説明

冷却構造

【課題】一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットを冷却するための冷却構造であって、前面から空気を吸引し背面から空気を排出することができる冷却構造を提供する。
【解決手段】電子回路ユニットの冷却構造であって、前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、背面開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、を備える第2ダクトと、を備えることを特徴とする冷却構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットを冷却するための冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント回路基板などを備える電子回路ユニットを水平方向にラックに実装した情報処理装置や通信装置などが用いられている。このような電子回路ユニットを駆動するとプリント回路基板で熱が発生し、温度が上昇する。そのため、電子回路ユニットに送風機を備え、電子回路ユニットの一方の側面から他方の側面に向かって風を流すことにより、プリント回路基板を空冷する冷却構造が多く用いられている。
【0003】
一方の側面から空気を吸引し、他方の側面から空気を排出する電子回路ユニットでは、プリント回路基板で発生した熱を吸収した暖かい空気が電子回路ユニットから水平方向に排出される。そのため、電子回路ユニットを実装したラックを水平方向に並列して配置すると、並列するラックに実装された電子回路ユニットに暖かい空気か流れ込んでしまうため、並列するラックの間にある程度の間隔を設けることが必要となる。その結果、電子回路ユニットを実装したラックの設置スペースが増大する。
【0004】
このような問題に対し、前面から吸引した空気を右側面から排出すると共に、左側面から吸引した空気を背面に排出する、電子回路ユニットの冷却構造が知られている。この冷却構造は、複数の冷却ユニットが水平方向に同じ高さで隣接して配置されている場合に用いられる。前面から吸引した空気は右側面から排出され、右側面に隣接する別の電子回路ユニットの冷却構造の左側面から吸引された後にその背面から排出される。
【0005】
また、他の冷却構造の例として、プリント回路基板で発生した熱を吸収した暖かい空気がラックの筐体内部を下方から上方に向かって流れ、ラックの上方から排出されるようにした構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−273561号公報
【特許文献2】特開平6−77680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した前面から吸引した空気を右側面から排出すると共に、左側面から吸引した空気を背面に排出する、電子回路ユニットの冷却構造では、この冷却構造を水平方向の同じ高さに隣接して配置することを前提としている。そのため、電子回路ユニットの大きさが異なる場合などに、冷却構造をラックに取り付ける位置が制限される。
【0008】
また、上述した筐体内部を下方から上方に向かって空気が流れるようにしたラックでは、ラックが専用品となるため、汎用のラックを用いる場合に比べてコストが上昇する。
【0009】
一般に、操作性あるいは作業性等の観点から、電子回路ユニットや冷却構造を実装したラックが前後方向に隣接して配置されることは少ない。そのため、例えば、冷却構造の前面から空気を吸引し、冷却構造の背面から暖かい空気を排出することが好ましい。
そこで、一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットを冷却するための冷却構造であって、前面から空気を吸引し背面から空気を排出することができる冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、開示の冷却構造は、一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットの冷却構造であって、前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、背面開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、前記吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、前記排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、を備える第2ダクトと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の冷却構造によれば、前面から空気を吸引し背面から空気を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子回路ユニットの一例を示す概略構成図である。
【図2】(a)は、電子回路ユニットの左側面図であり、(b)は、電子回路ユニットの内部の平面図であり、(c)は、電子回路ユニットの右側面図である。
【図3】冷却構造の分離機構、第1ダクト、第2ダクトを分解した斜視図である。
【図4】(a)は、第2ダクトの前面の拡大図であり、(b)は、第1ダクトの前面の拡大図である。
【図5】ラックに電子回路ユニットと冷却構造を取り付けた状態を示す図である。
【図6】電子回路ユニットの内部の空気の流れを示す図である。
【図7】ラックに電子回路ユニットや冷却構造を実装した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の冷却構造は、一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットを冷却するために用いられる。以下、本実施形態の冷却構造を取り付けることができる電子回路ユニット、及び、冷却構造の構成について説明する。
【0014】
(電子回路ユニット)
まず、図1、図2を参照して、電子回路ユニット10について説明する。図1は、電子回路ユニット10の一例を示す概略構成図である。図2(a)は、電子回路ユニット10の左側面図であり、図2(b)は、電子回路ユニット10の簡略化した内部の平面図であり、図2(c)は、電子回路ユニット10の右側面図である。
【0015】
図1に示されるように、電子回路ユニット10は、一方の側面(図1の右側面)に吸気穴12を備え、他方の側面(図1の左側面)に排気穴14を備える。図2(a)に示されるように、本実施形態の電子回路ユニット10では、左側の側面に2つの排気穴14が設けられている。また、図2(c)に示されるように、本実施形態の電子回路ユニット10では、右側の側面に2つの吸気穴12が形成されている。
【0016】
電子回路ユニット10は、第1ファン16と、第2ファン18と、を備える。第1ファン16は、吸気穴12の近くに配置され、第2ファン18は、排気穴14の近くに配置される。そのため、第1ファン16は、吸気穴12から流入した空気を電子回路ユニット10の内部に送り、第2ファン18は、電子回路ユニット10の内部を通って暖められた空気を排気穴14から排出する。
また、図2(b)に示されるように、電子回路ユニット10には、プリント回路基板20、バックパネル22、電源回路24などが実装されている。
【0017】
図1に示されるように、電子回路ユニット10の前面には、取付穴26、28が設けられている。取付穴26は、電子回路ユニット10の右側の前面に設けられ、電子回路ユニット10を後述する第1ダクト200に取り付けるために用いられる。また、取付穴28は、電子回路ユニット10の左側の前面に設けられ、電子回路ユニット10を後述する第2ダクト300に取り付けるために用いられる。
【0018】
また、電子回路ユニット10の背面には、取付ねじ穴30、32が設けられている。取付ねじ穴30は、電子回路ユニット10の右側の背面に設けられ、電子回路ユニット10を後述する第1ダクト200に取り付けるために用いられる。また、取付ねじ穴32は、電子回路ユニット10の左側の背面に設けられ、電子回路ユニット10を後述する第2ダクト300に取り付けるために用いられる。
以上が電子回路ユニット10の基本的な構成である。
【0019】
(冷却構造)
次に、図3を参照して、本実施形態の冷却構造50について説明する。本実施形態の冷却構造50は、分離機構100と、第1ダクト200と、第2ダクト300と、を備える。図3は、分離機構100、第1ダクト200、第2ダクト300を分解した斜視図である。
【0020】
まず、分離機構100について説明する。図3に示されるように、分離機構100は、前面開口部102と、背面開口部104と、第1開口部106と、第2開口部108と、仕切部110と、を備える。
前面開口部102は、分離機構100の前面に設けられる。前面開口部102を通って、分離機構100の内部に空気が流入する。
【0021】
仕切部110は、前面開口部102から流入した空気を第1開口部106に導く。また、仕切部110は、第2開口部108から流入した空気を背面開口部104に導く。図3に示される例では、仕切部110は、分離機構100の前面から背面に向かって直線状で斜めに延びているが、仕切部110の形状はこれに限定されるものではない。例えば、仕切部110は曲線状であってもよい。
また、仕切部110は熱伝導性の低い材質で形成されることが望ましい。例えば、仕切部110は、エポキシ樹脂材、ベーク材などにより形成することができる。また、仕切部110を二重構造にして中間にスペースを設けることにより空気で熱を遮断する構成としてもよい。また、仕切部110の熱伝導率は、例えば、エポキシ樹脂材またはベーク材相当の0.21W・m−1・K−1以下であることが望ましい。
【0022】
第1開口部106は、分離機構100の一方の側面(図3の右側の側面)に設けられる。図3に示される例では、分離機構100の右側の側面に2つの第1開口部106が設けられている。
また、第1開口部106と後述する第1ダクト200の第3開口部202とが対向するように、分離機構100は第1ダクト200と接続される。分離機構100と第1ダクト200との接続については後述する。
前面開口部102から流入した空気は、仕切部110により空気が流れる方向を変えられ、第1開口部106から第3開口部202へと流れる。
【0023】
第2開口部108は、第1開口部106と対向する側面(図3の左側の側面)に設けられる。図3に示される例では、分離機構100の左側の側面に2つの第2開口部108が設けられている。
また、第2開口部108と後述する第2ダクト300の第6開口部304とが対向するように、分離機構100は第2ダクト300と接続される。分離機構100と第2ダクト300との接続については後述する。
第2ダクト300の第6開口部304から排出された空気は、第2開口部108を通って、分離機構100の内部に流入する。
【0024】
背面開口部104は、分離機構100の背面に設けられる。但し、背面開口部104は前面開口部102と空間的に接続されないように、仕切部110によって分離されている。そのため、背面開口部104の水平方向の長さは、前面開口部102の水平方向の長さよりも短い。
第2開口部108から流入した空気は、仕切部110により空気が流れる方向を変えられ、背面開口部104から分離機構100の背面へ排出される。
【0025】
また、分離機構100の前面には、取付穴112、114が設けられている。取付穴112は、分離機構100の右側の前面に設けられ、分離機構100を第1ダクト200に取り付けるために用いられる。また、取付穴114は、分離機構100の左側の前面に設けられ、分離機構100を第2ダクト300に取り付けるために用いられる。
【0026】
また、分離機構100の背面には、取付ねじ穴116、118が設けられている。取付ねじ穴116は、分離機構100の右側の背面に設けられ、分離機構100を第1ダクト200に取り付けるために用いられる。また、取付ねじ穴118は、分離機構100の左側の背面に設けられ、分離機構100を第2ダクト300に取り付けるために用いられる。
以上が分離機構100の基本的な構成である。
【0027】
次に、第1ダクト200について説明する。図3に示されるように、第1ダクト200は、第3開口部202と、第4開口部204と、第1空間206と、を備える。
第3開口部202は、分離機構100の第1開口部106と対向するように配置される。図3に示される例では、第1ダクト200には3つの第3開口部202が設けられている。分離機構100の第1開口部106から排出された空気は、第3開口部202を通って、第1ダクト200の内部の第1空間206に流入する。
【0028】
第4開口部204は、電子回路ユニット10の吸気穴12と対向するように配置される。図3に示される例では、第4開口部204は第3開口部202の下方に設けられている。また、第1ダクト200には2つの第4開口部204が設けられている。
第3開口部202から第1空間206に流入した空気は第1ダクト200の内壁面により方向を変えられ、第4開口部204を通って電子回路ユニット10の吸気穴12へと流れる。
【0029】
また、第1ダクト200の前面には、取付ねじ穴208、212が設けられている。
取付ねじ穴208は、第1ダクト200を分離機構100に取り付けるために用いられる。具体的には、取付ねじ穴208が分離機構100の取付穴112と重なるように配置され、ねじによって固定される。
また、取付ねじ穴212は、第1ダクト200を電子回路ユニット10に取り付けるために用いられる。具体的には、取付ねじ穴212が電子回路ユニット10の取付穴26と重なるように配置され、ねじによって固定される。
【0030】
なお、第1ダクト200の前面には、第1ダクト200をラックに固定するために用いられる取付ねじ穴も設けられている。この取付ねじ穴をラックの取付穴と重なるように配置することにより、第1ダクト200をラックに固定することが可能となる。
【0031】
また、第1ダクト200には、取付穴210、214が設けられている。
取付穴210は、第1ダクト200を分離機構100に取り付けるために用いられる。具体的には、取付穴210が分離機構100の取付ねじ穴116と重なるように配置され、ねじによって固定される。
また、取付穴214は、第1ダクト200を電子回路ユニット10に取り付けるために用いられる。具体的には、取付穴214が電子回路ユニット10の取付ねじ穴30と重なるように配置され、ねじによって固定される。
【0032】
なお、取付穴210、214には、それぞれアジャスタ機構216、218が設けられている。アジャスタ機構216、218により、取付穴210、214の位置を前後方向に独立して調整することができる。そのため、例えば、電子回路ユニット10と分離機構100の奥行きが互いに異なる場合にも、取付穴210が分離機構100の背面に位置し、取付穴214が電子回路ユニット10の背面に位置するようにアジャスタ機構216、218を調整することが可能となる。
【0033】
また、第1ダクト200は、電子回路ユニット10を支持する第1支持機構220を備える。第1支持機構220は、例えば、前面から背面へ延びるレールである。上述したように、電子回路ユニット10はねじによって第1ダクト200に固定されるが、第1支持機構220が電子回路ユニット10を支持することにより、より安定して電子回路ユニット10を第1ダクト200に固定することが可能となる。
【0034】
また、第1ダクト200の背面には、背面金具222とアジャスタ機構224が設けられている。アジャスタ機構224により、背面金具222の位置を前後方向に調整することができる。背面金具222を用いて、第1ダクト200の背面をラックに固定することができる。
以上が第1ダクト200の基本的な構成である。
【0035】
次に、第2ダクト300について説明する。図3に示されるように、第2ダクト300は、第5開口部302と、第6開口部304と、第7開口部305と、第2空間306と、を備える。
第5開口部302は、電子回路ユニット10の排気穴14と対向するように配置される。図3に示される例では、第2ダクト300に2つの第5開口部302が設けられている。電子回路ユニット10の排気穴14から排出された空気は、第5開口部302を通って、第2ダクト300の内部の第2空間306に流入する。
【0036】
第6開口部304は、分離機構100の第2開口部108と対向するように配置される。図3に示される例では、第6開口部304は第5開口部302の上方に設けられている。また、第2ダクト300には、3つの第6開口部304が設けられている。
第5開口部302から第2空間306に流入した空気は第2ダクト300の内壁面により方向を変えられ、第6開口部304を通って分離機構100の第2開口部108へと流れる。
【0037】
また、第7開口部305は、第2ダクト300の背面に設けられている。そのため、第5開口部302から第2空間306に流入した空気は第2ダクト300の内壁面により方向を変えられ、第7開口部305を通って第2ダクト300の背面へ排気される。
【0038】
また、第2ダクト300の前面には、取付ねじ穴308、312が設けられている。
取付ねじ穴308は、第2ダクト300を分離機構100に取り付けるために用いられる。具体的には、取付ねじ穴308が分離機構100の取付穴114と重なるように配置され、ねじによって固定される。
また、取付ねじ穴312は、第2ダクト300を電子回路ユニット10に取り付けるために用いられる。具体的には、取付ねじ穴312が電子回路ユニット10の取付穴28と重なるように配置され、ねじによって固定される。
【0039】
なお、第2ダクト300の前面には、第2ダクト300をラックに固定するために用いられる取付ねじ穴も設けられている。この取付ねじ穴をラックの取付穴と重なるように配置することにより、第2ダクト300をラックに固定することが可能となる。
【0040】
また、第2ダクト300には、取付穴310、314が設けられている。
取付穴310は、第2ダクト300を分離機構100に取り付けるために用いられる。具体的には、取付穴310が分離機構100の取付ねじ穴118と重なるように配置され、ねじによって固定される。
また、取付穴314は、第2ダクト300を電子回路ユニット10に取り付けるために用いられる。具体的には、取付穴314が電子回路ユニット10の取付ねじ穴32と重なるように配置され、ねじによって固定される。
【0041】
なお、取付穴310、314には、それぞれアジャスタ機構316、318が設けられている。アジャスタ機構316、318により、取付穴310、314の位置を前後方向に独立して調整することができる。そのため、例えば、電子回路ユニット10と分離機構100の奥行きが互いに異なる場合にも、取付穴310が分離機構100の背面に位置し、取付穴314が電子回路ユニット10の背面に位置するようにアジャスタ気候316、318を調整することが可能となる。
【0042】
また、第2ダクト300は、電子回路ユニット10を支持する第2支持機構320を備える。第2支持機構320は、例えば、前面から背面へ延びるレールである。上述したように、電子回路ユニット10はねじによって第2ダクト300に固定されるが、第2支持機構320が電子回路ユニット10を支持することにより、より安定して電子回路ユニット10を第2ダクト300に固定することが可能となる。
【0043】
また、第2ダクト300の背面には、背面金具322とアジャスタ機構324が設けられている。アジャスタ機構324により、背面金具322の位置を前後方向に調整することができる。背面金具322を用いて、第2ダクト300の背面をラックに固定することができる。
以上が第2ダクト300の基本的な構成である。
【0044】
ここで、図4を参照して、第1ダクト200、第2ダクト300の前面に設けられる突起部について説明する。図4(a)は、第2ダクト300の前面の拡大図であり、図4(b)は、第1ダクト200の前面の拡大図である。
図4(a)に示されるように、第2ダクト300の前面には、第2突起部326が設けられている。第2突起部326は、背面から前面へ向かう方向に延びている。また、図4(b)に示されるように、第1ダクト200の前面には、第1突起部226が設けられている。第1突起部226は、背面から前面へ向かう方向に延びている。
【0045】
上述したように、第1ダクト200や第2ダクト300の前面には、第1ダクト200や第2ダクト300をラックに固定するための取付ねじ穴が設けられている。本実施形態の第1突起部216や第2突起部326をラックの取付穴に引っ掛けることにより、第1ダクト200や第2ダクト300の鉛直方向の位置を容易に仮決めすることが可能となる。
【0046】
次に、図5、図6を参照して、電子回路ユニット10や冷却構造50を流れる空気の流れについて説明する。図5は、ラック40に電子回路ユニット10と冷却構造50とを取り付けた状態を示す図である。図6は、電子回路ユニット10の内部の空気の流れを示す図である。図5、図6において、空気の流れは一点鎖線で示されている。
【0047】
図5に示されるように、分離機構100の前面開口部102から分離機構100の内部に空気が流入する。分離機構100の内部に流入した空気は、仕切部110によって方向が変わり、第1開口部106から排出され、第1ダクト200の第3開口部202に流入する。第3開口部202から第1ダクト200の内部に流入した空気は、第4開口部204から排出され、電子回路ユニット10の吸気穴12に流入する。
【0048】
その後、図6に示されるように、電子回路ユニット10の吸気穴12から流入した空気がプリント回路基板20と平行に流れるように、第1ファン16によって電子回路ユニット10の内部に空気の流れが形成される。プリント回路基板20が発する熱は、プリント回路基板20と平行に流れる空気により吸収される。プリント回路基板20が発する熱を吸収して暖められた空気は、第2ファン18によって排気穴14から排出される。
【0049】
排気穴14から排出された空気は、第2ダクト300の第5開口部302に流入する。第5開口部302から第2ダクト300の内部に流入した空気は、第6開口部304から排出され、分離機構100の第2開口部108に流入するとともに、第7開口部305から排出される。
【0050】
その後、図5に示されるように、分離機構100の第2開口部108から分離機構100の内部に流入した空気は、仕切部110によって方向が変わり、背面開口部104から排出される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の冷却構造50によれば、前面開口部102から流入した空気の流れの方向を変えて、電子回路ユニット10の一方の側面から他方の側面に空気を流し、かつ、背面開口部104から空気を排出することができる。そのため、ラック40の側面から暖かい空気が排出されないため、電子回路ユニット10を実装したラック40を横方向に隣接して配置することも可能となる。
【0052】
ここで、図7を参照して、ラック40に電子回路ユニット10や冷却構造50を実装した状態を説明する。図7は、ラック40に電子回路ユニット10や冷却構造50を実装した状態の一例を示す図である。図7に示される例では、ラック40に5つの電子回路ユニット10と5つの冷却構造50が実装されている。更に、図7に示される例では、上述した電子回路ユニット10とは異なる電子回路ユニット45がラック40に実装されている。
【0053】
本実施形態の冷却構造50は、冷却構造50を取り付けるための取付穴を備える汎用のラック40に実装することができる。そのため、ラック40のコストが上昇するのを抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、分離機構100が背面開口部104を備え、第2ダクト300が第7開口部305を備える例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、分離機構100の背面開口部104と第2ダクト300の第7開口部305のうちいずれか一方のみが設けられている場合であっても、冷却構造50の背面から空気を排出することが可能となる。そのため、背面開口部104又は第7開口部305のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施形態では電子回路ユニット10の上側に分離機構100が位置するように冷却構造50を配置する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電子回路ユニット10の下側に分離機構100が位置するように、電子回路ユニット10と冷却構造50を上下に反転させてラック40に取り付けてもよい。
【0056】
以上、本発明の冷却構造について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0057】
(付記)
なお、本発明は、以下の付記に記載されるように構成することができる。
【0058】
(付記1)
一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットの冷却構造であって、
前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、背面開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、
第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、前記吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、
前記排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、を備える第2ダクトと、
を備えることを特徴とする冷却構造。
【0059】
(付記2)
第2ダクトは、更に、第5開口部から流入した空気を背面に排出する第7開口部を備える、付記1に記載の冷却構造。
【0060】
(付記3)
一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットの冷却構造であって、
前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、
第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、前記吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、
前記排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、第5開口部から流入した空気を背面に排出する第7開口部と、を備える第2ダクトと、
を備えることを特徴とする冷却構造。
【0061】
(付記4)
第1ダクトは、前記電子回路ユニットを支持する第1支持機構を備え、
第2ダクトは、前記電子回路ユニットを支持する第2支持機構を備える、付記1乃至3のいずれかに記載の冷却構造。
【0062】
(付記5)
第1ダクトは、背面から前面へ向かう方向に延びる第1突起部を前面に備える、付記1乃至4のいずれかに記載の冷却構造。
【0063】
(付記6)
第2ダクトは、背面から前面へ向かう方向に延びる第2突起部を前面に備える、付記1乃至5のいずれかに記載の冷却構造。
【0064】
(付記7)
前記仕切部の熱伝導率は、エポキシ樹脂材またはベーク材相当の0.21W・m−1・K−1以下である、付記1乃至6のいずれかに記載の冷却構造。
【符号の説明】
【0065】
10 電子回路ユニット
12 吸気穴
14 排気穴
16 第1ファン
18 第2ファン
20 プリント回路基板
22 バックパネル
24 電源回路
26、28 取付穴
30、32 取付ねじ穴
40 ラック
45 電子回路ユニット
50 冷却構造
100 分離機構
102 前面開口部
104 背面開口部
106 第1開口部
108 第2開口部
110 仕切部
112、114 取付穴
116、118 取付ねじ穴
200 第1ダクト
202 第3開口部
204 第4開口部
206 第1空間
208 取付ねじ穴
210 取付穴
212 取付ねじ穴
214 取付穴
216、218 アジャスタ機構
220 第1支持機構
222 背面金具
224 アジャスタ機構
226 第1突起部
300 第2ダクト
302 第5開口部
304 第6開口部
305 第7開口部
306 第2空間
308 取付ねじ穴
310 取付穴
312 取付ねじ穴
314 取付穴
316、318 アジャスタ機構
320 第2支持機構
322 背面金具
324 アジャスタ機構
326 第2突起部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットの冷却構造であって、
前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、背面開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、
第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、前記吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、
前記排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、を備える第2ダクトと、
を備えることを特徴とする冷却構造。
【請求項2】
第2ダクトは、更に、第5開口部から流入した空気を背面に排出する第7開口部を備える、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
一方の側面に吸気穴を備え、他方の側面に排気穴を備える電子回路ユニットの冷却構造であって、
前面開口部と、一方の側面に設けられる第1開口部と、第1開口部に対向する側面に設けられる第2開口部と、前記前面開口部から流入する空気を第1開口部に導く仕切部と、を備える分離機構と、
第1開口部から排出される空気が流入する第3開口部と、第3開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第1空間と、前記吸気穴へ第1空間内の空気を排出する第4開口部と、を備える第1ダクトと、
前記排気穴から排出される空気が流入する第5開口部と、第5開口部から流入する空気の流れの方向を変えるための第2空間と、第2開口部へ第2空間内の空気を排出する第6開口部と、第5開口部から流入した空気を背面に排出する第7開口部と、を備える第2ダクトと、
を備えることを特徴とする冷却構造。
【請求項4】
第1ダクトは、前記電子回路ユニットを支持する第1支持機構を備え、
第2ダクトは、前記電子回路ユニットを支持する第2支持機構を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の冷却構造。
【請求項5】
第1ダクトは、背面から前面へ向かう方向に延びる第1突起部を前面に備え、
第2ダクトは、背面から前面へ向かう方向に延びる第2突起部を前面に備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の冷却構造。
【請求項6】
前記仕切部の熱伝導率は、エポキシ樹脂材またはベーク材相当の0.21W・m−1・K−1以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷却構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204756(P2012−204756A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70094(P2011−70094)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】