説明

写真処理装置

【課題】複数の感光材料のセットアップ作業を連続的に行うことで時間を短縮化し、かつ、各感光材料についての校正・測色の処理も確実かつ的確に行う写真処理装置を提供する。
【解決手段】印画紙に画像を形成させるプリント露光部と、印画紙の現像・乾燥処理をするプロセッサ部と、画像形成部及びプロセッサ部によりテストプリントTPを作成する場合に、プリントTPが送り込まれ、測色を行なう測色部80と、その動作を制御する測色制御部87と、を備え、測色の直前に測色部80の校正を行なうように測色部80に対する制御が行われ、第1印画紙P1と第2印画紙P2のセットアップを続けて行なう場合、第1印画紙P1によるテストプリントTPの測色が終了した直後に、第2印画紙P2によるテストプリントTPの測色のための校正を開始できるように、プリント露光部が第2印画紙P2にセットアップ用画像の形成を開始するタイミングを制御する画像形成制御部41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材料の画像形成面に画像を形成させる画像形成部と、画像が形成された感光材料を搬送させながら現像処理及び乾燥処理するプロセッサ部と、前記画像形成部及びプロセッサ部によりセットアップ用のテストプリントを作成する場合に、プロセッサ部から排出されたテストプリントが送り込まれ、テストプリントの測色を行なう測色部と、測色部の動作を制御する測色制御部と、を備え、テストプリントの測色を行う場合に、測色動作の直前に測色部の校正(キャリブレーション)を行なうように測色部に対する制御が行われる写真処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に写真プリント等を作成する写真処理装置においては、画像露光処理や現像処理などの本来の作業を開始する前に、これらの最適な処理を行うために各種処理条件の調整が行われる。この調整を行うことをセットアップ作業といい、主として朝一番に写真処理装置の電源を投入した装置の立ち上げ時に行なわれている。例えば、デイリーセットアップと呼ばれる定期的(毎朝1回)に行なわれるセットアップがある。このセットアップ作業の1つで、セットアップ用の画像をテストプリントとして作成し、形成された画像の発色状態等を測定して、その結果に基づいて処理条件を調整する作業がある。これは、適切な発色の写真プリントを作成するために行われるものである(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
図4は、具体的なセットアップ画像が形成されたテストプリントの一例を示す図である。テストプリントは、濃度が段階的に変化する帯体を多数有しており、各帯体画像の濃度を測色計により測定し、これが規定された濃度範囲内になるように、画像形成部における露光時間や発光強度などが調整される。この調整されたデータは、ルックアップテーブルなどの形で記憶され、実際に写真プリントを作成する場合には、ルックアップテーブルにより画像データを補正することで、適切な発色濃度が得られるようにしている。
【0004】
上記のセットアップを行う場合には、1種類の感光材料のみではなく、複数種類の感光材料についてセットアップを行う必要がある。1つの写真処理装置において使用される感光材料は、メーカーが異なるものやグレードが異なるものなど種々の種類のものが存在する。従って、セットアップを行なう時には、その写真処理装置で使用される感光材料のすべてについてセットアップを行う必要がある。
【0005】
かかる場合における作業手順の概略を説明すると、まず1番目の感光材料についてテストプリントを作成する。テストプリントの作成は、感光材料の表面にセットアップ用画像(潜像)を形成し、これを現像処理・乾燥処理することで画像を顕在化させ、装置外部にテストプリントとして排出させる。オペレータは、この排出されたテストプリントを測色計の位置に持っていき、テストプリントをセットすることで測色が行なわれ、調整のためのデータが取得される。この作業が終了した後、2番目以降の感光材料について同様の作業が繰り返される。
【0006】
このように1つの感光材料についてセットアップが完全に終了してから次の感光材料のセットアップを行う場合、セットアップの対象となる感光材料の種類が多いと、非常に時間がかかることになり問題がある。例えば、3種類の感光材料についてセットアップを行う場合、上記の方法では20分程度を要し、また待ち時間も多く、無駄に時間を浪費している状態である。また、装置外部へ一旦排出されたテストプリントを測色計にセットする方法であるから、複数の感光材料について連続してテストプリントを作成した場合、どの種類の感光材料であるかを取り違えてしまう可能性もある。
【0007】
下記特許文献1においては、ある感光材料についてセットアップ用のテストプリントを作成する場合、テストプリントが装置外部に排出されるまでの間に次の感光材料についてのセットアップ作業を進めることができるような構成を提案している。具体的には、テストプリントにセットアップ用画像と合わせてセットアップ情報を形成しており、このセットアップ情報を読み取ることで感光材料を特定するようにしている。これにより、複数の感光材料について、続けてセットアップ作業を行なったとしてもテストプリントを取り違える問題は解決することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−45954号公報
【特許文献2】特開2005−30944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1においては、ある程度、セットアップに要する時間は短縮化できるものの、テストプリントが一旦装置外部に排出されてから測色計にテストプリントをセットするという作業手順を踏んでおり、作業効率という点では改良の余地がある。
【0010】
そこで、テストプリントが作成された後、ただちに測色計へテストプリントを自動的に送り込み測色を行なうという構成が考えられる。この構成によれば、オペレータの手作業をなくすことができ、更なる時間の短縮化が可能である。ただし、テストプリントが作成された直後に測色を行う場合、測色部を乾燥処理部の近傍に配置する必要があり、乾燥処理部内で使用される高温の乾燥風の影響により、測色部は温度の影響を受けやすい状態になる。測色部は、精度のよい測色データを得られるようにするため、予め校正を行う必要があるが、校正を行った時刻と測色を行なった時刻とで環境温度が異なっていると、精度のよい測色データが得られないことになる。従って、セットアップ作業自体も精度が低下し、適切な発色濃度のプリントを得ることが難しくなる。
【0011】
そのために、感光材料のセットアップを行う場合、測色部による測色を開始する直前に測色部の校正を行う必要がある。すなわち、複数の感光材料のセットアップを行う場合には、夫々の感光材料の測色の直前に校正を行わなければならない。従って、1つの感光材料についての処理手順は、セットアップ用画像の形成→現像処理→乾燥処理→測色→補正データ演算→プリント排出、となる。校正は測色の直前に行われるため、実際には現像処理と乾燥処理と並行して校正を行なうものであり、測色を開始する時点で校正が完了しているようにすることが可能である。
【0012】
上記の処理手順に従うと、1つの感光材料についてのセットアップ作業のうち、補正データ演算が終了した後に次の感光材料についてのセットアップ作業を行うと、やはりセットアップの対象となる感光材料の数が多いと、時間を要することになり問題である。時間の短縮化を図るためには、最初の感光材料のセットアップ作業が完了する前に、次の感光材料のセットアップ作業を開始すればよいが、装置内部における処理は連続的に行われるため、例えば、校正が完了していないのにテストプリントが測色部へ送られてくるという不都合や、最初の感光材料の測色中に、次の感光材料の測色のための校正を開始すべきタイミングが到来するという不都合などがないように制御する必要がある。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、複数の感光材料のセットアップ作業を重複させて連続的に行うことでセットアップに要する時間を短縮化し、かつ、各感光材料についての校正・測色の処理も確実かつ的確に行うことが可能な写真処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明に係る写真処理装置は、
感光材料の画像形成面に画像を形成させる画像形成部と、
画像が形成された感光材料を搬送させながら現像処理及び乾燥処理するプロセッサ部と、
前記画像形成部及びプロセッサ部によりセットアップ用のテストプリントを作成する場合に、プロセッサ部から排出されたテストプリントが送り込まれ、テストプリントの測色を行なう測色部と、
測色部の動作を制御する測色制御部と、を備え、テストプリントの測色を行う場合に、測色動作の直前に測色部の校正を行なうように測色部に対する制御が行われる写真処理装置であって、
少なくとも第1感光材料と第2感光材料の2種類の感光材料についてのセットアップを続けて行なう場合、
第1感光材料により作成されたテストプリントの測色が終了した直後に、第2感光材料により作成されたテストプリントの測色のための校正を開始できるように、画像形成部が第2感光材料にセットアップ用画像の形成を開始するタイミングを制御する画像形成制御部を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成による写真処理装置の作用・効果を説明する。セットアップにおいてテストプリントを作成するときは、セットアップ用画像を画像形成部により形成した後、感光材料を現像処理・乾燥処理することでテストプリントが得られる。テストプリントは、直ちに装置外部に排出されるのではなく、測色部へと送り込まれる。測色部において、テストプリントの測色が行われた後に、装置外部にテストプリントを排出させることができる。また、測色部の制御を行う測色制御部は、測色動作の直前に測色部の校正を行なうように測色部に対する制御を行う。測色動作の直前に測色部の校正が行われるので、校正時の温度と測色時の温度に大きな差が生じないようにすることができ、所望の測色精度を確保することができる。
【0016】
さらに、第1感光材料と第2感光材料の少なくとも2種類の感光材料について連続的にセットアップを行なうことができ、第1感光材料のセットアップ作業が完了する前に第2感光材料のセットアップ作業を開始することができるように構成されており、セットアップ作業時間の短縮化を図っている。また、第1感光材料により作成されたテストプリントの測色が終了した直後に、第2感光材料により作成されたテストプリントの測色のための校正が開始できるように、第2感光材料に関するセットアップの開始タイミングが制御される。すなわち、第1感光材料の現像処理中、乾燥処理中、あるいは、測色中に、次の第2感光材料の画像形成を開始することができ、無駄な待ち時間などを極力排除した形でセットアップ作業を行うことができる。その結果、複数の感光材料のセットアップ作業を重複させて連続的に行うことでセットアップに要する時間を短縮化し、かつ、各感光材料についての校正・測色の処理も確実かつ的確に行うことが可能な写真処理装置を提供することができる。
【0017】
本発明において、第1感光材料に対する現像処理又は乾燥処理が終了するタイミングを予測する予測手段を備え、
測色制御部は、予測されたタイミングに応じて測色部の校正開始タイミングを制御可能であることが好ましい。
【0018】
かかるタイミングを予測することで、次に処理すべき第2感光材料のセットアップ開始タイミングを精度よく設定することができる。これにより、無駄な時間を排除すると共に、連続的に処理される感光材料の処理タイミングを適切に設定することができる。
【0019】
本発明において、現像処理を行う現像処理部から感光材料が排出されたことを検出する排出検出センサーを備え、前記予測手段は、この排出検出センサーからの信号に基づいて前記タイミングを予測することが好ましい。
【0020】
現像処理部や乾燥処理部において、感光材料は所定の搬送経路に沿って搬送されるため、かかる排出検出センサーからの検出信号に基づいて、現像処理及び乾燥処理が終了するタイミングを予測することが可能である。これにより、排出検出センサーを設けるという簡素な構成により、連続的に処理される感光材料の処理タイミングを適切に設定することができる。
【0021】
本発明において、現像処理部へ感光材料が送り込まれることを検出する送り込み検出センサーを備え、前記予測手段は、この送り込み検出センサーからの信号に基づいて前記タイミングを予測することが好ましい。
【0022】
感光材料は、現像処理部において所定の搬送経路に沿って搬送されるため、かかる送り込み検出センサーからの検出信号に基づいて、現像処理及び乾燥処理が終了するタイミングを予測することが可能である。これにより、送り込み検出センサーを設けるという簡素な構成により、連続的に処理される感光材料の処理タイミングを適切に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る写真処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、写真処理装置の外観構成を示す模式図である。図2は、図1に示す写真処理装置の内部構成を示す模式図である。
【0024】
<写真処理装置の構成>
この写真処理装置1は、操作部20と、プリント部50を備えている。操作部20は、現像された写真フィルムFや、デジタルカメラ等で撮影されたデジタル画像データが保存されたメモリカード等のメディアから画像データを取り込んで、写真プリントを作成するためのプリント用画像データを作成しプリント部50に対して送信する。
【0025】
プリント部50は、操作部20から受信したプリント用画像データに基づいて、印画紙(感光材料に相当)Pに対して露光処理、現像処理、乾燥処理を行なって、通常の写真プリントやセットアップ時に用いられるテストプリントTPを作成する。
【0026】
操作部20は、図1に示すように、モニター21、キーボード22、マウス23、コンピュータユニット30、フィルムスキャナー40と、を備えている。コンピュータユニット30は、モニター21、キーボード22、マウス23と接続されており、フィルムスキャナー40及びプリント部50に含まれる各部の動作や画像処理及び画像データの入出力等の制御を行う。
【0027】
モニター21には、各種制御のためのGUIや処理対象の画像が表示される。メディアリーダ31は、写真処理装置1のコントローラとして機能するコンピュータユニット30に搭載されており、デジタルカメラ等で撮影された画像のデジタル画像データをメモリカード、各種半導体メモリ、CD−R等の記憶媒体から取り込むことができる。
【0028】
フィルムスキャナー40は、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像に対応するデジタル画像データを取り込むことができる。
【0029】
プリント部50は、図1に示すように、操作部20から受信したプリント用画像データに基づいて、印画紙Pを搬送しながら印画紙Pの乳剤面に潜像としての画像を形成する露光処理、この露光処理が行われた印画紙Pに対する現像処理及び乾燥処理を行なって写真プリントあるいはテストプリントを作成する機能を有する。
【0030】
プリント部50は、図2に示すように、内部に2つの印画紙マガジン51と、カッター52と、バックプリント部53と、プリント露光部54(画像形成部に相当)と、搬送ローラ対57と、チャッカー式搬送ユニット58と、現像処理部55と、乾燥処理部60と、コンベア56と、集積部(不図示)と、測色部80とを備えている。なお、現像処理部55と乾燥処理部60は、プロセッサ部に相当する。
【0031】
2つの印画紙マガジン51は、プリント部50の内部においてロール状に巻き取られた状態の印画紙Pを1個ずつ収容している。搬送ローラ対57により、選択されたほうの印画紙マガジン51から適宜必要な量の印画紙Pが引き出される。印画紙マガジン51は、図示の構成では2つを収容しているが、3つ以上を収容できるように構成してもよい。また、印画紙マガジン51を装置の内部に設けるのではなく、装置の外観部分に取り付けられるように構成してもよい。いずれの場合も印画紙マガジン51は、装置本体に対して着脱自在に取り付けられるものであり、印画紙Pがなくなった場合は、印画紙マガジン51を取り外して、新たな印画紙Pを収容できるように構成している。
【0032】
カッター52は、印画紙マガジン51から印画紙Pを引き出すために設けられた複数の搬送ローラ対57の下流側に配置されており、印画紙マガジン51から引き出された印画紙Pを所望のプリントサイズになるように切断する。テストプリントを作成する場合も予め設定されたプリントサイズになるように切断する。
【0033】
バックプリント部53は、カッター52の下流側に配置されており、プリントサイズに切断された印画紙Pの裏面側に、コマ番号や色補正情報などのプリントに関連した情報を印字する。
【0034】
プリント露光部54は、バックプリント部53の下流側におけるチャッカー式搬送ユニット58に隣接するように配置されており、プリントサイズに切断された印画紙Pの乳剤面に対して画像露光を行なう。プリント露光部54としては、レーザー光を用いたレーザーエンジンなどが例としてあげられるが、PLZTエンジンなどその他の種類のエンジンを用いてもよい。
【0035】
現像処理部55は、プリント露光部54の下流側に設けられた搬送ローラ対57を含む搬送機構に隣接するように配置されている。現像処理部55は、発色現像槽55a、漂白定着槽55b、安定処理槽55cを備えており、各槽内には、所定の搬送経路に沿って、露光処理された印画紙Pが搬送されながら所定の現像処理が施されるようになっている。これにより、プリント露光部54において形成された潜像が顕在化された画像として形成されることになる。
【0036】
また、現像処理部55の入口部には、印画紙検出センサー55dが設けられており、露光処理された印画紙Pが搬送されてきたことを検出することができる。印画紙検出センサー55dは、光学式センサーなどの公知のセンサーを用いて構成することができる。
【0037】
乾燥処理部60は、現像処理部55の下流側に配置されており、現像処理された印画紙Pを乾燥処理するために設けられている。なお、乾燥処理部60の構成については後述する。テストプリント以外の通常の写真プリントの場合は、プリント排出部65(図3参照)から装置外部に排出される。
【0038】
コンベア56は、プリント部50の上部に位置しており、プリント排出部65から排出された写真プリントは、このコンベア56の上に搭載され、不図示の集積部へと送り込まれる。集積部は、現像処理部55の前面側に垂直方向に複数のトレイを並べた状態で配置されており、コンベア56により搬送される写真プリントを、オーダー単位で各トレイに振り分け集積をすることができる。
【0039】
搬送ローラ対57及びチャッカー式搬送ユニット58は、写真処理装置1の内部において、印画紙マガジン51に収容されたロール状の印画紙Pを引き出すと共にプリントサイズに切断された印画紙Pを、印画紙Pに対して行なわれる種々の処理に対応した搬送速度で搬送する。搬送ローラ対57は、2つのローラを組み合わせて構成されており、2つのローラ間に印画紙Pを圧着して回転することで、印画紙Pを下流側へと送り出すことができる。チャッカー式搬送ユニット58は、プリントサイズに切断された印画紙Pの先頭側をチャックした状態で下流側のプリント露光部54へと印画紙Pを搬送する。
【0040】
測色部80(測色計)は、乾燥処理部60の下流側に配置されており、テストプリントTPに形成されたセットアップ用画像の各帯体の濃度を測定(測色)する。なお、測色部80の詳細については、後述する。
【0041】
<乾燥処理部及び測色部の構成>
図3は、乾燥処理部60及び測色部80の詳細な構成を示す図である。乾燥処理部60には、不図示のブロワ等の温風を噴出するための装置が設けられており、現像処理を終えた印画紙Pを搬送しながら乾燥処理を行う。乾燥処理部60には、図3に示すように、搬送経路に沿って配置された複数の搬送ローラ対61と、ターンローラ対62と、搬送切換ガイド63と、排出ローラ対64と、ターンガイド66と、搬出孔68と、位置検出センサー82(排出検出センサーに相当)と、を備えている。
【0042】
搬送ローラ対61は、駆動ローラ及び圧着ローラを組み合わせて構成されており、2つのローラの隙間に印画紙Pを挟み込んで駆動ローラを回転させることで、印画紙Pを下流側へと搬送する。
【0043】
ターンローラ対62は、上流側から上方に向かって搬送されてくる印画紙Pを下方に向かって搬送させるように搬送方向を変化させるためのローラ群であり、例えば、駆動ローラと複数の従動ローラにより構成されている。
【0044】
搬送切換ガイド63は、ターンローラ対62のすぐ下流側に配置されている。搬送切換ガイド63は、搬送されてくる印画紙Pが通常の写真プリントであれば、図3に実線で示すように印画紙Pを搬送経路aに、印画紙PがテストプリントTPであれば図3に破線で示すように印画紙Pを搬送経路bに搬送するように切り換えられる。搬送切換ガイド63は、不図示のソレノイドなどにより切換移動をさせることができる。
【0045】
排出ローラ対64は、搬送切換ガイド63により誘導される通常の写真プリント(印画紙)をコンベア56の上に排出させるためのローラであり、2つのローラの隙間に印画紙Pを挟み込み駆動ローラを回転することで、印画紙Pを排出する。排出孔として形成されたプリント排出部65を写真プリントが通過すると、コンベア56の上に落下させられる。
【0046】
ターンガイド66は、搬送切換ガイド63により誘導されるテストプリントTPとして形成された印画紙Pを、測色部80へ誘導するためのガイドである。そして、ターンガイド66は、ターンローラ対62により送り出されて、垂直上方から搬送されてくる印画紙Pの搬送方向を略水平方向へと変換する。搬出孔68は、テストプリントTPを測色部80へ送り出すための排出孔である。
【0047】
位置検出センサー82は、ここでは、乾燥処理部60の最上流側に設けられ、現像処理部55を通過して搬送されてくるテストプリントTPの先端部の位置を検出するためのものである。位置検出センサー82により検出された信号は、測色部80を制御する測色制御部87へ送信される。
【0048】
次に測色部80の構成について説明する。測色部80では、搬送されてくるテストプリントTPを間歇的に搬送しながら各帯体の濃度を測定(測色)する。測色部80は、搬出孔68に対して、すぐ下流側に近傍配置されており、筐体81と、搬送ローラ83と、光照射部84と、濃度計85と、測色制御部87と、温度検出センサー88と、を備えている。なお、テストプリントTPについては、後段にて詳述する。
【0049】
筐体81は、位置検出センサー82等の各部材を全て覆うように設置されている。これは、測色部80内の温度や明るさを一定状態に保持するためである。筐体81の材質としては、例えば、合成樹脂等により形成することができる。
【0050】
搬送ローラ83は、測色部80内の上流側と下流側に1つずつ設けられ、テストプリントTPを間歇的に搬送するためのものである。また、測色部80内の搬送ローラ83は、乾燥処理部60における駆動系とは独立して駆動制御することができる。乾燥処理部60において設けられている位置検出センサー82からの検出信号に基づいて、テストプリントTPの先端部が測色部80内の所定の位置に到達したことを検出することができる。これは、位置検出センサー82によりテストプリントTPを検出してから測色部80に送り込まれてくるまでの時間は予測可能であるからである。例えば、位置検出センサー82により検出されてから、タイマー(時間計測手段)を作動させ、予め設定された時間が経過したときに、テストプリントTPが測色部80内に送り込まれてくるものと予測可能である。
【0051】
上記所定の位置に到達したことが検出されると、搬送ローラ83は、測色制御部87からの指令に基づいて、テストプリントTPの間歇的な搬送を開始する。これにより、テストプリントTPに形成された各帯体画像の測色を行なうことができる。
【0052】
光照射部84は、図3に示すように、濃度計85の先端部分に配置されている。これは、位置検出センサー82からの検出結果を受けて、間歇的に搬送されるテストプリントPの各帯体F1〜F22(図4参照)の各中心部分に対して、測色用の測定光を照射するものである。光照射部84としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0053】
濃度計85は、例えば、ラッテンフィルター(登録商標)のような特定の波長の光に対して透過特性を持つように設計されたフィルターと、CCDとから構成されている。濃度計85において、光照射部84により照射された測定光の反射光を捉え、その反射光を解析することにより、各帯体の濃度を測色する。これらの測定結果は測色制御部87に送信される。濃度計85によるすべての帯体F1〜F22の測色が終了すると、テストプリントTPは、下流側の搬送ローラ83によって、排出部86から装置外部へ排出される。
【0054】
測色制御部87は、本実施形態においては、濃度計85内に設けられており、搬送ローラ83等の各部の制御や、濃度計85の校正を行うための制御、測色された測色データの送信等を行なう。また、乾燥処理部60内に設けられた位置検出センサー82からの検出信号や、濃度計85により測定された測色データの受信、温度検出センサー88により計測された濃度計85の温度データ等の受信も行うことができる。
【0055】
温度検出センサー88は、図3に示すように、濃度計85内に設けられ、濃度計85の温度検出を行なうことができる。この検出結果は、測色制御部87に送信され、測定された測色データの補正等に利用される。
【0056】
次に、測色部80の校正処理(キャリブレーション)に関して説明する。測色部80により正確な測色データを得るためには、測色部80の校正は不可欠である。しかしながら、濃度計85の測色精度は温度変化の影響を受けやすい。従って、測色時と校正時とで、濃度計85の環境温度の差ができる限り小さいことが好ましい。特に、本発明においては、測色部80が乾燥処理部60の近傍に配置されているため、乾燥処理部60における温度の影響を受けやすい状態にある。例えば、乾燥処理部60からの高温の乾燥風が搬出孔68から測色部80内に吹き出して、濃度計85の環境温度が上昇しているようなケースもありうる。従って、測色時と校正時とで環境温度に差が生じないようにするため、測色を行なう直前に校正を行なうようにしている。これにより、環境温度の変動が生じたとしても常に精度のよい校正を行なうことができる。
【0057】
具体的には、乾燥処理部60に設けられた位置検出センサー82によりテストプリントTPの先端部を検出してから、設定された時間が経過した後に、濃度計85の校正を開始できるように、測色制御部87による制御が行われる。所定の時間とは、濃度計85の校正時と測色時の環境温度差が最大でも2℃以内におさまるように、測色開始1分前に濃度計85の校正を開始できるような時間設定がなされる。かかる温度差以内であれば、校正の精度としては十分なものを確保することができる。時間の計測は、前述のタイマー手段(時間計測手段)により行なうことができる。
【0058】
濃度計85の校正に用いる校正プレートCPを図5に示す。校正プレートCPは前述の引用文献2にも開示されるように、厚さが2〜3mm程度の合成樹脂製の板の表面に一対の被測定スポットを形成したものである。被測定スポットは、黒色の第1スポットS1(通常の写真プリント上で想定しうる最も低い反射率を持つ)と白色の第2スポットS2(通常の写真プリント上で想定しうる最も高い反射率を持つ)とからなる。校正プレートCPは概略矩形の外径を有するが、白色の第2スポットS2に近接した角の一方のみが曲率の大きな曲線を描く異形となっている。
【0059】
図5は、校正プレートCPを搬送する機構を例示する平面図である。図6は、同じく断面図を示している。校正プレートCPは、支持体90に形成された凹部90aに収容する形で保持されている。校正プレートCPの角の一方を曲線にすることで、校正プレートCPの方向を間違えて収容することがないようにしている。支持体90自身も全体的にプレート状に形成されており、搬送ローラ91により搬送される。搬送ローラ91を駆動するためのアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)は、搬送ローラ83を駆動するためのアクチュエータとは別に設けてもよいし兼用してもよい。なお、搬送ローラ91は、ローラ圧着状態(校正プレートCPを搬送可能な状態)と、ローラ離間状態とを不図示のアクチュエータにより切換可能に構成している。
【0060】
テストプリントTPの搬送と、校正プレートCPの搬送は同時に行なわれることはなく、アクチュエータを兼用することができる。校正プレートCPを光照射部84の位置に搬送させることで、被測定スポットの濃度を計測し、校正をすることができる。
【0061】
なお、テストプリントTPの幅方向のガイド92に比べて、支持体90の幅方向のガイド93のほうが狭くなっており、かつ、テストプリントTPの搬送面よりも低い位置に支持体90が位置するように構成されている。従って、支持体90が図5に示す状態に位置していたとしても、テストプリントTPの測色動作にはなんら邪魔にならないように構成されている。すなわち、校正プレートCPは常時支持体90に保持させておいてもよい。
【0062】
<制御機能の構成>
次に、主要な制御機能について図7のブロック図により説明する。測色制御部87は、測色部80に関する制御を行う機能を有し、CPU、メモリ、制御を行うためのソフトウェアなどにより構成される。予測手段87aは、印画紙P(テストプリント)の現像処理又は乾燥処理が終了するタイミングを予測する機能を有する。具体的には、位置検出センサー82からの検出信号に基づいて、テストプリントTPが測色部80へ送られてくるタイミングを予測するものである。予測手段87aによる予測結果に基づいて、搬送ローラ83,91や濃度計85の動作タイミングを設定制御することができる。
【0063】
予測手段87aは、位置検出センサー82からの検出信号を基準として時間を計測したり(前述の、時間計測手段)、テストプリントTPの搬送に連動して出力されるパルス信号(例えば、エンコーダからの出力信号)に基づいて、動作タイミングを制御することができる。
【0064】
測色データ算出手段87bは、濃度計85により計測された濃度信号を受信して測色データを算出する機能を有する。校正手段87cは、測色動作に先立ち、測色部80(濃度計85)の校正動作を行なう機能を有する。具体的には、位置検出センサー82からの信号に基づいて、校正動作を開始するタイミングを設定すると共に、校正動作を行なうときに、搬送ローラ91や濃度計85に対する動作の制御を行なう。測色データ送信部87dは、算出された測色データを画像形成制御部41へ送信させる機能を有する。
【0065】
画像形成制御部41は、画像データ入力部42から入力された画像データを用いてプリント用画像データを作成し、プリント露光部54へと送信する。プリント露光部54は送信されてきたプリント用画像データに基づいて、印画紙Pの乳剤面に画像露光を行なうことができる。画像データ入力部42は、前述のフィルムスキャナー40やメディアリーダ31が該当するものである。
【0066】
モード設定部43は、通常のプリントモードかセットアップモードかを設定するものである。セットアップモードに設定することにより、測色部80が動作するように、測色制御部87に対して指令を与えることができる。また、セットアップモードに設定された場合、搬送切換ガイド63を切り換えて、テストプリントTPが測色部80のほうへ搬送されてくるようにすることができる。
【0067】
セットアップ用画像格納部44には、テストプリントTPを作成するためのセットアップ用画像データが格納されている。セットアップモードに設定されると、画像形成制御部41は、セットアップ用画像データを読み出してプリント露光部54に送信してテストプリントTPを作成させる。
【0068】
画像形成制御部41には、演算部41aの機能が設けられており、測色制御部87から送信されてきた測色データを受信し、補正データの演算を行なう。具体的には、測色データが許容範囲内にあるかどうか、すなわち、適切な発色濃度が得られているかどうかを判定する。そして、適切な発色濃度になるような補正データを演算する。かかる補正データは、例えば、ルックアップテーブルの形で作成され、補正データ格納部45に保存する。補正データは、印画紙Pの種類毎に個別に保存される。
【0069】
画像補正部41bは、画像データ入力部42から送信されてくる画像データと、補正データ格納部45に格納されている補正データを用いて画像データの補正を行い、プリント用画像データを作成する。これにより、適切な発色濃度になるように画像データの補正を行うことができる。また、補正データの数値を変えることでプリント露光部54における露光時間や発光強度などが修正され、適切な露光量を印画紙Pに対して与えることができる。
【0070】
<セットアップ>
次に、セットアップ作業のうち印画紙に関するものを説明する。印画紙Pには、種々のメーカー・グレードが存在するので、使用する予定の印画紙Pのすべてについてセットアップを行う必要がある。従って、複数種類の印画紙Pについてセットアップを行う必要があり、連続的に複数の印画紙Pのセットアップを行なう手順を図8に示す。
【0071】
図8(a)は、従来の方法における、第1印画紙P1(第1感光材料に相当)と第2印画紙P2(第2感光材料に相当)を連続的にセットアップする時のタイムチャートを示す図である。まず、第1印画紙P1について、プリント露光部54においてセットアップ用画像を露光し、プロセッサ部において現像処理及び乾燥処理を行なう。乾燥処理部60を排出されたテストプリントTPは測色部80に送り込まれ測色が行なわれる。また、測色動作の直前に測色部80の校正動作が完了しており、校正の直後に測色ができるようにされている。測色が終わると、測色データが画像形成制御部41に送信され、補正データの演算が行なわれる。
【0072】
これらの一連の処理が終了した後、次の第2印画紙P2についての同じセットアップ動作が繰り返される。この方法によると、第1印画紙P1のセットアップ作業が完全に終了しないと、次の第2印画紙P2のセットアップ作業が開始しないため、セットアップに要する時間が長くなる。
【0073】
これに対して本発明によるセットアップ作業のタイムチャートが図8(b)に示される。また、図9は、測色を行う場合のフローチャートを示す図である。
【0074】
まず、最初にセットアップモードへの設定が行われる(S1)。これに伴い、搬送切換ガイド63を切り換えて、テストプリントTPが測色部80のほうに導かれるようにする(S2)。次に、セットアップを行なおうとする印画紙Pが写真処理装置1にセットされているか否かを確認する(S3)。また、セットアップの対象となる印画紙Pの種類なども指定される。セットアップを開始する場合は、モニター画面上の適宜のボタンをクリックするなどの方法により、開始することができる(S4)。
【0075】
まず、2つある印画紙マガジン51のうちの一方から第1印画紙P1を繰り出して、画像形成を開始できる状態にセットする(S5)。画像形成制御部41は、セットアップ用画像格納部44からセットアップ用画像データを読み出して(S6)、画像補正部41bにおいて所定の補正を行ってテストプリントを作成するためのプリント用画像データを作成し、プリント露光部54へデータを送信する(S7)。画像補正部41bにおいて補正を行うためには、その第1印画紙P1についての補正データを補正データ格納部45から読み出して補正処理が行われる。
【0076】
プリント用画像データを受信したプリント露光部54により第1印画紙P1の乳剤面にセットアップ用画像が露光形成される(S8)。画像が形成された印画紙P1は、現像処理部55へ向かって搬送され、現像処理部55にて所定の現像処理が施される。現像処理が終了すると、位置検出センサー82により、第1印画紙P1が搬送されてきたことが検出される(S10)。
【0077】
第1印画紙P1が到達したことが検出されると、その信号が測色制御部87及び画像形成制御部41へ送信される。測色制御部87では、予測手段87aの機能に基づき、タイマーを作動させ時間計測を開始する(S11)。そして、所定時間が経過すると、校正動作をスタートさせる(S12)。校正開始タイミングは、測色動作を開始する直前に終了するようなタイミングにセットされる。
【0078】
校正を行う場合には、測色部80の中に予めセットされている校正プレートCPを搬送ローラ91により搬送させ、濃度計85により被測定スポットの濃度を計測することにより行われる。校正プレートCPの搬送は間歇的に行なわれ、最初に黒色の第1スポットS1の計測を行い、ついで白色の第2スポットS2の計測が行われる。被測定スポットの濃度測定が終了すると、校正プレートCPは元の初期位置に戻される。
【0079】
一方、S10で検出された信号は、画像形成制御部41にも送信され、次の第2印画紙P2に関するセットアップ作業を開始させる。すなわち、第2印画紙P2へのセットアップ用画像の露光動作を開始させる。従って、図8(b)にも示すように、第1印画紙P1の乾燥処理が終了する前に、次の第2印画紙P2の露光が開始される。また、並行的に第1印画紙P1により作成したテストプリントTPの測色を行うための校正も行なわれている。
【0080】
S10において第1印画紙P1の到達が検出された後、第1印画紙P1は引き続いて乾燥処理部60へ送り込まれて乾燥処理が施される(S13)。乾燥処理部60における第1印画紙P1の動きについては、図3を用いて説明した通りである。セットアップモードでは、搬送切換ガイド63が測色部80側に切り換っており、ターンローラ対62をターンした第1印画紙P1は、ターンガイド66によりガイドされて、搬出孔68を介して測色部80に送り込まれる(S14)。なお、測色部80に第1印画紙P1が送り込まれてくるタイミングは、S11のタイマー作動により所定時間を計測することで予測することができる。
【0081】
測色部80に第1印画紙P1が送り込まれてくると、測色動作が開始される。具体的には、測色制御部87は、濃度計85や搬送ローラ83を制御し、テストプリントTPを間歇的に搬送しながら、図4に示されるF1〜F22までの各帯体の測色を行なう。例えば、帯体F1の測色を行う場合には、帯体F1がちょうど光照射部84の位置にくるようにテストプリントTPを搬送して停止させ、測色を行った後、テストプリントTPを所定量搬送させて、次の帯体F2を光照射部84に位置させる。以下同様の動作を繰り返す。
【0082】
すべての帯体の測色を行なうことで測色動作が終了し、テストプリントTPを排出させる(S16)。測色制御部87は、濃度計85により得られた検出信号に基づき、測色データを算出し、画像形成制御部41へ測色データを送信する(S17)。演算部41aは、受信した測色データに基づいて補正データを演算し(S18)、新たな補正データを補正データ格納部45に上書き保存する(S19)。
【0083】
図8(b)に示すように、第2印画紙P2の画像露光は、第1印画紙P1の乾燥処理が終了する前に開始するため、第2印画紙P2のテストプリントの測色を行なうための校正が開始される直前に、第1印画紙P1の測色動作が終了するように制御される。従って、測色部80は、校正・測色・校正・測色・・・・を大きな時間間隔をあけることなく、動作を繰り返すことが可能である。また、第1印画紙P1の測色動作が終了した直後に、第2印画紙P2の校正が開始できるように、第2印画紙P2の露光動作の開始タイミングが設定されている。従って、第1印画紙P1のセットアップと第2印画紙P2のセットアップとをオーバーラップした形で、一部並行的に行なうことができ、複数の印画紙についてセットアップを行う場合に、セットアップ時間を短縮化することができる。この点は、図8の(a)と(b)のタイムチャートを比較してみれば明確に理解することができる。
【0084】
図8では2つの印画紙についてのセットアップを説明したが、さらに第3印画紙、第4印画紙についても続けてセットアップを行う場合にも、同様な手順でセットアップを行なうことができる。
【0085】
なお、本実施形態では2つの印画紙マガジン51を装着可能であるから、3つ以上の印画紙Pについてセットアップを行う場合には、セットアップ作業の終了した印画紙マガジン51を取り外して、セットアップを行ないたい印画紙Pが収容された印画紙マガジン51を新たに装着させるようにすればよい。
【0086】
測色の直前に行なわれる校正のタイミングであるが、測色動作を開始する1分前に校正を開始するようにすればよい。校正に要する時間は、実際は30〜40秒であり、余裕時間として20〜30秒程度を確保している。
【0087】
仮に、第2印画紙P2の現像処理時間が第1印画紙P1よりも短くてすむ(この場合、現像処理部55における印画紙の搬送速度が速くなるように設定される)場合、図10に示すような制御が可能である。図10(a)に示す手順は、上記の余裕時間を考慮しないようにした手順を示している。すなわち、第1印画紙P1のテストプリントTPの測色が終了した後に、直ちに、第2印画紙のための校正を開始する。そして、この校正動作が終了した直後に、第2印画紙によるテストプリントTPが搬送されてくるので、測色を引き続き行なうことができる。この場合、第1印画紙P1に関する演算が終了する時点よりも、第2印画紙の現像処理・乾燥処理が終了する時点のほうが若干早くなる。
【0088】
図10(b)は別の実施形態を示すものであり、上記において、第2印画紙P2の画像露光を開始するタイミングを遅らせたものである。この場合は、校正動作に要する余裕時間を確保できている。上記のように、印画紙の種類によっては、現像処理部55を通過する時間設定が異なるものがあるが、かかる場合にでも、上記のように臨機応変にタイミング制御を変更することで対応することができる。
【0089】
<別実施形態>
本実施形態において、現像処理部55と乾燥処理部60の間にある位置検出センサー82に基づいて、校正動作や測色動作のタイミングを設定している。また、次の印画紙の露光開始タイミングも設定されている。かかるセンサーの配置場所は、上記に限定されるものではなく種々の変形例が可能である。例えば、現像処理部55の入口部に設けている印画紙検出センサー55d(送り込み検出センサーに相当)に基づいて制御することができる。また、現像処理部55における適宜の場所にセンサーを設置して制御してもよい。
【0090】
テストプリントTP(セットアップ用画像)や校正プレートCPの具体的な構成、測色するための帯体画像の配置・大きさなどについては、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】写真処理装置の外観構成を示す模式図
【図2】図1に示す写真処理装置の内部構成を示す模式図
【図3】乾燥処理部及び測色部の構成を示す模式図
【図4】テストプリントの構成例を示す図
【図5】校正プリントの構成例及び搬送機構を示す平面図
【図6】校正プレートの搬送機構を示す断面図
【図7】制御ブロックを示す図
【図8】複数の印画紙を連続的にセットアップするときのタイムチャート
【図9】測色を行なう場合のフローチャートを示す図
【図10】別実施形態に係るタイムチャートを示す図
【符号の説明】
【0092】
1 写真処理装置
41 画像形成制御部
41a 演算部
41b 画像補正部
43 モード設定部
44 セットアップ用画像格納部
45 補正データ格納部
51 印画紙マガジン
54 プリント露光部
55 現像処理部
60 乾燥処理部
63 搬送切換ガイド
80 測色部
82 位置検出センサー
83 搬送ローラ
85 濃度計
87 測色制御部
87a 予測手段
87b 測色データ算出手段
87c 校正手段
87d 測色データ送信部
CP 校正プレート
P,P1,P2 印画紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料の画像形成面に画像を形成させる画像形成部と、
画像が形成された感光材料を搬送させながら現像処理及び乾燥処理するプロセッサ部と、
前記画像形成部及びプロセッサ部によりセットアップ用のテストプリントを作成する場合に、プロセッサ部から排出されたテストプリントが送り込まれ、テストプリントの測色を行なう測色部と、
測色部の動作を制御する測色制御部と、を備え、テストプリントの測色を行う場合に、測色動作の直前に測色部の校正を行なうように測色部に対する制御が行われる写真処理装置であって、
少なくとも第1感光材料と第2感光材料の2種類の感光材料についてのセットアップを続けて行なう場合、
第1感光材料により作成されたテストプリントの測色が終了した直後に、第2感光材料により作成されたテストプリントの測色のための校正を開始できるように、画像形成部が第2感光材料にセットアップ用画像の形成を開始するタイミングを制御する画像形成制御部を備えていることを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
第1感光材料に対する現像処理又は乾燥処理が終了するタイミングを予測する予測手段を備え、
測色制御部は、予測されたタイミングに基づいて測色部の校正開始タイミングを制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の写真処理装置。
【請求項3】
現像処理を行う現像処理部から感光材料が排出されたことを検出する排出検出センサーを備え、
前記予測手段は、この排出検出センサーからの信号に基づいて前記タイミングを予測することを特徴とする請求項2に記載の写真処理装置。
【請求項4】
現像処理部へ感光材料が送り込まれることを検出する送り込み検出センサーを備え、
前記予測手段は、この送り込み検出センサーからの信号に基づいて前記タイミングを予測することを特徴とする請求項2に記載の写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−281855(P2008−281855A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127049(P2007−127049)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】