説明

再生パルプ成型乾燥装置

【課題】使用済みの紙おむつや古紙等から再生したパルプをシート状に成型加工できる再生パルプ成型乾燥装置を提供する。
【解決手段】再生パルプ成型乾燥装置は、再生パルプを搬送して投入する投入コンベア1と、投入コンベア1から投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液する作液タンク2と、作液タンク2から供給されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンク3と、貯留タンク3から供給されたパルプ液をシート状に成型して乾燥させる成型乾燥機4と、成型乾燥機4から搬出されたパルプシートを受け取って搬送しつつこれに風を当てて冷却・乾燥させる風乾コンベア6と、風乾コンベア6から乾燥されたパルプシートを受け取って複数枚ずつ紐又はテープにより結束する自動結束機7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの紙おむつや不要となった古紙又は損紙等から再生されたパルプをシート状に成型加工して保管や運搬等を行い易くする再生パルプ成型乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、幼児や寝たきりの老人等には、多量の紙おむつが使用されている。この紙おむつは、幼児用おむつと大人用おむつとして大量に販売されており、これに使用されるパルプも可なりの量になっている。
そして、大量の使用済みの紙おむつは、今まで一般廃棄物としてごみ処理施設に於いてごみ焼却炉により焼却処理されている。この焼却による処理では、排ガスによる地球温暖化の問題及び焼却灰の埋め立て地等の問題が発生している。
【0003】
又、官公庁や企業に於いては、古紙や損紙が大量に発生している。この古紙や損紙も、その殆どがごみ処理施設に於いてごみ焼却炉により焼却処理されているため、紙おむつの焼却処理と同様の問題が発生している。
【0004】
そこで、近年、これらの問題を解決するものとして、使用済みの紙おむつからその素材であるパルプを分離回収して再利用する装置や古紙の再生利用を可能とする装置が開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
ところで、前記両装置に於いては、何れも再生されたパルプがスクリュープレス構造の脱水機やスクリュープレスで絞った状態で生成されており、得られた再生パルプがバラバラの状態となっている。
その結果、従来の装置に於いては、使用済みの紙おむつや古紙等からパルプを再生した場合、生成された再生パルプがバラバラの状態になるため、再生パルプの保管や運搬等を極めて行い難くなり、再生パルプの取扱性に劣ると云う問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−273259号公報
【特許文献2】特開2003−119680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、使用済みの紙おむつや古紙等から再生したパルプをシート状に成型加工できるようにした再生パルプ成型乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、再生パルプを搬送して投入する投入コンベアと、投入コンベアから投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液する作液タンクと、作液タンクから供給されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンクと、貯留タンクから供給されたパルプ液をシート状に成型して乾燥させる成型乾燥機と、成型乾燥機から搬出されたパルプシートを受け取って搬送しつつこれに風を当てて冷却・乾燥させる風乾コンベアと、風乾コンベアから乾燥されたパルプシートを受け取って複数枚ずつ紐又はテープにより結束する自動結束機とから構成したことに特徴がある。
【0009】
本発明の請求項2の発明は、作液タンクと成型乾燥機との間に、成型乾燥機で発生した水を貯留して作液タンクへ循環供給する循環水タンクを配設したことに特徴がある。
【0010】
本発明の請求項3の発明は、作液タンクが、作液タンク内に投入された再生パルプの重量と加えられた水の重量を測定するロードセルを備えていることに特徴がある。
【0011】
本発明の請求項4の発明は、成型乾燥機が、無端状のメッシュベルト上にパルプ液が流れ落ちるのを阻止する枠を設けた金属製のメッシュベルトコンベアと、メッシュベルトコンベアの上流側端部の上方位置に配設され、メッシュベルト上の枠内へ一定量のパルプ液を均一になるように流し込んでシート状にするパルプ液供給装置と、メッシュベルトコンベアにより搬送されるパルプシートを一次脱水する一次脱水機と、一次脱水機により脱水されたパルプシートを所定の長さに切断するカッター装置と、メッシュベルトコンベアの下流側位置に配設され、メッシュベルトコンベアから切断されたパルプシートを受け取って搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアに設けられ、切断されたパルプシートを二次脱水する二次脱水機と、二次脱水されたパルプシートを加熱乾燥する加熱プレス機とから構成されていることに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項5の発明は、二次脱水機が、搬送コンベアの上方位置に回転自在に配設され、外周面に濾布を巻き付けた複数本の転圧ローラから成ることに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項6の発明は、加熱プレス機が、二次脱水されたパルプシートを支持載置する下部プレス部と、下部プレス部に熱風を供給して下部プレス部を加熱するバーナと、下部プレス部の上方位置に配設され、下部プレス部との間でパルプシートを加熱プレスする上部プレス部とから成り、上部プレス部の下部プレス部に対向する面に、発生した蒸気を吸引する複数の吸引孔を形成し、又、下部プレス部に供給した熱風を上部プレス部へ導いて上部プレス部を加熱する構成としたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の再生パルプ成型乾燥装置は、再生パルプを搬送して投入する投入コンベアと、投入コンベアから投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液する作液タンクと、作液タンクから供給されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンクと、貯留タンクから供給されたパルプ液をシート状に成型して乾燥させる成型乾燥機と、成型乾燥機から搬出されたパルプシートを受け取って搬送しつつこれに風を当てて冷却・乾燥させる風乾コンベアと、乾燥された複数枚のパルプシートを紐又はテープにより結束する自動結束機とから構成しているため、使用済みの紙おむつや古紙等から再生したパルプをシート状に成型加工することができ、再生パルプの保管や運搬等を極めて行い易くなる。
又、本発明の請求項1の再生パルプ成型乾燥装置は、自動結束機により複数枚のパルプシートを紐又はテープにより結束する構成としているため、パルプシートの保管や運搬等をより一層行う易くなる。
更に、本発明の請求項1の再生パルプ成型乾燥装置は、作液タンクにより作液されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンクを備えているため、均質のパルプ液を成型乾燥機へ供給することができ、出来上がったパルプシートも均質なものとなる。
加えて、本発明の請求項1の再生パルプ成型乾燥装置は、成型乾燥機の下流側に風乾コンベアを設置しているため、パルプシートをより一層乾燥させることができ、パルプシートの含水率をより一層低下させることができる。
【0015】
本発明の請求項2乃至請求項6の再生パルプ成型乾燥装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の再生パルプ成型乾燥装置は、作液タンクと成型乾燥機との間に、成型乾燥機で発生した水を貯留して作液タンクへ循環供給する循環水タンクを配設する構成としているため、パルプ液を作液するのに作液タンク内へ新しい水を新たに投入する必要がなく、水の使用量が少なくて済み、コストの低減を図れる。
本発明の請求項3の再生パルプ成型乾燥装置は、作液タンクが、作液タンク内に投入された再生パルプと加えられた水の重量を測定するロードセルを備えているため、作液タンク内への再生パルプの投入量と水の投入量を重量にて管理することが可能となり、作液されたパルプ液の濃度を一定にすることができる。その結果、本発明の請求項3の再生パルプ成型乾燥装置は、パルプ液からパルプシートを作製する際に再生パルプ成型乾燥装置を一定の条件で運転することができる。
本発明の請求項4の再生パルプ成型乾燥装置は、成型乾燥機が、パルプシートを一次脱水する一次脱水機と、一次脱水機により一次脱水されたパルプシートを二次脱水する二次脱水機と、二次脱水されたパルプシートを加熱プレスにより加熱乾燥させる加熱プレス機とを備えているため、パルプシートの含水率を大幅に減少させることができる。
本発明の請求項5の再生パルプ成型乾燥装置は、二次脱水機が、搬送コンベアの上方位置に回転自在に配設され、外周面に濾布を巻き付けた複数本の転圧ローラから成るため、転圧により絞られた水が濾布に吸水されることになり、絞られた水によりシートの成型が乱されるのを防止することができる。
本発明の請求項6の再生パルプ成型乾燥装置は、加熱プレス機が、二次脱水されたパルプシートを支持載置する下部プレス部と、下部プレス部に熱風を供給して下部プレス部を加熱するバーナと、下部プレス部の上方位置に配設され、下部プレス部との間でパルプシートを加熱プレスする上部プレス部とから成り、上部プレス部の下部プレス部に対向する面に、発生した蒸気を吸引する複数の吸引孔を形成し、又、下部プレス部に供給した熱風を上部プレス部へ導いて上部プレス部を加熱する構成としているため、パルプシートを確実且つ良好に乾燥させることができると共に、エネルギー効率の向上を図れてバーナの燃料の使用量を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る再生パルプ成型乾燥装置を示し、当該再生パルプ成型乾燥装置は、使用済みの紙おむつや古紙等から再生されてスクリュープレス(図示省略)で絞った状態で生成された再生パルプを一度水に溶かしてパルプ液とし、このパルプ液をシート状に成型した後、ローラによる絞りと加熱プレスによる加熱により乾燥させるようにしたものである。
【0017】
即ち、前記再生パルプ成型乾燥装置は、使用済みの紙おむつ等から再生されてスクリュープレスで絞った状態で生成された再生パルプを搬送して投入する投入コンベア1と、投入コンベア1から投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液する作液タンク2と、作液タンク2から供給されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンク3と、貯留タンク3から供給されたパルプ液をシート状に成型して脱水及び加熱により乾燥させる成型乾燥機4と、成型乾燥機4で発生した水を貯留して作液タンク2へ循環供給する循環水タンク5と、成型乾燥機4から搬出されたパルプシートを受け取って搬送しつつこれに風を当てて冷却・乾燥させる風乾コンベア6と、風乾コンベア6から乾燥されたパルプシートを受け取って複数枚ずつ紐又はテープにより結束する自動結束機7と、前記各機器を自動制御する制御装置8等から構成されており、使用済みの紙おむつ等から再生されたパルプをシート状に成型加工して保管や運搬等を行い易くしたものである。
【0018】
即ち、前記投入コンベア1は、使用済みの紙おむつ等から再生されてスクリュープレス(図示省略)で絞った状態で生成されたバラバラの状態の再生パルプを搬送するベルトコンベア1aと、ベルトコンベア1aの下流側に設置され、再生パルプを一旦貯留して作液タンク2内へ送るホッパ1bとから成り、再生パイプをベルトコンベア1aでホッパ1b内へ搬送し、ホッパ1b内に一旦貯留した後、作液タンク2内へ投入するように構成されている。この投入コンベア1は、再生されたパイプを作液タンク2内へバッチ的に投入するように制御装置8により駆動制御されている。
尚、ホッパ1b内には、貯留された再生パルプによるブリッジ防止及び再生パルプを作液タンク2内へ送り込むためのパドル(図示省略)が内蔵されている。
【0019】
前記作液タンク2は、再生パルプと水(工業用水)とが投入されるタンク本体2aと、タンク本体2aを支持する脚体2bと、脚体2bに設けられ、作液タンク2内に投入された再生パルプの重量と加えられた水の重量を測定するロードセル2cと、タンク本体2a内で作液されたパルプ液を引き抜いて貯留タンク3へ送る液引抜ポンプ2dとから構成されており、投入コンベア1から投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液するものである。
この作液タンク2は、ロードセル2cにより作液タンク2内へ投入された再生パルプの重量と水の重量とを夫々測定しており、これらの測定値を制御装置8に入力して管理し、投入コンベア1からの作液タンク2内への再生パルプの投入量と作液タンク2内への水の投入量を夫々制御することによって、パルプ液の濃度を一定にすることができるようになっている。
【0020】
前記貯留タンク3は、作液タンク2から供給されたパルプ液を貯留するタンク本体3aと、タンク本体3aを支持する脚体3bと、タンク本体3a内に配設され、タンク本体3a内のパルプ液を撹拌する撹拌羽根(図示省略)と、タンク本体3a内のパルプ液を成型乾燥機4へ圧送する液供給ポンプ3cと、タンク本体3a内のパルプ液の水面を検出するフロートスイッチ式の液面センサー(図示省略)とから構成されており、作液タンク2で作液されたパルプ液を一旦貯留して成型乾燥機4へ供給するものである。
【0021】
前記成型乾燥機4は、図2に示す如く、無端状のメッシュベルト9c上にパルプ液が流れ落ちるのを阻止する枠9eを設けた金属製のメッシュベルトコンベア9と、メッシュベルトコンベア9の上流側端部の上方位置に配設され、メッシュベルト9c上の枠9e内へ一定量のパルプ液を均一になるように流し込んでシート状にするパルプ液供給装置10と、メッシュベルトコンベア9により搬送されるパルプシートを一次脱水する一次脱水機11と、一次脱水機11により脱水されたパルプシートを所定の長さに切断するカッター装置12と、メッシュベルトコンベア9の下流側位置に配設され、メッシュベルトコンベア9から切断されたパルプシートを受け取って搬送する搬送コンベア13と、搬送コンベア13に設けられ、切断されたパルプシートを二次脱水する二次脱水機14と、二次脱水されたパルプシートを加熱乾燥する加熱プレス機15とから構成されており、貯留タンク3から供給されたパルプ液をシート状に成型し、このシート状に成型したパルプ液をローラによる絞りと加熱プレスによる加熱により乾燥させてパルプシートを得るものである。
【0022】
具体的には、メッシュベルトコンベア9は、一定の間隔を開けて回転自在に配設された駆動プーリ9a及び従動プーリ9bと、駆動プーリ9aを回転駆動する駆動モータ(図示省略)と、両プーリ9a,9bに水平姿勢で巻き回された無端状のステンレス製のメッシュベルト9cと、両プーリ9a,9b間に配設され、メッシュベルト9cを裏面側から支持する複数本の受けローラ9dと、メッシュベルト9cの上面側両サイド位置にメッシュベルト9c表面に摺動自在に配設され、メッシュベルト9cの上面に供給されたパルプ液がメッシュベルト9cから流れ落ちるのを阻止する左右の枠9eとから構成されている。この実施の形態に於いては、左右の枠9eの間隔は、800mmに設定されている。
【0023】
パルプ液供給装置10は、メッシュベルトコンベア9の上流側端部の上方位置に配設され、メッシュベルト9c上の左右の枠9e内へ一定量のパルプ液を均一に噴出するパルプ液噴出ノズル10aと、パルプ液噴出ノズル10aへ供給されるパルプ液の供給量を制御する調整バルブ10bとから構成されており、パルプ液噴出ノズル10aからメッシュベルト9c上の枠9e内へ一定量のパルプ液を均一になるように流し込んでシート状にするものである。
尚、調整バルブ10bは、余分なパルプ液を貯留タンク3内へ返送できるように構成されている。
【0024】
一次脱水機11は、メッシュベルトコンベア9の上面側に回転自在に配設され、メッシュベルト9c上の枠9e内のパルプシートを絞る複数のローラ11′と、各ローラ11′を回転駆動するモータ(図示省略)と、ローラ11′の下方位置でメッシュベルト9cの裏面側に配設され、真空吸引によりパルプシートから水を真空吸引する吸引装置11″とから構成されており、メッシュベルトコンベア9により搬送されるパルプシートをローラ11′による絞りと吸引装置11″による吸引とにより一次脱水するものである。
又、吸引装置11″は、メッシュベルト9cの裏面側に配設され、上面側に多数の吸引孔を形成した真空吸引ボックス11aと、真空吸引ボックス11aに配管16及び気液分離器17を介して接続されたルーツブロワー11bとから成り、ルーツブロワー11bによる真空吸引によりメッシュベルト9c上のパルプシートに含まれしている水を多数の吸引孔から空気と一緒に真空吸引ボックス11a内へ吸引するように構成されている。真空吸引ボックス11a内に吸引された水と空気は、気液分離器17に送られ、ここで水と空気に分離される。気液分離器17で分離された水は、ストレーナ18を介して循環水タンク5へ供給され、又、気液分離器17で分離された空気は、ルーツブロワー11bから大気中へ放出されている。
【0025】
カッター装置12は、メッシュベルトコンベア9の上方位置に縦向きに配設された流体圧シリンダ12aと、流体圧シリンダ12aのロッドに取り付けられ、メッシュベルトコンベア9上のパルプシートを幅方向に沿って切断する上下動自在なカッター刃12bとから成り、流体圧シリンダ12aによりカッター刃12bを上下動させ、一次脱水機11により脱水されたメッシュベルト9c上のパルプシートを幅方向に沿って切断することによって、パルプシートを所定の長さに切断することができる。この実施の形態では、カッター装置12は、メッシュベルトコンベア9によりパルプシートが700mm移動したときに作動するように設定されており、長さが700mm、幅が800mmの矩形状のパルプシートを形成することができるようになっている。
【0026】
搬送コンベア13は、メッシュベルトコンベア9の下流側位置に下り傾斜姿勢で配設されており、メッシュベルトコンベア9から切断されたパルプシートを受け取って搬送するものである。この実施の形態では、搬送コンベア13には、ローラコンベアが使用されている。
【0027】
二次脱水機14は、搬送コンベア13の上流側端部の上方位置に回転自在に配設され、搬送コンベア13上のパルプシートを絞る複数本の転圧ローラ14aと、各転圧ローラ14aを回転駆動するモータ(図示省略)とから構成されており、切断されたパルプシートを二次脱水するものである。この二次脱水機14の各転圧ローラ14aの外周面には、濾布が巻き付けられている。
【0028】
加熱プレス機15は、搬送コンベア13の途中に配設され、二次脱水されたパルプシートを支持載置するボックス形状の下部プレス部15aと、燃料タンク15bからの燃料を燃焼させて下部プレス部15aに熱風を供給するバーナ15c(ガスバーナ15c)と、下部プレス部15aの上方位置に流体圧シリンダ(図示省略)により昇降自在に配設され、下部プレス部15aとの間でパルプシートを加熱プレスするボックス状の上部プレス部15dとから成り、下部プレス部15aに供給された熱風を可撓性の配管15eを介して上部プレス部15dへ導き通す構成となっている。
又、上部プレス部15dの下部プレス部15aに対向する面には、溝(図示省略)と蒸気を吸引するための吸引孔15d′が形成されている。
更に、上部プレス部15dは、配管16及び気液分離器17を介してルーツブロワー11bに接続されており、熱により発生した蒸気をルーツプロワー11bにより吸引できるようになっている。
【0029】
尚、この実施の形態に於いては、前記成型乾燥機4は、パルプシートを幅方向に沿って切断するカッター装置12を備え、当該カッター装置12によりパルプシートを700mmの長さに切断するようにしたが、他の実施の形態に於いては、カッター装置12を省略し、パルプ液供給装置10を制御してメッシュベルトコンベア9のメッシュベルト9cが700mm移動するごとにパルプ液の流れを一時的にカットすることによって、長さが700mmのパルプシートを形成するようにしても良い。この場合には、成型乾燥機4からカッター装置12を省略できるのでコストの削減を図ることができる。
又、この実施の形態に於いては、加熱プレス機15のバーナ15cにガスバーナ15cを使用するようにしたが、他の実施の形態に於いては、加熱プレス機15のバーナ15cにオイルバーナを使用するようにしても良い。
【0030】
前記循環水タンク5は、図3に示す如く、作液タンク2と成型乾燥機4との間に配設され、成型乾燥機4で発生した水を貯留して作液タンク2へ循環供給するものであり、成型乾燥機4で脱水により発生した水を溜める水受けパン19に、配管16、ストレーナ18及び水引抜ポンプ20を介して接続され、又、作液タンク2に配管16及び循環水供給ポンプ21を介して接続されている。
【0031】
前記風乾コンベア6は、成型乾燥機4から搬出された乾燥済みの熱いパルプシートを受け取って搬送するローラコンベア6aと、ローラコンベア6a上のパルプシートに風を当てる送風機(図示省略)とから構成されており、ローラコンベア6aで熱いパルプシートを搬送しつつこれに送風機からの風を当てて冷却・乾燥させるものである。
【0032】
前記自動結束機7は、風乾コンベア6の下流側位置に配設されており、風乾コンベア6により搬送されて来た乾燥済みのパルプシートを受け取って複数枚ずつ紐又はテープにより自動結束するものである。この自動結束機7には、従来公知のものが使用されている。
【0033】
前記制御装置8は、投入コンベア1、液引抜ポンプ2d及び液供給ポンプ3c等の各種ポンプ、メッシュベルトコンベア9、パルプ液供給装置10、一次脱水機11、カッター装置12、搬送コンベア13、二次脱水機14、加熱プレス機15、風乾コンベア6、自動結束機7等の全ての機器を自動制御するものであり、制御装置8への入力値を変更することによって各機器の調整を容易に行え、又、各機器の一個所の変更でも全ての機器が連動して動作するように制御するものである。
【0034】
次に、上述した再生パルプ成型乾燥装置を用いてスクリュープレスにより絞った状態で生成された使用済みの紙おむつ等の再生パルプをシート状に成型加工して乾燥させる場合について説明する。
【0035】
スクリューコンベアにより絞った状態で生成された再生パルプは、投入コンベア1のベルトコンベヤ1aにより搬送されてホッパ1b内に一旦貯留され、ここから作液タンク2内へ投入される。作液タンク2では、作液タンク2内に投入された再生パルプに水を加えてパルプ液を作液する。このとき、作液タンク2は、ロードセル2cにより作液タンク2内へ投入された再生パルプの重量と水の重量とを夫々測定しており、これらの測定値を制御装置8に入力して管理し、投入コンベア1からの作液タンク2内への再生パルプの投入量と作液タンク2内への水の投入量を夫々制御するようになっている。これによって、作液されたパルプ液の濃度を一定にすることができる。
【0036】
作液タンク2で作液されたパルプ液は、液引抜ポンプ2dにより引き抜かれて貯留タンク3内へ送られる。この貯留タンク3では、貯留されたパルプ液中のパルプの沈殿を防止するために撹拌羽根(図示省略)によりパルプ液を撹拌しつつ、パルプ液を液供給ポンプ3cにより成型乾燥機4へ圧送する。このとき、貯留タンク3内のパルプ液の貯留量が液面センサーにより検出されており、パルプ液の貯留量が一定量以下になると、自動的に作液タンク2内へ再生パルプと水が投入されてパルプ液を作液するようになっている。
【0037】
成型乾燥機4へ圧送されたパルプ液は、パルプ液供給装置10のパルプ液噴出ノズル10aからメッシュベルトコンベア9のメッシュベルト9c上の枠9e内に均一になるように流し込まれる。このとき、パルプ液供給装置10は、パルプ液の量が調整バルブ10bにより調整されており、メッシュベルト9c上に形成されるパルプシートの厚み(重量)を調整するようになっている。
【0038】
メッシュベルトコンベア9のメッシュベルト9c上の枠9e内に流し込まれたパルプシートは、メッシュベルトコンベア9により搬送される間に一次脱水機11のローラ11′による絞りと吸引装置11″による吸引により一次脱水される。このとき、ローラ11′の絞りにより発生した水は、水受けパン19に回収され、水引抜ポンプ20により配管16及びストレーナ18を経て循環水タンク5へ送られる。又、吸引された水は、空気と一緒に配管16を介して気液分離器17に導かれ、ここで水と空気とに分離される。気液分離器17で分離された水は、ストレーナ18を介して循環水タンク5へ供給され、又、気液分離器17で分離された空気は、ルーツブロワー11bから大気中へ放出される。
尚、循環水タンク5に溜められた水は、循環水供給ポンプ21により作液タンク2内へ供給され、パルプ液を作液するのに使用される。そのため、パルプ液を作液する際に新しい水を新たに使用することもなく、水の使用量が少なくて済み、コストの低減を図れる。
【0039】
一次脱水機11で一次脱水されたパルプシートは、メッシュベルトコンベア9により搬送されつつメッシュベルトコンベア9の搬送速度に連動したカッター装置12によりメッシュベルト9c上で700mmの長さに切断される。
【0040】
切断されたパルプシートは、搬送コンベア13に送り込まれ、ここで二次脱水機14の転圧ローラ14aにより二次脱水される。このとき、転圧ローラ14aの外周面に濾布を巻き付けているため、転圧により絞られた水が濾布に吸水されることになり、絞られた水によりシートの成型が乱されるのを防止することができる。又、転圧ローラ14aの絞りにより発生した水は、水受けパン19に回収され、水引抜ポンプ20により配管16及びストレーナ18を経て循環水タンク5へ送られる。
【0041】
二次脱水機14で二次脱水されたパルプシートは、搬送コンベア13により加熱プレス機15へ送られ、ここでバーナ15cからの熱風により加熱された上部プレス部15dと下部プレス部15aとの間で加熱プレスされて更に乾燥される。このとき、下部プレス部15aに供給された熱風を上部プレス部15dへ導き通す構成としているため、エネルギー効率が上がり、バーナ15cの燃料の使用量を減少させることができる。又、加熱プレス機15で発生した蒸気は、ルーツブロワー11bの吸引力により上部プレス部15dの吸引孔15d′から空気と一緒に吸引され、気液分離器17へ送られてここで水と空気に分離される。分離された水は、ストレーナ18を介して循環水タンク5へ送られ、又、分離された空気は、ルーツブロワー11bから大気中へ放出される。
【0042】
加熱プレス機15で乾燥されたパルプシートは、加熱プレス機15から搬出されて搬送コンベア13により風乾コンベア6のローラコンベア6aへ送り込まれ、ローラコンベア6aにより搬送される間に送風機(図示省略)から風を当てられて冷却・乾燥される。
【0043】
風乾コンベア6で完全に冷却・乾燥されたパルプシートは、自動結束機7へ送られてここで複数枚ずつ紐又はテープにより自動結束される。
【0044】
このように、上述した再生パルプ成型乾燥装置を用いれば、使用済みの紙おむつや古紙等から再生したパルプをシート状に成型加工することができるため、再生パルプの保管や運搬等を極めて行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る再生パルプ成型乾燥装置の全体を示す斜視図である。
【図2】再生パルプ成型乾燥装置の成型乾燥機部分の概略説明図である。
【図3】再生パルプ成型乾燥装置を用いて再生パイプをシート状に成型加工して乾燥させる場合の工程を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1は投入コンベア、2は作液タンク、2cはロードセル、3は貯留タンク、4は成型乾燥機、5は循環水タンク、6は風乾コンベア、7は自動結束機、9はメッシュベルトコンベア、9cはメッシュベルト、9eは枠、10はパルプ液供給装置、11は一次脱水機、12はカッター装置、13は搬送コンベア、14は二次脱水機、14aは転圧ローラ、15は加熱プレス機、15aは下部プレス部、15cはバーナ、15dは上部プレス部、15d′は蒸気の吸引孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生パルプを搬送して投入する投入コンベア(1)と、投入コンベア(1)から投入された再生パルプを水に溶かしてパルプ液を作液する作液タンク(2)と、作液タンク(2)から供給されたパルプ液を貯留して撹拌する貯留タンク(3)と、貯留タンク(3)から供給されたパルプ液をシート状に成型して乾燥させる成型乾燥機(4)と、成型乾燥機(4)から搬出されたパルプシートを受け取って搬送しつつこれに風を当てて冷却・乾燥させる風乾コンベア(6)と、風乾コンベア(6)から乾燥されたパルプシートを受け取って複数枚ずつ紐又はテープにより結束する自動結束機(7)とから構成したことを特徴とする再生パルプ成型乾燥装置。
【請求項2】
作液タンク(2)と成型乾燥機(4)との間に、成型乾燥機(4)で発生した水を貯留して作液タンク(2)へ循環供給する循環水タンク(5)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の再生パルプ成型乾燥装置。
【請求項3】
作液タンク(2)は、作液タンク(2)内に投入された再生パルプの重量と加えられた水の重量を測定するロードセル(2c)を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再生パルプ成型乾燥装置。
【請求項4】
成型乾燥機(4)は、無端状のメッシュベルト(9c)上にパルプ液が流れ落ちるのを阻止する枠(9e)を設けた金属製のメッシュベルトコンベア(9)と、メッシュベルトコンベア(9)の上流側端部の上方位置に配設され、メッシュベルト(9c)上の枠(9e)内へ一定量のパルプ液を均一になるように流し込んでシート状にするパルプ液供給装置(10)と、メッシュベルトコンベア(9)により搬送されるパルプシートを一次脱水する一次脱水機(11)と、一次脱水機(11)により脱水されたパルプシートを所定の長さに切断するカッター装置(12)と、メッシュベルトコンベア(9)の下流側位置に配設され、メッシュベルトコンベア(9)から切断されたパルプシートを受け取って搬送する搬送コンベア(13)と、搬送コンベア(13)に設けられ、切断されたパルプシートを二次脱水する二次脱水機(14)と、二次脱水されたパルプシートを加熱乾燥する加熱プレス機(15)とから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再生パルプ成型乾燥装置。
【請求項5】
二次脱水機(14)は、搬送コンベアの上方位置に回転自在に配設され、外周面に濾布を巻き付けた複数本の転圧ローラ(14a)から成ることを特徴とする請求項4に記載の再生パルプ成型乾燥装置。
【請求項6】
加熱プレス機(15)は、二次脱水されたパルプシートを支持載置する下部プレス部(15a)と、下部プレス部(15a)に熱風を供給して下部プレス部(15a)を加熱するバーナ(15c)と、下部プレス部(15a)の上方位置に配設され、下部プレス部(15a)との間でパルプシートを加熱プレスする上部プレス部(15d)とから成り、上部プレス部(15d)の下部プレス部(15a)に対向する面に、発生した蒸気を吸引する複数の吸引孔(15d′)を形成し、又、下部プレス部(15a)に供給した熱風を上部プレス部(15d)へ導いて上部プレス部(15d)を加熱する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の再生パルプ成型乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−299217(P2009−299217A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154831(P2008−154831)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000143961)株式会社桜川ポンプ製作所 (5)
【Fターム(参考)】