説明

再生装置

【課題】排出時のディスクの引っ掛かりを防止するとともに、ディスクの2枚挿入を確実に防止する再生装置を提供すること。
【解決手段】ディスク挿入口21は、このディスク挿入口21の略中央に形成された幅広の中央部21Aと、この中央部21Aの両側に形成された幅狭の両端部21Bとを備え、中央部21Aはディスク排出時にディスク50の引っ掛かりを防止可能な高さ寸法H1に形成されるとともに、両端部21Bはディスク50の2枚挿入を防止可能な高さ寸法H2に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク挿入口から挿入されたディスクを再生する再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)等のディスクをディスク挿入口に挿入し、このディスクを再生する、いわゆるスロットイン方式の再生装置が知られている。
この種の再生装置では、ディスク挿入口の上縁部及び下縁部をそれぞれ所定半径の円弧で形成し、ディスクを挿入もしくは排出させる場合、このディスクのエッジのみをディスク挿入口の下縁部と接触させることにより、このディスクの記録面への傷つきを防止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平09−82001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ディスク挿入口の上縁部及び下縁部を所定半径の円弧で形成した場合、このディスク挿入口の両端部の高さ寸法が大きくなり、ディスクの2枚挿入が可能となるといった問題がある。これに対し、上記両端部の高さ寸法を小さくしてディスク挿入口を形成すると、ディスクの2枚挿入は防止されるものの、上記ディスク挿入口の中央部の高さ寸法も小さくなるため、ディスクの排出時に、このディスクが当該ディスク挿入口に引っ掛かり、ディスクの排出性が悪化するといった問題がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、排出時のディスクの引っ掛かりを防止するとともに、ディスクの2枚挿入を確実に防止する再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、前面部にディスク挿入口を開口し、このディスク挿入口から挿入されたディスクを再生する再生装置において、前記ディスク挿入口は、このディスク挿入口の略中央に形成された幅広部と、この幅広部の両側に形成された幅狭部とを備え、前記幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されるとともに、前記幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されていることを特徴とする。本発明によれば、幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されているため、排出時のディスクの引っ掛かりが防止され、これに加え、幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されているため、幅広部の高さ寸法によらず複数枚重ねされたディスクが挿入されるのを確実に防止することができる。
【0006】
この場合において、前記幅広部と前記幅狭部との間に、これらの幅広部及び幅狭部の上縁及び下縁をそれぞれ接続する接続部を設け、この接続部の少なくとも下縁を湾曲形成した構成としても良い。この構成によれば、接続部の下縁に角部が形成されることがなく、ディスク挿入もしくは排出時にディスクの記録面が下縁に接触したとしても、当該記録面への傷つきを防止することができる。
【0007】
また、前記幅狭部の少なくとも下縁を前記接続部の下縁にかけて緩やかに傾斜させた構成としても良い。この構成によれば、ディスクを挿入もしくは排出する場合、ディスクのエッジのみが幅狭部の下縁に接触することにより、このディスクの記録面と当該下縁との摺擦が防止され、当該ディスクの記録面の傷つきを防止できる。
【0008】
また、本発明は、ディスクを再生する再生装置本体と、この再生装置本体の前面部に配置され、前記ディスクを前記再生装置本体に挿入するためのディスク挿入口が設けられた前面パネルとを備えた再生装置であって、前記ディスク挿入口は、このディスク挿入口の略中央に形成された幅広部と、この幅広部の両側に形成された幅狭部とを備え、前記幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されるとともに、前記幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されていることを特徴とする。本発明によれば、幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されているため、排出時のディスクの引っ掛かりが防止され、これに加え、幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されているため、幅広部の高さ寸法によらず複数枚重ねされたディスクが挿入されるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されているため、排出時のディスクの引っ掛かりが防止され、幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されているため、幅広部の高さ寸法によらず複数枚重ねされたディスクが挿入されるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1において、符号10は、車載用ディスク再生装置(再生装置)を示し、この車載用ディスク再生装置10は、CDやDVDなどのディスクの再生を行う再生装置本体11と、その前面部に配置された操作パネル(前面パネル)13とを備え、この操作パネル13の裏面には、ディスクを再生装置本体11に案内するディスクガイド15が固定されている。
再生装置本体11は、その前面に形成された横長の開口11aを備え、この開口11aを通じて再生装置本体11内にディスクを引き込むためのローディング機構、収容されたディスクを回転駆動させるドライブ機構、このドライブ機構により回転されたディスクから記録情報を読み出すピックアップ装置等(いずれも不図示)が内蔵されている。
【0011】
操作パネル13は、再生装置本体11に取り付けられ、その表面には各種選択スイッチが配置されるとともに、各種情報を表示する表示部16と、CDやDVDなどを挿入自在な挿入口17とが形成されている。
【0012】
ディスクガイド15は、操作パネル13の挿入口17を通じて挿入されたディスクを再生装置本体11の開口11aに案内するためのものである。ディスクガイド15は、基板部15Aを備え、この基板部15Aの略中央には、ディスクを案内する横長の開口(ディスク挿入口)21が形成されている。ディスクガイド15は、この開口21が操作パネル13の挿入口17に連通するように、基板部15Aに形成されたねじ孔15B(図2)を介して、当該操作パネル13の裏面に取り付けられている。本構成では、ディスクガイド15に形成された開口21の形状に特徴を有する。
【0013】
この開口21の横幅L1は、図2に示すように、ディスク50を容易に挿入できるように、このディスク50の横幅L2よりも若干大きな幅寸法に形成されている。また、この開口21は、ディスク排出時にディスクが最初に進入する領域である中央部(幅広部)21Aと、この中央部21Aの両側に設けられる両端部(幅狭部)21Bとを備える。中央部21Aと両端部21Bとは高さ寸法を変えて形成され、これら中央部21Aと両端部21Bとの間に、当該中央部21A及び両端部21Bを滑らかに接続する接続部21Cが形成されている。
中央部21Aは、この中央部21Aの高さ寸法H1が両端部21Bの高さ寸法H2よりも幅広に形成されており、この中央部21Aの高さ寸法H1は、ディスク排出時にディスクが中央部21Aの上縁部21A1もしくは下縁部21A2に引っ掛からない高さ寸法(本実施形態では、ディスク50の厚みH3の4倍程度)に設定されている。
また、中央部21の上縁部21A及び下縁部21Bは、それぞれ所定半径R1(本実施形態ではR1=681mm)の円弧状に形成されている。このため、中央部21Aは両端部21Bに向けて高さ寸法が徐々に低くなり、接続部21Cにおいて、中央部21Aと両端部21Bとの接続をスムーズに行うことができる。
【0014】
一方、両端部21Bでは、この両端部21Bの高さ寸法H2(本実施形態では両端部21Bの端部25の高さ寸法)は、ディスク50の2枚挿入を防止可能な高さ寸法(本実施形態ではディスク50の厚みH3の1.5倍程度)に形成されている。このため、両端部21Bによって、開口21の中央部21の高さ寸法によらず複数枚重ねされたディスクが挿入されるのを確実に防止される。
また、両端部21Bの上縁部21B1及び下縁部21B2は、それぞれ接続部21Cの上縁部21C1及び21C2にかけて緩やかに傾斜させて形成されている。このため、ディスクを挿入もしくは排出する場合、ディスクのエッジのみが両端部21Bの一方の縁部(例えば、下縁部21B2)の接触することにより、このディスクの記録面と当該下縁部21B2との摺擦が防止され、当該ディスクの記録面の傷つきを防止できる。
本構成では、上縁部21B1、下縁部21B2の傾斜角度は、端部25から所定距離L3(本実施形態では、開口幅L1の約1/10)だけ中央によった位置における高さ寸法H4が、ディスク2枚分の厚みと略同一となるような角度に設定されている。この構成では、両端部21Bの高さ寸法は、中央部21Aに近づくにつれて広がることとなる。しかし、この場合であっても、ディスク2枚分の厚みよりも高さ寸法の低い領域が、開口21の端部25から所定距離L3に亘って形成されているため、この開口21に複数枚(例えば2枚)重ねされたディスクが挿入されることが確実に防止される。
【0015】
また、接続部21Cは、上述したように、中央部21Aの上縁部21A1、下縁部21A2と、両端部21Bの上縁部21B1、21B2とをそれぞれ滑らかに接続するものである。この構成では、中央部21Aの上縁部21A1及び下縁部21A2が所定半径の円弧状に形成されるのに対して、両縁部21Bの上縁部21B1及び下縁部21B2は、中央部21Aに向かって緩やかに傾斜した構成となっている。このため、中央部21Aの上縁部21A1、下縁部21A2と、両端部21Bの上縁部21B1、下縁部21B2とをそれぞれ単に接続した場合には、この接続部分にエッジ(角部)が形成されてしまう。
これに対して、本構成では、中央部21Aと両端部21Bとの間に配置される接続部21Cは、この接続部21Cの上縁部21C1及び下縁部21C2をそれぞれ湾曲させて形成している。このため、この接続部21Cを介して中央部21Aと両端部21Bとを接続することにより、これら中央部21Aと両端部21Bとを滑らかに接続することができ、開口21の下縁部(21A2、21B2、21C2)に角部が形成されることがない。従って、ディスク挿入もしくは排出時にディスクの記録面が開口21の下縁部に接触したとしても湾曲形状によりディスクの傷つきを防止することができる。
【0016】
図3は、両端部21Bにおけるディスクガイド15と操作パネル13との断面図である。図3に示すように、ディスクガイド15は、基板15Aから奥行き方向(図中X方向)に延出するガイド部15Cを備え、このガイド部15Cは、基板部15A側(すなわち操作パネル13側)が肉厚に形成された肉厚部30を備える。また、基板部15Aには、この基板部15Aの上縁及び下縁から奥行き方向に延出する補強リブ31が形成されている。この構成によれば、両端部21Bにおけるディスク入口側が補強されているため、この両端部21に複数枚のディスクを重ねて挿入しようとした場合でも、当該両端部21Bの変形が防止され、ディスクの複数枚挿入が確実に防止される。
また、本構成によれば、ディスクガイド15は、このディスクガイド15の基板部15Aに形成された開口21の両端部21Bの高さ寸法を低く抑えるとともに、当該基板部15Aから奥行き方向に延出するガイド部15Cを備えるため、ディスクの挿入角度を規制することができ、再生装置本体11への乗り上げ及び挿入時の引っ掛かりを同時に防止することができる。
【0017】
本実施形態によれば、ディスク50を再生する再生装置本体11と、この再生装置本体11の前面部に配置され、ディスク50を再生装置本体11に挿入するための挿入口17が設けられた操作パネル13と、これら操作パネル13と再生装置本体11との間に配置され、上記挿入口17から挿入されたディスク50を再生装置本体11に案内するための開口21が設けられたディスクガイド15とを備え、この開口21は、この開口21の略中央に形成された中央部21Aと、この中央部21Aの両側に形成された両端部21Bとを備え、中央部21Aはディスク排出時にディスク50の引っ掛かりを防止可能な高さ寸法H1に形成されるとともに、両端部21Bはディスク50の2枚挿入を防止可能な高さ寸法H2に形成されているため、排出時のディスク50の引っ掛かりが防止されるとともに、この中央部21Aの高さ寸法によらず複数枚重ねされたディスク50が挿入されるのを確実に防止できる。
【0018】
また、本実施形態によれば、両端部21Bと中央部21Aとの間に、これら中央部21Aの上縁部21A1、下縁部21A2と、両端部21Bの上縁部21B1、21B2とをそれぞれ接続する接続部21Cを設け、この接続部21Cの少なくとも下縁21C2を湾曲形成したため、この接続部21を介して中央部21Aと両端部21Bとを滑らかに接続することができ、開口21の下縁部に角部が形成されることがない。従って、ディスク挿入もしくは排出時にディスクの記録面が開口21の下縁部に接触したとしても湾曲形状によりディスクの傷つきを防止することができる。
【0019】
また、本実施形態では、両端部21Bの上縁部21B1及び下縁部21B2を接続部21Cの上縁部21C1及び下縁部21C2にかけて緩やかに傾斜させたため、ディスクを挿入もしくは排出する場合、ディスクのエッジのみが両端部21Bの下縁部21B2に接触することにより、このディスクの記録面と当該下縁部21B2との摺擦が防止され、当該ディスクの記録面の傷つきを防止できる。
【0020】
以上、本実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、操作パネル13とディスクガイド15とを別個の部材として形成し、これらを組み合わせる構成としたが、これらを一体に形成する構成としても良い。
また、本実施形態では、開口21の中央部21Aの上縁部21A1及び下縁部21A2をそれぞれ所定の第1半径R1で形成しているが、これに限るものではなく、この上縁部及び下縁部をそれぞれ所定の傾斜角度で両端部に向けて高さ寸法を狭めるような構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】ディスクガイドを示す正面図である。
【図3】両端部におけるディスクガイドと操作パネルとの断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 車載用ディスク再生装置(再生装置)
11 再生装置本体
13 操作パネル(前面パネル)
15 ディスクガイド
21 開口(ディスク挿入口)
21A 中央部(幅広部)
21A1、21B1、21C1 上縁部
21A2、21B2、21C2 下縁部
21B 両端部(幅狭部)
21C 接続部
50 ディスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部にディスク挿入口を開口し、このディスク挿入口から挿入されたディスクを再生する再生装置において、
前記ディスク挿入口は、このディスク挿入口の略中央に形成された幅広部と、この幅広部の両側に形成された幅狭部とを備え、
前記幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されるとともに、前記幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されていることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記幅広部と前記幅狭部との間に、これらの幅広部及び幅狭部の上縁及び下縁をそれぞれ接続する接続部を設け、この接続部の少なくとも下縁を湾曲形成したことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記幅狭部の少なくとも下縁を前記接続部の下縁にかけて緩やかに傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
ディスクを再生する再生装置本体と、この再生装置本体の前面部に配置され、前記ディスクを前記再生装置本体に挿入するためのディスク挿入口が設けられた前面パネルとを備えた再生装置であって、
前記ディスク挿入口は、このディスク挿入口の略中央に形成された幅広部と、この幅広部の両側に形成された幅狭部とを備え、
前記幅広部はディスク排出時にディスクの引っ掛かりを防止可能な高さ寸法に形成されるとともに、前記幅狭部はディスクの2枚挿入を防止可能な高さ寸法に形成されていることを特徴とする再生装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate