説明

再封機能付き軟包装袋

【課題】別体の再封用部材を取り付ける必要がなく開封された袋の開口部を簡単な操作で再封することのできる袋を生産性よく安価に提供する。
【解決手段】周囲の端縁部を袋状にシールしてなる積層フィルム製の袋において、袋の上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上下の中間部に、中間部同士を結ぶように袋の折り曲げ線が横方向に設けられ、折り曲げ線の上下の等しい距離にある両側のシール部の、折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられた再封可能な袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再封可能な袋に関し、特に再封手段の形成が容易で、且つ開封した開口部を簡単な操作で確実に再封することのできる再封機能付き軟包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再封可能な袋としては、例えば、再封時に粘着層を有する蓋あるいは容器開口部を密着させて密封する袋、開口部を別添のシール等で留める方法、開口部をクリップ等の別パーツで留める方法が主流であった。
さらに、再封可能な袋としては、例えば、袋の開封位置の下側の両側のフィルムの内面に、チャックテープまたはジッパーなどと呼ばれる繰り返し嵌合と解離が可能な雄型凸条の嵌合部を設けたテープ体と、雌型凹条の嵌合部を設けたテープ体とを、両者の嵌合部が対向するように貼着しておいて、開封された袋を再封する際には、両者の嵌合部を外側から押圧して嵌合させて再封できるようにしたチャックテープ付き袋がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたチャックテープ付き袋によれば、袋の再封手段として、前記チャックテープを袋の開封位置の下側(袋の内部側)の両側のフィルムの内面に、通常ヒートシールにより貼着しており、両側のテープ体の嵌合部の嵌合により袋の再封が行われるので、比較的密封性がよく、安定した再封性が得られる。
しかし、チャックテープ付き袋の製造には、袋のフィルムとは別にチャックテープを用意する必要があり、また、チャックテープの取り付けにも専用の取り付け装置が必要で、特に、チャックテープを袋の内面に熱接着する際には、その両端のヒートシール部でシール抜けを生じやすく、ヒートシールを確実に行うためには精度の高い作業と品質管理が必要で、これらを総合すると製造コストの上昇が避けられない問題があった。
【0004】
また、包装袋の口部シール部寄りの左シール部及び右シール部のシール幅を広げて広幅シール部を設け、各広幅シール部に口部シール部の延長部へ向けて伸びるスリットを刻設して、開封後、両スリットで画定された袋胴部よりも狭幅の開口端部が得られるように形成し、且つ、袋胴部の一外面にフィルムを重ね合せ、該フィルムの左右両端部領域をそれらと相対する胴部外面領域に貼合して前記開口端部の挿入部を設けた構成の再封可能な袋がある(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載された再封可能な袋によれば、袋に再封機能を付与するために、袋胴部の一外面にフィルムを重ね合わせて、該フィルムの左右両端部領域をそれらと相対する胴部外面領域に貼合して、袋の開口端部の挿入部を設けた構成としているので、袋を再封する際には、袋の開口端部を折り返してこの挿入部に挿入することにより、簡易な再封を行うことができる。
【0006】
しかし、この場合も前記フィルムを袋の胴部外面に貼合するためには、その貼合装置が必要であり、また、通常、袋の胴部外面は熱接着性を有していないため、何らかの接着剤が必要であり、ヒートシール剤やホットメルト接着剤などを用いたとしても強固な接着は難しく、袋の取り扱い中に貼合したフィルムが引っかけられたり、貼合部が剥がれたりする問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
【0007】
特許文献3では、袋の再封手段として別体の再封用部材を取り付ける必要がなく開封された袋の開口部を簡単な操作で再封することのできる袋を生産性よく安価に提供するために、上下及び左右側部の端縁部をヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、上
部シール部の下側に袋の開封手段を横方向に設け、左右両側の側部シール部に、袋の上部から下方に向けてシール幅を広くした広幅シール部を設けると共に、該広幅シール部の前記開封手段の下側の領域の上下の中間部に、該中間部同士を結ぶように袋の折り曲げ線を横方向に設け、該折り曲げ線の上下の等しい距離の両側の広幅シール部に、該折り曲げ線で袋を折り返した時、互いに重なり合って係合可能な係止部を設けて構成した再封可能な袋が提案されている。
【0008】
この場合の折り返し部の係止は袋の左右両側の広幅シール部でそれぞれ上下の係止部が前後に重なり合い、その重なり合った係止部を係合させて折り返し部を係止するようになっており、上下の係止部はスリットによって形成されているのでスリット形状を設ける部分の左右両側のシール部分は上部のみ広幅となっており、内容量が少なくなると同時に意匠的にも制約を受けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平1−94255号公報
【特許文献2】実開昭61−164137号公報
【特許文献3】特開2006−199343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、袋とは別体の再封用部材やその取り付け装置などを必要とせず、通常の製袋と同様な製造工程で簡便に製袋が可能で、製袋と同時に容易に再封手段を設けることができ、且つ、その再封手段により、開封された袋の開口部を簡単な操作で容易に再封することのできる再封可能な軟包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は内容物の保存が可能で簡単に開け閉めできる利便性を追及した結果、開封した上部を二回折り曲げて閉じるとともに、折り曲げた部分を側部シール部分に設けた切り込み部と孔部の嵌合で留める方法により達成できることを見出し本発明の再封機能付き軟包装袋に到達した。
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、袋の上部の端縁部をヒートシールした上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上下の中間部に、中間部同士を結ぶように袋の折り曲げ線が横方向に設けられ、折り曲げ線の上下の等しい距離にある両側のシール部の、折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていることを特徴とする再封機能付き軟包装袋である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、袋の上部の端縁部をヒートシールする上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上部と中間部の位置に、上部同士を結ぶ第1の折り曲げ線と、中間部同士を結ぶ第2の折り曲げ線とがそれぞれ横方向に設けられ、前記第1の折り曲げ線の両側のシール部と、前記第2の折り曲げ線の下側で前記第1と第2の折り曲げ線の間と等しい距離の両側のシール部の、該折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていて、該袋を前記開封手段で開封した後、前記第1の折り曲げ線でその上部を一方に折り返し、更に、その折り返し部を第2の折り曲げ線で同方向に巻き込むように折り返した時、その折り返し部の左右両側の下端で先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が前後に重なり合い、その重なり合った鉤型の凸部と係合可能な孔部を係合させて折り返し部を係止するようにしたことを特徴とする再封機能付き軟包装袋である。
【0014】
係合可能な孔部はさらに第一の折り曲げ線の上方に設けられていてもよい。
この場合には前記第1の折り曲げ線でその上部を一方に折り返したときに縦2列の孔部が前後に重なり合うようにすることによって鉤型の凸部を差し込むことによる係合がより確実なものになるという効果が期待できる。
以下の説明では簡略化のために孔部の数は最少の場合のみの例について主として説明する。
【0015】
本発明の再封機能付き軟包装袋において、袋の形式は、特に限定はされないが、内容物の取り出し口の開封性および開封後の再封性を一層優れたものにするためには、袋の開封手段や折り曲げ線などを設けた部分で袋の積層フィルムの重なりに段差のないことが好ましく、そのためには、三方シール形式や四方シール形式の袋のほか、スタンディングパウチ形式の袋などであることが一層好ましい。
【0016】
前記取り出し口を開封するための開封手段としては、例えば、印刷などによる開封指示線を設けて、その部分を鋏などの刃物で切り取るようにした手段のほか、(イ)袋の周囲のヒートシール部にノッチを設け、そのノッチを開封開始位置として引き裂いて開封する手段、(ロ)一定方向の開封を容易に行うために易引き裂き性フィルム、例えば一軸延伸フィルムをその延伸方向と袋の開封時の引き裂き方向とが一致するように積層フィルム中に積層し、この積層フィルムを袋に用いて引き裂く手段、(ハ)レーザー光照射によって袋の積層フィルムにハーフカット線を設け、そのハーフカット線に沿って引き裂く手段、(ニ)機械的方法によって細長くて小さな傷痕群を袋の端部に設け、その傷痕群を起点として容易に引き裂けるようにした手段などの易開封性手段があり、これらの各開封手段を選択、または適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
上記開封指示線は、点線、破線、実線などの線のほか、文字、記号など何で表示してもよく、印刷などにより容易に設けることができる。
上記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが多用されているが、その形状に制限はなく、引き裂き方向に向かって尖った部分を有する形状であればよい。
【0018】
ハーフカット線についても連続する線状のハーフカット線のほか、ミシン目状などの断続的なハーフカット線であってもよい。
このようなハーフカット線は、1本でもよいが、引き裂き方向がずれる場合を想定して、中心のハーフカット線の両側に各1本、または各2本など複数のハーフカット線を平行、または中心のハーフカット線に収斂する形状、更には、複数の平行なハーフカット線とこれらと斜め方向に交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状などを設けることができる。
【0019】
開封手段としては、以上のような各種の手段をどのように用いてもよいが、少なくとも開封位置に開封指示線を設けることが好ましく、それにより袋の開封位置を明確に指示できるので開封位置に間違いが起こりにくい。
且つ、開封指示線と組み合わせて、ノッチ、ハーフカット線、一軸延伸フィルムの積層などの易開封性手段を用いることにより、鋏などの道具を使用することなく、手で容易に引き裂いて開封できるようになる。
【0020】
前記の本発明の再封可能な軟包装袋の折り曲げ線は、印刷による折り曲げ指示線のみでもよいが、これに加えて筋押しなどによる易折り曲げ線を設けることによってより簡単に適切な位置での再封ができるようになる。
また、前記係止部は、開封後、前記折り曲げ線を折り返して閉じた内容物の取り出し口を、閉じた状態に保持できるようにするためのものであり、例えば、側部シール部の外側から内側に向けて形成された鉤状の切り目線(スリット)からなる差し込み部を有する係止部片と、差し込まれた差し込み部を係止できる孔部からなる係止手段などで設けることができる。
以下の説明で具体的に挙げた係止部の形状は一例であり係止手段の形状と機構は上記の目的を達成できる範囲であればとくに限定されない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1にかかる再封機能付き軟包装袋によれば、周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、袋の上部の端縁部をヒートシールした上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上下の中間部に、中間部同士を結ぶように袋の折り曲げ線が横方向に設けられ、折り曲げ線の上下の等しい距離にある両側のシール部の、折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていることによって、袋の積層フィルムの構成の選定により、密封性のほか、ガスバリヤー性、遮光性など袋に必要とされる性能を優れたものにできるので、安全に内容物を密封包装できると共に、内容物の保存性を向上させることができる。
この先端が鉤型の凸部となる形状のスリットが設けられる側部シール部のシール幅はスリット近傍のみ幅広とすることによって作業時の予期しない切断を防止することも可能である。
【0022】
さらに、袋に密封された内容物を取り出す際には、上部シール部の下側に取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられているので、正しい位置で容易に上部シール部を切り取って取り出し口を開封することができ、必要とする量の内容物を容易に取り出すことができる。
この取り出し口の長さは包装袋の全幅でもよいが、内容物の状態や一回の取り出し量に応じて適切な長さとすることも出来る。この場合は開封する取り出し口に相当する開封手段が適切な長さ分となるように上部シール部の形状を直線状ではなく変形させた領域とすることによって取り出し口を上部の一部のみとすることでよい。
【0023】
加えて、必要量の内容物を取り出した後は、折り曲げ線で袋の上部を折り返した時、互いに重なり合って係合可能な係止部が設けられているので、開封した袋の上部を前記折り曲げ線で一方に折り返して、両側の端縁部で重なり合った係止部同士を係合させることにより、開封された取り出し口が閉じた状態に保持され、袋を再封することができる。
前記のような袋の再封手段は、チャックテープなどの別体の閉鎖部材を使用しておらず、係止部の打ち抜き加工のみで設けることも可能であるため、コストアップも少なく安価で簡便な再封手段として好適に使用することができる。
【0024】
請求項2にかかる再封機能付き軟包装袋によれば、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上部と中間部の位置に、上部同士を結ぶ第1の折り曲げ線と、中間部同士を結ぶ第2の折り曲げ線とがそれぞれ横方向に設けられ、前記第1の折り曲げ線の両側のシール部と、前記第2の折り曲げ線の下側で前記第1と第2の折り曲げ線の間と等しい距離の両側のシール部の、該折り曲げ線で袋を折り返した時に互
いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていて、該袋を前記開封手段で開封した後、前記第1の折り曲げ線でその上部を一方に折り返し、更に、その折り返し部を第2の折り曲げ線で同方向に巻き込むように折り返した時、その折り返し部の左右両側の下端で先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が前後に重なり合い、その重なり合った鉤型の凸部と係合可能な孔部を係合させて折り返し部を係止するようにしたことによって請求項1にかかる再封機能付き軟包装袋の上記の効果に加えて、開封された袋の取り出し口の閉鎖が、巻き込むように折り返された2段階の折り返し部で行われるため一層確実に取り出し口を再封することができる。
係合可能な孔部がさらに第一の折り曲げ線の上方に設けられている場合には開封された袋の取り出し口の閉鎖がより一層確実になる。
【0025】
この場合も袋の再封手段は、チャックテープなどの別体の閉鎖部材を使用しておらず、係止部の打ち抜き加工のみで設けることも可能であるため、コストアップも少なく安価で簡便な再封手段として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の一例を示す模式正面図
【図2】本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の他の一例を示す模式正面図
【図3】本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の他の一例を示す模式正面図
【図4】本発明の再封機能付き軟包装袋の再封状態の一例を示す要部の模式正面図
【図5】本発明の再封機能付き軟包装袋の再封状態の他の一例を示す要部の模式正面図
【図6】孔部形状の代表例
【図7】孔部及び係止片パターンの典型例
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の一例(平パウチ)を示す模式正面図である。
図2は、本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の他の一例(スタンディングパウチ)を示す模式正面図である。
図3は、本発明の再封機能付き軟包装袋の構成の他の一例(取り出し口が小さい場合)を示す模式正面図である。
図4は、図1に示した構成の再封機能付き軟包装袋を開封した後、その折り曲げ線と係止部を使用して、袋を再封した時の再封状態を説明する要部の模式正面図である。
図5は、図2、図3に示した構成の再封機能付き軟包装袋を開封した後、その折り曲げ線と係止部を使用して、袋を再封した時の再封状態を説明する要部の模式正面図である。
図6、図7は、それぞれ本発明の再封機能付き軟包装袋の上部の左右両側のシール部に設ける係止部の形状の例を示す模式図である。
【0028】
図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)は、四方シール形式の袋を応用して構成したものであり、前後の壁面フィルム(1)、(1′)の上下左右四方の端縁部を、上部シール部(5)と底部シール部(4)と、左側の側部シール部(2a)と右側の側部シール部(2b)とでヒートシールして形成される袋において、上部シール部(5)の下側に、上部シール部(5)を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段として、横方向の切り取り線(開封指示線)(9)と、その両端にノッチ(10a)、(10b)を設け、両側の側部シール部(2a)、(2b)の切り取り線(9)を設けた位置の下側の領域の上下の中間部に、該中間部同士を結ぶように該袋の折り曲げ線(14)を横方向に設け、該折り曲げ線(14)の上下の等しい距離の両側の側部シール部(2a)、(2b)に、該折り曲げ線(14)で袋の上部を折り返した時、互いに重なり合って係止可能な係止部を設けて構成したものである。
【0029】
上記の係止部は右側の側部シール部(2a)に形成された孔部(11a)とスリット(切れ目線)(11b)によって形成される係止片(13b)と、左側の側部シール部(2b)に形成された孔部(11c)とスリット(切れ目線)(11d)によって形成される係止片(13d)とによって構成されている。
この場合は矩形の孔部と内側に向かって凸状の鉤状の係止片により構成された係止部の例を示した。
【0030】
なお、前記上部シール部(5)は、この場合、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封するものである。
また、内容物の充填口には袋の底部を使用することもでき、その場合は、底部シール部(4)を内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封すればよい。
【0031】
図2に示した再封機能付き軟包装袋(200)は、スタンディングパウチ形式の袋を応用して構成したものであり、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の構成において、袋の底部を、前後の壁面フィルム(1)、(1′)の下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部(6)まで挿入してなるガゼット部(8)を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には半円形の底面フィルム切り欠き部(7a)、(7b)を設けておいて、ガセット部(8)を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部(4)でヒートシールして形成したものである。
この場合も、上部シール部(5)は、この場合、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封するものである。
【0032】
さらに、図2に示した再封機能付き軟包装袋(200)は、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の構成において、開封された内容物の取り出し口を再封する際に使用する袋の折り曲げ線を一本追加して、第2の折り曲げ線(14b)は、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の折り曲げ線(14)と同じ位置に設けると共に、第1の折り曲げ線(14a) を、上側左右の側部シール部の上下方向の略中間部同士を結ぶように設けたほかは、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)と同様に形成して構成したものである。
【0033】
図3に示した再封機能付き軟包装袋(201)は、図2に示した軟包装袋(200)と同様にスタンディングパウチ形式の袋を応用して構成したものであり、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の構成において、袋の底部を、前後の壁面フィルム(1)、(1′)の下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部(6)まで挿入してなるガゼット部(8)を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には半円形の底面フィルム切り欠き部(7a)、(7b)を設けておいて、ガセット部(8)を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部(4)でヒートシールして形成したものである。
この場合の、上部シール部(5)は、図2の場合に比べて、内容物の取り出し口に使用する部分の長さを短くしてあり、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後に図のような形状の領域を異型ヒートシールして密封するものである。
【0034】
さらに、図3に示した再封機能付き軟包装袋(201)は、図2に示した再封機能付き軟包装袋(201)の構成において、鉤状凸部を有する係止片(13b)、(13d)を
形成するためのスリット(切れ目線)(11b)、(11d)の近傍の側部シール部(2a)、(2b)の幅がその上下の側部シール部の幅よりも広くなっていることによって予期しない切断を防止できる構成となっている。
【0035】
また、図4は、図1に示した構成の再封機能付き軟包装袋(100)を開封した後、その折り曲げ線と係止部を使用して、袋を再封した時の再封状態を説明する要部の正面図である。
即ち、図1に示したように再封機能付き軟包装袋(100)を構成することにより、袋の上部シール部(5)を、例えば、ノッチ(10a)から切り取り線(9)に沿って切り取って、内容物の取り出し口を開封し、充填された内容物の一部を取り出した後、開封された取り出し口を再封する際には、開口された取り出し口を偏平に閉じて、図4に示したように、袋の折り曲げ線(14)で袋の上部を前側下方に折り返すことにより、折り曲げ線(14)の両側の側部シール部(2a)、(2b)の上下の等しい距離に設けられた孔部(11a)と係止片(13b)、および孔部(11c)と係止片(13d)とがそれぞれ前後に重なり合うので、係止片(13b)を孔部(11a)に差し込み、係止片(13d)を孔部(11c)に差し込むことによって、それぞれが係合して折り返された袋の上部が係止され、袋の開口部を再封することができる。
【0036】
図5は、図2、図3に示した構成の再封機能付き軟包装袋(200)、(201)を開封した後、その折り曲げ線と係止部を使用して、袋を再封した時の再封状態を説明する要部の正面図である。
【0037】
即ち、図2に示したように再封機能付き軟包装袋(200)または図3に示したように再封機能付き軟包装袋(201)を構成することにより、袋の上部シール部(5)を、例えば、ノッチ(10a)から切り取り線(9)に沿って切り取って、内容物の取り出し口を開封し、充填された内容物の一部を取り出した後、開封された取り出し口を再封する際には、開口された取り出し口を偏平に閉じて、例えば、第1の折り曲げ線(14a)で袋の上部を前側下方に折り返し、折り返された袋の上部を巻き込むように更に第2の折り曲げ線(14b)で前側下方に折り返すことにより、図4に示したように、第1の折り曲げ線(14a)が折り返し部の下端に位置するようになり、折り曲げ線(14b)の両側の側部シール部(2a)、(2b)の上下の等しい距離に設けられた孔部(11a)と係止片(13b)、および孔部(11c)と係止片(13d)とがそれぞれ前後に重なり合うので、係止片(13b)を孔部(11a)に差し込み、係止片(13d)を孔部(11c)に差し込むことによって、それぞれが係合して2段階に折り返された袋の上部が係止され、袋の開口部を一層確実に再封することができる。
【0038】
本発明の再封機能付き軟包装袋の上部の左右両側の側部シール部に設ける係止片および孔部の形状は図で説明したような形状には限られず、孔部に差し込んで係止出来る組み合わせの形状であればよい。その代表的ないくつかの例の模式図を以下図6、図7に挙げてみた。
【0039】
図6、図7は係止片および孔部の形状例を示す模式図である。
左右両側の係止片および孔部の寸法と形状はかならずしも対称である必要はないが通常製造と取り扱いの容易さから基本的には対称であることが多いと考えられるのでここでは左右両側のうちで片側のみの例を表示してある。
このような形状の適切な組み合わせによって袋の上部を安定した状態に係止することができ、開封した内容物の取り出し口を確実に再封することができる。
もちろん例示した以外の形状でも本発明の再封機能付き軟包装袋に使用することが出来る。
【0040】
本発明の再封機能付き軟包装袋に用いるフィルムとしては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられ、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられる。
【0041】
袋に充填される内容物や、内容物充填後の取り扱い条件、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、上記基材フィルム層とシーラント層との間などに、例えば、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層や、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用することができる。
上記基材フィルム層や水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層、シーラント層などは、それぞれを単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
【0042】
本発明の再封機能付き軟包装袋に用いる基材フィルム層には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂の二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド樹脂)などのポリアミド樹脂の二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムなどを好適に使用することができる。
【0043】
本発明の再封機能付き軟包装袋に用いるガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂などの樹脂フィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDC樹脂の塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフ樹脂ィルム(ONフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。
これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
【0044】
強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
【0045】
また、中間層に易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレン、易引き裂き性二軸延伸ポリエステルフィルムなどを、その延伸方向が袋を開封する際の引き裂き方向と一致するように積層することにより、易開封性手段として、引き裂きを容易にし、且つ、その方向性を安定化させることができる。
前記基材フィルム層とガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0046】
本発明の再封機能付き軟包装袋に用いるシーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂のほか、エチレン・αオレフィン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エステル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリプロピレン樹脂またはその共重合体などを使用することができる。
【0047】
上記シーラント層の積層方法としては、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。
但し、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0048】
次に、本発明の再封機能付き軟包装袋の製造方法について説明する。
本発明の再封機能付き軟包装袋は、先にも説明したように、例えば、袋の上部の端縁部をヒートシールする上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段を横方向に設け、袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上下の中間部に、該中間部同士を結ぶように該袋の折り曲げ線を横方向に設け、該折り曲げ線の上下の等しい距離の両側の側部シール部に、該折り曲げ線で袋を折り返した時、互いに重なり合って係合可能な先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部を有する係止片と係合可能な孔部が設けられているものである。
【0049】
このためには、内容物の取り出し口の開封性や、開封された取り出し口を再封する際の折り曲げ線の折り曲げ適性などの点から、袋の形式は、三方シール形式または四方シール形式などの平パウチ形式のほか、スタンディングパウチ形式などの袋であることがより好ましい。
【0050】
従って、基本的には採用した形式の袋の製袋機を利用して、これに開封手段のノッチを設けるための打ち抜き装置、ハーフカット線を設けるためのレーザー光照射装置、広幅シール部を設けるためのヒートシール装置、係止片と孔部を設けるための打ち抜き装置などを適宜追加付設することにより、その製袋機を使用して容易に製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0051】
<実施例1>
図1に示した構成(四方シール形式)の再封機能付き軟包装袋(100)を作製することとし、以下の構成の積層フィルムを用いて、以下の寸法で袋を作製して実施例1の再封機能付き軟包装袋とした。
【0052】
(1)壁面用積層フィルム(1),(1′)の構成
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)(厚み12μm)/接着剤/易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm)/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、LLDPEフィルム)(厚み50μm)(シーラント層)。
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用したものである。
【0053】
(2)再封機能付き軟包装袋の外形寸法および各部の寸法
袋(100)の外形寸法は、全幅が160mmで、全長が245mmとし、上部シール部(5)のシール幅は7mm、底部シール部(4)および側部シール部(2a)、(2b)のシール幅は各6mmとした。
上部シール部(5)の下には、4mmの間隔を開けて、開封手段として横方向に印刷による切り取り線(9)を設け、その両端にノッチ(10a)、(10b)を設けた。
【0054】
前記切り取り線(9)の下に、45mmの間隔を開けて横方向に、印刷により袋の折り曲げ線(14)を設け、その左右の側部シール部(2a)、(2b)の領域内に、折り曲げ線(14)の上に20mmの間隔を開けて、図示したような形状の孔部(11a),(11c)を、折り曲げ線(14)の下に20mmの間隔を開けて図示したような形状のスリット(11b),(11d)による係止片(13b),(13d)を設けて袋を作製した。
【0055】
<実施例2>
図2に示した構成(スタンディングパウチ形式)の再封機能付き軟包装袋(200)を作製することとし、以下の構成の積層フィルムを用いて、以下の寸法で袋を作製して実施例2の再封機能付き軟包装袋とした。
【0056】
(1)壁面用積層フィルム(1),(1′)の構成
PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミニウム蒸着(蒸着厚み400Å)PETフィルム(以下、アルミ蒸着PETフィルム)(厚み12μm)/接着剤/LLDPEフィルム(厚み50μm)(シーラント層)。
【0057】
(2)底面用積層フィルムの構成
PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミ蒸着PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/LLDPEフィルム(厚み40μm)。
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用したものである。
【0058】
(3)再封機能付き軟包装袋の外形寸法および各部の寸法
袋の外形寸法は、全幅が160mmで、全長が230mmとし、底部のガセット部(8)の折り込み長さは38mmとした。
【0059】
尚、上記以外の袋の胴部および上部の各部の寸法は、前記実施例1の再封機能付き軟包装袋(100)の構成に開封された内容物の取り出し口を再封する際に使用する袋の折り曲げ線(14a)にさらに一本追加して、折り曲げ線(14b)を、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の折り曲げ線(14)と同じ位置に設けると共に、追加の折り曲げ線(14a)を、上側左右の側部シール部の上下方向の略中間部同士を結ぶように設けたほかは、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)と同様に形成して構成したものである
【0060】
さらに、袋(200)の開封手段については、印刷による切り取り線(9)とその両端のノッチ(10a)、(10b)に加えて、前記切り取り線(9)に沿ってレーザー光照射によるハーフカット線を設けたほかは、実施例1と同様に作製して実施例2の再封機能付き軟包装袋とした。
【0061】
<実施例3>
図3に示した構成(開封口の狭いタイプのスタンディングパウチ形式)の再封機能付き軟包装袋(201)を作製することとし、以下の構成の積層フィルムを用いて、以下の寸法で袋を作製して実施例3の再封機能付き軟包装袋とした。
【0062】
(1)壁面用積層フィルム(1),(1′)の構成
PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミニウム蒸着(蒸着厚み400Å)PETフィルム(以下、アルミ蒸着PETフィルム)(厚み12μm)/接着剤/LLDPEフィルム(厚み50μm)(シーラント層)。
【0063】
(2)底面用積層フィルムの構成
PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミ蒸着PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/LLDPEフィルム(厚み40μm)。
上記各フィルムの貼り合わせは、いずれもドライラミネーション法で行ったものであり、各フィルムの間の接着剤は、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を
使用したものである。
【0064】
(3)再封機能付き軟包装袋の外形寸法および各部の寸法
袋の外形寸法は、全幅が130mmで、全長が195mmとし、底部のガセット部(8)の折り込み長さは38mmとした。
また上部シール部の幅は12mmとし取り出し口の幅が46mmとなるように異型ヒートシールで図3のように形成し、側部シール幅はスリット近傍以外は12mmとしスリット近傍のみは幅広の16mmとした。
【0065】
尚、上記以外の袋の胴部および上部の各部の寸法は、前記実施例1の再封機能付き軟包装袋(100)の構成に開封された内容物の取り出し口を再封する際に使用する袋の折り曲げ線(14a)にさらに一本追加して、折り曲げ線(14b)を、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)の折り曲げ線(14)と同じ位置に設けると共に、追加の折り曲げ線(14a)を、上側左右の側部シール部の上下方向の略中間部同士を結ぶように設けたほかは、図1に示した再封機能付き軟包装袋(100)と同様に形成して構成したものである
【0066】
さらに、袋(201)の開封手段については、印刷による切り取り線(9)とその端部のノッチ(10a)に加えて、前記切り取り線(9)に沿ってレーザー光照射によるハーフカット線を設けたほかは、実施例1と同様に作製して取り出し口が小さい実施例3の再封機能付き軟包装袋とした。
【0067】
以上のように作製した実施例1から3の再封機能付き軟包装袋について、その再封性を評価するため、以下のように試験を行った。
実施例1、2、3のそれぞれの再封機能付き軟包装袋にシール前の開口した上部シール部(5)から内容物として、菓子を適量ずつ充填した後、上部シール部(5)をヒートシールして袋を密封した。
【0068】
上記のように作製した実施例1、2、3の再封機能付き軟包装袋による包装体は、いずれも密封性に優れていた。
特に実施例2、3の再封機能付き軟包装袋による包装体は、袋がスタンディングパウチ形式の袋であるため、安定した自立性を有し、外観もよく実際の取り扱い性にも優れていた。
【0069】
次いで、各包装体の上部シール部(5)を、その下の一方のノッチ(10a)を始点として切り取り線(9)に沿って手で引き裂いたところ、実施例1の再封機能付き軟包装袋による包装体は、壁面用積層フィルム(1)、(1′)の中間層に易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層しており、また、実施例2,3の再封機能付き軟包装袋による包装体は、切り取り線(9)の部分に印刷による切り取り線に加えてレーザー光照射によるハーフカット線を設けているので、引き裂き方向が切り取り線(9)からずれることも殆どなく、いずれも切り取り線(9)に沿ってきれいに引き裂いて内容物の取り出し口を開封することができた。
とくに実施例3の再封機能付き軟包装袋による包装体は取り出し口が狭いために少量づつ出しやすくなっていた。
【0070】
開封された内容物の取り出し口から、内容物の一部を取り出した後、開口部を偏平に閉じ、実施例1の包装体は、図4に示したように、折り曲げ線(14)で袋の上部を前側に折り返して重なり合った係止片(13b)と孔部(11a)および重なり合った係止片(13d)と孔部(11c)の対応するそれぞれの係止片の凸部を、対応する孔部に差し込むことによって開封された内容物の取り出し口を確実に再封することができた。
【0071】
また、実施例2と実施例3の包装体は、図5に示したように、折り曲げ線(14a)で袋の上部を前側に折り返した後、更にその折り返し部を折り曲げ線(14b)で巻き込むように前側に折り返して、重なり合った係止片(13b)と孔部(11a)および重なり合った係止片(13d)と孔部(11c)の対応するそれぞれの係止片の凸部を、対応する孔部に差し込むことによって開封された内容物の取り出し口が露出することなく一層確実に再封することができた。
実施例3の包装体においてはさらに、切り取り線(9)によって形成される開口部が小さいために露出も少なく、再封後の内容物がこぼれる心配をする必要もない、より安心な再封が可能であった。
【0072】
このようにして、本発明の再封機能付き軟包装によれば、袋とは別体の再封用部材やその取り付け装置などを必要とせず、通常の製袋と同様な製造工程で簡便に製袋が可能で、製袋と同時に容易に再封手段を設けることができ、且つ、その再封手段により、開封された袋の開口部を簡単な操作で容易に再封することのできる再封可能な軟包装袋を提供することが出来た。
【0073】
とくに内容物が固形物で適度の密閉性でよい場合の使用途中の再封性は袋と別のプラスチックその他のパーツを用いて構成する方法では材料のプラスチック部分が増加するので環境問題の点からも望ましいものではない。
本発明は既存パウチの構造変更のみで実現できるので、コスト面、環境面を考慮しつつ消費者の利便性を確保することに貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の再封可能な袋は、内容物を安全に密封包装できると共に、充填された内容物を使用する際に、内容物の取り出し口を開封し、少量ずつ内容物を取り出した後、その都度開封された取り出し口を簡便に再封できる袋として使用できるものであり、充填される内容物や用途に関しては特に制限はない。
食品、菓子、日用雑貨、医薬品(シップ等)の内容物を対象としたリクローズ機能を有する軟包装パウチとして広く利用できる。
【符号の説明】
【0075】
1…壁面フィルム(積層フィルム)
1’…壁面フィルム(積層フィルム)
2a…側部シール部
2b…側部シール部
4…底部シール部
5…上部シール部
6…底面フィルム折り返し部
7a…底面フィルム切欠き部
7b…底面フィルム切欠き部
8…ガゼット部
9…切り取り線(開封指示線)
10a…ノッチ
10b…ノッチ
11a…孔部
11c…孔部
11b…スリット(切れ目線)
11d…スリット(切れ目線)
13b…係止片
13d…係止片
14…折り曲げ線
14a…第一の折り曲げ線
14b…第二の折り曲げ線
100…再封機能付き軟包装袋
200…再封機能付き軟包装袋
201…再封機能付き軟包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、
袋の上部の端縁部をヒートシールした上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、
袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上下の中間部に、中間部同士を結ぶように袋の折り曲げ線が横方向に設けられ、折り曲げ線の上下の等しい距離にある両側のシール部の、折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていることを特徴とする再封機能付き軟包装袋。
【請求項2】
周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる積層フィルム製の袋において、
袋の上部の端縁部をヒートシールする上部シール部の下側に、該上部シール部を切り取って内容物の取り出し口を設けるための開封手段が横方向に設けられ、
袋の左右両側の側部シール部の前記開封手段が設けられた位置の下側の領域の上部と中間部の位置に、上部同士を結ぶ第1の折り曲げ線と、中間部同士を結ぶ第2の折り曲げ線とがそれぞれ横方向に設けられ、
前記第1の折り曲げ線の両側のシール部と、前記第2の折り曲げ線の下側で前記第1と第2の折り曲げ線の間と等しい距離の両側のシール部の、該折り曲げ線で袋を折り返した時に互いに重なり合う位置に、先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が設けられていて、該袋を前記開封手段で開封した後、前記第1の折り曲げ線でその上部を一方に折り返し、更に、その折り返し部を第2の折り曲げ線で同方向に巻き込むように折り返した時、その折り返し部の左右両側の下端で先端が鉤型の凸部となる形状のスリットとこの鉤型の凸部と係合可能な孔部が前後に重なり合い、その重なり合った鉤型の凸部と係合可能な孔部を係合させて折り返し部を係止するようにしたことを特徴とする再封機能付き軟包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−148784(P2012−148784A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6790(P2011−6790)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】