説明

再結晶炭化ケイ素で作製された含浸セラミックフォーム

全多孔率が50から92%の間でありかつ粒間多孔率が少なくとも5%である多孔質セラミックフォームを含み、このセラミックフォームの気泡の少なくとも一部の壁が含浸材料によって少なくとも部分的に覆われている、多孔質セラミック部材。本発明は、特に、ケイ素を含浸させた再結晶炭化ケイ素フォームに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含浸多孔質セラミックフォームを含む多孔質セラミック部材と、そのような部材を得る方法と、そのような部材の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質セラミックフォームは、低密度(理論密度の5から50%)を特徴とする、既知の多孔質製品である。これらは、大多数のセラミック粉末、特にアルミナ、炭化ケイ素、ジルコニアなどから作製することができる。
【0003】
多孔質セラミックフォームを得ることを可能にする、いくつかの製造方法がある。
【0004】
これらの方法の最も簡単なものには、プレスされるセラミックスリップまたは混合物への孔形成剤の添加が含まれる。ユニット全体を成形し、次いで孔形成剤を燃焼させる硬化サイクルにかける。燃焼中に、孔形成剤は、孔を設ける余地を与える。この方法は、例えば特許EP1140731B1に記述されている。この記述には、孔形成剤の熱分解が原因でオフガス(おそらくは有毒)をもたらすという欠点が示されている。さらに、オフガスを達成するのは難しいので(ガスは、均質な方法で排出できるようにしなければならない)、厚い部材を製造することが難しい。
【0005】
別の技法は、ポリマーフォーム、例えばポリウレタンの複製である。このフォームをセラミックスリップで覆う。次いでユニット全体を硬化サイクルにかけてポリウレタンフォームを燃焼し、セラミックフォームを焼結し、そこに、その構造を初期ポリウレタンフォームによって誘導する。この方法は、例えば米国特許第4024212号に記載されている。ここには、オフガスに関連した欠点が見出される(燃焼中、ポリウレタンは、危険なC−N結合ガスを放出する)。さらに、200μm未満の寸法を有する孔を備えた部材を生成することは難しい。
【0006】
代替の技法は、セラミックスリップの様々な添加剤同士の化学反応による、ガスの形成による孔の生成である。この方法は、例えば米国特許第5643512号または米国特許第5705448号に記載されている。この場合も、オフガスに関連した欠点が見出される。さらに、この方法にフォーム強化技法を結び付ける必要がある。
【0007】
ある技法は、撹拌することによって、スリップにガスを導入することにある。やはり、この方法も、泡の凝集または液相の排出が回避されるように得られた、フォーム強化技法と組み合わせなければならない。
【0008】
上記技法の最後の2つを実施するのに使用することができるフォーム強化技法の中にも、いくつかの可能性がある。
【0009】
第1の解決策は、重合性モノマーとセラミックスリップとを混合することにある。特定の条件下、モノマーの重合によってフォームの強化がもたらされる。この方法は、例えば特許EP759020B1に記載されている。一方、使用可能なモノマーの高コスト、並びに重合条件を制御することの難しさが、この技法を工業的に開発することから妨げている。
【0010】
第2の解決策は、セラミックスリップの架橋ポリマーにある。先の技法のように、この架橋は、フォームの強化をもたらす。この方法は、例えば特許EP330963に記載されている。一方、使用可能な架橋剤の高コスト、並びに架橋条件の制御の難しさが、この技法を工業的に開発することから妨げている。
【0011】
多孔質セラミックを製造するための、より最近の方法は、特許出願EP1329439A1に記載されている。この方法は、下記のステップ、即ち:
1)分散剤中のセラミック粉末の懸濁液を調製するステップ、
2)「親水コロイド」と呼ばれるバイオゲルを含有する溶液であって、この溶液のゲル化温度よりも高い温度で維持される溶液を調製するステップ、
3)フォームが得られるまで起泡剤を添加して前記懸濁液と前記溶液とを混合するステップであって、バイオゲルがゲル化しないように、温度が十分高く維持されるステップ、
4)フォームを型に鋳込むステップ、
5)バイオゲルのゲル化まで冷却するステップ、
6)得られたフォームを乾燥し、焼成し、焼結するステップ
を含む。
【0012】
フォームを強化するためのバイオゲルの使用によって、先に述べた毒性に関する問題を回避することが可能になる。しかし、型に鋳込まれたフォームが60mm超の厚さを有する場合、このフォームは均質な構造を持たないことが分かる。さらに、この方法によれば、最終混合物中の水の量が多く(45から50重量%)、そのために、特に大きい部材の乾燥が難しくなる。したがって、そのような寸法を有する均質構造の多孔質セラミック部材を製造することは、不可能である。
【0013】
番号FR0408330の下、Saint-Gobain Company、European Centre for Research and Studiesによって出願された仏国特許出願は、60mm以上の寸法を有する、均質な密度の多孔質セラミックフォーム部材を製造するための、改善された方法について述べている。
【0014】
このために、FR0408330は、下記の連続ステップ、即ち:
a)懸濁させたセラミック粉末、少なくとも1種のゲル化剤、および少なくとも1種の起泡剤を含有する混合物Mを、前記ゲル化剤のゲル化温度よりも高い混合温度で調製するステップ、
b)フォームが得られるまで、前記ゲル化温度よりも高い起泡温度で前記混合物Mを剪断するステップ、
c)前記ゲル化剤のゲル化温度よりも低い温度で前記混合物Mを冷却することにより、前記フォームをゲル化するステップ、
d)プリフォームが得られるように、前記ゲル化したフォームを乾燥するステップ、
e)焼結されたセラミックフォームが得られるように、前記プリフォームを焼結するステップ
を含む、多孔質セラミック部材を製造する方法を提供する。
【0015】
この方法によれば、安定化剤が前記混合物Mに添加され、その瞬間粘度(単位Pa.s)は、前記安定化剤の剪断速度が100s−1から0s−1に低下した場合、少なくとも10倍増大する。
【0016】
FR0408330に記載されている発明の発明者等は、剪断ステップの終わりとゲル化の始まりとの間の極めて重要な期間中に、EP1329439A1による方法を実施したときに、フォームの崩壊が生じたことを観察した。この期間中、ゲル化剤は、フォームの構造安定化に実質的に寄与せず、厚さが60mmより大きい場合には、それ自体の重量で崩壊する。上述の発明者等によって崩壊の原因が特定されると、混合物に安定化剤を添加することが提示された。安定化剤は、混合物の剪断が停止されるや否や、混合物の粘度を著しく上昇させる能力を目的に選択され、それによってフォームは、ゲル化剤がゲル化しかつその安定化機能を発揮することができるまで、フォームが崩壊しないように十分強固になる。このように、寸法が60mm以上である、均質な密度の多孔質セラミックフォーム部材を製造することが可能になる。
【0017】
上述の様々な方法で使用されるセラミック粉末にどれを選択するかは、使用中のフォームが受ける制約、特に機械的強度または熱伝導性の制約に一般に依存する。
【0018】
例えば触媒担体として使用されるある実施形態では、最も高い可能性のある利用可能な面も求めている。
【0019】
番号FR0507936の下、Saint-Gobain Company、European Centre for Research and Studiesによって出願された仏国特許出願は、50から92%の間の全多孔率(即ち、前記フォーム構成する材料の理論密度の8から50%の間の密度)、および少なくとも5%、好ましくは少なくとも8%、好ましくは少なくとも10%の粒間多孔率を有する、多孔質壁を有する硬化したセラミックフォームを製造するための、改善された方法について述べている。
【0020】
気泡質壁が稠密な、FR0507936の出願前から知られているセラミックフォームとは異なって、FR0507936に記載されているセラミックフォームは、粒間多孔率を有する。この粒間多孔率により、フォームの気泡壁の利用可能な面が、大幅に生み出される。
【0021】
好ましくは、FR0507936に記載されている多孔質壁を有し、または「粒間多孔率を有する」硬化したセラミックフォームは、下記の特徴の1つまたは複数をさらに有する:
−粒間孔のサイズが、気泡質孔の場合よりも平均して10から100分の1小さい。
−好ましくは、気泡の少なくとも一部、好ましくは気泡の全てが、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、再結晶炭化ケイ素壁によって画定される。好ましくは依然として、粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームは、再結晶炭化ケイ素の質量の少なくとも95%を含む。好ましくは、粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームは、再結晶炭化ケイ素の98質量%超、好ましくはさらに、実質的に100%を含む。
−多孔質セラミックフォームは、60mm超の厚さを有する。
【0022】
FR0507936はさらに、粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームを製造するための方法について記述する。この方法は、下記の連続ステップを含む:
a)懸濁させたセラミック粉末、少なくとも1種のゲル化剤、および少なくとも1種の起泡剤を含有する、炭化ケイ素を含む混合物Mを、前記ゲル化剤のゲル化温度よりも高い混合温度で調製するステップ、
b)前記混合物Mを、フォームが得られるまで、前記ゲル化温度よりも高い起泡温度で剪断するステップ、
c)前記ゲル化剤のゲル化温度よりも低い温度で前記混合物Mを冷却することにより、前記フォームをゲル化するステップ、
d)プリフォームが得られるように、前記ゲル化されたフォームを乾燥するステップ、
e)前記炭化ケイ素の蒸発−再結晶メカニズムを用いて強化を可能にする条件下、多孔質セラミックフォームが得られるように、前記プリフォームを硬化するステップ。
【0023】
以下、この硬化を「高温硬化」または「再結晶ステップ」と呼ぶ。この硬化は、再結晶炭化ケイ素の形成をもたらす。
【0024】
好ましくは、この方法は、下記の特徴の1つまたは複数をさらに示す:
−好ましくは、ステップa)で使用されるセラミック粉末は、炭化ケイ素を95重量%超有する。
−ステップa)で実施されるセラミック粉末の粒度は、二峰的に分布する。例えば、異なる中位径を有する炭化ケイ素の2つの供給源から作製された粉末を、使用することができる。
−好ましくは、高温処理による硬化温度および使用される全ての有機成分は、硬化中に前記有機成分の全てが燃焼されるように決定される。
−好ましくは、安定化剤を前記混合物Mに添加するが、この瞬間粘度(Pa.s)は、前記安定化剤の剪断速度が100s−1から0s−1に低下したときに、少なくとも10倍上昇する。
−前記安定化剤の瞬間粘度(Pa.s)は、前記安定化剤の剪断速度が100s−1から0s−1に低下したときに、少なくとも100倍上昇する。フォームの安定化に対する効果は強化され、それによって、90mm超の厚さを有する多孔質部材が製造可能になることが有利である。
−前記安定化剤の剪断速度による前記安定化剤の粘度の変化は、実質的に可逆的である。このように、混合物Mの剪断速度が上昇するや否や、混合物の粘度に対する安定化剤の影響は低下し、無視できるほどになる可能性さえある。したがって安定化剤の存在は、エネルギー要件の大幅な増大をもたらさないことが有利である。
−ステップa)で、前記混合物Mは、セラミックスリップAから、少なくとも1種のゲル化剤および安定化剤を含有する予備混合物Bから、および少なくとも1種の起泡剤を含有する予備混合物Cから調製される。
−前記安定化剤は、ステップc)の終わりに、前記フォームの粘度が20℃で1000Pa.sより高くなるように選択される。好ましくは、前記安定化剤は親水コロイドであり、好ましくは植物由来のものであり、好ましくは依然として、キサンタンおよびカラゲナンまたはこれらの混合物によって形成された群から選択される。好ましい安定化剤はキサンタンである。植物由来の親水コロイドは、プリフォームの高温処理による硬化ステップで除去されることが有利であり、それによって、純度の高い硬化部材を得ることが可能になる。
−前記混合物M中の前記安定化剤の含量は、0.05から5重量%の間、好ましくは0.1から1重量%の間である。
−前記混合物Mは、重量パーセンテージで表したときに、40%未満の含水率、好ましくは30%未満の含水率を有する。
−前記ゲル化剤は、熱可逆的な方法で起泡した後に前記組成物をゲル化するよう適合された、動物または植物由来の親水コロイドである。好ましくは、前記ゲル化剤はゼラチンである。好都合には、ゲル化剤は、プリフォームの高温処理によって硬化ステップ中に除去され、それによって、純度の高い硬化フォームを得ることが可能になる。好ましくはさらに、混合物M中のゲル化剤の含量が1から10重量%の間であり、好ましくは1から6重量%の間である。
−ステップa)で、可塑剤は、前記ゲル化剤の場合よりもその重量が0.25から1倍の量で、前記混合物Mに添加されることが好ましい。好ましくはさらに、可塑剤は、ステップa)で使用される液体の蒸発温度よりも高い温度で燃焼されて、セラミック粉末が、一般には水に懸濁されるように選択する。
【0025】
したがって、参照に組み込まれているFR0507936に記載されている発明は、気泡を画定する壁の特異的構造により、考慮すべき外部環境に曝される表面を有する硬化多孔質セラミックフォームを提供する。このように、気泡質壁のこの新しい微細構造は、非常に広範な開発の可能性をもたらす。
【0026】
しかし、ある適用例では、このフォームは、非常に限定された機械的強度という欠点を有する。
【0027】
したがって、改善された機械的強度を有する、FR0507936に記載されているタイプの多孔質セラミックフォームが求められている。
【特許文献1】欧州特許第1140731号明細書
【特許文献2】米国特許第4024212号明細書
【特許文献3】米国特許第5643512号明細書
【特許文献4】米国特許第5705448号明細書
【特許文献5】欧州特許第759020号明細書
【特許文献6】欧州特許第330963号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1329439号明細書
【特許文献8】仏国特許発明第0408330号明細書
【特許文献9】仏国特許発明第0507936号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、この要求を満足させることである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明によれば、50%から92%の間の全多孔率、および少なくとも5%の粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームであって、前記セラミックフォームの気泡の少なくとも一部に含浸材料を含浸させた、多孔質セラミック部材を用いることによって、この目的を達成する。
【0030】
下記の内容からより詳細にわかるように、含浸材料は、フォームの初期の粒間多孔率の存在により、膨らんだ結合表面から利益を受ける。したがって、本発明による部材の凝集が改善される。
【0031】
「含浸材料」は、セラミック部材の粒子が一緒に接合するように、その粒子に固着する材料を意味する。本発明の好ましい実施形態では、含浸材料は前記壁およびブロックのコアに、少なくとも部分的に、好ましくは完全に浸透し、したがって前記壁の粒間孔が、前記粒子間の結合マトリックスを構成する。
【0032】
粒間多孔率によって、含浸材料が気泡壁の厚みに浸透可能にあることが有利である。したがって、フォームの気泡質多孔率を実質的に変化させることなく、セラミックフォームの機械的強度を著しく強化することができる。
【0033】
したがって、粒間孔を少なくとも部分的に遮断する含浸材料、即ち本発明による部材は、粒間多孔率が必要不可欠ではないがあるレベルの気泡質多孔率を保持することが求められる用途で、特に有利である。
【0034】
好ましくは、実現されるフォームは、FR0507936に記載されている、特に上記にて想起される、好ましいフォーム特性の1つまたは複数を有し、あるいはFR0507936に記載されている方法により製造され、例えば上記にて想起される好ましい特性の1つまたは複数を有する。
【0035】
好ましくはさらに、本発明によるセラミック部材は、下記の特性の1つまたは複数をさらに有する:
−少なくとも、セラミックフォームの表面気泡の壁、即ち、フォームの外部環境に曝されている壁には、少なくとも部分的に、含浸材料が含浸される。好ましくは、セラミックフォームの気泡全ての壁に、少なくとも部分的に、含浸材料を含浸させる。
−含浸材料は、金属、特にケイ素またはアルミニウム、金属合金、溶融ガラス、好ましくはソーダ石灰ガラスまたはホウ素ガラス、または熱可塑性有機化合物、好ましくは樹脂タイプの化合物から選択される。
−含浸材料は、フォームの気泡間の相互接続の窓を遮断しない。好ましくは含浸材料は、表面気泡の外側への開口を遮断しない。
−含浸させたフォームは、50%超の全多孔率、好ましくは70%超、および/または92%未満の全多孔率を有する。
−含浸材料は、気泡間の相互接続の窓を充填せず、したがって、さらに、フォームの気泡を充填しない。
−多孔質セラミックフォームは、再結晶炭化ケイ素を少なくとも95質量%含む。「多孔質セラミックフォーム」は、多孔質セラミックフォームおよび含浸材料を含む本発明による「多孔質セラミック部材」と区別されなければならない。
−含浸前、多孔質セラミックフォームは、少なくとも8%、好ましくは少なくとも10%の粒間多孔率を有し、かつ/またはフォームの粒間孔の平均サイズが、8μm超であり、好ましくは10μm超、および/または20μm未満、好ましくは15μmである。好ましくは、フォームの気泡質孔の平均サイズは150から700μmの間であり、好ましくはさらに、約350μmである。
−多孔質セラミック部材は、2MPa超、好ましくは3.5MPa超の破断点曲げ弾性率と、70%超、好ましくは約75%の全多孔率を有する。
−セラミック部材の含浸材料の体積は、含浸前のフォームの粒間孔の体積に実質的に等しい。
【0036】
本発明はさらに、50から92%の間の全多孔率および少なくとも5%の粒間多孔率を有するセラミックフォームの気泡の壁の、少なくとも一部の、含浸材料を用いた含浸を含む、多孔質セラミック部材を製造する方法に関する。
【0037】
好ましくは、含浸材料およびセラミックフォームは、得られた多孔質セラミック部材が本発明に従うように選択される。
【0038】
以下、「方法1」と呼ばれる、本発明による方法の第1の代替例において、含浸は、多孔質セラミックフォームで実施され、即ち硬化ステップの後に実施される。含浸材料は、粉末の形でフォームと接触するようになり、ユニット全体を、含浸材料が融解するまで加熱する。したがって、液体の形を持つ含浸材料は壁内に浸透し、したがって、これらの壁に「含浸」する。
【0039】
好ましくは、粉末形態の含浸材料とプリフォームとの接触は、この粉末を、プリフォームの上面および下面に付着させることによってもたらされる。粉末形態の含浸材料中にフォームを少なくとも部分的に「浸漬すること」、または前記含浸材料をフォームに噴霧することも可能である。
【0040】
含浸後、含浸材料は、これを例えば冷却することによって硬化し、または適切な処理によって硬化される。したがって、本発明による多孔質セラミック部材が得られる。
【0041】
好ましくは、含浸材料およびセラミックフォームは、本発明による多孔質セラミック部材が得られるように選択される。
【0042】
好ましくはさらに、液体含浸材料は、毛管現象によって壁内に浸透する。
【0043】
FR0507936に記載されている方法により製造されるフォームの場合、機械的強度は15MPa未満であり、そのために、加圧下で鋳込むことによるいかなる含浸も、不可能である。したがって、毛管現象による含浸材料の浸透は、特に有利である。
【0044】
再結晶炭化ケイ素を含有する多孔質セラミックフォームの場合、50から92%の間の全多孔率および少なくとも5%の粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームを製造するための方法は、FR0507936に記載されている方法に従うことが好ましく、上述のこの方法の好ましい特徴の1つ、および好ましくはいくつかを含む。
【0045】
さらに、好ましくは、ステップa)で調製された混合物Mは、この混合物の重量に対して、質量パーセンテージで表したときに15%超の量の水、好ましくは20%超、および/または50%未満、好ましくは40%未満を含む。
【0046】
好ましくは、混合物Mは、熱硬化剤を含まない。
【0047】
さらに好ましくは、次いでシリカを、混合物Mに対して好ましくは2重量%以上の量で混合物Mに添加する。シリカは、再結晶に適していることが有利である。好ましい方法では、混合物Mを調製するために実現されるセラミック粉末の粒度は、二峰的に分布し、または好ましくさらに、三峰的に分布する。
【0048】
本発明者等は、以下において「方法2」とも呼ばれる新しい方法も開発し、本発明によるセラミック部材を製造することが可能になる。この方法は、以下により詳細に記述する、「方法2a」および「方法2b」とも呼ばれるいくつかの代替例を有する。
【0049】
製造するための新しい方法は、上述のFR0507936の方法のステップa)からe)を含む。
【0050】
ステップd)で、乾燥を、周囲温度でかつ/または20から120℃の間の温度の炉内で実施することができる。
【0051】
方法2aによれば、この方法は、ステップd)の後に、粉末形態の含浸材料を前記プリフォームと接触させる点が、注目に値する。
【0052】
方法2bによれば、この方法は、ステップa)で、粉末形態の含浸材料を混合物Mに添加する点が、注目に値する。
【0053】
方法2による方法は、先の方法よりも速いことが有利であり、含浸および再結晶が同時である。
【0054】
好ましくは、方法2aによれば、ステップd)の前に、含浸材料、好ましくは粉末形態の金属ケイ素を前記プリフォームと接触させ、好ましくは前記プリフォームの上面および下面と接触させる。ステップe)の熱処理中、溶融含浸材料による粒間孔の含浸、および炭化ケイ素の再結晶は、同時に行われる。
【0055】
方法2bによれば、ケイ素粉末は、ステップa)で混合物Mに導入されることが好ましい。好ましくは、0.05mmから2mmの間のグレードが使用され、好ましくは0.2mmから2mmの間が使用される。
【0056】
好ましくはさらに、炭素も、ステップa)で混合物Mに添加される。炭素の場合、黒色炭素(<1ミクロン)またはグラファイト(粒度 5から15ミクロンの間)を使用することが好ましい。
【0057】
上述の相違の他に、製造するためのこの方法は、好ましくはFR0507936に記載されている方法に従い、上述のこの方法の特徴の1つ、好ましくはいくつかを含む。
【0058】
最後に、本発明は、触媒担体のため、液体または高温ガス濾過のため、ガスバーナ内の拡散器(加熱された部材によって、燃焼に必要な空気/ガス混合物を通過させる)として、太陽容量受信器内で、またはサガースタック部材(硬化支持体)としての、本発明による多孔質セラミック部材の使用、または本発明による方法を用いて製造された多孔質セラミック部材の使用に関する。
【0059】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の記述を読み取ることによって、また添付図面の検討によって、明らかにされよう。
【0060】
様々な図において、同一の符号は、同一または同様の対象を指すのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
再結晶は、最小の炭化ケイ素粒子の蒸発、次いでより大きい粒子間の結合が形成されるような凝縮を用いた強化に相当する、周知の現象である。
【0062】
「再結晶炭化ケイ素」は、セラミックフォームの高温処理によって硬化ステップ中に再結晶した炭化ケイ素を意味する。
【0063】
「孔のサイズ」は、その最大寸法を意味する。本発明の生成物において、孔は準球形であり、この場合、サイズは直径である。孔のサイズは、硬化フォームの表面画像を分析することによって測定される。
【0064】
次に、図1から4および7から9に示されるセラミックフォームを製造するために実施することができる方法について述べる。
【0065】
この方法は、下記の連続ステップ、即ち:
a)懸濁させたセラミック粉末、少なくとも1種のゲル化剤、および少なくとも1種の起泡剤を含有する混合物Mを、前記ゲル化剤のゲル化温度よりも高い混合温度で調製するステップ、
b)フォームが得られるまで、前記ゲル化温度よりも高い起泡温度で、前記混合物Mを剪断するステップ、
c)前記ゲル化剤のゲル化温度よりも低い温度で、前記混合物Mを冷却することによって、前記フォームをゲル化するステップ、
d)プリフォームが得られるように、前記ゲル化フォームを乾燥するステップ、
e)多孔質セラミックフォームが得られるように、前記プリフォームを高温処理によって硬化するステップ、
を含む。
【0066】
この製造方法の第1のステップa)では、好ましくは水中に懸濁させたセラミック粉末、少なくとも1種のゲル化剤、および少なくとも1種の起泡剤を含有する混合物を調製する。さらに、安定化剤を前記混合物に添加することが好ましい。
【0067】
好ましくは、下記のように進行する。
【0068】
まず、
−従来技法に従い、セラミック粉末および分散剤を水中に分散させることによって、スリップAを、
−ゲル化剤および安定剤を、このゲル化剤のゲル化温度よりも高い温度で水中に溶解することによって、予備混合物Bを、
−起泡剤を水中に溶解することによって予備混合物Cを、
調製する。
【0069】
スリップA中のセラミック粉末の量は、好ましくはスリップAの50から90重量%の間であり、好ましくは70から85重量%の間である。好ましくは混合物Mは、セラミック粒子を50から80重量%、好ましくは60から70重量%含有する。
【0070】
セラミック粉末の性質は、製造されるセラミックフォームに応じて適合される。
【0071】
再結晶炭化ケイ素フォームを製造する場合、粉末は炭化ケイ素粉末であり、その粒度分布は、好ましくは二峰性または三峰性である。第1の最頻値は、好ましくは5μm未満であり、好ましくはさらに3μm未満であり、好ましくは常に1μm未満であり、第2の最頻値は、好ましくは10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい。第3の最頻値は、第1および第2の最頻値の間の中間値である。粒度は、好ましくは0.5から10ミクロンの間であり、その平均サイズは2.5μmに等しい。そのような粒度分布は、特に開発された粒間多孔率を有するセラミックフォームを得ることが、可能であることが有利である。
【0072】
図1から4および7から9に表されるフォームの場合、ステップa)で使用されるセラミック粉末は、炭化ケイ素を95重量%超含む粉末である。
【0073】
任意選択の分散剤は、例えば、ソーダタイプの界面活性剤である。分散剤は、炭化ケイ素が効果的に分散するように、pHを調節することが可能であることが有利である。
【0074】
ゲル化剤は、好ましくは、熱可逆的な方法で起泡した後に、前記組成物がゲル化するように適合された、動物または植物由来の親水コロイドであり、例えば、ゼラチン、カラゲナン、またはこれらの混合物である。
【0075】
安定剤は、望み通りにすることができる。好ましくは、その剪断の速度勾配が100s−1から0s−1に低下する場合に少なくとも10倍上昇する粘度を有するような性質を有する。好ましくは、安定剤は、この混合物に組み込まれるので、剪断中の混合物Mの粘度がそれほど上昇しないように選択される。
【0076】
したがって、混合物の含水量を上昇させる必要なく、従来技術により用いられた混合器を使用することが可能であることが有利である。含水量の上昇は、確かに、後の乾燥中に問題を引き起こす可能性がある。
【0077】
好ましくは、安定剤は、可逆的になるように選択される。好ましくはさらに、安定剤およびゲル化剤は、
−ゲル化フォームの粘度が、混合物Mと同一であるが安定剤を含有しない混合物から得られたゲル化フォームの場合よりも、高くまたはそれに等しくなるように、
−ステップb)とc)との間(ゲル化の前であり、かつ起泡操作が終わった後)で得られたフォームの粘度が、混合物Mと同一であるがゲル化剤を含有しない混合物から得られたゲル化フォームの場合よりも高く、またはそれに等しくなるように、
選択される。
【0078】
好ましくは、安定剤およびゲル化剤は、互いに実質的に相互作用しないように選択される。一方では、ゼラチンとキサンタンおよび/またはカラゲナン、好ましくはキサンタンのみの会合が最も好ましい。
【0079】
キサンタンおよびカラゲナンは、物理的ゲルであり、即ち、結合が物理的相互作用によって形成されている(結晶化、らせん形成、ガラス化)、網状構造に構造可逆性を有するゲルである。例えば、キサンタン分子は、複合網状構造が形成されるようにその他の分子と相互に作用する、一重、二重、または三重らせんの形をとることができる。水中に溶解する際、弱い結合を有する集合体が形成される。これらの集合体は、剪断動作によって解離することができる。
【0080】
好ましくは混合物Mの調製温度で液体の形をとる少なくとも1種の可塑剤、好ましくはポリオール、さらに好ましくはグリセロールは、予備混合物Bに添加することが好ましい。可塑剤は、ゲル化剤に対して良好な適合性を有するように、即ち、相分離を同時に引き起こすことなく、混合物Mの内側に留まり、したがって移行および溶媒に抵抗する能力を有するように選択される。好ましくは、可塑剤の含量は、ゲル化剤の場合の0.25から1倍の間である。
【0081】
起泡剤、好ましくは石鹸は、予備混合物Cに対し、前記予備混合物の55から75重量%の割合で添加されることが好ましい。さらに好ましくは、起泡剤の量は、混合物M中のその含量が1から5重量%の間になるように決定される。
【0082】
混合物Mは、セラミックで通常使用される、1種または複数の一時的な熱可塑性結合剤を、さらに含有することができる。
【0083】
次いでスリップAおよび予備混合物Cは、機械的に撹拌しながら、予備混合物Bに添加され、「混合温度」と呼ばれる温度は、ゲル化剤のゲル化温度よりも高く維持される。好ましくは、予備混合物A、B、およびCは、これらを調製した直後に混合して、混合物Mを形成する。安定剤は、使用される温度範囲で安定な粘度を有する水溶液をもたらす。
【0084】
予備混合物BのpHは、酸性、アルカリ性、または中性にすることができ、好ましくは、予備混合物Aに対して良好に分散することが可能になるように選択される。
【0085】
ステップb)で、混合物Mは、起泡するように剪断される。剪断は、機械的撹拌、ガス吹込みから、またはこれら2種の技法の任意の組合せによって得ることができる。ガス吹込みの場合、較正孔を備えた膜の使用が好ましい。
【0086】
このステップb)の間、安定剤の粘度が剪断作用の下で可逆的である場合、剪断によって混合物の粘度が低下する。
【0087】
ステップb)は、ゲル化剤のゲル化温度よりも高い温度、例えば混合温度で実施される。
【0088】
セラミックフォームを得た後に、剪断を停止し、次いで可能なら、フォームを型に鋳込む。
【0089】
安定剤が存在することにより、剪断が終わることで混合物の粘度が直ぐに上昇する。このように安定剤は、温度がゲル化温度よりも高いままであっても、フォームの構造を剛性にする。したがって、ゲル化ステップ前のフォーム自体のいかなる崩壊も回避され、60mm超の厚さ、さらには80mm超の厚さの安定なフォームを製造することが可能になる。
【0090】
ステップc)では、ゲル化剤のゲル化温度、好ましくは周囲温度(10〜25℃)にまで、フォームを冷却しまたは放置して冷却する。ゲル化は、損傷を与えることなく取り扱うように十分な剛性を有する、ゲル化フォームを得ることを、可能にすることが有利である。したがって、この方法は、工業的な実現に十分順応する。
【0091】
次いでゲル化フォームを周囲温度で乾燥し、次いで好ましくは100から120℃の温度で加熱して、硬化することのできるプリフォームが得られるようにする。プリフォームまたは「未加工材料」は、有利には、80mmまでの厚さ、さらには150mmまでの厚さを有することができる。
【0092】
次いでプリフォームは、再結晶炭化ケイ素が得られる温度、即ち1800〜2500℃の温度で、アルゴン下で焼成することができる。
【0093】
炭化ケイ素の再結晶をもたらすことを前提に、高温処理によって硬化するその他の条件が考えられる。これらの条件は、当業者に周知である。
【0094】
高温処理によって加熱した後、および硬化する前または後に、所望の寸法を有するフォームを製造することができる。
【0095】
プリフォームの高温処理による硬化によって得られる多孔質セラミックは、開口および相互接続構造を有するフォームである。硬化後に、材料の理論密度の8から50%の間の密度(再結晶炭化ケイ素の場合、立法センチメートル当たり3.2gに等しい)を有し、次いで50から92%の間の多孔率を有することが有利である。
【0096】
気泡質孔のサイズは、一般に、10から2000μmの間で様々である。
【0097】
フォームは、窓12によってその他の隣接する気泡に接続された複数の気泡10(図1から4および7から9参照)を有する。多孔質セラミックフォームの表面の気泡は、さらに、外側に向かって1個または複数の開口16を有する。「相互接続多孔率」は、気泡間の相互接続窓12によって、および表面気泡の開口16(即ち、フォームのブロックの外面を画定する)によって生成された、多孔率を意味する。
【0098】
気泡10を画定する再結晶炭化ケイ素セラミック壁は、多孔質である。この壁は、実際に、粒子18の凝集によって形成され、この凝集によって、間隙20または「粒間孔」を粒子18間に残したままにする。
【0099】
粒子18は、ステップa)で使用される炭化ケイ素粉末の最大粒子によって形成される。したがって粒子18の粒度分布は、これら最大粒子の場合と実質的に同じである。
【0100】
したがって、壁17は、「粒間」と呼ばれる多孔率を有する。このように粒間多孔率は、粒子間に必ず生成される間隙空間、これらの粒子の凝集から作製される。
【0101】
上述のように、相互接続多孔率は、「気泡質孔」によって生成され、即ち、気泡10と表面気泡の外側に向かう開口16との間の相互接続窓12によって生成される。したがって、相互接続多孔率は、開口によって、即ちその輪郭が粒子凝集の必然的な結果にはならずにこれら粒子の特定の配列から生ずる開口によって、形成される。粒間多孔率とは対照的に、隣接する気泡同士の直接接続(即ち、「直線状」)が可能になる。
【0102】
したがって、粒間多孔率は、フォームの気泡間の「相互接続多孔率」と共存し、その全多孔率は、相互接続多孔率と粒間多孔率との合計になる。
【0103】
気泡質孔の平均サイズが350μm程度であるのに対し、粒間孔の平均サイズは10から15μm程度である。実施例21の全多孔率は86%であり(密度0.43g/cm)、粒間多孔率は約10%である。
【0104】
好ましくは、粒間孔のサイズは、気泡質孔の場合よりも平均で10から100分の1小さい。同様に好ましくは、気泡質孔の平均サイズが150から700μmの間であり、好ましくは350μm程度であり、かつ/または粒間孔の平均サイズが10から15μmの間である。
【0105】
粒間多孔率は、使用されるセラミック粉末の粒子、特に炭化ケイ素の粒子のサイズに応じて修正することができる。
【0106】
相互接続多孔率は、実施される起泡剤に応じて、特に初期混合物における起泡剤の量に応じて修正することができる。
【0107】
本発明によれば、粒間孔の少なくとも一部に含浸材料22が充填される。好ましくは含浸材料は、金属から、特にケイ素およびアルミニウム、金属合金、溶融ガラス、および熱可塑性有機化合物から選択される。
【0108】
この「粒間孔の充填」または「気泡質壁の含浸」を可能にする任意の方法が考えられる。本発明によれば、下記の方法の1つを使用することが好ましい。
【0109】
方法1によれば、硬化するステップe)の後、気泡質壁に少なくとも部分的に含浸させ、その間に、炭化ケイ素の再結晶を生じさせる。
【0110】
当初は粉末の形をとる含浸材料を、セラミックフォームの上方および下方と接触させて配置する。次いでフォームおよび含浸材料を含浸温度で加熱し、そのときに含浸材料は液体の形をとり、毛管現象によって粒間孔に浸透することができる。
【0111】
好ましくは、含浸材料および多孔質セラミックが含浸する性質は、所望の浸透に応じて調節される。当業者に明らかなこれらの調節される性質には、特に、粒間孔のサイズ、含浸材料の粘度、およびセラミックフォームの湿潤性係数が含まれる。この調節は、当業者に知られている従来の技法に従って行うことができる。粒間孔のサイズが、気泡質孔の場合よりも平均して10から100分の1小さいと考えると、含浸材料の大部分は、毛管現象によって粒間孔のみに充填されることになる。
【0112】
最小の気泡質孔には、重力の作用によっても充填される。
【0113】
ケイ素の含浸の場合、含浸温度は1800から2000℃の間であることが好ましい。
【0114】
方法1は、含浸材料の湿潤性および粘度が処理温度で十分であることを前提として、フォームに任意の含浸材料を含浸させるのに使用することができる。
【0115】
方法1は、多孔質セラミックフォームを含浸させることが知られているが、特に、本発明により少なくとも5%の粒間多孔率を有する多孔質セラミックフォームの含浸に、うまく適合される。
【0116】
しかし、さらに高エネルギー消費が示唆される可能性がある、余分な製造ステップが必要であるという欠点を有する。本発明者等は、含浸が再結晶処理と同時に実施される(2200〜2300℃で)新しい方法を発見した。
【0117】
この方法の第1の代替例によれば(方法2a)、粉末形態の含浸材料、好ましくはケイ素金属を、硬化に進む前にプリフォームと接触させて配置する。好ましくは、この含浸材料は、プリフォームの上部および下部に配置される。
【0118】
次いでアセンブリを、再結晶硬化にかける。このステップ中に、含浸材料が融解し、粒間孔を通して気泡質壁内に毛管現象によって浸透する。同時に、炭化ケイ素が再結晶する。
【0119】
この方法の第2の代替例によれば(方法2b)、粉末形態の含浸材料、好ましくはケイ素金属が、起泡スリップに導入され、即ち混合物Mに導入される。ケイ素粒子のサイズは、好ましくは0.2から2mmの間である。
【0120】
好ましくは炭素も、好ましくは0.5から10重量%の間、好ましくは約1.5%が起泡スリップに添加される。炭素は、黒色炭素(基本粒子<1ミクロン)またはグラファイト(5から15ミクロン)の形をとることが好ましい。
【0121】
炭素の存在により、2次炭化ケイ素を生成することが可能になる。これにより、2次炭化ケイ素が低温(1400〜1500℃)で生成されるので、最終的な機械的性質だけでなく硬化中の機械的性質も改善される。
【0122】
硬化の後半のステップ中に、炭化ケイ素が再結晶し、それと共に含浸材料が融解し、粒間孔内に浸潤する。
【0123】
含浸材料が金属ケイ素である場合、後者の一部が炭素に消費されて、2次炭化ケイ素が作製される。したがって金属ケイ素の量は、この消費にもかかわらず十分な量が孔内に浸潤したままになるように、決定される。
【0124】
当然ながら、方法1、2a、および2bを組み合わせることができる。
【0125】
どのような方法であっても、好ましくは、粉末形態の含浸材料の量は、粒間孔の体積の少なくとも1.05倍以上、好ましくは1.1倍、および好ましくは1.2倍未満の体積を示すように決定される。言い換えれば、厳密に必要とされる量に対して過剰な含浸材料が、粒間孔の体積を充填するのに使用される。
【0126】
しかし本発明者等は、過剰な含浸材料、特にケイ素が、大量であってもその部材に残らないことに注目した。粉末形態の含浸材料の量は、経済的な理由で、粒間孔の体積の1.2倍未満に制限される。
【0127】
特に、再結晶炭化ケイ素を含有するセラミックフォームに関する、調節可能な2重多孔率の存在は、特に有利である。
【0128】
粒間多孔率の存在によって、確かに、含浸材料を結合するために利用可能な広い表面と、この含浸材料を起泡質壁に挿入して気泡体積の著しい減少を有利に回避する可能性とを、同時にもたらす。したがって、本発明による部材の架橋によってもたらされた電荷の損失は、有利に制限される。
【0129】
したがって、本発明によるセラミック部材は濾過に有効であり、それと共に高い機械的強度を有する。
【0130】
含浸材料の制御された量(得られたセラミック部材の5から15体積%、好ましくは約10体積%)によって、さらに、低密度、したがって弱い熱慣性を保つことが可能になる。このように、本発明によるセラミック部材は、高温に対す抵抗力が非常に高く、したがって硬化担体として使用するのに十分適している。再結晶炭化ケイ素フォームを実現する本発明によるセラミック部分は、非常に高い温度に抵抗することができるので、この適用例に特に有用である。熱を効率的に伝導し、高温に耐え、空気またはガスを通過させるという理由で、再結晶炭化ケイ素フォームを実現する本発明によるセラミック部材は、赤外線バーナの火炎拡散器を形成するのにも完全に適している。
【0131】
好ましくは、含浸材料の量は、所望の多孔率のみ満たされるように制御される。このように本発明によるセラミック部材は、既知のセラミックフォームよりも高い全多孔率、したがって利用可能な広い表面を有することができる。したがって、本発明による部材は、触媒担体としても非常に有用である。
【0132】
次に、図5および6を参照する。
【0133】
図5は、混合物Mの製造に使用することができる例として供給された、3種の予備混合物B1、B2、およびB3の粘度の進展を表す。
−B1は、水87%、グリセロール7.4%、ポリビニルアルコール4.8%、およびキサンタン0.8%を含有する。
−B2は、水77.3%、グリセロール6.5%、ポリビニルアルコール4.2%、およびゼラチン12%を含有する。
−B3は、水76.7%、グリセロール6.5%、ポリビニルアルコール4.2%、ゼラチン11.9%、およびキサンタン0.7%を含有する。
【0134】
これらの予備混合物を80℃で調製し、次いで40℃で3時間維持する。次いでこれらの混合物の粘度を測定し、その温度に応じて、即ちその温度を45℃(混合物Mの発生温度に近い)から10℃まで分当たり1℃ずつ低下させながら、静止状態に維持する。測定は、水平円錐(直径40mm、角度4°)上のBohlin(登録商標)CVO 120粘度計で、1ヘルツで振動させ、歪み0.01で行う。試験Aの結果を図5に示す。
【0135】
図5は、キサンタンのみ(曲線B1)の場合、温度に応じて混合物の粘度を変化させることができないことを示す。したがって、キサンタンは、ゼラチン(曲線B2)とは異なって熱可逆的ゲルではない。このようにキサンタンは、セラミック混合物の粘度を温度に応じて変化させるのに適切ではないようである。したがって、特に、冷却中にセラミックフォームをゲル化するのに全く適していないようである。
【0136】
図5は、キサンタンが単独である場合、セラミックフォームを凍結させる可能性のある、高い粘度に到達できないことも示す。これとは対照的にゼラチンは、周囲温度(10〜25℃)で、キサンタン単独で到達される場合よりも200から500倍高い満足のいく粘度に到達することが可能になる。
【0137】
最後に、図5は、キサンタンの存在によって、ゼラチンのゲル化作用が妨げられず、キサンタンの作用は、25℃よりも低い温度で無視できることを示す。キサンタンとゼラチンとの会合は、明らかに、25℃よりも低い温度で技術的な影響を実質的にもたらさない。
【0138】
図6には、この速度勾配(または「剪断速度」)に応じた、45℃でのB1、B2、およびB3の瞬間的な粘度を示した。図6に示される結果を得るために、速度勾配を次第に上昇させ、次いで1分待機し、次いで速度勾配を次第に低下させる。45℃の温度(混合物Mの発生温度に近い)に至る試験の全体を通して、粘度の進展を測定する。測定は、水平円錐(直径40mm、角度4°)上のBohlin(登録商標)CVO 120粘度計で、回転させながら行う。
【0139】
キサンタンが存在しない場合、ゼラチンの粘度は速度勾配に応じて進展せず、またはごくわずかしか進展しないことが観察される。一方、ゼラチンとキサンタンとの混合物の瞬間粘度は、キサンタン単独の場合のように、剪断が増加したときに非常に強力に低下し、剪断が低下したときに非常に強力な値に回復し、これは、キサンタンが少量の場合と同じである。
【0140】
生成物(ゼラチン、キサンタン、またはこれらの混合物)の粘度の上昇または低下は、温度または剪断速度の変化の後の同じ温度および剪断条件下で、この生成物を組み込む耐火性組成物の剪断によって得られたフォームの構造性能を、それぞれ改善しまたは劣化させることに注目した。
【0141】
したがって、剪断ステップb)の終わりには、図6の教示による混合物Mに組み込まれたゼラチンとキサンタンとの混合物によって、ゼラチン単独で得ることができる場合よりも非常に高い割合のときに、フォームの構造性能が即座に改善される。したがってフォームは、破壊されないように十分に剛性である。取扱いが容易である。最後に、キサンタンとゼラチンを混合する動作によって、生成物の不均質および脆化をもたらす可能性がある構造変化(空気の泡の融合、セラミック粉末の分離・・・)が回避される。
【0142】
したがって、フォームの温度は徐々に低下し、それによって、図5の教示の通りに、キサンタン単独で得られる場合よりも非常に高い割合でフォームの構造性能をさらに高めることが可能になる。したがってフォームは、損傷を与えることなく工業条件下で取り扱うことができるように、十分に剛性である。
【0143】
したがって、ゼラチンとキサンタンとの作用は、本発明による方法を実施するために、特に大きなフォームを製造するために、互いに完全に補い合う。
【0144】
下記の非限定的な実施例は、本発明を例示するために示す。
【0145】
以下の実施例において、用いられる原材料は:
−Wesardt Internationalから販売されているゼラチンGPA A0;
−SKW Biosystemsから製造されかつ販売されているキサンタンガム、satiaxane(商標)CX90T;
−Rhodia PPMCから販売されている、加水分解速度が遅いポリビニルアルコール(88モル%)、RHODOVIOL(登録商標)4/125;
−Moulet Peinture(Avignon−フランス)から販売されているグリセロール;
−Zschimmer & Schwarz GmbHから販売されている、ポリアクリル酸アンモニウムを含有する分散剤、Schaumungsmittel W53FL;
−中位径が約0.6μmでありSiCを99.5%超含有するSiC−1炭化ケイ素;
−中位径が約2.5μmでありSiCを99.5%超含有するSiC−2炭化ケイ素;
−中位径が約23μmであり炭化ケイ素を99.5%超含有するSiC−3炭化ケイ素
から選択した。
【0146】
下記の実施例全てにおいて、分散剤は常にソーダであり、起泡剤は常にW53FLであり、可塑剤はグリセリンであり、硬化剤はRHODOVIOL(登録商標)4/125である。
【0147】
スリップAは、セラミック粉末および分散剤を水に分散させることによって生成される。セラミック粉末は、下記の質量比に従う2種の炭化ケイ素粉末の混合物である。
【0148】
┌────────┬────────┬────────┬────────┐
│ 実施例 │ 21 │ 22 │ 23 │
├────────┼────────┼────────┼────────┤
SiC−1(%) │ 33 │ │ │
├────────┼────────┼────────┼────────┤
SiC−2(%) │ │ 66 │ 67 │
├────────┼────────┼────────┼────────┤
SiC−3(%) │ 67 │ 34 │ 33 │
└────────┴────────┴────────┴────────┘
【0149】
0.45%のソーダ1Nは、分散剤の一部として役割を果たし;したがってスリップは、約9のpHを有する。
【0150】
予備混合物Bは、55℃の水浴中で、ゼラチンGPA A0、おそらくはキサンタン、グリセロール、および硬化剤を水中に溶解することによって生成される。
【0151】
予備混合物Cは、可溶化起泡剤3分の2(重量で)を水3分の1に溶解することによって生成される。
【0152】
AおよびCを、20分間、常に機械的に撹拌しながら、55℃の水浴中でBに添加する。セラミック粉末を除く、最終混合物M中の成分A、B、およびCの割合を、表1に示す。得られたフォームを、25℃よりも低い周囲温度で型に鋳込む。型は、300mm×300mm×45mmの寸法を有する。周囲温度で24時間乾燥し、次いで強制換気下で、35℃で24時間乾燥することにより、プリフォームを得る。
【0153】
次いでこのプリフォームを、2270℃で3時間、アルゴン下で硬化して、再結晶炭化ケイ素を得る。
【0154】
高温処理による硬化中、寸法の収縮は実質的にゼロであり、全ての方向で同じであることに注目することができる。
【0155】
このように得られたセラミックフォームの、ある特徴を、表1および2に示した。
【0156】
【表1】

【0157】
鋳込み後、撹拌および/または取扱い(型への鋳込み)を停止するや否や、即座に凍結することに、時々留意することができる。「凍結」は、鋳込み部材の高さが、この鋳込み部材のゾーンに応じて減少しかつ/または変化することを意味する。表中、「Y」は、凍結が観察されたことを意味し、「N」は、鋳込まれたフォームの構造が鋳込み後に発生することを意味する(凍結無し)。
【0158】
亀裂の存在は、表1の「Y」によって示され、「N」は、亀裂が観察されないことを意味する。
【0159】
密度は、伝統的な幾何学法に従って測定され、立法センチメートル当たりのグラム数で表される。
【0160】
安定剤を添加すると、機械的起泡によって得られた構造を凍結することが可能になる。したがって、均質な部材が得られ、所望の寸法も得られる。
【0161】
可塑剤は、より柔軟な部材を得ることを可能にし、そのために、乾燥によって亀裂の形成が誘導されない。さらに、好ましくは、この場合と同様に、使用された可塑剤は、水の蒸発温度よりも非常に高い温度で燃焼する。したがって、この化合物は、乾燥部材上であってもその役割を果たすことになり、硬化中は、その部材中に、一定の水分を保持することが可能になり、したがって、速すぎる乾燥および最終生成物の「クラスト」作用を回避することになる。この好ましい作用は、大きな部材を製造するのに特に有用である。
【0162】
上述のように、上記方法によって製造されたセラミックフォームは、セラミック壁により画定されかつ窓によって一緒に接続された、覆瓦状の気泡で形成された構造を有する。気泡質孔のサイズは、10から2000μmの間で、比較的均質な方法で分布され;気泡質孔の10%未満は10μm未満の直径を有し、気泡質孔の20から85%は300μm未満の直径を有し、気泡質孔の4から40%は450μmより大きい直径を有する。
【0163】
またフォームは、気泡質孔のサイズが非常に広範にわたり、気泡質孔の支配的なサイズが存在せず、表面の単位当たりの気泡質孔の数が少ない点が、今日まで知られてきたフォームと区別される。事実、一般にdm当たり1500個未満の気泡質孔を数えることができる。
【0164】
さらに、密度が低下する場合、気泡質孔のサイズの増大によって多孔率が上昇するのに対し、その数は減少することが観察される。気泡質孔の15%超、時には気泡質孔の少なくとも30%であっても、これらは300μmより大きい直径を有する。
【0165】
これとは対照的に、今日まで知られてきたセラミックフォームは、密度に応じてほとんど変わらない孔径を有し、一般には孔の90%が300μm未満であり;したがって密度の減少には、孔の数の増加が伴う。
【0166】
表1のフォームの大きな気泡質孔の存在によって、非常に弱い電荷損失を有する生成物を得ることも可能になるが、これは、ある適用例、例えばガス濾過で特に有利である。
【0167】
これらのフォームは、非常に高い化学純度を有する点でも注目に値する。この純度は、使用される有機成分が高温処理による硬化中に燃焼することから、使用されるセラミック原材料の純度に関連する。
【0168】
下記の表2は、上記実施例21および23のフォームと、上記実施例21によるセラミックフォームの含浸によって得られた本発明による部材とに関して行われた試験結果をまとめる。
【0169】
密度は、前述の通り測定した。多孔率は、焼成によって、また材料の密度を炭化ケイ素の理論密度と比較することによって得られた。
【0170】
破断弾性率MORは、サイズ140×30×13mmのサンプルの3点曲げによって測定した。
【0171】
【表2】

【0172】
表2は、実施例21によるフォームの含浸によって得られた本発明による部材が、このフォームの場合よりも非常に高い破壊抵抗力を有することを示す。しかし、本発明による部材の多孔率は、非常に高いままである。
【0173】
本発明による部材の多孔率は、実施例23のフォームの場合と類似しているが、本発明による部材は、それほど稠密ではなくかつ破壊に対する抵抗力がより高いことが有利である。
【0174】
ここで明らかにされるように、本発明は、高い多孔率および改善された機械的強度の両方を有する多孔質セラミック部材を提供する。
【0175】
当然ながら、本発明は、記述され表示された実施形態に限定されず、例示的な非限定的実施例として提供される。
【0176】
特に、実現された粒間多孔率を有するセラミックフォームは、特定の微細構造、特に全多孔率が50から92%の間でありかつ粒間多孔率が少なくとも5%である構造を特徴とする。本発明者等の知識によれば、この微細構造を有する硬化セラミックフォーム、とりわけ再結晶炭化ケイ素から作製された硬化フォームは、従来技術では知られていない。この微細構造を有する任意の硬化セラミックフォームは、これを製造するのに実施される方法とは独立に、本発明による部材を製造するのに使用することができる。
【0177】
本発明の好ましい実施形態では、この微細構造が、高温処理による硬化ステップ中の、炭化ケイ素の再結晶から得られる。しかし、その他のセラミック材料も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1a】含浸材料がケイ素である、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図1b】含浸材料がケイ素である、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図1c】含浸材料がケイ素である、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図1d】含浸材料がケイ素である、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図1e】含浸材料がケイ素である、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図2a】含浸材料がガラスである、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図2b】含浸材料がガラスである、方法1により製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図3】含浸材料がケイ素である、方法2aにより製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図4】含浸材料がケイ素である、方法2aにより製造された本発明による部材の表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、光学顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図5】以上に示す様々な予備混合物Bのレオロジー的挙動を強調するグラフである。
【図6】以上に示す様々な予備混合物Bのレオロジー的挙動を強調するグラフである。
【図7】FR0507936に記載されておりかつ以上に述べた実施例21に相当した、硬化フォームの表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、走査型電子顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図8】FR0507936に記載されておりかつ以上に述べた実施例21に相当した、硬化フォームの表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、走査型電子顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【図9】FR0507936に記載されておりかつ以上に述べた実施例21に相当した、硬化フォームの表面から10から20mmで得られたサンプルに関して、走査型電子顕微鏡で得られた画像を様々な倍率で拡大した図である。
【符号の説明】
【0179】
10 気泡
16 開口
17 壁
18 粒子
20 間隙
22 含浸材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全多孔率が50から92%の間でありかつ粒間多孔率が少なくとも5%である多孔質セラミックフォームを含み、前記セラミックフォームの気泡の少なくともいくつかの壁には、少なくとも部分的に含浸材料が含浸されている、多孔質セラミック部材。
【請求項2】
前記含浸材料が、金属、金属合金、溶融ガラス、および熱可塑性有機化合物から選択される、請求項1に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項3】
前記含浸材料が、ケイ素、アルミニウム、ソーダ石灰ガラス、ホウ素ガラス、および熱可塑性樹脂から選択される、請求項1に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項4】
前記気泡の少なくとも一部が、再結晶炭化ケイ素壁によって少なくとも部分的に画定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項5】
前記多孔質セラミックフォームが、再結晶炭化ケイ素を少なくとも95質量%含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項6】
破断点曲げ弾性率が2MPaより高くかつ全多孔率が70%よりも高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項7】
前記フォームの気泡質孔の平均サイズが150から700μmの間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項8】
前記含浸材料の体積が、含浸前の前記フォームの粒間孔の体積に実質的に等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項9】
前記多孔質セラミックフォームの厚さが60mmよりも厚い、請求項1から8のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項10】
前記含浸材料の量が、セラミック部材の5から15体積%の間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項11】
全多孔率が50から92%の間でありかつ粒間多孔率が少なくとも5%であるセラミックフォームの気泡の壁の少なくとも一部に、含浸材料を用いて含浸させるステップを含む、多孔質セラミック部材を製造するための方法。
【請求項12】
前記含浸材料および前記セラミックフォームが、前記多孔質セラミック部材が請求項1から10のいずれか一項に記載されるものになるように選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記セラミックフォームが、下記の連続ステップ、即ち:
a)懸濁させたセラミック粉末、少なくとも1種のゲル化剤、および少なくとも1種の起泡剤を含有する混合物Mを、前記ゲル化剤のゲル化温度よりも高い混合温度で調製するステップ、
b)フォームが得られるまで、前記ゲル化温度よりも高い起泡温度で前記混合物Mを剪断するステップ、
c)前記ゲル化剤のゲル化温度よりも低い温度で、前記混合物Mを冷却することによって、前記フォームをゲル化するステップ、
d)プリフォームが得られるように、前記ゲル化フォームを乾燥するステップ、
e)多孔質セラミックフォームが得られるように、前記プリフォームを硬化するステップ
に従って製造され、
前記混合物Mは炭化ケイ素を含み、ステップe)での硬化は、前記炭化ケイ素の蒸発−再結晶メカニズムを用いた強化が可能な条件下で実施される、
請求項11または12に記載の多孔質セラミック部材を製造するための方法。
【請求項14】
含浸が、ステップe)の後に実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップe)の前に、粉末の形をとる含浸材料を前記プリフォームと接触させる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ステップa)で、粉末の形をとる含浸材料が混合物Mに添加される、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記含浸材料は、そのグレードが0.05から2mmの間の粉末である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
混合物Mに対する質量パーセンテージとして、少なくとも2%のシリカを混合物Mに添加する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップa)で実現されるセラミック粉末の粒度が、二峰的または三峰的に分布される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記多孔質セラミックフォームが、三峰性粒度分布を有する炭化ケイ素粉末から製造され、第1の最頻値は5ミクロン未満であり、第2の最頻値は10ミクロンよりも大きく、第3の最頻値は第1の最頻値と第2の最頻値との間の中間値である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記含浸材料がケイ素金属である、請求項11から20のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記安定剤が前記混合物Mに添加され、その瞬間粘度(単位:Pa.s)が、前記安定剤の剪断速度が100s−1から0s−1に低下したときに少なくとも10倍増大する、請求項13から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記安定剤は、剪断速度に応じたその粘度の進展が実質的に可逆的であるように選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記安定剤は、ステップc)の終わりに前記フォームの粘度が20℃で1000Pa.sよりも大きくなるように選択される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記再結晶が、1800から2500℃の間の温度で実施される、請求項11から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
厳密に必要とされる量に対して過剰な含浸材料が、粒間孔の容積を充填するのに使用される、請求項11から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記含浸材料の量が、粒間孔の体積の1.2倍未満である、請求項11から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
触媒担体のための、液体または高温ガス濾過のための、ガスバーナの拡散器としての、太陽容量受信器での、またはサガースタック部材としての、請求項1から10のいずれか一項に記載の多孔質セラミック部材の使用、または請求項11から27のいずれか一項に記載の方法を用いて製造された多孔質セラミック部材の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−525249(P2009−525249A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552859(P2008−552859)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050709
【国際公開番号】WO2007/088306
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(506426269)サン−ゴベン・セントル・ドゥ・レシェルシェ・エ・デチュード・ユーロペアン (42)
【Fターム(参考)】