説明

再生装置製造方法、記録媒体および検査プログラム

【課題】記録媒体に対する記録時の様々な変動を考慮して再生装置の製造を行うこと。
【解決手段】検査装置100は、再生装置の製造工程において、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因(例えば、変調度、シンメトリ、熱蓄積、トラッキングのずれ、フォーカスのずれ、隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストークなど)の大小を表す指標の設定値(設定値を最適値からずらすことによって、再生信号の質が低下する;本発明では、故意に設定値を最適値からずらしている)によって信号を記録した記録媒体から信号を再生し、再生した信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の製造を行う再生装置製造方法などに関し、特に、記録媒体に対する記録時の様々な変動を考慮して、再生装置の製造を行うことができる再生装置製造方法、検査プログラムおよび記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等の記録可能な光ディスク媒体が広く普及している。これら互換媒体は記録に使用された記録装置とは別の装置で再生される。どのような記録装置で記録されたデータでもエラー発生なしに正常に再生できなければならない。
【0003】
しかし、記録装置が記録媒体にデータを書き込む記録条件は常に一定ではなく、記録装置のばらつき、温度等の環境変動、あるいは記録媒体の製造ばらつき等によって影響を受け、再生波形の歪、あるいはジッタ増大等の不具合が発生し最悪の場合はエラーが発生し再生できないケースもある。
【0004】
このような記録媒体を再生する際のエラー発生を防ぐために再生検査ディスクを使用して再生装置の検査、あるいは設計を行っている。この再生検査ディスクとして利用される記録媒体としては、最適な条件でデータを記録した記録媒体や、何らかの原因で再生不良となった記録媒体が利用されている。
【0005】
なお、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5では、記録媒体の記録面の凹凸、基板反りなどの基板形状を変形させて、再生検査ディスクを製造する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献6では、ジッタを確認するための信号を発生させるトラックパターンを再生検査ディスクに形成することで、所望のジッタに関する欠陥を備え、かつ再現性良好な再生検査ディスクを作成可能とする方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3674545号公報
【特許文献2】特開平10−233040号公報
【特許文献3】特開平10−83506号公報
【特許文献4】特開2000−322782号公報
【特許文献5】特開2002−334481号公報
【特許文献6】特開平9−274741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の再生検査では、記録に関連する様々な変動要因の影響を受けていない、最適な条件で記録された記録媒体を再生装置の再生検査ディスクとして用いていた。あるいは市場で記録に関連した原因で再生不良となった実際の記録媒体を使用して調査を実施し、改善の方法を検討することが行われていた。
【0009】
実際の市場においては様々な原因により、記録媒体への記録条件が変動する。様々な記録条件で記録された記録媒体をエラーなく再生しなければならない。ところが、前述のように記録時の様々な変動を考慮せずに理想に近い条件で記録された記録媒体で再生装置の検査を行っても市場での様々な記録条件で記録された記録媒体の再生に関する不具合を予測することができない。
【0010】
また、市場で不具合を起こした記録媒体を検査あるいは評価に使用する方法では、記録条件変動の原因が不明のため、偏った検査になってしまう可能性が高くなる。また、再生品質改善のための方針が得られないという問題もある。
【0011】
さらに、特許文献1〜5において再生検査ディスクの製造方法が開示されているが、記録媒体の記録面の凹凸、基板反りなどの基板形状を変形させるものであり、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等の記録媒体への記録条件変動による再生波形の乱れを再現することができない。また、特許文献6において開示されている再生検査用ディスクの製造方法であっても、上述したような記録条件変動による再生波形の乱れを再現することはできなかった。
【0012】
実際に市場に出荷されているディスクのばらつき要因は、基板の反り、記録面の凹凸のような基板形状の変形だけでなく、記録条件ばらつきも含めた総合的なばらつきが混在することで再生エラーのような重大な品質問題が発生する。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、記録媒体に対する記録時の様々な変動を考慮して、再生装置の製造を行うことができる再生装置製造方法、記録媒体、検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の製造を行う再生装置製造方法であって、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生工程と、前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定工程と、を含んだことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記判定工程によって、前記再生装置に不具合が存在すると判定させた場合に、前記設定値と、前記記録媒体から再生された信号とを基にして、前記再生装置に対する不具合の原因を判定する原因判定工程を更に含んだことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記信号再生工程は、異なる前記設定値によって信号を記録した複数の記録媒体から再生信号を再生し、前記判定工程は、各記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記信号再生工程は、前記複数の記録媒体のうち一部の記録媒体から信号を再生し、前記判定工程は、一部の記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記記録媒体に記録された信号の設定値は、直交表で示される水準に設定されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記記録媒体に記録された信号の設定値は、3水準系の直交表で示される水準に設定されており、前記信号再生工程は、前記3水準系の直交表に対応する3種類の設定値によって信号が記録された記録媒体の信号を再生し、前記判定工程は、前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、前記記録媒体は、異なる前記設定値による信号を複数のエリアに分割してそれぞれ記録し、前記再生工程は、各エリアに記録された信号を再生し、前記判定工程は、前記記録媒体の各エリアから再生される信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、信号を記録する記録媒体であって、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録したことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記発明において、前記設定値の異なる複数の信号を、複数のエリアに分割して記録することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の検査を行う検査プログラムであって、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生手順と、前記信号再生手順によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から信号を再生し、再生された信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否か判定するので、再生波形の乱れに起因する再生装置の再生不良の問題を解消することができる。
【0025】
また、本発明によれば、再生装置に不具合が存在すると判定させた場合に、予め設定された設定値と、記録媒体から再生された信号とを基にして、再生装置に対する不具合の原因を判定するので、不具合の発生した再生装置に対する調整を的確に実行することができる。
【0026】
また、本発明によれば、異なる設定値によって信号を記録した複数の記録媒体から再生信号を再生し、各記録媒体から再生された信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定するので、再生装置の調査を適切に行うことができ、再生装置の性能を向上させることができる。
【0027】
また、本発明によれば、複数の記録媒体のうち一部の記録媒体から信号を再生し、一部の記録媒体から再生された信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定するので、再生装置の製造を効率よく行うことができる。
【0028】
また、本発明によれば、記録媒体に記録された信号の設定値は、直交表で示される水準に設定されているので、市場で発生しえる再生波形の乱れを定量的に表現可能な記録媒体によって再生装置の調査を適切に行うことができる。
【0029】
また、本発明によれば、記録媒体に記録された信号の設定値は、3水準系の直交表で示される水準に設定されており、3水準系の直交表に対応する3種類の設定値によって信号が記録された記録媒体の信号を再生し、再生された信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否か判定するので、再生装置の製造を効率よく行うことができる。
【0030】
また、本発明によれば、記録媒体は、異なる設定値による信号を複数のエリアに分割してそれぞれ記録し、この記録媒体の各エリアに記録された信号を再生し、各エリアから再生される信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定するので、記録媒体を入れ替える必要性をなくし、迅速に再生装置の検査を実行することができる。
【0031】
また、本発明によれば、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録したことを特徴とする記録媒体を利用するので、再生波形の乱れに起因する再生装置の再生不良の問題を解消することができる。
【0032】
また、本発明によれば、設定値の異なる複数の信号を、複数のエリアに分割して記録する記録媒体を利用するので、記録媒体を入れ替える必要性をなくし、作業者の負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る再生装置製造方法、記録媒体および検査プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
まず、本発明にかかる概要と特徴について説明する。本発明では、再生装置の製造工程において、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因(例えば、変調度、シンメトリ、熱蓄積、トラッキングのずれ、フォーカスのずれ、隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストーク)の大小を表す指標の設定値(設定値を最適値からずらすことによって、再生信号の質が低下する;本発明では、故意に設定値を最適値からずらしている)によって信号を記録した記録媒体から信号を再生し、再生した信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定する。
【0035】
そして、再生装置に不具合が存在する場合には、各原因の設定値と記録媒体からの再生信号を基にして不具合の原因を判定し、作業者は、判定結果を基にして、再生装置を再調整する。なお、再生装置に不具合が存在しない場合には、そのまま次の製造工程に移行することとなる。
【0036】
このように、本発明では、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の設定値によって信号を記録した記録媒体から信号を再生し、再生した信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定するので、市場での複数の記録に関係する変動要因を定量的に再現することができ、市場の記録媒体に対する再生互換品質を向上させることができる。
【0037】
なお、本発明では、上述した再生装置の検査方法以外は、従来の再生装置にかかる製造方法と同様であるため、本実施例では、再生装置の検査方法に関して重点的に説明し、その他の説明は省略する。
【0038】
つぎに、信号再生時の品質低下に影響を与える原因について順に説明する。まず、図1を用いて、記録媒体(CD−R、DVD−R、DVD−R等の熱記録系の情報記録媒体;以下、単に記録媒体と表記する)に信号を記録する記録波形の一例について説明する。図1は、記録媒体に信号を記録する記録波形の一例を示す図である。記録時に、図1に示すパルス数を変えることで異なる長さのマークを記録媒体上に形成する。図2は、記録媒体上に形成されるマークを説明するための説明図である。図2に示すように、図1に示したパルス数を変えることによって(パルス数を変えたレーザ光を照射することによって)、記録媒体上に異なる長さのマークが形成される。
【0039】
例えば、パルス数が2つ(P1、P2)ならば、マーク3Tが記録媒体上に形成され、パルス数が3つ(P1、P2、P3)ならば、マーク4Tが記録媒体上に形成され、パルス数が4つ(P1、P2、P3、P4)ならば、マーク5Tが記録媒体上に形成される。一般的に記録媒体上に形成されるマークの種類は、9種類存在する(3Tから11T)。すなわち、3Tが最短のマークとなり、11Tが最長のマークとなる。
【0040】
ドライブ装置の設計段階でジッタあるいはエラーが最小となるように図1の記録波形が最適に設定される。しかし、市場においては、環境温度変化、劣化等の様々な問題が発生する。仮に記録マークに乱れがあっても記録に使用したドライブ装置で再生するのであればエラーになる可能性は低い。そのベリファイ動作によりそのドライブ装置の再生特性にマッチした条件で記録されるからである。
【0041】
ところが、記録に使用したドライブ装置とは異なるドライブ装置で記録媒体を再生する場合では記録されたマーク(信号)が理想からはずれて再生波形に乱れが発生すると再生できないという問題が発生することがある。例えば、家庭用の録音装置でCD−R、あるいはDVD−Rに音楽、映画などを記録し、その記録媒体を車載用のCD、DVD再生装置で再生する場合にこのような記録時の条件変動による再生エラーが発生することがある。
【0042】
市場でこのような再生不良問題を発生させないためには、市場での不具合を適切に再現した媒体を使用して評価あるいは検査を実施し、再生装置にかかる設計の最適化あるいは出荷検査を実施すればよい。
【0043】
図3は、記録媒体に記録されたマークの再生波形の一例を示す図である。ここで、Itopは再生波形全体の最大値と基準軸との距離を示し、I11Hは記録媒体に記録される最長マーク(11T)にかかる再生波形の最大値と基準軸との距離を示し、I3Hは記録媒体に記録される最短マーク(3T)にかかる再生波形の最大値と基準軸との距離を示す。
【0044】
また、I11Lは最長マーク(11T)にかかる再生波形の最小値と基準軸との距離を示し、I3Lは最短マーク(3T)にかかる再生波形の最小値と基準軸との距離を示し、I11、I3はそれぞれ、I3HからI3Lを除算した値、I11HからI11Lを除算した値である。
【0045】
この図3を利用して、再生信号の品質低下に影響を与える変調度およびシンメトリについて説明する。変調度は、
I11/Itop
によって定義される。記録条件のばらつきにより、この変調度が小さくなると、信号再生時のジッタが増加し、再生エラーが発生しやすくなる。
【0046】
シンメトリは、最長マーク(11T)の振幅中心と最短マーク(3T)の振幅中心とのずれ量を示す値であり、
((I3H+I3L)-(I11H+I11L))/2×I11H
によって定義される。記録条件のばらつきにより、このシンメトリが小さくなると、信号再生時のジッタが増加し、再生エラーが発生しやすくなる。
【0047】
つぎに、図4を利用して、再生信号の品質低下に影響を与える熱蓄積について説明する。図4は、熱蓄積を説明するための再生波形の一例を示す図である。熱蓄積は、
d/b
によって定義される。このうちbは再生波形の最大値から最小値までの距離を示す値であり、dは再生波形の最小値から(熱蓄積の影響によって発生する)本来の再生波形とは異なる波形の平らな部分(あるいはこの波形の最大値など)までの距離を示す。d/bが大きくなるとジッタが増大し、読み取りエラーが発生しやすくなる。
【0048】
記録時に再生品質に影響を与える原因には前述の記録波形関連のばらつき以外にサーボ関連のばらつきもある。図5は、トラッキングサーボずれによる記録の概念図である。記録に使用した装置の光学ヘッドの傾き、レンズの収差などの影響でレーザ0ビームスポットがトラック中心からずれた状態で記録されることがある。トラック中心からずれたスポット位置で記録されたマークをビームスポットが中心にある再生装置で再生するとジッタが増加しエラーが発生しやすくなる。
【0049】
図6は、フォーカスサーボずれによる記録の概念図である。ドライブ装置の光学ヘッドに使われるレンズ等の光学部品の収差によりビーム形状に乱れが発生し、図6のようにビーム径が大きくなることがある。大きなビーム径で記録されたマークを再生するとジッタが増加し、エラーが発生しやすくなる。
【0050】
図7は、隣接トラックへの記録パワーオーバーを説明するための図である。図7に示すように隣接トラックにオーバーパワーでマークが記録されると再生トラックへの漏れこみ信号が増加し(隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストークの影響を受けるため)、ジッタが増加する。
【0051】
以上に代表されるような複数の記録に関係する変動要因が市場において複合的に同時発生している。これら各変動要因が同時発生した状態を定量的に再現させた記録媒体を作成し、検査あるいは評価する方法を以下に説明する。
【0052】
なお、以下ではCD−R媒体を例として説明するが、本発明はCD−Rへの適用に限定されるものではなく、他の熱記録系媒体であるCD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、ブルー系ディスクにも同様に適用可能である。また、記録系媒体への記録はせずに同様な再生波形をROM媒体で実現することも可能である。ROM媒体を用いて複数の記録変動を位相ピットとして再現することで前述した各種特性の水準を安定に再現性よく設定することが可能となる。
【0053】
変調度を低下させるには図1の波形全体のパワーを低下させればよい。最初に図1の再生波形のパワー、パルス幅をジッタが最小になるように調整する。図1に示す波形が、ジッタが最小となる記録波形である。この最適な記録波形のパワー、パルス幅等の設定を1とし、波形全体の形状をそのままにして全体のパワーを変化させた場合の変調度の変化を図8によって説明する。図8は、波形全体の形状をそのままにして全体のパワーを変化させた場合の変調度の変化を示す図である。図8に示すように、記録波形の形状をそのままにして波形全体のパワーを変化させることで変調度I11/Itopを調整できる。
【0054】
図9は、記録波形のパルス幅とシンメトリとの関係を示す図である。同図に示すように、記録媒体に最短マーク(3T)を形成するためのパルス幅(図1に示すT1およびT2)を調整することでシンメトリを変化させることができる。
【0055】
図10は、記録波形のパルス幅と熱蓄積との関係を示す図である。同図に示すように、記録波形のパルス幅(T3〜T11)を調整することで熱蓄積を変化させることができる。
【0056】
以上の方法で変調度、シンメトリ、熱蓄積を以下の範囲に設定することで市場での実際のばらつきを反映した記録媒体を作成することができる。
変調度 0.6<I11/Itop<0.8
シンメトリ -0.15<((I3H+I3L)-(I11H+I11L))/2×I11H<-0.05
熱蓄積 0.1<d/b<0.3
【0057】
以上では記録に関係する変動原因として変調度、シンメトリ、熱蓄積の3因子を取り上げたが、この再生時の品質に影響を与える因子はこれら3因子に限定されるものではなく、他の因子を追加しても構わない。また変動要因を再現するための記録波形の調整方法も前述に限定されるものではない。
【0058】
さらに記録時のサーボ関連の変動を以下の範囲で設定することでさらに市場でのばらつきをよりよく反映した記録媒体(検査用ディスク)が実現され、実際の市場での環境に近い検査を効率的かつ定量的に実現することが可能となる。
フォーカスずれ -0.8〜0.8μm
トラッキングずれ -0.2〜0.2μm
隣接トラックへの記録パワー 0〜+15%
【0059】
上記で取り上げた各原因(変調度、シンメトリ、熱蓄積、フォーカスずれ、トラッキングずれ、隣接トラックへの記録パワー)を直交表の水準に従って水準設定することで市場での実際の変動を再現した合理的な評価が可能となる。図11は、本実施例にかかる直交表の一例を示す図である。なお、直交表のNo.1〜No.18の行に該当する設定値(1)〜(3)は、それぞれ直交表中の水準(1)〜(3)に対応する。例えば、行「No.1」列「C」によって直交する設定値(1)は、変調度の水準(1)「0.8」となる。
【0060】
図11に示す直交表L18を使用した場合は合計で18通りの組合せで記録条件を変化させた記録媒体を作成し、18個のデータから再生装置の検査を実施する。例えば、各18行でジッタy1〜y18を測定し以下の計算方法で総合判定を実施する。なお、ここではジッタを用いて再生装置の検査を実施する例を示すがこれに限定されるものではなく、例えば再生時のエラー率を用いて再生装置の検査を実施してもよい。
【0061】
再生装置に対する総合判定を行うための計算式は、
ST=y12+ y22+・・・+y182
VT= ST/18
η=10LOG(1/ VT) (db)
によって定義される。この計算式によって算出されるηに基準値を設定し、ηの値が基準値以上であれば再生装置に不具合が存在しないと判定し、ηの値が基準値よりも小さい場合には不具合が存在するものとして出荷停止を行う。不具合の存在する再生装置に関しては直交表にわりつけた要因を分析することで、6つの中で最も寄与が大きい要因を洗い出し調整の方針を見出すことが可能となる。
【0062】
ここでは直交表L18を用いて説明したが、他の直交表L9、L8、L12などを用いて水準設定しても構わない。また直交表を用いずに、6個の要因全部を同時に例えば最適、中レベル、最悪のように3水準設定しても構わない。この場合は3つの媒体から3つのジッタを計測し上記式で総合判定を実施すればよい。
【0063】
3水準系の直交表を利用することで、この3水準の検査条件を設定することも可能である。図11に直交表L18を例とし、直交表を利用した最適、中レベル、最悪条件の3水準の作り方を説明する。A〜Hの8列中、右側6列(C〜H)の水準は1,2,3で共通である。
【0064】
この共通の水準設定である6列に上述した6種類の誤差因子をわりつけ、その6つの因子の水準を上から最適、中レベル、最悪となるように設定することでN1、N2、N3条件を作ることができる。このようなわりつけをすることで不具合判定の検査の場合は、この3種類の記録媒体(N1〜N3)のみを使用し検査時間短縮による効率化を実現し、不具合の存在する再生装置の原因を分析して手直し方法の調査をする場合には他の15枚の記録媒体も計測することで6つの因子の何が原因となって不良になったのか調査することが可能である。
【0065】
本実施例では直交表L18を例として説明したが、L9、L27、L36等の直交表でも同様に3水準の検査媒体を設定することができる。また、本実施例では図11に示した直交表においてAB列には因子をわりつけない例で説明したが、この2列の水準は一定であり、他の変動要因を因子としてわりつけても構わない。例えばこの2列に基板面ぶれ(反り)、基板厚さ変動、反射率変動のような基板、膜関連の変動要因をわりつけても構わない。あるいは上述した6因子以外の記録関連の因子をわりつけても構わない。
【0066】
つぎに、本実施例にかかる検査方法について説明する。図12は、本実施例にかかる検査システムの一例を示す図である。検査対象となる再生装置10に対して、上述したN1、N2、N3の記録媒体を準備する。そして、各記録媒体を再生装置10に挿入し、再生波形をジッタメータ20に入力し、ジッタを計測する。検査装置100は、再生装置10の測定半径位置の制御を行うと共に、ジッタメータ20からジッタを取得して再生装置10に対する不具合判定を行う。
【0067】
つぎに、図12に示した検査装置100の構成について説明する。図13は、検査装置100の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この検査装置100は、入力部110と、出力部120と、入出力制御IF部130と、通信制御IF部140と、記憶部150と、制御部160とを備えて構成される。
【0068】
このうち、入力部110は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成され、例えば、上述した直交表(図11参照)に記憶する各種の情報を利用者が入力する。なお、後述するモニタ(出力部120)も、マウスと協働してポインティングディバイス機能を実現する。
【0069】
出力部120は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成され、例えば、上記の直交法に記憶された各種の情報や、再生装置10に関わる不具合の情報等を出力する。そして、入力制御FI部130は、これら入力部110および出力部120によるデータの入出力を制御する手段であり、通信制御IF部140は、再生装置10およびジッタメータ20との間における通信を制御する手段である。
【0070】
記憶部150は、制御部160による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段(格納手段)であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図13に示すように、直交表150aを備える。この直交表150aは、上述したように、記録媒体に信号を記録する際の各原因の設定値を記憶する記憶手段である(図11参照)。
【0071】
制御部160は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種種の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図13に示すように、半径位置制御部160aと、直交表管理部160bと、不具合判定部160cと、原因判定部160dとを備える。
【0072】
ここで、半径位置制御部160aは、再生装置10を制御して記録媒体上の測定半径位置を制御する処理部である。直交表管理部160bは、直交表150aを管理する処理部である。この直交表管理部160bは、ジッタメータ20から記録媒体を識別する情報(No.1〜No.18あるいはN1〜N3等)とジッタ測定結果との情報を取得、取得した情報を基にして直交表150aのジッタ測定結果y1〜y18の値を登録・更新する。また、直交表管理部160bは、入力部110から直交表150aの設定値にかかる変更要求を受け付けた場合などに直交表150aの設定値を変更する。
【0073】
不具合判定部160cは、再生装置10に不具合が存在するか否かを判定する処理部である。具体的に、この不具合判定部160cは、直交表150aに記録された各ジッタ測定結果y1〜y18を基にして、評価値を算出し(評価値を算出する具体的な算定式は、上述したηを算定する算定式と同様である)、算出した評価値があらかじめ設定された基準値以上か否かを判定する。
【0074】
不具合判定部160cは、評価値が基準値以上である場合には、再生装置10に不具合は存在しないと判定し、判定結果をモニタ(出力部120)に出力する。一方、不具合判定部160cは、評価値が基準値よりも小さい場合には、再生装置10に不具合が存在すると判定し、判定結果をモニタ(出力部120)に出力する。
【0075】
なお、不具合判定部160cは、ジッタ測定結果y1〜y3のみを利用して(すなわち、記録媒体N1〜N3を使用して)、不具合判定を行うことによって、再生装置の製造効率を向上させることができる。
【0076】
原因判定部160dは、不具合判定部160cによって再生装置10に不具合が存在すると判定された場合に、この不具合に最も影響を及ぼしている可能性の大きい原因を判定する処理部である。
【0077】
この原因判定部160dは、直交表の各原因(変調度、シンメトリ、熱蓄積、トラッキングずれ、フォーカスずれ、隣接トラック記録パワー、その他)に設定された設定値(各記録媒体No.1〜No.18に設定された設定値)と、各記録媒体から測定されたジッタ測定結果y1〜y18から統計的な手法を用いて、寄与率を算出する。原因判定部160dは、この寄与率が最も高い要因を再生装置10の不具合に最も影響を及ぼしている可能性が大きい原因として判定する。
【0078】
図14は、原因判定部160dが算出する寄与率の一例を示す図である。同図に示す例では、熱蓄積の寄与率が最も大きいため、この熱蓄積が再生装置10の不具合に最も影響を及ぼしていることとなる。原因判定部160dは、判定結果あるいは算出した寄与率の情報をモニタ(出力部120)に出力する。作業者は、この原因判定部160dの判定結果を参照することで、的確に再生装置10を調整し、不具合を解消させることができる。
【0079】
つぎに、本実施例にかかる検査装置100の処理について説明する。図15は、本実施例にかかる検査装置100の処理手順を示すフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートでは、不具合判定において、N1〜N3の記録媒体を使用した場合を示す。同図に示すように、検査装置100は、N1〜N3の記録媒体にかかるジッタの測定値を取得する(ステップS101)。このステップS101において、N1〜N3の記録媒体は順に再生装置10に挿入され、ジッタメータ20は、各記録媒体のジッタ測定結果を順に検査装置100に出力する。
【0080】
続いて、不具合判定部160cは、各ジッタ測定結果を基にして評価値を算出し(ステップS102)、評価値と基準値とを比較し(ステップS103)、評価値が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0081】
評価値が基準値以上である場合には(ステップS104,Yes)、不具合判定部160cは検査対象となる再生装置が正常である旨をモニタ(出力部120)に出力する(ステップS105)。
【0082】
一方、評価値が基準値よりも小さい場合には(ステップS104,No)、検査対象となる再生装置の調整が必要である旨を出力する(ステップS106)。そして、検査装置100は、No.1〜No.18の記録媒体のジッタの測定値を取得する(ステップS107)。このステップS107において、No.1〜NO.18までの記録媒体は順に再生装置10に挿入され、ジッタメータ20は、各記録媒体のジッタ測定結果を順に検査装置100に出力する。
【0083】
そして、原因判定部160dは、直交表150aを基にして寄与率を算出し(ステップS108)、寄与率が最も大きい要素を判定し(ステップS109)、判定結果を出力する(ステップS110)。
【0084】
このように検査装置100を利用することによって、直交表の設定値によって再生波形の乱れを定量的に再現した記録媒体を利用して、再生装置10の検査を実行するので、再生互換品質を向上させた再生装置を製造することができる。
【0085】
なお、ここまでは、変動原因毎に一枚の記録媒体を作成し、再生装置の製造を行う方法を説明したが、条件毎に1枚の記録媒体を準備することは検査作業が煩雑になり作業効率上好ましくない。図16は、記録媒体に対するその他の信号記録例を示す図である。図16に示すように、18種類の複合原因系を1枚の媒体の中で分割して記録してもよい。
【0086】
各18条件の記録エリアの半径位置情報をTOCエリアに記録しておけば、検査装置100は、再生対象位置を制御することができ、一枚の記録媒体を再生装置10に挿入するだけで自動で再生装置の不具合や原因判定を実行することができる。なお、記録関連の原因系に加えて基板面ぶれ、基板厚さ、反射率など基板、膜関連の変動要因を更に加えてもよい。
【0087】
上述してきたように、本実施例にかかる検査装置100は、再生装置の製造工程において、信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因(例えば、変調度、シンメトリ、熱蓄積、トラッキングのずれ、フォーカスのずれ、隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストーク)の大小を表す指標の設定値(設定値を最適値からずらすことによって、再生信号の質が低下する;本発明では、故意に設定値を最適値からずらしている)によって信号を記録した記録媒体から信号を再生し、再生した信号に基づいて再生装置に不具合が存在するか否かを判定するので、市場での複数の記録に関係する変動要因を定量的に再現することができ、市場の記録媒体に対する再生互換品質を向上させることができる。
【0088】
また、本実施例にかかる検査装置100は、原因判定部160dが各原因の設定値とジッタの測定結果を基に寄与率を算出し、再生装置10の不具合にかかる要因を判定するので、作業者は効率よく再生装置の調整をすることができる。また、作業者は不具合の原因を特定する必要がなくなるので、作業者にかかる負担が大幅に軽減される。
【0089】
ところで、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図17を用いて、上記各種処理を実現するプログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0090】
図17は、図13に示した検査装置100を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータは、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置30、モニタ31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、各種プログラムを記録した記録媒体からプログラムを読み取る媒体読取装置34、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受をおこなうネットワークインターフェース35、CPU(Central Processing Unit)36、および、HDD(Hard Disk Drive)37をバス38で接続して構成される。
【0091】
そして、HDD37には、上述した検査装置100の機能と同様の機能を発揮する各種プログラム37bが記憶されている。そして、CPU36が、各種プログラム37bをHDD37から読み出して実行することにより、上述した検査装置100の機能部の機能を実現する各種プロセス36aが起動される。
【0092】
また、HDD37には、上述した検査装置100の記憶部150に記憶されるデータに対応する各種データ37aが記憶される。CPU36は、各種データ37aをHDD37に記憶するとともに、各種データ37aをHDD37から読み出してRAM32に格納し、RAM32に格納された各種データ32aに基づいてデータ処理を実行する。
【0093】
ところで、各種プログラム37bは、必ずしも最初からHDD37に記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各種プログラム37bを記憶しておき、コンピュータがこれらから各種プログラム37bを読み出して実行するようにしてもよい。
【0094】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0095】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0096】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0097】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0098】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0099】
(付記1)記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の製造を行う再生装置製造方法であって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生工程と、
前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定工程と、
を含んだことを特徴とする再生装置製造方法。
【0100】
(付記2)前記判定工程によって、前記再生装置に不具合が存在すると判定させた場合に、前記設定値と、前記記録媒体から再生された信号とを基にして、前記再生装置に対する不具合の原因を判定する原因判定工程を更に含んだことを特徴とする付記1に記載の再生装置製造方法。
【0101】
(付記3)前記信号再生工程は、異なる前記設定値によって信号を記録した複数の記録媒体から再生信号を再生し、前記判定工程は、各記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする付記1または2に記載の再生装置製造方法。
【0102】
(付記4)前記信号再生工程は、前記複数の記録媒体のうち一部の記録媒体から信号を再生し、前記判定工程は、一部の記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする付記3に記載の再生装置製造方法。
【0103】
(付記5)前記記録媒体は、レーザ光による媒体の熱的な変化により、信号を記録する記録媒体であることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0104】
(付記6)前記記録媒体に記録された信号の設定値は、直交表で示される水準に設定されていることを特徴とする付記3に記載の再生装置製造方法。
【0105】
(付記7)前記記録媒体に記録された信号の設定値は、3水準系の直交表で示される水準に設定されており、前記信号再生工程は、前記3水準系の直交表に対応する3種類の設定値によって信号が記録された記録媒体の信号を再生し、前記判定工程は、前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定することを特徴とする付記4に記載の再生装置製造方法。
【0106】
(付記8)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、変調度であることを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0107】
(付記9)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、シンメトリであることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0108】
(付記10)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、熱蓄積であることを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0109】
(付記11)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、トラッキングのずれであることを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0110】
(付記12)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、フォーカスのずれであることを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0111】
(付記13)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストークであることを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の再生装置製造方法。
【0112】
(付記14)前記記録媒体は、異なる前記設定値による信号を複数のエリアに分割してそれぞれ記録し、前記再生工程は、各エリアに記録された信号を再生し、前記判定工程は、前記記録媒体の各エリアから再生される信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする付記1に記載の再生装置製造方法。
【0113】
(付記15)信号を記録する記録媒体であって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録したことを特徴とする記録媒体。
【0114】
(付記16)前記設定値の異なる複数の信号を、複数のエリアに分割して記録することを特徴とする付記15に記載の記録媒体。
【0115】
(付記17)前記信号再生時における再生信号の質の低下に影響を与える原因は、変調度、シンメトリ、熱蓄積、トラッキングのずれ、フォーカスのずれ、隣接トラックへの記録パワーオーバーによるクロストーク、基板の反り、基板厚さのずれを含んでいることを特徴とする付記16に記載の記録媒体。
【0116】
(付記18)記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の検査を行う検査プログラムであって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生手順と、
前記信号再生手順によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする検査プログラム。
【0117】
(付記19)前記判定手順によって、前記再生装置に不具合が存在すると判定させた場合に、前記設定値と、前記記録媒体から再生された信号とを基にして、前記再生装置に対する不具合の原因を判定する原因判定手順を更にコンピュータに実行させることを特徴とする付記18に記載の検査プログラム。
【0118】
(付記20)前記信号再生手順は、異なる前記設定値によって信号を記録した複数の記録媒体から再生信号を再生し、前記判定手順は、各記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする付記18または19に記載の検査プログラム。
【0119】
(付記21)前記信号再生手順は、前記複数の記録媒体のうち一部の記録媒体から信号を再生し、前記判定手順は、一部の記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする付記20に記載の検査プログラム。
【0120】
(付記22)前記記録媒体は、レーザ光による媒体の熱的な変化により、信号を記録する記録媒体であることを特徴とする付記18〜21のいずれか一つに記載の検査プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように、本発明にかかる再生装置製造方法、記録媒体および検査プログラムは、異なるドライブ装置によって情報を記録された記録媒体を再生する再生装置を製造する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】記録媒体に信号を記録する記録波形の一例を示す図である。
【図2】記録媒体上に形成されるマークを説明するための説明図である。
【図3】記録媒体に記録されたマークの再生波形の一例を示す図である。
【図4】熱蓄積を説明するための再生波形の一例を示す図である。
【図5】トラッキングサーボずれによる記録の概念図である。
【図6】フォーカスサーボずれによる記録の概念図である。
【図7】隣接トラックへの記録パワーオーバーを説明するための図である。
【図8】波形全体の形状をそのままにして全体のパワーを変化させた場合の変調度の変化を示す図である。
【図9】記録波形のパルス幅とシンメトリとの関係を示す図である。
【図10】記録波形のパルス幅と熱蓄積との関係を示す図である。
【図11】本実施例にかかる直交表の一例を示す図である。
【図12】本実施例にかかる検査システムの一例を示す図である。
【図13】検査装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図14】原因判定部が算出する寄与率の一例を示す図である。
【図15】本実施例にかかる検査装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】記録媒体に対するその他の信号記録例を示す図である。
【図17】図13に示した検査装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
10 再生装置
20 ジッタメータ
30 入力装置
31 モニタ
32 RAM
32a,37a 各種データ
33 ROM
34 媒体読取装置
35 ネットワークインターフェース
36 CPU
36a 各種プロセス
37 HDD
37b 各種プログラム
38 バス
100 検査装置
110 入力部
120 出力部
130 入出力制御IF部
140 通信制御IF部
150 記憶部
150a 直交表
160 制御部
160a 半径位置制御部
160b 直交表管理部
160c 不具合判定部
160d 原因判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の製造を行う再生装置製造方法であって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生工程と、
前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定工程と、
を含んだことを特徴とする再生装置製造方法。
【請求項2】
前記判定工程によって、前記再生装置に不具合が存在すると判定させた場合に、前記設定値と、前記記録媒体から再生された信号とを基にして、前記再生装置に対する不具合の原因を判定する原因判定工程を更に含んだことを特徴とする請求項1に記載の再生装置製造方法。
【請求項3】
前記信号再生工程は、異なる前記設定値によって信号を記録した複数の記録媒体から再生信号を再生し、前記判定工程は、各記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置製造方法。
【請求項4】
前記信号再生工程は、前記複数の記録媒体のうち一部の記録媒体から信号を再生し、前記判定工程は、一部の記録媒体から再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の再生装置製造方法。
【請求項5】
前記記録媒体に記録された信号の設定値は、直交表で示される水準に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の再生装置製造方法。
【請求項6】
前記記録媒体に記録された信号の設定値は、3水準系の直交表で示される水準に設定されており、前記信号再生工程は、前記3水準系の直交表に対応する3種類の設定値によって信号が記録された記録媒体の信号を再生し、前記判定工程は、前記信号再生工程によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定することを特徴とする請求項4に記載の再生装置製造方法。
【請求項7】
前記記録媒体は、異なる前記設定値による信号を複数のエリアに分割してそれぞれ記録し、前記再生工程は、各エリアに記録された信号を再生し、前記判定工程は、前記記録媒体の各エリアから再生される信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の再生装置製造方法。
【請求項8】
信号を記録する記録媒体であって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
前記設定値の異なる複数の信号を、複数のエリアに分割して記録することを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
【請求項10】
記録媒体に記録された信号を再生する再生装置の検査を行う検査プログラムであって、
信号再生時の再生信号の質の低下に影響を与える原因の大小を表す指標の再生信号の質を低下させる設定値によって信号を記録した記録媒体から当該信号を再生する信号再生手順と、
前記信号再生手順によって再生された信号に基づいて前記再生装置に不具合が存在するか否か判定する判定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−299471(P2007−299471A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126810(P2006−126810)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】