説明

再生骨材の製造方法と再生骨材製造装置

【課題】コンクリート塊から、モルタルの付着が極めて少なく、しかも表面が滑らかで粒径の揃った高品質な再生骨材を得る。
【解決手段】下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32内に、容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、側面31に沿って回転する外側攪拌羽35の二種の攪拌羽33・35を回転自在に設けておく。そして、コンクリート塊B、あるいは一次擦り揉み処理を経た再生骨材Cなどの被処理物B・Cを容器本体32内に投入したうえで、内側攪拌羽33と外側攪拌羽35とを互いに逆回転方向に回転させることにより、被処理物B・Cに対して擦り揉み処理を施して、該被処理物B・Cに含まれる骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、モルタル分2の付着の少ない再生骨材C′を産生するバッチ式の擦り揉み工程(S5)を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築廃棄物などから出たコンクリート廃材から再生骨材を再生する、再生骨材の製造方法、および再生骨材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、処分場の不足、環境保全、資源の有効利用などの観点から、コンクリート廃材の再利用が強く求められており、これを破砕して骨材を取り出し、構造体コンクリートに再利用する検討が種々なされている。従来公知のコンクリート廃材の再生処理方法は、ジョークラッシャーやインペラークラッシャーなどで粗破砕して、所定の大きさのコンクリート塊とする工程と、コンクリート塊どうしを衝突させて、骨材の表面に付着のモルタル分を除去する擦り揉み工程と、振動ふるいや風ふるい等によって、骨材成分とモルタル分とに分離する篩い分け工程などの組み合わせで行われる。
【0003】
上記のような再生処理方法において、最も重要な工程は擦り揉み工程であり、例えば特許文献1には、上下に開口を有する垂直円筒体と、該円筒体内で偏心回転自在に設けられたローターとを備える偏心ローター装置を用いて、骨材の表面に付着のモルタル分を除去する装置が記載されている。特許文献2では、偏心ローター装置内へ、コンクリート廃材と共に鉄球を投入することにより、コンクリート塊に作用する圧搾力を増大せしめて、擦り揉み効果の向上を図っている。また、同種の偏心ローター装置は、特許文献3などにも見受けられる。
【0004】
【特許文献1】特開平6−30755号公報(図1)
【特許文献2】特開2001−239250号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−210380号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載の再生骨材製造装置は、所謂先入れ・先出し方式であり、垂直円筒体の上端開口部から投入されたコンクリート塊は、自重で円筒体内を落下し、下端開口部から排出される。つまり、当該装置によれば、先入れ・先出し方式で連続的に擦り揉み処理を行うことができるため、短時間に多量のコンクリート塊の処理が可能であり、生産性に優れる点で有用なものではある。
【0006】
上記装置の問題は、モルタル分の除去が不十分となりやすく、得られた再生骨材の品質が低下しやすいことにある。つまり、円筒体内とローターとの間を自重で落下するコンクリート塊に対して擦り揉み処理を行うため、処理時間の調整が不可能であり、投入されるコンクリート塊の大きさ(粒径)やコンクリートの種別の違いに対応できず、モルタル分の除去が不完全となりやすい。かかる問題は、特に高強度コンクリートから再生骨材を製造する際に顕著となる。これは、第1に高強度コンクリートはモルタル分が多いこと、第2に高強度コンクリートのモルタルは、骨材以上に強度が強いため、比較的脆弱なモルタルを外部エネルギーを加えて剥ぎ取ろうとしても、骨材を抱き込んだモルタルは骨材ごと破壊されやすいこと、第3に砕石骨材は表面積が大きく、骨材とモルタルの付着が強固であるため、上記のような装置ではモルタルと骨材との間で破壊できず、結果的に骨材を破壊してしまい、出来上がった再生骨材が元のコンクリート塊に含まれる原骨材より小さくなってしまうなどの理由による。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、コンクリート塊から、モルタルの付着の少なく、しかも表面が滑らかで粒径の揃った高品質な再生骨材を得ることができる、再生骨材の製造方法、および再生骨材製造装置を提供することにある。本発明の目的は、従来の偏心ローター装置に比べて構造が簡素で安価に製造できる再生骨材製造装置、およびそれを用いた再生骨材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図6に示すごとく、下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32内に、該容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、前記側面31に沿って回転する外側攪拌羽35の二種の攪拌羽33・35を回転自在に設けておき、コンクリート塊B、あるいは一次擦り揉み処理を経た再生骨材Cなどの被処理物B・Cを容器本体32内に投入したうえで、前記内側攪拌羽33と外側攪拌羽35とを互いに逆回転方向に回転させることにより、被処理物B・Cに対して擦り揉み処理を施して、該被処理物B・Cに含まれる骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、モルタル分2の付着の少ない再生骨材C′を産生するバッチ式の擦り揉み工程(S5)を含むことを特徴とする再生骨材の製造方法である。なお、本請求項1において、生骨材Cを得るための「一次擦り揉み処理」の処理方法は、実施形態に挙げるバッチ式の方法に限られず、従来の先入れ先出し方式の連続式の擦り揉み処理であってもよく、その処理方法は問わない。また、本請求項1において、コンクリート塊Bを得るための粉砕方法は、ジョークラッシャーやインペラークラッシャーなどの各種の粗破砕方法を挙げることができ、その処理方法は問わない。
【0009】
骨材1の表面から剥がれ落ちたモルタル分2である微粉末の除去処理を行いながら、前記擦り揉み処理を行うことが好ましい。具体的な除去処理方法としては、図7に示すごとく容器本体32の底面42に多数個の孔43を設けて、該孔43からモルタル分2を排出する方法のほか、ブロアーで容器本体32内に空気を送り込み、発生する塵を集塵機で集める方法を挙げることができる。孔43は、図示例のように容器本体32の底面42だけでなく、側面31の下端部に設けることができる。さらに、擦り揉み処理の最終段階で、容器本体32内に水を加えることにより、骨材1から剥がれ落ちたモルタル分2を除去する方法を採ってもよい。すなわち、ここで言うところの「微粉末の除去処理を行いながら、前記擦り揉み処理を行う」とは、攪拌羽33・35を回転駆動させながら、集塵機等でモルタル分2である微粉末を除去するものに限られず、攪拌羽33・35の回転駆動を止めた状態で、容器本体32内に水を加えて、モルタル分2である微粉末を除去する方法をも含む概念である。
【0010】
また、本発明は、図1および図2に示すごとく、コンクリート廃材Aを、それに含まれる骨材1の最大外径寸法と略同寸法サイズのコンクリート塊Bに破砕処理する破砕工程(S1・S2)と、有底円筒形の容器本体11内に、複数個の突起物16を有する円筒形の回転体12を該容器本体11と同心位置に回転自在に設けておき、該回転体12と容器本体11との間隙に所定量のコンクリート塊Bを投入したうえで、所定時間回転体12を回転させることにより、コンクリート塊Bに対して擦り揉み処理を施して、骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として再生骨材Cを産生するバッチ方式の一次擦り揉み工程(S4:図3ないし図5参照)と、下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32内に、該容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、前記側面31に沿って回転する外側攪拌羽35の二種の攪拌羽33・35を回転自在に設けておき、前記一次擦り揉み工程を経た再生骨材Cを容器本体内に投入したうえで、前記内側攪拌羽33と外側攪拌羽35とを互いに逆回転方向に回転させることにより、再生骨材Cに対して二次擦り揉み処理を施して、骨材1の表面に付着のモルタル分2をさらにこそぎ落として、モルタル分2の付着のより少ない再生骨材C′を産生するバッチ式の二次擦り揉み工程(S5:図6および図7参照)とを含むことを特徴とする再生骨材の製造方法である。
【0011】
一次擦り揉み工程(S4)および二次擦り揉み工程(S5)において、骨材1の表面から剥がれ落ちたモルタル分2である微粉末の除去処理を行いながら、擦り揉み処理を行うようにすることが好ましい。具体的な除去処理方法としては、図5および図7に示すごとく容器本体11・32の底面に網20や孔43を設けて、これら20・43からモルタル分2を排出する方法のほか、ブロアーで容器本体11・32内に空気を送り込み、発生する塵を集塵機で集める方法を挙げることができる。孔43は、図示例のように容器本体32の底面42だけでなく、側面31の下端部に設けることができる。さらに、擦り揉み処理の最終段階で、容器本体11・32内に水を加えることにより、骨材1から剥がれ落ちたモルタル分2を除去する方法を採ってもよい。すなわち、ここで言うところの「微粉末の除去処理を行いながら、前記擦り揉み処理を行う」とは、回転体12や攪拌羽33・35を回転駆動させながら、集塵機等でモルタル分2である微粉末を除去するものに限られず、回転体12や攪拌羽33・35の回転駆動を止めた状態で、容器本体11・32内に水を加えて、モルタル分2である微粉末を除去する方法をも含む概念である。
【0012】
また、本発明は、図6および図7に示すごとく、被処理物であるコンクリート塊B、あるいは一次擦り揉み処理を経た再生骨材Cから、モルタル分の付着の少ない高品質な再生骨材C′を産生するに際して、該被処理物B・Cに含まれる骨材1の表面に付着のモルタル分2を除去するための擦り揉み処理を担う再生骨材製造装置30(以下、適宜に装置30と記す)を対象とする。この再生骨材製造装置30は、下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32と、該容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、前記側面31に沿って回転する外側攪拌羽35とを備える。そして、被処理物B・Cを容器本体32内に投入したうえで、前記内側攪拌羽33と外側攪拌羽35とを逆回転方向に回転させることにより、被処理物B・Cに対して擦り揉み処理を施して、被処理物B・Cに含まれる骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、モルタル分2の付着の少ない再生骨材C′を産生するバッチ式の擦り揉み処理を行うことができるようにしてあることを特徴とする。なお、本請求項5において、生骨材Cを得るための「一次擦り揉み処理」の処理方法は、実施形態に挙げるバッチ式の方法に限られず、従来の先入れ先出し方式の連続式の擦り揉み処理であってもよく、その処理方法は問わない。また、本請求項1において、コンクリート塊Bを得るための粉砕方法は、ジョークラッシャーやインペラークラッシャーなどの各種の粗破砕方法を挙げることができ、その処理方法は問わない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明に係る再生骨材の製造方法においては、従来の先入れ先出し方式の偏心ローター装置を用いた連続式の擦り揉み処理に代えて、図6に示すような下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32と、互いに逆回転方向に回転する内側攪拌羽33と外側攪拌羽35の二種の攪拌羽とを有する再生骨材製造装置30を用いたバッチ方式の擦り揉み処理により、骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、図2に示すごとくコンクリート塊B(図2(b))から再生骨材C′(図2(d))を、または一次擦り揉み処理後の再生骨材C(図2(c))から、よりモルタル分2の付着の少ない再生骨材C′(図2(d))を産生するようにした。
【0014】
これによれば、容器本体32内に投入された全ての被処理物B・Cに対して、均一条件で精度良く擦り揉み処理を施すことができるので、モルタル分2の除去具体や粒径、粒形状にバラつきは生じることは少なく、被処理物B・Cに対して確実な擦り揉み処理を行うことができ、これにて表面が滑らかで丸みがあり、しかも均一な粒形状を有するとともに、モルタル分2の付着の極めて少ない高品質な再生骨材C′を確実に得ることができる。換言すれば、良好な吸水率値、粗粒率値、実績率値を備える高品質な再生骨材C′を確実に得ることができる。
【0015】
すなわち、従来の連続式の擦り揉み処理では、短時間で多量のコンクリート塊Bを処理できるものの、処理時間が数秒〜数十秒程度と極めて短く、しかも投入されたコンクリート塊Bどうしの衝突具合を制御することは実質的に不可能であるため、モルタル分2の除去具合や粒径、粒形状にバラつきが生じることが避けられず、最終的に得られた再生骨材は品質の低いものとならざるを得ない。これに対して本発明のごとくバッチ方式で擦り揉み処理を行うようにしてあると、容器本体11内に投入された全ての被処理物B・Cに対して、均一条件で精度良く擦り揉み処理を施すことができるので、モルタル分2の除去具体や粒径、粒形状にバラつきは生じ難い。何よりも、従来の処理方法よりも、迅速且つ確実に、図2(d)に示すようなモルタル分2の付着の少ない高品質な再生骨材C′を産生できる点で優れている。
【0016】
加えて、バッチ方式の擦り揉み処理によれば、多種の骨材がミックスされることに由来するアルカリ反応性骨材のペシマム現象の発生を良く抑えることができる。ここでペシマム現象とは、単一の骨材では無害であったとしても、複数種の骨材が混じると無害でなくなることを意味する。本発明に係る再生骨材の製造方法ではバッチ方式で擦り揉み処理を行うため、意図的に異なる種類の原コンクリートを一つのバッチとして、バッチ毎にアルカリ骨材反応性試験を行うことで、混合された骨材の無害性を容易に確認できる。これは、雑多な原コンクリートを処理するリサイクル骨材プラントにとっては、極めて有用な効果であり、しかも再生骨材を利用したコンクリート建造物の耐久性向上に大いに貢献し得るものである。また、従来の連続方式の擦り揉み処理では実現不可能な効果でもある。
【0017】
得られた再生骨材C′は、その表面が滑らかなため、骨材サイロのゲートで詰ることがない。したがって意図的にゲートを大きくする必要がなく、通常の生コンクリートプラントで製造できる。再生骨材C′どうしの滑りがよいため、単位水量が削減でき、施工性もよい。施工表面もバージン品と同等のものが得られる。本発明に係る製造方法は、乾式の製造方法であり、したがって湿式のような水処理が不要で、汚泥の処理費用も掛からず、格段のコスト削減が可能である点でも有利である。
【0018】
請求項2記載の本発明のように、骨材1の表面から剥がれ落ちたモルタル分2である微粉末の除去処理を行いながら、擦り揉み処理を行うようにしてあると、剥がれ落ちたモルタル分2が被対象物B・Cどうしの間に介在することによって、擦り揉み処理精度が低下することを良く防ぐことができる。つまり、剥がれ落ちたモルタル分2が、被処理物B・Cどうしの間でクッション材のように作用し、その結果、該被処理物B・Cに加わる摩擦接触力が低下することを良く防ぐことができる。
【0019】
また、本発明は、図3ないし図5に示すような一次擦り揉み装置10(以下、適宜に装置10と記す)を用いて、コンクリート塊Bに対して一次擦り揉み処理を施したうえで、当該処理を経た再生骨材C(図2(c)参照)に対して、さらに図6および図7に示すような装置30を用いて二次擦り揉み処理を施す形態を採ることができる(請求項3)。すなわち、最終的な擦り揉み処理(二次擦り揉み)を、図6および図7に示すような本発明に係る再生骨材製造装置30を用いて実施するものとし、当該二次擦り揉み処理に先立つ一次擦り揉み処理は、図3ないし図5に示すような一次擦り揉み装置10を用いて実施するものとすることができる。このように、二種の装置10・30を用いた二つのバッチ方式の擦り揉み処理を組み合わせてあると、全ての擦り揉み処理を図6に示す再生骨材製造装置30を用いて実施する場合や、全ての擦り揉み処理を図3ないし図5に示す装置10を用いて実施する場合に比べて、格段に作業効率良く、高品質な再生骨材C′が得られる利点がある。
【0020】
つまり、図6に示す再生骨材製造装置30は、モルタル分2の除去を確実に行うことができるものの、全体的な処理スピードは図3ないし図5に示す装置10に比べて若干劣る。すなわち、図6に示す再生骨材製造装置30は、基本的に側面に沿って被処理物を転がり落として、被処理物どうしを勢い良く衝突させることにより、モルタル分2をこそぎ落とす方式であるため、骨材1の表面だけでなく、その表面凹部に侵入したモルタル分2をも掻き出し除去できるものの、「破砕」という概念は少なく、したがって、とくにコンクリート塊Bから再生骨材Cへの移行をスムーズに進めることが困難である。一方、図3ないし図5に示す装置10を用いれば、「破砕」のメカニズムによりコンクリート塊Bから再生骨材Cへは比較的スムーズに進めることができるものの、当該装置10では、骨材1の表面凹部に侵入したモルタル分2を掻き出すことが容易でなく、換言すれば、再生骨材Cから再生骨材C′への移行がスムーズにいかない点に不利がある。
【0021】
そこで、本発明のように、装置10により一次擦り揉みを実施して、コンクリート塊Bを再生骨材Cの状態としたうえで、装置30により該再生骨材Cに対して二次擦り揉みを実施するようにしてあると、全ての擦り揉み処理をいずれか一方の装置10・30のみで実施する場合に比べて、格段に作業効率良く、コンクリート塊Bから再生骨材C′への擦り揉み処理を実施して、モルタル分の付着の少ない高品質な再生骨材C′を得ることができる。一例を挙げると、装置10のみで、コンクリート塊Bから再生骨材C′を産生するためには、1時間以上の処理時間が必要であるが、図6に示す装置30を用いれば、30分程、装置10で処理したのちに、5分程、装置30で処理すれば、高品質な再生骨材C′を得ることが可能である。
【0022】
2種のバッチ方式の擦り揉み処理を組み合わせる形態であるため、上述と同様に、多種の骨材がミックスされることに由来するアルカリ反応性骨材のペシマム現象の発生を良く抑えることができる点でも優れている。
【0023】
加えて、装置10による一次擦り揉み処理(S4)と、装置30による二次擦り揉み処理(S5)との組み合わせて、コンクリート塊Bに対する擦り揉み処理を行うようにしてあると、全ての擦り揉み処理を再生骨材製造装置30を用いて実施する形態では不可避となる、側面31や内攪拌羽33が磨耗することに起因するメンテナンス費用の増加を抑えることができる。つまり、装置30内にコンクリート塊Bを直接的に投入すると、側面31等が磨耗しやすく、頻繁なメンテナンスが必要となるが、請求項3記載の本発明のように、予め装置10を用いて一次擦り揉み処理(S4)を行って再生骨材Cを産生したうえで、該再生骨材Cに対して装置30を用いた二次擦り揉み処理を行うようにしてあると、側面31等の磨耗を効果的に抑えることができ、したがって頻繁にメンテナンスを行う必要は生じない。このことは再生骨材C′の製造コストの低減化に資する。
【0024】
請求項4記載の本発明のように、骨材1の表面から剥がれ落ちたモルタル分2である微粉末の除去処理を行いながら、一次および二次の擦り揉み処理を行うようにしてあると、剥がれ落ちたモルタル分2がコンクリート塊B、あるいは再生骨材Cどうしの間に介在することによって、擦り揉み処理精度が低下することを良く防ぐことができる。つまり、剥がれ落ちたモルタル分2が、コンクリート塊Bあるいは再生骨材Cなどの被処理物どうしの間でクッション材のように作用し、その結果、被処理物B・Cに加わる摩擦接触力が低下することを良く防ぐことができる。
【0025】
請求項5記載の本発明に係る再生骨材製造装置10では、図6に示すごとく、下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32と、該容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、側面31に沿って回転する外側攪拌羽35とを備えるものとした。この再生骨材製造装置30は、従来例の偏心ローター装置に比べて構造が簡単で部品点数が少なくて済み、さらにコンパクトな全体構造にできる。したがって安価にして、中小量のコンクリート塊を処理するのに適している。
【0026】
容器本体32内に投入された被対象物B・Cは、螺旋状の内側攪拌羽33により、攪拌されながら上方に持ち上げられたのち、さらに外側攪拌羽35で攪拌されながら、側面31に沿って転がり落ちる。かかる側面31に沿って下方に転がり落ちる際に、被対象物B・Cどうしが衝突して、骨材1の表面に付着のモルタル分2がこそぎ落とされ、被対象物B・Cから、モルタル分2の付着の少ない高品質な再生骨材C′を得ることができる。当該装置30を用いれば、骨材1の表面凹部に付着しているモルタル分2も効果的に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に、本発明に係る再生骨材の製造方法を、図2に各工程後のコンクリートの状態を示す。かかる再生骨材の製造方法は、コンクリート廃材を破砕する破砕工程、骨材表面に付着のモルタル分をこそぎ取る擦り揉み工程、骨材とモルタル分とを分離する篩い分け処理とに大別できる。
【0028】
破砕工程は、一次破砕工程(S1)と二次破砕工程(S2)とからなる。一次破砕工程(S1)においては、ジョークラッシャー等を用いて、建築廃棄物などから出たコンクリート廃材を、該コンクリート廃材に含まれる骨材1の最大外形寸法の1.5倍程度の粒径寸法に破砕する(図2(a)参照)。このとき骨材1は、その表面が多量のモルタル分2で覆われた状態となっている。二次破砕工程(S2)においては、インペラークラッシャー等を用いて、一次破砕工程を経たコンクリート廃材Aを、骨材1の最大外形寸法と略同寸法サイズのコンクリート塊Bに破砕する(図2(b)参照)。破砕後のコンクリート塊Bを振動篩いにかけて(S3)、篩い上に残ったコンクリート塊Bを以後の一次擦り揉み工程(S4)に送る。ここでは、5mmのスリットを有する振動篩いを用いて、篩い分け処理を行った。尤も、篩い上に残ったコンクリート塊Bのうち、著しく粒径寸法の大きなものは再度二次破砕工程(S2)に戻した。
【0029】
一次擦り揉み工程(S4)では、図3ないし図5に示すような一次擦り揉み装置10を用いて、コンクリート塊Bに対して、所定時間、バッチ方式で擦り揉み処理を施した。ここでバッチ方式とは、非連続的、すなわち間欠式に処理する方式を意味する。かかるバッチ方式の一次擦り揉み工程(S4)により、図2(c)に示すごとく、骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、コンクリート塊Bから再生骨材Cを製造した。
【0030】
この一次擦り揉み装置10は、生コンクリートを混練するためのパン型ミキサーを改造してなるものであって、有底円筒形の容器本体11と、該容器本体11内で回転自在に支持された円柱形の回転体12とを備える。回転体12の主軸13には、モータ15が連結されており、回転体12は、その回転中心が容器本体11の円中心と一致した姿勢で、垂直姿勢で回転自在に支持されている。回転体12の好適な回転速度は、30〜50rpmである。
【0031】
図5において符号16は、回転体12の外周面に溶接固定された突起物を示す。突起物16は、回転体12の上下の長さ寸法と略同一の長さ寸法を有する上下方向に長いU字状の半筒体であり、その円弧面を外方向に向けた姿勢で回転体12の外周面に突出状に溶接固定されている。本発明における回転体12に溶接固定される突起物16の好適な個数は2〜8個であり、図示例には、回転体12の円筒の対向壁面位置に、一対の突起物16・16を設けた例を示す。
【0032】
突起物16の外周面と容器本体11の内壁面との対向間隙寸法、より詳しくは突起物16の円弧面の頂点部と容器本体11の内壁面との対向間隙寸法tは、投入されるコンクリート塊Bに含まれる骨材1の最大外径寸法の1.25倍以上、3.0倍以下に設定する。例えば、コンクリート塊Bに含まれる骨材1の最大外形寸法が20mm程度である場合には、対向間隔寸法tの好適な数値範囲は、25〜60mmである。
【0033】
各突起物16の外周面には、二本の滑り止め用の鉄筋(線状体)17が溶接固定されている。鉄筋17の上下の長さ寸法は、突起物16のそれと略同一である。鉄筋17・17は、突起物16の円弧面の頂点部を避けて溶接固定されている。
【0034】
図4および図5において、符号19は回転体3の外周面に溶接固定された、一対の攪拌体を示す。各攪拌体19は、回転体3の回転方向(図5の矢印方向)に向かって下り傾斜するような螺旋状を呈しており、回転体3の回転時にコンクリート塊Bを下方から上方に向かって掻き揚げる。これにて、コンクリート塊Bが容器本体11内の一箇所に留まることを防いで、投入されたコンクリート塊Bの全体に対して均一に擦り揉み処理を施すことができるので、バッチ内において品質にばらつきが生じることを抑えて、高品質な再生骨材Cを確実に得ることができる。
【0035】
加えて本実施形態に係る一次擦り揉み装置10では、容器本体11の底面に直径5mm程度の孔を有する網20を張って、コンクリート塊Bから出たモルタル分2(骨材1の表面から剥がれ落ちたモルタル分2)を、網20を介して容器本体11から排出するようにしている。これにより、コンクリート塊Bどうしの間に剥がれ落ちたモルタル分2が入り、該モルタル分2が、いわばクッション材のように作用することを防ぐことができるので、コンクリート塊Bに作用する摩擦接触力の低下を防いで、擦り揉み処理精度の向上を図ることができる。
【0036】
以上のような一次擦り揉み装置10を用いて、30分程度、バッチ方式の一次擦り揉み処理(S4)を行うことにより、図2(c)に示すごとく、骨材1の表面に付着のモルタル分2をこそぎ落として、コンクリート塊Bから丸みのある再生骨材Cを製造することができる。
【0037】
かかる再生骨材Cは、コンクリート塊Bに比べるとモルタル分2は良好に除去されているものの、吸水率等を勘案すると、さらにモルタル分2を除去することが、製品の高品質化を求めるうえでは好ましい。尤も、かかる一次擦り揉み装置10を使って、一時間以上の長時間、擦り揉み処理を施せば、さらにモルタル分2の付着の少ない高品質な再生骨材C′を得られるが、その場合には、作業効率が低下することが避けられず、生産性良く高品質な再生骨材C′を得ることが困難となる。そこで、本実施形態においては、図6および図7に示すような再生骨材製造装置30を用いて、二次擦り揉み処理を実施することにより、先の不具合を解消している。
【0038】
すなわち、かかる再生骨材製造装置30は、いわば二次擦り揉み装置とも言えるものであって、下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面31を有する有底円筒形の容器本体32と、容器本体32の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽33と、前記側面に沿って回転する二枚の外側攪拌羽35とを備える。内側攪拌羽33の上端部の高さ位置は、側面31の高さ位置よりも高く設定されており、容器本体32内に投入された再生骨材Cは、該内側攪拌羽33によって上方に持ち上げられたのち、外側攪拌羽35で攪拌されながら側面31に沿って落下するようになっている。かかる落下時に、再生骨材Cどうしが衝突を繰り返すことにより、骨材1の表面に付着のモルタル分2が剥がれ落とされる。骨材1の表面凹部内に付着のモルタル分2も効果的に剥がし落とすことができる。
【0039】
容器本体32の中心部には、内側攪拌羽33を回転させる第1回転軸36と、アーム39を介して外側攪拌羽35を回転させる第2回転軸37とが同心位置に配置されている。ここでは、第2回転軸37を中空状として、その内部に第1回転軸36を貫通状に配設した。これら第1および第2回転軸36・37は、不図示のモータの駆動力を、伝動系を介して受けて回転する。かかる伝動系は、モータの駆動力を受ける減速機構と、該減速機構の出力軸に装着された原動プーリーと、第1および第2回転軸36・37の上方に装着された従動プーリー40・40と、これら原動・従動プーリーに巻き掛けられる無端ベルト41・41などで構成する。
【0040】
第1回転軸36の回転速度は、第2回転軸37の回転速度よりも速いものとされており、したがって、内側攪拌羽33は、外側攪拌羽35よりも高速で回転する。螺旋状の内側攪拌羽33は、容器本体32内に投入された再生骨材Cの流れを上方および外側に推進する方向に回転するように設定されている。外側攪拌羽35は、側面31の内周面に沿って、内側攪拌羽33とは逆方向に回転するものであり、この回転によって容器本体32内に投入された再生骨材Cの流れが中心側および下方に向かうようになっている。なお、図6の矢印は、無端ベルト41・41の回転方向を示している。
【0041】
再生骨材Cの容器本体32内への投入は、該容器本体32の上部に設けられた不図示の投入口から行われる。図7に示すごとく、容器本体32の底面42には、直径6mm程度の孔43を多数個設けて、再生骨材Cから剥がれ落ちたモルタル分2は、該孔43を介して容器本体32から排出できるようにしてある。これにて、再生骨材Cどうしの衝突によって剥がれ落ちたモルタル分2が、いわばクッション材にように作用することが防ぐことができるので、擦り揉み処理制度の低下を確実に防ぐことができる。また、図7に示すごとく、容器本体32の側面31には、多数本の溝45を刻設してある。つまり、容器本体32の側面31には、すり鉢のように多数本の溝45を設けてある。このように溝45を設けてあると、骨材1からのモルタル分2のこそぎ落としを、確実にしかも作業効率良く実施できる。
【0042】
以上のような再生骨材製造装置30を用いて、5分程度、バッチ方式の二次擦り揉み処理(S5)を行うことにより、図2(d)に示すごとく、骨材1の表面に付着のモルタル分2をさらにこそぎ落として、図2(c)の再生骨材Cよりもさらに高品質な再生骨材C′を製造することができる。最後に、再生骨材C′を、5mmのスリットを有する振動篩にかけて(S6)、5mmオーバーの粒子を、最終的な再生粗骨材製品とした。
【0043】
上記実施形態においては、図3ないし図5に示すような一次擦り揉み装置10を用いて、コンクリート塊Bから再生骨材Cを得る一次擦り揉み処理を行ったのち、再生骨材製造装置30を用いて、再生骨材Cからよりモルタル分2の付着の少ない再生骨材C′を産生するようにしていたが、直接的に再生骨材製造装置30内にコンクリート塊Bを投入して、再生骨材C′を産生するようにしてもよい。すなわち、図1における(S4)工程を省略してもよい。この場合には、約20分程度の処理で、コンクリート塊Bから再生骨材C′を産生できることを、本発明者等は確認している。尤も、このような処理形態を採った場合には、側面31等が磨耗しやすくなるために、装置30のメンテナンス費用が多大となることは、先に述べた通りである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る再生骨材の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】(a)は一次破砕後のコンクリート廃材、(b)は二次破砕後のコンクリート塊、(c)は一次擦り揉み処理後の再生骨材、(d)は二次擦り揉み処理後の再生骨材の状態を示す。
【図3】一次擦り揉み装置の縦断側面図である。
【図4】一次擦り揉み装置の平面図である。
【図5】一次擦り揉み装置の要部の縦断側面図である。
【図6】本発明に係る再生骨材製造装置の縦断側面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 骨材
2 モルタル分
30 再生骨材製造装置
31 側面
32 容器本体
33 内側攪拌羽
35 外側攪拌羽
A 一次破砕後のコンクリート廃材
B 二次破砕後のコンクリート塊
C 一次擦り揉み処理後の再生骨材
C′ 二次擦り揉み処理後の再生骨材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面(31)を有する有底円筒形の容器本体(32)内に、該容器本体(32)の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽(33)と、前記側面(31)に沿って回転する外側攪拌羽(35)の二種の攪拌羽(33・35)を回転自在に設けておき、コンクリート塊(B)、あるいは一次擦り揉み処理を経た再生骨材(C)などの被処理物(B・C)を容器本体(32)内に投入したうえで、前記内側攪拌羽(33)と外側攪拌羽(35)とを互いに逆回転方向に回転させることにより、被処理物(B・C)に対して擦り揉み処理を施して、該被処理物(B・C)に含まれる骨材(1)の表面に付着のモルタル分(2)をこそぎ落として、モルタル分(2)の付着の少ない再生骨材(C′)を産生するバッチ式の擦り揉み工程(S5)を含むことを特徴とする再生骨材の製造方法。
【請求項2】
骨材(1)の表面から剥がれ落ちたモルタル分(2)である微粉末の除去処理を行いながら、前記擦り揉み処理を行うようにしてある請求項1記載の再生骨材の製造方法。
【請求項3】
コンクリート廃材(A)を、それに含まれる骨材(1)の最大外径寸法と略同寸法サイズのコンクリート塊(B)に破砕処理する破砕工程(S1・S2)と、
有底円筒形の容器本体(11)内に、複数個の突起物(16)を有する円筒形の回転体(12)を該容器本体(11)と同心位置に回転自在に設けておき、該回転体(12)と容器本体(11)との間隙に所定量のコンクリート塊(B)を投入したうえで、所定時間回転体(12)を回転させることにより、コンクリート塊(B)に対して擦り揉み処理を施して、骨材(1)の表面に付着のモルタル分(2)をこそぎ落として再生骨材(C)を産生するバッチ方式の一次擦り揉み工程(S4)と、
下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面(31)を有する有底円筒形の容器本体(32)内に、該容器本体(32)の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽(33)と、前記側面(31)に沿って回転する外側攪拌羽(35)の二種の攪拌羽(33・35)を回転自在に設けておき、前記一次擦り揉み工程を経た再生骨材(C)を容器本体内に投入したうえで、前記内側攪拌羽(33)と外側攪拌羽(35)とを互いに逆回転方向に回転させることにより、再生骨材(C)に対して二次擦り揉み処理を施して、骨材(1)の表面に付着のモルタル分(2)をさらにこそぎ落として、モルタル分(2)の付着のより少ない再生骨材(C′)を産生するバッチ式の二次擦り揉み工程(S5)とを含むことを特徴とする再生骨材の製造方法。
【請求項4】
一次擦り揉み工程(S4)および二次擦り揉み工程(S5)において、骨材(1)の表面から剥がれ落ちたモルタル分(2)である微粉末の除去処理を行いながら、擦り揉み処理を行うようにしてある請求項3記載の再生骨材の製造方法。
【請求項5】
被処理物であるコンクリート塊(B)、あるいは一次擦り揉み処理を経た再生骨材(C)から、モルタル分の付着の少ない高品質な再生骨材(C′)を産生するに際して、該被処理物(B・C)に含まれる骨材(1)の表面に付着のモルタル分(2)を除去するための擦り揉み処理を担う再生骨材製造装置であって、
下方に行くに従って漸次径寸法が小さくなる下窄まりテーパー状の側面(31)を有する有底円筒形の容器本体(32)と、該容器本体(32)の中心部で回転する螺旋状の内側攪拌羽(33)と、前記側面(31)に沿って回転する外側攪拌羽(35)とを備え、
被処理物(B・C)を容器本体(32)内に投入したうえで、前記内側攪拌羽(33)と外側攪拌羽(35)とを逆回転方向に回転させることにより、被処理物(B・C)に対して擦り揉み処理を施して、被処理物(B・C)に含まれる骨材(1)の表面に付着のモルタル分(2)をこそぎ落として、モルタル分(2)の付着の少ない再生骨材(C′)を産生するバッチ式の擦り揉み処理を行うことができるようにしてあることを特徴とする再生骨材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−151770(P2006−151770A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347437(P2004−347437)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504104855)株式会社コンクリートサービス (1)
【Fターム(参考)】