説明

再生装置およびその制御方法

【課題】複数の動画を切り替えながら再生しているときに、再生ルートの逆ルートを辿る逆再生ができる再生装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の再生装置は、入力された動画を再生または逆再生する再生手段と、再生する動画を複数の動画間で切り替えるための切り替え操作を受け付ける受付手段と、切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報を生成し、記憶部に記録する記録手段と、を有し、再生手段は、再生する動画が第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、第2の動画に対して逆再生を行う場合に、履歴情報に基づいて、第1の動画から第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を第2の動画から切り替え前の動画である第1の動画へ切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を再生する再生装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からブラケット撮影による静止画撮影が行われている。このブラケット撮影では、撮影条件の異なる複数の静止画が撮影される。ユーザは、撮影された複数の静止画の中から好みの静止画を選択できる。
例えば、露出ブラケット撮影では、撮影装置の自動露出で決定された基準値となる露出値、基準値より低い露出値、基準値より高い露出値の3つの露出値で同時に撮影が行われる。そして、ユーザは、撮影後に、各露出値で撮影された静止画の中から好みの静止画を選択することができる。ここでは露出ブラケット撮影について説明したが、露出の他に、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度、ズーム倍率(視野角)などが異なる複数の静止画を撮影するブラケット撮影もある。
【0003】
また、ブラケット撮影により、複数の静止画ではなく、複数の動画を撮影する技術も提案されている(特許文献1)。具体的には、特許文献1には、CCD撮像素子の全エリアに対して、望遠領域と広角領域を指定し、各領域の動画を記録する装置が開示されている。
ブラケット撮影による動画撮影では、撮影条件の異なる動画が撮影され、記憶媒体に記録される。そして、ユーザは、撮影された複数の動画の中から再生する動画を選択することができる。また、ユーザは、動画の再生中に、再生する動画を撮影された他の撮影条件の動画に切り替えることもできる。
【0004】
また、マルチアングル撮影においてもブラケット撮影と同様のことが云える。即ち、上記撮影条件が視点である場合にも、他の撮影条件(露出、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度、ズーム倍率)の場合と同様のことが云える。
具体的には、マルチアングル撮影では、視点の異なる動画が撮影され、記憶媒体に記録される。そして、ユーザは、撮影された複数の動画の中から再生する動画を選択することができる。また、ユーザは、動画の再生中に、再生する動画を撮影された他の視点の動画に切り替えることもできる。
【0005】
上述したように、ブラケット撮影またはマルチアングル撮影された動画を再生する場合、ユーザの指示(操作)に応じて、撮影された複数の動画を切り替えながら再生することが考えられる。そこで、毎回ユーザが煩雑な操作を行わなくて済むように、ユーザの操作指示の履歴が含まれる操作履歴データを再生時に作成し、次の再生時に操作履歴データに基づいて再生する装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−281966号公報
【特許文献2】特開2000−163933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術の操作履歴データには、切り替え後の動画を示す識別番号しか記されていない。
そのため、従来技術では、ユーザが巻き戻し操作を行った場合に、再生ルートの逆ルー
トを辿る巻き戻し(逆再生)を行うことができない。そして、ユーザは、切り替え前の動画の気になるシーンまで巻き戻そうとしても、切り替え後の動画に対して巻き戻しが行われてしまうため、目的のシーンを容易に見付け出す事ができない。
【0008】
本発明は、複数の動画を切り替えながら再生しているときに、再生ルートの逆ルートを辿る逆再生ができる再生装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の再生装置は、入力された動画を再生または逆再生する再生手段と、前記入力された動画が撮影条件の異なる複数の動画からなる動画コンテンツであった場合に、再生する動画を前記複数の動画間で切り替えるための切り替え操作を受け付ける受付手段と、前記切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報を生成し、記憶部に記録する記録手段と、を有し、前記再生手段は、再生する動画が前記動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、前記第2の動画に対して逆再生を行う場合に、前記履歴情報に基づいて、前記第1の動画から前記第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を前記第2の動画から前記切り替え前の動画である前記第1の動画へ切り替えることを特徴とする。
【0010】
本発明の再生装置の制御方法は、入力された動画を再生または逆再生する再生ステップと、前記入力された動画が撮影条件の異なる複数の動画からなる動画コンテンツであった場合に、再生する動画を前記複数の動画間で切り替えるための切り替え操作を受け付ける受付ステップと、前記切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報を生成し、記憶部に記録する記録ステップと、を有し、前記再生ステップでは、再生する動画が前記動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、前記第2の動画に対して逆再生を行う場合に、前記履歴情報に基づいて、前記第1の動画から前記第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を前記第2の動画から前記切り替え前の動画である前記第1の動画へ切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の動画を切り替えながら再生しているときに、再生ルートの逆ルートを辿る逆再生ができる再生装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る再生装置の概略構成の一例を示す図。
【図2】マルチ動画コンテンツ管理ファイルの構成の一例を示す図。
【図3】本実施形態に係る再生装置の動作フローの一例を示すフローチャート。
【図4】選択画面の一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る履歴情報の書き込み処理の一例を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る巻き戻しルーチン処理の一例を説明するための図。
【図7】選択画面の一例を示す図。
【図8】本実施形態に係る履歴情報の書き込み処理の一例を説明するための図。
【図9】本実施形態に係る履歴情報の書き込み処理の一例を説明するための図。
【図10】マルチ動画コンテンツ管理ファイルの構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る再生装置およびその制御方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る再生装置100の概略構成図である。再生装置100は、R
OM110、RAM120、CPU130、入力部140、記憶媒体150、再生処理部160、表示制御部170などを有する。
【0014】
ROM110は、再生装置100内部の各ブロックを制御するためのプログラムが格納された記憶装置である。
RAM120は、CPU130の作業領域として使用するための記憶装置である。RAM120には、動画を再生する前に、記憶媒体150からロードしたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152が格納される。
【0015】
記憶媒体150は、動画151とマルチ動画コンテンツ管理ファイル152を格納する記憶装置である。記憶媒体150としては、ハードディスクなどの磁気ディスク、ブルーレイディスクなどの光ディスク、不揮発性メモリなどのメモリなどを用いることができる。
動画151は、1つの撮影条件で撮影された動画(通常動画)や、ブラケット撮影やマルチアングル撮影により撮影された複数の動画(撮影条件の異なる複数の動画)からなるマルチ動画コンテンツである。撮影条件は、例えば、露出、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度、ズーム倍率(視野角)、視点などである。マルチ動画コンテンツを構成する複数の動画に対して、1つのマルチ動画コンテンツ管理ファイル152が存在する。
マルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、マルチ動画コンテンツ(マルチ動画コンテンツを構成する複数の動画)を管理するファイルである。マルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、マルチ動画コンテンツが記憶媒体150に記録されるときに生成される。マルチ動画コンテンツ管理ファイル152の構成に関しては、後述する。
【0016】
入力部140は、外部装置(例えば、リモコン)である操作部180と再生装置100を接続するためのインタフェースである。視聴者は、操作部180を用いて再生、停止、及び特殊再生(早送り、巻き戻し(逆再生))などの要求を再生装置100に出力することができる。また、再生装置に入力された動画(記憶媒体150から読み出した動画)がマルチ動画コンテンツである場合に、視聴者は、操作部180を用いて再生する動画を該マルチ動画コンテンツを構成する動画間で切り替える切り替え操作を行うことができる。切り替え操作が行われると、切り替え要求が再生装置100に出力される。
【0017】
CPU130は、入力部140を経由して操作部180から送られてくる要求を受け付け、ROM110からロードしたプログラムを実行することで再生装置100の各ブロックを制御する。CPU130は、各ブロックへ再生または特殊再生(早送り、巻き戻し(逆再生))などの命令を送信する(再生手段)。それにより、入力された動画(記憶媒体150に格納されている動画151)が再生または特殊再生され、表示部190に表示される。
また、CPU130は、入力された動画がマルチ動画コンテンツである場合に、切り替え操作(入力部140を経由して操作部180から送られてくる切り替え要求)を受け付ける(受付手段)。そして、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230に履歴情報を追加する。
また、CPU130は、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230(前回の再生時に記憶された履歴情報)に基づいて、再生または特殊再生の命令を各ブロックへ送信する。それにより、視聴者による切り替え操作を必要とせず、前回と同じルートで再生又は特殊再生することが可能となる(詳細は後述する)。
【0018】
再生処理部160は、入力された動画を再生または特殊再生するための処理部である。例えば、再生処理部160は、入力された動画が圧縮されていれば、該動画に伸張処理を施す。再生または特殊再生のための処理が施された動画(伸張処理が施された動画)は、
表示制御部170へ転送される。
表示制御部170は、再生処理部160から受信した動画を表示部190に表示する。
【0019】
図2は、記憶媒体150に格納されるマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の構成図である。マルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、マルチ動画コンテンツ情報210、関連動画情報220、切り替え履歴情報230で構成される。各情報の詳細は以下の通りである。
【0020】
マルチ動画コンテンツ情報210は、マルチ動画コンテンツ識別番号211、マルチ動画コンテンツ名212、撮影手法213、ブラケット種類214、動画数215、切り替え履歴フラグ216を含む。
マルチ動画コンテンツ識別番号211とマルチ動画コンテンツ名212は、マルチ動画コンテンツの識別情報(識別番号、名前)を示す。
撮影手法213は、ブラケット撮影、マルチアングル撮影などの撮影手法を示す。マルチアングル撮影の場合にはAが、ブラケット撮影の場合にはBが設定される。
ブラケット種類214は、露出、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度、ズーム倍率などのブラケットの種類(ブラケット撮影において変更した撮影条件)を示す。露出=0、フォーカス=1、ホワイトバランス=2、ISO感度=3、ズーム倍率=4というように識別番号が割振られる。
動画数215は、相関関係のある動画の数(マルチ動画コンテンツを構成する動画の数)を示す。
切り替え履歴フラグ216は、切り替え履歴情報230内の履歴情報の有無を示す。履歴情報が無い場合は0、ある場合は1が設定される。
【0021】
関連動画情報220は、動画の識別情報を示す動画識別番号221と動画名222を含む。関連動画情報220には、マルチ動画コンテンツを構成する動画(動画数215で示される数の動画)が列挙される。
【0022】
切り替え履歴情報230は、時間情報231、ソース動画情報232、デスティネーション動画情報233などの履歴情報を含む。
時間情報231は、切り替え操作による再生する動画の切り替えが行われた時間位置(動画の先頭からの経過時間)を示す。
ソース動画情報232は、切り替え前の動画を示す
デスティネーション動画情報233は、切り替え後の動画を示す。
本実施形態では、ソース動画情報232及びデスティネーション動画情報233に、動画識別番号221が設定される。
【0023】
上述したマルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、ブラケット撮影またはマルチアングル撮影によって撮影された複数の動画151が、記憶媒体150に記録されるときに生成される。そのときに生成されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230には履歴情報がなく、切り替え履歴フラグ216には0が設定される。
【0024】
図3(A)は、本実施形態に係る再生装置の動作フローを示すフローチャートである。この動作フローは、視聴者が操作部180の再生釦を押下したときに開始される。なお、本動作フローは、再生する動画としてマルチ動画コンテンツが選択された場合のフローチャートである。
【0025】
まず、CPU130が、入力部140を経由して操作部180から送られてくる再生の要求(再生要求)を受け付け、再生する動画151のマルチ動画コンテンツ管理ファイル152を記憶媒体150からRAM120へロードする(S300)。その後、RAM1
20に格納されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴フラグ216を参照し、切り替え履歴情報230内の履歴情報の有無を確認する(S301)。
履歴情報が存在しない場合(S301のNO)は、S304へ進む。履歴情報が存在する場合(S301YES)は、図4に示すような選択画面を表示部190に表示させ、視聴者に履歴情報を使用するか否かを問う(S302)。
履歴情報を使用する場合(S302のYES)は、S304へ進む。履歴情報を使用しない場合(S302のNO)は、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152内の履歴情報を削除し(S303)、S304へ進む。
【0026】
S304では、CPU130が、再生装置100の各ブロックに対して、再生命令を送信し、動画の再生を開始する。具体的には、再生処理部160が、CPU130からの再生命令に従い、記憶媒体150に格納されている動画151を先頭から読出し、伸張処理を施して、表示制御部170へ転送する。そして、表示制御部170が、再生処理部160から受信した動画を表示部190に表示する。このようにして動画151の再生が開始される。なお、最初に再生される動画は、相関関係のある複数の動画のうちの1つであり、視聴者によって選択された動画であってもよいし、所定の動画(例えば、基準となる撮影条件の動画)であってもよい。
【0027】
その後、CPU130が、入力部140を経由して操作部180から送られてくる巻き戻し(逆再生)の要求(巻き戻し要求)の有無を監視する(S305)。巻き戻し要求は、例えば、視聴者が操作部180の巻き戻し釦を押下したときに発生する。
巻き戻し要求があった場合(S305のYES)は、巻き戻しルーチン処理を開始する。巻き戻し要求がなかった場合(S305のNO)は、切り替え要求の有無を監視する(S306)。
切り替え要求がなかった場合(S306のNO)は、S308へ進む。切り替え要求があった場合(切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合;S306のYES)は、CPU130は、該切り替えについての履歴情報を生成し、RAM120(記憶部)に記録する(記録手段)。具体的には、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230に履歴情報が書き込まれる(S307)。このとき、切り替え履歴フラグ216が0の場合には、切り替え履歴フラグ216に1を設定する。その後、S308へ進む。
S308では、CPU130が、動画の再生が終了したか否かを判断する。CPU130は、巻き戻し要求および切り替え要求の監視(S305〜S307の処理)を動画の再生が終了するまで(S308でNOと判定されるまで)行う。S308でNOと判定された後、S309へ進む。
【0028】
上述したS304からS308の処理についてより詳しく説明する。
まず、履歴情報の書き込み処理(S306,307の処理)について、図5,9を用いて説明する。図5,9は、ズームブラケット撮影により撮影された複数の動画を切り替えながら再生した場合の例である。具体的には、視野角1(広角撮影)及び視野角2(望遠撮影)で撮影された2つの動画を切り替えながら再生した場合の例である。また、図5は、再生時に、切り替え履歴情報230に履歴情報が無い場合の例であり、図9は、再生時に、切り替え履歴情報230に履歴情報がある場合の例である。
【0029】
図5の例では、時間T3(00:20)及び時間T6(00:50)のタイミングで切り替え要求が発生している。そのため、時間T1(00:00)から時間T3までは視野角1の動画が、時間T3から時間T6までは視野角2の動画が、時間T6以降は視野角1の動画が再生されて表示部190に表示される。
RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230への履歴情報の追記は、切り替え要求の発生タイミングで行われる。従って
、時間T3のタイミングで、切り替え履歴情報230に、時間情報231=00:20、ソース動画情報232=MC000A、デスティネーション動画情報=MC000Bという履歴情報が書き込まれる。ここで、MC000Aは視野角1の動画の動画識別番号221、MC000Bは視野角2の動画の動画識別番号221である。また、時間T3に発生した切り替え要求は、動画が再生されてから最初の切り替え要求であるため(書き込まれた履歴情報が最初の履歴情報であるため)、切り替え履歴フラグ216に1が設定される。同様に、時間T6のタイミングでも、切り替え履歴情報230に、時間情報231=00:50、ソース動画情報232=MC000B、デスティネーション動画情報=MC000Aという履歴情報が書き込まれる。図5に示す一連動作によって生成されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、図2の通りとなる。
【0030】
図9の例では、今回再生するマルチ動画コンテンツの前回の再生時に記録されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230(履歴情報)に基づいて再生が行われている。具体的には、前回の再生時に時間T3,T6のタイミングで切り替え操作が行われている。そのため、再生を行う際に、時間T3,T6(切り替えが行われた時間位置)で、それぞれ、切り替え後の動画に切り替えて再生が行われる。また、本実施形態では、再生中のマルチ動画コンテンツの前回の再生時に記録した履歴情報とは別に、今回の再生時に生成した履歴情報が記録される。図9の例では、今回の再生中に、時間T4,T5のタイミングで切り替え要求が発生している。そのため、それらのタイミングで履歴情報が生成され、該履歴情報が、前回の再生時に生成されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230に追加される。図9で示す一連動作によって生成されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、図10の通りとなる。これにより、前回と今回の両方の履歴情報に基づいた再生、特殊再生ができる。
【0031】
次に、巻き戻しルーチン処理について図3(B)を用いて説明する。図3(B)は、本実施形態に係る巻き戻しルーチン処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、CPU130は、再生する動画がマルチ動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、第2の動画に対して逆再生(巻き戻し)を行う場合に、履歴情報に基づいて、逆再生を行う。具体的には、第1の動画から第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を第2の動画から切り替え前の動画である第1の動画へ切り替える。
巻き戻しルーチン処理では、まず、CPU130が、再生装置100の各ブロックに対して、巻き戻し命令を送信し、巻き戻しを開始する。具体的には、再生処理部160が、CPU130からの巻き戻し命令に従い、記憶媒体150に格納されている動画151を巻き戻し要求があった時点から遡るように読出し、伸張処理を施して、表示制御部170へ転送する。表示制御部170は、再生処理部160から受信した動画を表示部190に表示する。このようにして動画の巻き戻し(逆再生)が開始される。
巻き戻し中において、CPU130は、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴フラグ216を参照し、切り替え履歴情報230内の履歴情報の有無を確認する(S350)。履歴情報が存在しない場合(S350のNO)は、S353へ進む。履歴情報が存在する場合(S350のYES)は、S351へ進む。
S351では、CPU130が、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152の切り替え履歴情報230を参照し、動画の先頭から表示されている時点までの経過時間(表示位置)と一致する時間情報231があるか否かを判定する。
一致する時間情報231があった場合(S351のYES)は、逆再生する動画を、該時間情報に対応するソース動画情報232によって示される動画へ切り替える(S352)。一致する時間情報231がなかった場合(S351のNO)は、S353へ進む。
S353では、CPU130が、動画の巻き戻しが終了したか否かを判断する。CPU130は、巻き戻しが終了するまで(S353でNOと判定されるまで)S350〜S3
52の処理を行う。S353でNOと判定された後、S306へ進む。
【0032】
上述した巻き戻しルーチン処理について、図6を用いて説明する。図6は、図5と同様に、異なる撮影条件で撮影した複数の動画(視野角1の動画と視野角2の動画)を切り替えながら再生した場合の例であり、時間T7(01:00)のタイミングで巻き戻し釦が押下された場合の例である。なお、巻き戻し釦が押下されるまでに生成されたマルチ動画コンテンツ管理ファイル152は、図2で示すものとする。
巻き戻し釦が押下されると(巻き戻し要求があると)、CPU130は、切り替え履歴フラグ216を参照する。図2の例では、切り替え履歴フラグ216は1であるため、切り替え履歴情報230が存在することが分かる。そのため、CPU130は、切り替え履歴情報230を使用して巻き戻しを行う。
図6の例では時間T7から巻き戻し(視野角1の動画に対する巻き戻し)が開始され、表示位置が時間T6のときに、表示位置と時間情報231が一致する。そのため、このタイミングで、逆再生(表示)する動画が、視野角1の動画から、時間情報231(00:50)に対応するソース動画情報232(MC000B)によって示される動画(視野角2の動画)に切り替えられる。その後、視野角2の動画に対して巻き戻しが行われ、表示位置が時間T3のときに、表示位置と時間情報231が一致する。そのため、このタイミングで、逆再生する動画が、視野角2の動画から、時間情報(00:20)に対応するソース動画情報232(MC000A)によって示される動画(視野角1の動画)に切り替えられる。その後、視野角1の動画に対して巻き戻しが行われる。
【0033】
図3(A)の説明に戻る。
S309では、CPU130が、図7に示すような選択画面を表示部190に表示させ、記憶媒体150に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152を更新するか否かを視聴者に問う。マルチ動画コンテンツ管理ファイル152を更新する場合(S309のYES)は、記憶媒体150に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152を、RAM120に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152に置き換えてから(S310)、本動作フローを終了する。マルチ動画コンテンツ管理ファイル152を更新しない場合(S309のNO)は、記憶媒体150に格納されているマルチ動画コンテンツ管理ファイル152を更新せずに本動作フローを終了する。
【0034】
以上述べたように、本実施形態によれば、切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報が生成され、記憶部に記録される。そして、再生する動画がマルチ動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、第2の動画に対して逆再生を行う場合に、履歴情報に基づいて逆再生される。具体的には、第1の動画から第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画が第2の動画から切り替え前の動画である第1の動画へ切り替えられる。それにより、複数の動画を切り替えながら再生しているときに、再生ルートの逆ルートを辿る逆再生が可能となる。
【0035】
なお、図3(A)の例では、動画の切り替え要求がある度に切り替え履歴情報230に履歴情報が書き込まれるが、全ての切り替え要求について履歴情報の書き込みを行わなくてもよい。例えば、所定の長さよりも短い時間間隔で動画の切り替えが複数回行われた場合には、該複数回の切り替えに対し、切り替え毎の履歴情報の記録を省略してもよい。そして、履歴情報として、該複数回の切り替えが開始または終了した時間位置、および、該複数回の切り替えのうち最初の切り替え前の動画を識別する情報を生成し、記録すればよい。
図8を用いて具体的に説明する。図8は、時間T3から時間T4までの期間に動画の切り替え要求が多発している例である。この場合は、時間T3から時間T4までの期間に発生した複数の切り替え要求に対して、時間T3またはT4、及び、時間T3における切り
替え前の動画を識別する情報を記録すればよい。図8の例では、時間T6でも動画の切り替え要求が行われており、時間位置が時間T4,T6の履歴情報のみが記録されている。
それにより、履歴情報に基づいて再生または特殊再生するときに、動画の切り替えが頻繁に発生することを防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、ズームブラケット撮影された動画を再生する例について説明したが、再生する動画はこれに限らない。再生する動画が、露出、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度などを変更してブラケット撮影された動画や、マルチアングル撮影された動画などであっても同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、マルチ動画コンテンツが2つの動画で構成されている場合について説明したが、マルチ動画コンテンツは3つ以上の動画で構成されていてもよい。
なお、本実施形態では、履歴情報が、切り替えが行われた時間位置、切り替え前の動画および切り替え後の動画を識別する情報を含む場合について説明したが、履歴情報はこれに限らない。少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報が履歴情報に含まれていれば、逆再生時に再生ルートと逆のルートを辿ることができる。また、履歴情報は他の情報を更に含んでいてもよい。
なお、本実施形態では、記憶媒体150に記憶されている動画を再生する場合について説明したが、外部から入力された動画(再生装置に接続された記憶媒体や放送されている動画など)を再生してもよい。
なお、本実施形態では、再生装置が表示装置(表示制御部170)を有するものとしたが、表示装置は再生装置に接続された外部装置であってもよい。
なお、本実施形態では、再生中のマルチ動画コンテンツの前回の再生時に記録された履歴情報の他に、今回の再生時に生成した履歴情報を記録されるものとしたが、再生する毎に履歴情報をリセットしてもよい。即ち、今回の再生時に生成した履歴情報のみが記録される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
100 再生装置
120 RAM
130 CPU
160 再生処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された動画を再生または逆再生する再生手段と、
前記入力された動画が撮影条件の異なる複数の動画からなる動画コンテンツであった場合に、再生する動画を前記複数の動画間で切り替えるための切り替え操作を受け付ける受付手段と、
前記切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報を生成し、記憶部に記録する記録手段と、
を有し、
前記再生手段は、再生する動画が前記動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、前記第2の動画に対して逆再生を行う場合に、前記履歴情報に基づいて、前記第1の動画から前記第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を前記第2の動画から前記切り替え前の動画である前記第1の動画へ切り替える
ことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記記録手段は、所定の長さよりも短い時間間隔で動画の切り替えが複数回行われた場合には、前記複数回の切り替えに対し、切り替え毎の履歴情報の記録を省略し、履歴情報として、前記複数回の切り替えが開始または終了した時間位置、および、前記複数回の切り替えのうち最初の切り替え前の動画を識別する情報を生成し、記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記履歴情報は、切り替え後の動画を識別する情報を更に含み、
前記再生手段は、前記動画コンテンツの再生を行う際に、該動画コンテンツの前回の再生時に記録された履歴情報に基づいて、前記切り替えが行われた時間位置で前記切り替え後の動画に切り替えて再生を行い、
前記記録手段は、再生中の動画コンテンツの前回の再生時に記録した履歴情報とは別に、今回の再生時に生成した履歴情報を記録する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。
【請求項4】
入力された動画を再生または逆再生する再生ステップと、
前記入力された動画が撮影条件の異なる複数の動画からなる動画コンテンツであった場合に、再生する動画を前記複数の動画間で切り替えるための切り替え操作を受け付ける受付ステップと、
前記切り替え操作により再生する動画が切り替えられた場合に、少なくとも切り替えが行われた時間位置および切り替え前の動画を識別する情報を含む履歴情報を生成し、記憶部に記録する記録ステップと、
を有し、
前記再生ステップでは、再生する動画が前記動画コンテンツを構成する第1の動画から第2の動画へ切り替えられた後、前記第2の動画に対して逆再生を行う場合に、前記履歴情報に基づいて、前記第1の動画から前記第2の動画への切り替えが行われた時間位置で、逆再生する動画を前記第2の動画から前記切り替え前の動画である前記第1の動画へ切り替える
ことを特徴とする再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74813(P2012−74813A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216706(P2010−216706)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】