説明

再生装置及び再生装置の再生方法

【課題】 映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能で、動画ファイルと音源ファイルとが混在した記録媒体に基づいて映像を好適に再生可能な再生装置及び再生装置の再生方法を提供する。
【解決手段】 映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生するV−SEL機能を有する再生装置100であって、V−SEL機能に基づく再生時にDVDディスク8に基づき映像を再生する場合に、DVDディスク8に格納されたデータのうちから動画ファイルを判別する処理と、DVDディスク8から動画ファイルを選択する処理とを実行する再生制御部6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置及び再生装置の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音声のディジタルデータ化に伴い、ディジタルデータを記録するための種々の規格が出現している。規格としては、例えばDVD(Digital Versatile Disc)を記録媒体として映像データを記録するためのDVDビデオ規格や、DVDを記録媒体としてオーディオデータを記録するためのDVDオーディオ規格などが存在している。一方で、これらの規格に対応すべく再生装置の多機能化も進んでいる。例えば、特許文献1では以下に示すようなDVDオーディオでも再生可能なDVDオーディオ再生方法及び再生装置を提案している。
【0003】
DVDは記憶容量が大きいため、DVDオーディオ規格でオーディオデータを記録したDVDオーディオでは、所定のオーディオデータを記録した後の記録余裕部分に、例えば各曲に対して演奏者、曲名等のディスプレイ表示用データの他、ビデオデータも記録可能である。ここで、ビデオデータとは情報として映像のみで音声を含まないデータである。例えばこのビデオデータの中にメニュー画面が存在し、上述のDVDオーディオを再生する際にメニューに沿ってユーザが適宜のものを選択して選曲等を行う必要がある場合、表示部を有さないDVDオーディオ単機能型プレーヤでは、オーディオデータを再生することができないこととなる。
【0004】
特許文献1が提案するDVDオーディオ再生方法及び再生装置は、上述のDVDオーディオを再生するにあたって、TVモニタの接続状態や作動状態を検出し、TVモニタが接続されていないときやTVモニタがナビゲーションや放送受信に使用されているときには、DVDオーディオからビデオデータの再生とは関係のない独立オーディオデータのみを選択することで、TVモニタがない場合でもオーディオデータを出力可能にしている。
【0005】
一方、映像や音声のディジタルデータ化に伴い、CD−R(Compact Disc Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disc−Recordable)などの記録媒体が出現している。これらの記録媒体には、ユーザが例えば動画ファイルや音源ファイルなどを、上述の規格に依らず混在させて記録することが可能である。これに伴い、種々の動画ファイルや音源ファイルの再生に対応した再生装置も既に実用化されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−266489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能(以下、単にV−SEL機能とも称す)を有する再生装置が実用化されている。なお、「V−SEL」とは「Visual−Select」の略称である。この再生装置では、ユーザの指定に基づき例えばラジオチューナを情報源としてラジオ放送(音声)を出力(再生)しながら、DVDを情報源としてDVDプログラム(映像)を再生することが可能である。しかしながら、この再生装置で映像を再生するために、動画ファイルと音源ファイルとが混在した記憶媒体(以下、単に混在メディアとも称す)を情報源として使用する場合には、以下に示す課題が存在する。
【0008】
図4は、一般的な再生装置が、V−SEL機能で混在メディアに基づき、映像を再生した場合の状況を模式的に示す図である。図4(a)に示すように、一般的な再生装置が動画ファイルを再生しているときには、ユーザは例えばラジオ放送を楽しみながら映像を鑑賞できる。一方、再生装置が音源ファイルを再生している場合には、図4(b)に示すように、一般的な再生装置では「演奏時間」や「トラックナンバー」などが映像として表示される。この表示は、ユーザがラジオ放送を音声として聞いている場合には無意味なものである。したがって、この場合には、音源ファイルが再生される度にユーザが自ら動画ファイルを検索する必要性が生じる。
【0009】
図5は、混在メディアに記録されているファイルの構成とともに一般的な再生装置で混在ファイルに基づいて映像を再生するように設定されている状態でV−SEL機能がONになった場合の状況を模式的に示す図である。混在メディアには、音源ファイルとしてMP3(MPEG Audio Layer-3)ファイルとWMA(Windows Media Audio)ファイルとが記録されている。なお、「Windows」は登録商標である。このMP3ファイルとWMAファイルとは、Musicフォルダに格納されている。また、混在メディアには、動画ファイルとしてAVI(Audio Video Interleaving)ファイルが記録されている。このAVIファイルは、Movieフォルダに格納されている。但し、音源ファイルと、動画ファイルはこれらの種類に限られず、例えば動画ファイルとしてMPEG1(Movig Picture Experts Group phase 1)ファイルなどが記録されていてもよい。
【0010】
図5に示すように、例えば「222.MP3」ファイルを再生している際に、ユーザがV―SEL機能をONにしたとする。ここで、V−SEL機能で混在メディアに基づいて映像を再生するよう指定されている場合には、一般的な再生装置では、図4(b)に示すような状況になってしまう。そのため、ユーザがファイル順に動画ファイルを検索しようとすると、矢印で示すようにいくつもの音源ファイルを順送りした後に初めて動画ファイルを検索できることとなる。このように、一般的な再生装置では非常に煩わしい操作を強いられるため、ユーザに不快感を与えてしまう虞がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能で、動画ファイルと音源ファイルとが混在した記録媒体に基づいて映像を好適に再生可能な再生装置及び再生装置の再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能を有する再生装置であって、前記機能に基づく再生時に、記録媒体に基づき映像を再生する場合に、該記録媒体に記録されたデータのうちから映像データを判別する処理と、前記記録媒体から映像データを選択する処理とを実行する制御手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、V−SEL機能で混在メディアに基づき映像を再生する場合でも、ユーザは自ら動画ファイル(映像データ)を検索せずに映像だけを鑑賞することが可能である。
【0013】
また、本発明は、前記記録媒体が、該記録媒体の代わりに記憶装置であってもよい。例えば、記憶装置としては、例えばHDD(Hard Disc Drive)などを適用することが可能である。
【0014】
また、本発明は、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能を有する再生装置の再生方法であって、前記機能に基づく再生時に記憶媒体に基づき映像を再生する場合に、該記録媒体に記録されたデータのうちから映像データを判別するステップと、前記記録媒体から映像データを選択するステップとを有することを特徴とする再生装置の再生方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能で、動画ファイルと音源ファイルとが混在した記録媒体に基づいて映像を好適に再生可能な再生装置及び再生装置の再生方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施例に係る再生装置100の構成を示す図である。ディスクプレーヤ10は、モータ制御部1と、モータ2と、スライダ制御部3と、光ピックアップ4と、操作部5と、再生制御部6と、信号分離部7を有して構成されている。このディスクプレーヤ10は、以下に示すようにしてDVDディスク8からデータを読み出す。
【0018】
モータ制御部1は、モータ2の駆動を制御するための構成である。モータ2の駆動により回転するDVDディスク8からは、光ピックアップ4によってデータが読み出される。この光ピックアップ4は、スライダ制御部3によって放射方向の位置が制御される。再生制御部6は、選曲・再生・停止・早送り等の操作入力により操作部5から出力される出力信号に応じて、モータ制御部1、スライダ制御部3に制御信号を出力するための構成である。この制御信号を受け取ったモータ制御部1とスライダ制御部3との制御の基、モータ2や図示しないスライダが駆動し、選曲等の所定の作動が行われる。なお、再生制御部6は、例えば光ピックアップ4によって得られたデータに基づいて更にモータ制御部1やスライダ制御部3に制御信号を出力する処理を実行する等、必要に応じて種々の制御を行う。
【0019】
また、上述の再生制御部6は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を有して構成され、内蔵するプログラムに基づきV−SEL機能に関する種々の処理を実行するための構成でもある。再生制御部6が実行するV−SEL機能に関する種々の処理については、適宜後述する。本実施例では、再生制御部6で制御手段を実現している。また、上述の操作部5は、種々の設定・操作を入力するための構成であり、ユーザはV―SEL機能のONやV−SEL機能における情報源の指定をこの操作部5によって行う。DVDディスク8は動画ファイルと音源ファイルとが混在した状態で記録されている混載メディアである。
【0020】
信号分離部7は、光ピックアップ4からのデータを、ビデオデータとオーディオデータとに分離するための構成である。この信号分離部7は、分離したオーディオデータをオーディオ信号処理部11に出力する。オーディオ信号処理部11はオーディオデータに対して所定のオーディオ信号処理を行い、この処理で得られるオーディオ信号は、オーディオ出力部12を経てスピーカ13に出力される。これによって、スピーカ13から音声が再生される。
【0021】
一方、信号分離部7は、分離したビデオデータをビデオ信号処理部14に出力する。ビデオ信号処理部14はビデオデータに対して画像処理を行い、この処理で得られたビデオ信号はビデオ出力部15を経て表示部16に出力される。これによって、表示部16には上述の音声に関連した映像が再生される。
【0022】
TVチューナー20からは、ビデオ信号処理部14とオーディオ信号処理部11とにそれぞれビデオ信号とオーディオ信号とが入力される。また、ラジオチューナ30と、CDプレーヤ40とからは、オーディオ信号処理部11にオーディオ信号が入力される。なお、ラジオチューナ30は、従来のアナログ放送用であってもディジタル音声放送用であってもよい。
【0023】
上述の構成で、次にV−SEL機能について詳述する。ユーザは、操作部5により映像と音声を再生する情報源を別々に指定することが可能である。本実施例で、情報源はDVDディスク8、TVチューナ20、ラジオチューナ30及びCD(Compact Disc)プレーヤ40が再生するCDである。但し、これに限らず、例えばMD(Mini Disc)プレーヤが再生するMDやナビゲーション装置なども情報源とすることが可能である。
【0024】
ユーザが情報源を指定すると、操作部5から再生制御部6に信号が出力され、この信号に基づき、再生制御部6は、オーディオ信号処理部11とビデオ信号処理部14とにそれぞれ信号を出力する処理を実行する。この信号により情報源が指定されたオーディオ信号処理部11は、V−SEL機能がONになっている場合には、指定された情報源に基づきオーディオ信号処理を行う。同様に情報源が指定されたビデオ信号処理部14は、V−SEL機能がONになっている場合には、指定された情報源に基づき画像処理を行う。これによって、V―SEL機能がONになった場合には、スピーカ13からは例えばラジオ放送が、表示部16には例えばTVプログラムが同時に再生される。
【0025】
次に、V−SEL機能でDVDディスク8に基づいて映像を再生する場合について詳述する。図2は、DVDディスク8に記録されているファイルの構成とともにDVDディスク8に基づいて映像を再生するように設定されている状態でV−SEL機能がONになった場合の状況を模式的に示す図である。ここで、DVDディスク8のファイル構成については、図5に示す混在メディアのファイル構成と同一であるため説明を省略する。
【0026】
「222.MP3」ファイルを再生している際に、ユーザが操作部5によりV−SEL機能をONにした場合、再生制御部6は、モータ制御部1とスライダ制御部3とに所定の制御信号を出力する。この制御信号を受け取ったモータ制御部1とスライダ制御部3との制御の基、ディスクプレーヤ10ではファイル検索作動が行われ、再生制御部6は、光ピックアップ4からの出力信号に基づき、DVDディスク8から動画ファイル(映像データ)を判別し、選択する処理を実行する。これによって、図2に示す「CCC.AVI」ファイルが選択され、光ピックアップ4は「CCC.AVI」ファイルのデータを読み出す。
【0027】
また、「CCC.AVI」ファイルのデータ出力が完了した後には、再生制御部6は再度動画ファイルを選択する処理を実行する。その結果、ファイル順で次のファイルにあたる「DDD.AVI」ファイルが選択され、光ピックアップ4は「DDD.AVI」ファイルのデータを読み出す。これにより、音源ファイルと動画ファイルとが混在したDVDディスク8を情報源としてV−SEL機能で映像を再生する場合でも、動画ファイルのみを再生することが可能である。
【0028】
次に、映像を再生するための情報源としてDVDディスク8が指定された状態で、ユーザが操作部5によりV−SEL機能をONにした場合に、再生装置100で実行される処理を図3に示すフローチャートを用いて詳述する。まず、ユーザは、操作部5により映像を再生するための情報源としてDVDディスク8を指定する(ステップ11)。また、ユーザは、操作部5により音声を再生するための情報源としてラジオチューナ30を指定する(ステップ12)。
【0029】
次に、ユーザは、操作部5によりV−SEL機能をONにする(ステップ13)。V−SEL機能がONになると、ディスクプレーヤ10が検索作動する(ステップ14)。ディスクプレータ10が検索作動すると、再生制御部6は光ピックアップ4からの出力信号に基づき、拡張子からDVDディスク8に記録された動画ファイルを判別する処理を実行し、動画ファイルと音源ファイルとが混在しているかどうかを判定する(ステップ15)。
【0030】
混在していないと判断した場合(動画ファイルのみであると判断した場合)には、再生制御装置6は動画ファイルをファイル順に再生する処理を実行する(ステップ16)。混在していると判断した場合には、再生制御装置6はファイル順に基づき、未再生の動画ファイルを選択する処理を実行する(ステップ17)。この処理に基づき、光ピックアップ4は、選択された動画ファイルを読み出す(ステップ18)。これにより、再生装置100では、選択された動画ファイルに基づく映像が再生される(ステップ19)。再生が終了すると、ステップ17に戻り次の動画ファイルを選択する。また、ユーザ操作により再生が中断された場合には再生を終了する。
【0031】
なお、情報源として、DVDディスク8の代わりに音源ファイルと動画ファイルとが混在した状態で記録されたハードディスクドライブなどの記憶装置を適用することも可能である。この場合には、モータ制御部1、モータ2、スライダ制御部3及び光ピックアップ4は不要で、再生制御部6は記憶装置にアクセスして動画ファイルを判別し、適宜選択・出力する処理を実行する。以上により、映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生するV―SEL機能で、動画ファイルと音源ファイルとが混在したDVDディスク8に基づいて映像を好適に再生可能な再生装置100及び再生装置100の再生方法を実現可能である。
【0032】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施例に係る再生装置100の構成を示す図である。
【図2】DVDディスク8に記録されているファイルの構成とともにDVDディスク8に基づいて映像を再生するように設定されている状態でV−SEL機能がONになった場合の状況を模式的に示す図である。
【図3】映像を再生するための情報源としてDVDディスク8が指定された状態で、ユーザが操作部5によりV−SEL機能をONにした場合に、再生装置100で実行される処理をフローチャートで示す図である。
【図4】一般的な再生装置が、V−SEL機能で混在メディアに基づき、映像を再生した場合の状況を模式的に示す図である。
【図5】混在メディアに記録されているファイルの構成とともに一般的な再生装置で混在ファイルに基づいて映像を再生するように設定されている状態でV−SEL機能がONになった場合の状況を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 モータ制御部
2 モータ
3 スライダ制御部
4 光ピックアップ
5 操作部
6 再生制御部
7 信号分離部
8 DVDディスク
11 オーディオ信号処理部
12 オーディオ出力部
13 スピーカ
14 ビデオ信号処理部
15 ビデオ出力部
16 表示部
20 TVチューナ
30 ラジオチューナ
40 CDプレーヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能を有する再生装置であって、
前記機能に基づく再生時に、記録媒体に基づき映像を再生する場合に、該記録媒体に記録されたデータのうちから映像データを判別する処理と、
前記記録媒体から映像データを選択する処理とを実行する制御手段を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記記録媒体が、該記録媒体の代わりに記憶装置であることを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【請求項3】
映像と音声とを別々の情報源に基づいて同時に再生する機能を有する再生装置の再生方法であって、
前記機能に基づく再生時に記憶媒体に基づき映像を再生する場合に、該記録媒体に記録されたデータのうちから映像データを判別するステップと、
前記記録媒体から映像データを選択するステップとを有することを特徴とする再生装置の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−122769(P2007−122769A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309794(P2005−309794)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】