説明

再送信装置

【課題】 出力高周波信号の周波数を予め定めた周波数と一致させる。
【解決手段】 受信側装置2及び再送信側装置4が離れて配置され、受信側装置2が同軸ケーブル6を介して所定周波数の入力地上デジタルテレビジョン放送信号を再送信側装置4に伝送する。再送信側装置4の第1及び第2周波数変換器12、18及び第1及び第2局部発振器14、20が入力地上デジタルテレビジョン放送信号を、前記所定周波数と異なる周波数の出力地上デジタルテレビジョン放送信号に周波数変換し出力する。第1及び第2局部発振器14、20に、受信側装置2に設けたルビジウム発振器24が発振した基準信号が、同軸ケーブル6を介して伝送される。基準信号に基づき第1及び第2局部発振器14、20が第1及び第2局部発振信号を発振する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばギャップフィラーのような再送信装置に関し、特に入力周波数と出力周波数とが異なるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような再送信装置としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術では、親局から送信されている電波をアンテナで受信し、この受信信号を周波数変換器によって予め定めた他の周波数の送信信号に変換して送信する。周波数変換器は、周波数変換に局部発振信号を使用する。この局部発振信号は、再送信装置に内蔵される基準発振器が発振する基準信号を基に局部発振器によって発振される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−101032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術(特許文献の図3)では、局部発振信号を発振するために、再送信装置に内蔵される基準発振器からの基準信号を使用している。そのため、局部発振信号の周波数が必要とされる周波数とずれて、送信信号の周波数が予め定めた周波数からズレが生じることがあった。このとき、周波数変換手段に入力される周波数と、周波数変換手段から出力される周波数が異なるため、同期をとるようにしなければならなかった。
【0005】
本発明は、所望の周波数に周波数変換して出力することが可能な再送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の再送信装置では、受信手段を有する受信側と、送信手段を有する送信側とが、伝送路を介して離れて位置し、前記受信側から前記伝送路を介して所定周波数の入力高周波信号が前記送信側に伝送される。前記送信側において周波数変換手段によって前記入力高周波信号を、前記所定周波数と異なる周波数の出力高周波信号に周波数変換して送信手段によって出力する。前記周波数変換手段は、局部発振手段が発振する局部発振信号を使用して周波数変換を行う。前記局部発振手段は、基準信号に基づいて前記局部発振信号を発振する。前記基準信号は、前記送信側以外に設けられた高精度安定周波数発振手段が発振して、前記送信側に伝送される。
【0007】
このように構成した再送信装置では、高精度の安定周波数の基準信号が送信側に伝送され、この基準信号に基づいて局部発振信号が発振される。従って、出力高周波信号の周波数は、予め定めた周波数となり、周波数のずれが生じることはない。
【0008】
前記基準信号を、前記伝送路を介して前記受信側から前記送信側に伝送路を介して伝送することができる。このように構成すると、入力高周波信号伝送用の伝送路を利用して、基準信号を伝送できる。
【0009】
前記受信側において、前記基準信号のレベルを検出手段によって検出し、そのレベルが予め定めたレベルよりも小さいとき、前記受信側に設けた基準信号発生手段が発生する基準信号を前記局部発振手段に供給することもできる。
【0010】
このように構成すると、伝送される基準信号の品質に劣化が生じた場合でも、出力高周波信号の出力を継続することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、高精度安定周波数発振手段が発生する高精度で安定周波数の基準信号を送信側に伝送し、その基準信号を基に発振させた局部発振信号に基づいて周波数変換を行っているので、出力高周波信号の周波数を予め定めた周波数と一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の再送信装置のブロック図である。
【図2】図1の再送信装置の受信側装置及び再送信側装置の配置を示す図である。
【図3】図1の再送信装置の別の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の再送信装置は、図2に示すように、受信側装置2と、複数台、例えば3台の再送信側装置4とを有している。再送信側装置4は、それぞれ異なるサービスエリアに向けて電波を再送信するように、離れた異なる位置に設けられている。これら再送信側装置4のいずれとも離れた位置に、受信側装置2が配置されている。
【0014】
受信側装置2では、受信手段、例えば受信アンテナ(図示せず)によって受信した入力高周波信号、例えば特定のチャンネルの入力地上デジタルテレビジョン放送信号(例えば470乃至770MHz)を、例えば増幅器(図示せず)で増幅し、伝送路、例えば同軸ケーブル6によって各送信側装置4に伝送する。なお、同軸ケーブル6中に分配器を介在させて、その分配出力を各送信側装置4に伝送している。なお、分配器7に代えて分岐器を使用することもできる。
【0015】
各再送信側装置4では、図1に示すように、同軸ケーブル6によって伝送された入力地上デジタルテレビジョン放送信号が増幅器10によって増幅され、周波数変換手段の第1周波数変換器12に供給される。第1周波数変換器12には、局部発振手段の第1局部発振器14からの第1局部発振信号が供給されている。第1周波数変換器12は、第1局部発振信号を使用して、特定チャンネルの地上デジタル放送信号を中間周波信号に周波数変換する。
【0016】
中間周波信号は、増幅器16によって増幅され、周波数変換手段の第2周波数変換器18に供給される。第2周波数変換器18には、局部発振手段の第2局部発振器20から第2局部発振信号が供給されている。第2周波数変換器18は、第2局部発振信号を使用して、中間周波信号を、入力高周波信号と異なる周波数の出力高周波信号、例えば入力地上デジタルテレビジョン放送信号と異なる周波数の出力地上デジタルテレビジョン放送信号に周波数変換する。第2周波数変換器18から出力された出力地上デジタルテレビジョン放送信号は、増幅器22によって増幅され、図1に示す送信アンテナ23から所定のサービスエリアに向けて送信される。
【0017】
第1局部発振器14及び第2局部発振器20は、例えばPLLを備えたもので、第1局部発振信号及び第2局部発振信号を発振するために、基準信号を必要とする。この基準信号としては、受信側装置2に設けられた高精度安定周波数発振手段、例えばルビジウム発振器24の発振信号(例えば10MHz)が使用されている。このルビジウム発振器24の発振信号は、受信側装置2に設けられた混合器25によって、入力地上デジタルテレビジョン放送信号と混合され、同軸ケーブル6を介して再送信側装置4に伝送される。
【0018】
発振信号と入力地上デジタルテレビジョン放送信号の混合信号は、再送信側装置4では、1分岐器26によって分岐され、1分岐器26の出力からフィルタ28によって入力地上デジタルテレビジョン放送信号が抽出されて、増幅器10に供給される。
【0019】
1分岐器26の分岐信号は、フィルタ30に供給され、ここで発振信号が抽出される。抽出された発振信号は、増幅器32によって増幅され、第1局部発振器14、第2局部発振器20に供給される。この発振信号は、高精度で安定な周波数のものであるので、第1及び第2局部発振信号も高精度で安定なものとなる。従って、出力地上デジタルテレビジョン放送信号の周波数も高精度で安定なものとなる。これによって、入力チャンネルと出力チャンネルとが異なっても同期を取ることができる。また、複数の送信側装置4に、1台の受信側装置2に設けたルビジウム発振器24から発振信号を供給することができるので、コストを低減することもできる。
【0020】
なんらかの原因でルビジウム発振器24からの発振信号のレベルが低下すると、再送信側装置4から出力地上デジタルテレビジョン放送信号を出力することが不能となる。そこで、増幅器32の出力側に1分岐器34を設け、その1分岐器34の出力は、第1及び第2局部発振器14、20に供給し、1分岐器34の分岐出力を検波器36によって検波し、その検波出力(発振信号のレベル)が所定値以下の場合、切換スイッチ38を切り換えて、再送信側装置4内に設けてある内部基準信号発振器40から内部基準信号を第1及び第2局部発振器14、20に供給するように構成してある。
【0021】
また、受信側装置2と再送信側装置4とが比較的接近して配置される場合には、受信側装置2のルビジウム発振器24の発振信号を直接に再送信側装置4に伝送することができるようにも、この再送信装置は、構成されている。そのため、再送信側装置4内には、ルビジウム発振器24から直接に供給された発振信号を増幅する増幅器42が設けられている。また、この増幅器42と、同軸ケーブル6を伝送された発振信号を増幅する増幅器32とのうちいずれか一方を選択して、1分岐器34に供給する切換スイッチ44が設けられている。
【0022】
また、図3に示すようにヘッドエンド46や同軸ケーブル47中に中継用の増幅手段、例えば分岐増幅器48、48を備える既存の共同受信システムにおけるヘッドエンド46を受信側装置として使用する場合、分岐増幅器48、48は、下り信号が例えば70MHz以上の周波数の信号しか増幅しない。そのため、図1に示すのと同様にヘッドエンド46側から同軸ケーブル47を介してルビジウム発振器からの発振信号を伝送しても、発振信号は、その周波数が例えば10MHzであるので、分岐増幅器48、48によって増幅されず、再送信側装置4には伝送されない。そのような場合には、ルビジウム発振器24を再送信側装置4の近傍に配置し、ルビジウム発振器24の発振信号を上述したのと同様に直接に再送信側装置4の増幅器42に供給し、切換スイッチ44を切り換えて、増幅器42の出力信号が、1分岐器34に供給されるようにする。なお、ルビジウム発振器24を、ヘッドエンド46内に配置し、ルビジウム発振器24の発振信号を伝送路を介して伝送し、再送信側装置4の増幅器42に供給することもできる。
【0023】
上記の実施形態では、周波数変換手段は、第1及び第2の周波数変換器12、18を使用して2段階の周波数変換を行ったが、出力地上デジタルテレビジョン放送信号の周波数によっては、1台の周波数変換器のみを使用した1段階の周波数変換を行うことも可能である。上記の実施形態では、1波の地上デジタルテレビジョン放送信号を再送信したが、これに限らず、複数波の地上デジタルテレビジョン放送信号を再送信することもできる。
また、上記の実施形態では、地上デジタルテレビジョン放送信号を再送信したが、これに限らず、共同受信施設における自主放送信号を再送信することもできる。また、衛星放送または衛星通信受信アンテナで受信して、このアンテナに付属するコンバータで周波数変換した衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号を再送信することもできる。
【符号の説明】
【0024】
2 受信側装置
4 再送信側装置
6 同軸ケーブル(伝送路)
12 第1周波数変換器(周波数変換手段)
14 第1局部発振器(局部発振手段)
18 第2周波数変換器(周波数変換手段)
20 第2局部発振器(局部発振手段)
24 ルビジウム発振器(高精度安定周波数発振手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信手段を含む受信側と、送信手段を含む送信側とが伝送路を介して離れて位置し、前記受信側から前記伝送路を介して所定周波数の入力高周波信号が前記送信側に伝送され、前記送信側において周波数変換手段によって前記入力高周波信号を、前記所定周波数と異なる周波数の出力高周波信号に周波数変換して前記送信手段より出力する再送信装置において、
前記周波数変換手段は、局部発振手段が発振する局部発振信号を使用して周波数変換を行い、前記局部発振手段は、基準信号に基づいて前記局部発振信号を発振し、前記基準信号は、前記送信側以外に設けられた高精度安定周波数発振手段が発振して、前記送信側に伝送される再送信装置。
【請求項2】
請求項1記載の再送信装置において、前記基準信号は、前記伝送路を介して前記送信側に前記受信側から伝送される再送信装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の再送信装置において、前記送信側において、前記基準信号のレベルを検出手段によって検出し、そのレベルが予め定めたレベルよりも小さいとき、前記送信側に設けた基準信号発生手段が発生する基準信号を前記局部発振手段に供給する再送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−134636(P2012−134636A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283242(P2010−283242)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】