説明

写真感触のバックコートが施された用紙

印刷を受けるように構成された面(101)とは反対の紙(100)の面(102)に適用される写真感触コーティング(200)は、バインダーと、第1及び第2の所定の径を有するポリエチレン粒子とを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を受ける面とは反対の表面上にコーティングが施されている用紙であって、写真基体のような感触をもたらす用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
写真基体のような感触を示す用紙は、その製造に要する手順/材料に起因して、本来高価である。例えば、紙シート上にポリエチレンを押出すプロセスでは、広く利用できず且つ用紙が最初に製造される製紙機(ミル)では通常利用できない特殊な装置が必要となる。従って、特殊な押出し装置の必要性のみならず、その紙を製造箇所からコーティング操作のための別の場所へと移動する必要があるため、前述の紙のコストは高騰する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、前述の紙を製造するための単純でそれ程高価でない技術が必要とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明の種々の態様及び特徴は、添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関し詳細に説明するため、より明らかに認識されよう。
【0005】
本発明の一実施形態では、紙シート又はベースストック100(未処理でも処理済でもよい)は、1つ又は複数のバインダーとポリエチレン粒子を含んで成る「写真感触」層200でコーティングされている。この写真感触コーティング200は、印刷が実施される印刷面101とは反対の紙面102上に施される。
【0006】
未処理のベースストックの場合、写真感触コーティング200は、図2記載の方法でベースストックに直に適用される。処理済ベースストックの場合、両面は、限定はしないが、粘土、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、シリカ、アルミニウム三水和物、酸化アルミニウム、ベーマイト、及びそれらの組合せから構成された印刷促進オフセットコーティングを適用して処理されているが、写真感触コーティング200は、図3記載の方法で印刷促進オフセットコーティング102Aに適用される。
【0007】
写真感触コーティングを適用するコーティング技術は、押出し法以外には、カーテンコーティング、ロッドコーティング又はスロットコーティングのような適切な任意の商用技術から選択することができる。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの構成に限定されず、例えば、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ナイフオーバーロールコーティングを除外するものではない。
【0008】
コーティングの厚さは、約3〜約50gsm(平方メートル当りのグラム)の間で変更させ得る。通常は、約5〜25gsmが適切であろうが、この厚さは、用途及び用いる紙に応じて変更し得る。
【0009】
コーティングを適用し得る紙又はベースストックは、フィンランドのM−real of Kangusで製造された「Galerie one gloss」及び「Galerie one silk」、及びInternational Paperによる#Savvy及び#Influenceのような市販のストックから選択し得る。本発明の実施形態は、勿論、これらの選択肢に限定されるものではなく、各種基材(紙)に適切に適用し得る。
【0010】
図1において、印刷面101上に印刷する際の印刷装置300を概略的に示している。この印刷装置はインクジェットプリンタの形態を取っているが、それに限定されることはない。例えば、印刷装置は、電子写真印刷、グラビア印刷等の形態をとり得る。
【0011】
本発明の一実施形態においては、紙100は、その印刷面101が、インクジェット印刷を助長する材料から成る層又は複数の層でコーティングされ得る。しかしながら、本発明の実施形態は、この種の処理に限定されるものではなく、炭酸カルシウム又はシリカ、粘土、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、等による処理を包含し得る。
【0012】
当該コーティング又は層200は、ポリエチレン粒子が分散されたアクリル系ラテックスのような単一バインダーを含み得る。本発明の一実施形態によれば、これらのポリエチレン粒子は、少なくとも2つの異なる径を有する。粒子の第1のグループは約25〜200ナノメートルの範囲の直径を有し得、一方、第2のグループは、約1〜6ミクロンの範囲の直径を有し得る。一実施形態によれば、第1の粒子としてのより好ましい粒子径範囲は約30〜70nmであり、そして第2の粒子としてのより好ましい粒子径は約3〜5ミクロンである。
【0013】
上述のバインダーは、限定はしないが、スチレン、スチレン−アクリル、スチレン−ブタジエン、アクリル、ポリ酢酸ビニル等から選択することができる。今述べたバインダーの混合物を使用することも本発明の範囲内である。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態では、抗カール剤をコーティング中に導入することができる。この抗カール剤は、限定はしないが、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、セルロース、修飾セルロース等から選択されるバインダーとし得る。
【0015】
大小の粒子の組合せは、写真基体特性をもたらすバックコートの滑らかな写真感触に寄与する。同程度の径の粒子の使用は、所望の感触をもたらさい。また、はっきりと確認してはいないが、小さめの粒子は比較的大きい粒子間のギャップを塞ぎ、バックコートの所望の感触に導く平滑化効果をもたらす傾向があるものと考えられる。
【0016】
実施例
【実施例1】
【0017】
バインダー#1 100部: アクリルラテックス(Rhoplex GL618)
バインダー#2 10部: ポリビニルアルコール(Mowiol 20−98)
粒子#1 40部: ポリエチレン粒子 4μm(Michem Guard 20)
粒子#2 60部: ポリエチレン粒子 50nm(Michem Shield 251)
紙: 被覆ベースストック
コート厚: 8gsm
感触: 好ましい
【実施例2】
【0018】
バインダー#1 100部: アクリルラテックス(Rhoplex R−253)
粒子#1 40部: ポリエチレン粒子 7μm(Michem Guard 60)
粒子#2 60部: ポリエチレン粒子 35nm(Michem Emulsion 39235)
紙: 未被覆ベースストック
コート厚: 20gsm
感触: 許容
【実施例3】
【0019】
バインダー#1 50部: スチレン/ブタジエンラテックス(Rovene 4021)
粒子#1 40部: テフロン粒子 4μm(Michem Glide 5)
粒子#2 60部: ポリエチレン粒子 45nm(Michem Emulsion 43040)
紙: 被覆ベースストック
コート厚: 3−5gsm
感触: 許容
【0020】
限られた数の実施形態のみを参照して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなし得る種々の修正及び変更は、これまでの開示内容を考慮すれば、本発明に関連する当業者には明らかであろうことは容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の概略側面図
【図2】未処理のベースストックを備えるシートに関する、図1記載の円で囲まれた被覆シートの部分拡大図
【図3】処理済みのベースストックを備えるシートに関する、図1記載の円で囲まれた被覆シートの部分拡大図
【図4】本発明の一実施形態に従って実施される処理段階を表すフローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を受けるように構成された面(101)とは反対の紙(100)の面(102)に適用される写真感触コーティング(200)であって:
バインダー;
第1及び第2の所定の径を有するポリエチレン粒子
を含んで成る、写真感触コーティング。
【請求項2】
前記第1粒子径と第2粒子径は、それぞれ約25〜約200ナノメートルの第1範囲と約1〜約6ミクロンの第2範囲とから成る、請求項1に記載の写真感触コーティング。
【請求項3】
前記第1粒子のより好ましい粒子径範囲が約30〜70nmであり、且つ前記第2粒子のより好ましい粒子径範囲が約3〜5ミクロンである、請求項2に記載の写真感触コーティング。
【請求項4】
前記バインダーが、スチレン、スチレン−アクリル、スチレン−ブタジエン、アクリル、ポリ酢酸ビニルの少なくとも1つから成る群から選択される、請求項1に記載の写真感触コーティング。
【請求項5】
好ましいバインダーが、アクリルをベースとするバインダーである、請求項1に記載の写真感触コーティング。
【請求項6】
第2バインダーをさらに含み、前記第2バインダーが、所定の特性をもたらすように付加されている、請求項1に記載の写真感触コーティング。
【請求項7】
前記所定の特性が、カールの軽減である、請求項6に記載の写真感触コーティング。
【請求項8】
前記第2バインダーが、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、セルロース、修飾セルロースから成る群から選択される、請求項6に記載の写真感触コーティング。
【請求項9】
好ましい第2バインダーが、ポリビニルアルコールである、請求項1に記載の写真感触コーティング。
【請求項10】
前記コーティングが、約3〜約50gsmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の写真感触コーティング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−518122(P2008−518122A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538935(P2007−538935)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/034906
【国際公開番号】WO2006/049761
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】