説明

写真技術に使用するための画像変形装置

【課題】従来技術における制限を克服した、写真技術において使用する特殊効果装置を提供すること。
【解決手段】像の光をフィルムに記録される前に変更するためのカメラ用アタッチメントであって、フィルム面と像との間の、フィルム面から所定距離に配置された中間焦平面と、像からの光を中間焦平面上に合焦するための手段と、中間焦平面に配置された透明光学変形装置と、変形装置を載置するためのカートリッジと、変形装置を中間焦平面に位置決めするように配置されている、カートリッジを取外可能に挿入するためのスロットと、光を遮ることなく散乱及び拡散させることにより光を歪めるための手段とを備え、歪めるための手段は、変形装置の表面上に一体的に配置形成され、歪めるための手段は、像からの光を中間焦平面で歪め、合焦した歪められた中間像を形成するように透明であり、アタッチメントは、該中間像をフィルム面に再合焦するための手段をさらに備える、カメラ用アタッチメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に写真画像変形装置に関し、より詳細には、露光中に写真のネガに、絵画様に見える効果等の特殊効果を与えるための写真画像変形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真技術の分野において特殊効果を与える技術は、従来から非常に活発に行なわれており、写真技術への関心の高まりや、より面白い視覚的描写の探求と共に成長を続けている。これまでに、例えば、画像をフィルムに露光する前又は露光中に変化させるような装置が開発されている。このような装置は、代表的には、カメラのレンズの端部に取付けて、光がフィルムに到達する前に直接干渉するものである。入射光に与える変更や効果は、「真の」画像を記録するフィルムの同じフレーム上にカラーフィルターによって「サブイメージ」を重ねる変更とは異なる。例えば、予め所定形状とした不透明なマットを入射光の一部の前に置いて、フィルムのこれに対応する形状部分をブロックすることによって、フィルムに未露光領域を残し、この領域を後で別の画像によって「埋める」ことによって、一つの意図した描写や効果を生じさせることができる。スチル写真技術でも同様のディフュージョンマットを使用して、露光中のフィルムフレームに徐々に露光度が低くなる境界線を生じさせ、ビネット状の輪郭を作ることが行なわれている。
【0003】
従来の装置は、フィルムフレーム上の画像の一部に、日付やその他のアルファベットや数字による情報等の文字画像を重ねるためにも使用されている。このような装置は、代表的には、Leschbrandtの米国特許第1,504,959号に開示されている装置等であり、例えばカメラのフィルム面に不透明な文字を配置した半透明のプレート(又はリボン)を含むものである。文字プレートは、フィルム表面に隣接し且つその前方で整合している。外部光源からの光若しくはカメラ内部で発生した光を使用して、選択されたプレート上の文字をフィルムの一部に重ねる。
【0004】
Uedaらの米国特許第3,916,423号は、フィルムに像を露光している間に、フィルム表面に情報(文字、線、模様)を転写するための装置を開示している。不透明なマスクを備える透明プレートが、フィルムフレームの前に隣接して、フィルムカートリッジに取付けられている。露光中に、像からの光がフィルムに到達して露光する前に、この透明プレート上に配置された不透明なマスクによって、光の一部を遮る。その結果、フィルム(ネガ)に、不透明なマスクの特定形状に対応した露出不足領域が生じる。ネガを用いてポジティブプリントを感光すると、特定の不透明なマスクの形状が、最終的なプリントに暗い露出過度領域としてポジティブに転写される。
【0005】
このような従来の特殊効果装置における一つの限界点は、これら全てが、入射光がフィルムに到達する前にその一部を遮るという技法に頼っていることである。不透明なマスクを用いる従来技術の方法でも多くの効果を生むことができるが、より微妙な拡散方法を要する効果が他にも沢山ある。
【0006】
特定の背景の中の特定の主題の写真を撮る時に、背景のライティング条件や光の分布、並びに主題の反射特性によって、フィルムネガにフィルムの「正常な」露出範囲よりも露出過度又は露出不足の領域が生じることがよくある。従来のカメラは通常少なくとも一つの露出計を内臓しており、カメラに入射する光がフィルムを露光する前に、この露出計を使って、この光の平均強度を測定している。露出計は電気信号を発生し、この信号をコンピューターで処理して、光の平均強度がフィルムに記録される画像全体に渡って補正されるように、レンズの絞りのサイズ又はシャッタースピード、若しくはその両方を制御する。Nikon(日本)のN−90、N90s、F5等、これよりももう少し進んだカメラでは、数個の独立した露出計を使用して、それぞれの露出計によってフレームの特定のゾーンつまり領域内の光の強度を測定している(例えば上方領域は、背景の空からの光の強度を測定するのに使用する)。数個の露出計を使って、フレーム内のシーンの領域ごとに異なる光の強度を測定すると、光の平均強度をより正確に読み取ることができるが、カメラは、フレーム内のシーンのうち特定領域からフィルム上の対応領域に到達する光の量を、フィルム上の他の領域に到達する光の量を変えずに制御することはできない。換言すれば、ネガ全体の濃度は、レンズの絞り又はシャッタースピードを調節することによって補正することができるが、この露出補正はフィルムの記録領域(つまりフレーム)全体に渡って均等に効果を示すのである。例えば、絞りを絞って、フィルムに到達する光の量を減少させ、主題や背景の「明るい」点を補正すると、主題や背景の「ニュートラル」つまり正常な領域は暗くなりすぎてしまう。シャッタースピードを遅くして、画像のより暗い領域を「強く焼き付ける」と、正常な領域は許容レベルを超えて露出過度となって「色褪せ」してしまう。
【0007】
残念ながら、従来のカメラでは、カメラに入射する特定の像の光全体の平均を測定しているに過ぎないので、記録された画像の一部が露出過度(暗すぎる)又は露出不足(色褪せ)となってしまう写真が多い。
【0008】
この比較的よく起こる露出の弊害さえなければ良い写真となるものを、この弊害のために台無しにしてしまうことを防ぐために、写真家は、通常の慣習として、同じ像について数枚の写真を撮り(つまり画像をブラケット(bracket)し)、各ショットごとの画像の露出を変えて(代表的には1/3EV程度)、各画像の露出が僅かずつ異なったものとなるようしている。その中から、受けた光を最も適切に平均化している記録画像を選択することができる。上述のNikon社製N−90は、M−26データバックアクセサリーによってブラケティング機能を持たせることができ、選択した枚数の写真をカメラが自動的に撮り、各ショットごとに所定段階だけ露出を変えることができる。
【0009】
写真技術におけるブラケティング技術にはいくつかの問題点がある。殆ど変わらない画像について大量のフィルムを露光するだけでなく、比較的高価なカメラでしか露出調整を行なうことができず、ましてや露出の自動ブラケティングはできない。また、露出ブラケティングでは何枚かの写真から選択することができるが、カメラの露出計は受けた全ての光を考慮に入れなければならず、また画像フレームの一部の露出を局所的に補正することもあるので、ブラケットされた写真は全て、段階の異なる露出過度又は露出不足となっている。つまり、画像に露出過度の領域があると、ブラケティングではその領域の露出を補正するのではなく、単にフィルムに記録される画像全体の露出を変えることによってそれを隠しているに過ぎないのである。
【0010】
フィルムフレームの特定領域における露出を、フィルムフレームの他の領域の露出を変えることなく制御するするために、他の試みもなされている。特別に分割されたゾーンフィルターでは、不透明度の異なる領域を設けて、この領域を特定のシーンに合わせて、曇天等のハイライト領域を補正する。このようなフィルターは、像のディテールと整合することはほとんどないので、フィルターによって規定された特定領域がシーンの領域と整合する時にしか有効ではない。
【0011】
ネガを一旦現像すると、ネガからプリントを作成する際に、濃度マスク(不透明及び半透明なシート材料でできている)を露光通路(印画紙上)に置いて行なう、「おおい焼き」や「強い焼き付け(burning)」として良く知られている技術によって、写真プリントを作成する間に露出不足や露出過度の領域を補正することができる。画像を拡大する(つまりプリントプロセス)時に、このマスクを使用して、印画紙に投射する光の一部から、ネガの露出過度領域を選択的に保護する。しかしながら、このような技術は、高価なカスタムプリントプロセスで用いるものであって、廉価な自動プリントプロセスでは用いられない。プリントを作成する度毎に濃度マスクを適切な位置に配置する精度が本質的に低く、プリントごとにマスクの位置を調節するのには非常に時間がかかるので、このような技術は繰り返し均等に行なうことが困難である。また、このような露出補正を行なった結果は、プリントを感光して現像するまでわからない。もし満足のいく結果が得られなかった場合には、満足のいくプリントができるまで、試行錯誤的にやり直しをしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って本発明の目的は、従来技術における制限を克服した、写真技術において使用する特殊効果装置を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、写真家が、写真画像を本来絵画が持つ特性を有する画像へ変換することができる、上記の装置を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、写真家が、ランダムなひび割れ模様を有する半透明のマスクを画像上に重ねて、古い油彩画の特徴であるひび割れを持った最終的なプリントを得ることができる、上記の装置を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、写真家が、半透明のマスクを画像上に重ねて、その画像を水彩画の本質的な特徴を有する画像に変換することができる、上記の装置を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、写真家が、半透明のマスクを画像上に重ねて、その画像をパレットナイフで描いた油彩画の本質的な特徴を有する画像に変換することができる、上記の装置を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、フィルムを露光する前に、露出過度及び露出不足の領域を補正することができる写真ネガを製造するための方法及び装置を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、フィルムに記録される画像の選択された領域であって、画像内の背景、被写体、又は主題の特定の輪郭に沿った領域に、局所的な露光補正を行なうことにある。
【0019】
本発明の別の目的は、画像をフィルムに記録する前に、露光補正された画像のプレビュー画像を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、画像に段階的に異なる局所的露出補正を行なうことにある。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、フィルムに隣接する単一の変形装置を使用して、画像を選択的に変形するための方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、像の光の集合体を、フィルムに記録される前に変更するためのカメラ用アタッチメントであって、該カメラはレンズ絞りと、フィルム面に配置されるフィルムのフレームと、レンズとを備え、該アタッチメントは、
該フィルム面と該像との間の、前記フィルム面から所定距離の位置に配置された中間焦平面と、
該像からの光の集合体を該中間焦平面上に合焦するための手段と、
該中間焦平面に配置された透明光学変形装置と、
該透明光学変形装置を載置するためのカートリッジと、
該透明光学変形装置を中間焦平面に位置決めするように配置されている、該カートリッジを取り外し可能に挿入するためのスロットと、
光を遮ることなく散乱及び拡散させることにより光を歪めるための手段とを備え、該歪めるための手段は、前記透明光学変形装置の表面上に一体的に配置形成され、該歪めるための手段は、前記像からの光を中間焦平面で歪め、合焦した歪められた中間像を形成するように透明であり、前記アタッチメントはさらに、
前記中間焦平面からの前記合焦した歪められた中間像を前記フィルム面に再合焦するための手段をさらに備える、カメラ用アタッチメントが提供される。
【0023】
第一の実施態様では、本発明は、カメラ内のフィルム面に載置した透明プレートを含む。この透明プレートは、半透明の拡散パターンを有し、主題から反射された入射光線を拡散させて、フィルムを露光する前に制御下で効果的に配置し直す。ここで提案する拡散パターンでは、光線を変化させて、種々のタイプの絵画に見られる特徴を作り出すことができる。
【0024】
本発明の別の実施態様では、この半透明拡散パターンを有する透明プレートを、フィルムカートリッジに載置する。
【0025】
本発明の別の実施態様では、所定長さのプラスチックフィルム(パターンストリップ)を同様の長さの写真フィルム(フィルムストリップ)に隣接して配置する。適切な半透明の拡散パターンを、パターンストリップの一方の表面にその全長に渡って設ける。カメラのフィルムゲートにおいてフィルムの各フレームの前にそれぞれマスクが配置されるように、二つのストリップは従来の35mmキャニスターに巻き取ってあり、必要に応じて(カメラ内で)同時に引き出される。
【0026】
本発明の別の実施態様では、半透明拡散パターンを有する透明プレートを、カメラのメインレンズとカメラ本体との間に配置する。この配置では、特定のパターンの模様をフィルム面にあるフィルムに露光すべき画像とくっきりと合焦させるために、補正レンズが必要である。
【0027】
本発明の別の実施態様では、カメラのフィルムの前にLCDを載置し、像の光がフィルムを露光する前に、画像の特定領域を補正するために使用する。
【0028】
本発明の別の実施態様では、それぞれ異なる半透明拡散パターンを有する多数の透明部材が、カメラのフィルムゲートから離隔した収容位置と、フィルムとカメラレンズとの間のフィルムゲート内に一つ以上の透明部材が配置されるフィルムゲート位置との間で、滑動的に移動可能である。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様では、一眼レフタイプの使い捨てカメラが、カメラレンズと接眼レンズとの間に配置された枢動反射鏡を有し、この反射鏡は、像からの入射光が接眼レンズに向けられる第一位置と、入射光がフィルムに向けられる第二位置とに回転可能である。回転可能な反射鏡は、光変形装置として機能させることもでき、別の変形装置と容易に交換可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1には、カメラ本体12、カメラ本体12の前面に取付けたレンズ組立体14、及びフィルムゲート18(図2c参照)の所で断面図で示されるフィルムフレーム16を有するカメラ10(一眼レフ)を示す。本発明の第一実施態様による光学変形装置20は、フィルムゲート18内のフィルム16の前に配置されている。カメラ10のフィルムゲート18及びシャッター機構19の特定構造は慣用のものであるので、詳細には示さない。この実施態様において、シャッター機構19は、レンズ14、変形装置20、そして当然ながらフィルム16のフレームの前(つまりより近い位置)にある。
【0031】
以下により詳細に示す変形装置20は、フィルム16とカメラ10のシャッターとの間で、フィルムゲート18内に嵌合する大きさ及び形状である。カメラのドア(図示せず)(フィルムを出し入れするのに使用する)の内表面に通常載置される慣用のバネ付勢式フィルム圧板21は、フィルムゲート18間で変形装置20の裏面に隣接して平らに軽くフィルムを押圧する。
【0032】
図2a〜図2cを参照すると、本発明の一実施態様による変形装置20は、透明プレート22と拡散パターン24とを備えている。透明プレート22は、好ましくは二つの(薄い)縁部区域28を規定する隆起した(つまり厚い)中央区域26を有するように形成する。縁部区域28は、フィルムゲート18に隣接するカメラ部分と接触するように設計されており、図2cに断面図で示すように、中央区域がカメラ10のフィルムゲート18内に配置された状態で、変形装置20全体をカメラ内で保持する。
【0033】
拡散パターン24は、半透明マスクとして機能して、入射光がフィルムに到達して露光する前に、これを拡散させ、歪ませる。拡散パターン24は、好ましくは光がフィルムに到達するのを妨げない(つまりパターンは不透明ではない)。変形装置20の透明プレート22は、好ましくは光学品質のプラスチック製であるが、光学品質のガラスも使用可能である。拡散パターン24は、好ましくは透明プレート22の裏面30(カメラ10に装着した場合にフィルム16に面する)に形成する。
【0034】
拡散パターン24を形成する好ましい方法は、プラスチック製透明プレート22の裏面に特定のパターン(その陰画又は反転)をエンボス加工する方法である。まず硬質材料のスタンプ面に、反転パターンを機械加工する。次いでプラスチック製透明プレート22を軟化させ(蒸気、電気フィラメント、又は他の間接加熱等、炎の出ない熱によって行なう)、スタンプ面に押し付けて、パターンをプラスチックプレート22の裏面に転写し、拡散パターン24を形成する。入射光線が変形装置20を通過して拡散パターン24の一部に当たると、光がフィルムに到達して露光する前に、特定の光線が、遮られることなくある程度ランダムに散乱つまり拡散する。
【0035】
拡散パターン24は、制御下で入射光を効率的に歪ませ、よって画像をも効率的に歪ませる。透明プレート22及びパターン24が共にフィルム面(焦平面とも呼ばれる)に配置されており、ソフトフォーカス(シャープでなく)となっているため、画像は目に見える特定の歪みパターン24に従って歪む。パターン24は、事実上焦点にあるものの、マスクではなく(不透明ではない)、入射光がフィルムに到達して露光する直前にこれを僅かに拡散させる光ディフューザーであるので、ある程度ソフト(シャープな合焦ではなく)に見える。このように光を制御して拡散させることにより、露光された画像に以下に説明するように所望の特殊効果を与えることができる。
【0036】
変形装置20は、物理的に可能な限りフィルム表面に近接して配置することが好ましい。変形装置20が、図2a―図2cに示し上記で説明したように、カメラに対して静止しているタイプのものである場合には、フィルムを進める際に引っかき傷ができてしまわないように、変形装置はフィルムと接触しないことが好ましい。
【0037】
変形装置20を、フィルムゲート18内にカメラの焦平面に隣接して配置するに際して、いくつかの実施態様がある。それを図3〜図14を参照して以下に説明する。
【0038】
図3及び図4を参照すると、本発明の光学変形装置32が、慣用のフィルムカセット34(代表的にはフィルムタイプ120と呼ばれている)の構造内に組込まれている。カセット34は、フィルム供給部36、フィルム巻取り部38、及びフィルム供給部36とフィルム巻取り部38とを連結する連結部40を備える。連結部40は、一体的に設けたフィルムゲート42を有し、このフィルムゲート42は、カセット34を受け入れるように適合されているカメラ(図示せず)のフィルムゲートと整合する。この実施態様では、変形装置32は、フィルムゲート42を横切ってフィルム16に隣接して配置されるように、連結部40をなす構造内に配置する(カセット34の製造時に)ことが好ましい。
【0039】
変形装置32は、上述の図1及び図2a―図2cの実施態様のように、特定の拡散パターン24を備えている。変形装置32は、フィルムゲート42を通る全ての光が変形装置をも通過し、フィルムに到達して露光する前に僅かに拡散されるように配置されている。
【0040】
図5及び図6には、本発明の別の実施態様による変形装置50を示す。この実施態様では、変形装置50は、半透明プラスチック製の薄いストリップ(写真フィルムに使用されている基材と同様のもの)の形態である。ストリップ状変形装置50は、慣用のロール状フィルム16(35mmタイプ)の内面52(乳剤側)に固定されている。フィルム16及び取付けられたストリップ状変形装置50は、通常のスプール54によって標準的なフィルムキャニスター(図示せず)内に一緒に巻き取られる。ストリップ状変形装置50は、熱接着又は適当な接着剤によって、端部若しくはフレーム間(図示せず)等の、選択された点56においてのみ取り付けられていることが好ましい。
【0041】
フィルム16は、35mmフォーマットで示されているが、120,220、4×5、110、及びポラロイド(商標)タイプのフィルム/ペーパー等、いかなるフィルムフォーマットのものも使用することができる。この後者のフォーマットの場合には、変形装置50をフィルム/ペーパーの各シートごとに取り付け若しくは横切って配置し、特定の画像を露光及び現像した後に取り外す。
【0042】
図6は、図5のフィルム16を装填した慣用の一眼レフカメラ10(図1に示したカメラ10と同様のもの)を(断面図で)示す。ストリップ状変形装置50は、フィルム16の前(レンズ14により近い方)且つフィルムゲート18を横切って配置された状態で示されている。
【0043】
図7及び図8は、本発明の別の実施態様による光学変形装置60を示す。この光学変形装置は、図2a―図2cに示し上記で説明したものと同様のものである。但しこの実施態様では、変形装置60は、フィルムゲート18と同じサイズである、つまり変形装置60には縁部28がない。変形装置60は、例えば適切な接着剤を用いて、フィルムゲート18内に永久的に取付けてある。変形装置60は、精密嵌合又は適当なうね及び/又は戻り止めを用いて、フィルムゲート18内の所定位置にスナップ嵌合してもよい。この実施態様に示す変形装置60は、特に使い捨て型のカメラにおいて有用である。
【0044】
図9〜図12には、本発明によるさらに別の光学変形装置70を示す。変形装置70は、カートリッジ72の枠組み構造体内に載置されている。カートリッジ72は、カメラ76に設けたスロット74に挿入するように適合された薄いプレートである。カメラ76は、特別にスロット74を設けたものとするか、若しくはスロット74を有する取り替え可能なカメラ背部(図示せず)を用意してもよい。どちらの場合も、カートリッジ72は、変形装置70(カートリッジ72内に載置されている)が図11及び図12に示すようにフィルムゲート18とフィルム16との間の位置に合うように、スロット74によって位置決めされる。種々のカートリッジ72(それぞれ異なる変形装置70を備える)のうちの一つをスロット74へ挿入することができる。各カートリッジ72は、スロット74に挿入しても手が届くハンドルを有することが好ましい。スロット74及び/又は挿入可能なカートリッジ72は、余計な光がスロットの開口部からカメラ内に入ってフィルムを露光してしまうのを防ぐための、適当な光バリアを備えている。
【0045】
図13〜図15には、本発明の別の実施態様を示す。この実施態様では、カメラ本体12とレンズ組立体14との間に変形装置カプラー80を配置している。変形装置カプラー80は、レンズ組立体14をカメラ本体12へ連結し、入射光をレンズ組立体14からカメラ10のフィルムゲート18へ通過させる。変形装置カプラー80は、イメージ面82と、第一レンズ組立体84と、第二レンズ組立体86と、変形装置受入れスロット88と、フィルター受入れスロット90とを備えている。
【0046】
この実施態様では、数種の異なる変形装置20が、それぞれプレート92に載置されている。選択された数枚のプレート92を、図14に示すように、プレートホルダー94に載置する。プレートホルダー94は、変形装置受け入れスロット88に隣接して変形装置カプラー80に載置できるように適合されている。プレートホルダー94は、保持している数枚のプレート92のうち選択された1枚のプレートを、変形装置受け入れスロット88と整合させることができるように、変形装置カプラー80に対してスライド可能に載置される。選択されたプレート92は、変形装置受け入れスロット88と一直線上に並ぶと、変形装置カプラー80内へと移動することができ、選択された変形装置20が、レンズ組立体14からの入射光通路と整合する。選択されたプレート92は、図14及び図15では挿入された位置で示されている。慣用のフィルター等、他の光変形装置をフィルター受入れスロット90に挿入してもよい。
【0047】
レンズ組立体14に光が入射すると、レンズ組立体14の内部レンズ及び第一レンズ組立体84が、主題からの反射光をカプラー80のイメージ面82上に合焦する(画像は逆さになっている)。逆さになっている画像は、イメージ面82にある選択された変形装置20によって変形される。ここから、第二レンズ組立体86が、カメラ10のフィルムゲート18に位置するフィルム面上に、画像を再合焦する(そして画像をもとの向きに戻す)。
【0048】
本発明の重要な特徴は、上述の各実施態様に示されているように、フィルム面に対する焦平面の配置に関わらず、像の光路に変形装置20をどのように導入するとしても、カメラ10の焦平面にできる限り近接して配置するということである。上述の実施態様(図13〜図15)で説明したように、通常焦平面は一つで、フィルム面の所にあるが、フィルム面から主題へ所定距離向かった地点に一つと、フィルム面18にもう一つ、二つの有効焦平面を作り出すことも可能である。
【0049】
図16〜図18には、本発明の別の実施態様による光学変形装置組立体102を備えるカメラ100を示す。この実施例のカメラ100は、比較的廉価な部品を使用して製造され、フィルムを予め内蔵した使い捨て型のものを意図している。この実施態様のカメラ100は、言うまでもなく、使い捨てではないタイプとすることもできる。
【0050】
カメラ100は、前面106とレンズ絞り108とを有するカメラ本体104を含む。市販の慣用の使い捨てカメラ(つまり本発明の変形装置組立体を備えていないもの)は、絞り108内に載置されたレンズ(図示せず)を備えている。慣用のレンズ(図示せず)は、カメラの前にある主題を、フィルム面(カメラの後部にある)にあるフィルムフレーム上に合焦する。使い捨てカメラ100の製造時に、出願人は、慣用のレンズ(図示せず)を光学変形装置組立体102と差し替えることを考えた。
【0051】
図18に断面図で示すように、光学変形装置組立体102は、フィルム面から最も遠くにある第一外側レンズ110と、カメラ100の前面106に隣接して配置される第二内側レンズ112とを備える。光学変形装置114は、内側レンズと外側レンズ(112,110)の間の、カメラ100のフィルム面に平行な面内に可動式に配置される。外側レンズ110は、カメラの前にある主題が反射した光を、中間焦平面115上に合焦する。内側レンズ112は、中間焦平面115にある画像を、フィルム面上に合焦する。主題からの光に加えた歪みがシャープなピントで(つまり変形装置を通過する光の拡散が合焦した通りに)フィルム上に記録されるように、光学変形装置114を中間焦平面に近接して配置することが望ましい。
【0052】
図17に示すように、光学変形装置114は、アーム116に載置されている。アーム116は、光学変形装置組立体102のハウジング118に枢動可能に連結されている。カメラ100のユーザーはアーム116の一部に触れてこれを動かすことができ、入射光が直接フィルムへ通過し、(レンズ以外のものによっては)歪められない収容位置(図17に点線で示す)と、光学変形装置114が光の通路中に位置している干渉位置(図17に実線で示す)との間で、光学変形装置114を移動させる。
【0053】
図19〜図20には、光学変形装置114をディスク120の縁に沿って載置した、使い捨てカメラに応用した本発明の好ましい実施態様を示す。ディスク120は、中央枢動点122でカメラ100の本体に枢動可能に取り付けられている。ディスク120は数個の周縁開口124を有しており、それぞれの開口には異なる効果が得られる数種の異なる光学変形装置114の一つが設けられている。ディスク120は、レンズ絞り108の前に開口124のいずれか一つが配置されるように、載置される。カメラ100の操作者は、適切な光学変形装置114がレンズ絞り108と一直線上に並ぶまでディスク120を回転させることによって、特定の効果を選択することができる。レバー126を設けて、ディスク120の回転を助けても良い。また、例えばカメラ本体の表面に設けた印を指す表示器(図示せず)を設けて、どの効果を使用しているのかを表示してもよい。
【0054】
図21〜図22には、光学変形装置114を細長いパネル128上に載置した、本発明の別の実施態様を示す。パネル128は、細長い窓を規定する二つの平行な内側縁部130を有する。数枚のスライドプレート132が、二つの縁部130の間に滑動可能に配置されている。各プレート132を、収容位置と、レンズ絞り108の前に配置した使用可能位置との間で、選択的に移動させることができるように、パネル128は、カメラ100の前面に載置されている。各プレート132は開口134を有し、この開口内に数種の異なる光学変形装置114のうち一つが配置される。各プレート132は、好ましくは手の届くハンドル136を備えており、カメラの操作者はこれを掴んで必要に応じてプレート132をレンズ絞り108に対して移動させることができる。
【0055】
例示として、変形していない写真(二つの花の写真)の描示を図23に示す。本発明の一つの目的は、主題の像(つまり主題から反射され、カメラに入る光)を変形して、絵画のように見える視覚的特徴を与えることにある。ある特定の光学変形装置114では、像を変形して、図24に示すように印象派風の体裁とする。ここでは、ディテール全てが歪められているが、画像は実質的にピントが合っている。別の光学変形装置114では、元の花の画像に「ひび割れ」効果(古い油彩画の特徴)を与え、得られたプリントは図25に示すようになる。
【0056】
言うまでもなく、本発明の変形装置を使用すれば、光学変形装置又は効果として、様々な絵画的特徴を与えることができる。
【0057】
図19及び図20に示し上記に説明したものと同様な、別の実施態様を図26〜図28に示す。この実施態様は、変形装置ハウジング200、変形装置ターレット202、及び第一レンズハウジング204を備える。変形装置ハウジング200は、使い捨てカメラ206の面と一体的に形成することが好ましいが、別個に形成して、使用するいかなるカメラ206の面にもカメラアタッチメントとして取付けられるように適合することもできる。変形装置ハウジング200は、前壁208と、カメラ206の第一レンズ絞り212と整合している開口210とを備える。前壁208の後方には第二レンズ管214が配置され、好ましくは中間焦平面216にある像をフィルム上に再合焦するように設計された適切なレンズ(図示せず)を備える。中間焦平面216は、好ましくは前壁208の直前、変形装置ターレット202の位置に配置される。
【0058】
図27に示すように、変形装置ターレット202は、枢動ピン218で、変形装置ハウジング200の一部に枢動可能に連結されている。変形装置ターレット202は、枢動ピン218を中心として回転可能である。
【0059】
第一レンズハウジング204は、枢動ピン218によって、若しくはカメラ206と一体的に形成する(又は他の方法で連結する)ことによって、好ましくはカメラ206及び変形装置ハウジング200に対して固定する。第一レンズハウジング204は、第一レンズ220を支持している。第一レンズ220は、カメラの前の像から反射された入射光を、中間焦平面216上に合焦するように設計されている。第一レンズ220は、第一レンズ管222内に載置してもよい。
【0060】
変形装置ターレット202は、図28に示すように、少なくとも二つの開口224を有する。開口224の一方に、例えば光学変形装置226を設けても良い。図28に示す他方の開口(又は複数の開口)は、空けたままにしておくか、透明エレメント227又はつや消しの表面を有する半透明エレメントを設けるか、若しくは他の光学変形装置を設けてもよい。「ひび割れ」、印象派風、又は他の絵画的な効果を生むような数種の異なる変形装置を備える変形装置ターレットの他の変更例も考えられる。
【0061】
図28に示すように、変形装置ターレット202は、使用している変形装置のタイプ(又は使用していないこと)を示す印228又は他の表示をさらに備えていることが好ましい。操作者が印228を見て、変形装置が配置されているとすればどの変形装置が入射光の通路に配置されていてフィルムに効果を与えるのかを知ることができるように、変形装置ターレット202上に印刷された印と整合する表示器開口230を第一レンズハウジング204にさらに設けても良い。
【0062】
ターレット202の周囲にさらにゴム製Oリング232を設けて、操作者がターレットを回す時にしっかりとグリップできるように、高い摩擦が確実に得られるようにする。Oリングは図27に示されている。図27のゴム製Oリング232の代わりに、他のグリップ可能な周面としては、ザラザラした縁部(図示せず)や図28に示す鋸刃状切り欠き234が挙げられる。
【0063】
操作の際、操作者は、表示器開口230を通して印228を見ながら、所望の変形装置の効果が表示されるまで、変形装置ターレット202を回す。表示器開口230を通して適当な変形効果が表示されると、変形装置が第一レンズ220の前に配置され、従ってフィルムに効果を与える。
【0064】
図29a〜図29cには、本発明の別の実施態様によるカメラ300を示す。このカメラ300は、本体302と、レンズ組立体304と、接眼レンズ306と、フィルムゲート308と、第一枢動点311を中心として枢動可能な第一枢動載置変形装置310と、第二枢動点313を中心として枢動可能な第二枢動載置変形装置312とを備える。わかりやすくするために、この実施態様では二つの変形装置310、312のみを示す。カメラのタイプや各変形装置を移動させる機構によっては、この実施態様に四つ以上の変形装置を設けることもできる。
【0065】
各変形装置は、シャッター(図示せず)が開いている時に、レンズ組立体304を通してカメラ300に入る入射光を遮ることなく、フィルムゲート308内に配置されたフィルム(図示せず)に到達させる収容位置の間で枢動する。図29aは、変形装置310、312のどちらも収容位置にある状態を示している。この場合、カメラ300は、変形されていない画像をフィルムに記録するという点で、慣用のカメラと同様に機能する。
【0066】
図29bは、第一変形装置310が収容位置に保持され、第二変形装置312がフィルムゲート308内又はこれに直近接して(且つシャッター及びフィルムの前に)配置されている状態を示している。この配置では、レンズ組立体304を通ってカメラ300に入る像の光は、フィルムに到達する前に、透明(又は半透明)変形装置312を通過しなければならない。従って像からの光は、本発明で先に説明したように、第二変形装置312によって変更される。
【0067】
図29cは、第二変形装置312が収容位置へ戻って再配置され、第一変形装置310がフィルムゲート308内又はこれに直近接して(且つシャッター及びフィルムの前に)配置されている状態を示している。この配置では、レンズ組立体304を通ってカメラ300に入る像の光は、フィルムに到達する前に、変形装置310を通らなければならない(シャッターが開いている場合)。
【0068】
各変形装置310、312は、好ましくはバネによって図29aに示す収容位置へ付勢されていて、図29b及び図29cに示すフィルムゲート位置へは機械的に枢動させるものとする。一方又は両方の変形装置を、収容位置とフィルムゲート位置との間で枢動させるには、当業者に既知のいかなる適切な機構を使用してもよい。
【0069】
操作において、カメラ300の操作者は、フィルムに記録する主題を選定し、次いでその像を調節するかどうか、例えば絵画のような外観とするかどうか、またどのタイプの変形装置(既にカメラ300に搭載されている)を使用すべきかを選択する。変形装置を使用しない場合には、カメラ300は慣用の態様で操作するが、変形装置310、312を収容位置からフィルムゲート位置へと展開しようとする場合には、カメラ300に設けた適当な作動器を作動させて、変形装置310,312の一方(若しくは両方)を、収容位置からバネ付勢の作用に抗してフィルムゲート位置まで、機械的又は電気機械的に枢動させることができる。各写真を撮った後に、展開した変形装置を収容位置へ自動的に戻すために、適切な電子技術及びソフトウエアを使用してもよい。
【0070】
図30a〜図32bには、本体402、フィルムゲート404、フィルム406、第一変形装置408、第二変形装置410、レール412、及びシャッター414を備えた、本発明の別の実施態様によるカメラ400を示す。
【0071】
この実施態様は、図29a〜図29cに示し上記で説明した実施態様と同様であるが、先の実施態様では変形装置を枢動可能に載置していたのに対し、この実施態様の変形装置は、本体402に滑動可能に載置しているという点が異なる。この実施態様では、各変形装置408、410は、フィルムゲート404を挟んで両側に配置され、且つフィルムゲート404から離隔した本体402内の位置まで延びているレール412に対して滑動可能に載置されている。操作において、変形装置408、410のいづれか(若しくは両方)は、図30bに示す収容位置と、図31b及び図32bに示すフィルムゲート位置との間で、滑動可能に移動させることができる。変形装置408、410は、適切な機構によってレール412に沿って移動させることができる。このような機構は、オンボードプロセッサー(図示せず)によって、若しくはカメラ400の使用者が直接操作するレバー操作によって手動で制御可能な内蔵電動モーターを使用して駆動可能である。
【0072】
図30a及び図30bは、変形装置408、410の両方が収容位置にある状態を示しており、どちらの変形装置も、カメラ400に入ってくる像の光がフィルム406に到達する前に変更を行なわない。図31a及び図31bは、入射光がフィルム406に到達する前に、第二変形装置410のみによって効果を与えるように、第二変形装置410がフィルムゲート位置に配置され、第一変形装置408が収容位置にある状態を示している。同様に、図32a及び図32bは、入射光がフィルム406に到達する前に第一変形装置408によって変更を加えるように、第一変形装置408がフィルムゲート位置に配置され、第二変形装置410が収容位置に残っている状態を示している。
【0073】
この実施態様では、カメラ400の操作者が、行なおうとする変形のタイプによって、カメラ400のシャッターを開放する前に、第一変形装置408又は第二変形装置410のいずれか特定の変形装置を選択することができる(この場合は図30a〜図32bに示している)。例えば、この出願で先に説明したように、第一変形装置408は、像の光を印象派風の特徴を持たせるように変形することができ、第二変形装置208は、像の光をひび割れた特徴を持たせるように変形することができるので、カメラ400の操作者はこれらの変形のいずれか、どちらの変形もしない状態(正常な画像)、若しくは両方の変形装置を用いて第三の別の変形を行なうことを選択することができる。この実施態様では、変形装置408、410をいくつ設けてもよい。わかりやすくするために、変形装置を二つだけ図示し、説明している。
【0074】
慣用の一眼レフ(SLR)カメラを操作する場合、カメラの操作者が、レンズを通して見ている画像そのままを見ることができるように、像からの入射光は、レンズ組立体中を通り、枢動反射鏡及びプリズム(又は第二固定反射鏡)によって接眼レンズに向けて反射される。レンズは代表的には、像に合焦する手段と、カメラに入る光量を制御するための絞りとを備える。カメラのトリガーボタンを押すと、シャッターカーテンが露出し、レンズがシャッターの直向こう側の点で(シャッターの裏にあるフィルム上に)収束するように、枢動反射鏡が枢動する。次いでシャッターが選択されたシャッタースピードで開放し、収束した光に対してフィルムを所定時間だけ露出する。
【0075】
図33a〜図33cには、レンズ組立体502、固定反射鏡504、枢動反射鏡506、ビューイングスクリーン508、接眼レンズ510、フィルムカセット512、及びフィルムゲート514を備える、本発明の別の実施態様による使い捨て一眼レフ(SLR)カメラ500の概略図を示す。フィルムカセット512及びフィルムゲート514は、好ましくは図33a〜図33cに示すように、カメラ500の前側且つレンズ組立体502の上方に、ビューイングスクリーン508及び接眼レンズ510と対向して配置されている。
【0076】
本発明のこの実施態様の目的は、SLRカメラの利点と、使い捨てカメラの単純性及び低コストとを組合せたカメラを提供することである。
【0077】
レンズ組立体502は、好ましくは慣用の使い捨てカメラで使用しているタイプのレンズ/シャッターと同様の内蔵単速シャッターを備えている。枢動反射鏡506は、カメラ500内に枢動可能に載置されており、ビュー位置(図33aに示す)と露光位置(図33cに示す)との間で角度を変えることができる。枢動反射鏡506がビュー位置にある場合、主題からの画像光は、レンズ組立体502(及びシャッター(図示せず))を通してカメラ500に入り、固定反射鏡504及び枢動反射鏡506によってビューイングスクリーン508上に投影される。ビューイングスクリーン508上に投影された画像は、慣用の態様で接眼レンズ510を通して見ることができる。枢動反射鏡506がビュー位置にある場合には、フィルムは画像光で露光されない。
【0078】
枢動反射鏡506が露光位置にある場合には、レンズ組立体502及びシャッター(図示せず)を通過する同じ画像光は、固定反射鏡504及び枢動反射鏡506によってフィルムゲート514及びフィルム512に向けて反射される。枢動反射鏡506が露光位置にある場合には、画像光は見えない。
【0079】
レンズ組立体502内に配置されているシャッターは、枢動反射鏡506がビュー位置(図33a)又は露光位置(図33c)にある場合にしか開放せず、枢動反射鏡506が図33bに示すように二つの位置の間で移動しているときには開放しない。
【0080】
操作では、まずカメラのシャッターを偏向させて開放すると、操作者がレンズを通して主題の像を見る(慣用のより高価な一眼レフカメラと同様)ことができるように、枢動反射鏡506はビュー位置をとる。操作者がフィルム上に特定の像を記録しようとする場合には、ボタン(図示せず)をリリースして、シャッターを閉じることによって像からの光がカメラ500に入るのをブロックすると同時に、枢動反射鏡506をビュー位置から図33cに示す露光位置へと回転させる。枢動反射鏡506が露出位置をとると、シャッターが自動的に開き、再度閉まり(好ましくは設定されたシャッタースピードで)、フィルムゲート514内に配置されていフィルムフレームに像を露光する。シャッターが再度閉まった後、枢動反射鏡506はビュー位置に戻り、再度シャッターが開いて、次の画像が見えるように、操作者に像の光を見せる。
【0081】
レンズ組立体502は、ビューイングスクリーン508、若しくはフィルムゲート内に配置されているフィルム上のいずれかに、像の光を合焦する。従って、像の光が固定反射鏡504から枢動反射鏡506を通ってビューイングスクリーン508まで移動する距離は、固定反射鏡504から枢動反射鏡506を通ってフィルムゲート514までの距離と同じである。
【0082】
モーター(図示せず)を用いて、若しくは枢動反射鏡506を操作し、フィルムカセット512の全てのフィルムを露光するのに十分な回転エネルギーを有する予め巻いた主バネを用いて、枢動反射鏡506を回転させることができる。シャッターを枢動反射鏡506と連動して操作するために、当業者に既知のいかなる適切な機構を用いても良い。
【0083】
本発明の関連実施態様においては、本発明で先に説明したように、像の光が、フィルム上に記録される前に、変形、歪め、又はその他の方法で変更されるように、枢動反射鏡506の両面又は片面に光変形装置を設けてもよい。枢動反射鏡506に二つ以上の機能面を持たせてもよく、いくつかの異なるタイプの変形装置を組込んで選択するようにしてもよい。
【0084】
図34には、本体602、レンズ組立体604、絞り606、枢動反射鏡―プリズム組立体608、接眼レンズ610、シャッター612、及びフィルム614を備える、本発明の別の実施態様による一眼レフ(SLR)カメラ600を概略的に示す。
【0085】
本発明によれば、カメラ600は、多分割露出計616、基準液晶ディスプレー中性(LCD−ND)フィルター620、及び補正LCD−NDフィルター622を備えている。
【0086】
本発明を説明するために、当業者には理解できるであろうが、枢動反射鏡−プリズム組立体608が、レンズ604を通してカメラ600に入射する光線(「像の光」として)を、それぞれ像の光の全てを受ける三つの独立した通路に効率的に分割するものとする。第一通路は基準LCD−NDフィルター620を通して接眼レンズ610に向けられ、第二通路は多分割露出計616へ向けられ、第三通路は補正LCD―NDフィルター622及びシャッター612を通してフィルム614に向けられている。
【0087】
多分割露出計616は、荷電結合素子(CCD)が光学的情報を電気信号に変換して光学的像をビデオテープに記録するのと同様な態様で、受けた光学的像の光を電気信号に変換(デジタル化)する。多分割露出計616は、好ましくはCCDタイプのセンサーである。
【0088】
像の光が電気信号データに変換されたなら、この情報をプロセッサー618で読む。受信情報には、多分割露出計616によって測定された像の光の各画素の輝度(明るさ)が含まれている。アドビ社のAdobe Illustrator and Photo Workshop等のイラストレータープログラムで使用しているのと同様な慣用の境界認識技術を用いて、プロセッサー618は、多分割露出計616からの情報を用いて、コントラストレベルの似た(又は所定輝度レベルを超える)多分割露出計の画素を分類分けし、背景像(単数又は複数)を表している画素との対比として、前景の主題(単数又は複数)を表している画素群を認識する。
【0089】
相対的輝度(又はコントラスト)によって画素群を形成した後、プロセッサー618は、その情報を基準液晶ディスプレー中性フィルター(LCD−NDフィルター)620及び補正液晶ディスプレー中性フィルター622に同時に送る。LCD−NDフィルター620及び622は、好ましくは高解像度クリアプレートLCDであり、光弁(各画素用)として機能する。基準LCD−NDフィルター620は、後述するように、物理的に接眼レンズ610の前に配置される。補正LCD―NDフィルター622は、後述するように、物理的にシャッター612の前に配置される。
【0090】
プロセッサー618は、選択した群内の各画素の集団的輝度を選択的に制御して、例えば前景の主題を表している画素群全体を効率的に不透明としたり、均等に半透明としたりすることにより、像の光の特定領域(像の「明るい」領域に対応する)がフィルム614に到達するのをブロック(少なくとも露光時間の一部の間)するのに使用可能な「マスク」を形成することができる。
【0091】
コントローラー624は、プロセッサー618に電気的に接続されており、前景の主題又は背景の像のいずれかの輝度を制御するのに使用する。これは単に、LCD−NDフィルター620、622に供給する電圧を制御することによって行なうことができる。LCD−NDフィルター620、622に供給する電圧を変化させると、LCD−ND620、622の選択された各画素の不透明度を変えることができる。プロセッサー618はデジタル化された像データを使用して、LCD−NDフィルター620、622両方の画素を選択する。枢動反射鏡/プリズム組立体608によって接眼レンズ610に向けられた像の光が、基準LCD−NDフィルター620を必ず通過するように、基準LCD−NDフィルター620は接眼レンズ610の前に配置される。LCD−NDフィルター620の選択された画素は、プロセッサー618に送られたデジタル化像データに従って、接眼レンズ610に向けられた像の光を選択的にマスクする。操作者は、接眼レンズ610を通して、像の選択された「明るい」領域が、基準LCD−NDフィルター620の暗化(選択された)画素の重畳マスクでカバーされた状態の像を見ることができる。
【0092】
同時に、プロセッサー618は、枢動反射鏡/プリズム組立体608によってシャッター612へと同時に向けられた像の光が、必ずLCD−NDフィルター622を通るように、補正LCD−NDフィルター622を同様の態様で制御する。同様に、フィルム614露光中の所定時間(シャッター612が開放している間)、フィルム614の選択領域を保護するために、プロセッサー618は、補正LCD−NDフィルター622の選択領域を選択的に暗くする。
【0093】
当業者に理解されるように、プロセッサー618はさらに、操作者が制御する特定の絞り及びシャッタースピードの設定に従って、シャッター612及び絞り606の操作も制御して、像の光のマスクされていない領域に対する適切な露出時間も制御する。
【0094】
プロセッサーはさらに、露光中に画素又は画素群の相対的不透明性をも制御及び変更することができる。これは、露光時間(シャッターは開放)中に、像の「明るい」領域全体を通して、若しくは単にコントラストの異なる二つの領域(前景である人の隣にある明るい空)の境界線に沿って、暗化された画素又は画素群を素早く連続的にシフトさせることによって行なう。このように露光中に制御下でシフトさせることによって、慣用のプリントプロセスで用いられるおおい焼き工程を真似ている。マスクを移動させることにより、マスキング効果を和らげて、より現実的な露出補正を行なうことができる。
【0095】
図35には、フィルム614に像を記録するカメラ600を示す。ここに示した像は、明るく一部曇った空を背景として、黒い帽子をかぶった女性が前景に配置されているものである。上述のようにカメラ600に入った像は(図34参照)、多分割露出計616、基準LCD−NDフィルター620、及びLCD−NDフィルター622へと同時に送られる。多分割露出計616は、受けた像の光をデジタル化し、画素の輝度情報をプロセッサー618へ送る。プロセッサー618はこれを受けて、像を所定レベルを超える輝度を有する画素の群へと分類分けする。例えば、女性と帽子を表している画素は、明るい背景の空と比べると暗いと判断されるので、同じ群に入り、図35に示すように、基準LCD−NDフィルター620及び補正LCD−NDフィルター622の両方に、透明部分として、電子的に表示される。これによりプロセッサー618は、露出パラメーターを考慮する際に明るい空は考慮しなくてもよいものとして、女性及び帽子の比較的暗い像をフィルム614上に露光する。通常は暗い主題から「読み取る」ことにより、露光の結果、女性/帽子の主題は正しく露光されるが、背景の空は非常に色褪せてしまうものである。像の明るい空部分は、一つのゾーンつまり領域として括られ、空と女性/帽子の主題との間の相対的コントラストに従って、所定の不透明度まで暗くされる。像の明るい空部分を表す暗化された画素は、明るい空部分のマスクそのものが接眼レンズ610の前且つフィルム614の前に同時に表示されるように、LCD−NDフィルター620,622の両方に正確に位置付けされる。最終的な結果として、正しく露光された女性/帽子の主題と、正しく露光された明るい空である背景とが、フィルム614の一つのフレーム上に記録される。
【0096】
図35に示されるように、コントローラー624を使用して、像の明るいゾーン(領域)、及び暗いゾーン(領域)の両方の不透明性又は透明性のレベルを変えることができる。例えば、明るい空の露出を変えて、異なる露出、よって相対的に異なるコントラストとすることができる(慣用の写真技術で用いるブラケティング技術と同様)。
【0097】
図35には、元の像の両方の群(女性/帽子の主題及び明るい空の背景)の、コントローラー624によって制御したコントラストの異なる5つの補正像サンプルも示されている。操作において、カメラ600の操作者は、像の明るい領域を接眼レンズ610を通して見ながら、コントローラー624を使用して、リアルタイムで暗くすることができる。同様に、コントローラー624を用いて、像のより明るい領域を選択的に暗くすることもできる。補正された像が正しいように(又は望み通りであるように)見えたら、上述のように(図34参照)像(選択的補正を行なったもの)をフィルム614に記録してもよい。
【0098】
図36では、本発明の別の実施態様に従って、二つ以上の変形装置を使用して、像の光がカメラ700のフィルムを感光する前に歪め又は変更している。第一変形装置702は、好ましくはフィルムに対して静止しており、第一平面内に配置されている。第二変形装置704は、好ましくは第一平面に隣接し且つ平行な第二平面内で選択的に移動可能である。各変形装置702、704は、テクスチャーを与えたり、模様を付けたり、ザラザラにしたり、その他歪められた表面を有している(どちらの面でもよく、また変形装置に歪み発生エレメントを内設してもよい)。第二変形装置704が第一変形装置702に対して移動すると、主題からの像の光は、予測不可能と言える態様で連続的に歪められ、像の光がフィルムに記録される前に、風変わりでユニークな種々の効果が像の光に与えられる。この可変歪み効果は、二層のスクリーンを通して像を見た場合に得られる歪み効果と類似するところがある。この例では、一方のスクリーンを僅かに移動させると(開口の大きさによる)、像が違って見える。
【0099】
図37には、第一(静止)変形装置702、第二(可動)変形装置704、レンズ組立体706、接眼レンズ708、フィルムゲート710、及びフィルム712を備える、図36に示した本発明の実施態様によるカメラ700の側面断面図を示す。光は、レンズ組立体706を通してカメラ700に入ると(図37中に矢印で示す)、フィルムゲート710内に配置されているフィルム712を感光する前に、第二変形装置704及び第一変形装置702(及び図示していないがシャッター)を通らなければならない。第二変形装置704は、フィルム712及び第一変形装置702に対して制御下で移動(この場合は上下に)できるように、カメラ700に載置されている。第二変形装置704には、アーム716によってボタン714が取付けられている。第二変形装置704とカメラ700との間には、ボタン714を静止位置へ付勢するように、バネ718が取り付けられている。
【0100】
操作に際して操作者は、接眼レンズ708を通して見える特定の主題を選択したら、ボタン714を様々な程度で押圧して、像ごとに異なる程度の歪みを与えることができる。
【0101】
図38には、図36及び図37に示し上記で説明した実施態様に関連し、メインレンズ750、第一変形装置752、第二変形装置754、第三変形装置756、リレーレンズ758、及びフィルム760(又はデジタル入力装置、スキャナー、デジタイザー等)を備える実施態様を示す。この配置では、どんな組合せの変形装置752、754、756も、選択された程度だけ横に移動(それぞれフィルム760に平行な平面内で)することができる。メインレンズは主題からの像の光を変形装置752、754、756に合焦する。像の光は三つ全ての変形装置によって変形されると、リレーレンズ758によってフィルム760上に再合焦される。リレーレンズ758は、本発明の先の実施態様で説明したように、変形装置をフィルム760に隣接して配置できない場合にのみ必要である。
【0102】
図39a、図39b、及び図39cは、それぞれ第一変形装置752、第二変形装置754、及び第三変形装置756の例である。
【0103】
図36及び図37に示す実施態様に関連する変更例では、操作者が正常な状態でカメラ700を持ち操作している時に、第二変形装置704が第二平面内でランダムに自由に移動できるように、第二変形装置704を、バネ等の弾性エレメントを用いて、第一変形装置に隣接し且つ平行な第二平面においてカメラに載置することも含む。
【0104】
さらに、変形装置702、704の一方(又は両方)をフィルム712に対して非平行な向きで載置してもよい。第二又は第一平面のいずれかでの移動が好ましいが、変形装置702、704の一方(又は両方)をフィルム712に対してどの平面へ移動又は歪めてもよく、様々に歪めた像を創生することができる。
【0105】
変形装置702、704は、プラスチックやガラス等の硬質又は半硬質の透明材料の平坦なシートで作成することが好ましいが、さらに像の歪め方を変えるために、適当な射出成形工程によって作成して、湾曲又は屈曲した形状としたり、三次元的な表面のテクスチャー(例えば表面レリーフ)を与えたりすることもできる。また、変形装置702、704の一方(又は両方)を、カメラ700にロールとして装填する、ランダムに又は少なくとも長手方向に歪み方が異なる可撓性透明フィルム(図示せず)で作成してもよい。フィルムタイプの変形装置(図示せず)では、フィルムゲート710を越えて選択的に移動(例えば慣用のフィルムの巻き上げのように巻き上げる)させて、フィルムのまだ感光していないフレームの前に異なる歪み模様やテクスチャーを設けることもできる。
【0106】
先の実施態様で上述したように、出願人は、像を芸術的に歪め変更して記録するように、フィルムの前のフィルム面に変形装置を配置することによってカメラに入射する光を調節することができ、よって使用する変形装置次第で、風変わりで美的に楽しませてくれる像の表現を生み出すことができる(例えば主題が印象派風絵画様に見えるように像を変更することができる)ことを見出した。変形装置702、704のいずれかをフィルム712に対して選択的に移動することによって、フィルムに到達する変更後の光の鮮鋭度を制御することができ、それにより一つの変形装置を使って一つの像に様々な効果を与えることができる。
【0107】
出願人はさらに、光の変更の鮮鋭度は、レンズ組立体706のメインフォーカスを変えることによっても制御可能であることを見出した。これを行なうには、固定変形装置702をフィルムゲート712に隣接して又はゲート内に配置した状態で、操作者はまず主題にピントを合わせ、次いでレンズ及び/又はカメラに設けた印で表示される(又は適切な電子的装置を使って同様に表示される)所定範囲内で、ピントを制御された度合いだけゆっくりと変える(どちらかの方向に)。レンズ組立体706の主題に合わせたピントを変えることによって、カメラに入射する主題を表す像の光を和らげ、主題を規定しているコントラストの境界線の鮮鋭度及びディテールを低下させ、柔らかい像を得る。この「柔らかい」光を変形装置702によって変形して、フィルムに記録することができる。ピントの変化の度合いが、変形装置による変形の度合い及び特性を決定する。
【0108】
別の手段として、若しくはピントの調節と組合せて、レンズの絞りを変えて調節の変化を制御することもできる。
【0109】
図40及び図41に、本体802及びレンズ組立体804を備える本発明の別の実施態様によるカメラ800を示す。本発明に従って、レンズ組立体804に入射する像の光がまずレンズアタッチメント806を通過するように、レンズ組立体804の開放端にレンズアタッチメント806を取付ける。レンズアタッチメント806は、少なくとも一枚のレンズ810(図には二枚示している)を支持する略円筒形のハウジング808を備える。レンズ810は、静止位置に保持されるように、マウント812によってハウジング808に弾性的に載置されているが、図41に矢印で示すように、ハウジング808の外表面に沿ってマウント812に内向きの力をかけることによって、
【0110】
手動によってハウジング808内である程度ランダムに動かすことができる。
【0111】
操作に際し、操作者が、カメラ800の接眼レンズ、レンズ組立体804、及びレンズアタッチメント806を通して特定の像(例えば赤ん坊)を見て、マウントを捩ると(ハウジング808の外表面から触れることができる)、マウント812の捩り方及び捩る力に従って、レンズ810が静止位置から動く。操作者がマウント812を捩るに従って、アミューズメントパークにある歪める鏡と変わらない態様で、見ている主題の像が歪む。
【0112】
マウント812は、好ましくは環状で、シリコン等の適当な半硬質〜可撓性ゴム製であり、図40及び図41に示すように、ハウジング808の一部をなす。
【0113】
図42a〜図42cは、ハウジング808内のレンズ810を変位させることによって主題(赤ん坊)がどのように歪められるかを示す例である。レンズ810は、マウント812にかけた力を取り除くともとの静止位置に戻ることが好ましく、またレンズ810がハウジング808内で静止位置にある時には像の光を歪めない(拡大以外)ことが好ましい。
【0114】
別の態様として、図41を参照すると、レンズ810は、マウント812と共に中間スペース814を規定する別のレンズ811に隣接して配置されている。レンズ811又はレンズ810(若しくは両方)は、半硬質プラスチック(近視矯正用の慣用のコンタクトレンズを製造するのに使用するプラスチック等)で作成する。不活性ガス等の流体又は透明な液体を中間スペース814に入れる。この流体は、マウント812(好ましくは可撓性ゴム)によって中間スペース814内に封入される。
【0115】
この実施態様の操作に際し、操作者の手でマウント812を捩る(又は他の方法で変形させる)と、中間スペース814内の流体がレンズ811及びレンズ810に向かって押し付けられる。この力によって一方(又は両方)のレンズが徐々に変形(外側へ膨らむ)し、後にレンズアタッチメント806に入る像の光を変形させる。
【0116】
レンズアタッチメント806は、レンズ組立体804に取り付けるアタッチメントとして提供することが好ましいが、レンズ組立体804と一体的に設けることもできる。
【0117】
上述してきた実施態様は、「スチル」タイプのカメラに入射する像の光を、フィルムを感光する前に変化させることに関連していたが、出願人は、この像の光の変形を他の記録媒体に使用することも考えている。例えば、ネガ(若しくは透明画)を作成した後、プリントを現像する時に、ネガを引伸ばし装置に装着する。ネガに記録された像を光源によって印画紙又は大型のCCD(ビデオ録画又はスキャン用)上に投影する。本発明の別の特徴によれば、、ネガに隣接して、又は印画紙に隣接して、若しくは途中の位置のいずれかに変形装置を配置して、光が印画紙を感光する(又は電子メモリーにダウンロードされる)前に、上述の態様で投影された像の光を変形することもできる。変形装置は、引伸ばし装置に設けたスロット内に配置してもよいし、ネガ担持器内にあるネガの上に単に重ねてもよい。さらに、上述したように、変形装置は像の光を、電子スキャナーによって「記録」され、コンピューターにダウンロードされる前に歪めるのに使用することもできる。記録した像を電子的に歪めることができるコンピューターソフトウェアプログラムはあるが、この工程には非常に時間がかかる。予め変形した像をコンピューターにダウンロードすることによって、時間を節約し、コンピュータープログラムでは容易に得ることができない効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、本発明の第一実施態様による一眼レフ(SLR)カメラの断面側面図であり、フィルムストリップと、光学変形プレートと、フィルム面と、レンズ組立体と、入射光線とを示している。
【図2a】図2aは、本発明の別の実施態様による光学変形装置の平面図である。
【図2b】図2bは、図2aの光学変形装置の側面図である。
【図2c】図2cは、カメラのフィルムゲートの断面側面図であり、図2bの光学変形装置がフィルムゲート内に配置されている状態を示している。
【図3】図3は、本発明の別の実施態様による光学変形プレートを用いたフィルムカセットの一部断面正面図である。
【図4】図4は、図3に示したフィルムカセットの一部断面頂面図である。
【図5】図5は、本発明の別の実施例による、フィルムストリップ、光学変形ストリップ、及びフィルムボビンの部分前面図である。
【図6】図6は、図5のフィルムストリップ、光学変形ストリップ、及びフィルムボビンを操作位置に配したカメラの断面側面図である。
【図7】図7は、図6のカメラの背面図である。
【図8】図8は、図7の8−8線に沿った部分側面断面図であり、カメラのフィルム面にあるフィルムストリップ及び光学変形ストリップの詳細を示している。
【図9】図9は、本発明の別の実施態様による光学変形カートリッジを非操作位置で示すカメラの断面背面図である。
【図10】図10は、図9のカメラの断面背面図であり、光学変形カートリッジがフィルムゲート前の操作位置にある状態を示している。
【図11】図11は、図10の11−11線に沿った部分頂面断面図であり、カメラのフィルム面にあるフィルムストリップ及び光学変形カートリッジの詳細を示している。
【図12】図12は、図11の12−12線に沿った部分側面断面図であり、フィルムストリップガイド及び光学変形カートリッジ(挿入後)の詳細を示している。
【図13】図13は、本発明の別の実施態様によって、カメラ本体とレンズ組立体(どちらも仮想線で示す)との間に連結された変形装置ホルダーの断面側面図である。
【図14】図14は、図13の変形装置ホルダーの一部断面側面図である。
【図15】図15は、図14の変形装置ホルダーの部分断面図である。
【図16】図16は、本発明のさらに別の実施態様による光学変形装置組立体を示す、使い捨てカメラの頂面図である。
【図17】図17は、図16の17−17線に沿った、図16のカメラ及び光学変形装置組立体の部分断面頂面図である。
【図18】図18は、図16の光学変形装置組立体の部分断面頂面図であり、図17の18−18線に沿った光学変形装置組立体の詳細を示している。
【図19】図19は、本発明のさらに別の実施態様による光学変形装置の部分断面前面図である。
【図20】図20は、図19の20−20線に沿った、図19の光学変形装置の部分断面図である。
【図21】図21は、本発明のさらに別の実施態様による、光学変形装置ホルダーの断面図である。
【図22】図22は、図21の22−22線に沿った、図21の光学変形装置ホルダーの部分断面図である。
【図23】図23は、二つの花の写真の説明的図面である。
【図24】図24は、本発明による光学変形装置の一つによって像の光を拡散させた、二つの花の写真の説明的図面である。
【図25】図25は、本発明による別の光学変形装置によって像の光を拡散させた、二つの花の写真の説明的図面である。
【図26】図26は、本発明の別の実施態様による光学変形装置ターレット組立体の前面図である。
【図27】図27は、図26の変形装置の27−27線に沿った断面側面図である。
【図28】図28は、図27の28−28線に沿った変形装置ディスクの一部断面前面図である。
【図29a】図29aは、本発明の別の実施態様によるカメラの断面図であり、フィルムゲートと、収容位置にある二つの枢動変形装置とを示している。
【図29b】図29bは、図29aのカメラの断面図であり、第一変形装置が収容位置にあり、第二変形装置がフィルムゲート内に配置されている状態を示している。
【図29c】図29cは、図29のカメラの断面側面図であり、本発明による第一変形装置がフィルムゲート内にあり、第二変形装置が収容位置に配置されている状態を示している。
【図30a】図30aは、本発明の別の実施態様によるカメラの一部断面背面図であり、フィルムゲート、フィルム、レール、並びにフィルムゲートから離隔した収容位置に配置された第一及び第二変形装置を示している。
【図30b】図30bは、図30aのカメラのフィルムゲート領域を概略的に示す頂面図であり、第一及び第二変形装置がフィルムゲートから離隔した収容位置に配置されている状態を示している。
【図31a】図31aは、図30aのカメラの一部断面背面図であり、第一変形装置がフィルムゲート内に配置されている状態を示す。
【図31b】図31bは、図31aのカメラのフィルムゲート領域を概略的に示す頂面図であり、第一変形装置がフィルムゲート内に配置され、第二変形装置が収容位置にある状態を示している。
【図32a】図32aは、図30aのカメラの一部断面背面図であり、第二変形装置がフィルムゲート内に配置されている状態を示している。
【図32b】図32bは、図32aのカメラのフィルムゲート領域を概略的に示す頂面図であり、本発明に従って、第二変形装置装置がフィルムゲート内に配置され、第一変形装置が収容位置にある状態を示している。
【図33a】図33aは、本発明の別の実施態様による使い捨て一眼レフカメラの概略図であり、枢動反射鏡がビュー位置に配置されている状態を示している。
【図33b】図33bは、図33aのカメラの概略図であり、本発明に従って、枢動反射鏡がビュー位置から露光位置へ再配置される状態を示している。
【図33c】図33cは、図33aのカメラの概略図であり、本発明に従って、枢動反射鏡が露光位置に配置されている状態を示している。
【図34】図34は、本発明の別の実施態様によるカメラの概略図である。
【図35】図35は、カメラ内の種々のエレメントが見ているサンプルイメージを含む、図34のカメラの概略図である。
【図36】図36は、本発明の別の実施態様による変形装置組立体の概略図である。
【図37】図37は、図36の変形装置組立体をカメラ内に配置した、本発明の別の実施態様によるカメラの断面側面図である。
【図38】図38は、三つの異なる変形装置を含む、本発明の別の実施態様による変形装置組立体の概略図である。
【図39】図39a−図39cは、本発明による、図38の各変形装置に配置された各歪みパターンの例である。
【図40】図40は、レンズアタッチメントを含む、本発明のさらに別の実施態様によるカメラの側面図である。
【図41】図41は、本発明による図40のレンズアタッチメントの断面図である。
【図42】図42a−図42cは、図40―図41のレンズアタッチメントを使用した歪み画像の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像の光の集合体を、フィルムに記録される前に変更するためのカメラ用アタッチメントであって、該カメラはレンズ絞りと、フィルム面に配置されるフィルムのフレームと、レンズとを備え、該アタッチメントは、
該フィルム面と該像との間の、前記フィルム面から所定距離の位置に配置された中間焦平面と、
該像からの光の集合体を該中間焦平面上に合焦するための手段と、
該中間焦平面に配置された透明光学変形装置と、
該透明光学変形装置を載置するためのカートリッジと、
該透明光学変形装置を中間焦平面に位置決めするように配置されている、該カートリッジを取り外し可能に挿入するためのスロットと、
光を遮ることなく散乱及び拡散させることにより光を歪めるための手段とを備え、該歪めるための手段は、前記透明光学変形装置の表面上に一体的に配置形成され、該歪めるための手段は、前記像からの光を中間焦平面で歪め、合焦した歪められた中間像を形成するように透明であり、前記アタッチメントはさらに、
前記中間焦平面からの前記合焦した歪められた中間像を前記フィルム面に再合焦するための手段をさらに備える、カメラ用アタッチメント。
【請求項2】
前記透明光学変形装置を、前記変形装置が前記像からの光の一部を変形する第一位置と、前記像からの光が変形されずに前記フィルムに到達する第二位置との間で移動させるための手段をさらに備える、請求項1に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項3】
第二透明光学変形装置をさらに備え、前記第一及び第二透明光学変形装置の一方を、前記像からの光が前記フィルムを感光する前に、該光の少なくとも一部を変形するように、前記中間焦平面に配置するための手段を備える、請求項1に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項4】
前記第一及び第二透明光学変形装置の両方が、前記中間焦平面内で、可動移動部材に載置されており、該可動移動部材は、前記第一光学変形装置が前記像からの光の少なくとも一部を変更する第一位置と、前記第二光学変形装置が前記像からの光の少なくとも一部を変更する第二位置との間を移動可能である、請求項3に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項5】
前記移動部材がさらに、前記像からの光が調節されずに前記フィルムに到達する位置をとる、請求項4に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項6】
前記移動部材が、枢動点を中心として回転可能なターレットである、請求項5に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項7】
前記移動部材が、前記第一位置と前記第二位置との間でスライド可能な細長いプレートである、請求項5に記載のカメラ用アタッチメント。
【請求項8】
複数の前記カートリッジを保持する手段をさらに備え、該保持する手段は、保持している該複数のカートリッジのうち選択された1つのカートリッジを前記スロットと整合させることができるように、アタッチメントに対してスライド可能に載置される、請求項1に記載のカメラ用アタッチメント。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図30a】
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【図30b】
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【図31a】
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【図31b】
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【図32a】
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【図32b】
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【図33a】
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【図33b】
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【図33c】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2007−171988(P2007−171988A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32229(P2007−32229)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願平10−548008の分割
【原出願日】平成9年5月9日(1997.5.9)
【出願人】(507046233)スマートレンズ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】