説明

再生方法

【課題】AVデータの再生中にメニューナビゲーションを行う時、AVデータの再生状態を変更できるように作られたインタラクティブグラフィックストリームの再生方法を提供する。
【解決手段】インタラクティブグラフィックデータを再生する再生方法であって、AVデータを再生する段階と、再生されたAVデータの少なくとも一部をカバーして再生される前記インタラクティブグラフィックデータを、前記AVデータと共に再生する段階と、前記インタラクティブグラフィックデータに含まれる命令語に応じて前記AVデータの再生状態を転換する段階とを含むことにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AV(Audio/Video)データの再生に係り、さらに詳細には、AVデータの再生状態を転換できるように作られたインタラクティブグラフィックストリームの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、メインストリームに多重化される色々なストリームを示す図である。図1を参照するに、マルチメディア映像のメインストリーム110は、ビデオストリーム102、オーディオストリーム104、サブタイトルを提供するためのプレゼンテーショングラフィックストリーム106及びユーザとの相互作用のためのボタンよりなるメニューを提供するためのインタラクティブグラフィックストリーム108が多重化されている。このようなインタラクティブグラフィックストリーム108は、複数のセグメントより構成される。
【0003】
図2は、インタラクティブストリーム内のディスプレイセットの構成を示す図である。図2を参照するに、インタラクティブグラフィックストリーム108は、複数のセグメントよりなるディスプレイセットより構成される。ディスプレイセットを形成する各セグメントを説明すれば、次の通りである。ICS(Interactive Composition Segment)210は、インタラクティブグラフィックストリーム内の“インタラクティブディスプレイ”の表示情報を定義している。“インタラクティブディスプレイ”は、ボタンのような命令語が含まれたグラフィック要素を提供するために使われる。PDS(Palette Definition Segment)220は、インタラクティブグラフィックストリームと関連して、グラフィックプレイン内で各ピクセル値に適用されなければならない出力色相や透明度を提供するパレットを定義するために使われる。ODS(Object Definition Segment)230−1ないし230−nは、複数個が存在し、インタラクティブグラフィックストリーム内での実際グラフィックデータである。ENDセグメント240は、ディスプレイセットの終了を知らせるために使われる。
【0004】
このようなインタラクティブグラフィックストリームは、AVストリームと共に再生されるが、AVストリームの再生中にメニューをナビゲーションするためにメニューを画面に表示した時、メニューに該当するインタラクティブグラフィックストリームを再生する間にも、AVストリームの再生は続くので、メニューナビゲーション時には映画の場面を見逃すようになるか、メニュー画面が全体画面の多くの部分を占める場合、重要な場面を見逃すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、AVデータの再生中にメニューナビゲーションを行う時、AVデータの再生状態を変更できるように作られたインタラクティブグラフィックストリームの再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明によって、インタラクティブグラフィックデータを再生する再生方法であって、AVデータを再生する段階と、再生されたAVデータの少なくとも一部をカバーして再生される前記インタラクティブグラフィックデータを、前記AVデータと共に再生する段階と、前記インタラクティブグラフィックデータに含まれる命令語に応じて前記AVデータの再生状態を転換する段階とを含むことを特徴とする再生方法によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ポップアップメニューまたは常時表示メニューを表示する場合、AVプレゼンテーションの状態、すなわち、プレゼンテーションエンジンの状態を制御できる方法を提供することによって、製作者またはユーザがメニュー再生時に、AVデータの再生をずっと維持するか、または一時停止させうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】メインストリームに多重化される色々なストリームを示す図である。
【図2】インタラクティブストリーム内のディスプレイセットの構成を示す図である。
【図3】メニューを具現するためのインタラクティブグラフィックストリームのうちICSの構造を示す図である。
【図4】ポップアップメニューの有効表示期間を説明するための図である。
【図5】常時表示メニューの有効表示期間を説明するための図である。
【図6】プレゼンテーションエンジンが活性化されている場合に、AVプレゼンテーションが有しうる状態を示す図である。
【図7】一時停止を具現する一実施例であって、ポップアップメニューの製作時にAVデータの再生状態を制御できるようにプレコマンドブロックを追加したICSの構造を示す図である。
【図8】一時停止を具現する他の一実施例であって、メニュー画面にStill命令語を割当てたところを示す図である。
【図9】本発明によるインタラクティブグラフィックストリームを再生する再生装置の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0010】
図3は、メニューを具現するためのインタラクティブグラフィックストリームのうちICSの構造を示す図である。図3を参照するに、ICSは、複数のページ構造を含んでおり、このICSが属するディスプレイセットの有効表示期間内に複数のメニューページ、または他の形態のグラフィックユーザインターフェースを具現可能にしている。ページは、一つのメニューを構成するためのボタンのグループであり、page_idを通じて区別される。すなわち、一つのICSに複数のメニューページが含まれている。ポップアップメニュー及び常時表示メニューの場合、前記ICS構造を同一に有し、セグメントデスクリプション属性内には、当該ICSに具現されるメニューがポップアップメニューであるかまたは常時表示メニューであるかを表す属性が記録されている。
【0011】
図4は、ポップアップメニューの有効表示期間を説明するための図である。ポップアップメニューは、AVデータの再生時点がEpoch Start ICSのPTS(Presentation Time Stemp)となっても、画面上にメニューが表示されず、ユーザにメニューが表示されるように“PopUp_on()”のようなユーザオペレーションが割当てられたボタンが実行されてこそ初めて画面に表示される。Epochについては後述する。メニューが画面上で消去されることは“PopUp_off()”のようなユーザオペレーションによってまたは当該ICSのcomposition_time_out_pts時点に自動的に消去される。したがって、410で表示した区間である、当該ICSのPTS時点からcomposition_time_out_ptsで指定している時点までは、ポップアップメニューの有効表示期間となり、有効表示期間内でPopUp_on()とPopUp_off()との間にメニュー画面が実際に画面上に表示された時間の和がインタラクティブ表示区間となる。
【0012】
ここで、有効表示期間とは、当該ポップアップメニューが表示されうる有効な区間、すなわち、ユーザによるPopUp_on()及びPopUp_off()のユーザオペレーションが適用されうる領域であり、インタラクティブ表示区間とは、メニューが実際に画面上に表示される区間を意味する。
【0013】
インタラクティブグラフィックデータストリームは、インタラクティブグラフィックデコーダの動作モデルを考慮して、一つまたは二つ以上のepochという単位よりなる。epoch期間内の全てのインタラクティブグラフィックオブジェクトは、インタラクティブグラフィックデコーダ内のオブジェクトバッファにデコーディングされてずっと保存されている。
【0014】
すなわち、一つのepoch内では、デコーディングされたインタラクティブグラフィックオブジェクトの再使用が可能である。したがって、デコーダ内のこのようなデータは、次のepochデータが入らない限り、ずっと同一に維持され、epochが終わった後、次のepochが開始される瞬間にデコーダ内の全てのバッファは、リセットされてオブジェクトバッファに保存されていた全てのデータが消去される。
【0015】
一つのディスプレイセット内の各セグメントは、MPEG−2トランスポートストリームのパケット単位のPES(Packetized Elementary Stream)に記録されるが、この時、PESパケットに含まれているDTS(Decoding Time Stamp)時間にディスプレイセットのデコーディングがなされ、PTS時間に画面上に出力が開始される。また、ディスプレイセットの出力完了時間は、ICSに記録されているcomposition_time_out_ptsフィールドの値によって決定される。
【0016】
図5は、常時表示メニューの有効表示期間を説明するための図である。常時表示メニューは、AVデータの再生時点がEpoch Start ICSのPTS時間となれば、最初のメニューページが画面上に表示され、当該ICSのcomposition_time_out_pts時点に自動的に消去される。したがって、510と表示した区間である、当該ICSのPTS時点からcomposition_time_out_ptsで指定している時点までが、常時表示メニューの有効な表示期間となり、有効な表示期間は、メニューが実際に画面に表示されたインタラクティブ表示区間と同一になる。
【0017】
図4及び図5を参照して前述したように、ポップアップメニューと常時表示メニューとは、当該メニューがEpoch内の有効な表示期間内でユーザのオペレーションによって画面上に表示されるか、またはICSのPTS時点に自動的に画面上に表示されるかの差がある。このようなメニューは、AVデータの再生と共に画面上に表示されるが、一般的に、メニューが表示されてもAVデータの再生は続く。したがって、AVデータの再生中にメニュー画面が表示されて、ユーザがメニューナビゲーションをすれば、メニューに遮られた画面を正しく視聴できないか、またはメニューナビゲーション中に再生される映画場面を逃がす恐れがある。
【0018】
図6は、プレゼンテーションエンジンが活性化されている場合に、AVプレゼンテーションが有しうる状態を示す図である。図6を参照するに、AVプレゼンテーションは、再生、トリック再生、そして一時停止のような状態が存在する。再生は、一般速度、すなわち、x1.0(1倍速)で再生されている状態を意味し、トリック再生は、x1.0より遅いか、あるいは速く再生されている状態を意味する。一時停止は、画面上に最後の画面がずっと表示されつつx0の速度で再生されていることを意味する。したがって、一時停止状態は、ビデオ及びオーディオの再生は一時停止しているが、ナビゲーションシステムは、その動作を続けている状態である。一方、一時停止状態は、ポーズ状態とは異なる。ポーズは、全ての動作、すなわち、ナビゲーションシステムの動作までも停止された状態を意味する。
【0019】
したがって、本発明では、AVデータの再生中にメニューを表示する場合、ユーザが映画場面を逃がさないようにするために、AVプレゼンテーションの状態を再生から一時停止に転換させるナビゲーションコマンド“Still”を定義する。すなわち、製作者の意図によって“Still”ナビゲーション命令語を使用して、メニュー再生時にAVデータの再生を一時停止させうる。
【0020】
図7は、一時停止を具現する一実施例であって、ポップアップメニューの製作時にAVデータの再生状態を制御できるようにプレコマンドブロックを追加したICSの構造を示す図である。図7を参照するに、ページ構造のデータ領域内にプレコマンドブロックが追加されたことが分かる。前記プレコマンドブロックは、当該プレコマンドブロックを含むページ構造のデータが画面に表示される前にあらかじめ実行されなければならないナビゲーション命令語を含んでいる領域であって、製作者が前記ICSによって定義されているポップアップメニューページがユーザによって実行される時、AVデータの再生をずっと維持しようとすれば、プレコマンドブロック内に“Still”命令語を含まないようにし、もしAVデータの再生を一時中止しようとすれば、“Still”命令語を含んで、メニューページの表示前にAVデータを一時中止させる。
【0021】
図8は、一時停止を具現する他の一実施例であって、メニュー画面に“Still”命令語を割当てたところを示す図である。図8を参照するに、ポップアップメニュー及び/または常時表示メニューの製作時、表示されるメニュー画面のうち、特定ボタンに“Still”命令語が割当てられたボタンを製作者が提供することによって、ユーザの選択によってAVデータの再生状態を一時停止させる方法である。
【0022】
前述したように、AVプレゼンテーションの状態を“Play”から“Still”に転換する“Still”ナビゲーション命令語を使用することによって、製作者の意図によって、ポップアップメニューまたは常時表示メニューを実行する時にAVデータの再生状態を制御する。
【0023】
図9は、本発明によるインタラクティブグラフィックストリームを再生する再生装置の一実施例を示す図である。図9を参照するに、本発明による再生装置のインタラクティブグラフィックデコーダのブロック図が示される。保存媒体から読出されたメインストリームであるMPEG−2 TSパケットは、PIDフィルタ902によってインタラクティブグラフィックストリームのみが選択的に濾されてトランスポートバッファ904に伝送された後、インタラクティブグラフィックデコーダに伝送される。コーディドデータバッファ906には、デコーディングされるデータが記録されており、ストリームグラフィックプロセッサー908で、このデータがデコーディングされてボタンイメージ用のオブジェクトデータは、オブジェクトバッファ910に伝送され、構成情報は、構成バッファ912に伝送されてインタラクティブグラフィックストリームの画面出力を制御する。
【0024】
すなわち、インタラクティブグラフィックストリームの画面出力開始に該当するPTS時間となれば、構成バッファ912でグラフィックコントローラ914を制御して現在画面上に出力するイメージを決定して、オブジェクトバッファ910でグラフィックプレイン916に伝送させ、また、色相情報をCLUT(Color Look−Up Table)918に伝送して、画面上にインタラクティブグラフィックストリームを構成する。また、グラフィックコントローラ914は、ユーザからの入力を伝送されてボタンの移動や選択によるボタン状態を変更し、この結果を画面出力に反映する。
【0025】
一方、前述したインタラクティブグラフィックストリームの再生方法は、コンピュータプログラムとして作成可能である。前記プログラムを構成するコード及びコードセグメントは、該分野のコンピュータプログラマーならば、容易に推論できる。また、前記プログラムは、コンピュータ可読情報保存媒体に保存され、コンピュータによって読取られかつ実行されることによって、インタラクティブグラフィックストリームの再生方法を具現する。前記情報保存媒体は、磁気記録媒体、光記録媒体、及びキャリアウェーブ媒体を含む。
【0026】
以上、本発明についてその望ましい実施例を中心に説明した。当業者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現できるということが分かるであろう。したがって、開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に現れており、それと同等な範囲内にある全ての差異点は、本発明に含まれていると解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、マルチメディアデータの記録及び再生分野に利用され、さらに具体的には、AVデータをインタラクティブに再生するためのインタラクティブグラフィックストリームを利用する分野に使用される。
【符号の説明】
【0028】
902 PIDフィルタ
904 トランスポートバッファ
906 コーディドデータバッファ
908 ストリームグラフィックプロセッサ
910 オブジェクトバッファ
912 構成バッファ
914 グラフィックコントローラ
916 グラフィックプレイン
918 CLUT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクティブグラフィックデータを再生する再生方法であって、
AVデータを再生する段階と、
再生されたAVデータの少なくとも一部をカバーして再生される前記インタラクティブグラフィックデータを、前記AVデータと共に再生する段階と、
前記インタラクティブグラフィックデータに含まれる命令語に応じて前記AVデータの再生状態を転換する段階とを含むことを特徴とする再生方法。
【請求項2】
前記インタラクティブグラフィックデータに含まれる前記命令語は、前記インタラクティブグラフィックデータが再生されるときに自動的に実行されることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記インタラクティブグラフィックデータに含まれる前記命令語は、ユーザからの命令語を受信したときに実行されることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】
前記インタラクティブグラフィックデータは、少なくとも1つのポップアップメニューページを実行するインタラクティブコンポジションセグメントを含み、前記少なくとも1つのポップアップメニューページが、前記再生されたAVデータの少なくとも一部をカバーすることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポップアップメニューページは、前記AVデータの再生状態を転換する前記命令語を含むことを特徴とする請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】
前記AVデータの再生状態を転換する前記命令語は、前記少なくとも1つのポップアップメニューページに含まれるボタンを介して受信されることを特徴とする請求項5に記載の再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−205400(P2010−205400A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91823(P2010−91823)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【分割の表示】特願2005−28086(P2005−28086)の分割
【原出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】