説明

再生装置、再生装置の制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】フレームレートの切り替わりを滑らかにする装置を提供する。
【解決手段】動画像データを第1のフレームレートで再生する再生手段と、再生手段における動画像データの再生を制御する制御手段とを備え、制御手段は、動画像データにおける第1のフレーム群から、第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートで撮影された第2のフレーム群への切替位置を検出し、第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、切替位置の後、所定期間に含まれるフレームについては、複数のグループにグループ化してグループ毎に1枚のフレームを再生すると共に、複数のグループを構成するフレーム枚数を、所定期間における時間の経過に応じて段階的に減少させることで再生手段に第1のフレームレートで再生させ、第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、所定期間に含まれないフレームについては、全フレームを第1のフレームレートで再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生装置、その制御方法、並びに、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動画を撮影して記録媒体に記録するビデオカメラが知られている。また、近年では、動画のフレームレート(単位時間当たりのフレーム数)を変更して記録する装置も提案されている(特許文献1を参照)。このようにフレームレートを変更して撮影した動画を決められたフレームレートで再生することで、スローモーション効果やファストモーション効果を得ることができる。
【0003】
例えば、480フレーム/秒(fps)のフレームレートで撮影した動画を、60fpsで再生することにより、スローモーション機能が得られる。また、15fpsで撮影した動画を60fpsで再生することにより、ファストモーション機能が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−125210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮影中にフレームレートを変更して記録した動画を決められたフレームレートで再生する場合、フレームレートが切り替わる瞬間で再生速度が急激に変わるため、ユーザに視覚的な違和感を与えてしまう。
【0006】
そこで本発明は、フレームレートの切り替わりを滑らかにするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、再生装置であって、
第1のフレームレートで撮影された第1のフレーム群と、前記第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートで撮影された第2のフレーム群とで構成される動画像データを再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された動画像データを前記第1のフレームレートの動画として出力する出力手段と、
前記出力手段による前記動画像データの出力を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記動画像データにおいて前記第1のフレーム群から前記第2のフレーム群へ切り替わる位置を検出し、
前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、検出された前記位置の後、所定期間に含まれるフレームを複数のグループにグループ化してグループ毎に1枚のフレームを再生すると共に、前記複数のグループを構成するフレーム枚数を、前記所定期間における時間の経過に応じて段階的に減少させることで、前記第2のフレーム群を前記第1のフレームレートの動画として出力させ、前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、前記所定期間に含まれないフレームをそれぞれ前記第1のフレームレートの動画として出力させるように前記出力手段を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレームレートの切り替わりを滑らかにして、視覚的な違和感を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1に対応する再生方法を説明するシーケンス図。
【図2】実施形態1における再生処理の一例を示すフローチャート。
【図3】実施形態1における再生速度を説明する図。
【図4】実施形態2における再生処理の一例を示すフローチャート。
【図5】実施形態に対応する動画像記録・再生装置の構成の一例を示す図。
【図6】実施形態に対応する記録処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
図5は、本発明の実施形態に対応する再生装置として動作するビデオカメラ500の構成を示すブロック図である。なお、ビデオカメラ500は、所定の記録フォーマットに従い動画と音声を記録する。また、記録媒体に記録された動画やその他の情報は、FAT(File Allocation Table)ファイルシステムに従い、ファイルとして管理される。また、ビデオカメラ500は、撮影する動画のフレームレート(単位時間あたりのフレーム数)を60fpsと480fpsのいずれかに変更することができる。更に、ビデオカメラ500では、動画の撮影中、即ち、撮影開始の指示から撮影停止の指示までの間に、フレームレートを60fpsから480fpsに変更することができる。
【0011】
図5において、撮像部501は被写体を撮影し、被写体を示す動画データを生成して出力する。撮像部501は、ズームレンズやフォーカスレンズ等の光学系、CCD等のイメージセンサ、アイリス、撮影した動画データをデジタルデータに変換するAD変換器、撮影された動画データに必要な処理を施す処理回路等を含む。音声入力部502は、マイクロフォンやアンプ、AD変換器等を有し、被写体の音声を取得し、音声データを出力する。メモリ503は、撮像部501から出力された動画データや音声入力部502からの音声データ、表示用の画像信号、圧縮された動画データやその他の情報を記憶する。
【0012】
信号処理部504は、記録時においては、撮影された動画データや音声データに対してMPEG等の公知の符号化方式に従う符号化処理を施し、その情報量を圧縮してメモリ503に記憶する。また、信号処理部504は、再生時においては、再生された動画データや音声データを復号し、情報量を伸張する。
【0013】
表示制御部505は、制御部507からの指示に従い、動画像や各種の情報を表示部506に表示する。表示部506は液晶パネル等、公知の表示装置を含む。
【0014】
制御部507はマイコンやその他必要なメモリを有し、不図示の不揮発メモリに記憶されたプログラムに従い、操作部508からの指示に応じてビデオカメラ500の各部の動作を制御する。操作部508は、ユーザにより操作可能な電源スイッチ、動画像の撮影開始、停止を指示するトリガスイッチ、再生スイッチ、メニュースイッチ等の各種のスイッチを備える。制御部507は、操作部508からのユーザの指示を受け付ける。また、ユーザはメニュースイッチを操作して表示部506にメニュー画面を表示し、このメニュー画面を利用してビデオカメラ500の動作モードを変更し、また、設定を変更する。また、操作部508は、ユーザが撮影中に動画のフレームレートの変更を指示するための専用のスイッチを備えている。制御部507は、設定された動作モードを内部メモリ或いはメモリ503に記憶する。この動作モードには、フレームレートの設定が含まれる。
【0015】
記録再生部509は、制御部507からの指示に従い、動画データや音声データ、各種の情報を記録媒体510に記録し、記録媒体510から再生する。記録媒体510はメモリカードやハードディスク(HDD)等のランダムアクセス可能な記録媒体である。本実施形態では、記録媒体510はフラッシュメモリを内蔵した交換可能なメモリカードである。また、記録媒体510は、不図示の装着、排出機構により、ビデオカメラ500に対してユーザが容易に装着、排出可能な構成である。出力部511は、撮影された動画データ、或いは、再生された動画データをビデオカメラ500の外部機器に出力するための出力用インタフェースである。例えば、USBやIEEE1394等のインタフェースがこれに該当する。内部バス512は、ビデオカメラ500の各部の間で、各種のデータやコマンドを転送するために用いられる。
【0016】
次に、ビデオカメラ500における記録処理について説明する。図6はビデオカメラ500における記録処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6の処理は制御部507が各部を制御することにより実行される。
【0017】
操作部508によりビデオカメラ500の電源が投入されると、制御部507は各部を制御して、撮像部501により得られた動画データをメモリ503に記憶する。制御部507はフレームレートを60fpsに設定し、撮影した動画データを出力するように撮像部501を制御する。そして、メモリ503に記憶された動画データに応じた被写体の動画像を表示部506に表示し、記録待機状態となる。ユーザは記録待機状態において操作部108を操作することで、撮影する動画のフレームレートを60fpsと480fpsの何れかに設定することができる。
【0018】
このような記録待機状態において、操作部108より記録開始の指示があると、制御部507は、現在設定されているフレームレートを判定する(S601)。フレームレートが60fpsの場合(S601で「60fps」)、S602で撮像部501が撮影した60fpsの動画データと音声データを、信号処理部504が符号化する。続くS603では、記録再生部509が、符号化された動画と音声を記録媒体510に記録する。
【0019】
動画と音声の記録を開始した後、制御部507は、S604において操作部508を介して、ユーザよりフレームレートの変更指示を受け付けたか否かを判定する。フレームレートの変更指示が無い場合(S604で「NO」)、S605に移行する。フレームレートの変更指示が有った場合(S604で「YES」)、S607に移行する。S605では、制御部が操作部508を介して記録停止の指示を受け付けたか否かを判定する。記録停止の指示があると(S605で「YES」)、S606にて制御部507は記録再生部509に動画の記録停止を指示する。なお、本実施形態では、記録開始の指示から記録停止の指示までの間に記録された一連の動画と音声を一つのファイルとして管理する。記録停止の指示がない場合(S605で「NO」)、S602に戻り動画と音声の記録を続ける。
【0020】
また、S601でフレームレートが480fpsであった場合、制御部507は、S607において、撮像部501を480fpsの動画データを出力するように制御する。続くS608では、制御部507が、信号処理部504に対し動画データを符号化すると共に、音声入力部502からの音声データに代えて、無音のデータを符号化するように指示する。前述の様に、480fpsで撮影した動画を60fpsで再生した場合、8倍のスローモーション再生となる。そのため、音声を記録したとしても、正常に音声を再生することができない。そのため、本実施形態では、480fpsの動画を撮影する場合には、音声データは無音データとする。
【0021】
続くS609において、制御部507は符号化された動画と音声を記録媒体510に記録するように、記録再生部509を制御する。続くS610では、記録停止の指示を受け付けたか否かを判定し、指示があった場合(S610で「YES」)、S611に移行する。S611において制御部507は、記録再生部509に対し、動画の記録停止を指示する。
【0022】
また、S604で60fpsの動画の記録中にフレームレートの変更指示を受け付けS607に移行した場合、制御部507は、S607にて撮像部501に対し、480fpsの動画データを出力するように制御する。このとき制御部507は、フレームレートの変更指示を受けたときに撮影していたフレームの先頭からの位置(フレーム番号)を検出し、メモリ503に記憶する。続くS608からS611までの処理は前述の処理と同様である。S611での記録停止の際、制御部507はフレームレート変更指示を受付時の撮影フレームの先頭からの位置(フレーム番号)をフレームレート変更位置情報としてメモリ503から読み出す。制御部507は、当該フレームレート変更位置情報を動画ファイルの付加情報として共に記録媒体510に記録する。当該付加情報には、変更前後のフレームレートの情報も併せて記録される。なお、本実施形態では、動画の撮影中に、480fpsから60fpsへの切り替えは行わないものとする。
【0023】
図1は、このように記録された動画データの様子を示す図である。図1において、期間100は第1のフレームレート60fps(frate0)で記録した期間、期間101は第2のフレームレート480fps(frate1)で記録した期間をそれぞれ示す。時点102は、フレームレートがfrate0からfrate1に変更された変更位置を示す。
【0024】
図1では、記録フレーム、再生フレーム及びフレーム再生速度と、表示間隔との関係を示している。再生速度とは、表示レートに対する再生画像のフレームレートを示したものであり、1.00であれば表示レートと記録レートが同じなので通常再生となる。一方、1.00より小さければ表示レートに対して記録レートが高いのでスロー再生、1.00より大きければ高速再生となる。図1の場合、期間100内で60fpsで記録した第1のフレーム群の画像は1.00で通常再生される。一方、期間101内で480fpsで記録した第2のフレーム群の画像は0.125となりスロー再生される。表示間隔(div)は、再生時の表示間隔を表し、2であれば2フレーム毎に画像を再生/表示し、1であれば1フレームごとの表示(つまり間引きなし)となる。期間103から107は、表示間隔が変更される期間を表している。
【0025】
次に、図2のフローチャートを参照して、デジタルカメラ500を再生装置として使用して本実施形態の再生処理を行なう場合を説明する。図2は発明の実施形態に対応する再生処理の一例を示すフローチャートである。なお、図2の処理は制御部507が各部を制御することにより実行される。ユーザから操作部108を介して撮影モードから再生モードへの切り替え指示を受け付けると、S201において制御部507は、記録再生部509に各動画データの先頭部分の再生を指示する。信号処理部504は、再生された各動画データの先頭フレームをデコードし、更にそのサイズを縮小することにより、各動画ファイルの代表画像(サムネイル)を生成する。表示制御部505は、生成された代表画像の一覧画面(インデックス画面)を生成し、表示部506に表示する。
【0026】
S202では、制御部507は、再生する動画の指定をユーザから受け付ける。具体的には、ユーザは操作部508を操作し、インデックス画面に表示された代表画像のうち、所望の動画ファイルの代表画像を選択し、再生開始を指示するので、当該指示を制御部507が受け付ける。
【0027】
再生開始の指示があると、S203において制御部507は、選択された動画ファイルの付加情報に基づいて、選択された動画ファイルの途中でフレームレートが切り替わるかどうかを判定する。もし、切り替わる場合(S203で「YES」)、S204に移行する。一方、切り替わらない場合(S203で「NO」)、S206へ移行する。
【0028】
フレームレートが途中で変更されている場合、S204において制御部507は、動画ファイルの付加情報に基づきフレームレートの変更位置を検出する。続くS205で制御部は、付加情報に基づきフレームレートの変更位置におけるフレームレート"frate0"と"frate1"とをそれぞれ判定する。
【0029】
続くS206では、制御部507が表示間隔と対応する期間を各々決定する。図1において、frate0で記録された期間100は60fpsで記録されたものを60fpsで再生するので表示間隔を1と設定する。この場合、再生速度は1.00である。frate1で記録された期間101は480fpsで記録されたフレームで構成される。期間101については、フレームレート変更位置102直後の所定期間(Tp)が複数の期間に分割される。各期間には、480fpsで記録されたフレームをグループ化して得られたフレームグループが含まれる。各期間に属するグループを構成するフレームの枚数は、該期間内において一定である。そして、各期間について表示間隔を制御して、フレーム再生速度が滑らかに切り替わるようにする。その際、各期間のグループ毎に1枚のフレームを再生すると共に、グループを構成するフレーム枚数を、所定期間における時間の経過に応じて段階的に減少させる。
【0030】
具体的に、制御部507は、フレームレート変更位置102直後の期間104の表示間隔を8として、1グループを8フレームで構成し、8フレーム毎の先頭の1フレームを表示し、残りの7フレームを表示しない(間引く)ように設定する。この場合、480fpsのストリームにおける8フレーム毎に1フレームを表示し、さらに、表示されるフレーム間隔(画面の更新間隔)を1/60秒としているので再生される画像は60fps相当で、再生速度は1.00である。同様に、期間105における表示間隔を7とし、1グループを7フレームで構成して7フレーム毎に表示を行なうようにすると、再生速度は0.872となる。同様にして表示間隔を小さくしていき、最終的に期間107の表示間隔を1とし、1フレームごとに表示するように設定する。このときの再生速度は0.125となる。
【0031】
所定期間の分割方法は、例えば、以下の通りに行なうことができる。まず、所定期間の分割数:Dvを以下の式(1)に基づき算出する。
【0032】
Dv=(frate1/frate)−1 ・・・(1)
従って、60fpsから480fpsに切り替わる場合、(480/60)−1=7となり、所定期間は7分割される。なお、ここでは所定期間に表示間隔が1となる期間を含めない場合を想定している。ここで、所定期間が予め定められた期間である場合には、単純に当該期間を算出した分割数で等分しても良く、その場合は、Tp/Dv として計算することができる。仮にTpが5秒とすると、各表示間隔に割り当てられる再生期間は、5/7秒=0.71秒となる。Tpの値は、設計事項であって、5秒よりも長くても短くても良い。例えば、各再生期間を1秒として、所定期間Tpを7秒としてもよい。また、ユーザが任意に設定可能な値としてもよい。
【0033】
さらに、各表示間隔に対して割り当てる再生期間を時間的に均等ではなく、表示間隔が小さく(再生速度が遅く)なるほど長くしても良い。表示間隔に割り当てる再生期間が均等な場合、表示間隔が小さくなるほど、同一記録時間で記録されたフレームのうち単位時間あたりに再生されるフレーム数が多くなる。その結果、表示間隔が小さくなるほど、再生フレームに相当する記録時間は短くなる。より具体的に説明すると、480fpsで撮影した記録フレームでは、1秒間に480枚のフレームが含まれる。これを再生速度1(表示間隔8)で1秒間再生した場合、記録期間1秒間に相当する60枚が選択され、再生ができる。一方、再生速度5(表示間隔4)で再生した場合、4枚に1枚のフレームが選択されることになるため、記録期間1秒間の中から120枚が選択される。しかし、再生の際には表示速度が60fpsに落ちるので、1秒間の再生時間では0.5秒分の記録時間に相当する60枚しか再生できない。
【0034】
このように再生時間を均等に割り当てた場合、記録時間に換算すると均等でなくなってしまう。そこで、記録時間を同一にして、対応する再生期間を割り当ててもよい。上記の例では、再生速度5(表示間隔4)の場合には、記録時間1秒について120枚が選択されるので、再生時間は2秒間が与えられる。他の再生速度についても同様にして、例えば1秒間の記録時間に対応する再生時間を割り当てることができる。
【0035】
この場合の再生時間(Td)は、以下の式(2)で算出することが可能である。
【0036】
Td=(frate1/div)×(1/60) ・・・(2)
例えば、frate1が480フレームで、表示間隔が2の場合、4秒となる。 以上の分割方法及び再生時間の制御方法は、あくまで一例であって、ここに記載した方法に限定されるものではない。
【0037】
図3は、このような再生速度の切り替え制御を図式化したものである。図3における横軸は時間、縦軸はフレームの再生速度を示し、図1と共通する部分については同一の参照番号を付している。即ち、期間100はfrate0で記録した期間、期間101はfrate1で記録した期間、時点102はfrate0からfrate1にフレームレートが切り替わったフレームレート変更位置を示している。また、点線301は、本実施形態に対応する再生速度の切り替え処理を行わないで再生した場合の再生速度を示している。実線302は、本処理を行って再生したときの再生速度を示している。なお図3では、各再生速度について割り当てる再生時間を均等とした場合を示している。点線301の場合、フレームレート変更位置102の前後で再生速度が急激に変化するので、表示画像に滑らかさがなく、視覚的な違和感を視聴者に与える。一方の実線302で示す場合は、フレームレート変更位置102の前後で再生速度が徐々に変化するので、滑らかな画像が表示され、視聴者に視覚的な違和感を与えることがない。
【0038】
なお、frate1の記録時間が所定時間より短かった場合、再生速度を変化させている最中にストリーム自体が終了してしまい却って不自然な再生画像となってしまうことが考えられる。そこで、そのような場合は、画像の間引き自体を行わないようにしてもよい。この場合、記録時間の判定は、例えば、frate1で撮影されたフレーム群に含まれるフレーム枚数に基づくことができる。当該フレーム枚数が所定枚数に満たない場合には、画像の間引きは行わずにfrate0(60fps)で再生を行なう。
【0039】
図2の説明に戻り、S207において、制御部507は再生された動画データのフレーム毎に付与したフレームカウンタm、表示フレームを制御するカウンタnの値をそれぞれゼロにセットする。続くS208において、ストリーム中のmフレーム目が表示間隔の切り替わりであるかどうかの判定を行う。mフレーム目が表示間隔の切り替わりであった場合、S209において表示フレームを制御するカウンタnをゼロにリセットする。次にS210に移行して、表示フレームを制御するカウンタnと表示間隔divを用いてmフレーム目を再生して表示するかの判定を次の(3)式で行う
n%div ・・・(3)
ただし、「%」は剰余を表す。(3)式が0の場合S211に移行して、ストリームから画像を再生し表示を行う。一方(3)式が0でない場合はS212に移行して画像の復号、再生、表示を行わない。なお、ストリームがフレーム間符号化を用いている場合、後続フレームの再生に影響があるので、再生は行わないが復号、再生は行うものとする。図1の期間103の場合、nは1となるが、常に(3)式を見満たすのですべてのフレームの再生/表示を行う。期間104であれば、表示間隔が8なので、nが8の倍数になるまでフレームの再生/表示は行わない。同様に、期間105であれば、表示間隔が7なので、nが7の倍数になるまでフレームの再生/表示は行わない。期間107になれば、表示間隔が1となり常に(3)式を満たすのですべてのフレームの再生/表示を行う。
【0040】
続くS213において、再生終了の判断を行い、終了でなければS214でカウンタm、nを1つインクリメントしてS208に戻る。再生終了であればストリームの再生を終了する。なお、再生終了の判断は、ストリームの最後まで再生が終わったか、再生停止の指示が与えられるかによるものである。
【0041】
なお、本実施形態では、動画の撮影中には、480fpsから60fpsへの切り替えを禁止していたが、これを許可する様にしてもよい。また、一回の撮影、即ち、記録開始の指示から記録停止の指示までの間に、複数回フレームレートを変更できる様にしてもよい。その場合、480fps(高いフレームレート)から60fps(低いフレームレート)に切り替える際に、高いフレームレートで記録されたストリーム(切り替わり位置の手前)に対して、表示間隔を除々に大きくする。これにより、スロー画像の再生から通常画像への移行が滑らかに再生されることになる。
【0042】
また、本実施形態では、動画データのフレームレートとして、60fpsと480fpsの二種類のフレームレートに設定可能としたが、これ以外のフレームレートの動画を撮影できるようにしてもよい。また、三種類以上のフレームレートの動画を撮影できるようにしてもよい。例えば、15fps、120fps、240fps、360fps、600fps等のフレームレートが含まれても良い。その場合、動画データのフレームレートの変更位置の前後のフレームレートによって、フレームを間引く間隔を変える。
【0043】
[実施形態2]
実施形態1では、フレームレート変更後の再生速度は、表示間隔に応じてフレームを間引くことによって実現した。これに対して実施形態2では、実施形態1の変形例として、フレーム間引きではなく画像合成によって再生速度の変更を行う場合を説明する。実施形態2も実施形態1と同様に60fpsから480fpsに切り替えて記録したストリームを60fpsで再生/表示する場合を例にとって説明する。
【0044】
図4は、実施形態2に対応する動画像データの記録・再生の一例を示すシーケンス図である。図4において、期間400はfrate0で記録した期間、期間401はfrate1で記録した期間をそれぞれ示す。時点402はfrate0からfrate1にフレームレートが変更された位置を示す。なお、この場合、frate0は60fps、frate1は480fpsとなる。
【0045】
図4では、記録フレーム、再生フレーム及びフレーム再生速度と、合成枚数との関係を示している。再生速度の考え方は実施形態1と同様である。本実施形態では、実施形態1の表示間隔(div)の代わりに合成枚数(comp)という概念を導入している。合成枚数とは、再生時に画像を合成する枚数を表すパラメータであって、2であれば2フレームの画像を合成して1枚の合成フレーム画像を生成することを示し、1であれば合成を行わずに1フレームごとの表示することを示す。また、期間403から407は各々の再生期間における合成枚数を示している。
【0046】
実施形態2における基本的な処理の流れは、実施形態1における図2の処理と同様であるので、以下では主に相違点について説明する。
【0047】
S206では、合成枚数と対応する期間を設定する。図4において、frate0で記録された期間400は60fpsで記録されたものを60fpsで再生するので合成枚数を1に設定する。また、期間は、フレームレートの変更位置の直前のフレームとする。この場合、再生速度は1.00である。続くfrate1で記録された期間401では、480fpsで記録されたものに対して、403の期間の画像合成枚数を8とし、1グループを8フレームで構成する。そして、グループ内の8フレームの画像を合成して1枚の画像を生成して表示するように設定する。480fpsのストリームから8枚合成して1枚の画像を表示するので再生される画像は60fps相当で、再生速度は1.00である。同様に、404の期間の画像合成枚数を7とし、グループ内の7フレームの画像を合成して1枚の画像を生成して表示すると、再生速度は0.872となる。画像合成枚数を小さくしていき、407の期間の画像合成枚数を1とし1フレームごとに表示するように設定すると、再生速度は0.125となる。
【0048】
続くS207からS209における処理は実施形態1と同様である。S210における処理では、表示フレームを制御するカウンタnと合成枚数compを用いてmフレーム目を再生して表示するかの判定を次の(4)式で行う。
【0049】
n%comp ・・・(4)
ただし、「%」は剰余を表す。(4)式が0の場合S211に移行して、ストリームから画像を再生し表示を行う。このとき、前回の合成時以降にメモリ503に保持されたフレームと、現在のmフレーム目のフレームとを用いて合成処理を行って、表示用の合成フレーム画像を生成する。ただし、合成枚数が1の場合は合成は行わず、復号結果をそのまま出力する。一方(4)式が0でない場合、S212に移行し、該当するフレームを復号して後の合成用にメモリ503に保持しておく。
【0050】
ここでの画像合成方法には、以下の手法が含まれる。例えば、合成対象画像全部を単純に合成する方法や、合成対象画像のうち基準となる画像を選択して、その画像に位置合わせ(レジストレーション)を行った後、画像を合成する方法がある。また、画像の中から被写体動きのある領域を抽出して被写体動きごとに位置合わせを行い、画像合成を行う方法もある。ここで列挙した手法はあくまで一例であって、また本願発明では画像合成方法自体に技術的特徴があるわけではなく、公知のどのような方法を採用しても構わないので、他の方法を採用することは当然に可能である。
【0051】
図1の期間403の場合、nは1となるが、常に(1)式を見満たすので、合成は行わずすべてのフレームの再生/表示を行う。期間404であれば、合成枚数が8なので、nが8の倍数になるまでフレームの合成処理及び再生/表示は行わない。同様に、期間105であれば、表示間隔が7なので、nが7の倍数になるまでフレームの合成処理及び再生/表示は行わない。期間107になれば、表示間隔が1となり常に(4)式を満たすのですべてのフレームの再生/表示を行う。
【0052】
続くS213において、再生終了の判断を行い、終了でなければS214でカウンタm、nを1つインクリメントしてS208に戻る。再生終了であればストリームの再生を終了する。
【0053】
なお、frate1の記録時間が所定時間より短かった場合は、再生速度を変化させている最中にストリーム自体が終了してしまい却って不自然な再生画像となってしまうので、その場合は画像の合成自体を行わないようにしてもよい。
【0054】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレームレートで撮影された第1のフレーム群と、前記第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートで撮影された第2のフレーム群とで構成される動画像データを再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された動画像データを前記第1のフレームレートの動画として出力する出力手段と、
前記出力手段による前記動画像データの出力を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記動画像データにおいて前記第1のフレーム群から前記第2のフレーム群へ切り替わる位置を検出し、
前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、検出された前記位置の後、所定期間に含まれるフレームを複数のグループにグループ化してグループ毎に1枚のフレームを再生すると共に、前記複数のグループを構成するフレーム枚数を、前記所定期間における時間の経過に応じて段階的に減少させることで、前記第2のフレーム群を前記第1のフレームレートの動画として出力させ、前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、前記所定期間に含まれないフレームをそれぞれ前記第1のフレームレートの動画として出力させるように前記出力手段を制御する
ことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記グループ毎に再生される1枚のフレームは、該グループに含まれるフレームのうちの1枚であるか、又は、該グループに含まれるフレームを合成して得られたフレームであることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記所定期間は複数の期間に分割され、各期間に属する前記グループを構成するフレームの枚数は、該期間内において一定であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記複数の期間のそれぞれは、同一の時間的な長さを有することを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
前記複数の期間のそれぞれは、該期間に属する前記グループを構成するフレームの枚数に応じた時間的な長さを有し、前記枚数が少ないほど長いことを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項6】
前記第2のフレーム群のフレーム枚数が所定枚数よりも少ない場合、前記制御手段は、前記第2のフレーム群に含まれる全てのフレームを、前記出力手段に前記第1のフレームレートで出力させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項7】
第1のフレームレートで撮影された第1のフレーム群と、前記第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートで撮影された第2のフレーム群とで構成される動画像データを、再生手段が再生する再生工程と、
出力手段が、前記再生工程において再生された動画像データを、前記第1のフレームレートの動画として出力する出力工程と、
制御手段が、前記出力手段による前記動画像データの出力を制御する制御工程と
を備え、
前記制御工程では、
前記動画像データにおいて前記第1のフレーム群から前記第2のフレーム群へ切り替わる位置が検出され、
前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、検出された前記位置の後、所定期間に含まれるフレームを複数のグループにグループ化してグループ毎に1枚のフレームを再生すると共に、前記複数のグループを構成するフレーム枚数を、前記所定期間における時間の経過に応じて段階的に減少させることで、前記第2のフレーム群を前記第1のフレームレートの動画として出力させ、前記第2のフレーム群に含まれるフレームのうち、前記所定期間に含まれないフレームをそれぞれ前記第1のフレームレートの動画として出力させるように制御する
ことを特徴とする再生装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の再生装置の各手段として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165210(P2012−165210A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24432(P2011−24432)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】