説明

冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプンの製造方法

本発明は、押出機の第1ゾーン(10)で、アルカリ性デンプンを糊化する工程;押出機の第2ゾーン(11)で、架橋剤としてPOClを加える工程;押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、POClを用いて、得られた糊化デンプンを架橋する工程;押出機の第4ゾーン(13)に存在する、得られた架橋糊化デンプンを中和する工程;及び押出機の第5ゾーン(14)で、得られた架橋糊化デンプンを回収する工程からなる冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続押出方法に関する。本発明は、更に、冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続押出方法を行うために提供される押出機スクリュー構造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水膨潤性リン酸架橋(予備)糊化デンプン誘導体を製造するための連続方法に関する。本発明はさらに、冷水膨潤性リン酸架橋デンプン誘導体を製造するための連続方法を行うために提供される押出機スクリュー構造(形状又は形態)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リン酸架橋デンプンは、デンプンを、ポリリン酸塩またはオキシ塩化リン試薬、例えば、POClと反応させることによって製造される。
【0003】
米国特許第2,852,393号及び米国特許第2,801,242号に、架橋剤としてトリメタリン酸ナトリウム(STMP)を用いる手法が開示されている。それにより、膨張し得るが崩壊しない粒状架橋デンプンが開示されている。
【0004】
米国特許第2,328,537号及び米国特許第2,754,232号に、STMPに代わる手段として、架橋剤としてPOClの使用が開示されている。この架橋法の目的は、未処理デンプンと比較して、より糊化しにくいが、その糊は加熱による分解に関して増大した安定性を有するデンプン誘導体を提供することである。
【0005】
そのようなリン酸架橋デンプンは、後の段階で、予備糊化冷水膨潤性誘導体を得るためにさらに加工された。このような即席料理用の誘導体は、米国特許第5,187,272号及び米国特許第4,219,646号に記載されている。これらのデンプンは、ソース又は電子レンジ用製品等のインスタント食品用途に、又はインスタントプディング配合物用増粘剤として使用される。これらの予備糊化架橋デンプンは、噴霧調理又はドラム乾燥によって得られるが、WO97/00620又はEP0358444に開示されているように、押出法も用いられた。これらの特許文献では、押出法の役割は、デンプンを糊化することと同時に変化しやすい分子の分解を引き起こすことである。
【0006】
従って、上述の先行技術の工業的方法は、下記のような複数の欠点を有する:
・水性反応媒体を使用する場合、多くの汚染水が生じ、この水は廃水処理装置で処理する必要があり、それによってデンプンの一部が失われること;
・これらの方法は、多くのエネルギーを消費し、処理装置に高投資コストを要求する2段階法であること;
・水は架橋剤を分解し、架橋剤と反応するので、架橋反応は、50%を超える水分含量で水が存在する湿潤条件で行う場合、20〜50%の間の水分含量である(半)乾燥条件で行う反応と比較して、効率がより低いことも知られていること;
・デンプンの化学的改質(又は変性)は、粒状デンプンで反応を行う場合、より均一でないことが明らかにされている。より均一でない反応とは、一部のアミラーゼ及び/又はアミロペクチン鎖が架橋されていないということであり、調理中にそのようになった場合、これらの鎖がより厳しいpH、温度及び剪断条件に対して耐性がより低いということを意味する。
【0007】
リン酸塩含有試薬を用いる反応押出(ここで、反応は押出機内で行われる)は、EP0396226及びWO2004/108813に開示されている。EP0396226では、ガラス状架橋デンプンは、塗膜剥離剤として使用するために製造される。この改質デンプンは冷膨潤特性を有さない。WO2004/108813では、ライ麦粉を、SMTPを用いて改良し、それにより懸濁特性の向上を示す改質粉末を提供する。この改質粉末は、紙のサイジング用途に使用される。
【0008】
反応押出は、科学文献及び技術文献にも記載されている。"Journal of Food Process Engineering (2003)"及び"Carbohydrate Polymers (2005, M. Seker and M. A. Hanna)では、単軸スクリュー押出機によるデンプンの架橋反応を論ずる。どちらの場合も、架橋は、試薬としてSTMPを用いて行われる。即席料理用の増粘特性を示す製品を提供するためには、極めて高濃度のSTMPが必要である。食物用途を考える場合、過剰なリン酸塩を除去する必要があり、そのために追加の精製工程を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、食物用途又は非食物用途の増粘剤として又は接着剤として使用することができる冷水膨潤性(又は膨潤)リン酸架橋糊化(又はゼラチン化)デンプン誘導体を製造するための、改良され、より簡単(又は簡易)な連続方法を提供することであり、それによって、工程数が限られ、エネルギーの消費量がより低減し、廃水の生成量が減少し、化学薬品の消費量が抑えられる等の上述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続押出方法(又は連続押出製造方法)であって、下記の
押出機の第1ゾーンで、アルカリ性デンプン(又はアルカリデンプン)を糊化する工程;
押出機の第2ゾーンで、架橋剤としてPOClを加える工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーンで、得られた糊化デンプンを、POClを用いて架橋する工程;
押出機の第4ゾーンに存在する、得られた架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーンで、得られた架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる連続押出方法を提供することで解決する。
【0011】
本発明の方法を用いると、まず第1に複数の工程が1つの工程に減じられ、そしてエネルギーの消費量がより低減し、廃水の生成量が減少し、化学薬品の消費量が抑えられる。
【0012】
本発明の方法のさらなる長所は、
食物用途及び非食物用途の両方に用いることができる架橋デンプンであって、
糊化され、架橋され、同時に中和される架橋デンプンであり、
まず架橋され、その後、ドラム乾燥、噴霧調理又は押し出しにより糊化されるデンプンと異なる性質を有する
架橋デンプンを得られることである。
【0013】
本発明に基づく好ましい連続押出方法では、前記方法は、下記の
押出機の該第1ゾーンの第1部分ゾーンに、アルカリ性デンプンを連続的に供給する工程であって、第1ゾーンの温度が20℃±3℃である工程;
押出機の該第1ゾーンの第2部分ゾーンで、アルカリ性デンプンに余分の(又は追加の)量の水を、温度55〜65℃の間で、70:30〜50:50の間の乾燥重量のデンプンと水との比率で、連続的に供給する工程;
押出機の該第1ゾーンの第3部分ゾーンで、アルカリ性デンプン/水混合物を、約100℃の温度で混練して、糊化デンプンを得る工程;
温度が約100℃±5℃である押出機の第2ゾーンで、糊化デンプンにPOClを連続的に供給する工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーンで、糊化デンプンを架橋して、架橋糊化デンプンを得る工程;
押出機の第4ゾーンで、架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーンで、架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる。
【0014】
本発明に基づく好ましい連続押出方法では、回収された架橋糊化デンプンは実質的に室温に冷却後、その寸法(又はサイズ)は更に小さくなる。
【0015】
前記連続押出法の必要な特定の(又は具体的な)機械的入力は、350〜1000kJ/kgの間にある。
【0016】
前記連続押出方法の必要な特定の(又は具体的な)機械的入力は、450〜750kJ/kgの間にあることがより好ましい。
【0017】
本発明に基づく連続押出方法の好ましい態様では、押出機の第1ゾーンの第2部分ゾーンでの乾燥重量デンプンと水との比率は、70:30〜50:50の間である。「乾燥重量デンプン」という表現は、100%乾燥デンプンを意味する。
【0018】
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーンで、POClを用いることによる、得られた糊化デンプンの架橋は、70℃〜90℃の間の測定され及びモニタリングされた温度で行うことが好ましい。
【0019】
本発明に基づく有利な連続押出方法では、押出機の第2ゾーン及び第3ゾーンで、POClを用いることによる、得られた糊化デンプンの架橋は、75℃〜85℃の間の測定及びモニタリングされた温度で行う。
【0020】
本発明に基づく連続押出方法の好ましい態様では、回収され冷却された架橋糊化デンプンの更なる縮小化(又は寸法の縮小化)は、粉砕により行う。
【0021】
アルカリ性デンプンの連続供給は、投与装置(又は注入システム:dosing system)を用いて行うことが好ましい。
【0022】
本発明に基づく有利な連続押出方法では、押出機について、1軸スクリュー構造(又は配置)、共回転式二軸スクリュー構造又は逆転式二軸スクリュー構造を用いて行う。
【0023】
本発明の更なる目的は、本発明に基づく、冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続方法を行うことを可能にする押出機スクリュー構造を提供することである。
【0024】
本発明のこの目的は、
冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続方法であって、
下記の
押出機の第1ゾーンで、アルカリ性デンプンを糊化する工程;
押出機の第2ゾーンで、架橋剤としてPOClを加える工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーンで、POClを用いることによって、得られた糊化デンプンを架橋する工程;及び
押出機の第4ゾーンに存する、得られた架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーンで、得られた架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる連続方法であり、
前記第1ゾーンは、
・Zフライト運搬要素(Z-flight conveying elements)から構成される第1部分ゾーン及び第2部分ゾーン;
・Zフライト運搬要素、続いてニーディングブロック部分(又は混練ブロック部分)から構成される第3部分ゾーン
からなり;
前記第2ゾーンは、更なるニーディングブロックと組み合わされた運搬要素から構成され;
前記第3ゾーンは、Zフライト運搬要素から構成され;
前記第4ゾーンは、運搬要素及び混合ブロックから構成され;及び
前記第5ゾーンは、スクリューチップからなる(ここで、前記第4ゾーンの混合ブロックは前記スクリューチップの前にある)
である連続方法
を行うために提供される押出機スクリュー構造を供給することによって解決される。
【0025】
本発明に基づく押出機スクリュー構造は、上述したように、本発明に基づく連続押出方法行うために提供されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1では、ラピッドビスコアナライザー(RVA:Rapid Visco Analyser)装置において、160rpmで、30℃で、60分間におよぶ、2種の既知のデンプン及び1種の本発明に基づくデンプンの粘度の状況(又は変化、進展)を示す。
【図2】図2では、RVA装置において、160rpmで、温度プロフィール:30℃で10分間、30℃から95℃に10分で加熱、95℃で6分間維持、95℃から30℃に10分間で冷却及び30℃で10分間維持に従った(又はを受けた)場合の、2種の公知のデンプン及び1種の本発明によるデンプンの粘度の状況を示す。
【図3】図3では、本発明に基づく連続押出方法を行うために提供されるスクリュー構造の第1の態様を示す。
【図4】図4では、本発明に基づく連続押出方法を行うために提供されるスクリュー構造の第2の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
下記のグラフ及び実施例により本発明を説明するが、これらのグラフ及び実施例は、下記特許請求の範囲に示される本発明の範囲を限定するものではないと考えるべきであり、その参照符号は添付の図面を参照するために用いる。
【0028】
本発明のリン酸架橋糊化デンプンのレオロジー的性質を、図1及び図2に示す。
【0029】
図1では、本発明の製品(1)を、スラリー状で架橋し、次にドラム乾燥機(Merigel 310)で糊化を行ったデンプン(2)及びスラリー状で架橋し、次に押出機(Resistamyl 310 extruded)で糊化を行ったデンプン(3)と比較する。
【0030】
図2では、調理工程を行った場合、同じ3種のデンプン誘導体(1、2及び3)を評価した。
【0031】
図1及び図2では、曲線(4)により温度(℃)を、そして曲線(5)により速度(rpm)を示した。
【0032】
更に、反応押出方法にSTMPを用いる先行技術の方法と比較して、本発明の方法は、同じ架橋度を得るために使用する試薬が最大10倍少ない(又は最大で10分の1でよい)ということを強調すべきである。その結果、残留リン酸塩はほとんど存在せず、そのため、コストのかかる追加の精製工程を行うことなく、本発明のデンプンを食物用途に使用することが可能になる。
【実施例】
【0033】
実験装置
反応は、下記の押出装置を使用して行う:
共回転式二軸スクリュー押出機(Berstorff ZE40*38D)
スクリューの直径は40mmである。
押出機の長さは直径の38倍である(L/D=38)。
アルカリ性デンプン処理量は約10kg/時間である。
微量の架橋剤POCl及び中和剤(押出機の第4ゾーンで、架橋糊化デンプンを中和するため)を加えるために、特定のHPLCポンプを使用する。
4mmの穴を2つ有するダイを使用する。
図3及び図4に示すスクリュー構造設計を用いる。各スクリュー構造は、
・Zフライト運搬要素から構成される第1部分ゾーン及び第2部分ゾーン(10a、10b);
・Zフライト運搬要素、続いてニーディングブロック部分から構成される第3部分ゾーン(10c);
からなる第1ゾーン(10)
運搬要素と更なるニーディングブロックとの組合せから構成される第2ゾーン(11);
Zフライト運搬要素から構成される第3ゾーン(12);
運搬要素及び混合ブロックから構成される第4ゾーン(13);および
スクリューチップからなる第5ゾーン(14)(ここで、前記第4ゾーンの混合ブロックは前記スクリューチップの前にある)からなる。
スクリュー速度は200rpmである。
押し出し中のデンプンの最小含水量は35%(より好ましくは約40%)である。
反応ゾーンの温度設定値は80〜90℃である。
反応時間は30秒〜1分である。
この装置を用いて、製品を製造するための具体的な機械エネルギーは、0.10〜0.3kWh/kgの間である。
【0034】
アルカリ性デンプン
アルカリ性ろう状トウモロコシデンプンは、Loedige連続ミキサー(CP20 Pl)中の、市販のろう状トウモロコシデンプン(11〜13%水分)に、25w/w%NaOH溶液を噴霧することで製造する。デンプンに噴霧するNaOHの量は、乾燥デンプンに対して0.2〜2.2%の間である。アルカリ性デンプンはそのまま用いられる。
【0035】
押し出し
1.二軸スクリュー投与装置(K−Tron)を用いて、市販の製品172g/分(例えば乾燥物質150g/分)の速度で、アルカリ性デンプンを押出機中に入れる。第1ゾーン(10)の第1部分ゾーン(10a)で、アルカリ性デンプンを押出機に入れる。ゾーン1の温度は20℃+/−3%である。
2.第1ゾーン(10)の第2部分ゾーン(10b)で、アルカリ性デンプンに余分な量の水(75g/分)を加える。この余分な量の水によりアルカリ性デンプンは完全に又はほぼ完全に膨潤することができる(少なくとも90%の顆粒が糊化される)。押出機に入る水の総量は97g/分(純粋な水+アルカリ性デンプンに固定された水、の合計)であり、アルカリ性デンプン乾燥物質濃度は60.7%となる。この第2部分ゾーン(10b)の温度は、61℃+/−3%である。
3.第1ゾーン(10)の第3部分ゾーン(10c)(99℃+/−3%)で、アルカリ性デンプン/水混合物を十分に混練する。このゾーンでアルカリ性デンプンは膨潤する。
4.糊化アルカリ性デンプンに、0.23g/分のPOCl(乾燥デンプンに対して0.16%POClw/w)を混合する。押出機へのPOClの投入は、押出機内の圧力を克服できるHPLCポンプにより行う。押出機の第2ゾーン(11)で、POClの添加を行う。このゾーンの温度は、100℃+/−3%に設定する。押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、架橋反応は起こる。
5.反応混合物を中和することによって、架橋反応を停止する。押出機の第4ゾーン(13)でこれを行い、ここで反応混合物に、9.0g/分(9.25%w/w)のHClを入れる。これは、押出機の内圧を克服できるポンプを用いて行う。HCl溶液を加える位置で、押出機の圧力低下を生ずるという、第4ゾーン(13)のスクリュー設計を選択する。押出機の第5ゾーン(14)で、反応後、架橋予備糊化デンプンの最終pHを測定する。
【0036】
実施例1〜4
図3に示したスクリュー構造及び下記表1の条件を用い、上記開示の手法に基づいて反応を行う。
【0037】
基質としてろう状トウモロコシデンプンを用い、選択アルカリ濃度は乾燥デンプンに関して1.2%NaOHである。
【0038】
【表1】

表1:ろう状トウモロコシと1.2%NaOHを用いる押し出し中の押出機パラメーター
1:押出機は、反応ゾーンの外に存する(図3及び図4参照)。各要素は、それぞれ独自の温度を有する。
2:Tmeltは、押出機最終部における押し出しサンプルの融解温度である。
3:具体的機械エネルギー(SME)
4:%HO計算値は、乾燥物質基準である。
5:%POCl3は、乾燥物質基準で計算する。
6:糊化 X線:糊化はX線測定により確認する。
【0039】
糊化デンプンに対する架橋剤の効果は、ブラベンダー(Brabender)社製ビスコグラフ(viscograph)を使用して6.3%w/wデンプン分散液の粘度を測定することにより決定した。全てのサンプルを中和し、pH約5.5を有する分散液を提供した。
【0040】
粘度データを表2に示す。
【0041】
【表2】

表2:スクリュー設計T&L−11を用いた押し出しサンプルの粘度
【0042】
この表は、同じアルカリ濃度において、粘度に関する使用したPOCl量の効果を示す。
【0043】
実施例5
図4に示すスクリュー構造及び下記表3の条件を用いて、上述の手順に基づいて反応を行う。基質としてろう状トウモロコシデンプンを用い、選択したアルカリ濃度は乾燥デンプンに関して0.6%NaOHである。
【0044】
【表3】

表3:ろう状トウモロコシと0.6%NaOHを用いる押し出しの押出機パラメーター
【0045】
糊化デンプンに対する架橋剤の効果は、ブラベンダー社製ビスコグラフを使用して6.3%w/wデンプン分散液の粘度を測定することにより決定した。全てのサンプルを中和し、pH約5.5を有する分散液を提供した。
【0046】
粘度データを表4に示す。
【0047】
【表4】

表4:スクリュー設計T&L−12を用いた押し出しサンプルの粘度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続押出方法であって、下記の工程:
押出機の第1ゾーン(10)で、アルカリ性デンプンを糊化する工程;
押出機の第2ゾーン(11)で、架橋剤としてPOClを加える工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、POClを用いて、得られた糊化デンプンを架橋する工程;
押出機の第4ゾーン(13)に存在する、得られた架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーン(14)で、得られた架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる連続押出方法。
【請求項2】
下記の工程:
押出機の該第1ゾーン(10)の第1部分ゾーン(10a)に、アルカリ性デンプンを連続的に供給する工程であって、この第1部分ゾーン(10a)の温度が20℃±3℃である工程;
押出機の該第1ゾーン(10)の第2部分ゾーン(10b)で、アルカリ性デンプンに余分の量の水を、55〜65℃の間の温度で、70:30〜50:50の間の乾燥重量のデンプンと水の比率で、連続的に供給する工程;
押出機の該第1ゾーン(10)の第3部分ゾーン(10c)で、アルカリ性デンプン/水混合物を、約100℃の温度で混練して、糊化デンプンを得る工程;
温度が約100℃±5℃である押出機の第2ゾーン(11)で、糊化デンプンに、POClを連続的に供給する工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、糊化デンプンを架橋して、架橋糊化デンプンを得る工程;
押出機の第4ゾーン(13)で、架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーン(14)で、架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる請求項1に記載の連続押出方法。
【請求項3】
回収された架橋糊化デンプンを実質的に室温に冷却後、更に寸法が小さくなる請求項1又は2に記載の連続押出方法。
【請求項4】
連続押出方法の必要な特定の機械的入力は、350〜1000kJ/kgの間にある請求項1〜3のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項5】
連続押出方法の必要な特定の機械的入力は、450〜750kJ/kgの間にある請求項4に記載の連続押出方法。
【請求項6】
押出機の該第1ゾーンの第2部分ゾーン(10b)での乾燥重量デンプンと水との比率は、70:30〜50:50の間である請求項1〜5のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項7】
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、POClを用いることによる、得られた糊化デンプンの架橋は、70℃〜90℃の間の測定され及びモニタリングされた温度で行う請求項1〜6のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項8】
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、POClを用いることによる、得られた糊化デンプンの架橋は、75℃〜85℃の間の測定され及びモニタリングされた温度で行う請求項7に記載の連続押出方法。
【請求項9】
回収され冷却された架橋糊化デンプンのさらなる縮小は、粉砕により行う請求項1〜
8のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項10】
アルカリ性デンプンの連続供給は、投与装置を用いて行う請求項1〜9のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項11】
押出機について、1軸スクリュー構造、共回転式二軸スクリュー構造又は逆転式二軸スクリュー構造を用いて行う請求項1〜10のいずれかに記載の連続押出方法。
【請求項12】
冷水膨潤性リン酸架橋糊化デンプン誘導体を製造する連続押出方法であって、
下記工程:
押出機の第1ゾーン(10)で、アルカリ性デンプンを糊化する工程;
押出機の第2ゾーン(11)で、架橋剤としてPOClを加える工程;
押出機の第2ゾーン及び第3ゾーン(11、12)で、POClを用いることによって、得られた糊化デンプンを架橋する工程;
押出機の第4ゾーン(13)に存する、得られた架橋糊化デンプンを中和する工程;及び
押出機の第5ゾーン(14)で、得られた架橋糊化デンプンを回収する工程
からなる連続押出方法であり、
前記第1ゾーン(10)は、
・Zフライト運搬要素から構成される第1部分ゾーン及び第2部分ゾーン(10a、10b);
・Zフライト運搬要素、続いてニーディングブロック部分から構成される第3部分ゾーン(10c)
からなり;
前記第2ゾーン(11)は、更なるニーディングブロックと組合わされた運搬要素から構成され;
前記第3ゾーン(12)は、Zフライト運搬要素から構成され;
前記第4ゾーン(13)は、運搬要素及び混合ブロックから構成され;及び
前記第5ゾーン(14)は、スクリューチップからなる(ここで、前記第4ゾーンの混合ブロックは前記スクリューチップの前にある)
である連続押出方法
を行うために提供される押出機スクリュー構造。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載した連続押出方法を行うために提供される請求項12に記載された押出機スクリュー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−537009(P2010−537009A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522190(P2010−522190)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007627
【国際公開番号】WO2009/026948
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(508137132)シラル・ベルヒウム・ナムローゼ・フェンノートシャップ (4)
【氏名又は名称原語表記】SYRAL BELGIUM NV
【Fターム(参考)】