説明

再開封可能包装袋

【課題】開封が容易であり、開封した際の開口部の形状を維持でき、かつ、その開口部の大きさを調節できる再開封可能包装袋の提供。
【解決手段】表面14および裏面15を有する袋本体10と、該袋本体10の口部11側の角部12と収容部13とを仕切る仕切材20とを備え、前記仕切材20は2つの薄葉体21が対向して構成され、各薄葉体21は袋本体10の表面14および裏面15の各々に密着して設けられ、各薄葉体21の対向した内面には、着脱自在に封止するファスナ22が形成され、かつ、前記ファスナ22を互いに離間した際に開口するように折曲させる易折曲線23が形成されていることを特徴とする再開封可能包装袋1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再開封可能包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状や粉末状の食品などを収容し保存する容器として、再開封可能なファスナを備えた包装袋がある。
しかし、ファスナ付きの包装袋は、内容物を注出する際に注ぎ口の形状を維持するのが困難であり、内容物を注出しにくかった。
【0003】
そこで、注出口の形状を維持できるファスナ付き包装袋として、例えば特許文献1には、袋本体部の口部側の角部にピラミッド状の注出ユニットが取り付けられたファスナ付き包装袋が開示されている。
また、特許文献2には、袋本体部と、該袋本体部の上部においてその角部に溶着されて取り付けられた、袋本体部の内容物を注出する注出ユニットとから構成されるファスナ付き包装袋が開示されている。
【0004】
特許文献1、2に記載の包装袋を開封する際は、注出ユニットの壁面部に形成された開封線に沿って注出ユニットを切り裂いて注出ユニットを分断し、開口部を形成する。すなわち、特許文献1、2に記載の包装袋は、分断した注出ユニットのうち、袋本体部に残っている方の注出ユニットが注ぎ口の役割を果たす。そして、特許文献1、2によれば、この注ぎ口、すなわち開口部の形状が容易に維持できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−350104号公報
【特許文献2】国際公開第07/108251号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の包装袋では、開封する際に注出ユニットの壁面部に予め設けられている開封線に沿って注出ユニットを切り裂く。従って、開封位置が既に決められているため、必然的に開口部の大きさも決まってしまう。その結果、例えば液状や粒子径の小さい粉末状の内容部が包装袋に注入されている場合は、内容物が一気に注出してしまうことがあり、作業性が低下する場合があった。一方、高い粘性を有する内容物や、固まり状の内容物が包装袋に注入されている場合は、内容物が詰まって注出しにくくなることもあった。このように、内容物の性状や種類によっては、内容物が注出されにくいことがあった。
さらに、特許文献1、2に記載の包装袋は、注出ユニットを切り裂いて開封するが、注出ユニットは袋本体部を形成するフィルムに比べて硬いので切断しにくく、開封するのが困難となることがあった。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、開封が容易であり、開封した際の開口部の形状を維持でき、かつ、その開口部の大きさを調節できる再開封可能包装袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の再開封可能包装袋は、表面および裏面を有する袋本体と、該袋本体の口部側の角部と収容部とを仕切る仕切材とを備え、前記仕切材は2つの薄葉体が対向して構成され、各薄葉体は袋本体の表面および裏面の各々に密着して設けられ、各薄葉体の対向した内面には、着脱自在に封止するファスナが形成され、かつ、前記ファスナを互いに離間した際に開口するように折曲させる易折曲線が形成されていることを特徴とする。
また、前記2つの薄葉体はファスナの起点および終点側の薄葉体の両側端が線対称であり、一方の薄葉体の一方の側端と、他方の薄葉体の一方の側端とが連結し、各薄葉体は、この連結した側端が袋本体の側部に、他方の連結していない側端が袋本体の口部に位置して設けられ、かつ、各薄葉体の両側端の対称軸上以外の箇所に貫通孔が形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再開封可能包装袋によれば、開封が容易であり、開封した際の開口部の形状を維持でき、かつ、その開口部の大きさを調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の再開封可能包装袋の一例を示す平面図である。
【図2】仕切材の一例を示す展開図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】仕切材に形成されたファスナの一例を示す断面図であり、(a)は係合した状態、(b)は係合が解除された状態である。
【図4】本発明の再開封可能包装袋の製造方法の一工程例を説明する斜視図である。
【図5】仕切材がフィルムにヒートシールされた状態を示す説明図である。
【図6】開封により開口部が開かれる状態を示す斜視図である。
【図7】再開封可能包装袋から内容物を注出する状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は再開封可能包装袋の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)に示す再開封可能包装袋から内容物を注出する状態を示す斜視図である。
【図9】再開封可能包装袋の他の例を示す平面図である。
【図10】袋本体と仕切材との接続構造の他の例を説明する図であり、(a)は接続前、(b)は接続後である。
【図11】再開封可能包装袋の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の再開封可能包装袋(以下、単に「包装袋」という。)の好ましい形態の一例について、図1〜11を参照しながら説明する。なお、図2〜11において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略することがある。
図1に示す包装袋1はスタンディングパウチタイプであり、袋本体10と、その袋本体10の中に設けられ、袋本体10の口部11側の角部12と収容部13とを仕切る仕切材20とを備える。
【0012】
袋本体10は、対向する表面14と裏面15とが、側部16に沿ってヒートシールされ筒状に形成されると共に、底部17が山折り線Xにて2つ折りされV字状に折り込まれている。
表面14と裏面15は、1枚のフィルムを2つ折りに重ねたり、2枚のフィルムを重ねたりして対をなしている。
【0013】
表面14と裏面15、および底部17を構成するフィルムは、包装袋1に収容される内容物の種類や性状等を勘案して決定することができ、例えばプラスチックを主体とする積層フィルムや単層フィルムを用いることできる。中でも積層フィルムを用いることが好ましい。積層フィルムとしては特に限定されないが、外層と内層が積層されたフィルムや、外層と内層の間に中間層が設けられたフィルムなどが挙げられる。各層は例えば既存のドライラミネート法や押出ラミネート法により貼り合わせればよい。
【0014】
外層としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系などの合成樹脂からなるフィルムが挙げられる。中でも2軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。なお、外層の内面、すなわち内層または中間層と接する側の面や、外層の外面、すなわち外気と触れる面に印刷を施してもよい。外層に印刷を施す方法としては特に制限されない。
内層としては、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる未延伸フィルムや、層状に押出された樹脂が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンや、無延伸ポリプロピレンが好ましい。
【0015】
中間層としては、ポリアミド系などの合成樹脂からなるフィルムが挙げられる。中でも2軸延伸ナイロンが好ましい。
また、中間層としてガスバリア性フィルムを用いてもよい。ガスバリア性フィルムを併用することで、酸素等により変質しやすい内容物の収容に特に適した包装袋が得られる。ガスバリア性フィルムとしては、ポリエステルまたはポリアミドからなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナ等を蒸着させたフィルム、アルミニウム箔、ポリビニルアルコールからなるフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるフィルム、ポリビニリデンクロライドからなるフィルム等が挙げられる。
これら中間層は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
一方、仕切材20は、2つの薄葉体21が対向して構成され、各薄葉体21が袋本体10の表面14および裏面15の各々の内側に密着して設けられている。また、各薄葉体21の対向した内面には、着脱自在なファスナ22がそれぞれ形成されている。さらに、ファスナ22を互いに離間した際に開口するように折曲させる易折曲線23が形成されている。
ここで、図2を用いて仕切材20の一例について具体的に説明する。図2は仕切材20の一例を示す展開図であり、(a)は平面図、(b)は後述する薄葉体21の上端26bから見た側面図である。
【0017】
図2に示す2つの薄葉体21は、それぞれ薄板であり、かつ5角形をなしている。本発明においては、この5角形を形成する5辺のうち、ファスナ22の起点および終点側の2辺を薄葉体21の側端24とする。また、残りの3辺のうち、隣り合う2辺を薄葉体21の下端26a、残りの1辺を薄葉体21の上端26bとする。
薄葉体21は、両側端24が線対称である。そして、一方の薄葉体211の一方の側端24aと、他方の薄葉体212の一方の側端24aとが連結し、一体化している。
さらに、図2(b)に示すように、各薄葉体21の一方の側端24aにはシールしろ25aが薄葉体21の外面に張り出して形成されている。また、連結していない他方の側端24bには薄葉体21の延長上にシールしろ25bが形成されている。以下、一方の側端24aを「連結側の側端」、他方の側端24bを「非連結側の側端」という。
【0018】
図2(a)に示すファスナ22は、一方の薄葉体211に形成された雄型ファスナ221と、他方の薄葉体212に形成された雌型ファスナ222とからなる。雄型ファスナ221と雌型ファスナ222は、下端26aから一定の距離を保つように下端26aと平行をなして屈曲し、それぞれ薄葉体21に一体化して形成されている。なお、図2(a)に示す屈曲の状態を、薄葉体21の下端26a側に屈曲した状態とする。
【0019】
図3にファスナ22の詳細を示す。図3はファスナ22の一例を示す断面図であり、(a)はファスナ22が係合した状態、(b)は係合が解除された状態を示す。
雄型ファスナ221は、薄葉体211の内面から垂直に突出する一対の係合爪221aから構成されている。これら係合爪221aは、その全長にわたり一定の間隔が形成されるようにして平行に設けられている。これら係合爪221aの根元には、その全長にわたって外面に溝部221bがそれぞれ形成されている。
【0020】
一方、雌型ファスナ222は、薄葉体212の内面から垂直に突出する一対の係合壁222aから構成されている。これら係合壁222aも相互に平行をなしている。この係合壁222a同士の間隔は、これら係合壁222aの内側に、雄型ファスナ221の一対の係合爪221aを挿入させることができるように、係合爪221aの外面間の寸法に対応するよう形成されている。そして、係合壁222aの先端には、内側に向けて突出する爪部222bがそれぞれ形成されている。これら爪部222bは、雄型ファスナ221を構成している係合爪221aの根元に形成された溝部221bに対して着脱可能に構成されている。
【0021】
ファスナ22は、図3(a)に示すように、雄型ファスナ221の係合爪221aが雌型ファスナ222の係合壁222aの間に挿入されると、係合爪221aの根元に形成された溝部221bに、係合壁222aの先端に形成された爪部222bが係合する。
そして、溝部221bと爪部222bの係合を解除することで、図3(b)に示すように雄型ファスナ221と雌型ファスナ222とが離間する。
なお、雄型ファスナ221の一対の係合爪221a、および雌型ファスナ222の係合壁222aは、図2(b)に示すように、それぞれ起点および終点に向けて、傾斜部221c、222cを有して徐々に高さが低くなっていることが好ましい。また、この傾斜部221c、222cのみについては、雄型と雌型の形状が逆になっていてもよい。
【0022】
易折曲線23は、薄葉体21の上端26bおよび下端26aを結ぶように形成されている。易折曲線23は、図2(a)に示すように、ファスナ22の屈曲している位置を通り上端26bおよび下端26aのそれぞれの中点を通っていてもよいし、通っていなくてもよいが、薄葉体21を折曲させて開口の形状をより維持しやすくさせる点で、上端26bおよび下端26aのそれぞれの中点を通っているのが好ましい。この場合、易折曲線23は、薄葉体21の対称軸上に形成されることになる。
【0023】
図1、2に示す仕切材20には、薄葉体21の両側端24の対称軸線上以外の箇所に、貫通孔27が設けられている。
仕切材20は、詳しくは後述するが、通常、ファスナ22が係合した状態で袋本体10に装着される。その際、図2(a)に示すように薄葉体21同士が連結していると、各薄葉体21は両側端24が線対称であるため、ファスナ22が係合したときに連結側の側端24aと非連結側の側端24bとが区別しにくい。
【0024】
貫通孔27が対称軸上以外の箇所に形成されるということは、薄葉体21の非対称となる位置に貫通孔27が形成されることを意味する。従って、例えば図1、2に示すように対称軸よりも連結側の側端24a寄りに貫通孔27を形成する、というように予め決めておけば、各薄葉体211、212がファスナ22を内側にして重ね合わせた際に、仕切材20を外面側から見ても、連結側の側端24aと非連結側の側端24bが容易に区別できる。すなわち、貫通孔27は、仕切材20の向きの目印の役割を果たす。
また、貫通孔27は、仕切材20を袋本体10に装着する際に、一つずつ仕切材20を供給するパーツフィーダのストックバーが挿入される部位にもなる。
【0025】
さらに、仕切材20には、ファスナ22の係合を解除する摘み部28が、薄葉体21の外面に突出して形成されている。摘み部28は、ファスナ22の中点22aに相当する位置に、易折曲線23に対して平行になるように形成されているが、摘み部28の形成位置はこれに限定されない。
摘み部28は、薄葉体に一体化して形成されている。
【0026】
図1に示す包装袋1は、仕切材20が袋本体10の角部12と収容部13とを仕切るように、袋本体10に取り付けられている。従って、角部12には仕切材20がなく、フィルムのみで構成されている。
また、包装袋1は、仕切材20が袋本体10の内側で密着している。
具体的には、薄葉体21の連結側の側端24aが袋本体10の側部16に位置し、シールしろ25aと袋本体の表面14および裏面15の内側とがヒートシールされている。また、薄葉体21の非連結側の側端24bが袋本体10の口部11に位置し、シールしろ25bと袋本体10の表面14および裏面15の内側とがヒートシールされている。さらに、シールしろ25b同士もその内面でヒートシールされている。
また、薄葉体21の上端26bが袋本体10の角部12側に、下端26aが袋本体10の収容部13側にそれぞれ向けられ、上端26bおよび下端26aの縁に沿って、袋本体10の表面14および裏面15の内側にヒートシールされている。
【0027】
ついで、図1に示す包装袋1の製造方法の一例について説明する。
まず、図4に示すように、袋本体10の表面14および裏面15を構成する2枚の帯状のフィルム30同士を対向させ、その長手方向に搬送する。
なお、図4において包装袋1同士の境界31を破線で示す。帯状のフィルム30は、その長手方向が各包装袋1の幅方向となる。また、帯状のフィルムの上部32が包装袋1の口部11側、境界31が包装袋1の側部16側となる。
【0028】
ついで、フィルム30の上部32に、仕切材20に形成された摘み部28が挿入される挿入孔33を、一定の間隔毎に形成する。その際、挿入孔33自体の形状が摘み部28の外形に対応するように挿入孔33を形成する。さらに、仕切材20が装着された際に、フィルムの境界31および上部32の縁が、仕切材20のシールしろ25a、25bの端と一致するように配置させた際に摘み部28に対応する位置に、挿入孔33を形成する。
【0029】
別途、2つの薄葉体21同士が連結し、これら薄葉体21にファスナ22、シールしろ25a、25b、および摘み部28が一体化され、かつ易折曲線23が形成された図2(a)に示す仕切材20を、射出成形等により成形する。
仕切材20を構成する樹脂としては特に制限されないが、仕切材20は袋本体10の表面14および裏面15の内側とヒートシールにより装着されるため、表面14および裏面15の内側に相当する積層フィルムの内層とヒートシール可能な同種の樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレンなどの形状記憶樹脂や、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのバリア性樹脂を用いてもよい。
【0030】
ついで、ファスナ22を係合して各薄葉体21の内面を対向させる。そして、対称軸よりも連結側の側端24a寄りで、かつ薄葉体21の上端26bの近傍において貫通孔27を形成する。
【0031】
このようにして作製したファスナ22が係合した状態の仕切材20を、搬送されるフィルム30同士の間に上部32から供給する。その際、摘み部28の位置と挿入孔33の位置が合うように、仕切材20を供給する。
【0032】
仕切材20がフィルム30同士の間に供給されると、薄葉体21の外面に形成された摘み部28がフィルム30同士の内側から挿入孔33にそれぞれ挿入され、摘み部28がフィルム30の外側に向けて突出する。そして、図5に示すように、仕切材20のシールしろ25a、25bの端が、フィルム30の境界31、および上部32の縁にそれぞれ一致する。
【0033】
なお、フィルム30に形成された挿入孔は、上述したように仕切材20のシールしろ25a、25bの端が、フィルム30の境界31、および上部32の縁にそれぞれ一致するように、その形状および形成位置が決められる。従って、挿入孔によって、仕切材20を装着する際の、仕切材20の位置決めを行うこともできる。
また、薄葉体21の対称軸よりも連結側の側端24a寄りに貫通孔27を設けているので、対称軸を基準とした貫通孔27の位置を確認することで、各薄葉体21が重ね合わされた仕切材20を外面側から観察することでも、薄葉体21の両側端24において、連結側の側端24aと非連結側の側端24bとを容易に区別できる。従って、図5に示すようにシールしろ25aの端が境界31に、シールしろ25bの端が上部32の縁にくるように、仕切材20の向きを容易に判断できる。
【0034】
挿入孔33に摘み部28が挿入されて仕切材20が位置合わせされた後、仕切材20の外面とフィルム30の内面とをヒートシールにより貼り合わせ、仕切材20と袋本体10を一体化させる。貼り合わせる面は仕切材20の外面の全面でもよいが、ファスナ22の外面、すなわちファスナ22が形成された部分に相当する仕切材20の外面と、フィルム30の内面とをヒートシールすると、ファスナ22が潰れることがある。従って、ファスナ22の外面はヒートシールされないことが好ましい。また、仕切材20の外面のうち、ファスナ22の外面以外の部分のヒートシールについては特に制限されず、図1に示すように各薄葉体21の上端26bと下端26aの縁に沿ってヒートシールしてもよいし、図5に示すように、貫通孔27の周囲と、ファスナ22の外面およびその周囲を残した以外を全てヒートシールしてもよい。
【0035】
その後、フィルム30は、各包装袋の境界31に沿ってヒートシールされる。このヒートシールにより、包装袋の側部16に相当するフィルム30の内面同士、およびフィルム30の内面と仕切材20のシールしろ25aとが一体化される。その際、図2(b)に示す雄型ファスナ221の傾斜部221cの一方と、これに対応する雌型ファスナ222の傾斜部222cの一方とが接着するように、シールしろ25aを越えてヒートシールしてもよい。
【0036】
上述したヒートシールの工程により、各薄葉体21がフィルム30の内面にそれぞれ密着し、仕切材20がフィルム30に装着する。
なお、ヒートシールする際は、袋本体10の表面14の内側と仕切材20との接合、裏面15の内側と仕切材20との接合をそれぞれ別の段階でヒートシールすることが好ましい。仕切材20は袋本体10を構成するフィルムよりも厚さがあり、仕切材20の内面には、この内面同士が接着されるほどの熱が伝わりにくいため、内面同士は接着されない。
【0037】
仕切材20がフィルム30に装着した後、フィルム30の下部において、V字状に折り込まれた底材とフィルム30とがヒートシールされて下部側が密閉される。そして、各包装袋の境界31にてフィルム30が順次切断されて、一つの包装袋が形成される。
【0038】
なお、この段階では、袋本体の口部は全域にわたり未だ開放されたままの状態である。従って、内容物を袋本体に注入しやすい。
袋本体の口部を全域にわたり開放させるには、図4、5においてフィルム30に仕切材20を装着する際の仕切材20の向き、具体的には連結側の側端24aと非連結側の側端24bの向きが重要となる。例えば連結側の側端24aがフィルム30の上部32側に向いた状態で仕切材20をフィルム30に装着した場合、袋本体の口部11は仕切材20が装着された位置以外、すなわちシールしろ25aの位置以外でしか開放されない。よって、内容物の性状や種類によっては注入が困難となることもある。
従って、袋本体の口部11を大きく開放させるためには、上述したように、仕切材20をフィルム30に装着する際に、連結側の側端24aがフィルム30の境界31側、非連結側の側端24bがフィルム30の上部32側になるように、仕切材20を向ける必要があり、この場合は係合されたファスナ22を解除することで、口部11を大きく開放することができる。薄葉体21に貫通孔27が形成されていれば、連結側の側端24aと非連結側の側端24bの区別が容易であるため、各薄葉体21が重ね合わされた仕切材20を外面側から観察することでも仕切材20の向きを判断するのが容易であり、適切な向きで仕切材20をフィルム30に装着できる。
【0039】
内容物が注入された後、口部において表面および裏面が内側にてヒートシールされて密閉される。このとき、シールしろ25b同士もその内面でヒートシールされる。なお、口部において表面および裏面をヒートシールする際は、図2(b)に示す雄型ファスナ221の傾斜部221cの他方と、これに対応する雌型ファスナ222の傾斜部222cの他方とが接着するように、シールしろ25bを越えてヒートシールしてもよい。
これにより、図1に示した包装袋1が完成される。
【0040】
このようにして得られた図1に示す包装袋1から内容物を注出するときは、袋本体10の角部12を任意の位置で切断する。すると、図6に示すように切断した部分において角部12の一部が袋本体から切り離されると共に、その切り口において開口部40が形成される。そして、袋本体の表面および裏面から突出する摘み部28を手で摘み、図6に示す矢印Aの方向に引っ張って袋本体の表面および裏面を引き離せば、係合していたファスナ22が容易に解除される。ついで、矢印Bの方向、すなわち袋本体の口部11および側部16から相互に押し寄せるように力を加える。そうすると、図7に示すように仕切材20の各薄葉体21の中央に形成されている易折曲線23を基線として、薄葉体21が外側方向に向けて折れ曲がる。その際、薄葉体21の内面に形成されたファスナ22も外側方向に折れ曲がるため、対向する雄型ファスナと雌型ファスナが引き離されやすい。特に、薄葉体21やファスナ22を形状記憶樹脂より成形すれば、折れ曲がった薄葉体21やファスナ22は、自然には戻りにくくなる。従って、仕切材20は四角錐台状に維持されると共に、開口部40の切り口の形状も仕切材20に追随して四角状に維持される。
なお、ファスナ22を閉じて開口部40を一旦封じた後に、再度、開口部40を開く場合は、図6に示した作業と同様の作業を行えばよい。
【0041】
このように本発明の包装袋1によれば、仕切材20により袋本体10の角部12と収容部13とが仕切られている。角部12はフィルムのみで構成されているので切れやすい。従って、本発明の包装袋1であれば、特許文献1、2に記載の包装袋とは異なり角部12には仕切材20がないので、角部12を任意の位置で自由に切断して開封でき、開口部40の大きさを調節できる。よって、内容物の種類や性状に応じて切断位置を変更できるので、例えば液状や粒子径の小さい粉末状の場合は、開口部40が小さくなるように、より先端で角部12を切断すればよい。
また、最初は開口部40の大きさが小さくなるように角部12を切断し、内容物の注出具合に応じて、必要であれば仕切材20に近い位置でさらに角部12を切断して開口部40の大きさを調節することもできる。
よって本発明の包装袋1は、内容物の種類や性状よらず円滑に内容物を注出できる。
【0042】
また、上述したように、本発明の包装袋1は、袋本体10の角部12を切断して開封する。角部12はフィルムのみで構成されているので切断しやすく、容易に開封できる。
さらに、本発明の包装袋1は、仕切材20により袋本体10の角部12と収容部13とが仕切られている。対して特許文献1、2に記載の包装袋は、本発明の包装袋1の角部12に相当する領域にも注出ユニットがある。従って、本発明に用いる仕切材20は、特許文献1、2に記載の注出ユニットに比べて、角部12に相当する分だけ樹脂量を削減できるので、より低コストで包装袋1を製造できる。
【0043】
なお、袋本体10の角部12を切断する際は、はさみ等の切断治具を用いてもよいし、袋本体10の角部12の口部11や側部16に、または薄葉体21の上端と平行になるように、ノッチや傷痕などを予め形成させておき、これらを起点に手でフィルムを引き裂いてもよい。傷痕は、例えば紙やすりや砥石などを用いて粗面状に処理したり、金属刃やレーザー光線などを用いたりする方法で形成できる。傷痕が形成される部分は、口部11や側部16のヒートシールされた部分に設ける場合には、フィルムが貫通している状態であってもよく、フィルムが完全には貫通していない半貫通の状態であってもよい。それ以外の部分に設ける場合には、半貫通の状態であることが好ましい。ノッチや傷痕を設ける場合は、延伸フィルムの配向方向と切り裂き方向を考慮して包装袋を製造してもよい。具体的には、延伸フィルムの配向方向が薄葉体の上端と平行になるように包装袋を製造してもよい。
【0044】
また、本発明の包装袋1は、薄葉体21に易折曲線23が設けられているので、上述したように薄葉体21およびファスナ22が易折曲線23を基線として外側方向に向けて折れ曲がり、仕切材20の形状が容易に維持される。それに伴い、開口部40の切り口の形状も維持できるので、内容物を容易に注出できる。
なお、袋本体10の表面14および裏面15と、薄葉体21の上端26bおよび下端26aとがヒートシールにより接着されているので、内容物を注出する際に、内容物が仕切材20と袋本体10の界面から浸入して外部へ漏れ出すことがない。
【0045】
さらに、上述した包装袋1は、仕切材20を構成する2つの薄葉体21の摘み部28を除く外面全体が、袋本体10の表面14および裏面15に覆われている。薄葉体21がバリア性をもたない場合、酸素等により変質しやすい内容物を収容する際は、内容物の保護能力が低下することがある。このような内容物を収容する場合は、袋本体20を構成するフィルムとしてバリア性を有するフィルムを用い、該フィルムで薄葉体21の外面を覆うことで、包装袋1全体として優れたバリア性を発揮できる。従って酸素等により変質しやすい内容物を収容する場合にも適している。
【0046】
本発明の包装袋1に収容される内容物としては特に限定されず、液状であっても粉末状であってもよい。液状の内容物としては、例えばシャンプー、リンス、液体洗剤、食用油、各種調味料などが挙げられる。一方、粉末状の内容物としては、ペットフード、各種調味料などが挙げられる。
また、液状や粉末状以外にも、固形状の内容物や、クリーム状の内容物を収容することもできる。特に、クリーム状の内容物を収容する場合、袋本体10の角部12を所望の形状に切断すれば、包装袋1自体をそのままクリーム注出器として利用できる。
【0047】
本発明の包装袋は上述した包装袋1に限定されない。
例えば仕切材20を構成する薄葉体21の形状は、図1、図2(a)に示すような線対称な5角形状に限らず、非対称であってもよいし、矩形状などの多角形であってもよい。なお、非対称の薄葉体にも貫通孔を形成してもよく、この場合、貫通孔の形成位置は特に限定されない。ただし、非対称の薄葉体であれば、連結側の側端と非連結側の側端の区別が容易であるため、貫通孔を形成しなくてもよい。
また、仕切材20は、各薄葉体21の両側端24が線対称である場合、貫通孔27が対称軸以外の箇所に設けられるのが好ましいが、対称軸と重なっていても貫通孔が対称軸を境界に線対称でなければよい。
また、仕切材20は、一方の薄葉体211の一方の側端24aと、他方の薄葉体212の一方の側端24aとが連結しているものに限定されない。例えば連結していなくてもよいし、各薄葉体21の他方の側端24b同士も連結していてもよい。
【0048】
ファスナ22は、図3に示す形態に限定されない。さらに、図2(a)に示すように薄葉体21の下端26a側に屈曲した状態に限らず、上端26b側に屈曲した状態でもよいし、屈曲せずに直線状であってもよい。さらに、屈曲点がファスナ22の中点22a以外であってもよい。ただし、ファスナ22の長手方向と下端26aとが平行をなすように、薄葉体21の形状やファスナ22の屈曲の向き等を設定するのが好ましい。
また、ファスナ22の起点および終点において密封性を保つことができるように、雄型ファスナ221の傾斜部221cの他方と、これに対応する雌型ファスナ222の傾斜部222cの他方とが接着されていることが好ましい。そのため、これら傾斜部221c、222cがシールしろ25b上に形成されるように、ファスナ22がシールしろ25bまで延長されていてもよい。また、薄葉体21の対称軸を境界としたそれぞれのファスナ22の長さは異なっていてもよい。
【0049】
摘み部28は、図1に示すように、易折曲線23に対して平行に、かつファスナ22の中点22aに相当する位置に形成されるものに限らず、他の様態で形成してもよい。例えばファスナ22の長手方向に沿うように形成してもよいし、1つの薄葉体21に対して複数の摘み部を形成してもよい。また、摘み部28の形状、薄葉体21から突出する高さ、厚み等についても特に限定されない。
さらに、図1に示す包装袋1では摘み部28が薄葉体21の外面に形成されているが、これに限定されない。例えば薄葉体21の外面には形成せず、代わりに袋本体10のファスナ22が位置する箇所で、表面14および裏面15の外側に突出するように、袋本体10を構成するフィルムに直接摘み部を形成してもよい。
【0050】
また、上述したように、包装袋1から内容物を注出する際は、ファスナ22の係合を解除した後に、図6に示す矢印Bの方向から相互に押し寄せるように力を加えるが、このときに力を加えやすくするために、例えば図8(a)に示すように、袋本体10の収容部13における、側部16と口部11の仕切材20と隣接する部分に、窪み部18を設けてもよい。この場合、袋本体10の角部12を任意の位置で切断し、ファスナ22の係合を解除した後、図8(b)に示すように、窪み部18に指をかけて袋本体10を挟持する。そして、それらの指を袋本体10の内側方向へ握ることで容易に力が加わり、開口部40が四角状に広がる。また、袋本体10は窪み部18に指をかけて挟持されるので、手指から滑り落ちにくくなる。
【0051】
また、本発明の包装袋は上述したスタンディングパウチタイプの包装袋1に限定されない。
例えば図9に示すように、包装袋2の底部17が口部11と同様にヒートシールされる平袋タイプでもよい。平袋タイプの包装袋の場合、内容物は底部17から注入することもできる。従って、内容物を注入する前に、口部11において表面14および裏面15を内側にてヒートシールすると共に、シールしろ25b同士もその内面でヒートシールして、袋本体の口部11を封じてしまってもよい。
【0052】
さらに、袋本体と仕切材との接続構造は、上述したように、薄葉体21の摘み部28を除く外面全面が袋本体10の表面14および裏面15に覆われるように所定の箇所をヒートシールして接続するものに限定されない。
例えば薄葉体の外面が袋本体の表面及び裏面で覆われていない包装袋でもよい。このような包装袋は以下のようにして製造できる。
【0053】
すなわち、図10(a)に示すように、袋本体10を構成する角部12および収容部13と、仕切材20を準備する。仕切材20と接続する角部12の接続部12aは、その形状を薄葉体21の上端26bの形状と一致するように角部12を作製するのが好ましい。一方、仕切材20と接続する収容部13の接続部13aは、その形状を薄葉体21の下端26aの形状と一致するように収容部13を作製するのが好ましい。
なお、スタンディングパウチタイプの包装袋を製造する場合、図10(a)に示すように予め収容部13に底部17を形成しておいてもよい。また、角部12および収容部13は、袋本体10の側部16に相当する部分を予めヒートシールしておいてもよい。
【0054】
そして、角部12および収容部13と、仕切材20とを接続部12a、13aにてヒートシールし、これらを接続する。そして、口部11から内容物を注入した後、口部11において表面14および裏面15を内側にてヒートシールし、口部11を封じる。
なお、シールしろ25b同士の内面でのヒートシールのタイミングは、角部12および収容部13と、仕切材20とをヒートシールするときでもよいし、内容物の注入後に口部11をヒートシールするときでもよい。ただし、内容物を注入する際に、口部11をより大きく開放させるためには、内容物の注入後に口部11をヒートシールするときが好ましい。
【0055】
こうして、図10(b)に示すように、角部12と収容部13とが仕切材20を介して接続され、かつ接続部分を除き薄葉体21の外面が袋本体10の表面14および裏面15で覆われていない包装袋3が得られる。
この包装袋3によれば、仕切材20に摘み部28が形成されていても袋本体10に挿入孔を形成する必要がない。
【0056】
なお、これまでは仕切材を袋本体の側部と口部との間に設けたものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば図11に示すように、袋本体10の口部11の中央において、袋本体10を角部12と収容部13とに仕切るように仕切材20を設けてもよい。この例の包装袋4は、角部12が口部11の中央において上方に向けて突出している。
包装袋4は、図11に示す袋本体10の形状をした2枚のフィルムを用意し、これらフィルムの間の所定の位置に仕切材20を挿入して仕切材20の周縁をヒートシールすることで袋本体10に仕切材20を装着してもよいし、図11に示す形状の角部12および収容部13を用意し、これらと仕切材20とを接続してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:再開封可能包装袋、2:再開封可能包装袋、3:再開封可能包装袋、4:再開封可能包装袋、10:袋本体、11:口部、12:角部、13:収容部、14:表面、15:裏面、16:側部、20:仕切材、21:薄葉体、22:ファスナ、23:易折曲線、24:側端、24a:連結側の側端、24b:非連結側の側端、27:貫通孔、28:摘み部、40:開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面を有する袋本体と、該袋本体の口部側の角部と収容部とを仕切る仕切材とを備え、
前記仕切材は2つの薄葉体が対向して構成され、各薄葉体は袋本体の表面および裏面の各々に密着して設けられ、各薄葉体の対向した内面には、着脱自在に封止するファスナが形成され、かつ、前記ファスナを互いに離間した際に開口するように折曲させる易折曲線が形成されていることを特徴とする再開封可能包装袋。
【請求項2】
前記2つの薄葉体はファスナの起点および終点側の薄葉体の両側端が線対称であり、一方の薄葉体の一方の側端と、他方の薄葉体の一方の側端とが連結し、各薄葉体は、この連結した側端が袋本体の側部に、他方の連結していない側端が袋本体の口部に位置して設けられ、かつ、各薄葉体の両側端の対称軸上以外の箇所に貫通孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の再開封可能包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−121595(P2011−121595A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278334(P2009−278334)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】