説明

冷却配送台車

【課題】確実に蒸発器にて生じた結露水をドレンパンに捕集し、貯蔵室内を水浸しとすることなく冷却保存したまま配送を可能とする冷却配送台車を提供する。
【解決手段】移動用の車輪12と、手押し用のハンドル14と、配送物品を収納する貯蔵室4を有した断熱箱体20と、貯蔵室4の側面4Aに設けられた蒸発器40を有し、蒸発器40により貯蔵室4内を冷却する冷却装置Rと、蒸発器40下方の貯蔵室の側面4Aに設けられ、蒸発器からのドレン水を受けるドレンパン47と、蒸発器40の両側下方に対応する貯蔵室の側面4Aにそれぞれ取り付けられ、蒸発器40からドレンパン47に至る連続した水止め部材33とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定温度に冷却維持しながら、物品を配送する冷却配送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より庫内を低温として物品の配送に用いられるものとして、低温物流用の低温庫がある。この低温庫は、例えば配送ベースにおいて食品など所定の冷却温度に維持が必要とされる配送物品を庫内に収納し、そのまま配送車の荷台に積載して搬送される。そして、配送車によって配送先まで配送し、その場にて庫内から配送物品を取り出して、宛先人等に引き渡す。
【0003】
例えば、特許文献1に示される低温庫は、予め冷却装置により蓄冷剤を凍結させておき、その後蓄冷剤の融解潜熱によって貯蔵室内を冷却する。これによれば、蓄冷運転時、交流電源によって蓄電池を充電すると共に、前記交流電源により冷却装置を運転して蓄冷剤と交熱的に設けられる冷却器によって凍結させておき、輸送時には蓄電池を電源として送風機を運転し、蓄冷剤の冷気を貯蔵室に循環して冷却する保冷運転を実行していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−53874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の低温庫を用いた配送では、配送車が進入し難い、若しくは、停車し難い市街地やオフィス街、住宅街、ビル街、大型商業施設等おいては、配送先から離れた位置に配送車を駐車しなければならない。そのため、配送先から離れた位置において配送物品は低温庫から取り出され、外気温に晒された状態で、配送が行われることとなる。この間に、配送物品は、温度上昇を余儀なくされ、品質の劣化や、低下を招く原因となっていた。そのため、配送時における信頼性が低下する問題がある。
【0006】
そこで、このような配送車が進入し難い区域の配送を行う際には、配送物品を断熱効果を有する保冷袋等に収納して、徒歩で配送先へ届けていた。しかしながら、特に日差しや外気温の高い夏季や、暖房設備によって環境温度が高い状況では、保冷袋に収納された配送物品は、時間の経過と共に、温度が上昇する。
【0007】
上述した如き配送車に搭載された低温庫には、車輪が設けられているため、当該低温庫を手押しすることで配送先まで冷却したまま配送することも考えられるが、当該低温庫は、それ自体の重量が多く、操作性が悪いことから、路地等を移動させることは困難である。
【0008】
そこで、配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体に移動用の車輪と、手押し用のハンドルとを備えて、蓄電池からの給電によって運転する圧縮機、凝縮器等から成る冷却装置を搭載し、貯蔵室内を所定の冷却温度に維持しながら配送を行う冷却配送台車の開発が行われている。
【0009】
この場合、冷却装置を構成する蒸発器及び冷気循環用送風機は、貯蔵室内に配設される。一方、貯蔵室を構成する断熱箱体は物品の納出作業性を考慮して上面に大きく開口して形成されており、当該開口は扉によって開閉可能に閉塞される。しかし、当該冷却配送台車は、その性質上、配送先に赴く度に断熱箱体の扉が開放される。そのため、湿気を多く含んだ外気が侵入しやすく、蒸発器には結露が生じやすい。
【0010】
当該蒸発器に生じた結露は、当該蒸発器下方に配設されたドレンパンを介して外部に排出可能な構成とされているが、当該冷却配送台車は、移動による振動の影響が大きく、円滑に結露水をドレンパンに捕集することができないという問題がある。
【0011】
これによって、断熱箱体の壁面を伝って貯蔵室内に収納される物品に至る場合があり、当該物品を水浸しにしてしまうなど不都合が生じてた。
【0012】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、確実に蒸発器にて生じた結露水をドレンパンに捕集し、貯蔵室内を水浸しとすることなく冷却保存したまま配送を可能とする冷却配送台車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の冷却配送台車は、移動用の車輪と、手押し用のハンドルと、配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、貯蔵室の側面に設けられた蒸発器を有し、この蒸発器により貯蔵室内を冷却する冷却装置と、蒸発器下方の貯蔵室の側面に設けられ、蒸発器からのドレン水を受けるドレンパンと、蒸発器の両側下方に対応する貯蔵室の側面にそれぞれ取り付けられ、蒸発器からドレンパンに至る連続した水止め部材とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、上記発明において、蒸発器は、複数枚の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通する蛇行状の冷媒配管とから成り、水止め部材は、冷媒配管のベンド部より外側における下方に位置することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、上記各発明において、水止め部材の厚さ寸法は、蒸発器及びドレンパンを覆うカバーが貯蔵室側面より突出する寸法に比して十分小さいことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、上記発明において、ドレンパンは、貯蔵室の側面に取り付けられる取付壁を有し、この取付壁の両側部には隆起部がそれぞれ形成され、水止め部材下端は、隆起部の内方における取付壁に連続することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、上記発明において、水止め部材とカバーとの間隔を、隆起部にて確保したことを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、上記各発明において、ドレンパンと貯蔵室側面との間はシール材にてシールしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の冷却配送台車によれば、移動用の車輪と、手押し用のハンドルと、配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、貯蔵室の側面に設けられた蒸発器を有し、この蒸発器により貯蔵室内を冷却する冷却装置と、蒸発器下方の貯蔵室の側面に設けられ、蒸発器からのドレン水を受けるドレンパンと、蒸発器の両側下方に対応する貯蔵室の側面にそれぞれ取り付けられ、蒸発器からドレンパンに至る連続した水止め部材とを備えたので、蒸発器から滴下した結露水を水止め部材によって円滑にドレンパンに案内することが可能となる。
【0020】
これにより、冷却配送台車の移動によって、蒸発器から滴下した結露水が貯蔵室の側面を伝って貯蔵室の底面等に溜まってしまい、貯蔵室内の物品を濡らしてしまう不都合を解消することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、蒸発器は、複数枚の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通する蛇行状の冷媒配管とから成り、水止め部材は、冷媒配管のベンド部より外側における下方に位置するので、蒸発器を構成する冷媒配管や熱交換フィンから滴下する結露水を水止め部材によって確実にドレンパンに案内することが可能となる。
【0022】
請求項3の発明によれば、上記各発明に加えて、水止め部材の厚さ寸法は、蒸発器及びドレンパンを覆うカバーが貯蔵室側面より突出する寸法に比して十分小さいので、カバー側面に冷気吸込口が設けられた場合であっても、当該水止め部材が冷気吸込の邪魔となる不都合を解消することができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、上記発明に加えて、ドレンパンは、貯蔵室の側面に取り付けられる取付壁を有し、この取付壁の両側部には隆起部がそれぞれ形成され、水止め部材下端は、隆起部の内方における取付壁に連続することにより、水止め部材を伝って流下する結露水を取付壁の隆起部より内方に案内することができる。
【0024】
そのため、ドレンパンに案内された結露水は、隆起部によって外方に至ることが抑制され、蒸発器から滴下した結露水を確実にドレンパンに案内することができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、上記発明に加えて、水止め部材とカバーとの間隔を、隆起部にて確保したので、水止め部材の位置決めを容易とすることができる。これにより、取付作業性を向上させることができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて、ドレンパンと貯蔵室側面との間はシール材にてシールしたので、毛細管現象によってドレンパンと貯蔵室側面との間に結露水が浸入してしまう不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の冷却配送台車の斜視図である。
【図2】図1の冷却配送台車の後方斜視図である。
【図3】扉を外した状態の冷却配送台車の後方斜視図である。
【図4】図3の正面から向かって左側面図である。
【図5】断熱箱体の内部構成を示す一部切欠斜視図である。
【図6】機械室の斜視図である。
【図7】機械室の平面図である。
【図8】機械室の右側面図である。
【図9】図8の部分拡大斜視図である。
【図10】固定具の使用状態を示す図である。
【図11】カバーを取り外した状態の蒸発器及びドレンパン周辺の正面図である。
【図12】ドレンパンの斜視図である。
【図13】ドレンパンの部分拡大断面図である。
【図14】パイプ26に挿通される断熱材の断面図である。
【図15】他の実施例としての断熱材の断面図である。
【図16】バンパー取付部分に拡大斜視図である。
【図17】バンパーの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。図1は本発明の冷却配送台車1の斜視図、図2は図1の冷却配送台車1の後方斜視図、図3は扉6を外した状態の冷却配送台車1の後方斜視図、図4は図3の正面から向かって左側面図をそれぞれ示している。
【0029】
本実施例の冷却配送台車1は、配送ベースにおいて交流電源が接続された状態では、当該交流電源の供給を受けて圧縮機57、各送風機42、59等を運転して貯蔵室4内を所定温度に冷却すると共に、蓄電池70、71の充填を行い、食品などの冷却配送物品を収納後、交流電源が切断された状態で蓄電池70、71からの給電によって圧縮機57、各送風機42、59等を運転して貯蔵室4内を所定温度に冷却し、手押しにて各家庭やオフィスなどの配送先に直接赴くことを可能とする物流用配送台車である。
【0030】
この冷却配送台車1は、台車2と、冷却貯蔵庫3とから構成される。台車2は、下面四隅に転動自在とされる移動用の車輪12・・・を備えた荷台11と、この荷台11の一側(本実施例では冷却配送台車1の前面を構成する側)より上方に起立した手押し用のハンドル14とを有する台車本体13とから構成されている。この台車2は、荷台11に冷却貯蔵庫3を配置した状態で、固定具15により固定されている。
【0031】
冷却貯蔵庫3は、台車2の荷台11と略同等の幅寸法に構成されており、上面に開口する断熱箱体20から本体が構成されている。この断熱箱体20は、上面に開口するアルミ製、若しくは、鋼板製の外箱21と、この外箱21内に間隔を存して組み込まれた上面に開口するアルミ板、鋼板若しくは硬質合成樹脂製の内箱22と、外箱21及び内箱22間に発泡充填された発泡ウレタンからなる図示しない断熱材とから構成されている。この冷却貯蔵庫3の断熱箱体20の外面隅角部には、上下に渡ってバンパー8が設けられている。尚、当該バンパー8の詳細な取付構造は後述する。
【0032】
そして、この内箱22内は、食品などの冷却配送物品を収納する貯蔵室4とされると共に、貯蔵室4の上面開口5は、上面一側を中心として回動自在に枢支される断熱性の扉6にて開閉自在に閉塞される。
【0033】
ここで、貯蔵室4内を所定温度に冷却する冷却装置Rの構成について図5乃至図13を参照して説明する。図5は断熱箱体20の内部構成を示す一部切欠斜視図、図6は機械室7の斜視図、図7は機械室7の平面図、図8は機械室7の右側面図、図9は図8の部分拡大斜視図、図10は固定具27の使用状況を示す図、図11はカバー41を取り外した状態の蒸発器及びドレンパン周辺の正面図、図12はドレンパンの斜視図、図13はドレンパンの部分拡大断面図をそれぞれ示している。
【0034】
貯蔵室4を構成する断熱箱体20のハンドル14が設けられている側の側面4A、即ち、前面内壁面略中央には、上下に延在し、内部に冷気ダクト37を構成するカバー41が設けられている。本実施例において当該カバー41は、幅寸法が当該前面内壁面の幅寸法よりも所定寸法だけ小さく形成された略矩形状を呈している。
【0035】
このカバー41の貯蔵室4側の面(断熱箱体20の後面に対向する面)の上部中央には、冷気吸込口43が形成されていると共に、この冷気吸込口43の貯蔵室4側の面には、貯蔵室4側に突出したファンガード44が取り付けられている。
【0036】
そして、このカバー41の貯蔵室4側の面の下部には、左右に渡って複数の冷気吐出口45が形成されていると共に、このカバー41の両側面には、下部から略中央(所定)の高さに渡って補助冷気吐出口46、46が形成されている。
【0037】
このカバー41内の冷気ダクト37には、冷却装置Rを構成する蒸発器40が縦設されていると共に、冷気循環用送風機42が配設されている。尚、図6では送風機42の図示を省略している。この蒸発器40は、複数枚の熱交換フィン34と、これら熱交換フィン34を貫通する蛇行状の冷媒配管35とから構成されている。並設されている熱交換フィン34の両端部に位置する冷媒配管35は、U字状のベンド部35Aにより連結されている。そして、当該蒸発器40は、取付部材36によって断熱箱体20の内壁面(貯蔵室4側の面4A)に沿って取り付けられる。
【0038】
そして、カバー41(冷気ダクト37)の底部には、蒸発器40の下方に位置して蒸発器40からのドレン水を受けるドレンパン47が配設されている。尚、当該ドレンパン47の詳細な構造については後述する。
【0039】
一方、断熱箱体20の底面には、所定の高さを有して冷却貯蔵庫3の機械室7を画成する台脚部50が取り付けられている。この台脚部50は、台車2の荷台11と略同等の幅寸法を有しており、上述した如き台車2の荷台11上に載置されて、固定具15によって固定される。本実施例において、この台脚部50は、矩形状に組み立てられた各辺50Aと、長手方向に延在する辺に略垂直に交差して配設される補助辺50Bとから構成されている。
【0040】
そして、台車2に固定される台脚部50により形成される前後側面は、前面パネル51、後面パネル52、側面パネル53、53にて被覆されている。これにより、断熱箱体20の下方に機械室7が形成される。
【0041】
この台脚部50の底面には、機械室7の底部に設けられるユニットベースが配設される。本実施例において、このユニットベースは、機械室7の前部、即ち、機械室7のハンドル14側に配設される第1のユニットベース板55と、この第1のユニットベース板55とは分離されて、機械室7の後部、即ち、機械室7のハンドル14側とは反対側(進行方向前方側)に配設される第2のユニットベース板56とから構成される。
【0042】
ここで、ハンドル14側とは反対側に配設される第2のユニットベース板56上には、蒸発器40と共に冷却装置Rを構成する凝縮器58、凝縮器用送風機59、59が配設されている。
【0043】
そして、ハンドル14側に配設される第1のユニットベース板55には、蒸発器40、凝縮器58と共に冷却装置Rを構成する圧縮機57、キャピラリーチューブ(減圧手段)60等、係る蒸発器40、凝縮器58以外の冷却装置Rの構成機器が配設されると共に、電装箱61や詳細は後述する蓄電池70、71が配設される。
【0044】
そして、機械室7内に配設される圧縮機57、凝縮器58、キャピラリーチューブ60、貯蔵室4内の蒸発器40等が冷媒配管によって順次接続され、環状の冷凍サイクルを構成している。
【0045】
ここで、機械室7を画成する台脚部50の各辺50Aや補助辺50B、更には、当該機械室7内に配設される凝縮器58の外縁部58Aや蓄電池70、71の図示しない外縁部、電装箱61の外縁部などには、固定具27が複数取り付けられている。
【0046】
この固定具27は、結束具28を挿通する挿通孔27を構成する挿通部27Aと、当該挿通部27Aの基部を構成し上述したように台脚部50や各機器の外縁部などにネジ止めなどによって固定される固定部27Bとから構成される。結束具28は、可撓性のバンド部材により構成されており、一端には、他端を挿通して締め付けて係止を行う係止部28Aが設けられている。これにより、工具等を用いずとも当該結束具28によって、冷却装置Rを構成する各機器、例えば圧縮機47や各送風機59、59、電装箱61更には、蓄電池70、71等からは引き出される配線29を結束することが可能とするものである。一般的には、当該結束具28は、SKBと称されるものを使用する。
【0047】
このように、固定具27は、結束具28にて束ねられた配線29を当該固定具27が固定された部分に固定するためのものであり、当該挿通部27Aの開口(連通方向)は、固定される配線の延在方向と略直交する方向と成るように台脚部50や各機器の外縁部などにネジによって固定されている。尚、当該固定具27の取付作業は、各機器の組立作業の前に行っておくものとする。
【0048】
これにより、冷却装置Rを構成する各機器から引き出される配線29は、結束具28を固定具27の挿通部27Aに挿通させた後、配線29を束ねる結束具28の一端を係止部28Aに係止させることによって、円滑に、当該配線29を束ねた状態で、固定具27に固定することが可能となる。
【0049】
そのため、機械室7内の寸法が限られている場合であっても、冷却装置Rの配線29を束ねる結束具28を固定具27の挿通孔27Aに挿通するのみで、機械室7への固定を行うことが可能となるため、作業性を著しく向上させることができる。従って、当該冷却配送台車1の移動の際に生じる振動によって、冷却装置Rの配線29が揺れ動き、抜けや損傷等を招来する不都合を解消することができる。
【0050】
また、本実施例では、安価なSKB等の結束具28を採用することによって、メンテナンス作業時には、固定具27に固定されたSKB等の結束具28を切断して配線29を取り外し、メンテナンス作業を行う。メンテナンス終了後は、再度SKB等の結束具28を用いて固定具27により機械室7内に配線29を束ねて固定することが可能となる。
【0051】
特に、本実施例では、結束具28を固定する固定具27は、機械室7を画成する台脚部50や冷却装置Rを構成する凝縮器58の外縁部58A等に固定されているため、容易に固定具27を機械室7に取り付けることができ、これにより、当該固定具27を用いて安定した配線29の固定を実現することができる。
【0052】
また、結束具28は、第1のユニットベース板55と第2のユニットベース板56間を渡る配線29をも結束することができるため、離れて配設される各機器の配線29を安定して機械室7を構成する台脚部50や各機器に固定することが可能となる。そのため、移動の際に生じる振動によって、冷却装置Rの配線29が揺れ動き、抜けや損傷等を招来する不都合を効果的に解消することができる。
【0053】
尚、本実施例では、固定具27は、台脚部50や凝縮器58の外縁部58A等に固定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、機械室7の周囲面を閉塞する各パネル51、52、53の内側に位置して取り付けてもよい。これによっても、容易に固定具27を機械室7に取り付けることができ、当該固定具27を用いて安定した配線29の固定を実現することができる。
【0054】
一方、蓄電池70、71が配設される第1のユニットベース板55側に位置する機械室7の前面パネル51には、当該蓄電池70、71を冷却配送台車1の前面側から容易に挿脱可能とするための開口が形成されており、当該開口は扉64により開閉自在に閉塞される。
【0055】
そして、凝縮器58が配設される第2のユニットベース板56側に位置する機械室7の後面パネル52には、当該凝縮器58に対向する複数の吸込孔52Aが形成されている。そして、機械室7の両側面を閉塞する側面パネル53、53には、切り起こしによって複数の吹出孔53Aが形成されている。
【0056】
これにより、作業者が、冷却配送台車1の前面に立ち、ハンドル14を握って前方に押して移動することにより、進行方向前側に位置する吸込孔52Aから外気が効率的に機械室7内に進入し、凝縮器58、圧縮機57を冷却した後、側面パネル53に形成される吹出孔53Aより廃熱が排出される。そのため、ハンドル14を操作する作業者に機械室14内の廃熱が吹き付けられる不都合を解消することができる。
【0057】
本実施例では、機械室7に配設される機器の内、比較的重量の嵩む圧縮機57や蓄電池70、71をハンドル14側に配設し、大型で比較的重量の小さい凝縮器58をハンドル14側とは反対側に配設することによって、冷却配送台車1のハンドル14側の重量を、ハンドル14の反対側、即ち、手押し作業における進行方向前側に比して重くなるように配設することができる。
【0058】
本実施例では、機械室7の底面に配設されるユニットベースは、圧縮機57や蓄電池70、71等が配設される第1のユニットベース板55と、凝縮器58等が配設される第2のユニットベース板56とに分離して設けられているため、ユニットベースの重量を減少させることができる。これにより、冷却配送台車1全体の軽量化を実現することが可能となる。
【0059】
他方、上述した如き貯蔵室4内に配設された蒸発器40からのドレン水を受容するドレンパン47は、上面に開口した矩形体により構成されており、蒸発器40が配設される断熱箱体20の内壁面(貯蔵室4の側面4A)に取り付けられる取付壁47Aを有する。この取付壁47Aと、貯蔵室4の側面4Aとの間は、シール材(コーキング材)にてシールして(密着して)取り付けられている。
【0060】
このドレンパン47の底面47Bには、内部に受容されたドレン水を外部に排出するための排水口23が形成されており、この排水口23には、断熱箱体20の底壁20Aに向けて垂下して構成されるドレンパイプ24が一体に形成されている。断熱箱体20の底壁20Aには、貫通孔20Bが形成されており、当該貫通孔20Bには、ドレンソケット25が埋設されている。そして、ドレンパイプ24の下端がこのドレンソケット25に接続される。また、このドレンソケット25の下端には、機械室7を介して外部に引き出されるドレンホース48が接続されている。
【0061】
また、機械室7のハンドル14側、即ち、冷却配送台車1の前側には、ハンドル14と冷却貯蔵庫3との間に位置してドレン水の排水口を構成する排水ソケット67が設けられている。この排水ソケット67は、前面パネル51の一側、本実施例では正面から向かって右側に位置して取り付けられており、その一端は、台車2の側端面と略面一に位置していると共に、他端は、前面パネル51に形成された貫通孔51Aを貫通して機械室14内に臨んでいる。この排水ソケット67は、両端が連通して構成されていると共に、外部に位置する端部開口は、開閉蓋68によって開閉可能に閉塞されている。
【0062】
これにより、配送ベースから出発して配送や集配に出ている際には、排水ソケット67の開閉蓋68を閉塞しておくことにより、蒸発器40からのドレン水は、ドレンパン47から排出された後、機械室7内を蛇行して設けられるドレンホース48内に貯めておくことができる。
【0063】
そして、配送ベース等に帰還した際など、排水時には、排水ソケット(排水口)67を閉塞している開閉蓋68を任意に開放することで、ドレンホース48内に受容されたドレン水を排出することが可能となる。
【0064】
また、ドレンパン47には、当該ドレンパンの最大水位、即ち、取付壁47A以外のドレンパン47を構成する各壁面47C・・の高さ位置、よりも高い位置にて上端が開口し、断熱箱体20の底壁20Aを貫通して下端が機械室7内に連通したパイプ26が一体に形成されている。
【0065】
パイプ26は、その外面から張り出す当て板部26Aが形成されており、この当て板部26Aは、ドレンパン47が貯蔵室4内に取り付けられた状態で、当該貯蔵室4の底面、即ち、断熱箱体20の底壁20A上に当接する構成とされている。
【0066】
本実施例では、断熱箱体20の底壁20Aには、外面が撥水加工処理、例えばパラフィン加工処理が施された成形断熱材31が埋設されている。この成形断熱材31内には上下にパイプ26が通過する貫通孔31Aが形成されている。
【0067】
そして、ドレンパン47の取付の際には、当て板部26Aの貯蔵室4の底面との当接面26Bには、シール材(コーキング材)が塗布されて取付が行われる。
【0068】
これにより、パイプ26が挿通される貯蔵室4側の開口周囲においては、パイプ26の外面に形成された当て板部26Aが貯蔵室4の底面と当接して設けられるので、パイプ26を挿通するための底壁20Aに埋設された成形断熱材31の貫通孔31Aより貯蔵室4内底面に溜まったドレン水が機械室7内や断熱箱体20の断熱材内に浸入する不都合を解消することができる。
【0069】
また、パイプ26が挿通される断熱箱体20の底壁20Aには、外面が撥水加工された成形断熱材31が設けられ、この成形断熱材31にパイプ26を挿通する貫通孔31Aが形成されているので、パイプ26が通過する断熱箱体20の底壁20Aの貫通孔31Aを成形断熱材31にて断熱することができると共に、当該成形断熱材31は撥水可能が施されているため、より確実に、断熱箱体20の断熱材にドレン水が浸入する不都合を回避することが可能となる。そのため、断熱箱体20の断熱材に水が浸入することにより劣化し断熱性が低下する不都合を回避することができる。
【0070】
特に、本実施例では、貫通孔20Cの貯蔵室4側の開口周囲において当て板部26Aと貯蔵室4の底面(断熱箱体の底壁20A)との間には、シール材にてシールした状態で当接されているため、当該当て板部26Aと成形断熱材31の貫通孔31Aとの間からドレン水が浸入する不都合をより効果的に回避することができる。
【0071】
また、本実施例では、パイプ26は、ドレンパン47と一体に形成されているため、煩雑な取付作業性を著しく解消することができ、生産性を向上させることができる。
【0072】
そして、このように貯蔵室4の内壁面に取り付けられたドレンパン47のパイプ26には、蒸発器40から圧縮機57に至る吸込配管(冷媒配管)62と、凝縮器58から蒸発器40の間に配設されるキャピラリーチューブ60と、蒸発器40と共にカバー41の冷気ダクト37内に配設される冷気循環用送風機42からの配線42Aが挿通される。
【0073】
吸込配管62は、蒸発器40から降下しており、図11に示すように一旦上昇する方向に屈曲した屈曲部62Aが形成されており、その屈曲部62Aの端部が、その後降下してパイプ26に至る。
【0074】
パイプ26に挿通されるこれら吸込配管62とキャピラリーチューブ60は、断熱材30によってこれらの周囲が覆われている。そして、この断熱材30の外面には、図14の概略断面図に示すように、長手方向に渡って凹所30Aが形成されている。そして、この凹所30A内に冷気循環用送風機42からの配線42Aが配置された状態で、断熱材30に覆われた吸込配管62、キャピラリーチューブ60及び配線42Aとがパイプ26に挿通される。
【0075】
そして、貯蔵室4側にて吸込配管62及び配線42Aが少なくとも断熱材30から出る部分、本実施例では、断熱材30を含む部分は、ビニルなどの可撓性のカバー32にて被覆される。尚、当該カバー32は、上述したようなSKB等で固定される。
【0076】
これにより、蒸発器40から機械室7内に配設された圧縮機57に至る吸込配管62やキャピラリーチューブ60及び、冷気循環用送風機42からの配線42Aは、貯蔵室5側からドレンパン47に形成されたパイプ26を介して機械室7内に引き出すことが可能となる。
【0077】
このパイプ26は、上端開口がドレンパン47の最大水位(即ち、取付壁47Aを除く各側壁47Cの高さ寸法)よりも高い位置とされていることから、ドレンパン47に受容されるドレン水によってパイプ26内に挿通される吸込配管62や配線42A等が水に濡れてしまう不都合を回避することができる。
【0078】
これにより、吸込配管62や配線42A等をドレンパン47の側方に避けて機械室7に引き出す必要が無くなり、限られた貯蔵室4内のスペースを有効に利用することができる。そのため、より寸法の大きな蒸発器40及びこれに応じたドレンパン47を設置することが可能となり、冷却能力の充実を図ることができる。
【0079】
また、本実施例では、吸込配管62の周囲や貯蔵室4内に位置するキャピラリーチューブ60の周囲は、断熱材30にて覆われているため、この断熱材30によって確実に吸込配管62の周囲と貯蔵室4内とを断熱することができ、これらの温度差によって低温となる吸込配管62の表面に着霜が発生する不都合を効果的に解消することができる。
【0080】
そして、この断熱材30の外面には、配線42Aを沿わせて収納するための凹所30Aが形成されているため、直接吸込配管62に配線42Aを沿わせることなく、且つ、パイプ26に挿通される吸込配管62に配線42Aを沿わせるかたちで、当該吸込配管62と共に配線42Aを同一のパイプ26を介して機械室7に導くことができる。
【0081】
吸込配管62が銅管などで構成されている場合、配線42Aが直接当該吸込配管62に当接すると、その表面が傷めつけられる不都合が生じるが、このように、吸込配管62を囲繞する断熱材30の外面に形成された凹所30A内に収容することによって、当該吸込配管62の配線42Aによる損傷を回避することができるようになる。
【0082】
また、本実施例では、少なくとも貯蔵室4側にて吸込配管62及び配線42Aが断熱材30から出る部分をカバー32にて覆っているため、これら吸込配管62や配線42A及び断熱材30の端面等が上方に位置する蒸発器40から滴下するドレン水によって濡れてしまう不都合を解消することができる。
【0083】
特に、吸込配管62は、上述したように蒸発器40から降下しており、一旦上昇する方向に屈曲する屈曲部62Aが形成されているため、吸込配管62に付いたドレン水を当該屈曲部62Aの下端からドレンパン47内に滴下させることができる。そのため、パイプ26に挿通される側の吸込配管62の端部から当該吸込配管62の表面に付着したドレン水が直接パイプ26内に導かれることにより、断熱箱体20の貫通孔31A付近の断熱材に水が進入してしまう不都合を解消できる。これにより、断熱箱体20の断熱材の断熱性能低下を抑制することが可能となる。
【0084】
上述したように、パイプ26の下端は、機械室7内に進入して開口しているので、断熱箱体20の底壁20Aの断熱材を傷めることなく、パイプ26に挿通される吸込配管62を機械室7内に引き出すことが可能となる。
【0085】
尚、上記実施例では、吸込配管62の周囲を覆う断熱材30の外面に凹所30Aを形成して、当該凹所30Aに配線42Aを沿わせて収納しているが、これ以外にも図15の断面図に示すように、断熱材30の内部に配線42Aを収納するための収納部30Bを形成し、この収納部30Bから断熱材30の外面に至る切込30Cを形成しても良い。これにより、配線42Aを断熱材30の外面に形成された切込30Cから当該断熱材30の内部に形成された収納部30B内に収納することができる。
【0086】
これによっても、安定して配線42Aを吸込配管62及びこれを覆う断熱材31と共にドレンパン47のパイプ26内を挿通させて機械室7内に引き出すことが可能となる。
【0087】
この場合も、吸込配管62と配線42Aとを接触させることなく同一のパイプ26を介して機械室7内に導くことが可能となるため、例えば、配線42Aによって吸込配管62表面が傷つけられてしまう不都合を解消することができる。
【0088】
また、上記実施例に加えて、吸込配管62が屈曲された部分(屈曲部62A)の最下点に当接されて水滴落下促進部材を設けても良い。これにより、吸込配管62に付着したドレン水を積極的に当該屈曲部62Aの最下点からドレンパン47に導くことができ、ドレンパン47に設けられたパイプ26にドレン水が浸入する不都合を解消することができる。
【0089】
一方、貯蔵室4の側面4Aには、蒸発器40の両側、本実施例では、蒸発器40を構成する冷媒配管35のベンド部35Aより外側における下方に対応する位置に水止め部材33、33が密着して取り付けられている。この水止め部材33は、例えば発泡ポリエチレンなどにより構成された部材であって、蒸発器40及びドレンパン47を覆うカバー41が貯蔵室4の側面4Aより突出する寸法に比して十分小さい寸法の厚さ寸法、例えば5mm程度に構成されている。また、この水止め部材33は、当該蒸発器40の両側近傍からドレンパン47の前記取付壁47Aの上縁部にまで渡って構成される。
【0090】
取付壁47Aの上縁部の両側部には上方に突出した隆起部47Dがそれぞれ形成され、水止め部材33の下端は、隆起部47Dの内方における取付壁47Aに当接して設けられ、連続して構成される。
【0091】
本実施例における冷却配送台車1は、配送場所や集配場所に到着する度に扉6が開放されるため、貯蔵室4内に湿気を多く含んだ外気が侵入しやすい構成とされているため、低温とされる蒸発器40には、ドレン水が生じやすい。
【0092】
ここで、低温とされる蒸発器40を構成する熱交換フィン34や冷媒配管35、ベンド部35Aの表面にはドレン水が付着する。当該蒸発器40から滴下したドレン水は、直接下方に設置されるドレンパン47に滴下若しくは、当該蒸発器40が取り付けられる貯蔵室4の側面4Aに沿って滴下する。蒸発器40とドレンパン47の取付壁47A上端との間に位置する貯蔵室4の側面4Aに付着したドレン水は、冷却配送台車1自体の使用形態が移動を伴うものであるため、垂直に滴下するとは限らず、横方向に伝って移動していく。
【0093】
ここで、貯蔵室4の側面4Aに付着していたドレン水が当該横方向への移動によって水止め部材33に到達すると、当該水止め部材33を越えて更に横方向へ(蒸発器40から離間する方向へ)移動することができない。水止め部材33に到達したドレン水は、当該水止め部材33を伝って、下方に配置されたドレンパン47に向けて円滑に案内される。
【0094】
そして、水止め部材33の下端は、ドレンパン47の取付壁47Aの上端に当接し、水の流下経路が連続するように構成されているため、ドレンパン47の取付壁47Aの上端に到達したドレン水は、ドレン水としてドレンパン47に受容される。
【0095】
これにより、冷却配送台車1の移動によって、蒸発器40から滴下したドレン水が貯蔵室4の側面4Aを伝って貯蔵室4の底面等に溜まってしまい、貯蔵室4内の物品を濡らしてしまう不都合を解消することができる。
【0096】
特に、本実施例では、蒸発器40の冷媒配管35のベンド部35Aの外側における下方に位置して水止め部材33、33が設けられているため、蒸発器40を構成する冷媒配管35や熱交換フィン34から滴下するドレン水を水止め部材33によって確実にドレンパン47に案内することが可能となる。
【0097】
また、本実施例では、上述したように、ドレンパン47の取付壁47Aと、貯蔵室4の側面4Aとの間には、シール材にてシールされているため、これらの隙間から毛細管現象によってドレンパン47と貯蔵室4側面4Aとの間にドレン水が浸入してしまう不都合を解消することができる。
【0098】
また、水止め部材33を伝ってドレンパン47の取付壁47Aの上端に達したドレン水は、当該取付壁47Aの上端部の両側部には、上方に突出した隆起部47Dが形成されているため、冷却配送台車1の移動によって横方向の力が加わっても、当該隆起部47Dを容易に越えることができず、当該隆起部47Dに達したドレン水は、この隆起部47Dによって内方に案内される。
【0099】
そのため、ドレンパン47に案内されたドレン水は、隆起部47Dによって外方に漏出することが抑制され、蒸発器40から滴下したドレン水を確実にドレンパン47に案内することができる。
【0100】
尚、水止め部材33の下端を隆起部47Dの内方に取り付けることで、取付位置が確定される。これによって、水止め部材33と、蒸発器40及びドレンパン47を被覆するカバー41との間隔を、隆起部47Dにて確保することが可能となる。水止め部材33の取付作業性の向上を係ることができる。
【0101】
また、この水止め部材33は、厚さ寸法が、蒸発器40及びドレンパン47を覆うカバー41が貯蔵室4側面4Aより突出する寸法に比して十分小さく構成されているため、本実施例のようにカバー41の側面に冷気吸込口46が設けられていても、当該水止め部材33が冷気吸込口46を閉塞してしまう不都合を解消することができ、当該冷気吸込口46からの冷気流入を邪魔となる不都合を解消することができる。
【0102】
次に、図16及び図17を参照して上記バンパー8の取付構造について説明する。図16はバンパー8取付部分に拡大斜視図、図17はバンパー8の部分拡大断面図である。本実施例においてバンパー8は、上下方向に延在して構成される弾性部材、例えばゴム製部材により構成されている。この弾性部材により構成されたバンパー8は複数のビス63・・によって断熱箱体20の隅角部からその下方の機械室7を構成する各パネルにまで渡って取り付けられている。
【0103】
本実施例では、特に、冷却配送台車1の手押しハンドル14の操作による進行方向に位置する隅角部、即ち、ハンドル14が取り付けられている側とは反対側に位置する面の両側部(隅角部)に取り付けられている。
【0104】
バンパー8は、冷却配送台車1の進行方向に位置する面とこれと連続して構成される側面とに連続して当接して構成されており、それぞれ断熱箱体20(パネル52、53)とは反対側に位置する面、それぞれの外面には、上下方向に渡って凹み部8Dが形成されており、当該凹み部8Dには、上下方向に所定間隔を存して複数の凹陥部8Aが形成されている。
【0105】
そして、各凹陥部8Aには、ビス63を挿通するためのビス孔8Bが形成されている。本実施例では、上記図1等に示されているように、断熱箱体20側には所定間隔を存して3つ、機械室7を閉塞するパネル52又は53側に1つ形成されている。そのため、パネル52、53とバンパー8とが重複する部分の下端は、バンパー8から各パネル52、53に固定されるビス63により固定されるが、上端は、当該バンパー8との重複部分を回避した位置において設けられるビス65によりパネル52、53が本体側(台脚部50)に固定される。
【0106】
また、この凹陥部8Aは、少なくともビス孔8Bに挿通されて固定されるビス63の頭部63Bが収容可能な寸法に形成されている。また、当該凹陥部8Aが形成される凹み部8Dの開口縁内側には、段差部9Cが形成されている。
【0107】
バンパーのビス孔8B内に挿通されるビス63のネジ部63A周囲には、ビス孔8B内に収容可能な寸法、即ち、ビス孔8Bの深さ寸法と略同等の長さ寸法を有するスリーブ66が設けられる。また、このビス63のネジ部63Aの周囲にスリーブ66が設けられた状態で、このスリーブ66にワッシャ68が挿通して設けられている。
【0108】
バンパー8を断熱箱体20からパネル52、53に渡って取り付ける場合には、先ず、バンパー8を当該断熱箱体20及びパネル52、53の隅角部に宛い、ワッシャ68、スリーブ66をビス63のネジ部63Aに挿通させた状態で、バンパー8のビス孔8Bに挿通させる。ビス63のネジ部63Aを断熱箱体20又はパネル52、53に形成されたネジ孔に螺合させる。
【0109】
このとき、スリーブ66は、ワッシャ68を挿通可能な寸法に形成されているため、当該ビス63の締め付けにより、スリーブ66の一端は、ワッシャ68を貫通してビス63の頭部63Bに当接し、他端は、断熱箱体20又はパネル52、53の外面に当接する。また、このスリーブ66は、上述したようにバンパー8に形成されたビス孔8Bの深さ寸法と略同等の長さ寸法を有するため、ビス63を締め付けてバンパー8を断熱箱体20又はパネル52、53にビス止めした際に、ビス63の頭部63Bは、ビス孔8B内に位置するスリーブ66にて支持するされる。これによって、変形しやすい弾性部材にて構成されるバンパー8のビス孔8Bにビス63の頭部63Bが潜り込むかたちとなってバンパー8が変形してしまう不都合を確実に回避してビス止めを行うことができる。
【0110】
これにより、断熱箱体20及びパネル52、53の隅角部に上下に渡って設けられたバンパー8が確実に設けられ、周囲の物品に当該冷却配送台車1が衝突した場合にも、弾性部材にて構成されるバンパー8によって衝撃を緩和することができる。そのため、断熱箱体20の破損や貯蔵室4内に収納される配送物品の破損等を抑制することが可能となる。
【0111】
また、本実施例では、弾性部材にて構成されるバンパー8を変形させることなく断熱箱体20やパネル52、53に取り付けることが可能となり、冷却配送台車1全体の美感の向上を図ることができる。また、バンパー8の変形により生じる隙間から当該バンパー8と断熱箱体20又はパネル52、53間にゴミ等が侵入する不都合を回避できる。
【0112】
更に、バンパー8に取り付けられたビス63は、凹陥部8A内に位置するため、ビス63の頭部63Bがバンパー8よりも外方に突出することによって、周囲の物品等に最初に当接するものがバンパー8ではなくビス63となることによる不都合を解消できる。また、美観の低下を解消できる。
【0113】
尚、当該ビス63の頭部63B裏面とワッシャ68、ワッシャ68とスリーブ66のそれぞれの当接面は、相互に接着されて一体化された状態で用いても良い。これにより、生産現場にて細かな部材を組み合わせる煩わしさを解消でき、生産作業性の向上を図ることができる。また、このようなワッシャ68、スリーブ66等を一体化した形状のビスを生産する場合に比して、本実施例では、既存の部材を接着により構成するため、著しくコストの低減を図ることができる。
【0114】
そして、当該バンパー8の凹み部8Dの開口縁には、バンパー8の長手方向に渡って、段差部8Cが形成されている。そのため、上述したように、ビス63によりバンパー8の取付が行われた後、当該段差部8Cの縁部に沿って、反射板69を接着により取り付ける。当該反射板69の裏面周辺部には、接着剤が塗布されており、また、少なくとも外面に反射材料が設けられている。本実施例では、反射板69は、凹陥部8Aの上縁から最も下端に設けられるビス孔(機械室7を閉塞するパネル52、53へのビス止めに用いられるビス孔)8Bの上方に渡って設けられる。
【0115】
これにより、ビス63が設けられるバンパー8の凹陥部8A内は、当該反射板69により隠蔽されるため、ビス63が外観に現れない構成とすることができ、美感の向上を図ることができる。また、バンパー8の凹み部8Dの開口縁内側に反射板69が接着して設けられるため、路上等において冷却配送台車1が使用される際には、車両等からのライトを反射板69にて反射することにより、当該台車の高さ寸法等を車両等にアピールすることができる。これにより、安全面において有利となる。
【0116】
また、本実施例では、上述したように、パネル52、53にバンパー8を固定する下端部のビス63は、反射板69により隠蔽されていない。そのため、機械室7内のメンテナンス作業を行う際には、反射板69を剥がすことなく、反射板69により隠蔽されていない下端部のビス63と、当該パネル52を本体側(台脚部50)に固定する各ビスを取り外すのみで、機械室7の周囲面を閉塞するパネル52の取り外しを行うことが可能となる。
【0117】
これにより、機械室7内のメンテナンス作業に当該断熱箱体20に設けられたバンパー8が邪魔となる不都合を解消することができる。
【0118】
尚、本実施例では、凹み部8Dに凹陥部8Aを形成し、凹み部8Dの開口縁に段差部8Cを形成しているが、これに限定されるものではなく、凹陥部8Aの開口縁内側に段差部8Cを形成しても同様の効果を奏する。
【0119】
以上の如く構成された冷却配送台車1は、蓄電池70、71によって駆動する圧縮機57により、貯蔵室4内を所定温度に冷却することができ、所定の冷却状態を維持した状態で配送物品をハンドル14を押して配送先に配送することが可能となる。
【0120】
そのため、車両が入り込むことができない路地や建物内であっても、このような冷却状態を維持した状態で配送物品を配送することが可能となり、配送中に保存温度が上昇することによる配送物品の品質劣化を回避することができる。当該冷却配送台車1を用いて、集配先から集配物品を集配することによっても、集配中における保存温度の上昇を回避することができる。
【0121】
これにより、配送物品等を一定温度を維持して配送することができ、配送時における信頼性の向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0122】
R 冷却装置
1 冷却配送台車
2 台車
3 冷却貯蔵庫
4 貯蔵室
4A 側面
7 機械室
8 バンパー
8A 凹陥部
12 車輪
13 台車本体
14 ハンドル
20 断熱箱体
20A 底壁
20B、20C 貫通孔
23 排水口
24 ドレンパイプ
25 ドレンソケット
26 パイプ
27 固定具
27A 挿通部
27B 固定部
28 結束具
29 配線
30 断熱材
30A 凹所
31 成形断熱材
32 カバー
33 水止め部材
34 熱交換フィン
35 冷媒配管
35A ベンド部
40 蒸発器
41 カバー
42 冷気循環用送風機
46 補助冷気吐出口
47 ドレンパン
47A 取付壁
47B 底壁
47C 側壁
47D 隆起部
50 台脚部
57 圧縮機
58 凝縮器
59 凝縮機用送風機
60 キャピラリーチューブ(減圧手段)
62 吸込配管
62A 屈曲部
63、65 ビス
66 スリーブ
68 ワッシャ
69 反射板
70、71 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用の車輪と、
手押し用のハンドルと、
配送物品を収納する貯蔵室を有した断熱箱体と、
前記貯蔵室の側面に設けられた蒸発器を有し、該蒸発器により前記貯蔵室内を冷却する冷却装置と、
前記蒸発器下方の前記貯蔵室の側面に設けられ、前記蒸発器からのドレン水を受けるドレンパンと、
前記蒸発器の両側下方に対応する前記貯蔵室の側面にそれぞれ取り付けられ、前記蒸発器から前記ドレンパンに至る連続した水止め部材とを備えたことを特徴とする冷却配送台車。
【請求項2】
前記蒸発器は、複数枚の熱交換フィンと、これら熱交換フィンを貫通する蛇行状の冷媒配管とから成り、
前記水止め部材は、前記冷媒配管のベンド部より外側における下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の冷却配送台車。
【請求項3】
前記水止め部材の厚さ寸法は、前記蒸発器及びドレンパンを覆うカバーが前記貯蔵室側面より突出する寸法に比して十分小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却配送台車。
【請求項4】
前記ドレンパンは、前記貯蔵室の側面に取り付けられる取付壁を有し、該取付壁の両側部には隆起部がそれぞれ形成され、前記水止め部材下端は、前記隆起部の内方における前記取付壁に連続することを特徴とする請求項3に記載の冷却配送台車。
【請求項5】
前記水止め部材と前記カバーとの間隔を、前記隆起部にて確保したことを特徴とする請求項4に記載の冷却配送台車。
【請求項6】
前記ドレンパンと前記貯蔵室側面との間はシール材にてシールしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載の冷却配送台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−47560(P2011−47560A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195583(P2009−195583)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】