説明

冷凍装置、及び冷凍機油の戻し方法

【課題】圧縮機と凝縮器と蒸発器と該蒸発器の冷媒流量を調節する膨張弁とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路を備える冷凍装置において、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を的確に行うことができるようにする。
【解決手段】運転中に所定の開始条件が成立すると蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すために蒸発器(33)の冷媒流量を一時的に強制的に増加させる油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を行う冷凍装置、及び冷凍装置において蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための冷凍機油の戻し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧縮機と凝縮器と蒸発器と該蒸発器の冷媒流量を調節する膨張弁とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路を備える冷凍装置が知られている。この種の冷凍装置の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
具体的に、特許文献1の冷凍装置は、冷蔵ショーケースとして構成されている。この冷蔵ショーケースは、蒸発器と、蒸発器の冷媒流量を調節する電子膨張弁とを備えている。また、冷蔵ショーケースには、駆動手段を介して電子膨張弁の弁開度を調節する演算・記憶手段が設けられている。演算・記憶手段は、蒸発器における冷媒の適正な過熱度と希望庫内温度とを記憶し、センサによって検出した冷媒の過熱度及び庫内温度に応じて電子膨張弁を制御する。
【0004】
ここで、この種の冷凍装置では、圧縮機から吐出される冷媒に含まれる冷凍機油が徐々に蒸発器に溜まり込んでゆく。低温の蒸発器では、冷凍機油の粘性が大きくなるので冷凍機油が溜まりやすい。蒸発器に溜まる冷凍機油の量が多くなると、圧縮機内の冷凍機油が減少して潤滑不良が生じるおそれがある。このため、この種の冷凍装置には、このような問題を改善するために、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を行うものがある。冷凍機油を戻すための動作では、冷凍機油を圧縮機側へ押し流すために、例えば圧縮機の運転容量が増加される。
【特許文献1】特開平2−197776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の冷凍装置では、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作が例えば所定の時間に亘って行われる。しかし、冷凍機油と共に多量の液冷媒が圧縮機に戻ってくると圧縮機が損傷するおそれがあるため、従来は、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を十分な時間に亘って行うことができない場合がある。このため、蒸発器に溜まった冷凍機油を十分に回収することができない場合がある。
【0006】
また、従来の冷凍装置では、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作が例えば一定の時間間隔で行われる。このため、蒸発器に冷凍機油が十分に溜まっていないのに冷凍機油を戻すための動作が開始されたり、逆に冷凍機油が十分に溜まっているのに冷凍機油を戻すための動作が開始されない場合がある。つまり、従来の冷凍装置では、冷凍機油を戻すための動作の開始の判断に用いる時間が一定であるため、冷凍機油を戻すための動作の開始のタイミングが不適切になる場合がある。
【0007】
このように、従来の冷凍装置では、蒸発器に溜まった冷凍機油を的確に回収することができない。このため、圧縮機で冷凍機油が不足したり、蒸発器に残る冷凍機油によって蒸発器の熱交換性能が低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮機と凝縮器と蒸発器と蒸発器の冷媒流量を調節する膨張弁とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路を備える冷凍装置において、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を的確に行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置(20)を対象とする。そして、この冷凍装置(20)は、運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すために該蒸発器(33)の冷媒流量を一時的に強制的に増加させる油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し制御手段(63)を備えている。。
【0010】
第1の発明では、運転中に所定の開始条件が成立すると、油戻し制御手段(63)が油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する。各油戻し動作では、蒸発器(33)の冷媒流量が一時的に強制的に増加され、蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなる。蒸発器(33)に溜まった冷凍機油は、液冷媒に溶け込んで冷媒と共に圧縮機(16,17)側へ移動する。この第1の発明では、油戻し動作が複数回行われると共に、油戻し動作から次の油戻し動作までの間隔が開けられる。このため、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が連続的ではなく間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記油戻し制御手段(63)が、上記油戻し動作の際に上記膨張弁(43,76)の開度を一時的に強制的に拡大することによって上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させる。
【0012】
第2の発明では、油戻し動作の際に膨張弁(43,76)の開度が一時的に強制的に拡大される。膨張弁(43,76)の開度が強制的に拡大されると、蒸発器(33)の冷媒流量が増加して、蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなるので、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油が圧縮機(16,17)側へ移動する。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記油戻し制御手段(63)が、上記開始条件の成立により複数回実行される油流し動作のうち後に実行される油戻し動作ほど上記膨張弁(43,76)の開度を大きな値に拡大する。
【0014】
第3の発明では、上記開始条件の成立による複数回の油流し動作における後の油戻し動作ほど該膨張弁(43,76)の開度が大きな値に設定される。つまり、後の油戻し動作ほど蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなる。ここで、各油戻し動作の膨張弁(43,76)の開度が同じである場合は、後の油戻し動作ほど蒸発器(33)に残る冷凍機油の量が少なくなるので、後の油戻し動作ほど圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の時間当たりの量が少なくなる。これに対して、この第3の発明では、後の油戻し動作ほど蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなるので、各油戻し動作によって圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の量が均一化される。
【0015】
第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、上記油戻し制御手段(63)が、上記各油戻し動作の終了時には上記膨張弁(43,76)の開度を該油戻し動作の開始直前の値にまで縮小し、該油戻し動作の終了時から次の油戻し動作の開始時までは、上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値になるように上記膨張弁(43,76)の開度が調節される。
【0016】
第4の発明では、油戻し動作の終了時に膨張弁(43,76)の開度が油戻し動作の開始直前の値にまで縮小される。そして、次の油戻し動作までは、蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値になるように、膨張弁(43,76)の開度が調節される。
【0017】
第5の発明は、上記第1乃至第4の発明の何れか1つにおいて、上記油戻し制御手段(63)が、上記開始条件の成立により上記油戻し動作を最大3回行う一方、2回目の油戻し動作の終了後に3回目の油戻し動作を行うか否かを判断する。
【0018】
第5の発明では、上記開始条件の成立により油戻し動作が最大3回行われる。3回目の油戻し動作を行うか否かは2回目の油戻し動作の終了後に判断される。つまり、この第5の発明では、2回目の油戻し動作の終了後に、必要に応じて3回目の油戻し動作が行われる。
【0019】
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つ発明において、上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度を検出する過熱度検出手段(24,25)を備え、上記油戻し制御手段(63)は、対象空間を冷却するための通常運転中に上記開始条件が成立すると上記油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し運転を実行する一方、該油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの上記通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっている。
【0020】
第6の発明では、補正時間が所定の基準値に達する所定の開始条件が成立すると、複数回の油戻し動作を行う油戻し運転が開始される。補正時間が大きな値に補正されるほど、油戻し運転の開始のタイミングが早くなり、補正時間が小さな値に補正されるほど、油戻し運転の開始のタイミングが遅くなる。
【0021】
ここで、蒸発器(33)から流出する冷媒の過熱度が大きいほど、蒸発器(33)において冷凍機油に作用するせん断力が比較的大きくなる気液二相状態の領域が短くなるので、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすくなる。つまり、過熱度検出手段(24,25)の検出値からは、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断することができる。この第6の発明では、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断可能な過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正時間を算出している。
【0022】
第7の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つ発明において、上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)を備え、上記油戻し制御手段(63)は、対象空間を冷却するための通常運転中に上記開始条件が成立すると上記油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し運転を実行する一方、該油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの上記通常運転の積算時間を上記蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっている。
【0023】
第7の発明では、補正時間が大きな値に補正されるほど、油戻し運転の開始のタイミングが早くなり、補正時間が小さな値に補正されるほど、油戻し運転の開始のタイミングが遅くなる。
【0024】
ここで、蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度が低いほど、蒸発器(33)において冷凍機油の粘性が大きくなるので、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすくなる。つまり、蒸発温度検出手段(24)の検出値からは、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断することができる。この第7の発明では、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断可能な蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正時間を算出している。
【0025】
第8の発明は、圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置(20)を対象とする。そして、この冷凍装置(20)は、上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度を検出する過熱度検出手段(24,25)と、対象空間を冷却するための通常運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させることによって該蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻す油戻し運転を実行する油戻し制御手段(63)とを備え、上記油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっている。
【0026】
第8の発明では、上記第6の発明と同様に、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断可能な過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正時間を算出している。
【0027】
第9の発明は、圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置(20)を対象とする。そして、この冷凍装置(20)は、上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)と、対象空間を冷却するための通常運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させることによって該蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻す油戻し運転を実行する油戻し制御手段(63)とを備え、上記油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっている。
【0028】
第9の発明では、上記第7の発明と同様に、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断可能な蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正時間を算出している。
【0029】
第10の発明は、上記第6又は第8において、上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)を備え、上記油戻し制御手段(63)では、上記前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値と上記蒸発温度検出手段(24)の検出値の両方に応じて補正することによって上記補正時間を算出する。
【0030】
第10の発明では、過熱度検出手段(24,25)の検出値と蒸発温度検出手段(24)の検出値との両方を用いて補正時間が算出される。このため、補正時間が、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油の量をより反映した値となる。
【0031】
第11の発明は、上記第1乃至第10の何れか1つ発明において、上記蒸発器(33)が冷却対象物が陳列される冷却ショーケース(13)に設けられ、該蒸発器(33)で冷媒と熱交換させた空気が該冷却ショーケース(13)の庫内に供給される。
【0032】
第11の発明では、蒸発器(33)が冷却ショーケース(13)に設けられている。ここで、冷却ショーケース(13)では、例えば空調機に比べて蒸発器(33)おける冷媒の蒸発温度が低いで、蒸発器(33)の冷凍機油の粘性が大きくなる。また、通常、冷却ショーケース(13)には、比較的大きな熱交換器が蒸発器(33)として使用されるため、蒸発器(33)における冷媒流速が比較的小さくなる。このため、冷却ショーケース(13)では、蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい。また、蒸発器(33)が比較的大きいので、蒸発器(33)に溜まる冷凍機油の量が多くなる。従って、冷却ショーケース(13)では、蒸発器(33)から多くの冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻さなければ、圧縮機(16,17)の信頼性が問題となると共に、蒸発器(33)に残る冷凍機油によって蒸発器(33)の熱交換性能が低下する。
【0033】
この第11の発明では、蒸発器(33)に冷凍機油が残ることによって圧縮機(16,17)の信頼性や蒸発器(33)の熱交換性能の低下が大きな問題となる冷却ショーケース(13)について、複数回の油戻し動作を所定の時間を挟んで実行し、又は蒸発器(33)から流出する冷媒の過熱度や蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度に応じて補正した補正時間を用いて油戻し運転の開始を判断している。
【0034】
第12の発明は、圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置(20)について、上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すための冷凍機油の戻し方法を対象とする。そして、この冷凍機油の戻し方法は、運転中に上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すために該蒸発器(33)の冷媒流量を一時的に強制的に増加させる油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する。
【0035】
第12の発明では、油戻し動作が所定の時間間隔で複数回実行される。各油戻し動作では、蒸発器(33)の冷媒流量が一時的に強制的に増加され、蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなる。蒸発器(33)に溜まった冷凍機油は、液冷媒に溶け込んで冷媒と共に圧縮機(16,17)側へ移動する。この第12の発明では、油戻し動作が複数回行われると共に、油戻し動作から次の油戻し動作までの間隔が開けられる。このため、油戻し動作によって圧縮機(16,17)に戻ってくる液冷媒及び冷凍機油が分散される。
【0036】
第13の発明は、上記第12の発明において、上記膨張弁(43,76)の開度を一時的に強制的に拡大する動作を上記油戻し動作として行う。
【0037】
第13の発明では、膨張弁(43,76)の開度を一時的に強制的に拡大する動作が油戻し動作として行われる。膨張弁(43,76)の開度を強制的に拡大すると、蒸発器(33)の冷媒流量が増加して、蒸発器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなるので、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油が圧縮機(16,17)側へ移動する。
【発明の効果】
【0038】
上記第1乃至第7、第12、第13の各発明では、油戻し動作を複数回行うと共に、油戻し動作から次の油戻し動作までの間隔を開けることで、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が連続的ではなく間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくるようにしている。このため、複数回の油戻し動作によって比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻しても、圧縮機(16,17)へ戻る時間当たりの冷凍機油が溶け込んだ液冷媒の量がそれほど多くはならない。従って、圧縮機(16,17)を損傷させることなく、複数回の油戻し動作によって比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すことが可能になる。そして、圧縮機(16,17)で冷凍機油が不足することを防止しやすくなるので、圧縮機(16,17)の信頼性を向上させることができる。また、蒸発器(33)に残る冷凍機油を減少させることができるので、冷凍機油による蒸発器(33)の熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0039】
ここで、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が連続的に戻ってくると、圧縮機(16,17)内の冷凍機油の温度が徐々に低下してゆく。例えば、圧縮機(16,17)が高圧ドーム型の圧縮機の場合は、液冷媒が連続的に戻ってくると、圧縮機(16,17)のドーム内に吐出される圧縮後の冷媒の温度が低い状態が連続するので、ドーム内の冷凍機油の温度が徐々に低下してゆく。また、圧縮機(16,17)が低圧ドーム型の圧縮機の場合は、圧縮機(16,17)のドーム内に直接吸入される液冷媒によってドーム内の冷凍機油の温度が徐々に低下してゆく。この発明では、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくるので、液冷媒が戻ってこない間に冷凍機油の温度が回復する。このため、多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻しても冷凍機油の温度がそれほど低下しないので、圧縮機(16,17)内の冷凍機油に溶け込む冷媒の量が少なくなる。従って、冷凍機油が冷媒によって希釈されることによって生じる潤滑不良を防止しやすくなる。
【0040】
また、上記第3の発明では、上記開始条件の成立による複数回の油流し動作における後の油戻し動作ほど該膨張弁(43,76)の開度を大きな値に設定することで、各油戻し動作によって圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の量が均一化されるようにしている。このため、圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の時間当たりの量を減少させることができるので、圧縮機(16,17)の損傷を確実に防止した上で、比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すことが可能になる。
【0041】
また、上記第4の発明では、油戻し動作から次の油戻し動作までの間は、膨張弁(43,76)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値になるように膨張弁(43,76)の開度が調節されるようにしている。このため、油戻し動作を繰り返すうちに蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度が低下してゆくことが抑制される。このため、蒸発器(33)から流出した冷媒が湿り状態になって、圧縮機(16,17)において液冷媒が圧縮される液圧縮が生じることを回避できる。
【0042】
また、上記第5の発明では、2回目の油戻し動作の終了後に、必要に応じて3回目の油戻し動作が行われるようにしている。このため、2回目の油戻し動作によって蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を十分に圧縮機(16,17)へ戻すことができない場合でも、3回目の油戻し動作によって圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の量を増加させることができる。
【0043】
また、上記第6乃至第10の各発明では、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断して、通常運転の積算時間を補正した補正時間を算出している。このため、補正時間が、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油の量を反映した値となる。従って、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油の量に応じて油戻し運転が開始されるので、一定の時間間隔で油戻し運転を行う従来の冷凍装置のように油戻し運転の開始のタイミングが不適切になることがなく、適切なタイミングで油戻し運転を開始することができる。
【0044】
また、上記第10の発明では、過熱度検出手段(24,25)の検出値と蒸発温度検出手段(24)の検出値との両方を用いて補正時間を算出することで、補正時間が、蒸発器(33)に溜まった冷凍機油の量をより反映した値となるようにしている。従って、より適切なタイミングで油戻し運転を開始することができる。
【0045】
また、上記第11の発明では、蒸発器(33)に冷凍機油が残ることによって圧縮機(16,17)の信頼性や蒸発器(33)の熱交換性能の低下が大きな問題となる冷却ショーケース(13)について、複数回の油戻し動作を所定の時間を挟んで実行し、又は蒸発器(33)から流出する冷媒の過熱度や蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度に応じて補正した補正時間を用いて油戻し運転の開始を判断している。そして、複数回の油戻し動作を所定の時間を挟んで実行することによって、又は蒸発器(33)から流出する冷媒の過熱度や蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度に応じて補正した補正時間を用いて油戻し運転の開始を判断することによって、従来の冷却ショーケース(13)に比べて的確に蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すことが可能になるので、圧縮機(16,17)の信頼性や蒸発器(33)の熱交換性能の低下の問題を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0047】
−冷凍装置の構成−
本実施形態に係る冷凍装置(20)は、食品の冷蔵及び冷凍を行う冷凍装置であって、例えばコンビニエンスストアに設置される。この冷凍装置(20)は、図1に示すように、庫外ユニット(12)と第1冷蔵ショーケース(13a)と第2冷蔵ショーケース(13b)と冷凍ショーケース(13c)とブースタユニット(53)とを備えている。この冷凍装置(20)は、各ショーケース(13)において、庫内の温度が目標設定温度に近づくように庫内を冷却する通常運転と、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油を庫外ユニット(12)の圧縮機(16,17)へ戻すための油戻し運転と、庫内熱交換器(33)に付着した氷を融かすためのデフロスト運転とが実行可能になっている。なお、目標設定温度は、ショーケース(13)毎に設定されている。
【0048】
庫外ユニット(12)には庫外回路(22)が収容され、第1冷蔵ショーケース(13a)には第1冷蔵側回路(23a)が収容され、第2冷蔵ショーケース(13b)には第2冷蔵側回路(23b)が収容され、冷凍ショーケース(13c)には冷凍側回路(23c)が収容され、ブースタユニット(53)にはブースタ回路(51)が収容されている。この冷凍装置(20)では、庫外回路(22)に対して第1冷蔵側回路(23a)、第2冷蔵側回路(23b)、及び冷凍側回路(23c)が並列に接続されることによって冷媒回路(10)が構成されている。ブースタ回路(51)は冷凍側回路(23c)と直列に接続されている。冷媒回路(10)では、充填された冷媒を循環させて蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0049】
〈庫外ユニットの構成〉
庫外ユニット(12)の庫外回路(22)には、互いに並列に接続された第1圧縮機(16)及び第2圧縮機(17)と、庫外熱交換器(32)と、レシーバ(18)とが接続されている。また、庫外ユニット(12)には、庫外熱交換器(32)に庫外空気を送るための庫外ファン(40)が設けられている。
【0050】
第1圧縮機(16)は容量可変の高圧ドーム型の圧縮機である。第1圧縮機(16)は、インバータの出力周波数を変化させて電動機の回転速度を変更することによって運転容量を複数段階に変更することができる。第2圧縮機(17)は、容量固定の高圧ドーム型の圧縮機である。第2圧縮機(17)では、電動機の回転速度が固定である。圧縮機(16,17)の吐出側は、庫外熱交換器(32)に接続されている。圧縮機(16,17)と庫外熱交換器(32)との間には閉鎖弁(56)が設けられている。圧縮機(16,17)の吸入側は、ガス側閉鎖弁(26)に接続されている。
【0051】
第1圧縮機(16)の吐出管と第2圧縮機(17)の吐出管とには、それぞれ高圧圧力スイッチ(36,37)が設けられている。各高圧圧力スイッチ(36,37)は、各圧縮機(16,17)の吐出冷媒の圧力を検出して異常高圧時に冷凍装置(20)を緊急停止させるように構成されている。
【0052】
庫外熱交換器(32)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。庫外熱交換器(32)は、庫外ファン(40)によって送られる庫外空気との熱交換によって冷媒を凝縮させる凝縮器となる。庫外熱交換器(32)の液側には、レシーバ(18)の上部に開口する冷媒配管が接続されている。
【0053】
レシーバ(18)は、密閉容器状に構成されている。レシーバ(18)の下部には、液側閉鎖弁(27)に接続された冷媒配管が開口している。レシーバ(18)には、冷媒回路(10)の余剰冷媒が貯留される。レシーバ(18)と液側閉鎖弁(27)との間から延びる液インジェクション管(41)は、圧縮機(16,17)の吸入側に接続されている。液インジェクション管(41)には、開度可変のインジェクション量調節弁(21)が設けられている。
【0054】
庫外ユニット(12)には、各種センサが設けられている。具体的に、第1圧縮機(16)の吐出管と第2圧縮機(17)の吐出管との接続箇所には、圧縮機(16,17)から吐出された冷媒の圧力を計測する吐出圧力センサ(46)が設けられている。その接続箇所の下流には、圧縮機(16,17)から吐出された冷媒の温度を計測する吐出温度センサ(48)が設けられている。また、圧縮機(16,17)の吸入側には、上流側から順に、圧縮機(16,17)へ向かう冷媒の圧力を計測する吸入圧力センサ(47)と、圧縮機(16,17)へ向かう冷媒の温度を計測する吸入温度センサ(49)とが設けられている。吸入圧力センサ(47)と吸入温度センサ(49)とは、第1圧縮機(16)の吸入管と第2圧縮機(17)の吸入管との接続箇所の上流に配置されている。また、庫外ファン(40)の近傍には、庫外熱交換器(32)に流入する空気の温度を計測する庫外空気温度センサ(31)が設けられている。
【0055】
〈冷蔵ショーケースの構成〉
第1冷蔵ショーケース(13a)と第2冷蔵ショーケース(13b)は、食品を冷蔵するためのオープンショーケースである。各冷蔵ショーケース(13a,13b)は、図3に示すように、庫内が前面側に開放されている。
【0056】
具体的に、各冷蔵ショーケース(13a,13b)では、庫内に冷却対象物を設置するための複数の棚が設けられている。冷蔵ショーケース(13)では、複数の棚を挟んで上部と下部とが形成されている。上部と下部とは、棚を支持する支持部材から前面側に突出している。上部の前面側には吹出口(71)が形成され、下部の前面側には吸込口(72)が形成されている。各冷蔵ショーケース(13a,13b)の内部には、吸込口(72)から吹出口(71)へ向かって空気が流れるコ字状の空気通路(70)が形成されている。各冷蔵ショーケース(13a,13b)の前面側では、吹出口(71)から吸込口(72)へ向かう冷気によってエアカーテンが形成される。また、各冷蔵ショーケース(13a,13b)の上面には、冷蔵側回路(23a,23b)の入口と出口が形成されている。
【0057】
各冷蔵ショーケース(13a,13b)の冷蔵側回路(23a,23b)には、液側から順に庫内膨張弁(43a,43b)と庫内熱交換器(33a,33b)とが接続されている。また、各冷蔵ショーケース(13a,13b)には、冷蔵側ファン(14a,14b)が設けられている。冷蔵側ファン(14a,14b)の回転速度は固定である。
【0058】
庫内熱交換器(33a,33b)及び冷蔵側ファン(14a,14b)は、空気通路(70)に配置されている。庫内熱交換器(33a,33b)は、棚を支持する支持部材の背面に位置している。冷蔵側ファン(14a,14b)は、吸込口(72)と庫内熱交換器(33a,33b)の間に位置している。
【0059】
庫内熱交換器(33a,33b)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。庫内熱交換器(33a,33b)は、冷蔵側ファン(14a,14b)によって送られる庫内空気との熱交換によって冷媒を蒸発させる蒸発器となる。なお、図示しないが、庫内熱交換器(33a,33b)にはデフロスト運転において庫内熱交換器(33a,33b)に付着した氷を融かすためのヒータが設けられている。
【0060】
庫内膨張弁(43a,43b)は、庫内熱交換器(33a,33b)の冷媒流量を調節する膨張弁を構成している。庫内膨張弁(43a,43b)は、パルスモータで弁体を駆動する開度可変の電動膨張弁として構成されている。この庫内膨張弁(43a,43b)は、入力パルス数が0パルスで全閉になり500パルスで全開になる。
【0061】
各冷蔵ショーケース(13a,13b)には、3つの温度センサが設けられている。具体的に、庫内熱交換器(33a,33b)の入口には、庫内熱交換器(33a,33b)へ流入する冷媒の温度を計測する入口側温度センサ(24a,24b)が設けられている。庫内熱交換器(33a,33b)の出口には、庫内熱交換器(33a,33b)から流出した冷媒の温度を計測する出口側温度センサ(25a,25b)が設けられている。また、吸込口(72)の内側には、吸込口(72)に流入した空気の温度を計測する吸込空気温度センサ(15a,15b)が設けられている。
【0062】
入口側温度センサ(24a,24b)は、庫内熱交換器(33a,33b)における冷媒の蒸発温度を検出するための蒸発温度検出手段を構成している。入口側温度センサ(24a,24b)及び出口側温度センサ(25a,25b)は、庫内熱交換器(33a,33b)から流出した冷媒の過熱度を検出するための過熱度検出手段を構成している。
【0063】
〈冷凍ショーケースの構成〉
冷凍ショーケース(13c)は、冷凍する食品を出し入れするための扉が前面側に設けられている以外は、冷蔵ショーケース(13a,13b)とほぼ同じ構成である(図示省略)。冷凍ショーケース(13c)内の冷凍側回路(23c)には、液側から順に庫内膨張弁(43c)と庫内熱交換器(33c)とが接続されている。冷凍ショーケース(13c)には、冷凍側ファン(14c)が設けられている。冷凍側ファン(14c)の回転速度は固定である。
【0064】
庫内熱交換器(33c)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器として構成されている。庫内熱交換器(33c)は、冷凍側ファン(14c)によって送られる庫内空気との熱交換によって冷媒を蒸発させる蒸発器となる。なお、図示しないが、庫内熱交換器(33c)にはデフロスト運転において庫内熱交換器(33c)に付着した氷を融かすためのヒータが設けられている。
【0065】
庫内膨張弁(43c)は、庫内熱交換器(33c)の冷媒流量を調節する膨張弁を構成している。庫内膨張弁(43c)は、パルスモータで弁体を駆動する開度可変の電動膨張弁として構成されている。この庫内膨張弁(43c)は、入力パルス数が0パルスで全閉になり500パルスで全開になる。
【0066】
冷凍ショーケース(13c)は、3つの温度センサが設けられている。具体的に、庫内熱交換器(33c)の入口には、庫内熱交換器(33c)へ流入する冷媒の温度を計測する入口側温度センサ(24c)が設けられている。庫内熱交換器(33c)の出口には、庫内熱交換器(33c)から流出した冷媒の温度を計測する出口側温度センサ(25c)が設けられている。また、図外の吸込口の内側には、吸込口に流入する空気の温度を計測する吸込空気温度センサ(15c)が設けられている。
【0067】
入口側温度センサ(24c)は、庫内熱交換器(33c)における冷媒の蒸発温度を検出するための蒸発温度検出手段を構成している。入口側温度センサ(24c)及び出口側温度センサ(25c)は、庫内熱交換器(33c)から流出した冷媒の過熱度を検出するための過熱度検出手段を構成している。
【0068】
〈ブースタユニットの構成〉
ブースタ回路(51)には、冷凍側回路(23c)側から順にブースタ圧縮機(28)と油分離器(29)とが接続されている。ブースタ圧縮機(28)は、容量可変型の圧縮機である。ブースタ圧縮機(28)は、インバータの出力周波数を変化させて電動機の回転速度を変更することによって運転容量を複数段階に変更することができる。
【0069】
油分離器(29)は、ブースタ圧縮機(28)から吐出された冷媒から冷凍機油を分離するためのものである。油分離器(29)から延びる油戻し管(30)は、ブースタ圧縮機(28)の吸入側に接続されている。油戻し管(30)には、キャピラリーチューブ(38)が設けられている。ブースタ回路(51)には、ブースタ圧縮機(28)と油分離器(29)とをバイパスするバイパス管(39)が設けられている。
【0070】
なお、図1の(CV)は逆止弁、(F)はフィルターである。
【0071】
〈制御部の構成〉
この冷凍装置(20)は、庫外制御部(52)と、第1庫内制御部(35a)と、第2庫内制御部(35b)と、第3庫内制御部(35c)とを備えている。庫外制御部(52)は庫外ユニット(12)に設けられ、第1庫内制御部(35a)は第1冷蔵ショーケース(13a)に設けられ、第2庫内制御部(35b)は第2冷蔵ショーケース(13b)に設けられ、第3庫内制御部(35c)は冷凍ショーケース(13c)に設けられている。各庫内制御部(35a,35b,35c)は、庫外制御部(52)に接続されている。なお、図示しないが、ブースタユニット(53)には、ブースタ圧縮機(28)の運転容量を制御するブースタ制御部が設けられている。
【0072】
庫外制御部(52)は、第1圧縮機(16)及び第2圧縮機(17)の合計運転容量を制御するように構成されている。具体的に、庫外制御部(52)は、必要となる運転容量が第1圧縮機(16)の最大運転容量以下になる場合には第1圧縮機(16)のみを運転させる。必要となる運転容量が第1圧縮機(16)の最大運転容量を上回る場合には第1圧縮機(16)及び第2圧縮機(17)の両方を運転させる。また、庫外制御部(52)は、インジェクション量調節弁(21)の開度を制御するように構成されている。庫外制御部(52)は、圧縮機(16,17)から吐出された冷媒の温度が高くなり過ぎないように吐出温度センサ(48)の検出値に基づいてインジェクション量調節弁(21)の開度を制御する。
【0073】
第1庫内制御部(35a)は、第1冷蔵ショーケース(13a)の運転を制御するように構成されている。第2庫内制御部(35b)は、第2冷蔵ショーケース(13b)の運転を制御するように構成されている。第3庫内制御部(35c)は、冷凍ショーケース(13c)の運転を制御するように構成されている。各庫内制御部(35)は、設けられたショーケース(13)の通常運転、油戻し運転、及びデフロスト運転を制御する。各庫内制御部(35)は、図2に示すように、運転状態切換部(61)と開度制御部(62)と油戻し制御部(63)とを備えている。油戻し制御部(63)は、油戻し開始判断部(64)と油戻し実行部(65)と油戻し終了判断部(66)と備えている。開度制御部(62)は開度制御手段を構成し、油戻し制御部(63)は油戻し制御手段を構成している。
【0074】
運転状態切換部(61)は、庫内の温度が目標設定温度になるように庫内を冷却する通常運転を実行しているサーモオン状態と、通常運転を停止しているサーモオフ状態との切り換えを行うように構成されている。サーモオン状態とサーモオフ状態との切り換えは、吸込空気温度センサ(15)の検出値である検出温度(T)に基づいて行われる。
【0075】
具体的に、運転状態切換部(61)には、サーモオン状態からサーモオフ状態への切り換えを判断するための冷却停止温度(T1)(例えば5℃)と、サーモオフ状態からサーモオン状態への切り換えを判断するための冷却復帰温度(T2)(例えば6℃)とが設定されている。冷却停止温度(T1)は、例えば目標設定温度と同じ温度に設定される。
【0076】
運転状態切換部(61)は、サーモオン状態において上記検出温度(T)が冷却停止温度(T1)以下になると庫内膨張弁(43)を閉鎖してショーケース(13)をサーモオン状態からサーモオフ状態に切り換える。また、運転状態切換部(61)は、サーモオフ状態において庫内の温度が上昇して検出温度(T)が冷却復帰温度(T2)以上になると庫内膨張弁(43)を開いてショーケース(13)をサーモオフ状態からサーモオン状態に切り換える。
【0077】
また、運転状態切換部(61)は、サーモオン状態において、例えば所定の条件が成立するとデフロスト運転を行うように構成されている。デフロスト運転では、庫内膨張弁(43)が閉鎖されると共に、庫内熱交換器(33)に取り付けられたヒータの電源がオフ状態からオン状態に切り換えられる。なお、油戻し運転中にデフロスト運転の開始が判断されると、油戻し運転は中断される。
【0078】
開度制御部(62)は、庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度である出口過熱度が所定の目標値になるように庫内膨張弁(43)の開度を調節するように構成されている。具体的に、開度制御部(62)には、所定の目標値として目標過熱度(例えば5℃)が設定されている。開度制御部(62)は、入口側温度センサ(24)と出口側温度センサ(25)との差を出口過熱度として検出し、庫内膨張弁(43)の開度の変更量(Δpls)を算出する。庫内膨張弁(43)の開度の変更量(Δpls)は、いわゆるPID制御によって出口過熱度が目標過熱度が近づくような値になるように算出される。開度制御部(62)は、算出した変更量(Δpls)に基づいて庫内膨張弁(43)の開度を調節する。
【0079】
油戻し制御部(63)の油戻し開始判断部(64)は、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油を第1及び第2圧縮機(16,17)へ戻すための油戻し運転の開始を判断するように構成されている。油戻し開始判断部(64)は、後述する開始判断時間(α)が所定の基準値(例えば120分)に達する所定の開始条件が成立すると油戻し運転の開始を判断する。
【0080】
具体的に、油戻し開始判断部(64)は、油戻し運転を開始するか否かを判断する開始判断動作を行う。開始判断動作は、前回の油戻し運転の終了時点からのサーモオン状態(通常運転)の積算時間、即ちサーモオン状態の継続時間の積算値を計測するタイマの計測時間において所定の時間間隔(例えばΔT=1分間隔)で行われる。なお、タイマによるサーモオン状態の積算時間の計測は、サーモオフ状態及びデフロスト運転中は中断される。このため、例えばサーモオフ状態からサーモオン状態に復帰した場合の開始判断動作は、前回のサーモオン状態における最後の開始判断動作からサーモオフ状態に切り換わるまでの時間と、サーモオン状態に復帰後の時間との合計時間が、所定の時間(ΔT)になると実行される。つまり、開始判断動作(α)の実行を決定するための時間は、サーモオフ状態やデフロスト運転になってもリセットされずに、復帰後のサーモオン状態に持ち越される。なお、タイマは油戻し運転が終了するとリセットされる。
【0081】
開始判断動作では、まず以下に示す式1を用いて開始判断時間(α)が算出される。
式1:α(n)=α(n−1)+Fte×Fsh×ΔT
【0082】
上記式1において、α(n)は、前回の油戻し運転の終了から数えてn回目の開始判断動作における開始判断時間を表している。また、Fteは第1補正係数を表し、Fshは第2補正係数を表している(図4参照)。
【0083】
第1補正係数(Fte)と第2補正係数(Fsh)とは、油戻し開始判断部(64)に記憶されている。第1補正係数(Fte)は、図4(A)に示すように、庫内熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度(Th2)の範囲毎に記憶されている。第1補正係数(Fte)は、冷媒の蒸発温度(Th2)が低い範囲のものほど大きな値になっている。油戻し開始判断部(64)は、入口側温度センサ(24)の値を庫内熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度(Th2)として検出して、図4(A)におけるその検出値(Th2)の範囲に該当する数値を第1補正係数(Fte)に決定する。
【0084】
第2補正係数(Fsh)は、図4(B)に示すように、庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度(SH)の範囲毎に記憶されている。第2補正係数(Fsh)は、冷媒の過熱度(SH)が高い範囲のものほど大きな値になっている。油戻し開始判断部(64)は、入口側温度センサ(24)と出口側温度センサ(25)との差を出口過熱度(SH)として検出して、図4(B)におけるその検出値(SH)の範囲に該当する数値を第2補正係数(Fsh)に決定する。
【0085】
開始判断時間(α)は、前回の油戻し運転が終了してからのサーモオン状態の積算時間を、庫内熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度(Th2)及び庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度(SH)に応じて補正した補正時間に相当する。開始判断時間(α)は、冷媒の蒸発温度(Th2)が低いほど大きな値になる。冷媒の蒸発温度(Th2)が低いほど庫内熱交換器(33)を流通する冷媒に含まれる冷凍機油の粘性が大きくなって冷凍機油が庫内熱交換器(33)の内表面に付着しやすくなるためである。また、冷媒の過熱度(SH)が大きいほど大きな値になる。冷媒の過熱度(SH)が大きいほど庫内熱交換器(33)において冷凍機油に作用するせん断力が比較的大きくなる気液二相状態の領域が短くなるためである。
【0086】
開始判断動作では、油戻し開始判断部(64)が、開始判断時間(α)の算出後に開始判断時間(α)と所定の基準値(例えば120分)とを比較する。そして、開始判断時間(α)が所定の基準値(例えば120分)を上回ると、油戻し運転の開始が判断される。なお、上記所定の基準値は油戻し開始判断部(64)に記憶されている。基準値を例えばユーザーが変更することができるように、各ショーケース(13)に基準値を入力する基準値入力部を設けてもよい。
【0087】
油戻し開始判断部(64)は、油戻し運転の開始を判断すると、開始判断信号を庫外制御部(52)に送信する。開始判断信号を受信した庫外制御部(52)は、油戻し運転中のショーケース(13)が他になければ、直ちに開始判断信号を発信した油戻し制御部(63)の油戻し実行部(65)へ油戻し許可信号を送信する。油戻し運転中のショーケース(13)があれば、該油戻し運転の終了後に、開始判断信号を発信した油戻し制御部(63)の油戻し実行部(65)へ油戻し許可信号を送信する。
【0088】
油戻し実行部(65)は、庫外制御部(52)から油戻し許可信号を受信すると、油戻し運転を開始させ、該油戻し運転中に第1油戻し工程と第2油戻し工程とを行うように構成されている。第2油戻し工程は、第1油戻し工程の終了から所定の時間(例えば90秒)の経過後に行われる。また、後記において詳述する油戻し終了判断部(66)が第2油戻し工程の終了後に油戻し運転を継続すると判断すると、油戻し実行部(65)は、第2油戻し工程の終了から所定の時間(例えば90秒)の経過後に第3油戻し工程を実行するように構成されている。第3油戻し工程が終了すると、油戻し制御部(63)が油戻し運転を終了させる。油戻し工程は最大3回行われる。
【0089】
油戻し実行部(65)は、油戻し運転の開始の際に、該油戻し運転の開始直線の庫内膨張弁(43)の開度(P)を記憶する。また、油戻し実行部(65)は、各油戻し工程の開始の際に、該油戻し工程の開始直線の庫内膨張弁(43)の開度(P’)を記憶する。
【0090】
そして、油戻し実行部(65)は、各油戻し工程において、庫内膨張弁(43)の開度を強制的に拡大してから所定の時間(例えば10秒間)に亘って一定に保って、庫内膨張弁(43)の開度を縮小する油戻し動作を行う。油戻し動作では、庫内熱交換器(33)の冷媒流量が一時的に増加する。油戻し実行部(65)は、油戻し動作の終了時に、油戻し動作の開始直線の庫内膨張弁(43)の開度(P’)になるように庫内膨張弁(43)の開度を縮小する。なお、油戻し運転における油戻し工程と油戻し工程との間は、開度制御部(62)が、通常運転時と同様に、出口過熱度が目標過熱度になるように庫内膨張弁(43)の開度を調節する。
【0091】
なお、第1油戻し工程における油戻し動作では、油戻し実行部(65)が、以下に示す式2を用いて算出した値(P1)に庫内膨張弁(43)の開度を設定する。第2油戻し工程における油戻し動作では、油戻し実行部(65)が、以下に示す式3を用いて算出した値(P2)に庫内膨張弁(43)の開度を設定する。第3油戻し工程における油戻し動作では、油戻し実行部(65)が、以下に示す式4を用いて算出した値(P3)に庫内膨張弁(43)の開度を設定する。
式2:P1=P×A
式3:P2=P×B
式4:P3=P×C
【0092】
上記式2においてAは所定の定数(例えばA=1.3)を表し、上記式3においてBは所定の定数(例えばB=1.5)を表し、上記式4においてCは所定の定数(例えばC=1.8)を表している。油戻し実行部(65)は、後の油戻し工程ほど庫内膨張弁(43)の開度を大きな値に設定する。なお、これらの定数(A,B,C)は、油戻し工程において圧縮機(16,17)に戻る冷媒が湿り状態になることを回避するために庫内膨張弁(43)の開度が急激に大きな値にならないように設定されている。
【0093】
油戻し終了判断部(66)は、第2油戻し工程の終了後に油戻し運転を終了させるか否かを判断するように構成されている。具体的に、油戻し終了判断部(66)は、第1油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×A)、第2油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×B)、油戻し運転の開始後の出口過熱度の状態に基づいて油戻し運転の終了を判断する。油戻し終了判断部(66)は、第1油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×A)が所定値(例えば450パルス)よりも大きい第1条件と、第2油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×B)が所定値(例えば450パルス)よりも大きい第2条件と、油戻し運転の開始後に出口過熱度がX℃(例えばX=3℃)を下回る状態が連続してY分(例えば1分)以上継続する第3条件の何れか1つが成立すれば、油戻し運転の終了を判断する。油戻し終了判断部(66)が油戻し運転の終了を判断すると、油戻し制御部(63)が油戻し運転を終了させる。
【0094】
−冷凍装置の運転動作−
本実施形態の冷凍装置(20)の運転動作について説明する。この冷凍装置(20)では、第1及び第2圧縮機(16,17)、ブースタ圧縮機(28)、庫外ファン(40)、及び庫内ファン(14a,14b,14c)を起動させることによって運転が開始される。
【0095】
具体的に、第1及び第2圧縮機(16,17)から吐出された冷媒は、庫外熱交換器(32)で室外空気に放熱して凝縮する。庫外熱交換器(32)で凝縮した冷媒は、レシーバ(18)を経て、第1冷蔵側回路(23a)、第2冷蔵側回路(23b)、及び冷凍側回路(23c)に分配される。
【0096】
各冷蔵側回路(23a,23b)に流入した冷媒は、庫内膨張弁(43a,43b)によって第1所定圧力PL1にまで減圧された後、庫内熱交換器(33a,33b)において各冷蔵ショーケース(13a,13b)の空気通路(70)を流通する庫内空気から吸熱して蒸発する。冷媒によって冷却された庫内空気は、吹出口(71)から各冷蔵ショーケース(13a,13b)の庫内へ吹き出される。
【0097】
一方、冷凍側回路(23c)に流入した冷媒は、庫内膨張弁(43c)によって上記第1所定圧力PL1よりも低い第2所定圧力PL2にまで減圧される。庫内膨張弁(43c)によって減圧された冷媒は、庫内熱交換器(33c)において冷凍ショーケース(13c)の庫内空気から吸熱して蒸発する。冷媒によって冷却された庫内空気は、冷凍ショーケース(13c)の庫内へ吹き出される。
【0098】
庫内熱交換器(33c)で蒸発した冷媒は、ブースタ圧縮機(28)によって第1所定圧力PL1にまで昇圧され、各庫内熱交換器(33a,33b)で蒸発した冷媒と合流して庫外回路(22)に流入する。庫外回路(22)に流入した冷媒は、第1及び第2圧縮機(16,17)に吸入されて再び圧縮される。
【0099】
−油戻し運転に関する動作−
油戻し運転に関する動作について説明する。以下では、油戻し運転に関する動作として、油戻し運転の開始を判断するまでの動作と、油戻し運転の開始から油戻し運転の終了までの動作についてそれぞれ説明する。
【0100】
まず、油戻し運転の開始を判断するまでの動作を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。各庫内制御部(35)における油戻し制御部(63)の油戻し開始判断部(64)は、該庫内制御部(35)が制御するショーケース(13)において油戻し運転が終了すると、次の油戻し運転の開始を判断するための動作を開始する。
【0101】
具体的に、油戻し開始判断部(64)は、油戻し運転が終了すると、サーモオン状態(通常運転)の積算時間をタイマによって計測し始める。油戻し開始判断部(64)は、タイマの計測時間において所定の時間間隔(例えばΔT=1分間隔)で開始判断動作を行う。
【0102】
開始判断動作では、油戻し開始判断部(64)が、ステップ1(ST1)において、その時点における入口側温度センサ(24)の値を庫内熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度(Th2)として検出すると共に、その時点における入口側温度センサ(24)と出口側温度センサ(25)との差を出口過熱度(SH)として検出する。
【0103】
油戻し開始判断部(64)は、ステップ1(ST1)が終了するとステップ2(ST2)において、ステップ1(ST1)で検出した冷媒の蒸発温度(Th2)から第1補正係数(Fte)を決定すると共に、ステップ1(ST1)で検出した出口過熱度(SH)から第2補正係数(Fsh)を決定する。そして、油戻し開始判断部(64)は、上記式1を用いて、開始判断時間(α)を算出する。
【0104】
油戻し開始判断部(64)は、ステップ2(ST2)が終了するとステップ3(ST3)において、ステップ2(ST2)で算出した開始判断時間(α)と所定の基準値(例えば120分)とを比較する。油戻し開始判断部(64)は、開始判断時間(α)が基準値以下であれば、油戻し運転を開始する必要がないと判断する。油戻し開始判断部(64)は、再び所定の時間(ΔT=1分)経過後に開始判断動作を行う。一方、油戻し開始判断部(64)は、開始判断時間(α)が基準値を上回れば、油戻し運転の開始を判断してステップ4(ST4)に移行し、開始判断信号を庫外制御部(52)に送信する。
【0105】
開始判断信号を受信した庫外制御部(52)は、油戻し運転中のショーケース(13)が他になければ、直ちに開始判断信号を発信した油戻し制御部(63)の油戻し実行部(65)へ油戻し許可信号を送信する。油戻し運転中のショーケース(13)があれば、該油戻し運転の終了後に、開始判断信号を発信した油戻し制御部(63)の油戻し実行部(65)へ油戻し許可信号を送信する。この冷凍装置(20)では、油戻し運転が複数のショーケース(13)で行われることを庫外制御部(52)が禁止している。このため、複数のショーケース(13)で油戻し運転が同時に実行されて、多量の冷凍機油が圧縮機(16,17)に戻ってくることが防止される。
【0106】
続いて、油戻し運転の開始から油戻し運転の終了までの動作を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。各庫内制御部(35)における油戻し制御部(63)の油戻し実行部(65)は、庫外制御部(52)から油戻し許可信号を受信すると、該庫内制御部(35)が制御するショーケース(13)において油戻し運転を開始させる。
【0107】
具体的に、油戻し実行部(65)は、油戻し運転を開始させる際にステップ1(ST1)において、油戻し運転のの開始直線の庫内膨張弁(43)の開度(P)を記憶する。ステップ1(ST1)が終了するとステップ2(ST2)において第1油戻し工程が行われる。
【0108】
第1油戻し工程では、油戻し実行部(65)が、第1油戻し工程の開始の際に、該第1油戻し工程の開始直前の庫内膨張弁(43)の開度(P1’)を記憶する。そして、油戻し実行部(65)は、庫内膨張弁(43)の開度を強制的に拡大してから所定の時間(例えば10秒間)に亘って庫内膨張弁(43)の開度を一定に保つ油戻し動作を行う。第1油戻し工程における油戻し動作では、上記式2を用いて算出した値(P1)に庫内膨張弁(43)の開度が設定される。この油戻し動作により、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油の一部が圧縮機(16,17)へ戻る。また、油戻し動作の時間は比較的短いので、冷凍機油の一部が庫内熱交換器(33)から押し出され、ショーケース(13)の出口に達することなく庫内熱交換器(33)の下流に溜まる状態になる。
【0109】
油戻し実行部(65)は、図7に示すように、油戻し動作の終了時に庫内膨張弁(43)の開度を縮小する。庫内膨張弁(43)の開度は、第1油戻し工程の開始直前の庫内膨張弁(43)の値(P1’)に縮小される。第1油戻し工程が終了するとステップ3(ST3)において過熱度制御工程が行われる。
【0110】
過熱度制御工程では、開度制御部(62)が、通常運転時と同様に、出口過熱度が目標過熱度になるように庫内膨張弁(43)の開度を調節する。過熱度制御工程は所定の時間(例えば90秒間)に亘って行われる。
【0111】
具体的に、開度制御部(62)は、過熱度制御工程中に庫内膨張弁(43)の開度を調節する開度調節動作を所定の時間間隔(例えば5秒間隔)で行う。開度調節動作では、開度制御部(62)が、入口側温度センサ(24)と出口側温度センサ(25)との差を出口過熱度として検出する。開度制御部(62)は、検出した出口過熱度や目標過熱度に基づいてPID制御によって庫内膨張弁(43)の開度の変更量(Δpls)を算出する。開度制御部(62)は、1回の開度調節動作において2段階に分けて庫内膨張弁(43)の開度を調節する。例えば、庫内膨張弁(43)の開度を拡大する場合は、変更量(Δpls)の2倍の値(2×Δpls)だけ開度を大きくしてから、変更量(Δpls)だけ開度を小さくする。庫内膨張弁(43)の開度を縮小する場合は、変更量(Δpls)の2倍の値(2×Δpls)だけ開度を小さくしてから、変更量(Δpls)だけ開度を大きくする。過熱度制御工程が終了するとステップ4(ST4)において第2油戻し工程が行われる。
【0112】
第2油戻し工程では、油戻し実行部(65)が、第2油戻し工程の開始の際に、該第2油戻し工程の開始直前の庫内膨張弁(43)の開度(P2’)を記憶する。そして、油戻し実行部(65)は、庫内膨張弁(43)の開度を強制的に拡大してから所定の時間(例えば10秒間)に亘って庫内膨張弁(43)の開度を一定に保つ油戻し動作を行う。第2油戻し工程における油戻し動作では、上記式3を用いて算出した値(P2)に庫内膨張弁(43)の開度が設定される。この油戻し動作により、第1油戻し工程後に庫内熱交換器(33)に残る冷凍機油、及び庫内熱交換器(33)の下流に溜まる冷凍機油の多くが圧縮機(16,17)へ戻る。
【0113】
油戻し実行部(65)は、油戻し動作の終了時に庫内膨張弁(43)の開度を縮小する。庫内膨張弁(43)の開度は、第2油戻し工程の開始直前の庫内膨張弁(43)の値(P2’)に縮小される。
【0114】
油戻し終了判断部(66)は、第2油戻し工程が終了するとステップ5(ST5)において、油戻し運転を終了させるか否かを判断する。具体的に、油戻し終了判断部(66)は、第1油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×A)が所定値(例えば450パルス)よりも大きい第1条件と、第2油戻し工程における油戻し動作の際の庫内膨張弁(43)の開度(P×B)が所定値(例えば450パルス)よりも大きい第2条件と、油戻し運転の開始後に出口過熱度がX℃(例えばX=3℃)を下回る状態が連続してY分(例えば1分)以上継続する第3条件の何れか1つが成立する場合には、油戻し運転の終了を判断する。油戻し終了判断部(66)が油戻し運転を終了させると判断すると、ステップ8(ST8)において油戻し制御部(63)が油戻し運転を終了させる。
【0115】
油戻し終了判断部(66)は、第1条件と第2条件と第3条件との何れもが成立しない場合には、油戻し運転を継続すると判断する。油戻し終了判断部(66)が油戻し運転を継続すると判断すると、ステップ6(ST6)において再び過熱度制御工程が行われる。
【0116】
2回目の過熱度制御工程時の動作は、1回目の過熱度制御工程時と同じである。2回目の過熱度制御工程が終了するとステップ7(ST7)において第3油戻し工程が行われる。なお、2回目の過熱度制御工程の時間は1回目の過熱度制御工程と同じでなくてもよい。例えば第2油戻し工程において吐出温度センサ(48)の検出値が大きく低下する場合には、2回目の過熱度制御工程の時間を1回目の過熱度制御工程より長くしてもよい。
【0117】
第3油戻し工程では、油戻し実行部(65)が、第3油戻し工程の開始の際に、該第3油戻し工程の開始直線の庫内膨張弁(43)の開度(P3’)を記憶する。そして、油戻し実行部(65)は、庫内膨張弁(43)の開度を強制的に拡大してから所定の時間(例えば10秒間)に亘って庫内膨張弁(43)の開度を一定に保つ油戻し動作を行う。第3油戻し工程における油戻し動作では、上記式4を用いて算出した値(P3)に庫内膨張弁(43)の開度が設定される。この油戻し動作により、第2油戻し工程後に庫内熱交換器(33)に残る冷凍機油、及び庫内熱交換器(33)の下流に溜まる冷凍機油が圧縮機(16,17)へ戻る。
【0118】
油戻し実行部(65)は、油戻し動作の終了時に庫内膨張弁(43)の開度を縮小する。庫内膨張弁(43)の開度は、第3油戻し工程の開始直線の庫内膨張弁(43)の値(P3’)に縮小される。
【0119】
第3油戻し工程が終了するとステップ8(ST8)において油戻し制御部(63)が油戻し運転を終了させる。油戻し運転が終了すると通常運転が行われる。
【0120】
−実施形態の効果−
本実施形態では、油戻し動作を複数回行うと共に、油戻し動作から次の油戻し動作までの間隔を開けることで、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が連続的ではなく間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくるようにしている。
【0121】
ここで、冷蔵ショーケース(13a,13b)及び冷凍ショーケース(13c)等の冷却ショーケース(13)では、例えば空調機に比べて蒸発器(33)おける冷媒の蒸発温度が低いので、蒸発器(33)の冷凍機油の粘性が大きくなる。また、通常、冷却ショーケース(13)には、比較的大きな熱交換器が蒸発器(33)として使用されるため、蒸発器(33)における冷媒流速が比較的小さくなる。また、冷却ショーケース(13)では、その上面に内部の回路(23)の入口及び出口が位置し、蒸発器(33)が入口と出口の下方に位置するので、重力により蒸発器(33)内の冷凍機油が戻りにくい。このため、冷却ショーケース(13)では、蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい。また、蒸発器(33)が比較的大きいので、蒸発器(33)に溜まる冷凍機油の量が多くなる。従って、冷却ショーケース(13)では、庫内熱交換器(33)から多くの冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻さなければ、圧縮機(16,17)の信頼性が問題となると共に、庫内熱交換器(33)に残る冷凍機油によって庫内熱交換器(33)の熱交換性能が低下する。
【0122】
また、本実施形態では、複数回の油戻し工程によって比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻しても、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が連続的ではなく間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくるので、圧縮機(16,17)へ戻る時間当たりの冷凍機油が溶け込んだ液冷媒の量がそれほど多くはならない。従って、圧縮機(16,17)を損傷させることなく、複数回の油戻し工程によって比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すことが可能になる。そして、圧縮機(16,17)で冷凍機油が不足することを防止しやすくなるので、圧縮機(16,17)の信頼性を向上させることができる。さらに、庫内熱交換器(33)に残る冷凍機油が少なくなるので、庫内熱交換器(33)の熱交換性能の低下を抑制することができる。
【0123】
また、本実施形態では、冷凍機油が溶け込んだ液冷媒が間欠的に圧縮機(16,17)に戻ってくるので、液冷媒が戻ってこない間に冷凍機油の温度が回復する。このため、多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻しても冷凍機油の温度がそれほど低下しないので、圧縮機(16,17)内の冷凍機油に溶け込む冷媒の量が少なくなる。従って、冷凍機油が冷媒によって希釈されることによって生じる潤滑不良を防止しやすくなる。。
【0124】
また、本実施形態では、油戻し運転における後の油戻し工程ほど庫内膨張弁(43)の開度を大きな値に設定することで、各油戻し工程によって圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の量が均一化されるようにしている。このため、圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の時間当たりの量を減少させることができるので、圧縮機(16,17)の損傷を確実に防止した上で、比較的多量の冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すことが可能になる。
【0125】
また、本実施形態では、油戻し工程から次の油戻し工程までの間は、庫内膨張弁(43)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値になるように庫内膨張弁(43)の開度が調節されるようにしている。このため、油戻し工程を繰り返すうちに庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度が低下してゆくことが抑制される。このため、庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度が低下して、圧縮機(16,17)において液冷媒が圧縮される液圧縮が生じることを回避できる。
【0126】
また、本実施形態では、2回目の油戻し工程の終了後に、必要に応じて3回目の油戻し工程が行われるようにしている。このため、2回目の油戻し工程によって蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を十分に圧縮機(16,17)へ戻すことができない場合でも、3回目の油戻し工程によって圧縮機(16,17)へ戻る冷凍機油の量を増加させることができる。
【0127】
また、本実施形態では、通常運転中に蒸発器(33)に冷凍機油が溜まりやすい状態であるか否かを判断して、通常運転の積算時間を補正した補正時間を算出している。このため、補正時間が、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油の量を反映した値となる。従って、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油の量に応じて油戻し運転が開始されるので、一定の時間間隔で油戻し運転を行う従来の冷凍装置のように油戻し運転の開始のタイミングが不適切になることがなく、適切なタイミングで油戻し運転を開始することができる。
【0128】
また、本実施形態では、過熱度検出手段(24,25)の検出値と蒸発温度検出手段(24)の検出値の両方を用いて補正時間を算出することで、補正時間が、庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油の量をより反映した値となるようにしている。従って、より適切なタイミングで油戻し運転を開始することができる。
【0129】
また、本実施形態では、庫内膨張弁(43)の開度を調節することによって庫内熱交換器(33)に溜まった冷凍機油を圧縮機(16,17)へ戻すので、ショーケース(13)毎に油戻し動作を実行することができる。
【0130】
《その他の実施形態》
上記実施形態は、以下の変形例のように構成してもよい。
【0131】
−第1変形例−
上記実施形態について、油戻し動作の内容が、圧縮機(16,17)の運転容量を強制的に増加させることであってもよい。圧縮機(16,17)の運転容量を強制的に増加させると、庫内熱交換器(33)の冷媒流量が強制的に増加され、庫内熱交換器(33)を流通する冷媒の湿り度が大きく又は過熱度が小さくなる。
【0132】
この場合、冷凍装置(20)が、図7に示すように、熱源ユニット(12)と利用ユニット(13)とを1台ずつ備えるものであってもよい。熱源ユニット(12)には、圧縮機(16)、熱源側熱交換器(32)、熱源側膨張弁(76)、四路切換弁(75)、及び熱源側ファン(40)が設けられている。利用ユニット(13)には、利用側熱交換器(33)、及び利用側ファン(14)が設けられている。
【0133】
この冷凍装置(20)では、四路切換弁(75)が図7に実線で示す第1状態に設定されると、熱源側熱交換器(32)が凝縮器となって利用側熱交換器(33)が蒸発器となる冷却運転が行われる。四路切換弁(75)が図7に破線で示す第2状態に設定されると、熱源側熱交換器(32)が蒸発器となって利用側熱交換器(33)が凝縮器となる加熱運転が行われる。
【0134】
−第2変形例−
上記実施形態について、油戻し工程が4回以上であってもよい。
【0135】
−第3変形例−
上記実施形態について、前回の油戻し運転が終了してからのサーモオン状態の積算時間を、庫内熱交換器(33)における冷媒の蒸発温度(Th2)及び庫内熱交換器(33)から流出した冷媒の過熱度(SH)の一方を用いて補正することによって開始判断時間(α)を算出してもよい。
【0136】
−第4変形例−
上記実施形態について、入口側温度センサ(24)や出口側温度センサ(25)の検出値が異常な値を示す場合は、第1補正係数(Fte)や第2補正係数(Fsh)に代用値を用いるようにしてもよい。この場合、入口側温度センサ(24)や出口側温度センサ(25)の検出値の正常な値の範囲を制御部に記憶させる。
【0137】
例えば、入口側温度センサ(24)が異常であると判断した場合には、冷蔵ショーケース(13a,13b)において第1補正係数(Fte)を1.1とし、冷凍ショーケース(13c)において第1補正係数(Fte)を1.4とし、両方のショーケース(13a,13b,13c)において第2補正係数(Fsh)を1.2とする。また、出口側温度センサ(25)が異常であると判断した場合には、両方のショーケース(13a,13b,13c)において第2補正係数(Fsh)を1.2とする。
【0138】
−第5変形例−
上記実施形態について、全ての油戻し工程の庫内膨張弁(43)の開度を同じとしてもよい。また、第2油戻し工程や第3油戻し工程の前に、前の油戻し工程に比べて庫内膨張弁(43)の開度を大きくするか、又は小さくするかを判断してもよい。この場合、終了した油戻し工程における庫内膨張弁(43)の開度や、油戻し運転開始後の出口過熱度の状態に基づいて第2油戻し工程や第3油戻し工程の庫内膨張弁(43)の開度を決定する。
【0139】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上説明したように、本発明は、蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための動作を行う冷凍装置、及び冷凍装置において蒸発器に溜まった冷凍機油を圧縮機に戻すための冷凍機油の戻し方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。
【図2】(A)は第1庫内制御部の構成図であり、(B)は第2庫内制御部の構成図であり、(C)は第3庫内制御部の構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る冷蔵ショーケースの断面図である。
【図4】(A)は冷媒の蒸発温度(Th2)の範囲毎の第1補正係数の値を示す表であり、(B)は冷媒の過熱度(SH)の範囲毎の第2補正係数の値を示す表である。
【図5】本発明の実施形態に係る冷凍装置における油戻し運転の開始を判断するまでの動作のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る冷凍装置における油戻し運転の開始から油戻し運転の終了までの動作のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る冷凍装置における油戻し運転中の庫内膨張弁の開度の時系列変化を示す図表である。
【図8】その他の実施形態の第1変形例に係る冷凍装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0142】
10 冷媒回路
13a 第1冷蔵ショーケース(冷却ショーケース)
13b 第2冷蔵ショーケース(冷却ショーケース)
13b 冷凍ショーケース(冷却ショーケース)
20 冷凍装置
24 入口側温度センサ(蒸発温度検出手段、過熱度検出手段)
25 出口側温度センサ(過熱度検出手段)
32 庫外熱交換器(凝縮器)
33 庫内熱交換器(蒸発器)
63 油戻し制御部(油戻し制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置であって、
運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すために該蒸発器(33)の冷媒流量を一時的に強制的に増加させる油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し制御手段(63)を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記油戻し制御手段(63)は、上記油戻し動作の際に上記膨張弁(43,76)の開度を一時的に強制的に拡大することによって上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記油戻し制御手段(63)は、上記開始条件の成立により複数回実行される油流し動作のうち後に実行される油戻し動作ほど上記膨張弁(43,76)の開度を大きな値に拡大することを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
上記油戻し制御手段(63)は、上記各油戻し動作の終了時には上記膨張弁(43,76)の開度を該油戻し動作の開始直前の値にまで縮小し、
該油戻し動作の終了時から次の油戻し動作の開始時までは、上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値になるように上記膨張弁(43,76)の開度が調節されることを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
上記油戻し制御手段(63)は、上記開始条件の成立により上記油戻し動作を最大3回行う一方、2回目の油戻し動作の終了後に3回目の油戻し動作を行うか否かを判断することを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度を検出する過熱度検出手段(24,25)を備え、
上記油戻し制御手段(63)は、対象空間を冷却するための通常運転中に上記開始条件が成立すると上記油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し運転を実行する一方、
該油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの上記通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)を備え、
上記油戻し制御手段(63)は、対象空間を冷却するための通常運転中に上記開始条件が成立すると上記油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行する油戻し運転を実行する一方、
該油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの上記通常運転の積算時間を上記蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項8】
圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置であって、
上記蒸発器(33)から流出した冷媒の過熱度を検出する過熱度検出手段(24,25)と、
対象空間を冷却するための通常運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させることによって該蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻す油戻し運転を実行する油戻し制御手段(63)とを備え、
上記油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項9】
圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置であって、
上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)と、
対象空間を冷却するための通常運転中に所定の開始条件が成立すると上記蒸発器(33)の冷媒流量を増加させることによって該蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻す油戻し運転を実行する油戻し制御手段(63)とを備え、
上記油戻し制御手段(63)では、前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記蒸発温度検出手段(24)の検出値に応じて補正した補正時間が所定の基準値に達することが、上記油戻し運転の開始条件となっていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項10】
請求項6又は8において、
上記蒸発器(33)における冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段(24)を備え、
上記油戻し制御手段(63)では、上記前回の油戻し運転が終了してからの通常運転の積算時間を上記過熱度検出手段(24,25)の検出値と上記蒸発温度検出手段(24)の検出値の両方に応じて補正することによって上記補正時間を算出することを特徴とする冷凍装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1つにおいて、
上記蒸発器(33)が冷却対象物が陳列される冷却ショーケース(13)に設けられ、該蒸発器(33)で冷媒と熱交換させた空気が該冷却ショーケース(13)の庫内に供給されることを特徴とする冷凍装置。
【請求項12】
圧縮機(16,17)と、凝縮器(32)と、蒸発器(33)と、該蒸発器(33)の冷媒流量を調節する膨張弁(43,76)とが設けられて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える冷凍装置(20)について、上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すための冷凍機油の戻し方法であって、
運転中に上記蒸発器(33)に溜まった冷凍機油を上記圧縮機(16,17)へ戻すために該蒸発器(33)の冷媒流量を一時的に強制的に増加させる油戻し動作を所定の時間間隔で複数回実行することを特徴とする冷凍機油の戻し方法。
【請求項13】
請求項12において、
上記膨張弁(43,76)の開度を一時的に強制的に拡大する動作を上記油戻し動作として行うことを特徴とする冷凍機油の戻し方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate