説明

再濡れ、取り入れ、及び汚れマスキング性能を強化した吸収性製品

【課題】 女性用ケア製品のような吸収性物品型の製品の液体処理性能を変更する方法を提供する。
【解決手段】 女性用ケア製品のような吸収性物品は、液体透過性ライナ層、実質的に液体不透過性の外側カバー層、及びライナ層と外側カバー層の間に配置された吸収層を含む。ライナ層の上面、底面、又は両表面、及び/又は他の層の上面又は下面に沿ってその他の層のいずれかに、相変化液体の間隔を空けて配置された固化堆積物が形成される。この堆積物は、ライナ層上面の区域が露出され、それによって堆積物間で物品を汚す身体滲出物に対して透過性になり、同時に吸収性物品に含まれた吸収層又は他の層からライナ層又は他の処理層に逆流する場合がある液体に対する障壁として作用するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関し、特に、女性用ケアパッド/生理用ナプキン及びパンティライナのような女性用ケア製品に関する。より詳細には、本発明は、このような吸収性物品型製品の液体処理性能を変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者向けパーソナルケア製品の製造業者は、日常的に使い捨て吸収性物品、特に女性用ケア生理用ナプキン及びパッドのような女性用ケア製品の性能特質を向上させる方法を求めている。女性用ケア製品を含む吸収性物品は、一般的に少なくとも3つの識別可能な構成要素を含むように製造される。これらの構成要素は、積層体型構造に組み込まれることが多い。これらの構成要素のうち第1の構成要素は、身体側すなわち皮膚接触ライナ層である。製品の使用時に皮膚に接触する身体側ライナ層(又はカバーシート層)は、排泄された身体滲出物が通って移動する液体透過性通路層として機能する。このようなライナ層はまた、状況によっては、体液が通過して第2の層すなわちより離れた層に落ち着く時に女性用ケア製品に生じる場合がある汚れのいずれをも隠すように機能するものである。この点に関しては、一部の消費者は製品使用時に女性用製品の汚れが見えないことを好むことが見出されている。
【0003】
このようなライナ層は、多くの場合に不織材料で作ることができ、場合によっては、化学処理して望ましい特性を付与することができる。例えば、ライナ層表面は、処理して親水性を示すようにすることができる。
少なくとも1つの吸収層(又は液体保持層)は、一般的にライナ層の下に位置決めされ、このようなライナと液体連通する(液体が直接又は間接的に1つの層から他の層に移動することができる)。吸収層はまた、不織材料で作ることができ、超吸収性構造体及びセルロースベースの材料のような公知又は強化された吸収特性を有する材料を更に含むことができる。吸収層はまた、化学処理して親水性のような望ましい特性を付与した不織材料で作ることができる。例えば、吸収層は、この層が本質的に女性用ケア製品内に排泄された液体を保持するように機能するために、界面活性剤で処理してより濡れ性にすることができる。最後に、吸収層は、様々な不織繊維で作って製品に様々な特性を付与することができる。
【0004】
第3の層(又は、1つよりも多い吸収層を用いる場合は追加の層)は、一般的に、吸収層の下に身体側ライナ層の反対側に位置決めされる。バフル又は裏面シートとして公知のこの第3の層は、吸収性物品、例えば女性用製品内の吸収された滲出物を保持すると共に、このような製品を着用している消費者の衣類/衣類が汚れないように保護するその両方の機能を果たすものである。この裏面シートは、多くの場合、フィルム材料のような液体不透過性の疎水性材料又は他の液体不透過性の不織材料で作られる。ライナ層及び裏面シートは、それぞれ吸収層を超えて横方向に延び、互いに結合して物品の周りに周囲密封を形成することができる。女性用ケア製品は、使用時には身体滲出物を吸収するために下着の股部分に位置決めされ、一方、他の吸収性物品は、使用時には股/及びウエスト域の周りに位置決めされる。
【0005】
このような吸収性物品の製造業者が、このような製品の特性を改善するために、比較的大量に突然起こる身体滲出物(放出物)を滲出物が吸収層まで通過させる前に捕捉するのを助けることができる流体移送層又はサージ層のような付加的な層を用いることができるということを認識すべきである。このような層は、更に、吸収した液体を一時的に保持してパッドの吸収層内のより遠い位置に分配するように用いることができ(分配層又は流体移送/遅延層)、これによってパッドは、目標区域又は本来の放出位置の直ぐ下又は隣接した個別の狭い区域ではなく、吸収層内により効率的に水分を捕捉するものである。
【0006】
更に、いくつかの女性用ケア製品の場合には、使用中に粘着層を使用者の衣類に面する側(吸収層の反対側)の裏面シート層の一部分又は全体に用いて、使用中に製品を固定されたままか又は不動のままに保つ(すなわち、使用中に製品が滑ることを防ぐ)機能を改善することができる。粘着層を用いる場合には、それは、一般的に、消費者によって使用前に取り外される取外し可能な保護粘着カバーシートすなわち剥離紙と共に用いられる。このようなカバーシートは、例えば、フィルム材料又はコーティング紙で作ることができ、裏面シート上の接着剤を覆うように位置決めされる。
【0007】
このような吸収性物品、特に女性用ケア製品の製造業者は、使用中の漏れの危険性を低減するために、このような製品の液体取り入れ特性のような液体処理性能を改善しようと日常的に努めている。更に、このような製造業者は、そのような製品に伴う「再濡れ」を低減したいという消費者の望みをこれまでに確認している。すなわち、製造業者は、使用中に水分がそのような製品の吸収層から皮膚接触表面に戻る感じを低減するように努めている。皮膚上の水分は、不快感をもたらす場合がある。
【0008】
更に、このような製品を用いる女性の一部は、いつこれらの製品が用いられたか又は汚されたかに関する視覚的合図を受け取ることができることに関心があるが、他の女性は、美的観点又は視点から、製品を用いた後又は製品の使用中に見える可能性がある汚れのレベルを低減することを希望することが見出されている。これらの目的で、排泄された流体を除去する機能に優れ、汚れを知覚させることなくそれを行う女性用ケア製品の必要性がパーソナルケアの領域で依然として存在する。更に、使用中にこのような製品の知覚される再濡れを低減する必要性も存在する。本発明は、このような必要性に関するものである。
【0009】
ドロップオンデマンド、バルブジェット、及び連続インクジェット印刷装置は、ある期間に亘って様々な基体にインクを付加するために用いられている。一般的に、ドロップオンデマンドインクジェット印刷装置は、所定のパターンで印刷されるように個々のインク滴を基体上に放出するように作動するものである。連続インクジェット印刷装置は、基体上にインクジェットインクが連続的に流れるようにするインクジェット印刷装置である。インクジェット印刷は、様々な基体上に堆積することができるインクの液滴又は流れを電子信号が制御して誘導する非衝撃性かつ非接触性の印刷方法である。現在のドロップオンデマンドインクジェット印刷技術は、圧電圧力、熱放出、又は発振により、小さなノズルを通して材料/媒体の表面上にインク滴を押し出す段階を伴っている。インクジェット印刷は、処理することができる基体の多様性、並びに達成することができる印刷品質及び作動速度に関して極めて幅が広いものである。更に、インクジェット印刷は、デジタル的に制御可能である。この理由で、インクジェット印刷法は、産業用マーク付け及びラベル付けに広く採用されている。更に、インクジェット印刷法はまた、建築及び工業意匠用途、医療用撮像、事務用印刷(テキスト及びグラフィックの両方)、地理撮像システム(例えば、地震データ解析及びマッピング用)、標識、及び表示グラフィック(例えば、写真の焼き増し、業務及び法廷用グラフィック、グラフィックアート)等にも広範な用途が見出されている。最後に、インクジェット印刷はまた、現時点で様々な布地及び不織基体上に画像を作成するのに用いられている。このようなインクジェットプリンタは、通常は、装飾上又は審美的理由で個別の領域の印刷に用いられているが、女性用ケア及び他のパーソナルケア製品に対する強化された再濡れ及び汚れマスキング保護を提供するためにこのような効率的な技術を用いる必要性が存在する。本発明は、このような必要性にも関するものである。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,883,231号
【特許文献2】米国特許第4,340,563号
【特許文献3】米国特許第3,692,618号
【特許文献4】米国特許第3,802,817号
【特許文献5】米国特許第3,338,992号
【特許文献6】米国特許第3,341,394号
【特許文献7】米国特許第3,502,763号
【特許文献8】米国特許第3,542,615号
【特許文献9】米国特許第5,277,976号
【特許文献10】米国特許第5,466,410号
【特許文献11】米国特許第5,069,970号
【特許文献12】米国特許第5,057,368号
【特許文献13】米国特許第3,849,241号
【特許文献14】米国特許第5,108,820号
【特許文献15】米国特許第4,795,668号
【特許文献16】米国特許第5,540,992号
【特許文献17】米国特許第5,336,552号
【特許文献18】米国特許第5,382,400号
【特許文献19】ドイツ国特許DT2513251A1
【特許文献20】米国特許第4,640,810号
【特許文献21】米国特許第4,494,278号
【特許文献22】米国特許第5,527,171号
【特許文献23】米国特許第4,375,448号
【特許文献24】米国特許第3,855,046号
【特許文献25】米国特許第4,940,464号
【特許文献26】WO037009
【特許文献27】米国特許第5,486,166号
【特許文献28】米国特許第5,490,846号
【特許文献29】米国特許第5,820,973号
【特許文献30】米国特許第4,100,324号
【特許文献31】米国特許第5,284,703号
【特許文献32】米国特許第5,350,624号
【非特許文献1】Stephen F.Pond著「インクジェット技術と製品開発戦略」、著作権2000、「Torrey Pines Research」、198〜201頁
【発明の開示】
【0011】
少なくともライナ層、吸収層、及び裏面シート層を有する吸収性物品は、吸収性物品に含まれた層の1つの少なくとも1つの表面に亘って、望ましくは、その少なくとも1つの表面の80%に等しいか又はそれ以下がその表面に亘って覆われるような固化した堆積物を含む。代替的な実施形態では、その少なくとも1つの表面の75%に等しいか又はそれ以下が、その表面に亘って覆われる。更に別の代替的な実施形態では、目標区域は、それに亘って覆われ、代替的に、それに亘って印刷され、すなわち、処理された物品の層(ライナ又はサージ層表面の何れか又は両方)の中央の75%の表面区域(幅方向に)がそれに亘って覆われる。
【0012】
望ましくは、吸収性物品は、上面及び下面を有する液体透過性ライナ層を含む。これらの表面は、ライナの表面区域を形成する。吸収性物品はまた、実質的に液体不透過性の外側カバー、及びライナ層下面と外側カバーの間に配置された吸収層を含む。吸収性物品は、更に、ライナ層表面上に形成された液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物を含む。ライナ表面区域の80%に等しいか又はそれ以下は、間隔を空けて配置された固化堆積物で覆われる。代替的な実施形態では、75%に等しいか又はそれ以下が覆われることが望ましい。一実施形態では、固化堆積物は、ライナ上面に位置している。代替的な実施形態では、固化堆積物は、ライナ下面に位置している。更に別の代替的な実施形態では、固化堆積物は、それらが上面及び下面の両方にあるように、ライナ層の厚さに亘って位置している。更に別の代替的な実施形態では、固化堆積物は、ライナ表面の少なくとも1つに位置している。
【0013】
一実施形態では、吸収性物品は、ライナ表面の少なくとも1つに配置された間隔の空いた連続ストライプを含む堆積物を有する。更に別の実施形態では、吸収性物品の堆積物は、相変化液体である。更に別の実施形態では、相変化液体は、吸収性物品上に印刷されたホットメルトワックスである。
本発明の更に別の実施形態では、女性用ケア製品は、上面及び下面を有する液体透過性ライナ層、実質的に液体不透過性の外側カバー層、ライナ層下面と外側カバー層の間に配置された吸収層、及びライナ層上面にライナ層の上面に亘って形成された相変化液体の間隔の空いた固化堆積物を含む。
【0014】
更に別の実施形態では、固化堆積物は、審美的に心地よい意匠のパターンで存在する。本発明の更に別の実施形態では、女性用ケア製品は、吸収層の約5〜50重量%の間で均一に分配された超吸収性材料を含有する吸収層を含む。更に別の代替的な実施形態では、超吸収性材料は、吸収層の約10〜30重量%の間で均一に分配される。
本発明の更に別の代替的な実施形態では、吸収性物品は、ライナ層と吸収層の間に位置決めされた、上面がライナ層下面に向いた上面及び下面を有するサージ層を含む。更に別の代替的な実施形態では、サージ層の少なくとも1つの表面は固化堆積物を含む。
【0015】
再濡れ性を低減した女性用ケア製品を作成する方法は、女性用ケア製品の基体上で固化することができる物質を堆積する段階を含み、少なくとも1つの画像が、基体に亘って80%又はそれ以下の表面区域がその画像で覆われるように、基体表面に亘って基体上の個別の区域に形成される。代替的な方法では、基体に亘って75%又はそれ以下の表面区域が画像により覆われる。更に別の代替的な方法では、製品の中央の75%の表面区域(ライナ又はサージ層表面の何れか又は両方)である目標区域は、それに亘って覆われ、代替的に、それに亘って印刷される。
【0016】
再濡れ性が低減された女性用ケア製品を作成する方法は、相変化インクを処理することができるプリントヘッドを準備する段階、相変化インクを準備する段階、女性用ケア製品の基体を準備する段階、インクが通過するようにプリントヘッドを作動させる段階、及びプリントヘッドの下に基体を通す段階を含み、少なくとも1つの画像が、基体に亘って75%又はそれ以下の表面区域が印刷画像で覆われるように、基体表面に亘って基体上の個別の区域に形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
定義
本出願の目的に対しては、「模擬物」という用語は、「月経模擬物」及び「人工月経」と同義に用いるものとし、女性放出物の物理的属性及び特性を模倣するように設計された以下のように説明される材料を意味するものとする。
試験に用いる人工月経流体は、米国特許第5,883,231号により、血液を血漿と赤血球に分け、卵白を濃い部分と薄い部分に分け、ここで、「濃い」とは、均一化した後に150秒-1で約20センチポアズを超える粘性を有することを意味し、濃い卵白を血漿と組み合わせて完全に混合し、最後に赤血球を加えて再び完全に混合することにより、血液及び卵白で製造されたものである。製剤化するための更に詳細な手順は次のようなものである。
【0018】
血液、この例では脱線維素ブタ血液を3000rpmで30分間遠心力を作用することにより分離するが、有効であれば他の方法又は速度及び時間を用いることができる。血漿は分離して別々に保存し、軟膜は除去して廃棄し、濃縮赤血球も別々に保存する。血液は、凝固させることなく処理することができるように.何らかの方法で処理する必要があることに注意すべきである。当業者には、血液を脱線維素化して凝固した線維材料を除去する方法、抗凝固剤を添加する方法などのような様々な方法が公知である。血液は、有用であるためには非凝固とする必要があり、血漿及び赤血球を損傷することなくこれを達成する任意の方法が許容される。
【0019】
ジャンボチキンの卵を分離し、黄身及びカラザを捨てて卵白を保持する。卵白は、1000ミクロンナイロンメッシュを通して約3分間濾し取ることにより濃い部分と薄い部分に分け、薄い部分を捨てる。卵白の濃い部分は、メッシュ上に保持されており、これを收集して60ccシリンジに取り入れ、これを次にプログラマブルシリンジポンプに載せ、内容物を5回出し入れすることにより均一化する。均一化の量は、シリンジポンプ速度を約100ミリリットル/分にして、管材の内径を約0.12インチにすることにより制御する。均一化の後、濃い卵白の粘性は、150秒-1で約20センチポアズであり、その後、遠心分離器に入れ、約3000rpmで約10分間回転させてデブリ及び気泡を除去する。
【0020】
遠心分離後、シリンジを用いて、オバムチンを含む濃い均一化した卵白を300ccの「FENWAL移送」パック容器に加える。次に、60ccのブタ血漿を「FENWAL移送」パック容器に加える。「FENWAL移送」パック容器をクランプで留め、全ての気泡を除去して実験室用配合器に入れ、普通(又は中)速度で約2分間配合する。次に、「FENWAL移送」パック容器を配合器から取り出し、60ccのブタ赤血球を加え、約2分間又は内容物が均一に見えるまで手で揉むことにより内容物を混合する。最終的な混合物のヘマトクリット値は、赤血球含量が約30重量パーセントを示す必要があり、一般的に、この例により作られた人工月経に対しては、少なくとも28〜32重量パーセントの範囲である必要がある。卵白の量は約40重量パーセントである。
【0021】
人工月経の調製に用いられる原料及び機器は容易に入手可能である。以下は、用いる品目の供給元のリストであるが、ほぼ同等であれば、他の供給元を用いることができる。
血液(ブタ):「Cocalico Biologicals、Inc.」、米国ペンシルベニア州リームズタウン、スティーブンスロード449、17567、(717)336−1990
「FENWAL移送」パック容器、300ml、カプラ付き、コード4R2014:「Baxter Healthcare Corporation」、Fenwal部門、米国イリノイ州ディアフィールド60015
「Harvard Apparatus」プログラマブルシリンジポンプ型番55−4143:「Harvard Apparatus」、米国マサチューセッツ州サウスナティック01760
「Stomacher 400」実験室用配合器型番BA7021、一連番号31968:「Seward Medical」、英国イングランド州ロンドン
1000ミクロンメッシュ、商品番号CMN−1000−B:「Small Parts、Inc.」、私書箱4650、米国フロリダ州マイアミレイク33014−0650、1−800−220−4242
ヘマトクリット値を測定するための「Hemata Stat−II」装置、一連番号1194Z03127:「Separation Technology、Inc.」、米国フロリダ州オルタモント・スプリングス、レイナードライブ1096、32714
【0022】
「取り入れ」という用語には、流体が乾燥製品内に始めて吸収されること、並びに湿潤又は流体放出を受けた製品の吸収性構造にその流体が継続的に取り込まれることが含まれる。
「再濡れ」という用語は、水分が第1の層を通過し、第1の層と流体連通する(直接又は間接の何れか)第2の層から第1の層へそれを通過して引き込まれるか又は戻る特性を意味するものとする。また、この用語は、本出願の目的に対しては、積層体材料の特定の層、通例ライナ層上に水分がある感覚も意味するものとする。材料の再濡れは、上述のように、以下の試験方法によりグラムで測定するものとする。
上述のように、1回取り入れ試験又は3回取り入れ試験が行われた。これらの試験を用いて、流体の既知量の材料及び/又は材料システムへの取り入れ時間を判断した。試験装置は、上述のように、透明で好ましくはアクリルのレートブロックから成るものである。
【0023】
必要な機器
図3に示すようなアクリルレートブロックが必要である。図3は、材料又は材料システムの流体取り入れ時間を判断する際に用いるのに適するレートブロック装置の断面図であり、試験装置は、この図に示すような透明で好ましくはアクリルのレートブロック60から成るものである。レートブロック60は、幅3インチ(76.2mm)、深さ2.87インチ(72.9mm)(ページ内へ)、全体の高さが1.125インチ(28.6mm)であり、レートブロック60の底には、レートブロック60の主本体から更に突出して高さ0.125インチ(3.2mm)幅0.886インチ(22.5mm)の中心域62を含む。レートブロック60には、水平から21.8度の角度で1つの側面66から中心線68まで対角線上下向きに延びる内径が0.186インチ(4.7mm)の毛管64がある。毛管64は、レートブロック60の底から0.726インチ(18.4mm)上方の地点から適切な角度でレートブロック60の側面66からほぼ大きさを合わせた穴を穿孔することにより作ることができるが、側面66のドリル穴の開始点は、その後、試験流体が流出しないように栓をすべきである。上面穴70の直径は0.312インチ(7.9mm)、深さは0.625インチ(15.9mm)であり、毛管64に交わるようになっている。上面穴70は、レートブロック60の上面に垂直であり、側面66から0.28インチ(7.1mm)のところに中心がある。上面穴70は、漏斗100を入れる開き口である。中心穴72は、試験流体の進行を見るためのものであり、図3の平面内に入り込む実質的に卵形のものである。中心穴72は、レートブロック60上の幅方向の中心にあり、底面穴幅が0.315インチ(8mm)であり、中心から中心までの長さ1.50インチ(38.1mm)の0.315インチ(8mm)直径の半円が卵形の端部を構成している。この卵形は、容易に見ることができるようにするために、レートブロック60の底から0.44インチ(11.2mm)上方で幅0.395インチ(10mm)、長さ1.930インチ(49mm)まで大きさが拡大する。また、上面穴70及び中心穴72も穿孔することができる。
【0024】
他に必要な機器及び材料
これには、以下のものが含まれる。
「RC−5000」チップ及び発泡材ピペットインサートを備えた「P−5000」ピペット、
小さなビーカ、
約23℃で30分又はそれ以上に亘って浴で加温した月経模擬物(上記作成法による)、
小さなスパチュラ(撹拌機)、
ベンチライナ、
ストップウォッチ2個、
タイマ1〜2個、
清浄性を高めるためのガーゼ方形布、
(試験の再濡れ部分)
バッグを1psiで3分間圧縮する空気ポンプ(「Omega Engineering、Inc.」型番HHP701)により駆動されるスタンド上の水バッグから成る「自動血液しみ通し(AM 1995)機械」。米国マサチューセッツ州ウォバーン所在の「Rainin Instrument Company、Inc.」から入手される「PIPETMAN」ピペッタ、型番P−5000、及び
吸い取り紙、「James River Verigood」銘柄、100LB、3”×5”に切断したもの。
【0025】
全ての試験のための準備
月経模擬物のバッグを23℃の水浴に30分間入れて平衡にする。開封する前に、保存中に分離している可能性があるバッグを揉み、静かに絞って製剤を混合する。模擬物をビーカに注ぎ入れる。模擬物を静かに撹拌してビーカ内を何度もかき回す。
試験する複合体の全ての材料構成要素を4”×4”に切断する。複合体をそれらが試験されるように準備する。用いる各吸い取り紙を予め秤量し、吸い取り紙の重量を記録する。
液体2ミリリットルを送出するようにピペッタを設定する。
自動「血液しみ通し」試験ユニットを較正し、圧力1.0psiで3分間送出するように設定する。
【0026】
特定の試験手順(1回取り入れ/再濡れ試験用)
試験する複合体の上面に漏斗を備えたレートブロック(上述のようなもの)を置く。ピペッタのチップを模擬物内に入れる。ピペッタのプランジャを完全に押し込んでゆっくり離し、チップが流体に浸漬されている状態を保ち、ピペッタを部分的に満たす。片手にストップウォッチを持ち、反対側の手にピペッタを持ち、ピペッタのプランジャを最初に止まる点まで押し込み、模擬物2ミリリットルのみをレートブロックの漏斗に送出させる。流体がレートブロックに送出されると同時にタイマを開始する。
【0027】
レートブロックの中心の流体を注意深く観察する。全ての流体が試験試料の上面層を透過してしまうとすぐにタイマを停止させる。時間を記録する。レートブロックを試料の上部の所定位置に一分間置いたままにして、流体が吸収システムの全複合体に流れるようにする。
レートブロックを除去する。「自動血液しみ通し」ユニット上の水ビンの中心に試料を置き、試料の上に予め秤量した吸い取り紙を載せる。吸い取り紙の重量を記録する。「しみ通し」ユニットを開始する。
「しみ通し」ユニットの試料台を低い位置に戻した後、試料及び吸い取り紙を除去し、吸い取り紙の重量を記録する。
【0028】
この試験を用いて、荷重が印加された時に戻ってくる流体の量が判断される。表面を通って戻る流体の量は、「再濡れ」値と呼ばれる。表面に来る流体が多くなるほど、「再濡れ」値は大きくなる。再濡れ値が低いと、乾燥剤材料、及び従って乾燥剤製品に関連することになる。再濡れを考慮すると、3つの特性が重要である。すなわち、(1)取り入れ率、これは、材料/システムの取り入れ率が良好でなければ流体が再濡れする可能性があるためである、(2)流体を保持する吸収機能、すなわち、吸収性構造体が流体を多く保持するほど、再濡れに利用可能な量が減少する、及び(3)逆流、すなわち、カバーによってライナを通って多くの流体が戻らないようにするほど再濡れが小さくなる。
【0029】
計算
各異なる材料コードに対して記録した時間の平均を判断する。
各試料に対して、湿潤重量から吸い取り紙の乾燥重量を引き、再濡れ値を判断する。各コードに対して再濡れ値を平均する。
3回取り入れ再濡れ/試験手順(TIR)又は月経模擬物取り入れ再濡れ試験:3回噴出
一般的手順
この試験の目的は、流体放出と流体放出の間に流体が材料内に分配されることを可能にする時間で3回の突然流体放出(噴出)が適用された時に、材料間及び/又は材料複合体間又は材料複合体のシステム間の取り入れ率の差を判断することである。試験する材料は、上述の1回取り入れ試験と同じように準備する。しかし、模擬物の材料への最初の2mL負荷流体放出後9分経過させて、流体が吸収性システムと相互作用するようにさせる。この段階を合計3回の流体放出に対して繰り返す。その後、上述のような再濡れ試験を行い、その値を記録する。流体放出時間は、吸収のための時間の直接測定である。取り入れ時間の値が小さければ吸収性の大きいサンプルといわれ、取り入れ時間の値が大きければ吸収性が小さいサンプルといわれる。
【0030】
本出願の目的に対しては、「マスキング」という用語は、物質又は材料で汚れを覆い、汚れが視覚的に知覚可能でないか、又は物質又は材料がない時よりも視覚的に知覚しにくいことを意味するものとする。
本明細書で用いる場合、「不織布又はウェブ」という用語は、相互に交錯させられているが、編布におけるように識別可能な様式でない個々の繊維又は糸の構造を有するウェブを意味する。不織布又はウェブは、例えば、メルトブロー工程、スパンボンド工程、及びボンデッドカーデッドウェブ工程のような多くの工程で形成されている。不織布の坪量は、通常、材料のオンス数/平方ヤード(osy)又はグラム数/平方メートル(gsm)で表され、有用な繊維直径は、通常ミクロンで表される。(osyをgsmに変換するには、osyに33.91を掛けることに注意されたい)。
【0031】
本明細書で用いる場合、「スパンボンデッド繊維」という用語は、複数の細く、通常円形の口金の毛管からフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出し、次に、この押し出されたフィラメントの直径を、例えば、Appel他に付与された米国特許第4,340,563号及びDorschner他に付与された米国特許第3,692,618号、Matsuki他に付与された米国特許第3,802,817号、Kinneyに付与された米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号、Hartmanに付与された米国特許第3,502,763号、及びDobo他に付与された米国特許第3,542,615号により急速に減少することにより形成される小さな直径の繊維を意味する。スパンボンド繊維は、收集表面に堆積される時に一般的にべとつかない。スパンボンド繊維は、ほぼ連続で平均直径(少なくとも10個のサンプル)が7ミクロンより大きく、より詳細には、約10と20ミクロンの間である。また、繊維は、Hogle他に付与された米国特許第5,277,976号、Hillsに付与された米国特許第5,466,410号、及びLargman他に付与された第5,069,970号及び第5,057,368号に説明されているような形状を有することができ、これらには、従来のものと異なる形状の繊維が説明されている。尚、上述の各特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0032】
本明細書で用いる場合、「メルトブローン繊維」という用語は、複数の細く通常円形のダイ毛管を通し、溶融糸又はフィラメントとして、収束する高速の通常高温の気体(例えば、空気)流内に溶融熱可塑性材料を押し出し、この気体流により溶融熱可塑性材料のフィラメントの直径が、場合によってはミクロ繊維の直径まで減少されることにより形成される繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流により運ばれて收集表面に堆積され、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。このような工程は、例えば、Butin他に付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。メルトブローン繊維は、連続又は不連続とすることができるミクロ繊維であり、一般的に平均直径が10ミクロンより小さく、收集表面上に堆積される時に一般的に粘着性である。上述の特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0033】
本明細書で用いる場合、「ポリマー」という用語には、一般的に、以下に限定はしないが、ホモポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーのようなコポリマー、ターポリマー等、及びその配合物及び修飾物が含まれる。更に、特に断らない限り、「ポリマー」という用語には、分子の全ての可能な幾何学的立体配置が含まれる。これらの立体配置には、以下に限定はしないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が含まれる。
【0034】
本明細書で用いる場合、「機械方向又はMD」という用語は、布又は不織材料が生成される方向の長さを意味する。「機械横断方向」又はCDという用語は、布又は不織材料の幅、すなわちMDにほぼ垂直な方向を意味する。
本明細書で用いる場合、「単成分」繊維という用語は、1つの押し出し物のみを用い、1つ又はそれ以上の押し出し機で形成される繊維を意味する。これは、着色、帯電防止性、潤滑性、親水性等のために少量の添加剤が付加された1つのポリマーで形成される繊維を除外するものではない。これらの添加剤、例えば、着色のための二酸化チタンは、一般的には5重量パーセントよりも少なく、更に一般的には約2重量パーセントの量で存在する。
【0035】
本明細書で用いる場合、「複合繊維」という用語は、別々の押し出し機から押し出されるが、共に紡糸されて1つの繊維を形成する少なくとも2つの押し出し物で形成された繊維を意味する。また、複合繊維は、多成分又は二成分繊維と呼ばれることもある。ポリマーは、通常は互いに異なるものであるが、複合繊維は、単成分繊維とすることができる。ポリマーは、複合繊維の断面に亘って実質的に一定に位置決めされた個々の区域に配置され、複合繊維の長さに沿って連続に延びるものである。このような複合繊維の立体配置は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーに囲まれる芯鞘配置とすることができ、並列配置、パイ型配置、又は「海島型」配置とすることができる。複合繊維は、Kaneko他に付与された米国特許第5,108,820号、Krueger他に付与された米国特許第4,795,668号、Marcher他に付与された米国特許第5,540,992号、及びStrack他に付与された米国特許第5,336,552号に教示されている。複合繊維はまた、Pikeに付与された米国特許第5,382,400号にも教示されており、異なる膨張及び収縮率の2つ(又はそれ以上)のポリマーを用いることにより繊維にしぼ寄せするのに用いることができる。また、しぼ寄せ繊維は、機械的手段及びドイツ国特許DT2513251A1に記載の工程により生成することができる。二成分繊維に対しては、ポリマーは、75/25、50/50、25/75、又は他の望ましい比率で存在することができる。また、繊維は、Hogle他に付与された米国特許第5,277,976号、Hillsに付与された米国特許第5,466,410号、及びLargman他に付与された米国特許第5,069,970号及び第5,057,368号に説明されているような形状とすることができ、これらは、従来の形状と異なる繊維を説明している。上記各特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0036】
本明細書で用いる場合、「ボンデッドカーデッドウェブ」という用語は、ステープル長繊維を機械方向に分断して整列させ、ほぼ機械方向に配向する繊維不織ウェブを形成するコーミング又はカーディングユニットを通して送られるステープル長繊維で作られたウェブを意味する。このような繊維は、通常、こりで購入され、これをカーディングユニットの前の繊維を分離するピッカーに入れる。ウェブが形成された状態で、これは、次にいくつかの公知の結合方法の1つ又はそれ以上により結合される。このような結合の1つの方法は粉末結合であり、本方法では、粉末接着剤がウェブ中に分配され、通常は熱空気でウェブ及び接着剤を加熱することにより活性化される。別の適切な結合方法はパターン結合であり、本方法では、加熱カレンダロール又は超音波結合装置を用いて、通常は局所的結合パターンで繊維を互いに結合するが、ウェブは、必要に応じて全表面に亘って結合することができる。特に二成分ステープル長繊維を用いる場合、別の適切で公知の結合方法は通気結合である。
【0037】
本明細書で用いる場合、「空気堆積する」という用語は、「空気堆積した」と同じ意味であるものとし、これは、繊維不織層を形成することができる公知の工程である。空気堆積工程は、一般的に長さが約6〜約19ミリメートル(mm)の範囲の小さな繊維の束を分離して供給空気に連行させ、その後、通常は真空供給の助けを借りて形成スクリーン上に堆積させるものである。ランダムに堆積した繊維は、次に、例えば熱空気又はスプレー接着剤を用いて互いに結合させる。本発明の吸収性複合体は、空気堆積工程を用いて製造することができる。空気堆積不織複合体の生成は、文献に十分に説明されており、当業技術において文書化されている。例としては、Laursen他に付与され、「Scan Web of North America Inc」に譲渡された米国特許第4,640,810号に説明されるような「DanWeb」工程、Kroyerに付与された米国特許第4,494,278号、及びSoerensenに付与され、「Niro Separation a/s」に譲渡された米国特許第5,527,171号に説明されるような「Kroyer」工程、Appel他に付与され、キンバリー・クラーク・コーポレーションに譲渡された米国特許第4,375,448号の方法、又は他の同様の方法が挙げられる。上述の各特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0038】
本明細書で用いる場合、「吸収性物品」という用語は、「パーソナルケア製品」と同義であるものとし、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、大人用失禁用製品、獣医学用吸収性製品及び死体安置所用製品、包帯、及び女性用ケア/衛生製品を意味するものとする。
本明細書で用いる場合、「女性用ケア製品」という用語は、腟領域からの放出物を吸収するように設計され、女性の解剖学的構造の内部とは逆に女性の解剖学的構造に隣接して着用されるように設計された吸収性の女性用製品を意味するものとする。このような製品には、女性用パッド及びパンティライナが含まれる。
本明細書で用いる場合、「使い捨て」という用語は、1回使用後に処分されて、洗濯して再利用することを意図しないことを含む。
【0039】
本明細書で用いる場合、「層」とは、不織構造に対する典型的な工程ばらつき内で均一な組成及び密度を有するものと定義される。代替的に、層は、ストライプ、穿孔、又は波のようなパターンをそれ自体の中に含むことができる。「層」は、単数で用いる場合、単数又は複数の要素の二重の意味を有することができる。
本明細書で用いる場合、「上方向」又は「上部」位置とは、物品が着用された時に「下方向」、「下部」、又は「底部」位置よりも身体に近い位置である。
「約」及び「実質的に」などのような程度を表す言葉は、本明細書では、説明する状況に固有の製造及び材料公差が与えられた時に、そこで又はほぼそこでという意味に用いられ、正確又は絶対的な値が本発明の理解を助けるために示される場合に、悪意ある侵害者が本発明の開示内容を不正に利用しないようにするために用いられるものである。
【0040】
「流体放出」という用語は、消費者がパーソナルケア製品を利用中に身体滲出物、特に尿又は月経液体が自然に堆積すること、及びパーソナルケア製品の試験中に擬似身体滲出物が堆積することの両方を意味する。
「目標」、「目標点」、「目標領域」、又は「目標区域」という語句は、各々同義的に用いられ、着用者又は実験方法ではノズル又は他の装置により、流体放出が通常送出されるパーソナルケア製品の区域又は位置を意味する。
本明細書で用いる場合、「複合体」という用語は、2つ又はそれ以上の構成要素を有することであると定義され、1つ又はそれ以上の層から成ることもある。これらは、均一でも不均一でもよい。それはまた、構造及び表面化学に基づいて本質的に同じである複数の複合体も含むものである。
本明細書で用いる場合、「多層」積層体という用語は、2つ又はそれ以上の層を含む積層体を意味するものとする。
【0041】
本明細書で用いる場合、「吸収性システム」という用語は、相補的構造/表面エネルギ特性を有し、部分的に互いに流体連通する少なくとも2つの吸収性複合体として定義される。
本明細書で用いる場合、「インクジェット印刷システム」という用語は、インクジェットプリンタプラットフォーム(ドロップオンデマンド型プリンタ又は連続プリンタに関わらず)、及び印刷する材料がそれに載ってインクジェットプリンタ装置の下を通過する連続給紙印刷ベルトのような付随又は関連する製造構成要素、及び印刷する材料をシステムに通過させるための関連電源及びモータ構成要素を意味するように定義される。
本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、「含む」という用語は、包括的又は非制限的であり、付加的な列挙していない要素、複合的構成要素、又は方法の段階を除外しないものである。
【0042】
「パターン結合」とは、加熱カレンダロール又は超音波結合装置を用いて、繊維を互いに通常は局所的結合パターンで結合する方法であるが、ウェブは、必要に応じて全表面に亘って結合することができる。パターンの例の1つは、Hansen及びPenningsに付与された米国特許第3,855,046号に教示されているような約30%結合面積で約200結合/平方インチの「Hansen Pennings」又は「HP」パターンである。HPパターンは、四角形の点又はピン結合区域を有し、各ピンの辺の長さが0.038インチ(0.965mm)、ピン間の間隔が0.070インチ(1.778mm)、結合の深さが0.023インチ(0.584mm)である。得られるパターンの結合面積は、約29.5%である。別の典型的なポイント結合パターンは、拡張「Hansen Pennings」又は「EHP」結合パターンであり、これは、15%結合面積をもたらすものである。多くの他の結合パターンが存在する。別の適切で公知の結合方法は、特に複合ステープル長繊維を用いる場合には、熱空気がウェブを通過し、少なくとも部分的にウェブの構成成分を溶融して結合を生成する通気結合である。
【0043】
本明細書で用いる場合、「坪量」又は「BW」という用語は、サンプルの重量を面積で割ったものに等しく、オンス/平方ヤード又はグラム/平方メートル(osy又はgsm)で表される。
「インク」という用語は、印刷工程又は噴霧システムを通じて基体上に印刷することができるか又は他の方法で堆積させることができる任意の材料、特に、インクジェットプリンタから噴射することができる材料を意味するものとする。インクは着色されていても無着色でもよく、製品に望ましい特性を付与するように設計された他の添加剤を含むことができる。このような添加剤には、例えば、殺生剤、保湿剤、及び界面活性剤を含むことができる。
【0044】
「着色」という用語は、肉眼で視覚的に知覚可能な顔料又は着色剤を含有することを意味するものとする。本出願の目的に対しては、このような顔料には、顔料又は染料を含むことができる。
「無着色」という用語は、肉眼で視覚的に知覚可能な顔料又は着色剤を含有しないことを意味するものとする。
「表面」という用語には、空気、気体、及び/又は液体に透過性であるか又は不透過性であるかに関係なく、任意の層、フィルム、織布、不織布、積層体、又は複合体等が含まれる。
【0045】
「ワックス」という用語は、熱可塑性であるが室温で固体であり、一般的に組成が脂肪及び油と同様の低融点の有機混合物又は化合物を意味するものとする。この用語には、炭化水素、脂肪酸のエステル、及びアルコールを含むことができる。このような材料は、一般的に疎水性であるが、特定の目的のために濡れ性に調整することができ、すなわち親水性にすることができる。
「液体不透過性又は不浸透性材料」という用語は、液体が加えられた位置で液体の通過を防ぐ材料を意味し、この材料は、液体、ゲル、フィルム、又は、流体又は半固体として適用することができるが、室温では固体になり、体温又は体温付近の温度に露出されても固体のままである。
【0046】
特定的な実施形態を参照して本発明をこれから詳細に以下に説明する。実施形態は、本発明の説明のために準備したものであり、本発明を制限することを意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として説明又は図解された特徴を他の実施形態と共に用いて更に別の実施形態を得ることができる。本発明は、本発明の範囲及び精神に含まれるこれら及び他の変更及び変形を含むことが意図されている。
本発明によれば、液体不透過性材料は、パーソナルケア製品の様々な層に適用されてパーソナルケア製品の再濡れ性を向上させる、すなわち、このような製品に明らかにされている再濡れ値を低減するものである。液体不透過性材料は、一実施形態では疎水性とすることができる。代替的な実施形態では、液体不透過性材料は親水性とすることができる。
【0047】
本発明は、例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている米国特許第4,940,464号及びWO037009に説明されているようなおむつ、トレーニングパンツ、水泳パンツ、失禁用物品、女性用ケア製品などのようなあらゆる様式の吸収性物品/パーソナルケア製品に関するものである。従来の使い捨て吸収性パーソナルケア製品に用いられる構造及び材料は、極めて様々であり、当業者には公知である。このような従来のパーソナルケア製品の材料及び構造の詳細な説明は、本発明においては必要でない。しかし、本発明は、女性用ケア製品に特に有用であり、単に説明と図解のために、本発明による女性用ケア製品、特に、女性用ケアパッド/生理用ナプキン及び/又はパンティライナの実施形態を参照する。本発明は、一般的に、このような女性用ケア製品に決して限定されないことを認めるべきである。
【0048】
また、このような液体不透過性材料は、このような製品に付いた汚れを隠すのを助けるために加えられ、この特性は、女性用ケア製品に特に適用される。このような材料は、女性用ケア製品のような吸収性物品の1つ又はそれ以上の層の1つ又はそれ以上の表面に堆積させることができる。例えば、このような材料は、このような製品のライナ又はサージ層に加えることができる。更に、このような材料は、このような層の上面、このような層の底面、このような層に亘って、又はこれらの任意の組合せに堆積させることができる。このような液体不透過性材料がこのような製品のライナ層の下面又は底面に堆積されれば、このような材料は、消費者の皮膚と接触することにはならない。同様に、このような材料は、このような製品のサージ材料に堆積されても消費者の皮膚と直接接触することにはならない。
【0049】
液体不透過性材料(固化材料)は、半透明で無色とすることができ、半透明で着色(又は多色)とすることができる。更に別の実施形態では、使用中にこのような製品に生じる汚れをより効果的に隠すために、このような液体不透過性材料は、不透明で染料及び顔料のような着色料(1つ又はそれ以上)を含むことができる。例えば、女性用ケア製品の処理層の外観が不透明の白色であれば、液体不透過性材料には、このような処理層の下で起こる汚れのマスキングに役立たせるために二酸化チタンを含むことができる。このようにして、このような着色材料は、下の層の汚れを不明瞭にするのに役立つことになり、それらが付加される層の中に配合することができる。従って、望ましい実施形態では、液体不透過性材料の色は、付加する層の色と同様である。更に別の実施形態では、液体不透過性材料の色を付加する層の色と異なるようにして(例えば、白色)、下部層の汚れの汚れマスキングを向上させる。
【0050】
このような液体不透過性材料は、液体、ゲル、又はペーストとして付加され、物品上で固化する相変化材料又は他の材料の形であることが望ましい。このような材料には、スプレー、押し出し、印刷、又は様々な他の局所的付加法により付加される接着剤、塗料、インク、熱可塑ポリマー、及びワックスを含むことができる。望ましくは、このような相変化材料は、インクジェットインクを含むホットメルトワックスであり、これが、製品製造の間にインクジェットプリンタを通じて1つ又はそれ以上のパーソナルケア製品層に印刷される。しかし、このような液体不透過性材料は、浸漬コーティングのような他の付加法によりこのような製品層の領域に付加的に適用することができる。本出願の目的に対しては、このような付加法は、「処理」と呼ぶものとし、このような層材料は、表面にこの処理が行われると「処理された」ということになる。
【0051】
しかし、インクジェット印刷法は、この印刷法の速度及び精度により望ましい付加方法である。この印刷法により、相変化液体は、製品層の正確な位置に効率的に堆積することができ、これは、製品開発者が望むものである。様々な層上のこの処理領域の大きさ、形状、及び広がりは、審美的理由等で変えることができるが、一実施形態では、このような処理領域は、例えば、ストライプ又は円形域のような同様の大きさの繰返し形状又は区域(相変化液体の固化堆積物)の形であることが望ましい。代替的に、このような処理領域は、花模様のような審美的に満足することができる意匠の形であることが望ましい。いずれにせよ、一実施形態では、処理層表面の80%に等しいか又はそれ以下は、表面に亘って間隔を空けて配置された固化堆積物で覆われることが望ましい。この実施形態では、処理区域の非処理区域に対する比率は、大きくても4:1とすべきである。代替的な実施形態では、処理層表面の75%に等しいか又はそれ以下は、表面に亘って間隔を空けて配置された固化堆積物で覆われることが望ましい。代替的な実施形態では、処理区域の非処理区域に対する比率は、大きくても3:1とすべきである。このような領域がストライプの形状である場合には、各ストライプは、0.25mmと2.25mmの間の幅で存在し、製品又は層の長さに沿って存在することが望ましく、ストライプが層の最も長い寸法(縦方向)に沿って製品幅全体(最も狭い寸法)に亘って長さ方向に延びるようにすることが望ましい。このようにして、このようなストライプは、製品又は層が、製品又は層製造工程中にインラインで進行する時に機械方向に層表面又は製品に堆積することができる。このストライプは、一実施形態では、層の一端から他端まで一様な幅であることが望ましい。代替的に、このようなストライプ又は形状の幅は、製品長さに沿って変動することになる。このようなストライプは、層表面の非処理区域により分離され、上述の層の非処理区域は、約0.25mmと0.75mmの間の幅であることが望ましい。
【0052】
このようなストライプは、製品又は層の幅に亘って容易に位置決めされ、ストライプは、層の最も幅の狭い寸法に沿って(横方向寸法)縦方向に延びるようにすることができることを認識すべきである。この例では、このようなストライプは、機械横断方向に堆積することができる。処理区域がどのような形状でも、望ましくは、処理区域は、処理されている層上の層の全表面積の約25%と80%の間、更に望ましくは25%と75%の間を覆い、このような処理が処理層の表面全体に亘って延びるようにする。更に、適用される処理は、約0.3gsmと16.0gsmの間の添加量で適用されることが望ましい。望ましい実施形態では、このような処理は、ストライプ又は線のような連続パターン、又は一連のドット又はダッシュのような不連続パターンの形であるが、審美的意匠は、個人的又は文化的嗜好に合わせて容易に変えることができることを認めるべきである。例えば、このような処理は、繰返し正弦波又はジグザグパターンのような平行に配置されたパターンの形とすることができ、又は図5A〜図5Dに示す反復バラ又は他の花柄の意匠のような非抽象的意匠パターンの形状とすることができる。
【0053】
いずれにせよ、このような処理により、処理した線、帯域、ドット、又は意匠の間の身体滲出物が女性用製品又は他の吸収性物品の下部層まで流れる流路ができ、滲出物を吸収させることができるようになる。ライナ層又は下部層のこのような非処理区域により、身体滲出物が物品内の吸収層まで流れる妨げられない通路が設けられることになる。このような領域は、吸収性物品の1つ又はそれ以上の層上に印刷されることが望ましい。代替的な実施形態では、このような領域は、ライナ層の少なくとも1つの表面、望ましくは、使用者の皮膚に接触することになるライナ層の上面に配置することができる。代替的な実施形態では、このような領域は、ライナ層の下面に配置することができる。更に別の実施形態では、このような領域は、ライナ層の厚さの中に配置され、この堆積物が上面及び下面の両方にあるようにすることができる。
【0054】
本発明のこのようなパーソナルケア製品の例を図1に示しており、これは、女性用ケア製品、すなわち、女性用ケアパッドの一部分の断面図を示すものである。図1に見られるように、女性用ケアパッド10は、多層積層体又は複合体から成る。このような多層積層体は、上を向く表面に、様々な領域に堆積したワックス含有インクジェットインク(相変化液体)の印刷コーティング14を含む。このようなインクジェットインクは、約25%と80%の間、望ましくは、約25%と75%の間の量の表面コーティング率でほぼ液体透過性のライナ層16上に印刷される。このようなライナ層は、吸収層20の上にそれ自体が配置されているサージ層又は液体移送層18の上(垂直に隣接する)に配置される。様々な層の各々は、それらに垂直に隣接する層と流体連通する。図には示していないが、使用時には、女性用ケア製品は、サージ層と反対側の吸収層20に隣接して配置された疎水性材料の液体不透過性外側カバー/裏面シート層を含むことになる可能性が高いであろう。ライナ層及び裏面シート層は、例えば、接着剤接着、圧着、熱密封などのような公知の技術を用いてその周囲に互いに密封されることになり、この密封エッジは、パッドの全密封周囲を形成するものである。また、粘着層は、疎水性裏面シート層の露出表面に配置することができ、更に、この接着剤を覆って一時的な保護剥離紙を配置することができる。この多層積層体では単一処理層を示しているが、1つよりも多い層を処理して製品の再濡れ値を低くすると共に汚れマスキング機能を促進することができることを認めるべきである。例えば、サージ又は他の流体移送層も同様に処理することができる。更に、上述の機能層の各々もそれ自体が1つ又はそれ以上の層から成ることができることを認めるべきである。更に、このような製品は、サージ層無しで組み立てることができる。
図に示すように、堆積したコーティングは、ライナ層の上面に位置決めされる。しかし、代替的な実施形態では、堆積したコーティングは、ライナ層の底面/下面(現在コーティングされているのと反対側)に付加することができる。このようにすると、堆積したコーティングは、吸収性製品を用いている消費者の皮膚に直接接触することにならない。
【0055】
一実施形態では、様々な層に行う疎水性処理は局所的なものとされ、この処理により、処理が行われた区域の層の表面にフィルム状障壁が生成されて、層が局所処理の下で通常の機能を果たすこと、すなわち、下側の流体移送層が継続的に流体を移動させるのを妨げないようにされる。代替的な実施形態では、疎水性処理は処理層の厚さを貫通し、ストライプ、形状、又は意匠は、層、例えばライナ層16の全厚を貫通するようにされる。代替的な実施形態では、堆積物は、親水性であるが液体不透過性にされ、流体が堆積表面に引き付けられるようにする。このような実施形態は、1つ又はそれ以上の層に用いることができるが、サージ層に用いてライナの再濡れ感を低減することが好ましい。
【0056】
女性用ケア製品の液体透過性ライナ層16は、着用者の身体に接触して身体滲出物を受け取ることができる外方向に向く上面を有する。この外方向に向く表面は、液体不透過性材料が堆積されることが望ましい表面である。ライナ層16は、可撓性で着用者に刺激がない材料で製造されることが望ましい。本明細書で用いる場合、「可撓性」という用語は、馴染みやすく、この材料が接触する身体表面の外形に容易に適合する材料、又は外力が存在すると容易に変形して応じる材料を意味するものとする。
【0057】
ライナ層16は、快適性を付与し、外形に適合しやすくするために設けられ、身体滲出物を身体から遠ざけて吸収層20に向けて導くように機能する。ライナ層16は、その構造内にほとんど又は全く液体を保持せず、比較的快適で消費者の組織に隣接し、消費者が女性の場合は女性着用者の前庭内に刺激のない表面をもたらすようになっている。ライナ層16は、層の表面に接触する体液に容易に貫通される任意の織又は不織材料で構成することができる。適切なライナ層材料の例には、レーヨン、ポリエステルのボンデッドカーデッドウェブ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、又は他の熱結合可能な繊維のスパンウェブ、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーのようなポリオレフィン、鎖状低密度ポリエチレン、及びポリ乳酸のような脂肪族エステルが含まれる。また、細かく穿孔されたフィルムウェブ及びネット材料、及び穿孔フィルムもライナ層として用いることができる。適切なライナ層材料の特定の例は、ドイツ所在の「Sandler Corporation」から入手可能な「KOTEX」パンティライナのカバー素材として用いられているもののようなポリプロピレン及びポリエチレンで作られたボンデッドカーデッドウェブである。適切な材料の他の例は、ポリマー及び不織布材料の複合材料である。複合材料は、一般的に、ポリマーをスパンボンデッド材料のウェブに押し出すことにより形成された一体化シートの形態である。また、流体透過性ライナ層16は、複数の穿孔を含むことができ、これによって、体液がカバー/ライナを通って吸収層20内に貫通することができる割合を増大させることが意図されている。
【0058】
また、ライナ層16(パンティライナにおけるような)は、任意の望ましいエンボス加工パターンでエンボス加工し、エンボスチャンネルを形成することができる。エンボス加工技術は当業者に公知である。エンボス加工パターンによって審美的に満足することができる表面が生成されるだけでなく、チャンネルにより月経流体が容易に取り入れられることになる。月経は、ライナ層16の接触点の貯溜部でなくチャンネルの高密度エッジに沿って流れる傾向があることになる。
【0059】
ライナ層16は、隣接する表面の全て又は一部分を互いに結合することにより吸収層20と固定された関係で維持することができる。当業者に公知の様々な結合方法を用いてこのような固定関係にすることができる。このような方法の例には、以下に限定はしないが、2つの隣接表面間に様々なパターンで接着剤を付加する方法、吸収層の隣接表面の少なくとも一部をライナ層の隣接表面の一部と交絡させる方法、又はライナ層の隣接表面の少なくとも一部を吸収層の隣接表面の一部に溶融する方法が含まれる。
【0060】
パッド10には、パッド10に急速に導入される可能性がある液体のサージ又は噴出を吸収、減速、及び拡散させるのを助けるサージ処理層(サージ層)18が含まれる。望ましくは、サージ処理層18は、液体をパッドの貯蔵又は保持部分(吸収層)内に放出する前に、液体を急速に受け入れて一時的に保持することができるものである。サージ層は、図示のようにライナ層16の下に位置することができる。代替的な実施形態では、サージ層18とその下の吸収層20の間に別の分配材料層(図示せず)を配置し、サージ層18から吸収層20内への流体の流れが更に均等に分配されるようにすることができる。適切なサージ処理層の例は、米国特許第5,486,166号及び米国特許第5,490,846号に説明されている。他の適切なサージ管理材料は、米国特許第5,820,973号に説明されている。これらの特許の全開示内容は、本明細書における全ての目的に対して全内容が引用により組み込まれている。
【0061】
女性用ケア製品の吸収性容量は、意図した量及び種類の身体滲出物を吸収して保持するのに十分な容量で吸収層内にもたらされることが望ましい。吸収性容量は、主に液体保持吸収層20によってもたらされる。吸収層20は、一般的に、圧縮可能で外形に適合することができ、着用者の皮膚に刺激がなく、液体及び特定の身体排泄物を吸収して保持することができる任意の構造又は構成要素の組合せとすることができる。例えば、吸収層20は、セルロース繊維(例えば、木質パルプ繊維)、他の天然繊維、合成繊維、織又は不織シート、スクリム網状結合又は他の安定化構造の吸収性ウェブ材料超吸収性材料、結合剤材料、界面活性剤、選択した疎水性材料、顔料、ローション、臭気調整剤等、及びその組合せを含むことができる。特定的な実施形態では、吸収性ウェブ材料は、セルロースフラフ及び超吸収性ヒドロゲル形成粒子(超吸収性材料(SAM)又は超吸収性粒子(SAP)とも呼ばれる)のマトリックスである。セルロースフラフは、木質パルプフラフの配合物を含むことができる。望ましい種類のフラフの1つは、米国アラバマ州所在の「U.S.Alliance of Childersburg」から入手可能な商品名「CR1654」で特定され、これは、主に軟材繊維を含有する漂白高吸収性木質パルプである。他の適切な種類のパルプは、米国所在の「Weyerhaeuser」から入手可能な「CF−416」及び「NB416」である。吸収性材料は、様々な従来の方法及び技術を用いることにより、ウェブ構造に形成することができる。例えば、吸収性ウェブは、乾燥形成技術、空気形成(空気堆積)技術、湿潤形成技術、発泡材形成技術等、及びその組合せで形成することができる。このような技術を実施する方法及び装置は当業技術で公知である。
【0062】
一般的に、超吸収性材料は、ウェブの総重量に基づいて約0〜約90重量パーセントの量で吸収層の吸収性ウェブに存在する。ウェブの密度は、約0.05〜約0.35グラム/立方センチメートルの範囲内とすることができる。
超吸収性材料は、当業技術で公知であり、天然、合成、及び修飾天然ポリマー及び材料から選択することができる。超吸収性材料は、シリカゲルのような無機材料とすることができ、架橋ポリマーのような有機化合物とすることもできる。一般的に、超吸収性材料は、液体中でその重量の少なくとも約15倍吸収することができ、望ましくは、液体中でその重量の少なくとも約25倍吸収することができるものである。適切な超吸収性材料は、様々な供給元から容易に入手可能である。例えば、「Favor 880」超吸収性構造体は、ドイツ所在の「Stockhausen GmbH」から入手可能であり、「Drytech 2035」は、米国ミシガン州ミッドランド所在の「Dow Chemical Company」から入手可能である。
【0063】
望ましい形状に形成又は切断した後に、吸収性ウェブ材料は、吸収層内の吸収性構造の一体性及び形状を維持するのを助ける適切なラップで包むか又は取り囲むことができる。
また、吸収性ウェブ材料は、コフォーム材料とすることができる。「コフォーム材料」という用語は、一般的に、熱可塑性繊維及び第2の非熱可塑性材料の混合物又は安定化マトリックスを含む複合材料を意味する。一例として、コフォーム材料は、少なくとも1つのメルトブローンダイヘッドが、ウェブの形成中に他の材料がそれを通してウェブに付加される落とし口の近くに配置される工程により製造することができる。このような他の材料には、以下に限定はしないが、綿、レーヨン、再生紙、パルプフラフのような木材又は非木質パルプである繊維有機材料、更に、超吸収性粒子、無機吸収性材料、処理ポリマーステープル長繊維などを含むことができる。コフォーム材料のメルトスパン成分として様々な合成ポリマーの何れかを用いることができる。例えば、実施形態のいくつかでは、熱可塑ポリマーを用いることができる。用いることができる適切な熱可塑材料の例のいくつかには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのようなポリオレフィンと、ポリアミドと、ポリエステルが含まれる。一実施形態では、熱可塑ポリマーはポリプロピレンである。このようなコフォーム材料のいくつかの例は、本明細書における全ての目的に対して全内容が引用により組み込まれている、Anderson他に付与された米国特許第4,100,324号、Everhart他に付与された第5,284,703号、及びGeorger他に付与された第5,350,624号に開示されている。
【0064】
また、吸収層20に用いられる吸収性ウェブ材料は、個々の吸収性構造が意図する物品の用途に応じて特定の個々の全吸収度を有するようにも選択される。例えば、乳児用ケア製品では、全吸収度は、0.9重量%生理食塩水約200〜900グラムの範囲内とすることができ、一般的に、生理食塩水約500gとすることができる。大人用ケア製品では、全吸収度は、生理食塩水約400〜2000グラムの範囲内とすることができ、一般的に、生理食塩水約1300gとすることができる。女性用ケア製品では、全吸収度は、月経流体約7〜50グラムの範囲内とすることができ、一般的に、月経流体約30〜40gの範囲内とすることができる。
【0065】
裏面シート層(図示せず)は、吸収性物品の外側カバー又はバフルとして用いるための当業技術で公知のいくつかの適切な液体不透過性材料の何れか1つとすることができる。裏面カバー材料の特定の例は、米国イリノイ州ショウンバーグ所在の「Pliant Corporation」から入手可能な「KOTEX」パンティライナに用いられるもののようなポリエチレンフィルムである。裏面シート層は、隣接表面の全て又は一部分を互いに結合することにより、吸収層/ライナ層に固定された関係で維持することができる。当業者に公知の様々な結合方法を用いてこのような固定関係の何れをも達成することができる。このような方法の例には、以下に限定はしないが、超音波結合、熱結合、又は2つの隣接表面間に様々なパターンで接着剤材料を付加する方法が含まれる。
【0066】
液体不透過性材料は、ホットメルトワックス含有インクのような相変化材料とすることができる。本明細書で用いる場合、「相変化」という用語は、液体、実質的に液体、又は半固体状態中で処理され、その後冷却すると固化又は自然の状態に戻る材料を意味する。本発明には様々な相変化液体を用いることができる。例えば、このような液体には、以下に限定はしないが、薬物、インク、ワックス、塗料、ローション、軟膏、皮膚健康増進剤、局所付加物、又はその組合せを含むことができる。一般的に、相変化液体は、複合体のライナ層16又は下部層に接着又は付加することができ、固化するとライナ層16又は下部層に個別の障壁起伏を形成するような任意の付加物又は組成物とすることができる。材料又は組成物は、少なくとも部分的に疎水性であることが望ましい。相変化液体は、例えば、ワックス、ワセリンベースローション、接着剤、熱可塑体等とすることができる。本明細書で用いる場合、「ワセリン」という用語は、米国ミネソタ州セントポール所在の「Glen Corporation」から入手可能な「Glenpure L」白色ワセリンのような石油から得られる炭化水素の半固体混合物を意味する。付加的な利点として、相変化液体には、薬物、皮膚軟化剤、軟膏、保湿剤などのような皮膚健康増進剤を含むことができる。本発明に用いるインクの例には、銘柄名「SABLE」及び「SABRE」で米国ニューハンプシャー州ハノーバー所在の「Spectra、Inc.」から入手可能なもののようなホットメルトインクジェットインク製剤、「Tektronix」から入手可能なインク製剤、及び「5001」シリーズブラックインクのような「Westvaco」及び「Markem」から入手可能なものが含まれる。また、このようなインクの例は、Stephen F.Pond著「インクジェット技術と製品開発戦略」、著作権2000、「Torrey Pines Research」の198〜201頁にも説明されており、この頁は、本明細書において引用により組み込まれている。更に、押し出し熱可塑性材料のような他の材料も堆積物として用いることができる。
望ましくは、このような液体不透過性材料は、付加する層の表面を破裂させたり変化させたりしないように付加される。ホットメルトインク、又は押し出し熱可塑性材料の場合には、このようなインク及び材料の融点は、これを付加する層材料の融点よりも低いことが望ましい。
【0067】
相変化液体の液体不透過性材料の堆積物は、様々な技術によりライナ層16に付加することができる。例えば、圧電駆動プリントヘッドを用いることにより、相変化液体を堆積させることができる。圧電駆動印刷装置は、一般的に位置解像度が約(1/200)インチで直径が約50〜90マイクロメートルの範囲の液滴を放出することができる。相変化液体は、ライナ層16又は他の層の単一又は複数のパスでプリントヘッドを過ぎるか又はプリントヘッドの下に単一の組の流れとして(これが機械方向製造工程の一部である場合)堆積させることができる。別の望ましい実施形態では、相変化液体は、連続インクジェット印刷技術により堆積される。図4a及び図4bは、様々なインクジェット付加法を説明するために作成したものである。図4は、高速多色工程画像を作成する方法を示すものである。この方法には、相変化インクを処理することができる少なくとも2つの高速作動周波数プリントヘッド110を準備する段階と、少なくとも2つの相変化インク114を準備する段階と、基体116を準備する段階と、少なくとも2つのインクが通過するようにプリントヘッドを作動させる段階と、少なくとも約1000フィート/分の速度で基体116をプリントヘッドの下に通過させる段階が含まれ、少なくとも1つの処理画像(例えば、図5A〜図5Dのバラパターン)が基体116に形成される。例えば、この方法を用いて、ストライプ又は他のパターン印刷を層又は製品の全表面に沿って堆積させることができる。望ましくは、製品又は層材料は、個々の層を印刷する場合には、約100〜約4000フィート/分でプリンタを通過して移動する。更に望ましくは、製品又は層材料は、約200〜1500フィート/分の間でプリンタを通過して移動する。更に望ましくは、製品又は層材料は、約400〜600フィート/分の間でプリンタを通過して移動するものである。
【0068】
本発明の方法の一実施形態では、プリントヘッドの作動周波数は、約4kHz〜40kHzの間、更に望ましくは、約15〜20kHzの間とすることができる。本明細書で説明する相変化インクの1つ又はそれ以上の何れかに関連する周波数で実行することができるならば、任意の適切なプリントヘッドを用いることができる。上述のように、相変化インクは、ホットメルト相変化インクであることが望ましく、場合によっては、相変化インクはワックスベースであることが更に望ましい。基体又は材料(例えば、ライナ層、サージ層、又は完成女性用ケア製品)をプリントヘッドの下に通過、搬送、又は他の方法で移送することに言及したが、同じ用語は、プリントヘッドを基体の上を通過させること、又は望ましい生成速度を達成することができるようなプリントヘッド及び基体の組み合わせた動きも含むことを意図している。
【0069】
相変化インク、詳細にはホットメルトインク、より詳細には、ホットメルトワックスベースのインクを用いると、相変化インクが付加的なかなりの乾燥段階のいずれも必要としないために、本明細書で望ましい高速印刷が可能になる。以前は、プリンタに用いるインク及び組成物の乾燥時間により生成速度が制限されていたものである。相変化インクを用いると、以前には必要であった付加的な乾燥段階及び/又はプリントヘッド間の間隔(異なる色を付加するため)が必要でなくなる。従って、意匠の位置合わせ及び画像品質は、必要に応じて、高速生成速度を犠牲にすることなく達成することができる。本発明の材料を製造するための印刷方法の代替的な実施形態では、プリントヘッドと連絡するコントローラ又は他の制御手段118を設けることができる。制御手段118は、複数のモードで作動することができることが望ましく、プリントヘッド110が一緒に又は互いに独立に作動するようにプリントヘッド110を制御することができる。部分的に各制御手段が連絡するプリントヘッドの数に依存して、本発明に用いるのに任意の数の制御手段が適切であることが認められるであろう。例示的な制御手段は、手動から、コンピュータ制御又はコンピュータ調節の制御要素(例えば、手動スイッチ、ライン駆動スイッチ、光学センサ、及びソフトウエア駆動スイッチイング回路)まで様々である。
【0070】
図4aに示すように、基体移送システムの一部は、ドラム120及び複数のアイドラー122である。ドラム及びアイドラー122は、それを通過する基体材料116に適合するように設計され、基体116がドラム120を超えるか又はその回りを通過する時にそれが実質的にしわのない状態になるようになっている。アイドラー122は、望ましいレベルの張力を基体材料116に印加し、ある程度の張力を印加せずにドラム120を通過させる時に材料116に存在する可能性があるしわを消失又は低減するように調節することができる。すなわち、アイドラー122を用いて、材料116がドラム120を通過する時に望ましい張力を生成又は維持することができる。図4aにドラム120を示しているが、本明細書はこれに限定されるものでないことを認め、かつ理解すべきである。任意の数のドラム又はアイドラーの組合せを用いることができる。更に、プリントヘッドと印刷される基体の間の間隔は変えることができるが、材料116は、インクが放出される時にプリントヘッドから約2〜3mmであることが望ましい。印刷後、給紙装置ロール124からドラムに給紙された材料は、次に巻き取り装置ロール126に巻かれる。
【0071】
印刷法の代替的な実施形態では、印刷される基体128は、給紙装置ロール130から巻き戻され、連続プリンタ132のプリントヘッドの下を通過し、次に巻き取り装置ロール134に再び巻かれる。上述のインクジェットプリンタシステム構成のように、コンピュータコントローラ136は、プリントヘッド132を制御する。基体は、2つのロールの間を通過するように描かれているが、製造の優先事項により、形成ワイヤ又は連続ベルトに沿って進行することができる。
相変化液体は、望ましくは約0.3gsm(グラム/平方メートル)〜約13.0gsmの間、より望ましくは約10gsmよりも少なく、更に望ましくは約2.0gsm〜約5.0gsmの間の添加レベルで付加される。
【0072】
上述のように、このような相変化液体(すなわち、ワックス含有インク)は、インクジェットプリンタを通じての付加が、下にある印刷する層(基体材料)に有意な損傷を引き起こすと考えられる条件の下にないように選択すべきである。例えば、このようなインクの付加及び付加条件は、力によっても熱によってもそれらが印刷される層を破らないようなものとすべきである。一般的に、本発明を実行するのに利用可能なこのようなホットメルトワックスの融点は、約70と140℃の間とすべきである。用いられる実際のインクの融点は、印刷する材料層の融点よりも低い必要がある。
【0073】
このようなワックス含有インクは、非アレルギー性とする必要があり、インクが使用者の皮膚に接触しても目立つ刺激を引き起こさないようにすべきである。更に、このようなインクは、付加される様々な層に接着して、製品の使用中にその一体性及び位置を維持すべきである。付加的な利点として、液体不透過性材料には、薬物、皮膚軟化剤、軟膏、保湿剤などのような皮膚健康増進剤を含むことができる。女性用ケア製品のようなパーソナルケア製品の吸収性物品に用いるためには、皮膚に優しくない化合物の使用は避けるべきである。
【0074】
本発明の代替的な実施形態を図2に示しており、これは、本発明による女性用ケア製品の分解斜視図を示すものである。パッドは、一般的に、縦方向端部を終端とする縦方向55、及び横方向端部を終端とする横方向56(縦方向端部に対して横断する)を有することになる。このような女性用ケアパッド/生理用ナプキンの様々な幾何学形状は、当業者には公知であり、このような実施形態の全ては、本発明の範囲及び精神に含まれるものである。図に見られるように、女性用パッド40は、複数の積層体層から成る。ライナ層42は、一連の液体不透過性材料(疎水性)のストライプ41でコーティング/印刷されており、これは、非処理ライナ材料43のストライプで分離されている。ストライプの望ましい幅は、約1.50mmである(6ジェット、上述のヘッド内で各ジェットが0.25mm幅である)。望ましくは、このストライプの幅は、約0.75mm〜2.25mmの間である。ストライプは、約0.25〜約0.75mmの距離だけ間隔を空けて配置される。
【0075】
処理したストライプ41は、ライナ層の下にある白色に合うように二酸化チタンで着色されている。従って、この処理により、液体が製品に吸収された後にある程度の汚れマスキング機能がもたらされるが、最初は、ストライプが製品層に配合されているように見える。滲出液体は、処理層(コーティングの下)の下に維持され、従って、着色コーティングにより覆われる。汚れを更に隠すために、青又は黒のような濃い色を用いることもできる。
【0076】
流体移送層又はサージ層44は、ライナ層42の直下に位置する。1つ又は2つの層である吸収性保持層46及び48は、流体移送層の直下に位置する。また、サージ層もライナと同様なストライプパターンに処理されている。この実施形態では、処理されたライナ及びサージ層の両方を示しているが、代替的な実施形態では、他方の層を処理することなく何れの層も処理することができることを認識すべきである。
裏面シート層50は、最下液体保持層の下に位置する。粘着層(図示せず)は裏面シート層の下に位置し、剥離紙54は、単に引張ることにより接着剤から一方の側52に沿って除去することができるように粘着層に隣接して位置決めされる。この実施形態の様々な層の各々の詳細は、図1に示す層に関して上述したものとすることができる。
【0077】
本発明の更に別の実施形態では、吸収性物品には、上述のように処理された少なくとも1つの表面を備える層が含まれるが、取り入れを最大にし、再濡れ値を低減し、吸収性容量も増大させることができる少なくとも2つの層の吸収性構造/システムも含まれる。このような実施形態では、ライナに最も近接する上部層は、本発明により上面が処理されたサージ材料である。下部吸収層は、複合体を含む超吸収性構造体であることが望ましい。このような構造のサージ層は、二成分通気結合低密度弾力性構造であることが望ましい。このような二成分繊維は、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン並列型二成分材料とすることができる。下部吸収層は、ポリアクリル酸又は多糖のような吸収性繊維及び超吸収性材料を含むことが望ましい。
【0078】
本発明による吸収性物品を実施する際に、複数の構成が可能であり、いくつかの構成は、再濡れ及び汚れマスキングの両方を改善することができるが、取り入れ性能を低減する場合があることを認識すべきである。例えば、サージ層を加えると、明らかにされている取り入れ時間は低減する可能性があるが、他の付加的な利点を付与する場合がある。更に、いくつかの実施形態は、取り入れと汚れマスキングのみを改善することができる。特定の製品により追及される目的は、特定の製品用途に最も適する材料の組合せを判断するのに役立つことになる。また、本明細書に説明する実施形態は、限定的な意味を持たないことも認識すべきである。
【0079】
実際には、このような女性用ケア製品は、各層の製造工程の間に特定の層をインクジェットプリンタ又は他の付加方法で選択的に処理し、液体不透過性材料を様々な領域にコーティングすることができるようにするか、又は完成製品のライナ層を処理する(製品積層体に取り付けられている間に)ことができるようにして製造することができる。分離していれば、積層体材料の層は、次に、熱的ポイント結合、接着剤結合、又は超音波結合を通じて適切に結合させ、吸収性物品を形成することができる。このような材料に印刷した後に、製品は流通させるために包装することができ、印刷材料が単なる個々の層であれば、次に、公知の積層体加工又は結合方法を用いて、この層を完成積層体製品に組み込むことができる。このような方法は、コーティングを再溶融させることも連続コーティング領域を穿孔することもなく、再濡れを低減する効果もその下に含まれる汚れを隠す効果も失わないように用いるべきである。
【0080】
以下の試験例においては、説明したコードにより以下の材料を準備して試験した。上述のように、材料を変えて6組の試験が行われた。
試験する特定の材料は、以下の特定の実施例の節で説明する。これらの研究に用いる吸収層材料は、特に断らない限り、90%「NF401」パルプ及び10%「Kosa T−255」繊維結合剤で作られた250g/m2の空気堆積材料(0.14g/cc)が、90%「NF405」パルプ及び10%「Kosa plus T−255」繊維結合剤で作られた175gsm空気堆積材料(0.08g/cc)の上に配置されたもので構成されたものである。吸収層の1つのみが用いられる場合は、記載されるようにこれらの材料の1つであった。いくつかの実施例では、二成分スパンボンドサージ材料(1.0と1.5osyの間)を用いた。サージは、記載されるように第2の層として二成分(PP/PE)並列型通気結合スパンボンドを含むものである。ライナ層は、一般的に、0.6osyポリプロピレンスパンボンド材料で構成された。ライナは、一般的にほぼ0.45%「Ahcovel」で処理したものである。超薄型材料を用いた場合は、0.6osyスパンボンド、250gsm空気堆積、175gsm空気堆積、及びバフルから成り、これは、米国ジョージア州ロズウェル所在のキンバリー・クラーク・コーポレーションから入手したものである。以下の各実施例では、インクは、材料の1つ又はそれ以上の層に付加された。圧電インクジェットプリンタに約500〜8000ヘルツの間の設定を用いて、材料の各層に対してほぼ50%〜100%コーティング率でインクジェットプリンタの1〜3パスを実行した。インクは、記載されるようにブルー又はブラックであった。インクは、「Hot Melt Wax Spectra、Inc.」のインクであり、特に、記載されるように、「Jet 7520」/「Jet 7533」、「CAS番号1333−86−4」、及び「Jet 5514」/「Jet 5528」のような透明、ピンク、ブラック、又はシアンであった。特定の実施例では、インクは、キンバリー・クラーク・コーポレーションから入手可能な共穿孔「ULTRATHIN」上に印刷された。いくつかの実施例では、比較のためにインクの固体フィルムが層に印刷された。いくつかの実施例では、記載されるように、図5A〜図5Dに示すような花柄のバラの意匠を層に印刷した。花柄印刷のワイン色着色意匠を用いる目的は、月経の暗赤色を隠すことになる色及びパターンを導入することであった。汚れを隠すためにライナ層を印刷する別の方法として、繊維を通じて空気堆積層に色を加えることができるであろう。更に、熱変化に応答するように使用中にのみ見えるような方法で着色パターンを印刷することもできると考えられる。
【0081】
それ以外に、インクは、ライナ/サージ(指定されたような)上面をほぼ50%覆うために、幅を約0.75mmと2.25mmの間(1.50mm幅の場合が最も多い)、ストライプ間を0.75mm幅の間隔にして、一方の縦方向端部から他端までストライプ構成に印刷された。ライナの処理表面積は、約75%に等しいか又はそれ以下とする必要があることが見出された。インク画像は、「Spectra」製の「Galaxy PH 256/80 HM」プリンタを用いて印刷された。
【0082】
第1の実施例の実際の材料を表に示し、続いて、第2の表に試験結果を示し、その後の実施例に対しても同様である。各試験について、示す順番に個々の層を互いの上に重ねて最終的な女性用ケア製品を印刷し、並びに、上述のように個々の層の別々の印刷を行い、次に試験のために上述のようにそれらを互いの上に配置することにより材料を準備した。




【0083】
(表1a)

【0084】
(表1b)

【0085】
第1の組の実施例は、「ULTRA THIN」製品に関して試験したものである。製品上のインクの量が多くなれば、取り入れ時間が長くなる。第1の組の実施例では、コード8は、汚れマスキング及び機械方向(製品の長さ)の流体のウィッキングに良好に働いている。カバーは良好に汚れを隠さなかったが、固体ストライプを備える空気堆積サンプルは汚れを隠していた。
















【0086】
(表2a)







【0087】
(表2b)

【0088】
第2の組の実施例では、取り入れ時間が対照と同程度であった。また、再濡れ値も対照と同様であった。全ての空気堆積サンプルは、上述のライナ層及び底面の175gsm空気堆積物で試験された。コード5は、取り入れ時間20秒で最良の結果を示すが、再濡れが対照の0.18gに対して0.30gであった。対照は、取り入れ時間24秒を示している。コード2の再濡れは、0.07gの値を示している。試験から明白なように、層には重くて暗いストライプを印刷すべきである。これらの実施例のストライプは、ほぼ30%〜50%の表面コーティング率であった。後に行う試験のストライプは、ほぼ66%〜80%の表面コーティング率であった。
【0089】
ライナ印刷意匠実験データ
以下の表は、以下の効果を評価する実験の結果を含むものである。すなわち、印刷されたライナの側(身体側(上部側表面)又は製品側(下部/底部側表面))、及び女性用ケア吸収性システムの取り入れ及び再濡れに対する印刷レベルである。試験したサンプルの全ては、100%コーティング率及び8000hz及び1000hzでそれぞれ印刷したものである。従って、重い印刷は、ほぼ15gsmの添加、軽い印刷は、ほぼ1.6gsmの添加である。
【0090】
(表3)

【0091】
試験した材料システムは、全て、2つの吸収層を覆うライナから成る3つの層のシステムであった。実験中に試験した全てのサンプルのための吸収層は、250gsm、0.14g/cc空気堆積上部層/175gsm、0.08g/cc空気堆積下部層であった。ライナは、0.45%「Ahcovel」処理した0.6osyスパンボンドであった。印刷はライナ上であった。製品上のインクの量が多くなれば、再濡れ値は小さくなる。
【0092】
(表4a)

【0093】
(表4b)

【0094】
先の実施例では、コード1は、取り入れ時間は長いが、再濡れ値はゼロgであった。コード2は、取り入れ時間が非常に良好で再濡れも良好であった。この性能は、対照「ULTRA THIN」製品であるコード3に同等である。しかし、汚れマスキングは、汚れがほとんど見えなかったために、コード2の方がかなり良好であった。
以下の様々な実施例の各々に対して、スパンボンドは、ポリプロピレンスパンボンドを含むものである。サージは、記載されるように第2の層として二成分(PP/PE)並列型通気結合スパンボンドを含むものである。各コードに対して、インクジェットプリンタで材料に印刷した。





















【0095】
(表5)

【0096】
175gsm空気堆積は、インクジェット印刷されなかった。1.5osy着色サージは、上述のように二成分スパンボンドである。着色という用語は、材料が、ブルーワックスインクでインクジェット印刷されたことを意味するものである。
上述のようにライナ上でワックスインクを処理し、1.5osyの3.8デニールサージ材料を接合した。試験した全サージの取り入れ時間は、上述の「1回取り入れ試験法」を用いると、13秒又はそれ以下であった。特別の性能を有するのは、印刷サージを有するコード8であり、10秒の取り入れ、0.15gの再濡れ、及び良好な汚れマスキングを示した。
【0097】
超吸収性構造体を備えた層を包含する物品の実施例
流体を吸収して保持するための効率的な手段を提供するための製品の代替的な実施形態では、超吸収性構造体(SAP)を組み込むことが望ましい。「SAP」の欠点の1つは、流体の取り入れ率を妨げる傾向があることである。「SAP」含有下部層と組み合わせたインクジェット処理サージ上部層を含む吸収性システムでは、取り入れ機能が迅速で、再濡れ機能が低く、薄い外形に高い保持容量をもたらすことができることが見出されている。この構成の吸収性構造体を準備して性能を評価した。
【0098】
印刷サージデータ
3回噴出/再濡れ試験法を用いて以下のコードを試験した。流体放出の間隔9分で月経模擬物2mlの流体放出を3回行った。全てのコードは、3層の材料から成るものであり、すなわち、ライナ(0.6osyスパンボンド、0.45%「Ahcovel」処理)及び2つの吸収層である。吸収層は、コード欄に指定されている。
【0099】
(表6)

【0100】
略記のために、「UL」は上部層、「LL」は下部層を意味するものとする。また、「SD」は標準偏差、「SAM」は超吸収性材料を意味するものとする。軽い印刷サージは、100%表面コーティング率及び1000hz及び28fpmで印刷し、gsm添加は、ほぼ1.9gsmであった。再濡れは、サージ上の軽い印刷により有意に減少した。表から見られるように、インク処理サージと15%SAP/85%フラフ含有下部層とを組み合わせることにより、比較的取り入れが速く、比較的再濡れが小さくなり(インク印刷のない、サージ/「SAM」構造のほぼ半分)、並びに超吸収性材料から容量が付加された。
【0101】
印刷添加レベル
100%コーティング率、8000ヘルツ、及び28fpmにより、印刷紙と非印刷紙対照の間の坪量の差に基づき、インクが15.6gsmシートに堆積された。紙対照では、シートにより全インクが捕捉された。従って、実際のインクジェット添加は、印刷されるベースシートがインクを完全には捕捉していないために計算値よりも僅かに少なかった。
以下の表は、インクジェット印刷試験で作って試験された様々な材料に対する最大添加レベルの計算値を含むものである。
【0102】
(表7)

【0103】
試験/実施例の結論
女性用ケア製品の吸収層内の汚れを隠すのを助けるために、多くの異なる女性用ケア材料にインクを加えた。材料に一連のベンチ試験を行うと、材料の再濡れ性は有意に改善され(再濡れが減少した)、すなわち、女性用ケア製品の表面に戻る水分の量が減少したと判断された。用いた特定のインクは、ワックスを用いていた。サンプルには、1psiで再濡れ試験が行われた。試験の各々において、サンプルからプリントヘッドの距離は、ほぼ1と3mmの間であった。
特許請求の範囲及びその均等物に示す本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に説明した吸収性物品の実施形態に対して変更及び変形を行うことができることを当業者は認めるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明による女性用ケア製品(パッド)を示す断面図である。
【図2】本発明による女性用ケア製品(パッド)の代替的な実施形態を示す分解組立図である。
【図3】本発明の女性用ケア製品と共に用いられるような材料又は材料システムの流体取り入れ時間を判断する際の使用に適するレートブロック装置の断面図である。
【図4a】本発明による女性用ケア製品上に印刷するためのドロップオンデマンド(圧電)型インクジェット印刷システムの概略図である。
【図4b】本発明による女性用ケア製品上に印刷するための連続インクジェット印刷システムの概略図である。
【図5A】本発明による製品上に用いるための審美的パターンの図である。
【図5B】本発明による製品上に用いるための審美的パターンの図である。
【図5C】本発明による製品上に用いるための審美的パターンの図である。
【図5D】本発明による製品上に用いるための審美的パターンの図である。
【符号の説明】
【0105】
10 女性用ケアパッド
14 印刷コーティング
16 ライナ層
18 サージ層又は液体移送層
20 吸収層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を有する液体透過性ライナ層と、
実質的に液体不透過性の外側カバーと、
前記ライナ層下面と前記外側カバーの間に配置された吸収層と、
前記ライナ層表面の少なくとも1つに亘って形成された液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物と、
を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
上面及び下面を有する液体透過性ライナ層と、
実質的に液体不透過性の外側カバーと、
前記ライナ層下面と前記外側カバーの間に配置された吸収層と、
前記ライナ層下面と前記吸収層の間に配置されたサージ層と、
前記ライナ層表面の少なくとも1つに亘って形成された液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物と、
を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
前記サージ層は、上面及び下面を有し、
前記サージ層表面の少なくとも1つは、該少なくとも1つの表面に亘って間隔を空けて配置された液体不透過性材料の一連の固化堆積物を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
上面及び下面を有する液体透過性ライナ層と、
実質的に液体不透過性の外側カバーと、
前記ライナ層下面と前記外側カバーの間に配置された吸収層と、
前記ライナ層下面と前記吸収層の間に配置されたサージ層と、
前記サージ層表面の少なくとも1つに亘って形成された液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物と、
を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
ライナ上面区域を形成する上面と下面とを有する液体透過性ライナ層と、
実質的に液体不透過性の外側カバーと、
前記ライナ層下面と前記外側カバーの間に配置された吸収層と、
前記ライナ層上面に形成され、該上面に亘って間隔を空けて配置された液体不透過性材料の一連の間隔の空いた固化堆積物と、
を含み、
前記ライナ表面区域の80%に等しいか又はそれ以下は、前記間隔を空けて配置された固化堆積物で覆われている、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
前記ライナ表面区域の75%に等しいか又はそれ以下は、前記間隔を空けて配置された固化堆積物で覆われていることを特徴とする請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
女性用ケア製品、おむつ、トレーニングパンツ、又は大人用失禁用製品の何れかを含むことを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
生理用ナプキン、パッド、又はパンティライナであることを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記堆積物は、前記上面に配置された間隔の空いた連続ストライプを含むことを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記堆積物は、前記上面に配置された間隔の空いた不連続パターンを含むことを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記堆積物は、相変化液体を含むことを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記相変化液体は、インク、ワックス、ワセリンベースのローション、接着剤、熱可塑材料、又はその組合せのうちの1つであることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記相変化液体は、皮膚健康増進添加剤を含むことを特徴とする請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記ストライプの幅は、約1.50mmであることを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記ストライプは、約0.25から約0.75mmの距離だけ間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記ライナ層と前記吸収層の間に配置され、上面及び下面を有する少なくとも1つの付加的な層を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記付加的な層は、その上面、下面、又は上面及び下面の両方のうちの何れかに亘って、液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物を含むことを特徴とする請求項16に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記吸収層は、約10〜30重量%の濃度で超吸収性材料を含有することを特徴とする請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項19】
上面及び下面を有する液体透過性ライナ層と、
実質的に液体不透過性の外側カバー層と、
前記ライナ層下面と前記外側カバー層の間に配置された吸収層と、
前記ライナ層上面に該ライナ層の該上面に亘って形成された相変化液体の間隔を空けて配置された固化堆積物と、
を含むことを特徴とする女性用ケア製品。
【請求項20】
前記相変化液体は、インク、ワックス、ワセリンベースのローション、接着剤、及び熱可塑材料のうちの1つであることを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項21】
前記堆積物は、前記相変化液体の一連の間隔の空いた連続堆積物を含むことを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項22】
前記間隔の空いた連続堆積物は、ほぼ平行なストライプを含むことを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項23】
前記ストライプは、約1.50mmの幅を有し、約0.25から約0.75mmの距離だけ間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項22に記載の女性用ケア製品。
【請求項24】
前記ライナの露出表面積の該ライナの処理表面積に対する比率は、前記上面内では高くても約3:1であることを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項25】
前記ライナ層と前記吸収層の間に配置され、上面及び下面を有する少なくとも1つの付加的な層を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項26】
前記吸収層は、約10〜30重量%の濃度で超吸収性材料を含有することを特徴とする請求項19に記載の女性用ケア製品。
【請求項27】
前記付加的な層は、その上面に亘って液体不透過性材料の一連の間隔を空けて配置された固化堆積物を含むことを特徴とする請求項25に記載の女性用ケア製品。
【請求項28】
上面及び下面を有する上部層を含み、該上面及び下面の少なくとも一方は、該表面の80パーセントを超えない部分がインクで覆われるように該表面に亘ってインクで処理されており、
超吸収性構造体を含有する下部層もまた含むものである、
ことを特徴とする女性用ケア製品。
【請求項29】
再濡れ性を低減した女性用ケア製品を作成する方法であって、
a)相変化インクを処理することができるプリントヘッドを準備する段階と、
b)相変化インクを準備する段階と、
c)女性用ケア製品の基体を準備する段階と、
d)前記インクが通過するように前記プリントヘッドを作動し、前記基体を該プリントヘッドの下に通す段階と、
を含み、
前記基体の表面積の80%又はそれ以下が印刷画像で覆われるように、少なくとも1つの画像が、該基体表面に亘って該基体上の個別の区域に形成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記印刷画像は、花模様であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記インクは着色されていることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記インクは透明であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記女性用ケア製品の基体は、穿孔された1つ又はそれ以上の層を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−512159(P2006−512159A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565666(P2004−565666)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/041102
【国際公開番号】WO2004/060244
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】