冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法
【課題】コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることが可能な冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供する。
【解決手段】冷却制御システム1は冷凍機10と配管20,40と複数のショウケース30a〜30eと集中管理コントローラ50とからなっており、集中管理コントローラ50は、複数の電磁弁31a〜31eの状態から、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測する。また、集中管理コントローラ50は、コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とし、コンプレッサ11の停止を防止する。
【解決手段】冷却制御システム1は冷凍機10と配管20,40と複数のショウケース30a〜30eと集中管理コントローラ50とからなっており、集中管理コントローラ50は、複数の電磁弁31a〜31eの状態から、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測する。また、集中管理コントローラ50は、コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とし、コンプレッサ11の停止を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台のショウケースと1台の冷凍機とからなる冷凍機システムが知られている。この冷凍機システムでは、全てのショウケースの電磁弁がオフ(閉塞状態)となることにより、冷媒を圧送するコンプレッサが停止してしまう。また、冷凍機システムでは、複数の電磁弁が閉塞動作することにより、冷媒ガスの圧力がアンダーシュートを起こし、冷媒ガスの圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまって、開放状態となる電磁弁が存在するにも拘わらずコンプレッサが停止してしまう。このようにしてコンプレッサが停止してしまうと、コンプレッサの運転及び停止が頻繁に起こる原因となり、エネルギーロスが多くなってしまう。
【0003】
そこで、コンプレッサの停止回数を少なくする冷凍機システムが提案されている。このシステムでは、庫内温度がt1℃以上となったショウケースが存在すると、庫内温度がt2℃(t1℃未満の温度)以下のショウケースを除いて電磁弁を開放し、コンプレッサを運転させる。これにより、庫内温度が高いショウケースのみを冷却する。一方、電磁弁が開放状態であるショウケースについて、庫内温度がt3℃(t2℃未満の温度)以下となると、全ての電磁弁を閉塞状態とし、コンプレッサを一定時間停止させる。但し、一定時間以内であっても庫内温度がt4℃(庫内温度の上限値)以上になった場合には、t1℃以上となった場合と同じ制御をする。このように、この冷凍機システムは、電磁弁の開放及び閉塞と、コンプレッサの運転及び停止を同期させることで、省エネルギー化を図っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−139455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のシステムによれば、コンプレッサの停止回数が未だ充分に少なくなったとは言えず、省エネルギー化についても未だ不十分である。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることが可能な冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷凍制御システムは、複数の冷却対象器と、冷媒を圧送するコンプレッサと、複数の冷却対象器とコンプレッサとを並列の関係で接続する冷媒配管と、各冷却対象器に対してそれぞれ設けられ、コンプレッサにより冷媒配管を経て圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁と、制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラと、を備え、コントローラは、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、停止予測部により予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の冷却制御システムによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0008】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、優先順位決定部は、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げることが好ましい。
【0009】
この冷却制御システムによると、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げるため、1つの制御弁が頻繁に開放状態とされ、1つの冷却対象器の温度が低下してしまう事態を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測し、閉塞及び開放されるタイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することが好ましい。
【0011】
この冷却制御システムによると、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測する。このため、冷却対象器の温度と設定温度との関係に基づいて制御弁の閉塞及び開放タイミングを正確に求めることができる。さらに、正確に求められた閉塞タイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する。このため、コンプレッサが停止するタイミングを予測することができる。
【0012】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することが好ましい。
【0013】
この冷却制御システムによると、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する。このため、制御弁が閉塞動作する直接的な情報から、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することとなり、コンプレッサが停止するタイミングを予測することができる。
【0014】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作する場合、各冷却対象器の冷却負荷に応じて設定された制御弁毎の重みのうち、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測することが好ましい。
【0015】
この冷却制御システムによると、一定時間内に閉塞動作する2以上の制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測する。ここで、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作すると、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサの停止を招く、ところが、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしても、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達しない場合にはコンプレッサは停止しない。このため、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測することで、ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ停止圧力に達してしまうか否かを判断することができ、コンプレッサが停止するタイミングの予測精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、制御弁毎の重みは重み数値であって、停止予測部は、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると予測し、制御弁動作指示部は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とすることにより、開放状態とする制御弁の重み数値を加算値から差し引いた値を、閾値未満とすることが好ましい。
【0017】
この冷却制御システムによると、制御弁毎の重みは重み数値であって、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値の加算値から、コンプレッサの停止を予測するため、コンプレッサの停止予測処理を数値によって簡易に実行することができる。さらに、コンプレッサの停止を防止するために、開放状態とする制御弁の重み数値を差し引いて閾値未満となるかを判断するだけでよく、コンプレッサの停止防止処理を数値によって簡易に実行することができる。
【0018】
また、本発明の冷却制御コントローラは、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラであって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、停止予測部により予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この冷却制御コントローラによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の冷却制御プログラムは、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラに実行させるための冷却制御プログラムであって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、停止予測ステップにおいて予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明の冷却制御プログラムによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0022】
また、本発明の冷却制御方法は、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御方法であって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、停止予測ステップにおいて予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の冷却制御方法によると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
なお、前記コンプレッサが停止するタイミングとは、予測から停止する間も含まれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態に係る冷却制御システムの概略構成図である。図1に示すように、冷却制御システム1は、冷凍機10と、冷媒供給配管20と、冷却対象器である複数のショウケース30と、冷媒排出配管40と、集中管理コントローラ50とを備えている。
【0027】
冷凍機10は、インバータコンプレッサ11(以下、単にコンプレッサ11という)と凝縮器12とを有している。コンプレッサ11は、ガス状の冷媒を圧縮して高温高圧とし、凝縮器12へ送り込むものである。凝縮器12は、高温高圧のガス冷媒を外気と熱交換して凝縮液化させるものである。なお、複数のショウケース30とコンプレッサ11とは冷媒供給配管20と冷媒排出配管40とにより並列の関係で接続される。
【0028】
冷媒供給配管20は、冷凍機10からの冷媒を複数のショウケース30に供給するものであり、第1〜第5分岐配管21a〜21eを有している。第1分岐配管21aは、冷媒を第1ショウケース30aに供給するものであり、第2分岐配管21bは、冷媒を第2ショウケース30bに供給するものである。第3分岐配管21cは、冷媒を第3ショウケース30cに供給するものであり、第4分岐配管21dは、冷媒を第4ショウケース30dに供給するものである。第5分岐配管21eは、冷媒を第5ショウケース30eに供給するものである。
【0029】
複数のショウケース30は、スーパーマーケット等の店舗に設置されケース内の商品等を冷却するものであって、第1〜第5電磁弁(制御弁)31a〜31eと第1〜第5膨張弁32a〜32eと第1〜第5蒸発器33a〜33eと第1〜第5温度センサ34a〜34eとを有している。
【0030】
複数のショウケース30は、それぞれ構成が同じであるため、第1のショウケース30aを例にとって説明する。第1のショウケース30aは、第1電磁弁31aと第1膨張弁32aと第1蒸発器33aと第1温度センサ34aとを有している。
【0031】
第1電磁弁31aは、開放動作及び閉塞動作することにより、コンプレッサ11から冷媒供給配管20を経て圧送される冷媒の第1ショウケース30aへの流入を制御するものである。第1膨張弁32aは、高温高圧の液冷媒を減圧及び膨張させることにより低温低圧の液冷媒とするものである。第1蒸発器33aは、冷媒の供給によって第1ショウケース30a内を冷却するものである。第1温度センサ34aは、第1ショウケース30aの庫内温度を検出し、集中管理コントローラ50に送信するものである。
【0032】
冷媒排出配管40は、複数のショウケース30から排出された冷媒を冷凍機10に送り込むためのものである。集中管理コントローラ50は、冷凍機システム1の全体を制御するものであり、特に、複数の電磁弁31a〜31eを開放動作及び閉塞動作させるものである。
【0033】
図2は、図1に示した集中管理コントローラ50の詳細構成図である。本実施形態において集中管理コントローラ50は、学習を行うようになっており、学習内容に基づいてコンプレッサ11の停止を防止するように、複数の電磁弁31a〜31eを制御する構成となっている。
【0034】
この集中管理コントローラ50は、データ収集部51と、優先順位決定部52と、停止予測部53と、制御弁動作指示部54とを備えている。簡単に説明すると、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測し、制御弁動作指示部54は、コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。例えば、コンプレッサ11は、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときに停止する。ところが、制御弁動作指示部54が少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となることを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。なお、「コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて」とは、コンプレッサ11が停止することを予測してから停止するまでの間も含める。
【0035】
また、コンプレッサ11が停止するタイミングには、優先順位の高い電磁弁31から順に少なくとも1つが開放状態とされる。この優先順位は優先順位決定部52により決定される。優先順位決定部52は、データ収集部51により収集された複数のショウケース30a〜30eの情報に基づいて優先順位を決定する構成となっている。
【0036】
データ収集部51、優先順位決定部52、停止予測部53、及び制御弁動作指示部54の構成について詳細に説明する。データ収集部51は、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度推移及び設定温度の情報、並びに、複数の電磁弁31a〜31eの動作情報を収集するものである。
【0037】
図3は、図2に示したデータ収集部51により収集される情報を示した図である。データ収集部51は、図3(a)に示すような庫内温度の推移及び設定温度の情報を各ショウケース30a〜30e毎に収集し記憶していく。さらに、データ収集部51は、図3(b)に示すような各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号の情報を収集し記憶していく。
【0038】
再度、図2を参照する。優先順位決定部52は、コンプレッサ11が停止するタイミングに開放状態とする電磁弁31の優先順位を決定するものであり、パターン分け部52aを有している。パターン分け部52aは、データ収集部51により収集された、各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号の情報に基づいて、複数の電磁弁31a〜31eをパターン分けするものである。
【0039】
図4は、図2に示したパターン分け部52aが行うパターン分けを説明する図である。パターン分け部52aは、図4に示すように4つのパターンに電磁弁31a〜31eをパターン分けする。具体的にパターン分け部52aは、図4(a)に示すように、運転率R(電磁弁31が一定時間、オンとなる割合)が高く、開放状態の連続時間の平均値Lが高いものを、パターン1とする。また、パターン分け部52aは、運転率Rが高く、開放状態の連続時間の平均値Lが低いものを、パターン2とし(図4(b))、運転率Rが低く、開放状態の連続時間の平均値Lが高いものを、パターン3とする(図4(c))。さらに、パターン分け部52aは、運転率Rが低く、開放状態の連続時間の平均値Lが低いものを、パターン4とする(図4(d))。
【0040】
再度、図2を参照する。優先順位決定部52は、パターン分け部52aによってパターン分けされた電磁弁31a〜31eに対して、優先順位を決定する。具体的に優先順位決定部52は、表1のようにして優先順位を決定する。
【表1】
【0041】
ここで、面積とは図5に示すものである。図5は、図2に示した優先順位決定部52による面積の算出を示す図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、優先順位決定部52は、データ収集部51により収集された庫内温度推移の情報と、設定温度の情報とから、面積を算出する。すなわち、優先順位決定部52は、図5(a)に示すように、庫内温度推移のうち、設定温度を超える部分の積算値A1〜Ai+1,B1〜Bi+1の平均値Aave,Baveを求め、これを面積とする。
【0042】
面積の大小とは、設定温度を超える部分の積算値A1〜Ai+1,B1〜Bi+1の平均値Aave,Baveが面積閾値以上であるか否かに基づいて判断される。例えば、平均値Aaveは面積閾値未満であるため、面積が小とされる。一方、平均値Baveは面積閾値以上であるため、面積が大とされる。
【0043】
なお、パターン4の電磁弁31について優先順位が高くなっている理由は、パターン4の電磁弁31が最も融通性が高いからである。図6(a)及び図6(b)は電磁弁31の融通性を示す図である。コンプレッサ11の停止を防止するためには、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態としなければならない。図6(a)に示すように、パターン4の電磁弁31は、閉塞状態となっている時間が長く、しかも連続開放時間が短い。このため、電磁弁31を開放状態とする時間帯を容易に変更できることから、優先順位が高くなっている。
【0044】
一方、図6(b)に示すように、パターン1の電磁弁31は、開放状態となっている時間が長く、しかも連続開放時間が長い。このため、電磁弁31を開放状態とする時間帯を容易に変更できないこととなり、優先順位が低くなっている。このような理由から、パターン4の電磁弁31について優先順位が高くなっている。
【0045】
さらに、面積が大きい電磁弁31について優先順位が高くなっている理由は、以下の通りである。図6(c)及び図6(d)は面積による優先順位の決定理由を示す図である。図6(c)に示すように面積が大きい電磁弁31では、ショウケース30の庫内温度が低下し難いことを示している。すなわち、面積が大きいということは、庫内温度が設定温度以上となり、冷却を開始したにも拘わらず、庫内温度が大きく上昇することを示しており、冷え難いショウケース30であることを示している。冷え難いショウケース30は、電磁弁31を頻繁に開放状態しても、冷え易いショウケース30よりも冷やしすぎになる可能性が少ない。従って、面積が大きい場合、優先順位は高くなる。
【0046】
なお、優先順位は上記のようにして決定される場合に限らず、以下のようにして決定されてもよい。例えば、優先順位決定部52は、面積の大小に代えて、庫内温度のピーク値の大小から優先順位を決定しても良い。ピーク値が高い場合、ショウケース30は冷え難いと言え、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0047】
また、優先順位決定部52は、設定温度が低いショウケース30についての電磁弁31の優先順位を高くしてもよい。設定温度が低いショウケース30については、設定温度が低い関係上、冷却しすぎになり難く、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0048】
さらに、優先順位決定部52は、庫内体積が大きいショウケース30についての電磁弁31の優先順位を高くしてもよい。庫内体積が大きいショウケース30については、冷却に時間が掛かり、冷やしすぎになり難く、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0049】
再度、図2を参照する。停止予測部53は、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測するものである。コンプレッサ11は、全てのショウケース30の電磁弁31a〜31eが閉塞状態となることにより停止する。また、コンプレッサ11は、複数の電磁弁31a〜31eのうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作すると停止してしまう場合がある。後者について詳細に説明する。
【0050】
図7は、複数の電磁弁のうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作する場合にコンプレッサ11が停止してしまう様子を示す図であり、(a)〜(d)は順次電磁弁が閉塞動作する例を示し、(e)〜(h)は一定時間内に一斉に閉塞動作する例を示している。なお、図7では、電磁弁31が4つである場合を例に説明する。
【0051】
図7(a)に示すように、時刻t1において1つの電磁弁31がオフ(閉塞動作)し、時刻t2において他の1つの電磁弁31がオフし、時刻t3においてさらに1つの電磁弁31がオフしたとする。なお、残り1つの電磁弁31は開放状態のままである。
【0052】
この場合、図7(b)に示すように冷凍機10への負荷は順次小さくなっていく。また、冷媒ガスの圧力は、図7(c)に示すように、時刻t1において一旦低下するが、その後目標圧力まで復帰する。同様に、時刻t2及び時刻t3においても、ガス圧力は一旦低下した後に目標圧力まで復帰する。このため、図7(d)に示すように、コンプレッサ周波数は「0」とならずにコンプレッサ11は停止しない。このように、順次電磁弁31が閉塞駆動すると、コンプレッサ11は停止しないこととなる。
【0053】
一方、図7(e)に示すように、時刻t4において3つの電磁弁31が一斉にオフしたとする。なお、残り1つの電磁弁31は開放状態のままである。この場合、図7(f)に示すように冷凍機10への負荷は一気に小さくなる。そして、冷媒ガスの圧力は、図7(g)に示すように、時刻t4においてアンダーシュートを起こし、時刻t5においてコンプレッサ停止圧力以下となってしまう。このため、図7(h)に示すように、コンプレッサ周波数は時刻t5において「0」となり、コンプレッサ11は停止してしまう。その後、コンプレッサ11はガス圧力が目標値を有意に超えた時刻t6において運転を開始することとなる。このように、電磁弁31が一斉に閉塞動作すると、コンプレッサ11は停止し、その後運転を開始することから、エネルギーロスが多くなってしまう。
【0054】
なお、図7(e)に示すように2つ以上の電磁弁31が同時に閉塞動作する場合のみにコンプレッサ11が停止するわけではなく、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に一斉に閉塞動作してもコンプレッサは停止する。すなわち、一定時間とは、2つ以上の電磁弁31が閉塞動作したときにガス圧力のアンダーシュートを起こし得るだけの時間である。
【0055】
以上のように、コンプレッサ11は、全てのショウケース30a〜30eの電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合、及び、複数の電磁弁31a〜31eのうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作してガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまう場合に停止してしまう。このため、図2に示す停止予測部53は、複数の電磁弁31a〜31eについての将来の動作を予測して、コンプレッサ11の停止を予測する。
【0056】
図8は、図2に示した停止予測部53による電磁弁31の動作予測を説明する図である。停止予測部53は、図8に示すように、時刻0〜t7において庫内温度が徐々に低下しているとする。この場合、停止予測部53は、庫内温度の低下傾向から、時刻t8において電磁弁31が閉塞動作すると判断する。このように、停止予測部53は、各ショウケース30a〜30eの庫内温度推移と設定温度とから、各電磁弁31a〜31eが閉塞されるタイミングを予測する。そして、停止予測部53は、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となる場合、及び、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作する場合を予測し、コンプレッサ11の停止を判断する。
【0057】
ここで、集中管理コントローラ50は、さらに周期記憶部55を備えている。周期記憶部55は、複数の電磁弁31a〜31eが閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報をデータ収集部51から読み込み記憶するものである。周期記憶部55を備えるため、停止予測部53は、周期記憶部55により記憶される周期の情報に基づいてコンプレッサ11が停止するタイミングを予測してもよい。
【0058】
図9は、図2に示した停止予測部53による電磁弁31の動作予測を説明する第2の図である。例えば、図9に示すように、停止予測部53は時刻t9までの周期の情報から、時刻t10において電磁弁31が開放動作し、時刻t11において電磁弁31が閉塞動作すると予測する。そして、停止予測部53は、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となる場合、及び、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作する場合を予測し、コンプレッサ11の停止を判断する。
【0059】
再度、図2を参照する。制御弁動作指示部54は、停止予測部53により予測されたコンプレッサ11が停止するタイミングに、優先順位決定部52により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とするものである。少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となることを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。また、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作して発生する圧力のアンダーシュートによる影響を減じることができる。このため、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。
【0060】
ここで、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作しても、必ずコンプレッサが停止するとは限らない。そこで、停止予測部53は、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作してコンプレッサが停止するか否かを判断しなければならない。この場合、停止予測部53は電磁弁31a〜31e毎の重みから、コンプレッサの停止を判断することが望ましい。
【0061】
図2に示すように、集中管理コントローラ50は、重み設定部56を有している。重み設定部56は、各ショウケース30a〜30eの設定温度(冷却負荷)に応じて電磁弁31a〜31e毎の重みを設定するものである。この重みは、表2に示すように、重み数値として設定される。
【表2】
【0062】
停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると判断する。例えば、一定時間内に設定温度5℃〜7℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が閉塞動作する場合、加算値は「12」となる。閾値が「10」である場合、加算値は閾値以上となるため、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止すると判断する。なお、コンプレッサ11が停止する判断として、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算するだけでなく、その一定時間内に開放動作する電磁弁31があれば、その重み数値を前記加算値から差し引くことが望ましい。
【0063】
また、制御弁動作指示部54は、一定時間内に2つ以上の電磁弁31が閉塞動作する場合、圧力のアンダーシュートによる影響を減じて、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを防止しなければならない。この場合、制御弁動作指示部54は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。このとき、制御弁動作指示部54は、開放状態とする電磁弁31の重み数値を加算値から差し引いた値が閾値未満となるように制御する。
【0064】
例えば、設定温度9℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が優先順位「1」であり、設定温度8℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が優先順位「2」であり、加算値が「12」であるとする。この場合、優先順位「1」である電磁弁31を開放動作さても加算値から「1」を差し引いた値は「11」である。このため、制御弁動作指示部54は、設定温度9℃のショウケース30に設けられる電磁弁31及び設定温度8℃のショウケース30に設けられる電磁弁31の双方を開放動作させる。これにより、加算値から「3」を差し引くこととなり、得られた値は閾値未満となる。
【0065】
以上のようにして、制御弁動作指示部54は、アンダーシュートによる影響を減じて、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを防止する。なお、一定時間内に設定温度5℃〜7℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が閉塞動作する場合であって、設定温度5℃のショウケース30に設けられる電磁弁31の優先順位が「1」である場合には、設定温度5℃のショウケース30に設けられる電磁弁31を閉塞動作させず、開放状態を維持することによって、アンダーシュートによる影響を減じるようにしてもよい。
【0066】
さらに、閉塞動作する電磁弁31の重み数値もしくは重み数値の加算値が閾値以上となった場合において、重み数値もしくは重み数値の加算値が閾値付近である場合と、そうでない場合とでは、コンプレッサ11が停止するタイミングが異なってくる。すなわち、重み数値もしくは重み数値の加算値が大きい場合は、そうでない場合に比べてコンプレッサ11が停止するタイミングが早くなってくる。このため、制御弁動作指示部54は、重み数値もしくは重み数値の加算値が大きい場合、そうでない場合に比べて、早めに電磁弁31を開放動作させるようにすることが望ましい。これによって、開放動作させるタイミングが遅くなりコンプレッサ11が停止してしまう事態を防止することができるからである。
【0067】
次に、冷却制御システム1によるコンプレッサ11の停止が防止される様子を説明する。図10は、図2に示した制御弁動作指示部54によってコンプレッサ11の停止が防止される様子を示す図である。従来では、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻t10〜t11において、コンプレッサ11は停止してしまう。ところが、本実施形態において第5電磁弁31eの優先順位「1」である場合、集中管理コントローラ50は、第5ショウケース30eの第5電磁弁31eを開放動作のタイミングをずらす。これにより、冷却制御システム1は、コンプレッサ11の停止を防止する。なお、集中管理コントローラ50は、時刻t12に閉塞動作するはずの第5電磁弁31eについて、開放時間を時刻t11まで延長し、コンプレッサ11の停止を防止してもよい。
【0068】
図11は、図2に示した制御弁動作指示部54によってコンプレッサ11の停止が防止される様子を示す第2の図である。従来では、複数の電磁弁31a〜31eのうち、2つ以上の電磁弁31が一定時間(時刻t13〜t14)内に閉塞動作する場合、コンプレッサ11は停止してしまう。ところが、本実施形態において第3電磁弁31cの優先順位「1」である場合、集中管理コントローラ50は、第3ショウケース30cの第3電磁弁31cについて開放時間を延長する。これにより、冷却制御システム1は、コンプレッサ11の停止を防止する。なお、集中管理コントローラ50は、時刻t15に開放動作するはずの第3電磁弁31cについて、開放動作を時刻t14までずらすことにより、コンプレッサ11の停止を防止してもよい。
【0069】
なお、上記では開放動作又は開放時間を延長させる電磁弁31を優先順位に基づいて決定したが、これに限らず、重み数値に基づいて開放動作又は開放時間を延長させる電磁弁31を決定してもよい。すなわち、制御弁動作指示部54は、重み数値が最も高い電磁弁31について開放動作又は開放時間を延長させるようにしてもよい。この場合、重み設定部56が優先順位決定部52として機能することとなる。
【0070】
次に、本実施形態に係る冷却制御方法を説明する。図12は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、学習処理及び重み設定処理の詳細を示している。図12に示すように、まず、データ収集部51は、複数の電磁弁31a〜31eのオンオフ信号、並びに、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度推移及び設定温度について、一定期間データ収集する(ステップS1)。
【0071】
次に、優先順位決定部52は、各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号に基づいて、各ショウケース30a〜30eの平均運転率R及び平均連続開放時間Lを算出する(ステップS2)。その後、パターン分け部52aは、複数のショウケース30a〜30eのうち1つを選択する(ステップS3)。そして、パターン分け部52aは、ステップ3において選択したショウケース30の平均運転率Rが運転率閾値R1以上であるか否かを判断する(ステップS4)。
【0072】
平均運転率Rが運転率閾値R1以上であると判断した場合(ステップS4:YES)、パターン分け部52aは、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であるか否かを判断する(ステップS5)。平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であると判断した場合(ステップS5:YES)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン1に決定する(ステップS6)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0073】
一方、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上でないと判断した場合(ステップS5:NO)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン2に決定する(ステップS7)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0074】
また、平均運転率Rが運転率閾値R1以上でないと判断した場合(ステップS4:NO)、パターン分け部52aは、ステップS5と同様に、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であるか否かを判断する(ステップS8)。
【0075】
平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であると判断した場合(ステップS8:YES)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン3に決定する(ステップS9)。そして、処理はステップS11に移行する。一方、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上でないと判断した場合(ステップS8:NO)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン4に決定する(ステップS10)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0076】
ステップS11において、優先順位決定部52は、図5を参照して説明したようにして、設定温度を超える部分の平均面積を算出する(ステップS11)。その後、優先順位決定部52は、平均面積が面積閾値以上であるか否かを判断する(ステップS12)。平均面積が面積閾値以上であると判断した場合(ステップS12:YES)、優先順位決定部52は、選択したショウケース30の電磁弁31について面積を「大」に設定する(ステップS13)。そして、処理はステップS15に移行する。
【0077】
一方、平均面積が面積閾値以上でないと判断した場合(ステップS12:NO)、優先順位決定部52は、選択したショウケース30の電磁弁31について面積を「小」に設定する(ステップS14)。そして、処理はステップS15に移行する。
【0078】
ステップS15において優先順位決定部52は、全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行したか否かを判断する(ステップS15)。全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行していないと判断した場合(ステップS15:NO)、処理はステップS3に移行し、選択されていないショウケース30がステップS3において選択されることとなる。
【0079】
一方、全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行したと判断した場合(ステップS15:YES)、優先順位決定部52は、ステップS6、ステップS7、ステップS9及びステップS10において決定したパターンの情報と、ステップS13及びステップS14において決定した面積の大小情報とから、複数の電磁弁31a〜31eそれぞれに対して優先順位を決定する(ステップS16)。
【0080】
その後、重み設定部56は、各ショウケース30a〜30eの設定温度の情報に基づいて、重み数値を設定する(ステップS17)。その後、図12に示す処理は終了する、なお、図12に示す処理は、冷却制御システム1の使用開始時から一定期間経過するまでの期間のみに実行されてもよいし、常時実行されてもよい。
【0081】
次に、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を、フローチャートを参照して説明する。なお、以下のフローチャートにおいて、既に開放状態である電磁弁31を開放動作させるということは、電磁弁31の開放時間の延長になることから、開放時間の延長する処理についてはフローチャートには明確に図示しないものとした。
【0082】
図13及び図14は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁31a〜31eの制御処理の詳細を示している。図13に示すように、停止予測部53は、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度情報及び設定温度情報を収集する(ステップS21)。
【0083】
次いで、停止予測部53は、複数のショウケース30a〜30eのそれぞれについて、時刻ta〜時刻tb間の庫内温度推移と設定温度との情報から、時刻tcのときの各電磁弁31a〜31eの状態を予測する(ステップS22)。
【0084】
なお、停止予測部53は、ステップS21〜ステップS22の処理に代えて、以下の処理を行ってもよい。すなわち、停止予測部53は、周期記憶部55から複数の電磁弁31a〜31eのオンオフ周期の情報を読み込み、オンオフ周期の情報から、時刻tcのときの各電磁弁31a〜31eの状態を予測してもよい。また、停止予測部53は、オンオフ周期の情報と差温の情報との双方を用い、例えば一方の結果でもう一方を補完し、精度を上げてもよい。
【0085】
次に、停止予測部53は、時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態となるか否かを判断する(ステップS23)。時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態となると判断した場合(ステップS23:YES)、制御弁動作指示部54は、優先順位が最も高い電磁弁31を選択し、且つ、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態になると予測される電磁弁31の重み数値Dの情報を、重み設定部56から読み込む(ステップS24)。そして、処理はステップS29に移行する。
【0086】
一方、時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態とならないと判断した場合(ステップS23:NO)、停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在するか否かを判断する(ステップS25)。一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在しないと判断した場合(ステップS25:NO)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止しないと判断し、図13及び図14に示す処理は終了する。
【0087】
一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在すると判断した場合(ステップS25:YES)、停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算し、加算値Dsumを算出する(ステップS26)。その後、停止予測部53は、加算値Dsumが閾値U以上となるか否かを判断する(ステップS27)。
【0088】
加算値Dsumが閾値U以上とならないと判断した場合(ステップS27:NO)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止しないと判断し、図13及び図14に示す処理は終了する。一方、加算値Dsumが閾値U以上となると判断した場合(ステップS27:YES)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止すると判断し、処理はステップS28に移行する。なお、複数の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作し、重み数値の加算値Dsumが閾値U以上となる場合であっても、その一定時間内に他の電磁弁31が開放動作する場合がある。この場合、停止予測部53は、加算値Dsumから開放動作する電磁弁31の重み数値を差し引き、差し引き後の値と閾値Uとを比較する。そして、停止予測部53は、差し引き後の値が閾値U以上とならないと判断した場合、コンプレッサ11が停止しないと判断し、差し引き後の値が閾値U以上となると判断した場合、コンプレッサ11が停止すると判断する。
【0089】
ステップS28において、制御弁動作指示部54は、Dsum−Doff→on<Uとなるように、閉塞状態である電磁弁31のうち、優先順位が最も高い電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS28)。ここで、Doff→onは、閉塞状態から開放動作させられる電磁弁31の重み数値(複数の電磁弁31が開放動作させられる場合には、重み数値の加算値)である。その後、処理はステップS29に移行する。
【0090】
ステップS29において、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値D又はステップS26において演算した加算値Dsumが、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS29)。なお、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dと比較される所定値と、ステップS26において演算した加算値Dsumと比較される所定値とは異なる値である。
【0091】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上である場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上である場合、コンプレッサ11が早期に停止してしまうといえる。例えば、加算値Dsumが大きい場合、ガス圧力は目標圧力からコンプレッサ停止圧力まで急速に低下してしまうため、コンプレッサ11は早期に停止してしまう。
【0092】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上であると判断した場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上であると判断した場合(ステップS29:YES)、制御弁動作指示部54は、選択した電磁弁31を早めに開放動作させるように設定する。すなわち、制御弁動作指示部54は、時刻tcにおいて全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻tc(すなわちコンプレッサが停止するタイミング)以前の時刻tdに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS29)。又は、制御弁動作指示部54は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31のうち、最初に閉塞動作する予定の電磁弁31が閉塞する時刻te以前の時刻tfに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS30)。そして、処理はステップS32に移行する。これにより、コンプレッサ11が停止する前に、特定の電磁弁31を適切に開放動作させるようにしている。
【0093】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上でない場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上でない場合、コンプレッサ11は、前述の場合よりも、遅めに停止することとなる。このため、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上でないと判断した場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上でないと判断した場合(ステップS29:NO)、制御弁動作指示部54は、時刻tcにおいて全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻tc(すなわちコンプレッサが停止するタイミング)に、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS31)。又は、制御弁動作指示部54は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31のうち、最初に閉塞動作する予定の電磁弁31が閉塞する時刻teに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS31)。そして、処理はステップS33に移行する。
【0094】
ステップS33において制御弁動作指示部54は、ステップS30又はステップS31において設定した電磁弁31を開放させるタイミング(開放タイミング)であるか否かを判断する(ステップS32)。開放タイミングでないと判断した場合(ステップS32:NO)、開放タイミングであると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、開放タイミングであると判断した場合(ステップS32:YES)、制御弁動作指示部54は、ステップS24又はステップS28において選択した電磁弁31を開放動作させる(ステップS33)。
【0095】
その後、制御弁動作指示部54は、開放動作させる電磁弁31にフラグを設定する(ステップS34)。そして、集中管理コントローラ50は、ステップS34においてフラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがあるか否かを判断する(図14:ステップS35)。フラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがないと判断した場合(ステップS35:NO)、開放動作するものがあると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0096】
一方、フラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがあると判断した場合(ステップS35:YES)、制御弁動作指示部54は、フラグ設定された電磁弁31を閉塞動作させる(ステップS36)。そして、集中管理コントローラ50は、フラグを消去する(ステップS37)。その後、図13及び図14に示す処理は終了する。なお、図13及び図14に示す処理は冷却制御システム1の電源がオフされるまで、繰り返し実行される。また、ステップS23において全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合であっても、一定時間内に一斉に閉塞動作する電磁弁31が存在することがある。このような場合、ステップS23において「YES」と判断されても、処理はステップS25に移行してもよい。
【0097】
図15は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示す第2のフローチャートであり、電磁弁31a〜31eの制御処理の詳細を示している。集中管理コントローラ50は、図13に示す処理に代えて、図15に示す処理を実行してもよい。図15に示す処理では重み数値をそのまま優先順位とし、各電磁弁31a〜31eの重み数値を基準にして、コンプレッサ11の停止を防止するものである。このため、図15に示す処理では重み設定部56が優先順位決定部52として機能することとなる。なお、図15に示すステップS41〜ステップS43,S45〜S47,ステップS49〜S54の処理は、図13に示すステップS21〜ステップS23,S25〜S27,ステップS29〜S34の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
ステップS44において、制御弁動作指示部54は、重み数値が大きい電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS44)。また、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dの情報を、重み設定部56から読み込む。そして、処理はステップS49に移行する。
【0099】
また、ステップS48において、制御弁動作指示部54は、Dsum−Doff→on<Uとなるように、重み数値が大きい電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS48)。その後、処理はステップS49に移行する。
【0100】
なお、図15に示す処理は冷却制御システム1の電源がオフされるまで、繰り返し実行される。また、ステップS43において全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合であっても、一定時間内に一斉に閉塞動作する電磁弁31が存在することがある。このような場合、ステップS43において「YES」と判断されても、処理はステップS45に移行してもよい。
【0101】
このようにして、本実施形態によれば、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測し、コンプレッサ11が停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。このため、電磁弁31の閉塞によってコンプレッサ11が停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサ11の停止回数を減少させ、省エネルギー化を図ることができる。
【0102】
また、コンプレッサ11が停止するタイミングに開放状態とされた電磁弁31の優先順位を下げるため、1つの電磁弁31が頻繁に開放状態とされ、1つのショウケース30の温度が低下してしまう事態を抑制することができる。
【0103】
また、各ショウケース30a〜30eの庫内温度推移と設定温度とから、電磁弁31が閉塞されるタイミングを予測する。このため、ショウケース30a〜30eの庫内温度と設定温度との関係に基づいて各電磁弁31a〜31eの閉塞タイミングを正確に求めることができる。さらに、正確に求められた閉塞タイミングの情報に基づいて、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測する。このため、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することができる。
【0104】
また、複数の電磁弁31a〜31eが閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測する。このため、各電磁弁31a〜31eが閉塞動作する直接的な情報から、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測することとなり、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することができる。
【0105】
また、一定時間内に閉塞動作する2以上の電磁弁31の重みから、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測する。ここで、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作すると、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ11の停止を招く、ところが、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしても、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達しない場合にはコンプレッサ11は停止しない。このため、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重みから、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することで、ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ停止圧力に達してしまうか否かを判断することができ、コンプレッサ11が停止するタイミングの予測精度を向上させることができる。
【0106】
また、電磁弁31毎の重みは重み数値あって、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値の加算値から、コンプレッサ11の停止を予測するため、コンプレッサ11の停止予測処理を数値によって簡易に実行することができる。さらに、コンプレッサ11の停止を防止するために、開放状態とする電磁弁31の重み数値を差し引いて閾値未満となるかを判断するだけでよく、コンプレッサ11の停止防止処理を数値によって簡易に実行することができる。
【0107】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態では、電磁弁31a〜31eはショウケース30a〜30e内に設けられていたが、これに限らず、分岐配管21a〜21eに設けられていてもよい。
【0108】
さらに、上記実施形態では、冷却対象器がショウケース30a〜30eである場合を例に説明したが、これに限らず、冷却制御システム1がエアコン制御システムなどに適用され、冷却対象器が室内となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態に係る冷却制御システムの概略構成図である。
【図2】図1に示した集中管理コントローラの詳細構成図である。
【図3】図2に示したデータ収集部により収集される情報を示した図であり、(a)は庫内温度推移の情報及び設定温度の情報を示し、(b)は電磁弁のオンオフ周期の情報を示している。
【図4】図2に示したパターン分け部が行うパターン分けを説明する図であり、(a)はパターン1の例を示し、(b)はパターン2の例を示し、(c)はパターン3の例を示し、(d)はパターン4の例を示している。
【図5】図2に示した優先順位決定部による面積の算出を示す図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示している。
【図6】電磁弁の融通性及び優先順位の決定理由を示す図であり、(a)及び(b)は電磁弁の融通性を示し、(c)及び(d)は面積による優先順位の決定理由を示す図である。
【図7】複数の電磁弁のうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作する場合にコンプレッサが停止してしまう様子を示す図であり、(a)〜(d)は順次電磁弁が閉塞動作する例を示し、(e)〜(h)は一定時間内に一斉に閉塞動作する例を示している。
【図8】図2に示した停止予測部による電磁弁の動作予測を説明する図である。
【図9】図2に示した停止予測部による電磁弁の動作予測を説明する第2の図である。
【図10】図2に示した動作指示部によってコンプレッサの停止が防止される様子を示す図であり、(a)はコンプレッサ周波数を示し、(b)は第1ショウケースの電磁弁の状態を示し、(c)は第2ショウケースの電磁弁の状態を示し、(d)は第3ショウケースの電磁弁の状態を示し、(e)は第4ショウケースの電磁弁の状態を示し、(f)は第5ショウケースの電磁弁の状態を示している。
【図11】図2に示した動作指示部によってコンプレッサの停止が防止される様子を示す第2の図であり、(a)はコンプレッサ周波数を示し、(b)は第1ショウケースの電磁弁の状態を示し、(c)は第2ショウケースの電磁弁の状態を示し、(d)は第3ショウケースの電磁弁の状態を示し、(e)は第4ショウケースの電磁弁の状態を示し、(f)は第5ショウケースの電磁弁の状態を示している。
【図12】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、学習処理及び重み設定処理の詳細を示している。
【図13】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁の制御処理の前半部分の詳細を示している。
【図14】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁の制御処理の後半部分の詳細を示している。
【図15】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示す第2のフローチャートであり、電磁弁の制御処理の前半部分の詳細を示している。
【符号の説明】
【0110】
1…冷却制御システム
10…冷凍機
11…コンプレッサ
12…凝縮器
20…冷媒供給配管(冷媒配管)
21a〜21e…分岐配管
30…ショウケース(冷却対象器)
31a〜31e…電磁弁(制御弁)
32a〜32e…膨張弁
33a〜33e…蒸発器
40…冷媒排出配管(冷媒配管)
50…集中管理コントローラ(冷却制御コントローラ)
51…データ収集部
52…優先順位決定部
52a…パターン分け部
53…停止予測部
54…制御弁動作指示部
55…周期記憶部
56…重み設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台のショウケースと1台の冷凍機とからなる冷凍機システムが知られている。この冷凍機システムでは、全てのショウケースの電磁弁がオフ(閉塞状態)となることにより、冷媒を圧送するコンプレッサが停止してしまう。また、冷凍機システムでは、複数の電磁弁が閉塞動作することにより、冷媒ガスの圧力がアンダーシュートを起こし、冷媒ガスの圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまって、開放状態となる電磁弁が存在するにも拘わらずコンプレッサが停止してしまう。このようにしてコンプレッサが停止してしまうと、コンプレッサの運転及び停止が頻繁に起こる原因となり、エネルギーロスが多くなってしまう。
【0003】
そこで、コンプレッサの停止回数を少なくする冷凍機システムが提案されている。このシステムでは、庫内温度がt1℃以上となったショウケースが存在すると、庫内温度がt2℃(t1℃未満の温度)以下のショウケースを除いて電磁弁を開放し、コンプレッサを運転させる。これにより、庫内温度が高いショウケースのみを冷却する。一方、電磁弁が開放状態であるショウケースについて、庫内温度がt3℃(t2℃未満の温度)以下となると、全ての電磁弁を閉塞状態とし、コンプレッサを一定時間停止させる。但し、一定時間以内であっても庫内温度がt4℃(庫内温度の上限値)以上になった場合には、t1℃以上となった場合と同じ制御をする。このように、この冷凍機システムは、電磁弁の開放及び閉塞と、コンプレッサの運転及び停止を同期させることで、省エネルギー化を図っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−139455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のシステムによれば、コンプレッサの停止回数が未だ充分に少なくなったとは言えず、省エネルギー化についても未だ不十分である。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることが可能な冷却制御システム、冷却制御コントローラ、冷却制御プログラム及び冷却制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷凍制御システムは、複数の冷却対象器と、冷媒を圧送するコンプレッサと、複数の冷却対象器とコンプレッサとを並列の関係で接続する冷媒配管と、各冷却対象器に対してそれぞれ設けられ、コンプレッサにより冷媒配管を経て圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁と、制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラと、を備え、コントローラは、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、停止予測部により予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の冷却制御システムによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0008】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、優先順位決定部は、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げることが好ましい。
【0009】
この冷却制御システムによると、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げるため、1つの制御弁が頻繁に開放状態とされ、1つの冷却対象器の温度が低下してしまう事態を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測し、閉塞及び開放されるタイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することが好ましい。
【0011】
この冷却制御システムによると、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測する。このため、冷却対象器の温度と設定温度との関係に基づいて制御弁の閉塞及び開放タイミングを正確に求めることができる。さらに、正確に求められた閉塞タイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する。このため、コンプレッサが停止するタイミングを予測することができる。
【0012】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することが好ましい。
【0013】
この冷却制御システムによると、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する。このため、制御弁が閉塞動作する直接的な情報から、全ての制御弁が閉塞状態となるときや、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測することとなり、コンプレッサが停止するタイミングを予測することができる。
【0014】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、停止予測部は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作する場合、各冷却対象器の冷却負荷に応じて設定された制御弁毎の重みのうち、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測することが好ましい。
【0015】
この冷却制御システムによると、一定時間内に閉塞動作する2以上の制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測する。ここで、2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作すると、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサの停止を招く、ところが、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしても、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達しない場合にはコンプレッサは停止しない。このため、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測することで、ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ停止圧力に達してしまうか否かを判断することができ、コンプレッサが停止するタイミングの予測精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の冷却制御システムにおいて、制御弁毎の重みは重み数値であって、停止予測部は、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると予測し、制御弁動作指示部は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とすることにより、開放状態とする制御弁の重み数値を加算値から差し引いた値を、閾値未満とすることが好ましい。
【0017】
この冷却制御システムによると、制御弁毎の重みは重み数値であって、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値の加算値から、コンプレッサの停止を予測するため、コンプレッサの停止予測処理を数値によって簡易に実行することができる。さらに、コンプレッサの停止を防止するために、開放状態とする制御弁の重み数値を差し引いて閾値未満となるかを判断するだけでよく、コンプレッサの停止防止処理を数値によって簡易に実行することができる。
【0018】
また、本発明の冷却制御コントローラは、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラであって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、停止予測部により予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この冷却制御コントローラによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の冷却制御プログラムは、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラに実行させるための冷却制御プログラムであって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、停止予測ステップにおいて予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明の冷却制御プログラムによると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0022】
また、本発明の冷却制御方法は、複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御方法であって、コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、複数の冷却対象器の情報に基づいて、コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、停止予測ステップにおいて予測されたコンプレッサが停止するタイミングに、優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の冷却制御方法によると、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサが停止するタイミングを予測し、コンプレッサが停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする。このため、制御弁の閉塞によってコンプレッサが停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
なお、前記コンプレッサが停止するタイミングとは、予測から停止する間も含まれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、コンプレッサの停止回数をさらに減少させ、又はコンプレッサを停止させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態に係る冷却制御システムの概略構成図である。図1に示すように、冷却制御システム1は、冷凍機10と、冷媒供給配管20と、冷却対象器である複数のショウケース30と、冷媒排出配管40と、集中管理コントローラ50とを備えている。
【0027】
冷凍機10は、インバータコンプレッサ11(以下、単にコンプレッサ11という)と凝縮器12とを有している。コンプレッサ11は、ガス状の冷媒を圧縮して高温高圧とし、凝縮器12へ送り込むものである。凝縮器12は、高温高圧のガス冷媒を外気と熱交換して凝縮液化させるものである。なお、複数のショウケース30とコンプレッサ11とは冷媒供給配管20と冷媒排出配管40とにより並列の関係で接続される。
【0028】
冷媒供給配管20は、冷凍機10からの冷媒を複数のショウケース30に供給するものであり、第1〜第5分岐配管21a〜21eを有している。第1分岐配管21aは、冷媒を第1ショウケース30aに供給するものであり、第2分岐配管21bは、冷媒を第2ショウケース30bに供給するものである。第3分岐配管21cは、冷媒を第3ショウケース30cに供給するものであり、第4分岐配管21dは、冷媒を第4ショウケース30dに供給するものである。第5分岐配管21eは、冷媒を第5ショウケース30eに供給するものである。
【0029】
複数のショウケース30は、スーパーマーケット等の店舗に設置されケース内の商品等を冷却するものであって、第1〜第5電磁弁(制御弁)31a〜31eと第1〜第5膨張弁32a〜32eと第1〜第5蒸発器33a〜33eと第1〜第5温度センサ34a〜34eとを有している。
【0030】
複数のショウケース30は、それぞれ構成が同じであるため、第1のショウケース30aを例にとって説明する。第1のショウケース30aは、第1電磁弁31aと第1膨張弁32aと第1蒸発器33aと第1温度センサ34aとを有している。
【0031】
第1電磁弁31aは、開放動作及び閉塞動作することにより、コンプレッサ11から冷媒供給配管20を経て圧送される冷媒の第1ショウケース30aへの流入を制御するものである。第1膨張弁32aは、高温高圧の液冷媒を減圧及び膨張させることにより低温低圧の液冷媒とするものである。第1蒸発器33aは、冷媒の供給によって第1ショウケース30a内を冷却するものである。第1温度センサ34aは、第1ショウケース30aの庫内温度を検出し、集中管理コントローラ50に送信するものである。
【0032】
冷媒排出配管40は、複数のショウケース30から排出された冷媒を冷凍機10に送り込むためのものである。集中管理コントローラ50は、冷凍機システム1の全体を制御するものであり、特に、複数の電磁弁31a〜31eを開放動作及び閉塞動作させるものである。
【0033】
図2は、図1に示した集中管理コントローラ50の詳細構成図である。本実施形態において集中管理コントローラ50は、学習を行うようになっており、学習内容に基づいてコンプレッサ11の停止を防止するように、複数の電磁弁31a〜31eを制御する構成となっている。
【0034】
この集中管理コントローラ50は、データ収集部51と、優先順位決定部52と、停止予測部53と、制御弁動作指示部54とを備えている。簡単に説明すると、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測し、制御弁動作指示部54は、コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。例えば、コンプレッサ11は、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときに停止する。ところが、制御弁動作指示部54が少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となることを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。なお、「コンプレッサ11が停止するタイミングにおいて」とは、コンプレッサ11が停止することを予測してから停止するまでの間も含める。
【0035】
また、コンプレッサ11が停止するタイミングには、優先順位の高い電磁弁31から順に少なくとも1つが開放状態とされる。この優先順位は優先順位決定部52により決定される。優先順位決定部52は、データ収集部51により収集された複数のショウケース30a〜30eの情報に基づいて優先順位を決定する構成となっている。
【0036】
データ収集部51、優先順位決定部52、停止予測部53、及び制御弁動作指示部54の構成について詳細に説明する。データ収集部51は、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度推移及び設定温度の情報、並びに、複数の電磁弁31a〜31eの動作情報を収集するものである。
【0037】
図3は、図2に示したデータ収集部51により収集される情報を示した図である。データ収集部51は、図3(a)に示すような庫内温度の推移及び設定温度の情報を各ショウケース30a〜30e毎に収集し記憶していく。さらに、データ収集部51は、図3(b)に示すような各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号の情報を収集し記憶していく。
【0038】
再度、図2を参照する。優先順位決定部52は、コンプレッサ11が停止するタイミングに開放状態とする電磁弁31の優先順位を決定するものであり、パターン分け部52aを有している。パターン分け部52aは、データ収集部51により収集された、各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号の情報に基づいて、複数の電磁弁31a〜31eをパターン分けするものである。
【0039】
図4は、図2に示したパターン分け部52aが行うパターン分けを説明する図である。パターン分け部52aは、図4に示すように4つのパターンに電磁弁31a〜31eをパターン分けする。具体的にパターン分け部52aは、図4(a)に示すように、運転率R(電磁弁31が一定時間、オンとなる割合)が高く、開放状態の連続時間の平均値Lが高いものを、パターン1とする。また、パターン分け部52aは、運転率Rが高く、開放状態の連続時間の平均値Lが低いものを、パターン2とし(図4(b))、運転率Rが低く、開放状態の連続時間の平均値Lが高いものを、パターン3とする(図4(c))。さらに、パターン分け部52aは、運転率Rが低く、開放状態の連続時間の平均値Lが低いものを、パターン4とする(図4(d))。
【0040】
再度、図2を参照する。優先順位決定部52は、パターン分け部52aによってパターン分けされた電磁弁31a〜31eに対して、優先順位を決定する。具体的に優先順位決定部52は、表1のようにして優先順位を決定する。
【表1】
【0041】
ここで、面積とは図5に示すものである。図5は、図2に示した優先順位決定部52による面積の算出を示す図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、優先順位決定部52は、データ収集部51により収集された庫内温度推移の情報と、設定温度の情報とから、面積を算出する。すなわち、優先順位決定部52は、図5(a)に示すように、庫内温度推移のうち、設定温度を超える部分の積算値A1〜Ai+1,B1〜Bi+1の平均値Aave,Baveを求め、これを面積とする。
【0042】
面積の大小とは、設定温度を超える部分の積算値A1〜Ai+1,B1〜Bi+1の平均値Aave,Baveが面積閾値以上であるか否かに基づいて判断される。例えば、平均値Aaveは面積閾値未満であるため、面積が小とされる。一方、平均値Baveは面積閾値以上であるため、面積が大とされる。
【0043】
なお、パターン4の電磁弁31について優先順位が高くなっている理由は、パターン4の電磁弁31が最も融通性が高いからである。図6(a)及び図6(b)は電磁弁31の融通性を示す図である。コンプレッサ11の停止を防止するためには、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態としなければならない。図6(a)に示すように、パターン4の電磁弁31は、閉塞状態となっている時間が長く、しかも連続開放時間が短い。このため、電磁弁31を開放状態とする時間帯を容易に変更できることから、優先順位が高くなっている。
【0044】
一方、図6(b)に示すように、パターン1の電磁弁31は、開放状態となっている時間が長く、しかも連続開放時間が長い。このため、電磁弁31を開放状態とする時間帯を容易に変更できないこととなり、優先順位が低くなっている。このような理由から、パターン4の電磁弁31について優先順位が高くなっている。
【0045】
さらに、面積が大きい電磁弁31について優先順位が高くなっている理由は、以下の通りである。図6(c)及び図6(d)は面積による優先順位の決定理由を示す図である。図6(c)に示すように面積が大きい電磁弁31では、ショウケース30の庫内温度が低下し難いことを示している。すなわち、面積が大きいということは、庫内温度が設定温度以上となり、冷却を開始したにも拘わらず、庫内温度が大きく上昇することを示しており、冷え難いショウケース30であることを示している。冷え難いショウケース30は、電磁弁31を頻繁に開放状態しても、冷え易いショウケース30よりも冷やしすぎになる可能性が少ない。従って、面積が大きい場合、優先順位は高くなる。
【0046】
なお、優先順位は上記のようにして決定される場合に限らず、以下のようにして決定されてもよい。例えば、優先順位決定部52は、面積の大小に代えて、庫内温度のピーク値の大小から優先順位を決定しても良い。ピーク値が高い場合、ショウケース30は冷え難いと言え、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0047】
また、優先順位決定部52は、設定温度が低いショウケース30についての電磁弁31の優先順位を高くしてもよい。設定温度が低いショウケース30については、設定温度が低い関係上、冷却しすぎになり難く、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0048】
さらに、優先順位決定部52は、庫内体積が大きいショウケース30についての電磁弁31の優先順位を高くしてもよい。庫内体積が大きいショウケース30については、冷却に時間が掛かり、冷やしすぎになり難く、上記と同様に優先順位を決定することができるからである。
【0049】
再度、図2を参照する。停止予測部53は、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測するものである。コンプレッサ11は、全てのショウケース30の電磁弁31a〜31eが閉塞状態となることにより停止する。また、コンプレッサ11は、複数の電磁弁31a〜31eのうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作すると停止してしまう場合がある。後者について詳細に説明する。
【0050】
図7は、複数の電磁弁のうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作する場合にコンプレッサ11が停止してしまう様子を示す図であり、(a)〜(d)は順次電磁弁が閉塞動作する例を示し、(e)〜(h)は一定時間内に一斉に閉塞動作する例を示している。なお、図7では、電磁弁31が4つである場合を例に説明する。
【0051】
図7(a)に示すように、時刻t1において1つの電磁弁31がオフ(閉塞動作)し、時刻t2において他の1つの電磁弁31がオフし、時刻t3においてさらに1つの電磁弁31がオフしたとする。なお、残り1つの電磁弁31は開放状態のままである。
【0052】
この場合、図7(b)に示すように冷凍機10への負荷は順次小さくなっていく。また、冷媒ガスの圧力は、図7(c)に示すように、時刻t1において一旦低下するが、その後目標圧力まで復帰する。同様に、時刻t2及び時刻t3においても、ガス圧力は一旦低下した後に目標圧力まで復帰する。このため、図7(d)に示すように、コンプレッサ周波数は「0」とならずにコンプレッサ11は停止しない。このように、順次電磁弁31が閉塞駆動すると、コンプレッサ11は停止しないこととなる。
【0053】
一方、図7(e)に示すように、時刻t4において3つの電磁弁31が一斉にオフしたとする。なお、残り1つの電磁弁31は開放状態のままである。この場合、図7(f)に示すように冷凍機10への負荷は一気に小さくなる。そして、冷媒ガスの圧力は、図7(g)に示すように、時刻t4においてアンダーシュートを起こし、時刻t5においてコンプレッサ停止圧力以下となってしまう。このため、図7(h)に示すように、コンプレッサ周波数は時刻t5において「0」となり、コンプレッサ11は停止してしまう。その後、コンプレッサ11はガス圧力が目標値を有意に超えた時刻t6において運転を開始することとなる。このように、電磁弁31が一斉に閉塞動作すると、コンプレッサ11は停止し、その後運転を開始することから、エネルギーロスが多くなってしまう。
【0054】
なお、図7(e)に示すように2つ以上の電磁弁31が同時に閉塞動作する場合のみにコンプレッサ11が停止するわけではなく、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に一斉に閉塞動作してもコンプレッサは停止する。すなわち、一定時間とは、2つ以上の電磁弁31が閉塞動作したときにガス圧力のアンダーシュートを起こし得るだけの時間である。
【0055】
以上のように、コンプレッサ11は、全てのショウケース30a〜30eの電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合、及び、複数の電磁弁31a〜31eのうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作してガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまう場合に停止してしまう。このため、図2に示す停止予測部53は、複数の電磁弁31a〜31eについての将来の動作を予測して、コンプレッサ11の停止を予測する。
【0056】
図8は、図2に示した停止予測部53による電磁弁31の動作予測を説明する図である。停止予測部53は、図8に示すように、時刻0〜t7において庫内温度が徐々に低下しているとする。この場合、停止予測部53は、庫内温度の低下傾向から、時刻t8において電磁弁31が閉塞動作すると判断する。このように、停止予測部53は、各ショウケース30a〜30eの庫内温度推移と設定温度とから、各電磁弁31a〜31eが閉塞されるタイミングを予測する。そして、停止予測部53は、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となる場合、及び、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作する場合を予測し、コンプレッサ11の停止を判断する。
【0057】
ここで、集中管理コントローラ50は、さらに周期記憶部55を備えている。周期記憶部55は、複数の電磁弁31a〜31eが閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報をデータ収集部51から読み込み記憶するものである。周期記憶部55を備えるため、停止予測部53は、周期記憶部55により記憶される周期の情報に基づいてコンプレッサ11が停止するタイミングを予測してもよい。
【0058】
図9は、図2に示した停止予測部53による電磁弁31の動作予測を説明する第2の図である。例えば、図9に示すように、停止予測部53は時刻t9までの周期の情報から、時刻t10において電磁弁31が開放動作し、時刻t11において電磁弁31が閉塞動作すると予測する。そして、停止予測部53は、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となる場合、及び、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作する場合を予測し、コンプレッサ11の停止を判断する。
【0059】
再度、図2を参照する。制御弁動作指示部54は、停止予測部53により予測されたコンプレッサ11が停止するタイミングに、優先順位決定部52により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とするものである。少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、全ての電磁弁31〜31eが閉塞状態となることを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。また、少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とすることにより、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作して発生する圧力のアンダーシュートによる影響を減じることができる。このため、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを回避でき、コンプレッサ11の停止を防止できる。
【0060】
ここで、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作しても、必ずコンプレッサが停止するとは限らない。そこで、停止予測部53は、2つ以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作してコンプレッサが停止するか否かを判断しなければならない。この場合、停止予測部53は電磁弁31a〜31e毎の重みから、コンプレッサの停止を判断することが望ましい。
【0061】
図2に示すように、集中管理コントローラ50は、重み設定部56を有している。重み設定部56は、各ショウケース30a〜30eの設定温度(冷却負荷)に応じて電磁弁31a〜31e毎の重みを設定するものである。この重みは、表2に示すように、重み数値として設定される。
【表2】
【0062】
停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると判断する。例えば、一定時間内に設定温度5℃〜7℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が閉塞動作する場合、加算値は「12」となる。閾値が「10」である場合、加算値は閾値以上となるため、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止すると判断する。なお、コンプレッサ11が停止する判断として、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算するだけでなく、その一定時間内に開放動作する電磁弁31があれば、その重み数値を前記加算値から差し引くことが望ましい。
【0063】
また、制御弁動作指示部54は、一定時間内に2つ以上の電磁弁31が閉塞動作する場合、圧力のアンダーシュートによる影響を減じて、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを防止しなければならない。この場合、制御弁動作指示部54は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。このとき、制御弁動作指示部54は、開放状態とする電磁弁31の重み数値を加算値から差し引いた値が閾値未満となるように制御する。
【0064】
例えば、設定温度9℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が優先順位「1」であり、設定温度8℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が優先順位「2」であり、加算値が「12」であるとする。この場合、優先順位「1」である電磁弁31を開放動作さても加算値から「1」を差し引いた値は「11」である。このため、制御弁動作指示部54は、設定温度9℃のショウケース30に設けられる電磁弁31及び設定温度8℃のショウケース30に設けられる電磁弁31の双方を開放動作させる。これにより、加算値から「3」を差し引くこととなり、得られた値は閾値未満となる。
【0065】
以上のようにして、制御弁動作指示部54は、アンダーシュートによる影響を減じて、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達してしまうことを防止する。なお、一定時間内に設定温度5℃〜7℃のショウケース30に設けられる電磁弁31が閉塞動作する場合であって、設定温度5℃のショウケース30に設けられる電磁弁31の優先順位が「1」である場合には、設定温度5℃のショウケース30に設けられる電磁弁31を閉塞動作させず、開放状態を維持することによって、アンダーシュートによる影響を減じるようにしてもよい。
【0066】
さらに、閉塞動作する電磁弁31の重み数値もしくは重み数値の加算値が閾値以上となった場合において、重み数値もしくは重み数値の加算値が閾値付近である場合と、そうでない場合とでは、コンプレッサ11が停止するタイミングが異なってくる。すなわち、重み数値もしくは重み数値の加算値が大きい場合は、そうでない場合に比べてコンプレッサ11が停止するタイミングが早くなってくる。このため、制御弁動作指示部54は、重み数値もしくは重み数値の加算値が大きい場合、そうでない場合に比べて、早めに電磁弁31を開放動作させるようにすることが望ましい。これによって、開放動作させるタイミングが遅くなりコンプレッサ11が停止してしまう事態を防止することができるからである。
【0067】
次に、冷却制御システム1によるコンプレッサ11の停止が防止される様子を説明する。図10は、図2に示した制御弁動作指示部54によってコンプレッサ11の停止が防止される様子を示す図である。従来では、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻t10〜t11において、コンプレッサ11は停止してしまう。ところが、本実施形態において第5電磁弁31eの優先順位「1」である場合、集中管理コントローラ50は、第5ショウケース30eの第5電磁弁31eを開放動作のタイミングをずらす。これにより、冷却制御システム1は、コンプレッサ11の停止を防止する。なお、集中管理コントローラ50は、時刻t12に閉塞動作するはずの第5電磁弁31eについて、開放時間を時刻t11まで延長し、コンプレッサ11の停止を防止してもよい。
【0068】
図11は、図2に示した制御弁動作指示部54によってコンプレッサ11の停止が防止される様子を示す第2の図である。従来では、複数の電磁弁31a〜31eのうち、2つ以上の電磁弁31が一定時間(時刻t13〜t14)内に閉塞動作する場合、コンプレッサ11は停止してしまう。ところが、本実施形態において第3電磁弁31cの優先順位「1」である場合、集中管理コントローラ50は、第3ショウケース30cの第3電磁弁31cについて開放時間を延長する。これにより、冷却制御システム1は、コンプレッサ11の停止を防止する。なお、集中管理コントローラ50は、時刻t15に開放動作するはずの第3電磁弁31cについて、開放動作を時刻t14までずらすことにより、コンプレッサ11の停止を防止してもよい。
【0069】
なお、上記では開放動作又は開放時間を延長させる電磁弁31を優先順位に基づいて決定したが、これに限らず、重み数値に基づいて開放動作又は開放時間を延長させる電磁弁31を決定してもよい。すなわち、制御弁動作指示部54は、重み数値が最も高い電磁弁31について開放動作又は開放時間を延長させるようにしてもよい。この場合、重み設定部56が優先順位決定部52として機能することとなる。
【0070】
次に、本実施形態に係る冷却制御方法を説明する。図12は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、学習処理及び重み設定処理の詳細を示している。図12に示すように、まず、データ収集部51は、複数の電磁弁31a〜31eのオンオフ信号、並びに、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度推移及び設定温度について、一定期間データ収集する(ステップS1)。
【0071】
次に、優先順位決定部52は、各電磁弁31a〜31eのオンオフ信号に基づいて、各ショウケース30a〜30eの平均運転率R及び平均連続開放時間Lを算出する(ステップS2)。その後、パターン分け部52aは、複数のショウケース30a〜30eのうち1つを選択する(ステップS3)。そして、パターン分け部52aは、ステップ3において選択したショウケース30の平均運転率Rが運転率閾値R1以上であるか否かを判断する(ステップS4)。
【0072】
平均運転率Rが運転率閾値R1以上であると判断した場合(ステップS4:YES)、パターン分け部52aは、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であるか否かを判断する(ステップS5)。平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であると判断した場合(ステップS5:YES)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン1に決定する(ステップS6)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0073】
一方、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上でないと判断した場合(ステップS5:NO)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン2に決定する(ステップS7)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0074】
また、平均運転率Rが運転率閾値R1以上でないと判断した場合(ステップS4:NO)、パターン分け部52aは、ステップS5と同様に、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であるか否かを判断する(ステップS8)。
【0075】
平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上であると判断した場合(ステップS8:YES)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン3に決定する(ステップS9)。そして、処理はステップS11に移行する。一方、平均連続開放時間Lが時間閾値L1以上でないと判断した場合(ステップS8:NO)、パターン分け部52aは、選択したショウケース30の電磁弁31をパターン4に決定する(ステップS10)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0076】
ステップS11において、優先順位決定部52は、図5を参照して説明したようにして、設定温度を超える部分の平均面積を算出する(ステップS11)。その後、優先順位決定部52は、平均面積が面積閾値以上であるか否かを判断する(ステップS12)。平均面積が面積閾値以上であると判断した場合(ステップS12:YES)、優先順位決定部52は、選択したショウケース30の電磁弁31について面積を「大」に設定する(ステップS13)。そして、処理はステップS15に移行する。
【0077】
一方、平均面積が面積閾値以上でないと判断した場合(ステップS12:NO)、優先順位決定部52は、選択したショウケース30の電磁弁31について面積を「小」に設定する(ステップS14)。そして、処理はステップS15に移行する。
【0078】
ステップS15において優先順位決定部52は、全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行したか否かを判断する(ステップS15)。全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行していないと判断した場合(ステップS15:NO)、処理はステップS3に移行し、選択されていないショウケース30がステップS3において選択されることとなる。
【0079】
一方、全てのショウケース30a〜30eに対して、ステップS4〜ステップS14の処理を実行したと判断した場合(ステップS15:YES)、優先順位決定部52は、ステップS6、ステップS7、ステップS9及びステップS10において決定したパターンの情報と、ステップS13及びステップS14において決定した面積の大小情報とから、複数の電磁弁31a〜31eそれぞれに対して優先順位を決定する(ステップS16)。
【0080】
その後、重み設定部56は、各ショウケース30a〜30eの設定温度の情報に基づいて、重み数値を設定する(ステップS17)。その後、図12に示す処理は終了する、なお、図12に示す処理は、冷却制御システム1の使用開始時から一定期間経過するまでの期間のみに実行されてもよいし、常時実行されてもよい。
【0081】
次に、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を、フローチャートを参照して説明する。なお、以下のフローチャートにおいて、既に開放状態である電磁弁31を開放動作させるということは、電磁弁31の開放時間の延長になることから、開放時間の延長する処理についてはフローチャートには明確に図示しないものとした。
【0082】
図13及び図14は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁31a〜31eの制御処理の詳細を示している。図13に示すように、停止予測部53は、複数のショウケース30a〜30eの庫内温度情報及び設定温度情報を収集する(ステップS21)。
【0083】
次いで、停止予測部53は、複数のショウケース30a〜30eのそれぞれについて、時刻ta〜時刻tb間の庫内温度推移と設定温度との情報から、時刻tcのときの各電磁弁31a〜31eの状態を予測する(ステップS22)。
【0084】
なお、停止予測部53は、ステップS21〜ステップS22の処理に代えて、以下の処理を行ってもよい。すなわち、停止予測部53は、周期記憶部55から複数の電磁弁31a〜31eのオンオフ周期の情報を読み込み、オンオフ周期の情報から、時刻tcのときの各電磁弁31a〜31eの状態を予測してもよい。また、停止予測部53は、オンオフ周期の情報と差温の情報との双方を用い、例えば一方の結果でもう一方を補完し、精度を上げてもよい。
【0085】
次に、停止予測部53は、時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態となるか否かを判断する(ステップS23)。時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態となると判断した場合(ステップS23:YES)、制御弁動作指示部54は、優先順位が最も高い電磁弁31を選択し、且つ、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態になると予測される電磁弁31の重み数値Dの情報を、重み設定部56から読み込む(ステップS24)。そして、処理はステップS29に移行する。
【0086】
一方、時刻tcにおいて、複数の電磁弁31a〜31eが全て閉塞状態とならないと判断した場合(ステップS23:NO)、停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在するか否かを判断する(ステップS25)。一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在しないと判断した場合(ステップS25:NO)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止しないと判断し、図13及び図14に示す処理は終了する。
【0087】
一定時間内に閉塞動作する電磁弁31が存在すると判断した場合(ステップS25:YES)、停止予測部53は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値を加算し、加算値Dsumを算出する(ステップS26)。その後、停止予測部53は、加算値Dsumが閾値U以上となるか否かを判断する(ステップS27)。
【0088】
加算値Dsumが閾値U以上とならないと判断した場合(ステップS27:NO)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止しないと判断し、図13及び図14に示す処理は終了する。一方、加算値Dsumが閾値U以上となると判断した場合(ステップS27:YES)、停止予測部53は、コンプレッサ11が停止すると判断し、処理はステップS28に移行する。なお、複数の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作し、重み数値の加算値Dsumが閾値U以上となる場合であっても、その一定時間内に他の電磁弁31が開放動作する場合がある。この場合、停止予測部53は、加算値Dsumから開放動作する電磁弁31の重み数値を差し引き、差し引き後の値と閾値Uとを比較する。そして、停止予測部53は、差し引き後の値が閾値U以上とならないと判断した場合、コンプレッサ11が停止しないと判断し、差し引き後の値が閾値U以上となると判断した場合、コンプレッサ11が停止すると判断する。
【0089】
ステップS28において、制御弁動作指示部54は、Dsum−Doff→on<Uとなるように、閉塞状態である電磁弁31のうち、優先順位が最も高い電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS28)。ここで、Doff→onは、閉塞状態から開放動作させられる電磁弁31の重み数値(複数の電磁弁31が開放動作させられる場合には、重み数値の加算値)である。その後、処理はステップS29に移行する。
【0090】
ステップS29において、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値D又はステップS26において演算した加算値Dsumが、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS29)。なお、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dと比較される所定値と、ステップS26において演算した加算値Dsumと比較される所定値とは異なる値である。
【0091】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上である場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上である場合、コンプレッサ11が早期に停止してしまうといえる。例えば、加算値Dsumが大きい場合、ガス圧力は目標圧力からコンプレッサ停止圧力まで急速に低下してしまうため、コンプレッサ11は早期に停止してしまう。
【0092】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上であると判断した場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上であると判断した場合(ステップS29:YES)、制御弁動作指示部54は、選択した電磁弁31を早めに開放動作させるように設定する。すなわち、制御弁動作指示部54は、時刻tcにおいて全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻tc(すなわちコンプレッサが停止するタイミング)以前の時刻tdに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS29)。又は、制御弁動作指示部54は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31のうち、最初に閉塞動作する予定の電磁弁31が閉塞する時刻te以前の時刻tfに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS30)。そして、処理はステップS32に移行する。これにより、コンプレッサ11が停止する前に、特定の電磁弁31を適切に開放動作させるようにしている。
【0093】
最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上でない場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上でない場合、コンプレッサ11は、前述の場合よりも、遅めに停止することとなる。このため、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dが所定値以上でないと判断した場合、又は、ステップS26において演算した加算値Dsumが所定値以上でないと判断した場合(ステップS29:NO)、制御弁動作指示部54は、時刻tcにおいて全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる時刻tc(すなわちコンプレッサが停止するタイミング)に、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS31)。又は、制御弁動作指示部54は、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31のうち、最初に閉塞動作する予定の電磁弁31が閉塞する時刻teに、選択した電磁弁31を開放動作させるように設定する(ステップS31)。そして、処理はステップS33に移行する。
【0094】
ステップS33において制御弁動作指示部54は、ステップS30又はステップS31において設定した電磁弁31を開放させるタイミング(開放タイミング)であるか否かを判断する(ステップS32)。開放タイミングでないと判断した場合(ステップS32:NO)、開放タイミングであると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、開放タイミングであると判断した場合(ステップS32:YES)、制御弁動作指示部54は、ステップS24又はステップS28において選択した電磁弁31を開放動作させる(ステップS33)。
【0095】
その後、制御弁動作指示部54は、開放動作させる電磁弁31にフラグを設定する(ステップS34)。そして、集中管理コントローラ50は、ステップS34においてフラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがあるか否かを判断する(図14:ステップS35)。フラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがないと判断した場合(ステップS35:NO)、開放動作するものがあると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0096】
一方、フラグ設定されていない電磁弁31のうち、開放動作するものがあると判断した場合(ステップS35:YES)、制御弁動作指示部54は、フラグ設定された電磁弁31を閉塞動作させる(ステップS36)。そして、集中管理コントローラ50は、フラグを消去する(ステップS37)。その後、図13及び図14に示す処理は終了する。なお、図13及び図14に示す処理は冷却制御システム1の電源がオフされるまで、繰り返し実行される。また、ステップS23において全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合であっても、一定時間内に一斉に閉塞動作する電磁弁31が存在することがある。このような場合、ステップS23において「YES」と判断されても、処理はステップS25に移行してもよい。
【0097】
図15は、本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示す第2のフローチャートであり、電磁弁31a〜31eの制御処理の詳細を示している。集中管理コントローラ50は、図13に示す処理に代えて、図15に示す処理を実行してもよい。図15に示す処理では重み数値をそのまま優先順位とし、各電磁弁31a〜31eの重み数値を基準にして、コンプレッサ11の停止を防止するものである。このため、図15に示す処理では重み設定部56が優先順位決定部52として機能することとなる。なお、図15に示すステップS41〜ステップS43,S45〜S47,ステップS49〜S54の処理は、図13に示すステップS21〜ステップS23,S25〜S27,ステップS29〜S34の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
ステップS44において、制御弁動作指示部54は、重み数値が大きい電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS44)。また、制御弁動作指示部54は、最後に閉塞状態となると予測される電磁弁31の重み数値Dの情報を、重み設定部56から読み込む。そして、処理はステップS49に移行する。
【0099】
また、ステップS48において、制御弁動作指示部54は、Dsum−Doff→on<Uとなるように、重み数値が大きい電磁弁31から少なくとも1つの電磁弁31を選択する(ステップS48)。その後、処理はステップS49に移行する。
【0100】
なお、図15に示す処理は冷却制御システム1の電源がオフされるまで、繰り返し実行される。また、ステップS43において全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となる場合であっても、一定時間内に一斉に閉塞動作する電磁弁31が存在することがある。このような場合、ステップS43において「YES」と判断されても、処理はステップS45に移行してもよい。
【0101】
このようにして、本実施形態によれば、開放状態とする順番を示す優先順位を決定し、且つ、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測し、コンプレッサ11が停止するタイミングには、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの電磁弁31を開放状態とする。このため、電磁弁31の閉塞によってコンプレッサ11が停止してしまう事態を防止することができる。従って、コンプレッサ11の停止回数を減少させ、省エネルギー化を図ることができる。
【0102】
また、コンプレッサ11が停止するタイミングに開放状態とされた電磁弁31の優先順位を下げるため、1つの電磁弁31が頻繁に開放状態とされ、1つのショウケース30の温度が低下してしまう事態を抑制することができる。
【0103】
また、各ショウケース30a〜30eの庫内温度推移と設定温度とから、電磁弁31が閉塞されるタイミングを予測する。このため、ショウケース30a〜30eの庫内温度と設定温度との関係に基づいて各電磁弁31a〜31eの閉塞タイミングを正確に求めることができる。さらに、正確に求められた閉塞タイミングの情報に基づいて、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測する。このため、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することができる。
【0104】
また、複数の電磁弁31a〜31eが閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測する。このため、各電磁弁31a〜31eが閉塞動作する直接的な情報から、全ての電磁弁31a〜31eが閉塞状態となるときや、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサ11が停止するタイミングであると予測することとなり、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することができる。
【0105】
また、一定時間内に閉塞動作する2以上の電磁弁31の重みから、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測する。ここで、2以上の電磁弁31が一定時間内に閉塞動作すると、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ11の停止を招く、ところが、冷媒ガス圧力がアンダーシュートを起こしても、ガス圧力がコンプレッサ停止圧力に達しない場合にはコンプレッサ11は停止しない。このため、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重みから、コンプレッサ11が停止するタイミングを予測することで、ガス圧力がアンダーシュートを起こしてコンプレッサ停止圧力に達してしまうか否かを判断することができ、コンプレッサ11が停止するタイミングの予測精度を向上させることができる。
【0106】
また、電磁弁31毎の重みは重み数値あって、一定時間内に閉塞動作する電磁弁31の重み数値の加算値から、コンプレッサ11の停止を予測するため、コンプレッサ11の停止予測処理を数値によって簡易に実行することができる。さらに、コンプレッサ11の停止を防止するために、開放状態とする電磁弁31の重み数値を差し引いて閾値未満となるかを判断するだけでよく、コンプレッサ11の停止防止処理を数値によって簡易に実行することができる。
【0107】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態では、電磁弁31a〜31eはショウケース30a〜30e内に設けられていたが、これに限らず、分岐配管21a〜21eに設けられていてもよい。
【0108】
さらに、上記実施形態では、冷却対象器がショウケース30a〜30eである場合を例に説明したが、これに限らず、冷却制御システム1がエアコン制御システムなどに適用され、冷却対象器が室内となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態に係る冷却制御システムの概略構成図である。
【図2】図1に示した集中管理コントローラの詳細構成図である。
【図3】図2に示したデータ収集部により収集される情報を示した図であり、(a)は庫内温度推移の情報及び設定温度の情報を示し、(b)は電磁弁のオンオフ周期の情報を示している。
【図4】図2に示したパターン分け部が行うパターン分けを説明する図であり、(a)はパターン1の例を示し、(b)はパターン2の例を示し、(c)はパターン3の例を示し、(d)はパターン4の例を示している。
【図5】図2に示した優先順位決定部による面積の算出を示す図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示している。
【図6】電磁弁の融通性及び優先順位の決定理由を示す図であり、(a)及び(b)は電磁弁の融通性を示し、(c)及び(d)は面積による優先順位の決定理由を示す図である。
【図7】複数の電磁弁のうち2つ以上が一定時間内に閉塞動作する場合にコンプレッサが停止してしまう様子を示す図であり、(a)〜(d)は順次電磁弁が閉塞動作する例を示し、(e)〜(h)は一定時間内に一斉に閉塞動作する例を示している。
【図8】図2に示した停止予測部による電磁弁の動作予測を説明する図である。
【図9】図2に示した停止予測部による電磁弁の動作予測を説明する第2の図である。
【図10】図2に示した動作指示部によってコンプレッサの停止が防止される様子を示す図であり、(a)はコンプレッサ周波数を示し、(b)は第1ショウケースの電磁弁の状態を示し、(c)は第2ショウケースの電磁弁の状態を示し、(d)は第3ショウケースの電磁弁の状態を示し、(e)は第4ショウケースの電磁弁の状態を示し、(f)は第5ショウケースの電磁弁の状態を示している。
【図11】図2に示した動作指示部によってコンプレッサの停止が防止される様子を示す第2の図であり、(a)はコンプレッサ周波数を示し、(b)は第1ショウケースの電磁弁の状態を示し、(c)は第2ショウケースの電磁弁の状態を示し、(d)は第3ショウケースの電磁弁の状態を示し、(e)は第4ショウケースの電磁弁の状態を示し、(f)は第5ショウケースの電磁弁の状態を示している。
【図12】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、学習処理及び重み設定処理の詳細を示している。
【図13】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁の制御処理の前半部分の詳細を示している。
【図14】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示すフローチャートであり、電磁弁の制御処理の後半部分の詳細を示している。
【図15】本実施形態に係る冷却制御方法の一例を示す第2のフローチャートであり、電磁弁の制御処理の前半部分の詳細を示している。
【符号の説明】
【0110】
1…冷却制御システム
10…冷凍機
11…コンプレッサ
12…凝縮器
20…冷媒供給配管(冷媒配管)
21a〜21e…分岐配管
30…ショウケース(冷却対象器)
31a〜31e…電磁弁(制御弁)
32a〜32e…膨張弁
33a〜33e…蒸発器
40…冷媒排出配管(冷媒配管)
50…集中管理コントローラ(冷却制御コントローラ)
51…データ収集部
52…優先順位決定部
52a…パターン分け部
53…停止予測部
54…制御弁動作指示部
55…周期記憶部
56…重み設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷却対象器と、
冷媒を圧送するコンプレッサと、
複数の冷却対象器とコンプレッサとを並列の関係で接続する冷媒配管と、
各冷却対象器に対してそれぞれ設けられ、前記コンプレッサにより前記冷媒配管を経て圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁と、
前記制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、前記停止予測部により予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を有する
ことを特徴とする冷却制御システム。
【請求項2】
前記優先順位決定部は、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却制御システム。
【請求項3】
前記停止予測部は、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測し、閉塞及び開放されるタイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の冷却制御システム。
【請求項4】
前記停止予測部は、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の冷却制御システム。
【請求項5】
前記停止予測部は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作する場合、各冷却対象器の冷却負荷に応じて設定された制御弁毎の重みのうち、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の冷却制御システム。
【請求項6】
前記制御弁毎の重みは重み数値であって、
前記停止予測部は、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると予測し、
前記制御弁動作指示部は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とすることにより、開放状態とする制御弁の重み数値を前記加算値から差し引いた値を、閾値未満とする
ことを特徴とする請求項5に記載の冷却制御システム。
【請求項7】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラであって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、
前記停止予測部により予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、
を備えることを特徴とする冷却制御コントローラ。
【請求項8】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラに実行させるための冷却制御プログラムであって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、
前記停止予測ステップにおいて予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、
を実行させることを特徴とする冷却制御プログラム。
【請求項9】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御方法であって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、
前記停止予測ステップにおいて予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、
を有することを特徴とする冷却制御方法。
【請求項1】
複数の冷却対象器と、
冷媒を圧送するコンプレッサと、
複数の冷却対象器とコンプレッサとを並列の関係で接続する冷媒配管と、
各冷却対象器に対してそれぞれ設けられ、前記コンプレッサにより前記冷媒配管を経て圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁と、
前記制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、前記停止予測部により予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、を有する
ことを特徴とする冷却制御システム。
【請求項2】
前記優先順位決定部は、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とされた制御弁の優先順位を下げる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却制御システム。
【請求項3】
前記停止予測部は、各冷却対象器の温度推移と設定温度とから、制御弁が閉塞及び開放されるタイミングを予測し、閉塞及び開放されるタイミングの情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の冷却制御システム。
【請求項4】
前記停止予測部は、複数の制御弁が閉塞動作及び開放動作を行う周期の情報に基づいて、全ての制御弁が閉塞状態となるとき、又は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作するときに、コンプレッサが停止するタイミングであると予測する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の冷却制御システム。
【請求項5】
前記停止予測部は、複数の制御弁のうち2以上の制御弁が一定時間内に閉塞動作する場合、各冷却対象器の冷却負荷に応じて設定された制御弁毎の重みのうち、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重みから、コンプレッサが停止するタイミングを予測する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の冷却制御システム。
【請求項6】
前記制御弁毎の重みは重み数値であって、
前記停止予測部は、一定時間内に閉塞動作する制御弁の重み数値を加算し、加算により得られた加算値が予め設定された閾値以上である場合に、コンプレッサが停止すると予測し、
前記制御弁動作指示部は、優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とすることにより、開放状態とする制御弁の重み数値を前記加算値から差し引いた値を、閾値未満とする
ことを特徴とする請求項5に記載の冷却制御システム。
【請求項7】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラであって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測部と、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定部と、
前記停止予測部により予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定部により決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示部と、
を備えることを特徴とする冷却制御コントローラ。
【請求項8】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御コントローラに実行させるための冷却制御プログラムであって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、
前記停止予測ステップにおいて予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、
を実行させることを特徴とする冷却制御プログラム。
【請求項9】
複数の冷却対象器それぞれに対して設けられ、コンプレッサにより圧送される冷媒の冷却対象器への流入を開放動作及び閉塞動作によって制御する制御弁を開放動作及び閉塞動作させる冷却制御方法であって、
コンプレッサが停止するタイミングを予測する停止予測ステップと、
前記複数の冷却対象器の情報に基づいて、前記コンプレッサが停止するタイミングに開放状態とする制御弁の優先順位を決定する優先順位決定ステップと、
前記停止予測ステップにおいて予測された前記コンプレッサが停止するタイミングに、前記優先順位決定ステップにおいて決定された優先順位が高いものから順に少なくとも1つの制御弁を開放状態とする制御弁動作指示ステップと、
を有することを特徴とする冷却制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−232535(P2008−232535A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72727(P2007−72727)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【復代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【復代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
【Fターム(参考)】
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