部には、注入針(不図示)と連絡している出口孔226が設けられる。ストッパー222およびチャンバ224は、第1の実施形態のストッパーおよびチャンバに一致している。
【0047】
第1のサブアセンブリは、第1の実施形態のキャップに一致した取り外し可能なキャップ212を含む。第1のサブアセンブリ210はまた、ストッパー222に取り外し可能に取り付けられたアダプタ214も含む。アダプタ214は、第1の実施形態のアダプタと一致している。アダプタは、ハンドル216、および流体運搬針(不図示)を含む。ハンドル216にはポート218が配されており、ポート218は、バイアル220を受容するように構成されている。ポート218は、第1の実施形態のポートと一致している。
【0048】
第1の実施形態と同様に、使用者は、バイアル220をポート218と係合させることができ、流体運搬針は、バイアルのキャップを貫通する。さらなる係合により、流体運搬針はストッパー222を貫通し、バイアル220から針を通ってチャンバ224まで流体導管が作られる。
【0049】
図7に示すように、使用者は、第1のサブアセンブリ210を通してアダプタ214を引き、それにより、出口孔226から離れるようにチャンバ224を通してストッパー222を引っ張る。第1の実施形態と同様に、流体が内部に運ばれ得るチャンバ224の利用可能容量は、ストッパー222が出口孔226から遠ざかるにつれて、増大する。容量が増大すると、その容量の圧力は減少し、それにより、バイアルから針を通ってチャンバ224内へと流体が引き込まれる。いったん流体が運ばれると、アダプタはストッパー222から取り外され、アダプタは流体運搬針と共に引き抜かれる。
【0050】
次に図8を参照すると、いったん第1のサブアセンブリ210の下準備ができたら、第1のサブアセンブリ210は、第2のサブアセンブリ310の開いた孔311に挿入される。第2のサブアセンブリ310は、駆動機構を含み、駆動機構は、以下のとおり、第1のサブアセンブリ210の構成要素に作用する(operate on)ように構成される。
【0051】
いったん係合すると、第1のサブアセンブリ210および第2のサブアセンブリ310は、注入装置を形成する。この注入装置は、下準備されており、薬剤を充填されると第1の実施形態の自己注入器110と同一の状態で使用される用意ができる。実際、第1の実施形態の自己注入器110は、第1のサブアセンブリ210および第2のサブアセンブリ310を含むが、第1の実施形態では、これらのサブアセンブリは、薬剤の装填前に組み立てられている。
【0052】
したがって、第1および第2の実施形態双方において、第2のサブアセンブリ310の解放機構320の作動により、駆動機構に作用する駆動バネ322の形で、駆動機構が解放されて、針を、自己注入器の外側に露出し、患者の皮膚、およびチャンバ116を通じて駆動されるべきストッパー112を貫通して、患者に流体を注入する。流体が全て放出された後で、針は、その後、後退機構324によって後退し、針は、組み立てられた自己注入器110内部に完全に入る。
【0053】
いったん流体が注入されると、第2のサブアセンブリ310は、第1のサブアセンブリ210から分解されて、再利用されることができる。第1のサブアセンブリ210は、廃棄されてよく、新しい第1のサブアセンブリが、次の注入のために提供されるか、または再利用のため滅菌されることができる。
【0054】
請求項で定義される、本発明の範囲から逸脱せずに、説明した実施形態に対して改変が行われてよいことが理解されるであろう。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 注入装置において、
第1のサブアセンブリ、
を含み、前記第1のサブアセンブリは、
流体を保持するチャンバであって、内表面および出口孔を含む、チャンバ、
前記チャンバ内部に移動可能に配されたストッパーであって、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触する外表面を有する、ストッパー、ならびに、
前記チャンバ内に流体を運ぶように構成されたアダプタ、
を含む、注入装置。
(2) 実施態様1に記載の注入装置において、
前記アダプタは、
前記チャンバを通して前記ストッパーを動かす手段と、
前記ストッパーが前記出口孔から遠ざかるときに流体を前記チャンバ内に運ぶ手段と、
を含む、注入装置。
(3) 実施態様1または2に記載の注入装置において、
前記アダプタは、流体容器を受容し、前記流体を前記容器から前記チャンバへ運ぶように構成される、注入装置。
(4) 実施態様2に従属する実施態様3に記載の注入装置において、
前記流体を前記チャンバ内に運ぶ手段は、中空の流体運搬針を含み、前記中空の流体運搬針は、前記ストッパーが前記出口孔から遠ざかると前記流体容器から前記中空の針を通して流体を運ぶために前記流体容器に係合するように構成される、注入装置。
(5) 実施態様4に記載の注入装置において、
前記中空の針は、前記ストッパーを通して前記チャンバ内へ流体を送達するために前記ストッパーを貫通するように構成される、注入装置。
【0056】
(6) 実施態様3〜5のいずれかに記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記容器から前記チャンバへ流体を運ぶために流体経路を含む、注入装置。
(7) 実施態様1〜6のいずれかに記載の注入装置において、
第2のサブアセンブリ、
をさらに含み、前記第2のサブアセンブリは、
解放可能な駆動機構であって、前記駆動機構の作動時に前記ストッパーに対して駆動される細長いシャフトを含む、解放可能な駆動機構、
を含む、注入装置。
(8) 実施態様7に記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記シャフト内部に挿入されるように構成される、注入装置。
(9) 実施態様1〜8のいずれかに記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記ストッパーに対して取り外し可能に取り付け可能である、注入装置。
(10) 実施態様9に記載の注入装置において、
前記アダプタおよび前記ストッパーは、取り外し可能な取り付けを可能にするために、相互に係合可能なねじ山を含む、注入装置。
【0057】
(11) 実施態様1〜10のいずれかに記載の注入装置において、
前記ストッパーは、前記ストッパーが前記出口孔に向かって動くと、前記チャンバ内部に保持された流体を放出するようにさらに構成される、注入装置。
(12) 実施態様1〜11のいずれかに記載の注入装置において、
前記出口孔と流体連通する注入針、
をさらに含む、注入装置。
(13) 実施態様7に従属する実施態様12に記載の注入装置において、
前記解放可能な駆動機構は、作動時に、
(a)前記注入針が前記注入装置のハウジングの内側に完全に入る後退位置から、前記注入針が少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある延出位置まで、前記チャンバおよび前記注入針を動かし、
(b)その後、前記出口孔に向かって前記チャンバ内で前記ストッパーを動かして、流体を前記注入針から放出する、
ように構成される、注入装置。
(14) 実施態様13に記載の注入装置において、
前記流体が放出された後で前記注入針を前記ハウジング内に後退させるように構成された後退機構、
をさらに含む、注入装置。
(15) 実施態様7、13、または14に記載の注入装置において、
前記第1のサブアセンブリは、前記第2のサブアセンブリから分離可能であり、
前記第2のサブアセンブリは、再利用可能である、注入装置。
【0058】
(16) 流体を注入装置に導入する方法であって、前記装置は、内表面を有する流体容器、前記流体容器内部に移動可能に配されたストッパー、および、前記ストッパーに取り外し可能に接続可能なアダプタを含み、前記アダプタは、中空の針を含む、方法において、
前記アダプタを前記ストッパーに接続する工程と、
前記ストッパーを前記針で貫通する工程と、
前記流体容器を通して前記アダプタおよび前記ストッパーを引っ張り、それにより、前記針を通して前記注射器内に流体を引き込む工程と、
を含む、方法。
(17) 注入キットにおいて、
注入装置のための第1のサブアセンブリ、
を含み、前記第1のサブアセンブリは、
流体を保持するチャンバであって、内表面および出口孔を含む、チャンバ、
前記チャンバ内部に移動可能に配されたストッパーであって、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触する外表面を有する、ストッパー、ならびに、
前記チャンバ内へ流体を運ぶように構成されたアダプタ、
を含む、注入キット。
(18) 実施態様17に記載の注入キットにおいて、
前記アダプタに接続される、運ばれるべき流体のバイアル、
をさらに含む、注入キット。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態による自己注入器の側面図である。
【図2】バイアルが自己注入器のアダプタと係合している、第1の実施形態の側面図である。
【図3】バイアルが自己注入器のアダプタとさらに係合している第1の実施形態の側面図である。
【図4】流体が自己注入器内に引き込まれている第1の実施形態の側面図である。
【図5】アダプタが自己注入器から取り外されている第1の実施形態の側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による、アダプタに接続された第1のサブアセンブリの側面図である。
【図7】流体が第1のサブアセンブリ内に引き込まれており、アダプタが取り外されている、第2の実施形態の側面図である。
【図8】第1のサブアセンブリが第2のサブアセンブリと係合している第2の実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置において、
第1のサブアセンブリ、
を含み、前記第1のサブアセンブリは、
流体を保持するチャンバであって、内表面および出口孔を含む、チャンバ、
前記チャンバ内部に移動可能に配されたストッパーであって、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触する外表面を有する、ストッパー、ならびに、
前記チャンバ内に流体を運ぶように構成されたアダプタ、
を含む、注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の注入装置において、
前記アダプタは、
前記チャンバを通して前記ストッパーを動かす手段と、
前記ストッパーが前記出口孔から遠ざかるときに流体を前記チャンバ内に運ぶ手段と、
を含む、注入装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の注入装置において、
前記アダプタは、流体容器を受容し、前記流体を前記容器から前記チャンバへ運ぶように構成される、注入装置。
【請求項4】
請求項2に従属する請求項3に記載の注入装置において、
前記流体を前記チャンバ内に運ぶ手段は、中空の流体運搬針を含み、前記中空の流体運搬針は、前記ストッパーが前記出口孔から遠ざかると前記流体容器から前記中空の針を通して流体を運ぶために前記流体容器に係合するように構成される、注入装置。
【請求項5】
請求項4に記載の注入装置において、
前記中空の針は、前記ストッパーを通して前記チャンバ内へ流体を送達するために前記ストッパーを貫通するように構成される、注入装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記容器から前記チャンバへ流体を運ぶために流体経路を含む、注入装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の注入装置において、
第2のサブアセンブリ、
をさらに含み、前記第2のサブアセンブリは、
解放可能な駆動機構であって、前記駆動機構の作動時に前記ストッパーに対して駆動される細長いシャフトを含む、解放可能な駆動機構、
を含む、注入装置。
【請求項8】
請求項7に記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記シャフト内部に挿入されるように構成される、注入装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記アダプタは、前記ストッパーに対して取り外し可能に取り付け可能である、注入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の注入装置において、
前記アダプタおよび前記ストッパーは、取り外し可能な取り付けを可能にするために、相互に係合可能なねじ山を含む、注入装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記ストッパーは、前記ストッパーが前記出口孔に向かって動くと、前記チャンバ内部に保持された流体を放出するようにさらに構成される、注入装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の注入装置において、
前記出口孔と流体連通する注入針、
をさらに含む、注入装置。
【請求項13】
請求項7に従属する請求項12に記載の注入装置において、
前記解放可能な駆動機構は、作動時に、
(a)前記注入針が前記注入装置のハウジングの内側に完全に入る後退位置から、前記注入針が少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある延出位置まで、前記チャンバおよび前記注入針を動かし、
(b)その後、前記出口孔に向かって前記チャンバ内で前記ストッパーを動かして、流体を前記注入針から放出する、
ように構成される、注入装置。
【請求項14】
請求項13に記載の注入装置において、
前記流体が放出された後で前記注入針を前記ハウジング内に後退させるように構成された後退機構、
をさらに含む、注入装置。
【請求項15】
請求項7、13、または14に記載の注入装置において、
前記第1のサブアセンブリは、前記第2のサブアセンブリから分離可能であり、
前記第2のサブアセンブリは、再利用可能である、注入装置。
【請求項16】
流体を注入装置に導入する方法であって、前記装置は、内表面を有する流体容器、前記流体容器内部に移動可能に配されたストッパー、および、前記ストッパーに取り外し可能に接続可能なアダプタを含み、前記アダプタは、中空の針を含む、方法において、
前記アダプタを前記ストッパーに接続する工程と、
前記ストッパーを前記針で貫通する工程と、
前記流体容器を通して前記アダプタおよび前記ストッパーを引っ張り、それにより、前記針を通して前記注射器内に流体を引き込む工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
注入キットにおいて、
注入装置のための第1のサブアセンブリ、
を含み、前記第1のサブアセンブリは、
流体を保持するチャンバであって、内表面および出口孔を含む、チャンバ、
前記チャンバ内部に移動可能に配されたストッパーであって、その周辺部の周りで前記内表面と実質的に接触する外表面を有する、ストッパー、ならびに、
前記チャンバ内へ流体を運ぶように構成されたアダプタ、
を含む、注入キット。
【請求項18】
請求項17に記載の注入キットにおいて、
前記アダプタに接続される、運ばれるべき流体のバイアル、
をさらに含む、注入キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−524765(P2011−524765A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514112(P2011−514112)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001448
【国際公開番号】WO2009/153543
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(506157570)シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル (39)
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
【住所又は居所原語表記】Landis & Gyrstrasse 1,Zug, CH−6300, Switzerland
【Fターム(参考)】