説明

冷却ロール

【課題】 ロール全体を均一に冷却することのできる冷却ロールを得ること。
【解決手段】 縦長ロール1の回転軸を垂直方向に配置する。ロール1に冷却流体供給管2と流体排出管4をそれぞれ接続する。ロール1内部に、冷却流体供給管2と連通した冷却流体噴射部12、及び、エゼクタ5を設ける。流体排出管4をタンク7と接続する。
冷却流体噴射部12から供給される冷却流体は、ロール1の内周面の全体に行き渡り、ロール1の全体を均一に冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール内部を所定の低圧状態として、比較的低温度で被冷却物を冷却する冷却ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却ロールは、冷却室内を所定の圧力状態にして、この圧力に応じた温度で被冷却物を冷却するものである。
【0003】
冷却ロールは、回転部を有したロールと、ロール内部に加熱冷却流体を供給する熱交換流体供給管と、ロール内部に配置したエゼクタと、ロール内部から流体を排出する熱交換流体排出管から成るもので、ロール内部へ冷却流体の冷却水を供給することによって、エゼクタで吸引力を発生して所定の圧力状態になると共に、冷却水が熱を奪って蒸発気化することによって被冷却物を気化冷却することができるものである。
【0004】
回転自在のロールが水平方向に配置されているために、ロール内面の全体にムラなく冷却流体を供給することが困難であり、ロール全体を均一に冷却することができない問題があった。
【特許文献1】特開2002−122370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、ロール全体を均一に冷却することのできる冷却ロールを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、密閉状の冷却室と、当該冷却室に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続し、冷却室を吸引手段と連通したものにおいて、冷却室を回転自在なロールで形成すると共に、当該ロールの回転軸を垂直方向に配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷却ロールは、ロールの回転軸を垂直方向に配置したことによって、供給される冷却流体が自重で流下しながらロール内周面の全体にムラなく供給され、従って、冷却ロールの全体を均一に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
冷却ロールの回転軸を垂直方向に配置するものであるが、このように配置することによって、被冷却物の保持が困難になる場合は、適宜、被冷却物保持具を取り付けることができる。
【実施例1】
【0009】
図1において、回転自在なロール1と、冷却流体供給管2と、流体排出管4と、ロール1の内部に配置したエゼクタ5と、流体排出管4と供給管2の間に配設したタンク7及び流体ポンプ8とで冷却ロールを構成する。
【0010】
ロール1は、中空円筒状で上下の冷却流体供給管2及び流体排出管4の接続部9,10に図示しないロータリージョイント部を設け、このロータリージョイント部を中心にしてロール1が垂直状で連続回転できるように配置する。なお、図示しない被冷却物はロール1の外表面6に接触して冷却されるものである。
【0011】
縦長中空円筒状のロール1の内部を冷却室11としてエゼクタ5を配置する。エゼクタ5は、図示しないノズルを内蔵した吸引部14とディフューザ16とで構成する。エゼクタ5の入口側としての吸引部14を、冷却流体噴射部12と連通管路13を介して、冷却流体供給管2に接続する。
【0012】
エゼクタ5の吸引部14にパイプ18,19を取り付ける。パイプ18,19のそれぞれの端部は、熱交換室11の内側で熱交換室11の内周から離して配置し開口する。
【0013】
エゼクタ5のディフューザ16は、連通管路23を介して流体排出管4と接続する。流体排出管4はタンク7を介して流体ポンプ8の吸入部24と接続する。流体ポンプ8の吐出部25は、冷却流体供給管2と連通してエゼクタ5と接続する。なお、冷却流体供給管2の一部を分岐して、余剰流体排出管17を接続する。流体排出管4の途中に、下部ロータリージョイント部と接続する管路3を連通する。
【0014】
タンク7の上部には、冷却流体補給管26を接続する。流体ポンプ8は、タンク7内の流体を吸引して、冷却流体供給管2へ吐出するものである。
【0015】
冷却流体供給管2とエゼクタ5の間に配置した冷却流体噴射部12は、外周に多数の冷却流体噴射ノズルを有しており、矢印で示すように熱交換室11の内部に冷却流体の一部を噴射するものである。なお、冷却流体噴射部12は、図1では1個だけを、エゼクタ5の下方に設けた例を示したが、複数個の冷却流体噴射部を、エゼクタ5の下方のみならず、上方にも取り付けることができるものである。
【0016】
ロール1の外表面6で図示しない被冷却物を冷却する場合、ロール1を回転させながら、流体ポンプ8を駆動して冷却流体供給管2から冷却流体噴射部12のノズルを介して、ロール1内に冷却流体を供給する。この場合、冷却流体は、ロール1内周面に吹き付けられた後、自重でロール1の下方へ流下することによって、ロール1内周面の全体に冷却水が供給される。
【0017】
冷却流体噴射部12の残余の冷却流体は、エゼクタ5に供給され、吸引部14で吸引力を生じる。この吸引力は、エゼクタ5内を流下する冷却流体の温度によって決定されるために、流体温度を適宜に制御することにより、吸引力を調節することができる。流体温度を100℃以上とすることにより大気圧以上の圧力とし、あるいは、100℃以下の温度とすることにより大気圧以下の減圧状態とすることができる。
【0018】
熱交換室11の内部圧力は、エゼクタ5で発生する圧力とほぼ等しくなる。熱交換室11の内部圧力を大気圧以下の減圧状態とした場合、供給された冷却流体が被冷却物の熱を奪って直ちに蒸発気化することによって、被冷却物は100℃以下の温度に冷却される。
【0019】
熱を奪って気化した蒸気は主にエゼクタ5のパイプ18,19から吸引部14に吸引され、冷却流体と混合されて液体となってタンク7に至る。一方、気化することなく熱交換室11の下部に流下した冷却流体は、更に、管路3からタンク7へと流下する。
【0020】
本実施例においては、タンク7と流体ポンプ8を用いた例を示したが、エゼクタ5に所定温度の冷却流体を供給することができれば、タンク7と流体ポンプ8は必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の冷却ロールの実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0022】
1 ロール
2 冷却流体供給管
3 管路
4 流体排出管
5 エゼクタ
7 タンク
8 流体ポンプ
11 冷却室
12 冷却流体噴射部
14 吸引部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉状の冷却室と、当該冷却室に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続し、冷却室を吸引手段と連通したものにおいて、冷却室を回転自在なロールで形成すると共に、当該ロールの回転軸を垂直方向に配置したことを特徴とする冷却ロール。


【図1】
image rotate